沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

§3-5

布令20号 ~ 新土地政策の実施

新土地政策の実施にさきだち、琉球政府は、土地借賃安定法 やアメリカ合衆国が賃借する土地の借賃の前払に関する立法 などを公布して、法的な整備を行います。米国民政府もまた、布令164号にもとづいて取得した限定付土地保有権を廃止して以前の賃借権に戻したり、あらたに土地裁判所を設置するなどの措置を講じました。

そして、59年2月12日に公布された布令20号「賃借権の取得について」によって、ついに新土地政策が実行に移されます。これ以後、同布令は、日本復帰の前日まで、米国による土地の使用・収用の根拠法としての役割をはたしました。

 

新土地政策の主なポイント

  • 一括払い(限定付土地保有権)の廃止
  • 適正賃料
  • 収用は琉球政府と所有者との交渉が成立しなかった場合に限る

 

19581126日 新土地政策の承認について声明するブース高等弁務官 1959811日 ハーバービュークラブでの新土地政策実施に伴う第1回交付金100万ドルの小切手交付式

 

 

布令20号(財産取得要求告知書)

資料⑭ 財産取得要求告知書 真和志 0132 NR-248

DT-368 ENG-0374 不定期間賃借権

布令20号にもとづく財産取得要求告知書第132号。

作成:軍用地関係事務所業務課、1960年2月

資料コード:R00043867B

Notice of Requirement to Acquire Property No.132

財産取得要求告知書第132号(英文)。布令20号にもとづいて、1958年7月1日から添書に示すエリアの「Indefinite Leasehold」(不定期賃借権)の取得を要求すると告知している。

 

「財産取得要求告知書132号の添書B真和志村地図」

AREA TAKEN(使用地)」を斜線で示した真和志村地図。現在のおもろまち新都心のあたり。

資料⑮ 収用告知・契約・宣告一覧番号 1960

財産取得要求告知書に対応する総括賃貸借契約書、収用宣告書を示した一覧が綴られている簿冊。

作成:軍用地関係事務所業務課、1960

資料コード:R00021468B

「告知書、契約、宣告書」

財産取得要求告知書、総括賃貸借契約書、収用宣告書それぞれの番号、筆数、坪数、年間借賃のほか、不定期賃借権/定期賃借権の別や対象エリア・施設などが記されている。

 

布令20号(基本賃貸借契約書)

資料⑯ 基本賃貸借契約書 宜野座村

00010002 NR-002 不定期賃借

布令20号にもとづく基本賃貸借契約書。宜野座村に対するもので、財産取得要求告知書第2号、総括賃貸借契約書第160号と対応している。

作成:軍用地関係事務所業務課、195910

資料コード:R00034723B

「基本賃貸借契約書 宜野座村」

布令20号にもとづき、契約書に表示された土地を琉球政府に賃貸すること、琉球政府は総括賃貸借契約のもとにその土地を米国に転貸する権限を有すること、契約期間は1958年7月1日から不定期間、または統括賃貸借契約の終了までと記されている。

 

 

布令20号(総括賃貸借契約書)

資料⑰ 総括賃貸借契約書 那覇市 0374

布令20号にもとづく総括賃貸借契約書第374号。

作成:軍用地関係事務所業務課、1960年7月

資料コード:R00036914B

「総括賃貸借契約書第374号」

1960年7月1日付の第一当事者である琉球政府と第二当事者である米国との間の総括賃貸借契約書。琉球政府が土地の所有者との間で先に締結した基本賃貸借契約にもとづいて保有している賃借権にかかるもので、琉球政府は添書の土地を米国政府に転貸すると記されている。

 

布令20号(収用宣告書)

資料⑱ 収用宣告書 那覇市 DT-368

布令20号にもとづく収用宣告書第368号。

作成:軍用地関係事務所業務課、1960年7月

資料コード:R00035449B

「収用宣告書第368号」

財産取得要求告知書第248号で「不定期間賃借権」の取得要求について正式に通知したが、琉球政府は米国に対して財産を転貸する目的で「望まれた不動産権の取得をなし得ず、あるいは特種な事情をもつてその取得交渉を始める事ができていない」。ゆえに、19601128日、この収用宣告書を那覇登記所、那覇市役所に提出し、その写しを琉球政府行政出席に送達すると記されている。

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