「労働経済の概況」~1960年代から70年にかけての変化
『労働経済の概況 1970年04月 離職者等総合対策本部』琉球政府労働局職業安定部労働調査課(R00164658B)
労働局の労政課/労働調査課/職業安定課/名護公共職業安定所/コザ一般職業訓練所/他「人事に関する書類」から、1970年4月に労働局の離職者等総合対策本部が作成した『労働経済の概況』を紹介します。
『労働経済の概況 1970年04月 離職者等総合対策本部』(R00164658B)には、1960年代から70年代にかけての沖縄の労働力人口や失業率、賃金や軍雇用員の状況などがわかりやすくまとめられています。
例えば、1968年の沖縄の労働力人口は42万5千人、労働力率は68%、失業率は0.5%でした。就業者を産業別にみると、第1次産業と第2次産業がともに減少し、第3次産業は持続的に増加していました。
賃金をみると、1968年の月間総平均給与は、全産業、全規模でみると100ドルで、前年の92ドルから8.7%上昇しています。これを男女別にみると、男子が121ドル(前年比15.2%増)、女子が66ドル(前年比10%増)でした。また、1964年から68年までの4年間の年平均上昇率は、11.8%となっています。
賃金を日本本土と比較すると、「日本本土を100とした場合、沖縄は62年で62.7、66年で77.8、68年で81.3となっており、格差は年々縮小されてきている」とあります。
本土就職の状況もわかります。 1969年の本土就職者は8,272人、前年比74.3%増で、「本土就職はじまって以来の最も高い伸び率」と記されています。学卒別では、中学卒が1,501人、高校卒が2,108人、一般が4,663人となっています。 |
1960年代末から70年代にかけて、賃金が上昇し、本土との賃金格差が縮小していく一方で、本土就職者の急増や軍雇用員の大量解雇など、沖縄の労働状況が大きな変化の局面を迎えていたことがわかります。