パン給食のはじまり

戸惑う学校現場への指導


パン製造の道筋はつくったものの、学校現場では初めてのパン給食です。そこで文教局長から教育長・区教委・学校長に宛てて、細かな指示が出されました。

下の文書は、1960年2月25日付の「パン給食の実施について」です。「待望のパン給食ではありましたが、各学校の受入態勢も十分整わないままに去る1月18日から実施しましたので各学校では大変困惑しておられることと思います」という導入に続き、「2月22日現在で、全琉20万児童生徒のうち352校の19万3,392人(97%)」に給食されるようになった実績が書かれています。

そして、「一日も早く受入態勢を完備していただいてパン給食が軌道にのり教育的に実施され、落ちつきの中で楽しいパン給食が毎日行われるよう念願し御協力をお願い致します」と、パンの配り方や食べ方の指導をしています。

例えば「三、パンとミルクの配り方」には、次のようにあります。

1.  温いミルクをのませるために、又こぼさないでのませるために、パンを先に配ってからミルクをつぐ。

2. パンはちぎって食べる(パンにおかずをはさむときは持って食べる)

3. パンとミルクは交互にいただく。

4. ミルクの中にパンをひたして食べるのは望ましくない。

「四、完全給食の実現へ」には、パンとミルクのカロリー量は小学校が530カロリー(70カロリー不足)、中学校が690カロリー(110カロリー不足)で、「不足カロリーは副食物で補って行きたい」とあります。つまり、おかずは各家庭からの持参ですが、「おかず競争にならないよう質と量については適当な指導をしてほしい」とあるのは、家計の格差が目立つのを避けるためでしょうか。

このほか、衛生面・パンの規格・リバック物資の横流し禁止などについても指導されています。

面白いのは、「十一、給食準備室の改善について」の「鍋を増設なさる必要のある学校には次の釜を紹介します」と書かれた、2種類のイラストです。

脱脂粉乳を溶かしてコップに注ぐ容器でしょうか、単位が「2尺」や「1石2斗入」などとなっており、時代を感じさせます。

 

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