メジロを愛でる
農林局北部営林署の「鳥獣飼養許可申請書」と「鳥獣捕獲許可申請書」を紹介します。
これらの申請書は、鳥を飼ったり捕まえたりするための許可を求めたものですが、そこで一番の人気を博しているのがメジロです。現在でも、メジロは大宜味村や名護市のシンボルに制定されているほど沖縄と縁が深いようですが、琉球政府の時代にも多くの人々に愛されたようです。
飼いたいのはメジロ
1972年度の『鳥獣飼養許可申請書』(R00060818B)には、37人分の申請書が綴られており、飼おうとする鳥の種類や数、目的、期間などがそれぞれ記載されています。
飼養しようとする鳥獣の種類としては、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイスなども記載されていますが、申請者37人全員に共通しているのがメジロです。ほとんどの人が2羽以上で申請しています。
「飼養目的」としては、販売目的で小鳥商が申請している例もありますが、他はすべて「愛玩用」となっています。また、申請者の職業は、商業、会社員、コック、農業などと様々で、なかには「小学校6年生」との記載もみられます。
小学生がメジロを飼いたくて自ら申請していたことは、驚きです。
鳥獣保護及び狩猟に関する立法
「鳥獣飼養許可申請書」は、「鳥獣保護及び狩猟に関する立法」に基いて申請されました。
もともと1953年に公布された「狩猟法」が、何度かの改正を経た後に、1968年に「鳥獣保護及び狩猟に関する立法」の名称になりました。
その第一条では、「鳥獣保護事業を実施し、及び狩猟を適正化することにより鳥獣の保護繁殖、有害鳥獣の駆除及び危険の予防を図り、もつて生活環境の改善及び農林水産業の振興に資すること」と、立法の目的が謳われています。 |
第14条「飼養許可証」では、行政主席が「飼養許可証」を発行することとなっており、先に紹介した「飼養許可申請書」も行政主席に宛てたものとなっていました。
「飼養許可証」の発行者は、1953年の公布時には警察隊長であったものが、1958年の改正で本部長、1964年の改正で警察局長となり、さらに1968年の改正で行政主席となりました。
『狩猟法 立法 規則 し-070』(R00160762B) |
メジロを捕りに行く
現在の沖縄県では、愛玩目的の鳥獣の捕獲は許可されなくなりましたが、この当時は、許可を受ければ捕獲ができました。
1972年度の『鳥獣捕獲許可申請書』(R00060816B)には、12名分の申請書が綴られています。
「捕獲の種類」の欄には、やはり全員がメジロと記載しています。「捕獲の目的」も、「販売用」はわずかで、ほとんどは「愛玩用」です。また、「猟具」の欄から、捕獲には「落としかご」や「鳥かご」が使われていたことがわかります。
申請書には「位置図」が添付されており、それによると、捕獲地域は、名護市、旧羽地村、本部半島といった北部一帯となっています。
現在、大宜味村や名護市のシンボルとなっているメジロですが、この当時から捕獲地域としては北部一帯が多く、沖縄のなかでも特に北部との縁が深いようです。