沖縄県公文書館 復帰50周年企画展

軍用地政策の変遷

§4-3

公用地暫定使用法による強制使用

沖縄の復帰を目前に控えた日本政府は、沖縄返還協定で決まった米軍基地の継続使用を実現するため、軍用地所有者との賃貸借契約を急ぐ一方で「公用地暫定使用法」を制定し、返還の日から5年間、契約に応じない土地の使用権を所有者の同意なく強制的に取得できるようにしました。

復帰時、軍用地内の民公有地は約186K㎡で、うち約45K㎡(約24%)は、所有者の合意が得られず同法が適用されました。その後、日本政府は「地籍明確化法」において5年の使用期限を10年に延長し、さらに10年後の82年には、本土と同様に駐留軍用地特措法を適用して軍用地を確保しました。

 

軍用地関係地主が求めた復帰対策

資料㉑ 復帰対策関係資料

日本政府の復帰対策要綱について、琉球政府法務局が軍用地関係についての要望等をまとめた簿冊。沖縄市町村軍用地地主会連合会や日本弁護士連合会等の提案が含まれる。

作成:琉球政府法務局民事部土地業務課、1971

資料コード:R00024411B

「軍用地に関する復帰対策事項」

1970年9月25日付で沖縄市町村軍用地地主会連合会が作成したもの。琉球政府法務局は、「軍用地問題の措置いかんは約四万人の関係地主に直接関係する」とし、同連合会に意見を求めた。これを受け同連合会が17項目の対策を要請した文書。展示頁に続き、未解決の土地裁判所訴願事案、黙認耕作地の地料・使用権、国家総動員法により買収された国有地の返還等の対策を要請している。

 

公用地暫定使用法案の問題点

資料㉒ 野呂防衛政務次官に対する意見書

沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律案について、琉球政府が日本政府の野呂防衛政務次官に対して提出した意見書。

作成:琉球政府法務局民事部土地業務課、19711020

資料コード:R00024412B

「沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律案について」

琉球政府はこの日本政府の法律案に対し、「沖縄の軍用地の使用権を強制収用できる」、「本土と異なる制度を沖縄に押しつけるもの」として反対の意思を示している。この他、憲法及び法律上の問題点も指摘している。

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