戦後初期会議録

組織名
八重山議会
開催日
1949年07月20日 
(昭和24年)
会議名
1949年7月20日-22日臨時八重山議会[1]
議事録
一九四九年七月二十日-二十二日臨時八重山議会会議録

 臨時八重山議会会議録
一 招集日時 一九四九年七月二十日午前十時
二 招集場所 八重山民政府会議室
三 提出諮問案
諮問案第九号 八重山民政府歳入歳出追加更正予算の件
諮問案第十号 八重山民政府特別会計事業部歳入歳出追加更正予算の件(自四月 至六月)
諮問案第十一号 八重山民政府特別会計事業部歳入歳出予算の件(自七月 至三月)
諮問案第十二号 事業部民移管に関する件
四 出席議員
  玉代勢太郎  大濱 孫彦
  與那國 修  成底眞加良
  柴田 米三  大濱 用立
  大田 守松  崎山 英保
  喜舎場永珣  金城 正康
  大濱 賢仁  阿良 正二
  仲本 信幸  幾乃  伸
  山城 興常  山里 長敬
五 欠席議員
  池間 榮三  新城 永吉
六 出席参与
 各市町長 各部課長 宮良長重事務官 井上事務官 黒島事務官 八重山警察署長 治安裁判所判事

 臨時八重山議会 日誌
七月二十日
 午前十時三十七分開会 午後二時五十四分休会
 休会後議員本願寺で研究会
七月二十一日
 午前九時四十七分開会 午前九時五十九分休会
 休会後議員本願寺で研究会
七月二十二日
 午前十一時二十五分開会 午後六時三十分閉会

  七月二十日
◎知事 本日議会を招集致しました処、議員各位にはよく御集りになりまして有難うございます。本議会に提出する諮問案は、八重山民政府歳入歳出追加更正予算の件、八重山民政府特別会計事業部歳入歳出追加更正予算の件(自四月 至六月)、八重山民政府特別会計(事業部欠カ)歳入歳出予算の件(自七月 至三月)、事業部民移管に関する件の四案で、みんな重要な案件でありますから、後ほど係から説明致しますから、どうぞ慎重に検討して下さい。
◎議長 出席議員十六名、欠席議員二名ですから開会致します。
 (午前十時三十七分開会)
  (総務課長二月二十五日八重山議会を招集してから本日臨時八重山議会を招集する間に参事会を招集する事二回であり、参事会の招集日時諮問案を説明す。)
○十六番議員 議事に入る前に議事録の署名者と速記者の指名をして下さい。
◎議長 議事録署名者を議員各位で推薦して下さいませんか。
○六番議員 議長で指名して下さい。
◎議長 山城議員、大濱用立議員にし度いと思いますが、よろしゅうございますか。
○議員一同 よいと思います。
○議長 速記者は竹田、池宮事務官であります。
 (総務課長諮問案第九号朗読)
◎十七番議員 どういふ訳で追加更正をしなければいけない様になったのか、その理由の説明を乞ふ。
◎会計課長 曩に八重山民政府が軍政府へ申請致しました一九五〇年度一般会計予算総額一三、〇八三、七五九円の中、軍政府は、二、二二〇、〇〇〇円を削減して一〇、八六三、七五九円を認可されました。又軍政府は予備費へ申請予算額よりも一、六四三、〇八五円だけ多く計上された関係上、実質的には二、二二〇、〇〇〇円と一、六四三、〇八五円の合計三、八六三、〇八五円の政府各部の運営費が削減された事になります。一年間の政府の運営費にその様な大きな支障を来しては到底円滑に仕事をして行く事が出来ませんので三、八六三、〇八五円の追加更正をして本議会に提出したのであります。その理由を説明致しますと、
 一、各部の旅費が減ぜられたため、宮古の軍政府、民政府への出張並に沖縄への各種会議のための出張其他重要なる出張も出来ない様な状態にあります。
 二、マラリア撲滅費の内の作業費並に其他の経費が大部分支出出来なくなって、折角軌道に乗ったマラリア撲滅作業も中止の止むなきに至り、所期の目的を達する事が不可能になります。
 三、救護院に居る孤児に支給する食糧、刑務所の受刑者に支給する食糧、警察の留置人に対する食糧が大部分支給出来ない状態にあります。
 四、警察署の犯人検挙、犯人押送等に支障を来している。
 五、各学校の設備並に種々の実習費に不都合を来し、支障を来して居ります。
 六、水産業、農業、林業等各種産業の指導奨励改善が充分出来ない状態にあります。
 七、租税徴収に要する経費が減少した結果、租税の徴収が充分出来ず、従って民政府の歳入が減少し、政府財政に支障を来す恐れがあります。
 八、逓信施設が充分出来ない状態にあります。
 其外民政府職員並に学校教職員の現在の給料の一ヶ月平均が七四八円であって現在の物価を考へた場合、到底此の月給では生活が出来ないから七月より僅かではあるが、現在給の一三、五%の増給をさせて戴き度い。この増俸に伴ふ予算増加は五三六、五〇四円であります。当初予算では一ヶ年に付賞与を現在給の一ヶ月分を組んでありますが、年末賞与に一ヶ月分、中の賞与に一ヶ月分、合計一ヶ年に付き二ヶ月分を支給するのが適当と思はれますのでこの一ヶ月分の追加を認めて戴き度い。此れに伴ふ予算増加は四九七、六八九円であります。
◎十六番議員 市町役場吏員の一人平均給料を調べられた事がありますか。
○会計課長 比較を申上げます。
 (比較表朗読)
○議長 平均しまして二割程度増給しないと市町とは歩調を揃へる事は出来ないと思います。
  (会計課長増俸した場合の市町との比較表を説明す。)
◎十六番議員 学校の一般教員と民政府の一般事務官との比較はどんなものですか。
○会計課長 委しくは調べてありませんが、だいたいはわかります。民政府は八四五円の平均で、学校は八〇三円になっています。学校の少いのは女の教員が多いためであります。
◎五番議員 学校の方は、学校後援会の援助費を加えてありますか。
○会計課長 加へてはありません。
◎五番議員 実際問題としては、其れを加へての計算比較が必要でありますね。
○議長 案の説明をしなさい。
○会計課長 三月に承認して戴きました一般会計一三、〇八三、七五九円中軍政府で認可して戴きましたのは一〇、八六三、七五九円でありまして、削減された額は二、二二〇、〇〇〇円であります。軍政府の削減された額を当初予算にいくら追加更正するか検討致しました。今度の追加するのを申上げますと歳入に於ては前年度繰越金七四三、三〇三円で、過年度収入四、一八二、六九七円になり合計四、九二六、〇〇〇円になります。歳出に於ては軍政府に於て削減された額一〇、八六三、七五九円で総体的に言へば三、八六三、〇八五円であります。その中には職員費中現給の一〇割賞与四九七、六八九円、一割三分五厘の増俸を七月以降よりとして五三六、五〇四円、其外沖縄連絡所費三、七二二円、過年度支出として商工経理部の三月に於ける経済会議出席の旅費二五、〇〇〇円を計上して合計四、九二六、〇〇〇円になります。
◎十五番議員 軍政府で削られた二、二二〇、〇〇〇円の内訳はどんなものですか。
  (会計課長削減額の内訳を説明す。)
◎五番議員 歳入の追加はどんなものですか。
○会計課長 繰越金と過年度収入の合計であります。
○議長 御質問はございませんか。
◎十七番議員 追加更正予算に宿直賄料を計上してありますか。
○会計課長 これは予備費から流用する積りであります。現在一円の宿直賄料を五円にするのが至当ではないかと思いまして、其出す道を考へましたが予備費から出す様にして軍政府に認可を受ける積りであります。
◎十七番議員 一時立替はそれが良いですか。
○会計課長 賄費を出す事は今の財源からは困難であります。予備費から出す事が一番良い方法であります。
◎十七番議員 その方は確実に通る見込みがありますか。
○会計課長 認可されてみないとわかりませんが通る見込みはあると思います。
○十七番議員 はい、わかりました。
○議長 予備費の一、八四四、二七七円の内から四〇〇、〇〇〇円位は土木建築費に流用して刑務所の移転建築をし度いと思います。御承知の通り当初予算に計上してありましたが、財源の関係で切られましたのであります。刑務所は是非移転建築しなければいけないと思います。又布告違反による犯人の護送費も、来年度に於て軍政府に請求せよとの事でありますので、此れも予備費から立替なければなりません。尚今申上げました宿直賄料も止むを得ないものと思います。是等のものを支出しても尚一、〇〇〇、〇〇〇以上は必ず残して来年度に繰越度いと思います。
◎十七番議員 質問があります。復興予算で出来た建物に未完成のままのものがありますが、その値打ち切るものでありますか。それとも引続きやってもらえるものでありますか。
○産業部長 何処だと指示して下さい。
◎十七番議員 学校関係の方であって、石垣中学あたりは天井もありませんが。
○産業部長 高等学校の方は復興費としては打ち切りであります。是非やらなければならないものは、一般会計の予算として計上し度いと思います。知事官舎、郵便局は着々出来ています。
○十七番議員 それでは石垣中学はそのままですか。
○土木建築課長 最初中学校の建物は四〇〇、〇〇〇円から六〇〇、〇〇〇円計上してありまして当時坪当り四、〇〇〇円で出来たのでありますが、物価も次々と昂騰し労金もあがったので相当に尽力致しましたが駄目でありました。坪当り四、〇〇〇円の六〇〇、〇〇〇円の予算の中学校は六教室しか出来なかったのであります。私が無能でありまして何故に六、〇〇〇円の一〇〇坪としてやらなかったか後で後悔したものであります。その為に未完成のまま残っているのでありまして物価の昂騰も見積ってはいましたが、もう少し立派なものが出来る筈でありました。此処は沖縄と違いまして、沖縄は復興費こちらは復旧費であります。先程部長が云はれた通りでありまして予算額は精算された形であって資材はそのまま残っているのもあります。例えば高等学校の講堂などもなんとかして建て度いものであります。それで復旧費では出来ない関係にあります。どうぞなんとかして出来て貰ふ様御願い致します。
◎十七番議員 知事官舎、郵便局は両年度に亙る計画であったのか。
○土木建築課長 復旧費は民政府から軍政府へ申請する時は民政府からは区分してやっているものではありません。全部、一括してやっているのであります。軍政府で区切るために二-三年にもなる訳であります。来年出来るか出来ないかわかりません。
◎十七番議員 石垣中学は現在以上には出来ない訳でありますか。
○土木建築課長 石垣中学は予算が切れています。
○議長 復旧費は最初マクラム軍政官の時は其予算額で完成する様にとの、ゲスリング軍政官の時は与えられた額で出来なければ次々と申請する様にとの指示でありました。それで中学校は打ち切りになり知事官舎、郵便局は今年度も手をつけているのであります。
◎十七番議員 未完成の方はどうなりました。
○議長 完成したと報告してありますから現在の未完成の部はそのままであります。
○議長 休憩致します。
○議長 開会致します。御意見を述べて戴きます。
◎七番議員 財源の繰越金の内容に就て御説明を御願いします。
○会計課長 繰越金は補給部より五〇〇、〇〇〇円の予算外の金が入った外に税収その他の収入が二四三、三〇三円が入って来ました。過年度収入は補給部の受入金三、五〇〇、〇〇〇円と税収その他の収入六八二、六九七円です。そして結局補給部収入の前年度の見通しがつかなかった分が四、〇〇〇、〇〇〇円となり、税其他の収入の予想外の分が二〇六、〇〇〇円入ったのであります。
◎二番議員 追加予算を全面的に見て、警察部費、刑務所費が当初予算より倍額になっているのは、その業務が繁雑になったためであろうと思います。これは強化する必要があると思います。
 尚もう一つ御尋ねし度い事があります。財政上経費問題との関係もあり、現在宮古の移民が相当に西表に入り、西表の資材がどんどん流れ出ている様にありますが、それ等のものから税金を取る方法はないものかと思います。
○議長 最初の質問に対し会計課長説明をしなさい。
○会計課長 これは当初予算に計上され軍政府が削減したもので何も実質的に増加したものではありません。
○議長 西表の伐採隊へ来て働いている者は住民税が取れないでせうかの問いに対し財務部長お答して下さい。
○財務部長 生活の根拠が八重山にあるならば、税を課す様になっていますが、日が浅いので課税資格がありません。
◎十番議員 唯今の伐採隊に関する件でありますが、唯材木を切って八重山民政府には何等関係はありませんか。
○議長 復興に関する資材からは税金を取ってはいけない様になっています。
◎十番議員 八重山のものをただで貰っていくのはおかしいですね。
○議長 西表の山は日本政府の財産であったため軍政府が管理している形であります。
○産業部長 竹富町は伐採隊の職員から住民税を徴収して良い事に宮古知事と話合をしてあります。
◎十五番議員 西表の浦内に入って何十町歩と開墾をしている宮古の人々のマラリア撲滅現状はどうですか。
○衛生部長 衛生上から見れば部の癌であります。私の計画の線に沿ふていません。LST三十四号の作業隊員も同様であり、又西表伐採隊も同じであります。薬を呑めと云ふても自分等は自分等の作業隊で呑んでいると云ふています。浦内に居る農耕移民はかえって八重山の住民よりよくやっていますが問題は船浮の伐採隊であります。
◎十七番議員 追加更正予算の総務部費の中に沖縄連絡所費三、七二二円が頭を出して来ましたがそれに対する当局の御意向を承り度い。
○議長 沖縄に出張された人々はよくおわかりの事と思います。尚市町長の方々からの御意見もあり、是非沖縄に出張所を設けて貰い度いと云ふ皆の御意思もありましたので、僅かではあるが組んであります。職員の組織は部長級一人と嘱託一人でやっていき度いと思います。先般沖縄に出張の際工務部長と相談して建物二棟を借りる様になっていましたが時期到来せず未着手になっています。又宮古にある連絡所は是非おかなければならないのか、此れをどうするか、沖縄へ持っていくかと云ふ事になります。此処の経費は補給部より出していますが、此れを沖縄へ持っていくと政府で出さなければなりません。だいたい五-六〇、〇〇〇円位あれば賄える予想であります。
◎十七番議員 唯今市町との話合は出来ているとの事の様でありますが独り市町のみでなく民間産業団体とも話合する必要はないでせうか。
○議長 農連の会長とは話した事がありますが、水連の会長とはまだ話してありません。なるべくは市町も、農連、水連、民政府も一緒にし度いと思います。
◎二番議員 同感です。是非設置して下さい。最近沖縄から来た人々の話によりますと、大島、宮古も相当にその方面に力を入れている様であります。やっぱり産業団体も協力して大いに拡張して貰い度いと思います。
◎十番議員 慈善病院開始の時期及び其内容に就て述べて貰い度い。
○衛生部長 今週中に開院出来ると思ふ。唯今準備に忙殺している。院長、書記、看護婦も決定致しました。内容に就ては今まで民の医者が面倒をみていた検黴、結核の治療、マラリアの治療等は、今後は慈善病院でなす計画であります。ベットも一〇〇個程到着しています。日曜日は休日でその他は公立病院に準じてやっていき度い。薬価料は民間医院の四割程度である。医官補は唯今沖縄で交渉済みであります。近便で衛生課長が沖縄へ出張しますので早く赴任する事が出来ると思います。
◎十八番議員 産業部長にお尋ね致しますが、産業部の支出に畜産奨励費、蚕糸業奨励等が組まれていますがこれはどう云ふ様なものに使用されるのでありますか。その内容に就て承り度い。尚議案外の事でありますが、タイムス紙の報道によれば近く米国より六、〇〇〇頭の馬が来る様であります。八重山にも割当がありますか。
○産業部長 蚕糸業奨励費は蚕繭処理講習会、蚕種購入助成金、蚕業振興懇談会の費用であり、畜産奨励費は牧場に種馬を入れて馬の品種改良をしようと思っている。幸いにして米国より馬が一、六〇〇頭来る様な話でありますが、其内容は不明で何頭八重山に割当があるか今の処はっきりしていません。駿馬であるか駄馬であるかまだわからない。来てみないと細部に就ては申上げられません。
◎六番議員 本年度の一般会計追加更正予算の内容を見ると金はあるが、軍政府が使ってはならぬと、ストップをくらわされた形に見られる。かくの如き事は当然入るべき金があるのに軍政府はなぜ使ってはならないと云ふのか。今回の様に削減されて結局は又議会の諮問にかけなければ予算の執行が出来ない様になり、ねらいはどこにあるか。今回の追加予算も軍政府の認可にならなければ事業の一部に於てストップしなければならない様になっており、又使ってはならないと云いながらも一度申請すれば承認すると云ふている。こう云ふ様な軍政府の方針でありますので、民政府としては事業の点に於て再検討即ち歳出の再検討をしておられると思うが歳出面に対する政府当局の見解を承り度い。
 更に職員費の俸給、賞与に重点を置いて新しい財源を使い度いと云ふておられますが、補給部より予期せぬ歳入があって追加更正をしている。この数字から一割三分五厘の増俸をやっているがこれだけでは生活の保障は絶対に出来ないと思ふ。財源がないから致し方がない様でありますが、議員の質問に対しましても生活費の基準ではなくして下の市町との比較である。市町がどうなっていると云う事でなく根本原理によらなければならないと思う。来年の予算を検討すれば過年度収入、繰越金をうまく利用しなければ充分なる予算案は作る事が出来ないと思う。ほんとに職員を優遇してやるためには或は行政整理をなし幾多の歳出面を検討すべきである。そのために税金を納める事は人民の当然の義務である。
 来年度の予算編成から充分なる検討をして頂き度い。職員の俸給には再検討を要す。この点に就き当局の方針を問ふ。
 沖縄連絡所問題に就てであります。此れもただ頭を出している様でありますが、金が余ったから出したと思われてもしかたがないと思ふ。八重山民政府のこれに対する見解をお聴きし度い。
○議長 一般会計の追加更正予算に就きまして軍政府より運営費の六〇%を削減されたので、それでは事業部面の運営が出来ないので軍政府の方に認可して貰ふ様極力運動して貰い度いと申上げました処、やるとの事であり理由を述べて提出せよとの事でありました。
○会計課長 次の様に御願い致しました。
  (内容陳情文朗読)
○議長 七八四円の平均給では食へぬ事はわかりきったもので少しでも増してやり度いのが人情であります。一人当たりの生活の基準は先の議会にも申上げました通りであります。その額は今の財源を以ては、とうてい相談の出来ない話であります。今回の追加予算に増俸分を計上した理由は、三月の議会には歳入の見通しがつかないし、又歳出を最少限度に喰い止めようと云ふ理由でありました。行政整理は去る四月にしたので今年度はやらなくって良いと思います。一割三分五厘の増俸をしたら来年はどうなるかと考へました。現在経済界はデフレの傾向にあり、どの面に財源を求めるかを充分研究する必要があると思ふ。
 沖縄連絡所の予算は少いのだけれども市町に協力を求めて必ず実現する考へである。それに対する石垣市長の御考へを承り度い。
○石垣市長 沖縄に行って初めてわかった。連絡所の有無は置いた方が良いと思う。八重山の方は連絡所を置いただけで其予算より収入は多くなると思います。市町長は民政府がやらなければ市町だけでもやろうと考へている。それが実現すれば市会にかけ度いと思ふ。
◎四番議員 本諮問案に就きましては去る議会に充分検討されたもので、新しく提出されたのが沖縄連絡所費、一〇割の賞与、一割三分五厘の増俸の分であり、他の追加更正額は、軍政府で削減された額をもとにかえした様なものであるから本問題は議員としては賛成である。
◎十七番議員 嘗て沖縄本島には開拓庁が出来た。官制のものであるので、其活躍を期待していたが八重山には本日迄何の活躍もしていないが、沖縄本島では大活躍している様で既に羽地のダムは完成し、石川のダムは工事中の様で沖縄の工事がすめば今後は両先島の方にも事業を開始すると云ふ事をその関係者から聞いている。終戦後八重山は毎年の様に旱魃の害にあい、苦しめられて来ている。今年も旱魃のため主要食糧の収穫高が減少したので今年の食糧事情を心配するものである。
 幸いにして開拓庁はダム灌漑の計画をしていると聞いている。吾等の軍政官ヘイズ大佐は緻密な計画をもっておられ、各方面に就いて研究され常に今日まで積極的に物事を処理しておられ自分の管轄区域に対し注意を払っておられる事に対し喜びと感謝をする者であり、ヘイズ大佐に期待するものである。
 八重山開拓の本源をなす灌漑施設は急を要するものである。然しながら此の問題を市町当局のみにまかせるのか、民政府が積極的に出るのかその見解と予算を聞き度い。天の配剤ヘイズ大佐を迎へている此の時でないと此の問題を解決する事は出来ないと思う。民政府当局も此の問題に対して慎重に考へておられるとは思いますが、今度の追加更正予算にその方面の事が出ていないので、八重山開拓の心持、その準備、成行に就いて聞かして貰い度い。
○産業部長 八重山の米の増産は、何と云ふても灌漑用水の設備をする事であります。それに要する資材の要求は軍政府にたびたびしてあります。是に関し今度の沖縄出張の際沖縄本島の状況を調べて見ました。羽地のダム、石川のダム等も見ましたが、其両方とも機械力により工事を進めた様で、羽地のダムは既に完成し、唯今石川のダムを工事中であります。それで八重山のものも開拓庁に御願いして是非その機械でやろうと考へ、委員全部大挙して開拓庁を訪問し、庁長は勿論のこと、その関係者職員にも話合して是非、八重山にも進出して貰い度いと申上げましたら、将来は、八重山、大島、宮古方面にも進出する事が本庁の使命であると話していました。又それに関しては調査設計書を提出せよとの事でありましたので設計書を提出してあります。実現の暁はその目的が達成されるものと思う。それにしても資材関係が問題で其方面も軍政府にじゃんじゃん陳情する積りでありますから、議員各位も協力してもらい早く実現して欲しいと思ふ。
○議長 外に御意見はございませんか。
◎一番議員 桟橋使用料の問題でありますが三月までは八重山民政府のものであったが現在は市にあって多額の通行税が竹富町民、与那国町民から取られています。離島よりの人々は運賃の外に色々の税金が取られるので皆悲鳴をあげている。どう云ふ訳で民政府は市に移譲したのであるか、民政府の意見を承り度い。土木費も現在の処石垣島にのみ使われている現状でありますから、平等に其土木費の内から与那国、竹富町民の為桟橋を造って貰い度い、それに対する民政府の御意見を承り度い。
○議長 桟橋は石垣市のもので市から借りたものであり市の財源がないのでかえしたのである。
○財務部長 船舶のみ通行税を徴収しています。
○十七番議員 桟橋問題は八重山の体面に関する事だから休会して検討して欲しい。
○議長 それでは休憩致します。
◎議長 開会致します。一般会計追加更正予算に対し賛同を御願いし度い。
◎十四番議員 四番議員の云ふ通り賛成ではあるが検討を要するのがありますから午後に廻したらどんなものですか。
○議長 それでは時間が来ていますから休憩致します。
  (昼食)
○議長 開会致します。
◎五番議員 新聞の報ずる処による永良部鰻に関する問題の的確なる真相を聴かせて貰い度い。
○議長 企業免許所長が昼食からまだ来ない様でありますから後に廻して下さい。
◎十番議員 九号議案に就きましては慎重にやっておられますので非常に賛成する者であります。職員の待遇に就ては低級であり又施設は貧弱だと思ふ。次年度予算に就ては当局は慎重に考へて貰い度いと思ふ。現在の民政府職員の待遇、職員の旅費、駐在巡査の待遇は如何に考へられているかわかりませんが非常に不待遇だと思ふ。待遇を良くして貰い度い。第二□□に移り満場一致で原案を可決して貰い度い。
◎十番議員 療養所は外の民政府には出来ているが八重山には出来ないので、どうして出来ないのであるか其詳細を聞かして下さい。
◎議長 此の問題は後に御答へ致す事にしまして此の諮問案九号を諮問して貰い度いと思ふ。
 御異議はございませんか。
○議員一同 異議ありません。原案に賛成であります。
◎議長 それでは諮問案第九号を認めて下さいまして有難うございます。休憩致します。
  (休憩中山城議員出席)
◎議長 開会致します。
◎総務課長 諮問案第十号朗読
◎黒島事務官 歳入の六、〇〇〇円追加予算は船のチャーター料であり、本部費一五、三五六円は職員費からもって来たものである。それから委員会費一三、〇〇〇円の予算が二、三〇〇円程度追加されています。
○議長 御質問はありませんか。
◎七番議員 その特別会計の繰越金科目の形式をかえておられる様であり、一般会計の方は形式をありのまま繰越金としておられる様にありますが何か異る点がありますか。
○議長 別に何も変りはありませんか(がカ)、何か質問はありませんか。
◎二番議員 特別会計は読会省略満場一致で可決して貰い度いと思いますがどんなものですか。
○議員一同 賛成
◎議長 諮問案十号を承認して戴きまして有難うございます。諮問案十二号に移り度いと思います。
○議長 その前に委員会よりの答申書が来ていますのでそれを読んで戴き度いと思います。
  (黒島事務官答申書朗読)
○議長 以上が委員会の答申書になっています。
  (総務課長諮問案第十二号の別紙を朗読す。)
◎議長 印刷課の方は答申書の方には貸付とありますが全般的に見て民政府の方は民政府で経営する方が良いと云ふ事に意見が纏りました。
◎十七番議員 第十二号議案に就てでありますが政府は提案を簡単に片付けられている様でありますが、それに関係する委員の議員は全部わかっていますが、多数議員はそれをはっきり知っておられませんので休会して皆で研究して行き度いと思ふ。
○議長 それでは休憩致します。
○議長 開会致します。
◎五番議員 新聞上の永良部鰻漁業の真相を承り度い。
◎議長 休憩致します。休憩して此の問題に就き御聞き下さい。
 (議長開会同時休憩を宣す。)
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