軍用地関係法規7
米国民政府特別布告第4号「土地所有権について」
沖縄群島住民に告げる
1950年4月14日付特別布告第36号に基き、沖縄群島内の実際の諸所有地に対する土地所有権の認定及び証 明書の作製事務が完了したので、又戦時緊急対策により多数の沖縄住民は所有権申請人の法律上の承諾も なく、市町村長並びに琉球列島軍政府の割当てた土地を使用し、又住居として来たので、なおまた中央土 地所有権認定委員会、及び沖縄群島議会から土地所有権認定申請をしている所有者に対し発行する土地所 有権証明書の作製の完了、及び交付から起る土地所有権に関しての若干の進言があったので、本官、琉球 列島米国民政府副長官米国陸軍少将ロバート・エス・ビートラーはここに、土地の使用及び所有権関して起る問題、及び紛争を解決する際の是非の裁定の一助にもなればと思って左の通り布告する。
第一条 土地の所有
1、市町村長の正式に発行した、土地所有権証明書を有する所有権申請人は、本特別布告実施の日から6ケ月間は左の場合には、現在所有者以外の者が占有し、かつ所有権申請人の法律上の承諾もなく保有している土地に対する所有権、もしくは使用権を行使してはならない。又所有者でない占有者を立退かすことがあってはならない。
イ、土地の使用が、公共を目的としている場合
ロ、土地の使用が、住居を目的としている場合
ハ、土地の使用が、農業を目的としている場合
2、土地所有権証明書を有する土地所有権申請人は、左の場合には現在所有者以外の者が占有し、かつ所 有権申請人の法律上の承諾を得ないで所有している土地に対して、所有権及び使用権を行使してよい。 又かような非所有者を立退かしてもよい。
イ、占有者が市町村長、副長官もしくは、所有権申請人のいずれの承諾もなく第三者に土地を賃貸し、又土地の使用権を譲渡し、又は与えた場合。
ロ、市町村長もしくは、副館長のいずれかによって割当てられた時に決められた使用目的を事実上変 更した場合。
ハ、占有者が、解放されて退された自己所有の土地を有する場合。
ニ、占有者が、その土地を目的外に使用し、又は濫用した場合。
3、立退請求の手続は、すべて所管巡回裁判所に申し出て、その決定を受ける。
第二条 沖縄群島政府
1、沖縄群島政府は、本布告及1950年8月4日付軍政府布令第22号の権限により、左の事項を規定する上 に、必要かつ適当と認められる法を制定することができる。
イ、現在の土地占有者の立退、及び占有者が土地所有権証明書を所持する土地所有権申請人から無思慮な簡易なる処置をとられることを防ぐこと。
ロ、所有権申請人の法律上の承諾を得ず土地を占有している者が、土地所有権証明書を有する所有権 申請人に払うべき使用料の限度。
ハ、土地所有権証明書を有する所有権申請人と現在の土地占有者間の紛争。
2、沖縄群島政府のかかる立法は全部又は一部について副長官の承認を経るを要し、その承認の日から、これを実施し、同時に本特別布告を廃止するものとする。
第三条
本特別布告及び本法でその権限を与えられた沖縄群島政府の立法は、その範囲を米国及びその代行機関 の占有し又は管理する土地に対する占有権管理権又は契約上の権利にまで及ばず又これに対して効力を 生じない。
第四条
他の布告、法律、布令、命令及び指令に本特別布告に抵触する条項がある場合は、これに準して変更さ れたものとする。
第五条
本特別布告は、1951年4月1日からこれを実施する。
右民政長官の命により発布する。
琉球列島民政副長官
米国陸軍少将
ロバート・エス・ビートラー