沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

軍用地関係法規17

法律第132号「沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律」

(趣旨等)
第一条 この法律は、沖縄(硫黄鳥島及び伊平屋島並びに北緯27度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。以下 同じ。)の復帰に伴い、沖縄における公用地等のための土地又は工作物に関する暫定使用について特別な措 置を定めるものとする。
2 この法律の規定により使用することができる土地又は工作物については、この法律の規定による使用の開始後であっても、当該土地又は工作物の所有者その他の権利者との合意によりこれを使用することとなるよう努めるものとする。

(土地又は工作物の暫定使用)
第二条 次の各号に掲げる土地又は工作物は、それぞれ当該各号に掲げる者が、この法律の施行の日から当該土地又は工作物について権原を取得するまでの間、使用することができる。ただし、この法律の施行の日から起算して5年をこえない範囲内において当該土地又は工作物の種類及び設置場所等を考慮して必要と認め られる期間として政令で定める期間を経過した日(その日前に、事業の廃止、変更その他の事由により、当該土地又は工作物を使用する必要がなくなったときは、その事由が生じた日の翌日)以後においては、この限りではない。
一 この法律の施行の際沖縄においてアメリカ合衆国の軍隊の用に供されている土地又は工作物で、次に掲げるもの 国
イ 引き続き自衛隊の部隊の用に供する土地又は工作物
ロ 引き続き日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区 域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下この項において「地位協定」とい う。)の規定に従いアメリカ合衆国の軍隊の用に供する土地又は工作物
 ハ ロの土地又は工作物で、この法律の施行の日から起算して1年を経過する日までの間に、地位協 定の規定に従いアメリカ合衆国から日本国に返還され、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの
二 この法律の施行の際琉球水道公社の設立(1958年高等弁務官布令第8号)に基づく琉球水道公社が 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業又は水道用水供給事業に相当する事業の用に供する 施設の用に供している土地(当該施設に関する工事の用に供している土地を含む。)で、引き続き同 法による水道事業又は水道用水供給事業の用に供する施設の用に供するもの(当該施設に関する工事の用に供する土地を含む。)沖縄県
三 この法律の施行の際琉球電力公社の設立(1954年琉球列島米国民政府布令第129号)に基づく琉球電力公社が電気事業法(昭和39年法律第170号)による電気工作物に相当する工作物の用に供している土地で、引き続き同法による電気事業の用に供する電気工作物の用に供するもの沖縄振興開発特 別措置法(昭和46年法律第131号)により設立される沖縄電力株式会社
四 この法律の施行の際沖縄にある航空機の敷地である土地で、引き続き運輸大臣が設置する飛行場の 敷地となるもの 国
五 この法律の施行の際沖縄にある航空機の航行を援助するための施設又は航空通信の用に供する電気 通信設備の用に供されている土地で次に掲げるもの 国
イ 引き続き運輸大臣が設置する航空法(昭和27年法律第231号)による航空保安施設又は運輸大臣が 航空通信の用に供する電気通信設備の用に供する土地
ロ 第1号ロの土地で、この法律の施行の日から起算して1年を経過する日までの間に、地位協定の 規定に従いアメリカ合衆国から日本国に返還され、引き続き運輸大臣が設置する航空法による航 空保安施設の用に供するもの 六 この法律の施行の際沖縄にある航路標識法(昭和24年法律第99号)による航路標識に相当する施設 の用に供されている土地で、引き続き海上保安長官が設置する同法による航路標識の用に供するも の国
七 この法律の施行の際沖縄において一般交通の用に供されているアメリカ合衆国の軍隊の築造に係る 道の敷地である土地で、引き続き道路法(昭和27年法律第180号)による道路を構成する敷地となる もの 国又は地方公共団体
2 前項各号に掲げる土地となるべきものの区域及び同項第1号に掲げる工作物となるべきもの及び当該 土地又は工作物の使用の方法は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる者がこの法律の施 行前に告示する。
一 前項第1号に掲げる土地又は工作物 防衛施設庁長官
二 前号第2号に掲げる土地厚生大臣
三 前項第3号に掲げる土地 通商産業大臣
四 前項第4号に掲げる土地 運輸大臣
五 前項第5号に掲げる土地 運輸大臣
六 前項第6号に掲げる土地 海上保安庁長官
七 前項第7号に掲げる土地 建設大臣
3 第1項の規定により土地又は工作物を使用する者は、この法律の施行後、遅滞なく、当該土地の区域 又は工作物及びに土地又は工作物の使用の方法をその所有者並びにその氏名又は名称及び住所が明らかな関係人(この法律の施行の日に当該土地又は工作物に関して所有権以外の権利を有する者及びそ の承継人をいう。以下同じ。)に通知しなければならない。この場合において、その所有者の氏名若しくは名称又は住所を確知することができないときは、政令で定めるところにより、その通知するべき 事項を公示しなければならない。
(土地又は工作物の使用に伴う損失の補償)
第三条 前条第1項の規定により土地又は工作物を使用する者は、当該土地又は工作物を使用することによつてその所有者及び関係人が通常受ける損失を補償しなければならない。 2 前項の規定による損失の補償は、政令で定める区分に応じ、各年度(国の会計年度をいう。以下同じ。) に係る分を当該年度においてしなければならない。この場合において、損失の補償は、各年度に係る分について、当該年度の開始する日(この法律の施行の日の属する年度にあつては、この法律の施行 の日。以下同じ。)の価格(土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償についてはそ の土地及び近傍類地の地代及び借賃等を考慮し、工作物又は工作物に関する所有権以外の権利に対す る損失の補償についてはその工作物及び近傍同種の物件の使用料及び借賃等を考慮して算定した当該年度の開始する日の価格)によつて算定しなければならない。
3 第1項の規定による損失の補償は、各年度に係る分について前条第一項の規定により土地又は工作物を使用する者と当該土地又は工作物の所有者及び関係人とが協議して定めなければならない。ただし、 協議をすることができないときは、この限りでない。
4 前条第1項の規定により土地又は工作物を使用する者は、その所有者及び関係人の請求があるときは、自己の見積つた当該年度に係る損失の補償の額を払い渡さなければならない。
5 第3項本文の規定による協議が成立しないとき、又は同項ただし書に規定する場合に該当するときは、 前条第1項の規定により土地若しくは工作物を使用する者又は当該土地若しくは工作物の所有者若しくは関係人は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和26年法律第219号)第94条 の規定による裁決を申請することができる。 (原状回復の義務)
第四条 第2条第1項の規定により土地又は工作物を使用する者は、同項ただし書の規定により当該土地又は工作物を使用することができなくなつたときは、遅滞なく、当該土地又は工作物をその所有者に返還しなければならない。この場合においては、政令で定めるところにより、当該土地又は工作物を原状に回復し、又 は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償しなければならない。
(政令への委任)
第五条 前3条に定めるもののほか、第2条の規定による土地又は工作物の使用について必要な事項は、政令で定 める。

附 則
(施行期日)
1 この法律は、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日か ら施行する。ただし、第2条第2項及び次項の規定は、公布の日から施行する。

(琉球政府行政主席への通知)
2 内閣総理大臣は、この法律の内容を琉球政府行政主席に通知しなければならない。

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