沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

はじめに

かつて「基地のない島」だった沖縄は、今では広大な米軍基地を抱えています。この米軍基地は、現在の私たちの生活に様々な問題をもたらしていますが、その建設時にも、住民の生活基盤であった土地が軍用地として取得された背景があります。

用地取得という観点では、今日の社会においても、所有者の意思に関わらず国や自治体が公権力によって土地を取得することがありますが、それは土地収用法等の法令に基づき、空港、道路、ダムなど、公共の利益になる施設を建設する場合に限られます。 では、沖縄に次から次へと基地が建設された時代、その設置者は何を根拠に、どのような手続きで用地を取得したのでしょう。

この展示では、沖縄が「基地のない島」から「基地の島」へと変貌する過程で行われた軍用地取得のありさまについて、歴史公文書をとおして紐解きます。

セクション構成

沖縄で基地建設がはじまった1941年から、米国の占領統治期を経て日本へ復帰した1972年までの間、基地の設置者が軍用地を取得した方法は図1のように変遷しました。展示セクションは変遷の4つの節目で構成しています。

  • 「旧日本軍の軍用地取得」 1941~1945
  • 「米占領者の軍用地取得」 1945~1952
  • 「米統治者の軍用地取得」 1952~1972
  • 「沖縄返還と軍用地移管」 1972.5.15

この他、深堀セクション(展示室中央ケース)では、「軍用地関係事務所」「土地所有権認定事業」、「割当土地」、「ワシントン折衝」と「島ぐるみ闘争」、「土地借賃安定法」、「軍用地料の前払い」、「解放地」といった軍用地政策に関連するキーワードについて掘り下げます。

軍用地取得の変遷概略図

展示資料「琉球政府文書」

「琉球政府文書」とは、沖縄県公文書館が所蔵する歴史公文書で、戦後沖縄が米国の占領統治下にあった約27年間、住民側の統治機構として存在した琉球政府やその前身機関(沖縄諮詢会、民政府、群島政府等)が残した行政活動の記録です。

この琉球政府文書には、軍用地に関する公文書が約2万簿冊あります。中でも最も多いのが軍用地の契約事務などを行っていた軍用地関係事務所の公文書で、軍用地の賃貸借契約書や収用宣告書など、当時の軍用地政策を裏付ける一次資料があります。

展示資料は、この琉球政府文書の中から注目資料を展示しています。また、デジタルアーカイブサイト「琉球政府の時代」では、展示資料の全文を閲覧することができます。(掲示したQRコードから該当文書にアクセスできます。)

※「琉球政府の時代」は、沖縄振興特別推進交付金による「琉球政府文書デジタル・アーカイブズ推進事業」の一環で運営しています。

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