沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

軍用地関係法規12

国民政府布告第26号「軍用地域内に於ける不動産の使用に対する補償」

琉球列島住民に告ぐ  
1907年10月18日の第4回「ヘーグ会議」において定められた陸戦法規及び陸上戦闘規則、慣習に関する規定第三節第五十二条の条項に基き、合衆国軍隊は、占領軍が必要とする不動産を収用し、これを占有した。
対日講和条約第二章第三条によって合衆国に與えられた土地収用件に基き、合衆国軍隊は、1953年4月 28日以後、更に、合衆国軍隊の必要とする他の不動産を占有し、これを使用した。合衆国軍隊は、1950年 7月7日以後本布告の発効期日以前まで軍用地に指定された不動産の或る部分を引き続き使用して来た。  
戦災によって滅失した土地台帳は既に復旧され、軍用地域内にある土地の所有者に対しては合衆国軍隊がその土地使用を適当に通知した。  
合衆国は、1950年7月1日又は収用の翌日から1952年4月27日に至るまでの軍用地域内のすべての土地に対する使用料の支払を完了しつつある。琉球列島の福祉及び防衛のために、合衆国軍隊はなお引き続き無期限に軍用地のすべてを使用し、占有する必要がある。  合衆国代行機関は、合衆国が地主に対し正当な補償をなすことによって軍用地の使用及び占有の権利を 取得すべく該地主との書面による契約締結の交渉に努めたが成功しなかった。  
該土地が収用のされた1950年7月1日及びその翌日から合衆国においてはその使用についての黙契とそ の借地料支払の義務が生じ、当該期日現在で合衆国は賃借権を與えられた。公共の目的のために無償で私有地を継続使用することは、合衆国憲法に反し、且つ又琉球列島住民にとって耐え難い事である。  
ここにおいて、本官、琉球列島民政副長官、合衆国陸軍少將ダヴィドA・D・オグデンは、所轄当局によって與えられた権限及び機能に基き、ここに、次のとおり布告する。

第一条 合衆国軍隊によって黙契によりこれまで収用された軍用地の使用及び占有に対する米合衆国の権利をここに確認し、且つ、米合衆国は本布告第二条に基き、1952年4月28日又はそれ以前に於ける収用の翌日から1954年6月30日に至る期間正式に登記した上で公共のための現存地役権を妨げず合衆国 代行機関が現在使用している土地の使用及び占有に対する権利をここに保有する。但し、合衆国政府が六十日以内に取消の豫告をしない限り、登記した土地の使用及び占有に対する権利は以後年々引き続き効力を有する。

第二条 合衆国は、該土地又は不動産の所轄地区土地登記事務所において、使用確認証及び賃借料供託の 登記をなす権限を與えられ、又該登記事務所はこの種登録をなす権限を與えられる。前期確認証及び 賃借料供託には、すべての関係土地区画についての法定記述書、収用期日以後に生じた又は支払うべ き借地料見積金額、取得した構築物の価額並びに以後年々生ずる賃借料の金額表を明示するもとする。

第三条 前期確認証及び賃借料供託証の提出があった場合は直ちに、合衆国は、当該土地の法的所有者又 は有権者に支払うために借地料見積額及び取得した構築物の価格に相当する金額を琉球政府行政主席 又はその委任する代理人に供託し、行政主席又はその委任する代理人は、適当な所有権の調査及び財 産の実地検証を行った上、当該金額の支払を受ける者が正当な受取人であると認定すると云う琉球政 府の証明のもとにこれを支払うものとする。合衆国の解約の通知がない限り、土地使用料の支払は各 会計年度末に、前述のとおり、供託金をもってなされるものとする。但し、賃借料支払のため年々所 要金額の充当あるを要する。いかなる不動産も、その解放期日以後に対しては賃借料の支払はなされない。

第四条 有権者のために供託された全金額は、第二条に基き登記された借地料及び土地構築物の価格が満 足すべきものであると云う契約締結の上で、有権者は、これを受け取ることができる。法的土地所有 者が前記金額に対し不満である場合には、供託金の七五パーセントを受取って確認及び賃借料供託証 の提出記日から30日(歴日)以内に民政副長官に対し書面による訴願をなすことができる。該訴願は、 民政府布令第百九号第三条によって設置された琉球列島米国土地収用委員会において審理され、その 裁定額は、それが第二条に基き登記された見積価額に比し増減の如何にかかわらず、最終決定となる。
これは既に義務を生じている賃借料及び今後年々生ずる賃借料の双方に適用される。

第五条 琉球列島米国首席民政官は、本布告の目的達成上必要なる施行規則を公布する。
第六条 この布告は、1953年12月5日から施行する。

民政長官の命により発布する。
民政副長官           
米国陸軍少將          
ダヴィドA・D・オグデン

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