戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年10月26日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年10月26日[1]
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第六十一日目

 一九五一年十月二十六日(金曜日)午前十時四十三分開議


議事日程
 一、立法院規則について

○仮議長(松田賀哲君) 本会議を始めます。
 前回に於て第十三条まで進みましたが、今日は第十四条から始めます。
○冨名腰尚武君 日程に入る前に與根、瀬長両部落の救援に関しての動議を提出したい。この間のルース台風の結果両部落が極めて悲惨な水害、潮害を被っています。それは我々も視察して目の当り見ましたが那覇市の各団体は共同主催で救済資金の募集に当っており、その第一回の締切り分四万何千円が既に両部落に届けられたということが新聞に報道されています。この問題に関してこの救援資金の募集には各官庁も応募しているようでありますので、この際立法院としても応分の喜捨をしてはどうかと思いますのでこの点を御審議願います。
○仮議長(松田賀哲君) 如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では皆さん全員賛成のようですからそう取り計らいます。そうするとその額などについては何か腹案はありませんか。
○冨名腰尚武君 そう深く考えて見た事はありませんが大体一人当り百円ぐらいにして事務局の方でも考えて適当な金額に満つように応援していただくとした方がいいと思う。私は額の多少は問わず気持だけを表明すればいいと思う。
○吉元榮光君 事務当局に伺いますが主席事務局などの話しは聞いてありませんか。
○事務局長(比嘉良男君) それについて実は昨日から見舞金をやるとすれば、中央政府で纏めてやるか、或は立法院としてやるか話があったので、一応議長と相談しました結果立法院としてやった方がいいだろうというので、額についても大体給料の百分の一ということにしております。新聞などで見ますと群島政府などは百分の一以上となっていますが行政も百分の一となっていますのでここも百分の一として回覧しています。
○冨名腰尚武君 立法院として単独でやるのは賛成だ。額については中央政府並でいいだろう。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) ではそう致します。
○冨名腰尚武君 有難うございました。
○仮議長(松田賀哲君) では日程に移ります。
○冨名腰尚武君 第十四条は表現の問題から派生して色々審査会の性格なり機能なりについて問題が出ましたが私の前回の発言はこの立法院規則制定特別委員会を設け、私が委員長だったですが、私自身の原案は決議案の改正文と同文だったのです。それが委員会なり本会議なりの会議を経て現在の規則のように改正されたのです。それまでには前回から問題になっているように発議権を認めるだけでなくもっと幅を拡げるためこのように改正されたと記憶していますので前回までの本会議の趣旨を体して私もその旨主張して来ましたが私としては第十四条の条文をそのままにしてその意味を必ずしも主たる委員会からのみ協議の発議が出来ないと固く解釈しないで他の委員会の申出があった場合、その主たる委員会はそれを考慮しそれが妥当であり必要であると認めた場合は改めて連合審査会を形式では主たる委員会が発議していくという含みに解釈するということにして決議案の第十四条はそのままの表現で差支えないと考えます。
○吉元榮光君 この規則は条文の中に相当含みがあるように思うが、衆議院規則にはその事件に関して普通の議員さえも意見を述べることが許されているようになっていますから、この立法院規則にしても他の委員会からも発議出来るという風に含みがないと第十四条には賛成しかねる。特に規定そのものが只含みだけではどうかと思うので、もう少し表現を広くする方法はないものかと思う。
○仮議長(松田賀哲君) その含みを明瞭に現らわせという訳ですね。
○吉元榮光君 そうです。今のままではこれ以外の解釈が出来ないとなった場合は後で困る。
○調査員(平良惠任君) 府県会の会議規則ではこの連合審査会は連合委員会という名称になっていて中味はこの立法院規則と同じです。そしてその性格を説明してありますから読んでみます。
  (調査員平良惠任君「地方議会会議規則逐条示解」朗読)
○冨名腰尚武君 この著者の意見としては性格不明瞭なもの、又二委員会制度に違反するものはない方がいいという事だ。だから連合審査会という行き方ではなく委員会の協議を求めて他の委員会の委員も織込んで主たる委員会としての態度を決定するという形に持っていった方がいいじゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) 休憩致します。
  (午前十一時七分休憩)
  (午前十一時二十二分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 再開致します。
○吉元榮光君 第十四条は必要がある場合には他の委員会の意見又は意見を有する参議の意見も聴取して委員会を運営していくという意味を持たして見出しを「委員会又は参議の意見聴取」と改め本文を「委員会又は審査のため必要がある時は他の委員会若くは意見を有する参議の意見を聴取することが出来る」としたいと思う。
○仮議長(松田賀哲君) 如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では異議ないものと認めてその通り致します。
○城間盛善君 前に反るようですが第十三条第一項の「常任委員会」の「会」が抜けています。
○仮議長(松田賀哲君) ではそれを入れておいて下さい。
○城間盛善君 第十二条の「専問」の「問」は間違っています。
○仮議長(松田賀哲君) ああそうですね。では次に行きます。
  (書記長川畑秀志君「第十五条」朗読)
○城間盛善君 これは前の規則になかったものですが現在の臨時中央政府立法院としてはSOPという段階がなくてはいけないという特殊事情にあるのでその綜合調整の期間中全員の意見を纏めるため必要なものとしてこれを設けた訳です。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) ではその通り致します。
  (書記長川畑秀志君「第十六条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○吉元榮光君 ちょっと休憩して下さい。
○仮議長(松田賀哲君) 休憩致します。
  (午前十一時二十九分休憩、同四十一分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 再開致します。第十六条は原案通りでいいですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) 異議ないと認めて次に行きます。
  (書記長川畑秀志君「第十七条」朗読)
○城間盛善君 これは前の第二十五条と同じだがミスプリントがあるので第二項の2、の括弧は除いて下さい。それから各案の項についている括弧は全部取って下さい。取るのは第十三条の2、第十七条の2、第二十一条の1、2、3、4、第二十六条の1、はいりません。それから第二項の括弧を除き、第二十七条の1、もいらない。第二項の括弧も除く訳です。
○仮議長(松田賀哲君) 第十七条に異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では次に行きます。
  (書記長川畑秀志君「第十八条」朗読)
○仮議長(松田賀哲君) 異議ありませんか。
○城間盛善君 元の規則が第二十七条に公聴会という条がありますが、ここでは略している。この点について説明の必要があると思う。この略した考え方は公聴会を開くとするともっと詳しい規則がなければいけないということになる。それで省略した場合の考え方は、立法院規則として修正を加えて来たがその場合に最小限度のものに留めようとして公聴会を運営するとなれば更に何条かの規定を作らねばならない。それよりは別個に公聴会規則を作った方がいいという考え方だ。その場合にこの規則と公聴会の規則とは一方が基本で一方が細則だという考え方ではなく両方とも対等の規則だという考え方でいって公聴会規程は別に作るべきだと思う。
○仮議長(松田賀哲君) 御意見はありませんか。
○吉元榮光君 別に発議する訳だね。同格の規則として…。
○城間盛善君 そうです。
○吉元榮光君 それがいいだろう。
○仮議長(松田賀哲君) 第十八条は原案通りでよろしゅうございますか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○冨名腰尚武君 次に行く前に公聴会の事で休憩をお願いしたい。
○仮議長(松田賀哲君) 休憩致します。
  (午前十一時五十一分休憩、午後零時十分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 再開致します。
○城間盛善君 委員会活動の運営にも一つ公聴会というのがあるが、これの運営に当っては相当な規程が必要であるので別個に公聴会規則というものを設定したいと思ってこの規則と並立的ものとして発議してあるので、これを後で審議願いたいと思う。
○仮議長(松田賀哲君) それでよろしいですか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) では次に行きます。
  (書記長川畑秀志君「第十九条」朗読)
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) ではその通り致します。
○冨名腰尚武君 第四章に移る前に委員長に尋ねたいが前の規則の第二十九条と第三十条に少数意見の報告が規定されている。これは多数決制の不備欠陥を補うため少数意見を尊重するというのが現在の新しい行き方になっているようで日本の国会でも逸速くこれを取入れている。所がこの二条は今度の決議案では削除されているがその理由を伺いたい。
○城間盛善君 委員会の採決の際、廃棄された少数意見というのは当然委員長の報告に盛るべきものと考えて省略したのであります。もし委員長の報告が不充分なら少数意見の方が発言して記録に留めるという何らかの処置も取れると思う。
○冨名腰尚武君 第二十九条の第二項は解るが第一項の場合、今の委員長の御意見では委員長の報告が不充分なら少数意見者が意見を述べて説明すればいいというお考えだが、そうなると委員会というものが意見を決めねばならないのに反対意見を持つものがそこで反対意見を述べるということになると、委員会での討議が蒸し返されるということにならないか。言葉を変えると委員長の報告に対し同一委員会の少数意見者が意見を発表する場合、これは討議であるか報告であるかだ。
○與儀達敏君 少数意見者の報告は委員長が必ずやらねばならない訳だが、報告が終って更に討論の場合に少数意見者即ち委員会で否決された方の意見を持つ人は討論をやっていい訳だから発言を封鎖する訳にはいかない。私は原案通りでよいと思う。
○仮議長(松田賀哲君) ではこれで閉会致します。
  (午後零時二十分閉議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   冨名腰尚武君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   田畑 守雄君
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