沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

§1-2

国有地になった旧日本軍基地

米軍基地の面積を本土と沖縄で比較すると(図3)、米軍の基地建設によって多くの私有地や公有地が取得された沖縄では、私・公有地の面積が7割以上を占めており、本土(その他)に比べて割合が高いのが特徴として知られています。一方、ここで注目したいのは2割余りの国有地で、その背景には旧日本軍の基地建設があります。

戦後、米軍が土地所有権を確定する目的で行った「土地所有権認定事業」 では、旧日本軍に取得された土地のほとんどは、旧地主の所有権が認められず、日本の国有財産として米国が管理する土地となりました。そして復帰とともに日本政府に移管され、現在に至ります。

つまり、沖縄の米軍基地の国有地は、その多くはもともと私有地で、旧日本軍が戦時目的で取得したことで国有地になりました。その結果、米軍に取得された土地のように、軍用地使用料が支払われることはありません。

 

宮古飛行場用地接収の様相

資料① 諮問委員会に関する書類(収発文書、宮古、石垣飛行場関係)

日本国政府、米国政府及び琉球政府の代表者で構成され、琉球列島高等弁務官に対して助言、勧告することを目的に設置された諮問委員会の琉球政府代表事務局の簿冊。旧日本軍の宮古島、石垣島飛行場に関する文書が含まれる。

作成:琉球政府復帰対策室、1968年~1969

資料コード:R00098499B

「宮古旧飛行場接収用地総括図」

沖縄市町村軍用土地委員会連合会の「宮古島旧日本軍飛行場用地の返還要請」について、米琉合同土地諮問委員会で正式に審議することを琉球政府局長会議(19641112日)に報告した文書の一部。

旧日本軍が接収した土地の筆数、地主数、面積、接収価格を市町村別に図示している。

「宮古島飛行場用地買収事情についての認定書」

日本政府厚生省援護局長が19641214日に「戦争が終われば旧地主に土地を払い下げることを口約した」ことを事実として認定した文書。

元第32軍参謀陸軍大佐ほか2名から、口約について申し立てが添付されている。

「土地諮問委員会 会議録 1965年8月27日」

土地諮問委員会が宮古島旧日本軍飛行場用地の返還を高等弁務官に勧告した文書に添付された議事録。

米国代表委員長が証拠を検討した結果の意見で、「旧地主は適正な補償を全然受けていない」、「返還する旨日本政府が約束をなした」、「米国はこの土地を必要としない」、さらに、高等弁務官は日本の国有地でも西原飛行場のように「申請人等に土地を返還する法的権限を持っている」とある。

 

嘉手納飛行場用地接収の様相

資料② 立法院議長から行政主席あて陳情

旧日本軍に嘉手納飛行場(中飛行場)用地を接収された地主が、1971年に日本政府へ所有権返還を求める要請書。(立法院で採択され行政主席へ送付された文書)

作成:琉球政府総務局渉外広報部広報課、1972年5月

資料コード:R00001395B

「嘉手納飛行場内国有地(旧中飛行場)の所有権返還について(要請)」

嘉手納村軍用地等地主協会等が、1971年に嘉手納飛行場用地の所有権返還を日本政府に求めた文書。

「当時の飛行場建設は日本の国策」、「戦争に勝つために国民の義務」と考え協力した。戦争は終結したので「関係地主の財産権と生活擁護の立場から」返還を求めている。

この件に関して関係地主は、1977年に国を相手に訴訟を起こすが、1995年の最高裁判決で敗訴した。

「国家総動員法により接収された土地の地主申請書の再確認書」

嘉手納村軍用地等地主協会が121名の地主に対し、土地代金受領の有無などを確認した調査票(要請書の添付資料)。

要請書には、この結果を踏まえ「土地の代金を受け取らなかった者もあり、また、代金の一部だけ受け取った者等、更に半強制的に国債を買わされたりしたが、その債券は沖縄戦の熾烈の中で大部分の地主が喪失している実状」とある。

 

石垣飛行場用地の接収状況

資料③ 旧日本軍が接収した土地に関する資料(石垣市)

沖縄県が1976年8月に実施した旧日本軍による土地接収の実態調査において、八重山支庁が石垣島の飛行場用地について調査結果をまとめた簿冊。

土地代金支払調書、預金証書、陳情書、国有地及び旧沖縄県有地調べ等の関係資料が含まれる。

作成:沖縄県八重山支庁、1976年~77

資料コード:R00160149B

「日本海軍石垣島飛行場の建設説明会回顧録」

1943年6月に旧日本海軍が関係市町村等を集めて行った飛行場建設説明会における平得部落長の回顧録。

海軍中尉の発言には「建設工事については命によって絶対協力せよ」、「用地買収の用地代、地上農作物の撤去とその補償の有無については追って通知する」とある。

「旧日本軍が代金の支払いに使った預金証書」

調査結果では、「土地代金等の受領の有無は、一部を除いて多くの地主が受け取っていない、あるいはわからない」といった状況で、「代金の支払いは、2割が現金で残り8割は鹿児島銀行八重山代理店への定期預金證書又は当座預金證書で手渡されたが、その預金も終戦で凍結されている」とある。つまり、ほとんどの地主は土地代金を受領できていない。

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