農薬の安全性(2)~新聞投書への回答

『農薬安全対策 1972年度』(R00058789B)

農林局 特産課/農産課の「農業災害及び病害虫に関する書類」から、農薬の安全性をめぐる新聞投書とそれへの回答を紹介します。

 

『農薬安全対策 1972年度』(R00058789B)のなかに、琉球政府などの農薬対策を問う新聞投書と、これに対する農林局の回答が綴られています。

 

1972年5月、「農家は農薬害のあることを知りつつ農薬を使った野菜を都会に売りつけ、自分たちは農薬を使わない新鮮な野菜を食べている」ことを「農民のエゴイズム」だと批判した投書が『琉球新報』に掲載され、この投書を読んで憤慨した別の読者から、琉球政府などの農薬対策について回答を求める投書がありました。

この投書に対して、農林局は、「消費者側から言わすればそういった感覚を抱く傾向にあり、また農家側から言へばそんな事実はないと云うことになり理論決着は出来ないことである」としたうえで、「政府は、これまでの農薬行政に対するいろいろな会合をし、現地指導を実施した中でそういった事実について見聞はしていません」と回答しています。

また、「農薬による公害が社会的な問題になる以前は多量の農薬が使用されていたことは否定できない」が、1968年からは農薬公害の対処策として「農薬安全使用対策指導要領」を制定し、関係者に周知徹底をはかるとともに、農薬使用の規制を講じていることも記されています。

この回答には、1971年10月22日、沖縄公害衛生研究所で学校給食用野菜の残留農薬を検査した結果、「DDT(現在は使用禁止)が残留許容量を超えて検出され」、農林局が緊急に対策を協議した結果、残留毒性のある農薬については、「今後「仕入れない」「売らない」「買わない」「使わない」の四ない運動を強力に展開することにした」こと、「農薬による公害問題は今後いろいろな形で発生するものと予想され、農林局では、農薬行政対策を一層強化しなければならない方針」であることも記されています。

これらの内容から、当時、農薬の安全性に対する懸念が住民の間でも高まり、琉球政府にはその対策が求められていたことがわかります。

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