沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

深堀セクション7

軍用地料の前払い

 

軍用地料の前払い

布令20号の実施に先立ち、琉球立法院は1959年1月、「アメリカ合衆国が賃借する土地の借賃の前払に関する立法」(1959年立法第2号)を公布しました。軍用地料は毎年払いが基本でしたが、同法では、軍用地所有者の経済的困窮を軽減し、また経済の長期安定をはかるため、条件を満たした者には10年を限度に軍用地料の前払いができるようにしました。

 

法第3条の前払を受ける条件

①所有者が琉球外に移住する場合
②所有者が田畑、その他農耕に供すべき土地を購入する場合
③所有者の居住の用に供する建物を購入又は建築する場合
④所有者が前号の建物の敷地を購入する場合
⑤その他行政主席が適当と認める特別の事情がある場合

 

前払いの用途

 

資料㊲ 軍使用地借賃前払関係 1961年 3

軍用地料の前払に関する文書がまとめられた法務局土地課融資係の簿冊。

作成:琉球政府法務局土地課、1961年6月

資料コード:R00024139B

62会計年度における借賃前払の用途別総括表」

1961年6月時点での前払の用途別の総括表。全体では、「債務返済」、「農耕地購入」、「建物及び購入」の順に多い。地区別にみると、「債務返済」は中部で多く、「農耕地購入」は北部で多い。

 

借賃前払申請書

 

資料㊳ 海外移住者の前払申請に対する特別措置

借賃前払決定表の取扱

軍用地料の前払の申請に関する文書がまとめられた法務局土地課融資係の簿冊。

作成:琉球政府法務局土地課、1962

資料コード:R00024135B

 

「借賃前払申請書」

1962年7月16日付の借賃前払申請書。用途は、「琉球外に移住する」ためとなっている。

「軍用地料の借賃前払申請について(副申)」

那覇市長の副申書には、「アメリカ合衆国が賃借する土地の借賃の前払に関する立法」第3条に該当すること、ブラジルへの渡航が迫っており、早めに支払いをしてほしい旨が記されている。

 

沖縄社会への軍用地料の還流

 

資料㊴ 琉球のあゆみ 通巻15号(第3巻2号)

やさしい政府だより 1960年2月号

作成:琉球政府行政主席官房情報課、1960年2月

資料コード:G00022428B

「全琉貯蓄運動について」

軍用地料の10年分前払などで「多額の金が放出され」、「相当な通貨膨張になるおそれがある」、「この金をほつておけば惰性的に消費面にながれてしまう」として、「生産面に活用する」ための貯蓄運動を呼びかけている。

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