沖縄に戻った文化財

文書情報

資料群名 USCAR広報局文化事業部
シリーズ 1601-04 Files of the Cultural Affairs Section, 1971.
タイトル Restoration of Ryukyuan Cultural Properties.  琉球文化財の復元
資料コード 0000044894(閲覧用MF1141コマ~)、内容コード:0000046149

 

沖縄戦では人命だけでなく、多くの文化財も失われました。戦後、「沖縄の文化財の返還」に尽力したひとりに、米軍兵士のウィリアム・T・デイビスがいます。戦後の沖縄に赴任したのち帰国した彼は、沖縄戦で行方不明になった文化財の話を聞いたことをきっかけに独自に調べ始めました。また、米国国務省や税関でも調査が行われました。その結果、1945年の6月から7月に首里を占領した部隊の米軍人が、砲撃で瓦礫と化した首里で拾い集めたという金箔を施した装飾品や陶磁器、「おもろそうし」(全22巻)などが見つかりました。その後、ペリー提督来沖から100周年にあたる1953年に米国政府代表となったデイビスから沖縄に返還されました。

この文書には、これらの経緯と捜索に関連した機関からの報告書が含まれています。中でも注目してほしいのは、米ボストン税関の調査報告書にある琉球王府の尚家に仕えた男性の証言です。
1945年3月下旬、数多くの宝物の中から、最も貴重な王冠、漆器、陶磁器、香炉、古文書、歴代国王の肖像画などが選ばれ、尚家の墓所敷地や末吉宮の祠に埋められ、隠されたことが、詳細に報告されています。「私は墓所が爆弾ではなく、人為的に荒らされたと確信している」と述べており、最後は「以上が私の記憶に基づく最後の報告である。これら文化的遺産の捜索において、米国の尽力を強く望む」と結んでいます。

米国ボストンの税関の調査報告書(1953年)

 

証言による宝物を埋めた尚家墓所の図

"A" … 正門、"B" … 側門、"C" … 側門、"D" … 側門、
"#1" … 王冠、王族の衣装、古文書が埋められた場所
"#2, #3, #4" … 宝石類、金製の髪飾り、玉類が埋められた場所
"#5" … 青銅製の祭器が埋められた場所
"#6" … 陶器が埋められた場所
"#7" … 歴代琉球国王の肖像画が埋められた場所
"#8" … 漆器類および王族の衣装が埋められた場所

 

尚寧王肖像

 

尚敬王肖像

尚圓王肖像

※これら琉球国王の肖像画(御後絵)は白黒写真で、原本は 2024年に発見され米国から沖縄県に返還されました。

 

 

龍のデザイン・黒漆・技能的(装飾品)

 

国王(上)と王妃(下)のヘアピン(簪、ジーファー)

 

 


※冒頭で説明したペリー提督来琉百年記念の式典に合わせて「おもろさうし」等の文化財が返還された時の写真です。

 左から民政副長官デビット・A・D・オグデン少将、ウィリアム・T・デイビス一等軍曹、オグデン少将補佐官ハラタ・サトル、立法院議長護得久朝章

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