企画局総務課のシリーズ「庶務及びその他の事務に関する書類」から、琉球政府職員の心得を説いた文書を紹介します。
『例規通達等 1970年』(R00005229B)には、1970年10月に琉球政府の総務局行政部人事課が作成した「職員の心得」が綴られています。そのなかからいくつかの項目を紹介します。
■「公務員の使命」の「義務意識の確立」
「よい公務員であるためには、何よりもまず自らの担当する職意を完全に果すという義務遂行の意識を高めること」
「担当する仕事の目的、内容については、もちろんのこと。さらに仕事の遂行に必要な関係法規及び手続等についてもよく理解し、これらの知識をいろいろな場合にあやまりなく、活用できるまで熟達すること」 |
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■「職員の服務」の「琉球政府職員」
「“企業は人なり”という言葉があるが、これは行政においても全く同様であり、政府行政の運営がうまくいくかどうかは一にかかつてこれをになつている政府公務員が具体的にどのように物事を考え、判断し、行動するかにあるといつても過言ではない」
「最近の社会情勢の変化は、極めてはげしく、その中で琉球政府公務員が、行政の根本理念をどのように理解し、住民の為にいかに民主的、能率的かつ公正に行政を担当するかは、民主主義の将来に関係する重大事といわざるをえないのである」 |
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■「職場の心得」の「あいさつ、応対」
「廊下や出入口等で上司や同僚に出合つた時は、心あるあいさつを(またはかるいエシヤクを)かわしましょう」
主席室、局長室などの個室や会議室などに入る際は「軽くノックをして入り」、「その他の執務中の部屋はノツクをする必要はありません」
「用談は簡単に虚礼などはやめてすぐ本題に入りましよう」 |
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この「職員の心得」では、公務員の使命、職員の服務、仕事のあり方、接遇のあり方、職場の心得と、琉球政府の職員が心得ておくべき点が全68ページにわたって述べられています。
1970年12月7日付の「職員の服務規律について(通達)」では、1972年中に本土復帰が実現する運びとなり、復帰準備が着々と進められている重大な時期において、「あらゆる面で自主、主体的に復帰に備えるため、いよいよ全体の奉仕者としての職員の一層の奮起を促すとともに、服務の厳正が要請される」として、「別添、職員の心得の周知徹底を計つてもらいたい」とあります。 |
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時代と社会の大きな変化の波のなかで、「全体の奉仕者」としての琉球政府職員の「奮起を促す」ため、その心得をあらためて周知徹底する必要があったようです。