布告・布令・指令等(2)住民の行政機構の設置
総務局渉外広報部 文書課「布告・布令・指令等に関する書類」から、琉球政府やその前身機関の設置根拠となった文書を紹介します。
<沖縄民政府>
1946年4月、海軍軍政府指令第156号「沖縄中央政府の創設」に基づき、軍政府の諮問機関として前年8月に発足していた沖縄諮詢会が再編され、沖縄民政府が設立されました。沖縄民政府は、沖縄群島における住民側の最高執行機関と位置づけられますが、軍政府副長官の監督のもとにありました。
海軍軍政府指令第156号「沖縄中央政府の創設」(1946.4.22) 資料コード: RDAP000002
<群島政府>
1950年8月、軍政府布令第22号「群島政府機構に関する法」により、奄美・沖縄・宮古・八重山の各群島に設置されていた沖縄民政府等が、四つの群島政府に再編されることになりました。群島政府の知事および議会議員は公選が認められ、沖縄民政府時代の任命制に比べて住民の「自治」が進展します。しかし、琉球全体に関わることや司法および群島間の事務など、軍政府が管轄する事項は取り扱うことができませんでした。
軍政府布令第22号「群島政府機構に関する法」(1950.8.4) 資料コード: RDAP000027
※この布令は「群島政府組織法」とも訳されますが、右画像の日本語訳は「群島政府機構に関する法」となっています。
<琉球臨時中央政府>
1951年4月、米国民政府布告第3号「臨時中央政府の設立」によって、恒久的な中央政府機関が樹立されるまでの暫定措置として、立法・司法・行政機関を備えた琉球臨時中央政府が各群島政府と並行して設立されました。群島政府では知事や議会議員の公選が認められていたのに対し、琉球臨時中央政府の主席や立法院参議は米国民政府による任命制となりました。また、臨時中央政府が制定した法の拒否権を米国民政府がもつなど、その権限は限られたものでした。
米国民政府布告第3号「臨時中央政府の設立」(1951.4.1) 資料コード: RDAP000033
<琉球政府>
1952年2月29日、米国民政府布告第13号「琉球政府の設立」が公布され、琉球列島全域を管轄する琉球政府が同年4月1日に設立されました。琉球政府は、司法・立法・行政の三権が分立した一国並みの政府でありながらも、「琉球列島米国民政府の布告、布令及び指令に従う」とされていました。立法院議員の公選は認められたものの、行政主席は任命制とされたため、その後、行政主席の公選を求める動きが強まります(1968年に公選制となります)。
米国民政府布告第13号「琉球政府の設立」(1952.2.29) 資料コード: RDAP000033
また、琉球政府の組織及び運営や、住民の地位や権利義務などについては、米国民政府布令第68号「琉球政府章典」に定められています。
米国民政府布令第68号「琉球政府章典」(1952.2.29) 資料コード: RDAP000028