沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

軍用地関係法規6

軍政本部指令第2号「建築及び耕作制限」

第一条 沖縄島にある現在の凡ての軍用地域内(進駐軍使用の事務所、倉庫、集積地、使用及び不使用中 の航空基地、米軍家族住宅、寄宿、兵営、其の他)及び沖縄群島知事所管官庁に参照用として配 布されている軍政府地図A号(日付1950年2月1日)に将来軍用上必要と指定されている地域内 に住宅用、農業用及び商業用建物の新築は禁ずる。 但し次の例外の場合はこれを除く。 上記の指定地域内にして部落及び人家が既に存在する場合、左記(イ)若しくは(ロ)の許可を 求めた上に新築はできる。
(イ)現軍用地域内に於ける建築に対しては当地域所在の軍部隊指揮官の許可
(ロ)軍政府地図A号に指定されている全地域内の建築に対しては軍政副長官の許可
第二条 何人といえども建築を希望する者はその新築場所の所管市町村長から建築許可を求めなければならない。 事務所、病院、診療所、倉庫及び学校等沖縄民政府又は市町村官用の建物は建築禁止地域以内に 軍政副長官の認可を求めて建築できる。
第三条 1、左記の規定に準ずる場合は建築許可を付与することは出来ない。
イ、本令の第一条に規定されてある特別な許可を得た場合を除いて計画する建物が現軍用地域又は軍事 施設の最大境界以内の場所に置かれる場合
ロ、建物の場所が弾薬又は爆薬集積地から500ヤード(約458米)以内又は送油菅路から15フィート以内に計画される場合
2、軍政府地図A号による指定地域内に現存する民家及び建物はそのまま当地に所在することを許される が、将来において軍用開発のためにその土地から人家の撤去が必要となれば当地からの移動を免れな いことを了解しなければならない。かかる場合には所管の市町村長を通じて充分の予猶を与えるべく通告する。
第四条 農耕に対して本令の触れる程度は左記の項に準ずる。
イ、耕作は現軍用土地の最大境界に達する地線まで許される。
ロ、軍用土地内における耕作は当地所管の軍部隊指揮官の判断によって許される。ここに本令をもって各軍用地域及び軍事施設の指揮官に対し各々管轄土地内の耕作を許容する権利を委任する。なお一 旦与えた耕作許可は一応軍政副長官の許可なくして取消しにすることはできない。
ハ、軍政府地図A号に軍用のため将来必要と指摘されている限定地域内に現在行われている耕作はその まま続行できる。但し将来その土地が軍用上必要となった場合、農業者はその農作を止めてその土 地から撤去することを免れないことを心得なければならない。然る場合には所管の市町村長を通じて充分の予猶を与えるべく通告する。
第五条 現在の軍用地域の中或るものは将来に於いて放棄され、又或る施設は現在の地点から軍用政府地 図A号の指定地域に移動される。これが実施される場合にはその軍用土地は住民に開放すべく、逐次沖縄群島知事所管庁を通じて公告する。
第六条 本令の内容を速かに全住民に周知させることは各市町村長の責任である。更に軍政府から本令に対して変更、削除及び追加事項に関する指示が発せられた場合も、それを速かに住民に通告しなければならない。
第七条 1949年8月18日公布の軍命令第1号はこれを以て無効とする。
第八条 本令は1950年2月1日から施行する。
                                        軍政長官の指示に依り        
                                        軍政副長官米陸軍准将        
                                            ハーリー・ビー・シャーマン

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