沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

軍用地関係法規3

米国海軍軍政本部指令第29号「住民再定住計画及び方針」

1 この指令は、元の家屋敷に帰ることを予想される者全部を含めて、沖縄島民を各自の前住地に移動させ、仮住居を提供し、できる限り恒久的構造に近い個人建築の家屋又は団体建築の家屋に住まわせ、軍政府の使用し得る耕地全部を耕作させることを目的とする。なお、移動は一九四六年一月一日までに完了することになっている。
2 家族及び各個人の元住居への帰還は、この指令の他の目的が達成された後とする。住民委員会を設けて、家族の住居及び耕作地の割当てをさせればよい。割当てに際しては、同一区域に住居を有する者のうち、未帰還者がいることに留意させる必要がある。割当てはしても、最終的な法的所有権には影響はない。また、個人が元占有地を割当てられた場合においても、これに他の者を共に居住させ、又はその耕作を助けさせることができる。住民を地区内の居住可能土地全体に分散させることが望ましい。共同作業には、従来どおり、住民を使用することを期待し、かつ、これを認める。なお、住居、土地の割当て及び作業要請はできる限り公平を期すものとする。
3 送出し地区の隊長は、同地区に米軍上陸前の居住者を有する各村から、住民代表各一名を任命する。任命された代表は、地区の使用人として、村民を地区隊長の指揮の下に帰村させるに必要な一切の援助を提供する。
4 移動は、次の時期までは行わない。
(a)軍政府本部が移動を承認し、日時を予定するとき。これは、以下(b)、(c)および(d)に合わせて行なわれる。
(b)関係地区の隊長が、移動の細目全部に同意したとき。
(c)地区隊長が、移動先の地域内の各部隊の指揮官に連絡して、公安保持及び不法侵入防止に必要な細目全部を取決めたとき。
(d)移動途中の護衛、移動後の仮住居及び食事の提供が細部にわたって計画されたとき。
5 送出し地区の隊長は次を引受ける。
(a)住民を先導して、整然と、安全に、かつ迅速に送出す。
(b)送出された者の名簿三部を入手する(別紙A参照)。名簿はできる限り日本語で記入させ、送出し地区名、受入れ地区名及び移動者数のみを英語とする。このうち一部は送出し地区が保管し、一部は受入れ地区、一部は軍政府本部に、それぞれ提出する。
(c)受入れ地区の隊長との協議により移動前に指示すべき事があれば、これを住民に伝達する。
6 受入れ地区の隊長は、次を引受ける。
(a)住民を受入れしだい仮小屋を提供するとともに、その後に受入れを予定されている者たちのために、十分数の仮小屋を準備して置く。
(b)食事を提供する。
(c)受入れた住民を本指令記載の方針に従って、再定住させる。
(d)住民に特別の規則及び一般的な規則全部を知らせる。
(e)第五項(c)の処置をとる。
7 受入れキャンプは、風雨を避けられる場所が十分にある軍野営場跡又は部落跡にするのがよいが、これが利用できない場合は、当本部がテントを支給する。さらに、当本部は、住民の恒久的家屋の再建に必要な建築資材を、当本部が自由に使用し得る資材及び車両の範囲内で、供給する。
8 各地区の隊長は、第一項及び第二項記載の方針に従って、受入れ住民の再定住に着手する。これは、住民の他地区への転出及び他地区からの転入を妨げない方法で、かつ時期に行う。
9 当本部の別段の許可がない限り、隣接しない地区間の移動は、自動車運送によって行ない、有用な家具は、すべて携行することを認める。
10 隣接する地区間の移動は、地区隊長双方の協議により、徒歩移動とすることができる。移動については、第四項、第五項及び第六項に従わなければならない。住民を保護するとともに、軍用車の通行にできる限り支障のないようにするため、移動中の監視対策を十分に講じて置く。家具、老人、虚弱者及び病人は、トラックで移動する。軍政府本部は、憲兵司令官、As Coml 及び海軍作戦根拠地配属憲兵隊に、前以って移動を通告する。なお、六号線以南においては、家族が一回では携行できそうもない家具は、トラックで移動させるべきである。
11 南部には、不発弾及び日本軍の不発地雷、偽装爆弾が残っている場所がある。この事を住民に警告し、その発見、通報について住民の協力を求められたし。
指示に依り
ロイヤル ファーマン

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