戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年07月30日 
(昭和26年)
会議名
第9回沖縄群島議会(臨時会)第一部委員会 1951年7月30日
議事録
第九回沖縄群島議会
  第一部常任委員会議事録
 一九五一年七月三十日
        於政府工務部
  午前十時半開会
○委員長(石原昌淳君) 委員会開会に先立ち一言御挨拶申上げます。
 今回第一部常任委員会委員長として不肖私が選ばれ本日から、その職務を行うことになったのでありますが、この第一部委員会の所管事項は財政、経済、工務と何れも重要な部門で殊に現在の復興期、転換期に際しまして如何にしてこの重責を果し得るかを心配しているのであります。私もとより微力ではありまするが皆様の御協力を得まして最善をつくして行きたいと思ふのであります。何卒宜しく御協力下されんことをお願いして御挨拶に替える次第であります。
○委員長(石原昌淳君) 只今から第一部常任委員会を開会致します。出席八名、欠席二名であります。
 本日の議事日程についてお諮り致します。先ず第一に沖縄群島道路損傷負担金徴収条例案、それから市町村財政調整交付金条例案、現行税法改正案、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算案の順序で行きたいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
 議事進行についてお諮り致します。一応休会の上当局の説明を聴いてから本会議に移りたいと思いますが如何ですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。休会致します。
  (午前十時四十分休会)

  (午前十一時具志頭得助君入場)

  (午前十一時半開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。議案第六十九号沖縄群島道路損傷負担金徴収条例案を議題と致し質疑に入ります。
○祖根宗春君 標題は道路使用分担金徴収条例とした方がよいと思ふがどうか。
○工務副部長(西銘順治君) これは道路の損傷に対して費用の一部を負担させるのであって使用料の性質ではない。
○祖根宗春君 この負担金は第五回議会に諮問された自動車税法として議会の答申に依り軍へ提出したものがけられたからこの条例に置きかえられたものだと思うが、その理由を承りたい。
○財政副部長(久場政彦君) 軍の意向は今回の現行税法改正案のプリントにもあります通り、警察部で登録手数料を徴収しているから、それと一緒に徴収しなさい、同一の物件に対して手数料もとり、又税も取るというよりは一つに纏めてとれというのであります。
○委員長(石原昌淳君) 第一条の原案は道路条例第三十四条にその根拠を求めているが、これは群島組織法によらしむか、又は組織法と道路条例との両方にその根拠を求むべきと思ふがどうか。
○工務副部長(西銘順治君) 道路条例は組織法によって出来たものであり、道路条例にはっきり謳われている以上道路条例第三十四条によるべきだと考えます。
○委員長(石原昌淳君) この負担金を滞納した場合、強制徴収の方法があるか。民事手続きで行くのか、滞納処分の方法で行くのか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 組織法第百四十九条の規定を適用致します。
○委員長(石原昌淳君) 群島組織法第百四十一条は受益者の分担金賦課徴収規定であり、本案の道路損傷に因る負担金の賦課徴収規定は組織法に見当らない。而して群島の強制的に収入し得るものとしては組織法第二節収入の規定に限られるものと解せらる。そうなった場合、道路条例第三十四条に規定する事項の根拠は組織法の何れの条文に因るものであるか。お互十分研究を要する問題だと思はれますので、本案は明日迄研究することに致します。
 中食時間ですからこれで休会致し午後一時から再開致します。
  (午前十一時五十分休会)

  (午後一時開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎは議案第六十七号沖縄群島市町村財政調整交付金条例案を議題と致します。本議題の質疑に入りますが逐条的に質疑を行うことに致します。
 先ず第一条につきまして質問がありましたらどうぞ。
○祖根宗春君 標題でありますが財政調整交付金というよりは日本の様に平衡交付金にしては。
○財政副部長(久場政彦君) 日本の平衡交付金とは性質が違いますので矢張財政調整交付金の方がよいと思います。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」第一条朗読)
○委員長(石原昌淳君) 第一条は何だかごてごてしている。もっと簡潔にできないものか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 日本の法律でもこういう風に謳われており、まわりくどい様ですが、行政権を執行する権能を阻害しない様特に具体的に謳ったのであります。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎ第二条に移ります。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」第二条朗読)
○財政副部長(久場政彦君) 第二条は用語の説明となっております。
○委員長(石原昌淳君) 第三条に移ります。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」第三条朗読)
○祖根宗春君 第一項の終りから三行目の「一部を補填するため」とあるが財政部当局としてはどれ位の%を予定しているか。
○財政副部長(久場政彦君) この条例に規定する交付金は日本の平衡交付金とは性質が違います。これはあくまでも一部を補填する財政調整交付金となっており、市町村財政需要額に対する財政収入額の不足額を算定して群島政府の交付金予算額を基準として%を決めるので今の所どれ位の%になるか予想はつきません。
○祖根宗春君 第三項ではその後段で使途を制限してはならないとなっているが報告もなにも要らないのか。
○財政副部長(久場政彦君) そうです。あくまでも市町村自治の本旨を尊重して条件をつけたりしないのであります。
○委員長(石原昌淳君) 進行します。第四条、第五条に移ります。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」第四条、第五条朗読)
○委員長(石原昌淳君) 第五条の交付金の算定については基準町村から取った資料をその儘採用されるのか、測定単位の比重について検討を加えられるのかどうか、これは基準町村が正当に予算を計上して居れば兎角だが、これについて当局の御見解はどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 第十五条の交付金運営委員会で適当に調整したい。
○平良幸市君 提出資料につきましては市町村提出の資料のみを採用しないで群島政府関係各部門からも資料をとって比較対照してやって貰いたい。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 今回が始めてであり能う限り慎重を期する様に致します。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎ第六条、第七条、第八条、第九条に移ります。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」第六条、第七条、第八条、第九条朗読)
○祖根宗春君 第八条と第三条第二項とは重複する様な気がしますがどうか。
○財政副部長(久場政彦君) 第三条では運営の基本を謳っており、第八条は交付金の額の算定についての規定であり、その通りでよいと思います。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。第十条に移ります。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」第十条朗読)
○祖根宗春君 教育費については市町村の予算に表はれない所の学校後援会の費用なども市町村民の負担となっており、この後援会の費用は第十条の教育費の中に織込むべきだと思いますがどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 御説の通り後援会から出て居る額も相当なものと思はれます。今その方の資料も集めており文教部とも連絡を取りまして、できる丈考慮する積りです。
○山川宗道君 第五項教育費中3の幼稚園費についてですが、現在市町村で幼稚園費を計上しておる所はどれ位あるか。
○地方財務課長(渡口麗秀君) 二、三ケ所でその外に部落で幼稚園費を出しているのが五、六ケ所あります。
○委員長(石原昌淳君) 幼稚園費については半数は町村予算で経営し半数はやってない。そこで、この幼稚園費を測定単位に織込むのは当を得てないと思ふ。幼稚園を持っている市町村はその分の交付金を貰い、幼稚園を持ってない市町村は貰えないということは画一性を欠き本条例の趣旨に沿はないではないか。やるなら全部にやり、やらなければ全部にやらないというどっちか一つにすべきではないか。
○財政副部長(久場政彦君) これは教育的見地から致しまして市町村費で賄ひ運営すべきだと思ふが、市町村財政との都合もあり幼稚園を持っている市町村もあり持ってないのもある。又中には財政の苦しい中から苦心して経営して居る町村もあり、こういう市町村に対してこの分の交付金をやらないというのもまづいと思います。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 本条例の趣旨から致しまして、委員長の言われる通りであるが、幼稚園経費を持っていながらこれを入れないのも又をかしい。今回はこれでやって、交付金運営委員会がありまするし十分慎重を期して行きたい。運営委員会の構成は議会から五人、市町村長会から五人、財政部長と地方財務課長でやって行かうと考えて居ります。
○委員長(石原昌淳君) それでは原案通りと致しませう。
○仲村栄春君 七号の勧業費の1の農業費の測定単位は耕地面積丈となっているが、農家戸数も入れなければならんと思ひますがどうか。
○地方財務課長(渡口麗秀君)御意見はよく分りますが、耕地面積、農家戸数両方になりますと又両方の比率を如何様にするかが問題となって来ましてややこしくなります。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎは第十一条、第十二条、第十三条、第十四条、第十五条を一括致します。
  (地方財務課長「渡口麗秀君」 第十一条、第十二条、第十三条、第十四条、第十五条朗読)
  (「質問なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 本条例案は第一条から第十五条迄一通り質疑を終了致しました。討論に移ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って議案第六十七号は原案通り可決致します。
 本日はこれで散会致し明日午前十時委員会を開催致します。
  午後四時散会

第九回沖縄群島議会
  第一部常任委員会議事録
 一九五一年七月三十一日
        於政府会議室
  午前十時四十分開会
○委員長(石原昌淳君) 只今から第一部常任委員会を開会致します。本日の出席七人、欠席三人であります。
○委員長(石原昌淳君) 現行税法改正案についての諮問第九号を議題と致します。質疑に入ります前に財政部長から発言を求められて居りますので之を許します。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 本諮問中サービス税の方の項目におきまして、第二種の10の旅人宿業の括弧内で「財政部長の指定するもの」となっており、又第三種15では矢張旅人宿業で「第二種の指定以外のもの」となっていますが、これは財政部長にその権限を持たすのは当を得てないし、又軍の示唆もあります関係で寧ろこれは一括致したい。そこで第三種の旅人宿業を削除して第二種の方に一括した方がよいと思いますので委員会として本諮問に対する答申についてはそういう風に希望意見を添えて貰いたいと思います。
○委員長(石原昌淳君) 軍から指示の文書を一応朗読致させます。
  (主税歳入課長「仲村毅一君」朗読)
○委員長(石原昌淳君) 本議題の質疑に入ります。
○祖根宗春君 議会が慎重審議の上決定したものが不承認になった箇所が相当あり、何だか議決が無意味な気がする。軍は税率を引上げるのは喜ぶが下げる方は喜ばない様に思ふ。こういったのは当局が軍に対する説明が足りないからではないか。例えば所得税法の改正の如きについて……
  (午前十一時具志頭得助君、長浜宗安君入場)
○財政副部長(久場政彦君) 私達の方では色々出来る丈の説明をやっているのでありますが、所得税法の改正について税率の引下げなどで引下げることに依り、徴収成績の向上を図り増収することが出来るんだと説明しても軍では国民所得に対する税負担の比率を日本、アメリカ等の比率に比較して沖縄が非常に低いのに更に引下げるのはおかしいではないか、引下げる程財源に余裕があるとすれば補助金を減額してもよいかということで、中々六ケ敷いことをいうので困って仕舞う。兎角できる丈の努力は致して居るのであります。
○祖根宗春君 この軍の指示を議会が承認すれば、軍は府(布カ)令を廃止して群島税法として群島に移管する意思があるかどうか。
○財政副部長(久場政彦君) 軍の指示で府(布カ)令を廃止して群島条例でできる様な措置を取ると謳われております。
○委員長(石原昌淳君) 此の3項、4項は三項、四項だらうと思いますがどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) そうです。誤字です。
○委員長(石原昌淳君) この三項に謳われておる群島条例とは軍府(布カ)令によるものであるか、或は群島条例としてできるという意味ですか。
○財政副部長(久場政彦君) 沖縄群島集成税法といった様なもので将来は群島条例に変って行くべきと解します。
○委員長(石原昌淳君) 審議は逐条的に行なった方がよいと思いますので、先づ第二項のA所得税法改正から質問がありましたらどうぞ質問して下さい。
  (質問者なし)
○委員長(石原昌淳君) 次ぎ法人税法改正に移ります。質問はありませんか。
  (「質問なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 進行します。Cの酒税法改正に移ります。
○崎山起松君 酒造免許手数料は最初一万円から三千円に引下げることになっていたが不承認になったが、これは業者の保護育成の上からして当初の計画通り引下げて貰いたい。御考慮を願います。
○主税歳入課長(仲村毅一君) そうなると又軍にたてついてむし返す結果となり工合悪いではないか、矢張り今回はこの通りにして後日改めて申請をした方がよいと思います。
○祖根宗春君 酒造免許手数料は外の免許手数料と同じ様に企業免許事務所の所管に移してはどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 考慮致しませう。
○委員長(石原昌淳君) Dの娯楽税法の改正に移ります。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎはサービス税法改正に移ります。
○祖根宗春君 サービス税の廃止或は税率の引下げはしたが反対に料金を上げて居るのは遺憾に思ふ。例えば理髪業者の料金値上げや飲食店の五〇円以下の免税点の設定の如き。
○財政副部長(久場政彦君) この方は非常に悩んでおります。議会の方でも善処方をお願い致します。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 先程もお話申上げた通りサービス税中旅人宿業の二種、三種を二種に一括して頂く様考慮願います。
○委員長(石原昌淳君) 中食時間でありますので中食にして午後一時から再開致します。
 休会致します。
  (十二時十五分休会)

  (午後一時開会)
○委員長(石原昌淳君) 午前に引続き開会致します。
○委員長(石原昌淳君) 諮問第九号に対する委員会としての答申案についてでありますが、軍の指示は承認することにして特に早急善処方の希望事項を附加えた方がよいと思いますがどうか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) それでは暫時休会致しまして委員長の方で答申案を起草することに致します。
 休会致します。
  (一時五分休会)

  (一時二十五分開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
 委員長の方で調製致しました答申案を読み上げて見ます。
  (委員長「石原昌淳君」答申案朗読)

    答 申 案
答申第九号
  現行税法改正について
一九五一年七月二十六日付諮問第九号首題の件については米国民政府指示(一九五一年六月二十一日付知事宛覚書番号四一二一号及びその後の追加関連文書)の通り承認する。
特に左記事項について知事は速かに之が善処方取計われたい。
右第九回沖縄群島議会の議決により茲に答申する。
 一九五一年八月二日
  沖縄群島議会議長 知花高直
沖縄群島知事 平良辰雄殿
    記
一、サービス税法改正案
 サービス業種表の改正
  第二章のサービス業種表を左の通り一部を改廃す。
   ロ、第二種の10 旅人宿業「財政部長が指定するもの」の括弧内を削除する。
   ハ、第三種の15 旅人宿業「第二種で指定されたものを除く」を削除し第二種の10に統合する。
二、所得税法改正について
 所得税の税率の変更、基礎控除の引上げ、特別控除の設定等について軍に対し具体的理由を説明し更に折衝を重ね、これが改正方に付善処せられたい。
三、特別商品税条例制定について特別商品税条例制定については今回軍より不承認となつたが、これは群島政府が復興上の諸事業を遂行して行く上に必要な財源と思われるから是非群島税として確保される様折衝方考慮せられたい。
          (終)

○委員長(石原昌淳君) 只今読上げました答申案について御異議ありませんか。
○祖根宗春君 只今の答申案の希望事項は特にサービス税、所得税、特別商品税のみとなっているが寧ろ抽象的に第五回議会で議決した税法改正案の趣旨を尊重して貰いたいと附記した方がよいと思いますが。
○崎山起松君 私は今回不承認になった事項を全部附記とした方がよいと思います。
○委員長(石原昌淳君) 暫時休会致します。
  (一時三十分休会)

  (一時四十分開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
 休会中に色々審議したのであるが意見がまちまちで纏まりがつきませんので表決に付します。
○委員長(石原昌淳君) 本諮問に対する答申案に希望事項を附記することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者多数)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。
○委員長(石原昌淳君) それでは、その附記事項を抽象的に記載することに賛成の方の挙手を求めます。
  {挙手者三人(崎山、祖根、平良各委員)}
〇委員長(石原昌淳君) 挙手者三人であります。次ぎは附記の希望事項を重点的に取り上げサービス税、所得税、特別商品税の三点として先刻読み上げました通り記載することに賛成の方の挙手を求めます。
  {挙手者四人(仲村、具志頭、山川、長浜各委員)}
〇委員長(石原昌淳君) 挙手者四人であります。
 多数であります。依って本諮問に対する答申案は先刻委員長が読上げました通りに可決致します。

○委員長(石原昌淳君) 次ぎは昨日審議未了となっておりまする沖縄群島道路損傷負担金徴収条例案について議案第六十九号を議題と致します。本案は組織法と道路条例の解釈についてもう少し研究をしたいと思いますので一応休会致します。
  (午後二時休会)

  (午後二時三十分開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
 先刻休会中に色々論議しつくされまして結局本条例は群島組織法第三十七条に根拠をおいて制定せられた沖縄群島道路条例第三十四条に依って制定して何等差支えない。又昨日来論議されました公聴会を開くべきか、開かなくてもよいかの問題は道路損傷負担金が組織法第百四十一条の受益者分担の性質を帯びるものでなく、原因者負担であり第百四十一条に依らなくてもよい。随って公聴会を開かなくてもよいという結論を見出したのでありますが、前に新聞で報道されている問題であり、法に依る義務付けられた公聴会でなく任意の公聴会を開くべきかどうかをお諮り致します。
○平良幸市君 法的根拠がなく、はっきりしている以上は公聴会は開かなくてもよいと思う。
○仲村栄春君 公聴会を開かなければならないという法的根拠がないとすれば何も公聴会は開かなくてもいいぢゃないか。後に例を残すということも考えねばならぬし。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) それでは公聴会は開かないことに致します。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 本案は昨日質疑を終了致しましたので討論に入ります。原案に御異議はありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って議案第六十九号原案通り可決致します。

○委員長(石原昌淳君) 次ぎは一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について議案第六十二号を議題と致します。先づ歳出の方から審議を進めて行きたいと思います。
 経済部長が外出の用件があるので経済部関係予算の方を先に御審議願いたいとの申出でがありますので経済部関係歳出の方を先に審議することに致します。一応休会の上質疑を行ひ後で本会議に移ります。休会致します。
  (午後三時休会)

  (午後五時十分開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
 委員会開催日は本日迄となって居りまするが予算案が審査未了となり後一日は委員会を続行致さねばならんと思いますので明日の全員協議会において議長ともよく相談致しまして会期を延長して貰って明日引続き委員会を続行致す積りでありまするから左様御了承願います。本日は長時間に亘り誠に御苦労でした。ではこれで散会致します。
  午後五時十五分散会

第九回沖縄群島議会(臨時会)
  第一部委員会議事録
 一九五一年八月一日(水)
        於政府会議室
  午前十時三十五分開会
○委員長(石原昌淳君) 只今から第一部委員会を開きます。本日の出席九人、欠席一人であります。
 一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算案議案第六十二号を議題と致しその質疑に入りますが、議事の進め方につきましてお諮り致します。歳出の方から各部別に順を逐うて質疑を致したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。歳出経常部第一部群島議会費につきまして御質問はありませんか。
○長浜宗安君 人件費の減は如何なる理由に依るものか。
○書記長(新垣良正君) 当初予算編成当時、議会事務室に三輪車一台を購入すべく所要経費と、これに伴ふ運転手一人の費用を要求しましたが、三輪車購入は財源の都合で見合わせることになりましたが運転手の給料予算額はその儘認められ当初予算に計上その額は二万八手余円となって居りますが今回これは不用となりました関係上職員の増俸に振向けられ残余の不用額は減額することになったためであります。
○議長(知花高直君) 当局にお願い致しまするが、議会事務室の職員は現在手不足であり相当苦労して居ります。又軍からの指示に依って委員会中心で行くことになりますると勢い色々な調査研究資料の蒐集もなさねばなりません。そこで現状の儘ではいけないので、本年度予算では財源の都合でできないとすれば来年度からでも何とか増員強化して貰う様特に御配慮願います。
○財政部長(仲宗根秀俊君) おつしやる通り吾々も痛感して居り、職員が少いため苦労の程は十分分ります。思いきった活動も望めないことも十分承知致して居ります。財政の許す限り善処する積りであります。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎ第二部知事室事務局費に移ります。
○平良幸市君 項にも目にも雑費があるが交際費以外の雑費は例えばどういうものであるか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 交際費以外に例えば知事賞の様なもの、その他これに類するものを支出する費用となって居ります。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎ第三部に移ります。
  (質問者なし)
○委員長(石原昌淳君) 御質問がない様ですから進行致し、次ぎは第四部に移ります。
○祖根宗春君 企業免許事務所の人件費の増でありますが、これは職員定数条例の改正に関連したものと思はれますが、その増員の理由はどうか。
○総務副部長(稲嶺成珍君) 企業免許事務は近時業者の増加に伴いまして輻湊して居りまして現在の人員では内務事務のみに追われる状態であり、無免許取締りの面に当ることもできないのであります。それで今回三名を増員致しまして無免許取締りの面即ち外勤の方に向けたいと思ふのであります。
○祖根宗春君 公務災害補償費予算は三〇万円計上されているのであるが、警察部の方では該当警官数名に及んでいる様に承っております。然しこれの支給条例がまだできていないので、その支給を受けてないそうであります。この関係支給条例案は警察部の方から起案して総務部の方に廻してあると聞きましたがどうなっておりますか。可及的速かに関係規定(程カ)を設けて早く処理して貰える様にして頂きたい。
○人事課長(比嘉幸安君) この条例案につきましては今審議検討を致しているのであります。早急に成案を得て御趣旨に沿ふ様に致します。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎは第五部財政部に移ります。
○祖根宗春君 納税奨励金の使途はどうなっているか。
○主税歳入課長(仲村毅一君) これは税務署における春秋二回の税務懇談会及納税成績優良なる市町村並びに部落に対する奨励金に充てるのであります。
○平良幸市君 第五項の調査研究費の不用になったのはどういう理由か。
○財政部長(仲宗根秀俊君) これは地方財務課で従来毎月市町村の財務研究会をやっており、その時の茶菓子代を計上していたのであるが、毎月のことであり、これを出すのはどうかと思って茶菓子代を止めたためであります。
○平良幸市君 諸税徴収交付金についてですが、市町村では群島政府から貰う交付金と徴税に要する諸経費と一杯一杯で所要経費より少い場合もままある様ですが、その算定の根拠について承りたい。それから市町村からの報告は旬報となって毎月三回報告する様になっているが、之は月一回報告にして貰えんもんかどうか。これは又税務署の指示であるかどうか。
○主税歳入課長(仲村毅一君) 諸税徴収交付金の算定基礎は令書一枚について五〇銭、徴収金額に対する千分の四十となっております。戦前は諸用紙類も総て市町村で購入してやっていたが、現在用紙類は政府から交付しているのであります。それから旬報は軍に報告する都合もあって軍の指示に依るものであります。
○祖根宗春君 市町村の徴収した金は従来銀行払込みであったが、今は税務署に払込むことになっている。これはどういうわけか。
○主税歳入課長(仲村毅一君) これは軍の指示に依るものであります。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎ第六部経済部に移ります。
○祖根宗春君 製塩業、硝子製造業、味噌醤油製造業等、農水生産工業者に対する補助育成について当局の方針を承りたい。
○経済部長(呉我春信君) 現在協同組合法ができて居り、組合を主体と致しまして、各業者には復金を利用して貰う様に、そういう面で運営をして行く方針であります。
○山川宗道君 水産費の海綿増殖補助費は業者に補助するのですか。
○経済部長(呉我春信君) 組合単位で補助する積りであります。
○崎山起松君 農産物検査所、度量衡検定所が別々になっているが、これは群島政府内一ケ所に事務所を置いた方がよいと思うがどうか。
○経済部長(呉我春信君) 群島政府も現在非常に狭隘でどうしても一ケ所に纏めることはできない状態であります。最近試験場もその移動を命ぜられて、今弱っておる所であります。
○祖根宗春君 監視船は止めて本部の海洋高等学校に練習船を一隻購入してやった方がよいと思う。
○山川宗道君 水難救済について戦前みた様に救済会を設立して水難予防、救済の対策はどうなっているか。
○経済部長(呉我春信君) そのことについては今回の予算に計上してあります。こちらの計画と致しましては船主を対象とする救済会を作り、政府からこの救済会に補助する様に致したい。斯様に考えております。
○委員長(石原昌淳君) 工業振興について伺ひます。
 現在沖縄での工業面は萎靡沈滞しており、工業試験場は現在琉大で処理されておりまして群島で思う様にならない。何といっても技術面の向上を図ることが最も必要でありまして、どうしても群島でも工業試験場を持つべきだと私は考えているが、これに対する当局の見解はどうか。今人材の面でも非常に困っており、工高の如きも所在もはっきりしないといった有様である。これはもっと大きく発展せしむべきだと思うが、これについての当局の見解はどうか。
○経済部長(呉我春信君) 工業指導所の設置は沖縄自立経済の綜合三ケ年計画の中に入れてあったが、今度は予算の都合でこれが実現はできないが、来年は是非実現を期したい。工業面の維持育成につきましては中央政府の金融面の操作によって解決して行きたいと考えております。尚工高の設備の不備、技術の幼稚であることはお説の通りであります。御趣旨に沿ふ様善処致したいと考えております。
○祖根宗春君 自立経済計画についてはその後何の話もないが、その後の進捗状況はどうか。
○経済部長(呉我春信君) 資金面でおもわしくないので弱っておりますが、現在あの計画の線に沿うて進みつつあることを御了承願いたい。
○山川宗道君 獣医師の養成について善処方を要望致します。
○経済部長(呉我春信君) この問題は現在農林省において約一四〇万位の予算で獣医師の養成を考えております。
○議長(知花高直君) 現在獣医師が少いので農村では非常に困っております。当局の善処方を強く要望致します。
○祖根宗春君 黒砂糖の生産価格維持の問題について政策的な経済部の方針を承りたい。
○経済部長(呉我春信君) 沖縄の黒砂糖は何と申しましても日本以外にその販路は見出せないのであります。戦前は七五万丁程度出しておったが、日本の市場の状況も十分知られてない。各国からどんどん輸入されて居る模様で、その値段も十分研究致しましてから処理致したいと考えております。
○仲村栄春君 先日の新聞に発表されていた黒砂糖、海人草の不純物混入の問題は沖縄の輸出産業を阻害するもので誠に遺憾に堪えない。経済部はこの問題について調査されたか。又今後の対策について承りたい。
○経済部長(呉我春信君) 今調査中でありますが、一部不心得者のために相手の信用を失はしめ輸出産業を阻害する結果となるのはお説の通り誠に遺憾に思うのであります。これが対策については今検査条例を立案中でありまして、次ぎの議会に提案致す積りであります。
 今後十分善処致します。
○委員長(石原昌淳君) 中食時間でありますので午前はこれで休会致しまして、午後一時から引続き質疑を続行致します。
  (十二時五分休会)

  (午後一時開会)
○委員長(石原昌淳君) 午前に引続き開会致します。
○山川宗道君 移植民奨励費の使途は群島政府直営で之を執行するか、或は海外協会に補助してやるのか。
○経済部長(呉我春信君) これは海外協会に補助をしてやることに致します。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎは工務部に移ります。
○平良幸市君 モータープールは那覇のモータープールの分ですか。二八名の人員は職員丈ですか。それから現在の車輛数はいくらか。
○工務副部長(西銘順治君) 那覇のモータープールであります。二八名は職員です。車輛数はダンプカー四三台、ブルドーザー三〇台、計七三台となっております。
○平良幸市君 各部に亘って自動車修理費が計上されており、之をかき集めると約二〇〇万円位になるが、これは一括して工務部で経理、配車、修理をなせば経費が相当節約できると思うがどうか。
○工務副部長(西銘順治君) 工務部と致しましては、工務部に一括して修理、配車をやりたいと前から主張しているのでありますが、各部がゆづらなかったのであります。来年度から実現すべく努力致します。
○平良幸市君 自動車修理のみでなく政府各部の需要費即ち備品、消耗品費についても、財政部で一括運営すべきだということを本員は前から主張しているのであるが、これに対する当局の御見解を承りたい。人件費の節減、一括購入に依る節約ができると思うがどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 私は就任以来お説の通り一括経理を主張致しまして、即ち元の県庁式に用度課を設けて、そこで一括購入し各部に対して受払簿で経理をやって行くのでなければならないと考えたのでありますが、物資不足の現状では物をさがすには各部各部の方がよいというのでその儘になっております。何といってもお説の通り物資の乱用が防げるし、又経費の節約にもなると思いますので、政府内に用度課を新設して一括経理する様に努力致す積りであります。
○平良幸市君 来年度からは是非そういう様にして若し予算面で一括できなければ経理の方丈でもよいから一括経理できる様善処して貰いたい。
○祖根宗春君 離島航路の補助金額は今回取上げて予算に計上して貰ったことは吾々離島民にとって実に有難いが、戦前の補助金に比較致しまするに未だ僅少である。尠くとも倍額の三百万円は出すべきだと考えて居りますがどうか。
○工務副部長(西銘順治君) 吾々もこれで十分とは考えてないが政府財源の都合もありますので今回はこれで我慢しなければならないと思うのであります。
○山川宗道君 町村内に離島を持つ町村は今オミットされているが、来年度からはそういった町村に対しても御配慮願いたい。
○工務副部長(西銘順治君) 御趣旨に沿う様善処致します。
○祖根宗春君 附記の各離島村の交付割当額はその村の実情に即して各村間の公平を期して交付すべきだと思う。戦前久米島は三〇〇噸級の船が就航しており航路組合に年額二六、〇〇〇円の補助があったのであります。それで補助金の算定については戦前戦後の各種資料に依り十分調査検討を加えて算定すべきである。又補助金の対象は船にやるか町村にやるか、そういった事も十分研究しなければならない。できれば条例を作って一定の基礎に基いて交付すべきだと考えるが、それに対する当局の見解はどうか。
○工務副部長(西銘順治君) 補助金算定についてはお説の通り一定の基礎を持つべきだと考えます。私等としては府令でなければ条例でやる様に考えております。尚補助金の対象は市町村の指定する航路業者に補助致したいと考えております。
○委員長(石原昌淳君) 私は市町村を補助の対象とすべきが至当だと思う。
○祖根宗春君 補助金予算計上額の一五〇万円は承認するが、附記の内容内訳は保留して貰いたい。
○工務副部長(西銘順治君) この内訳は固執するものではありません。
○祖根宗春君 補助金算定については適当な委員会を設けて金額の審査をすべきだと思います。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎ、文教部に移ります。
○山川宗道君 船舶修繕費として三〇万円計上されているが、これはどういうものか。
○文教副部長(仲宗根政善君) これは、没収船を修理して本部の海洋高等学校の実習船にすべく、その修理費を計上致したのであります。
○山川宗道君 没収船は今迄の例から致しますると大体において船主にかえっております。それよりは寧ろ新造船を購入してやったらどうですか。
○文教部長(屋良朝苗君) 財源が許せばお説の通新造船購入の方がよいと思います。
○山川宗道君 最近与那原署で抑えられ裁判の結果、没収と判決され、来る八月三十日セリ売りと決定された船を軍の内諾を得て購入することになっているが、此の船は昨年ガリオア資金で購入されたもので最も優秀船で中々入手し難い船であり、値段は大体百一万円の様であります。他の没収船を修理して使用するよりはこの新造船を購入した方が遙かによいと思います。今回この追加予算を修正してでも所要経費を計上して購入の上、海洋高等学校の練習船に充てたらと思って居りますがどうでせう。
○長浜宗安君 絶好のチャンスだと思う。此の際山川委員の御意見に賛成致します。
○委員長(石原昌淳君) この問題については財源の都合もありますので財政、文教各部当局とも研究致したいので暫時休会致します。
  (午後一時五十分休会)

  (午後二時十五分開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
○祖根宗春君 住民は学校建築労務費の負担、学校後援会費の負担、その外諸税負担で今の所負担が重過ぎるが、なるべく政策的に負担を軽くする意味から致しまして学校の廃統問題も考えねばならんと思うが、文教部長の見解はどうか。
○文教部長(屋良朝苗君) 初、中校は戦前よりも増えて居ります。義務教育は市町村負担となっているが、今の処人件費は群島政府が賄って居ります。おっしゃる所の学校の廃統問題は設置主体の市町村長が考えるべき問題であります。群島主体の高校につきましては、その廃統については別に考えておりません。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎは第九部の法務部に移ります。
○具志頭得助君 備品の問題であるが今回の追加計上額で間に合う様ですか。
○法務副部長(金城信範君) 十分ではありませんが、足りない分は次年度にお願いする積りです。
○新城徳助君 特別手当と技術手当とありますのはどういったものに対する手当か。
○法務副部長(金城信範君) 特別手当というのは囚人から漁撈班を組織しておりますので、それ等に対する手当であり、技術手当は囚人作業指導に外から技術屋を招聘して指導して貰う様な場合がありますのでその技術屋に対する手当であります。
○新城徳助君 刑務所は佐敷から那覇へ移転することになっているが、その移転費が此の予算に計上されてないが、移転費は軍で負担するのか。
○法務副部長(金城信範君) これは軍で負担して貰う様に致したいと考えております。
○委員長(石原昌淳君) 次ぎは公安委員会費に移ります。
○祖根宗春君 年々犯罪は増える一方である。公安委員会としては民警懇談会等を開いて、犯罪防止対策を講ずべきだと思う。それには是非共車が一台ないといかんと思いますが、公安委員会から車輛購入関係予算の要求が財政部にあったかどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 要求はあったが財源の都合もあって今回は警察本部の車輛を利用して貰う様に致したのであります。
○仲村栄春君 今回交通巡査の勤務手当が計上されているが、交通巡査は専任であるか、又交通巡査を置いた経緯を承りたい。
○警察本部次長(西平宗清君) 交通巡査は最初専任で行く積りであったが、何しろ激務で又塵埃の中での勤務で今迄に数名の病人を出しており各署からの要請もありまして今後交代でやりたいと思います。
 交通巡査は最初軍の命令で予算も軍から補助するから置けというので置いたが、置いたら費用はお前等で出せというので困っておるのであります。吾々としてもその必要は認めますが、約束通りやらないのは全く困りものです。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎは厚生部に移ります。
○平良幸市君 土地購入費として七五万円計上されているが、これは何処の土地購入か。
○厚生副部長(大森泰夫君) これは厚生園の移転先の土地購入費であります。軍から厚生園の現敷地は不適であり適当な敷地があれば移転に要する諸経費は軍が持つから土地を購入する様にとの指示であります。それで真和志松川区に適地を求めて、その購入費を計上致したのであります。
○平良幸市君 この土地購入費と関連して群島政府の建物、敷地等で政府の負担すべき使用料は政府予算に計上すべきだと思う。それから群島の財産で貸付の分に対する使用料徴収等も併せて考慮すべきだと思うが、これに対する当局の見解はどうか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) このことは十分検討を加えまして善処致したいと考えております。
○祖根宗春君 医師の自由開業に伴い現在の診療所の建物、器具、備品についてはどう処理される方針であるか。
○厚生副部長(大森泰夫君) 入用なものは貸す方針で行きたいと考えております。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎは残りの全部予備費迄一括して質疑に入ります。
  (質問者なし)
○委員長(石原昌淳君) 御質問がない様ですから歳出臨時部に移りますが、これは軍補助金関係に依るもので別に御質問はないと思われますので歳出はこれで終りまして次ぎに歳入に移ります。歳入経常部税収入について質問がありましたらどうぞ。
○祖根宗春君 所得税の増はどういう理由によるものか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 勤労所得税、申告所得税何れも従来の実績から致しまして逐次増加の傾向にありますのと税法改正案が不承認になった関係でこの分の自然増が見込まれたものであります。
○祖根宗春君 所得税法の改正について今回は不承認となったのであるが、今後更に尚一層の努力を払われ之が達成について善処せられたい。
○祖根宗春君 酒税の減収はどういう理由によるものか。
○主税歳入課長(仲村毅一君) これは改正税法の実施が遅延したためであります。
○祖根宗春君 サービス税につきましては相当脱税があると思われますが、その防止策についての基本的な統計資料はありませんか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 今回の税法改正で不当と思われる納税者に対しては税務官吏が修正して納税せしめる権限が与えられておりますので今後は脱税の防止が十分できると思っております。
○委員長(石原昌淳君) 所得税についてでありますが、現行税法は申告納税であるが、申告納税とはいうものの更正決定の道がある。これは査定で申告所得額を大きく見る嫌らいはないかどうか。賦課の場合はその地方地方の実情を十分調査の上でなければならないが、現在は賦課は賦課のみで徴税は又別々にやっており、賦課の方はどちらかというと徴収の面に余りタッチしないため町村の実情が分らないのではないか。私はどこまでも賦課と徴収は一つにする必要があると思う。当局は此の点工夫を凝らして一元化を図るは勿論、十分税務署を指導監督して貰いたい。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 一九四八年度所得税納税成績の特に悪かったのは当時の課税が適正でなかった、均衡を失していたのがその大きな原因でありました。私は就任以来各税務署職員を指導督励致したのでありますが、納税成績の向上は一つに適正課税にある。課税の適正を期するために何といっても予めその実体の把握にあると思います。そういう風に指導して居るのであります。賦課と徴収につきましてこれが一元化を図るということお説尤もであります。今後善処致したいと思っております。
○委員長(石原昌淳君) 進行致します。次ぎは税外収入に移ります。
○祖根宗春君 企業免許手数料は実費主義の立前から増収主義に替って来ているが、その理由如何。
○企業免許事務所長(幸喜克彰君) 最初府(布カ)令で免許手数料をとってよろしいということで当初職員の人件費に充てる建前でありました。その後この府(布カ)令が改正され、更に企業免許手数料徴収条例制定となったのでありまして、吾々の方と致しましては何にも増収主義でもなんでもない。条例に基いて予算額を算定したまでであります。
  (「質問なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 別に御質問がない様でありますので本予算案に対する質疑を終了致し、次いで討論に入ります。
○平良幸市君 今回の追加更正予算案は歳入歳出共に総ゆる角度から検討致しまするに適当な追加更正と思はれますが、先刻山川委員からお話しがありました没収の新造船は軍の内諾を得ているとのことでもありまするし政府で購入して海洋高等学校の練習船にした方がよいと考えます。そこで、その購入費の一〇一万円を適当な費目に追加計上致しまして現在の船舶修繕費の三〇万円を一万円に減額結局差引七二万円を追加致し、その分は予備費から減額することに予算の一部修正の上その他は原案通り可決せられんことを望みます。
○委員長(石原昌淳君) 只今の平良委員の動議に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、具体的に予算面の修正措置を致さねばなりませんので暫時休会致します。
  (午後三時四十五分休会)

  (午後四時開会)
○委員長(石原昌淳君) 開会致します。
○平良幸市君 第八部文教部、第二款学校費、第二項需要費、第二目備品費の追加更正予算額の五、九八三、一九七円〇六銭を六、九九三、一九七円〇六銭に修正、同比較増額に一、〇一〇、〇〇〇円〇〇を挿入する。それから第七項の第一目船舶修繕費の追加更正予算額及同比較増額の夫々三〇〇、〇〇〇、〇〇円とあるを一〇、〇〇〇円〇〇に夫々修正致します。それから第十四部予備費第一款第一項第一目予備費の追加更正予算額七、五〇〇、〇〇〇円〇〇を六、七八〇、〇〇〇円〇〇に、同増額二、五〇〇、〇〇〇円〇〇を一、七八〇、〇〇〇円〇〇に夫々修正致しまして、これらに関連する部、款項の数字の訂正は当局に一任致したいと思います。
○委員長(石原昌淳君) 只今の平良委員の修正措置に対して御異議はありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。そこで本追加更正予算案は只今の修正箇所を除く外原案通りと致し、一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。
 尚本予算執行に当りまして、その経理、運営面について特に善処して貰わねばならない事項を、今迄の各委員の意見を重点的に取上げ委員長の手元で取纏めてありますので一応読み上げて見ます。
一、徴税の強化を図り、自立財政確立の基礎確立を期せんとする政府の方針は妥当であり、是が徹底を望む。それには適正なる課税が徴税成績を挙げる最善の途なるに鑑み民力相応の適正課税を図る充全の努力を払われたい。
二、職員増俸に就いて
 人事の刷新を期せられ、優秀なる職員をして希望に輝き全能力を発揮せしめ、事務能率の向上を図り以て最小の人員で最大の効果を納むる様考慮せられたい。
三、経済部諸事業費の行政費としての計上は大賛成する所であるが、今回の予算を生産経済復興の為めの誘い水たらしめる様、その使途に付万全を期せられたい。
四、自動車管理、例えば修理、配車について一括管理する様、尚政府用の備品、消耗品の一括経理する様善処せられたい。
五、厚生園の土地購入費に関連して、群島政府の負担となるべき使用料、購入費及各種官公衙用地中群島政府の収入となるべきものについては今後十分調査の上予算化せらる様考慮せられたい。
六、離島航路補助金については総額一五〇万計上されているが、その予算の附記に捕われず、航路補助条例の設定と補助基準の検討について特に考慮せられたい。
七、公務員災害補償条例の早急設定と早期支給方取計われたい。
八、軍補助金支弁職員に対する給与引上に伴ふ補助金の追加補助方について善処せられたい。
 以上八項目について本委員会から当局へ要望することに決定致したいが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(石原昌淳君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、次ぎの本会議において委員長から報告することに致します。
 三日間に亘り諸君が熱心に慎重審議せられ茲に追加更正予算案、条例案二件、諮問一件計四件の重要案件を可決せられ御苦労様でした。これで本委員会を閉会致します。
  午後四時二十分閉会
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