『文書だより』(3)公文書の年号

『文書だより』から、琉球政府から沖縄県への移行にともなう文書事務の変化に関する記事を紹介します。

 

西暦から元号へ

日本復帰前、琉球政府は公文書に西暦を使用していました。

 

『文書だより』第6号の「県政移行後の元号使用決まる」には、「戦後、対米的関係から、公文書はすべてキリスト紀元、つまり西暦を使用」していたとあります。

 

本土復帰を控え、公文書の年号の表記をどうするかという点が議論となります。そのなかで、「本土復帰以前に公文書の西暦使用を元号、つまり昭和年号に改めるべきであるという意見や、逆に西暦が合理的であるから、県政移行後の公文書も西暦使用を継続すべしという声があ」ったと記されています。

文書管理に関する会議や関係部課における検討の結果、本土復帰前は、現状のまま西暦使用を原則とし、復帰後は、「公式制度の一環として、各都道府県並みに元号(昭和年号)を使用する」こととなりました。

 

 

元号使用の意義

『文書だより』第6号では、「文書事務を考える」のテーマとして「年号」が取り上げられています。

(「文書事務を考える」については、こちらをご覧ください。)

 

「元号使用の意義はなにか」という問いに対し、「時間を区切り、年に特別な名称を付して、理想、希望喜悦等を表わす考え方」は、中国で発生したもので、西欧にはみられない「東洋人の精神的活動のあらわれである」、日本では孝徳天皇のとき大化と定められたことがはじまりで、元号使用には「国民的統合に意義をおいたという説もある」などと記されています。

 

また、「参考 年代表記と元号の問題点」として、「新憲法の下において、元号は制度化または法制化されてなく、現在慣習法的に使用されているにすぎない」、「国内の公文書は、公式制度の形式で元号を使用し、対外国文書は西暦を使用している」などと、元号をめぐる状況が記されています。

 

元号・年代表記に関する資料

『文書だより』第6号には、「元号に関する世論調査結果」や「本土における元号の現状」などが資料として掲載されています。

 

総理府が1961年に実施した元号に関する世論調査では、「元号についてどう思うか」という問いに対し、国民の3割超は「どちらでもよい(わからない)」と回答しています。一方で、「ふだんどの元号を使用するか」では、「主に昭和」が82%と大半を占めています。

 

また、「本土における元号の現状」には、「多数国条約では、戦前戦後を通じ、キリスト紀元のみを使用している」、教科書では「西暦が年代は握に便利であるという見地から、西暦を原則として元号を副次的に使用している」などと記されています。

 

このように、復帰前の米国統治下で公文書に使用されていた西暦は、復帰までは引き続き使用され、復帰後に、元号使用へと切り替わりました。西暦から元号への年号表記の変化は、公文書の作成という面における日本復帰にともなう大きな変化といえるでしょう。

 

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