戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年06月20日 
(昭和26年)
会議名
第8回沖縄群島議会(定例会)経済委員会 1951年6月20日
議事録
沖縄群島議会経済委員会議事録(一九五一、六、二〇)

第八回沖縄群島議会経済委員会
  一九五一年六月二十日
  於 経済部長室
  午前十時二十分開議
○玉城泰一君 本日委員長が病気のため出席しておりませんので委員の互選によりまして私か本日の委員長の職務を行います。
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。出席七人、欠席一人であります。只今より本委員会に附託になりました案件の審査を致します。陳情第一号、陳情第二号は提案者が石原委員になっておりますので一括して議題と致します。
○石原昌淳君 発案者として簡単に御説明申上げます。陳情第一号は現在民政官府より農林省に対し主食配給制度の存廃可否の諮問があったようで本陳情書の趣旨は現在のままの配給制度を存続し且主食輸入の確保をして頂きたいとのことであります。理由としては取り分け御説明申上げる迄もなく沖縄自体として主食の絶対量生産がなく、且経済確立のない今日に於て配給制度の廃止はあらゆる角度からして支障を来たすものと思うのであります。其の具体的理由の顕著のものは本陳情案に挙げてありますが、尚其の外に直接間接関連を持つ弊害をも予想されるのであります。陳情第二号については改めて御説明申上げる迄もありませんが、貿易は輸出入のバランスを保持すると云うことが最もの要件だと思いますが、現在の日琉貿易関係は輸入額に対し輸出額が少く現状のままで行けば琉球経済発展は勿論、琉球の輸出産業振興を阻害するものと思われますので輸入額に達する迄沖縄よりの輸出を自由に受入れて貰いたい、との趣旨であります。よろしく御審議を願います。
○委員長(玉城泰一君) 沖縄に於ける現状からして本案の趣旨に対しては各委員共同様異存ないと思いますが陳情文の内容、文句等に関し翻訳の都合もありますので一応休会をして十分なる検討を加えたいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) では休会をして慎重検討することに致します。
  午前十時三十分休会

  午后一時三十分開会
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。本案の二件は休会に於て慎重に検討されましたから質疑を省略して討論に入ります。別に御異議ありませんか。
○祖根宗春君 陳情第二号の日琉貿易の件に関しては一般権威者なり、又は公聴会等を開いてもっと専門的な研究をする必要があると思います。
○崎山起松君 日琉貿易に関し、沖縄は現在関税の適用も受けないし、政治的交渉により、或程度解決出来る面もあるし、問題は輸入額に達する迄沖縄よりの輸出品を受入れて貰いたいとの御願いだから、早くやった方がよいと思います。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仲村栄春君 意見を申上げます。陳情第一号、陳情第二号は休会中に於て研究討議された結果によりまして、文句の修正をして決定したいと思います。修正致しました陳情案を読み上げて見ます。
 陳情第一号は前文より理由迄左の通り全面的に修正
  琉球民政官府当局より農林省に対して主食配給制度の存廃の可否に就いて御諮問があつたと云う事を承つています。茲に本議会は主食の主(重カ)要性とその需給の現状に鑑みまして配給制度はこれを存続して戴き且つ絶対必要量の輸入確保については尚一層の御尽力を賜りたくお願い致します。
  理 由
 一、自由販売制を施行した場合予想せられる弊害
 1 買溜、売惜しみ等による主食の偏在と価格の変動
 2 主食の食糧以外への流用
 3 賃金生活者、中小商工業者、零細農漁民等の生活不安の増大
 二、主食輸入確保の重要性
  琉球は主食の大部分が輸入に依存する現状に鑑み輸入の遅延は全住民生活の不安を招来する。
 陳情第二号は、題の「日琉貿易方式に関する件」を「日琉貿易に関する件」と改め、前文より理由迄を左の通り
  琉球経済発展の上に重要なる地位を占める輸出産業の助長育成のため日本からの輸入額に達する迄は自由に対日輸出ができる様特別な御措置方御配慮願いたい。
   理 由
  琉球経済(のカ)発展のため大きく期待せらるる対日輸出産業も現在の貿易方式では今年の甘藍輸出の例の如く時期を失し折角増産はしたものの生産費を割る大損失を招来し育成途上にある輸出産業の振興発展を著しく阻害している。
 と全面的に修正を加えたいと思います。御賛同をお願いします。
○委員長(玉城泰一君) 只今仲村委員の読み上げました修正意見に対し御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って陳情第一号、陳情第二号は全面的修正の上可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 陳情第四号を議題と致します。提案者の説明を求めます。
○仲村栄春君 説明申上げる迄もないと思いますが、去ったクララ颱風被害による農村の実状を訴えて食糧事情が回復する迄臨時的に食糧増配をして戴きたいとのことであります。詳細の理由は本陳情案に挙げてありますからよろしく御願いします。
○委員長(玉城泰一君) 最も時宜適切な陳情だと思いますので本案も一応休会をして十分なる検討の上、決定したいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 休会をして研究することに致します。
  午后一時五十分休会

  午后二時三十分再開
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。休会で慎重に検討致しましたので質疑を省略して討論に入ります。別に御異議ありませんか。
○祖根宗春君 本案に対しては休会中に於て活溌なる意見交換の上加除訂正し、完全に近い成案を得ましたので本員は修正意見を申し上げ皆さんの御賛同を得たいと思います。
理由 一、の第一行中「寒冷と降雨量の不足及潮害」を( )内に納め、「の為」を削る。
  第二行目の「植付けを不能ならしめ今日では甘藷作不適な」を「植付が出来ず現在は」に改む。
  第三行中「若掘りせなければならない」を「若掘りしてをる」と改め、同行中「長期間に亘る」を削る。
  第四行中「不安である」を「不足が続くことになる」に改む。
  四の第一行目の「発芽芋や」の次に「中毒の危険ある」を挿入、
  第二行、第三行を削除する。五の第一行中「生育盛りの」を削り「すら」を「は」に改む。
  第二行中「短縮の要望せられる様になつた」を「短縮を要望した事例もある」と改む。
  六、七は全部削除。
  末文の第一行中「六月七月間」を削除し第二行中の「対しましても」を「対して」と「附記」を「尚」に改め、
  其の他は原案通りと致したいと思います。御賛同を願います。
○委員長(玉城泰一君) 只今の祖根委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本陳情案は一部修正の上其の他は原案通り可決することに致します。

○委員長(玉城泰一君) 次に経済部提案の事件審査を致したいと思いますが、審議の方法、議事の進行等について御意見を伺います。
○石原昌淳君 経済部提出の議案第五十六号、第五十七号、第五十八号に対しては、一応休会して当局と共に逐条的に審査研究をした後本会議に於て決定した方がよいと思います。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) では休会して当局と共に一応逐条的に審議研究することに致します。
  午后二時四十五分休会

  午后五時四十分再開
○委員長(玉城泰一君) 議案第五十六号沖縄群島植物防疫条例についてを議題と致します。本案は休会中に於て活溌なる研究討議をされましたので質疑を省略して討論に入ります。御異議ありませんか。
○祖根宗春君 本条例は群島組織法第二条第二項のA号か或はL号か何れに基くものであるか。次に第七条は輸入に対する制限を規定してあるがこれは群島組織法第三条第三号の「対外及群島間の貿易商業に関する事務」に抵触はしないか、この二つについて当局の御見解を伺います。
○法務部長(知念朝功君) 最初にA号か或はL号か何れに基くかの御質問でありますが、本条例は群島組織法第二条第二項のL号に基くものであります。次に本条例第七条は群島組織法第三条第三号に抵触しないかとのことでありますが「貿易事務は港に入れる迄が事務であって、港内に入った後検疫することは貿易事務でない」と解しますので抵触致しません。
○委員長(玉城泰一君) 尚別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議がなければ委員長に於て今迄の各委員の意見を総合して修正案を作製したいと思いますが如何ですか。
  (全員賛成す)
○委員長(玉城泰一君) 全員賛成でありますので委員長に於て作成した修正案を御報告致します。
  第四条第二項第一行中「有割動物」を「有害動物」と、
  第七条第一項第三行目の「又は停止する(信ずカ)」を削除。
  第十条第一項第五行目の「消毒」の下の「し」を削る。
  第十三条第一項中「新に」とあるを「新たに」と、同条第二項中「三十日」とあるを「二十日」に改む。
  第十四条第一項第四号中「措地」を「措置」と、
  第十五条中「知事は」の下に「第十条及び」を挿入し、
  第十六条の右肩に見出「罰則」と記載。
  第十八条第三号中「第四条」を「第四項」に、
  第十九条第六行中、「尽されたこと」の次に「の証明」を加う。
 其の他は原案通りと致します。別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正の上其の他は原案通り可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 議案第五十七号沖縄群島農業改良委員会設置条例について、議案第五十八号沖縄群島農業研究指導所設置条例について、の両案共、それぞれ長時間慎重討議されましたので一括して議題と致します。質疑を省略して討論に入ります。御異議ありませんか。
○仲村栄春君 議案第五十七号、議案第五十八号に対しては既に討論の余地もないと思いますので本員は修正の意見を申上げて皆さんの御賛同を得たいと思います。
  議案第五十七号中、
  第二条第四号を「農家経営の合理化に関すること」とし第四号を第五号に置換る。
  第七条第一項第二号及同条第二項中「農業普及」を「農業改良普及」と改良の二字を挿入する。
  第八条第四項中「農業を営む世帯に属する者で」を削除する。
  議案第五十八号中、
  第二条第二号中「種苗」の下に「種畜」を挿入、同条第五号として「農業気象に関する事項」を新たに加える。
  第五条第六条の「上司」とあるを「所長」に改む。
  第七条中「新に」を「新たに」と改め、
 其の他はそれぞれ原案通りと致します。よろしく御賛同を願います。
○委員長(玉城泰一君) 只今の仲村委員の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十七号、議案第五十八号は一部修正の上其の他は原案通りそれぞれ可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 本日は永い間慎重に審議して戴きまして有難う御座いました。これで委員会を終えることに致します。
  午后六時二十分閉会

一九五一年六月二十二日(金)
  午前十時開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十五人、欠席五人であります。

◎議長(知花高直君) 常任委員会委員長から夫々付託議案について修正案の提出がありますので書記をして配付致させます。
  (書記修正案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第十四号
 第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について  (知事提出議案第四十七号)
 第二、群島並びに地区選挙管理委員会委員及び職員諸給与条例制定について
  (知事提出議案第四十八号)
 第三、群島並びに地区選挙管理委員会職員定数条例制定について
  (知事提出議案第四十九号)
 第四、沖縄群島登録税条例制定について
  (知事提出議案第五十号)
 第五、沖縄群島登記手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第五十一号)
 第六、沖縄群島土地台帳条例制定について
  (知事提出議案第五十二号)
 第七、沖縄群島家屋台帳条例制定について
  (知事提出議案第五十三号)
 第八、登記再開前に企業免許を受けた会社の取扱いに関する条例制定について
  (知事提出議案第五十四号)
 第九、沖縄群島道路条例制定について
  (知事提出議案第五十五号)
 第十、沖縄群島植物防疫条例制定について
  (知事提出議案第五十六号)
 第十一、沖縄群島農業改良委員会設置条例制定について
  (知事提出議案第五十七号)
 第十二、沖縄群島農業研究指導所設置条例制定について
  (知事提出議案第五十八号)
 第十三、沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第五十九号)
 第十四、知事の専決処分事項指定について
  (知事提出議案第六十号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第四十七号)
 日程第二、群島並びに地区選挙管理委員会委員及び職員諸給与条例制定について
  (知事提出議案第四十八号)
 日程第三、群島並びに地区選挙管理委員会職員定数条例制定について
  (知事提出議案第四十九号)
 日程第四、沖縄群島登録税条例制定について
  (知事提出議案第五十号)
 日程第五、沖縄群島登記手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第五十一号)
 日程第六、沖縄群島土地台帳条例制定について
  (知事提出議案第五十二号)
 日程第七、沖縄群島家屋台帳条例制定について
  (知事提出議案第五十三号)
 日程第八、登記再開前に企業免許を受けた会社の取扱いに関する条例制定について
  (知事提出議案第五十四号)
 日程第九、沖縄群島道路条例制定について
  (知事提出議案第五十五号)
 日程第十、沖縄群島植物防疫条例制定について
  (知事提出議案第五十六号)
 日程第十一、沖縄群島農業改良委員会設置条例制定について
  (知事提出議案第五十七号)
 日程第十二、沖縄群島農業研究指導所設置条例制定について
  (知事提出議案第五十八号)
 日程第十三、沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第五十九号)
 日程第十四、知事の専決処分事項指定について
  (知事提出議案第六十号)

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
 日程第一の議案第四十七号を議題と致します。本案は予ねて総務財政委員会付託になっておりましたので委員の審査結果の報告を求めます。
◎稲嶺盛昌君 総務財政委員長の具志頭議員は日本へ旅行不在の為め委員会において互選に依り私が仮委員長の職務を行ないましたので私から只今議題となりました議案第四十七号、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について総務財政委員会の審査の結果を報告致します。
 本予算案は本月十四日議会本会議において総務財政委員会にその審査を付託されましたので本月十五日政府会議室において本委員会を開催委員六人出席のもとに政府関係主務部課長の出席を求め審査を行なったのであります。
 本案は議会本会議で財政部長から詳しく説明された通り、今回の追加更正は行政費には全く関係なく補助金として計上した四億五手余万円か今日迄に二億一千八百四十九万七千百八十四円に減額されたので、これに伴う既決予算の補正措置をとったに過ぎないのであります。予算内容についての審査結果を申上げますると、第三款弘報室一三、〇〇〇円の増は弘(公カ)報配付に要する旅費の補助金の増であります。第四款総務部における七、八〇〇、〇〇〇円の増は移動費と、労務事務の民移管に伴う労務事務所の経費であります。第六款経済部においては、民政府としてはここに掲げてある項目は行政費で賄うべきであるという見解のもとに補助金の全額削除になり、結局四五、六九八、七〇五円の減となっているのであります。第七款工務部の九七、五八四、〇九六円の減は、主として土木事業費、公共施設事業費の減で、これは民政府で資金の都合がつき次第後日追加されることになっております。第八款文教部の減は校舎建築費九六、四八〇、〇〇〇円その他廨庁備品費及び消耗品費の減四〇四、〇〇〇円となっております。第九款法務部の増六八一、二八〇円は全部中央土地事務所の関係経費で当初予算は人件費のみ計上してあったが今回その他の維持費として夫々増額されたものであります。第十款警察部三五四、二六二円の減は油脂燃料費及び食糧費の減によるもので最近留置人が相当増加し、且物価の値上り等で是非とも増額して貰う様折衝の要があります。
 第十一款の公安委員会七一、六七四円の減は補助金の全額削除のためであります。民政府の見解では公安委員会は行政費で賄うべきだというのであります。
 第十三款厚生部関係一、二八三、六九二円九四銭の減は主として救済費の減によるものであります。第十四款保健所費においては医療器具、薬品費の増、並に三保健所の電気水道追加工事費の新規割当に依る経費の増、それから保健所の本格的事業開始遅延に依る職員の採用見合せに伴う俸給の減、結局差引一、二〇五、四七八円の増となっております。第十五款愛楽園の三八、一一七円の増は患者浴場の附帯経費としての薪炭費の増によるものであります。第十六款結核病院の一八一、四九四円の増は主として食糧費の単価引上による増であります。第十七款精神病院の九〇、九一三円の増も主として食糧費の単価引上による増となっております。
 以上概略を申述べたのでありますが、本追加更正予算案は米国民政府の指示に従ったものでありまして、本委員会においては討論の余地なきを認め総員を以って異議なく原案通り可決致したのであります。処が経済部関係補助金の全額削減に関しては沖縄自立経済政策上洵に遺憾に思われますので議会としても米国民政府に対して補助金交付方お願いする必要がありはしないかとの意見がありまして、本委員会としては経済委員会との関係も考慮致しまして議会の本会議に諮ることに決定致したのであります。以上簡単ではありまするが報告申上げます。
  (十時二十分石原昌淳君出席)
○議長(知花高直君) 只今委員長から審査の結果報告がありましたが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎新里銀三君 質疑があります。予算編成について第六回議会において本員は補助金、復興費問題については予算の性質上或は技術面から見ても経常費とは別個に切り離して臨時部或は特別会計で予算を編成すべきだと主張致しましたがそれが通らなかったのであります。その後仲宗根財政部長は就任間もなく新聞紙上で予算編成について補助金及び復興費は臨時部でこれをやるべきで七月の予算編成からそうしなくてはならないと発表しています。こうして本員の主張と財政部長の意見が一致しましたがそれは部長個人の意見か或は知事の意見か。二つ、軍当局は一九五二年度の四億五千万円という莫大なる予算を今回大幅に削減していますがこれには大きな理由があると思います。
 これについて知事は折衝の結果及び軍の意向を知っている範囲内で報道していただきたい。次に一九五二年度の総花的予算編成は全住民に非常な期待と希望を与えていましたが、特に自立経済を憂慮している責任ある知事としてその経過について五十九万住民に報道すべきだと思う。次ぎに四億五千万円という莫大な金額を軍に依存して予算を編成してありましたので第六回の定例議会で本員はこれは予め軍の内諾を得ているかと質問しましたが知事の答弁はこれからやるんだということを申されました。そこでこれは希望予算かと、私は全面的に反対しましたが多数で押し切られて通過したのであります。これは議員全体で責任を負うべきですが、知事は今後予算獲得に如何なる方針で軍に折衝する積りか。要するに全住民を糠喜びさせた政府の予算編成は一大失策と思うがどうか。
 次ぎに予算の編成にはまず条例を作ってそれを基礎にして税収入その他を見通して予算を編成するのが妥当だと主張しましたが与党議員は条例は事後的問題だから後でもよいとして本員の主張は通らなかったのですが、これについて今後予算編成上かかる方向にいった方がよいかどうか、条例なくして徴収することが妥当であるかどうか。以上であります。
○知事(平良辰雄君) 予算の形式の問題で臨時部或は特別会計にしたいという希望の様でありますが先の議会では全部ひっくるめて予算を編成してあります。然し今後この運営について、矢張り経常部、臨時部としてやった方がいいだらうという結論になっていますので次の議会でこれを修正したいと思っています。又補助金の問題ですが政府としては、これ丈は必要だという意思表示をしてこれをどこまでも折衝すべきで、それが軍の諒解を得てから後で予算を追加するということになると結局政府に軍でやってそれを押しつけるということしかならないので始めから主張して推進めることが民主的であり又議会の権威を重んずることだと思います。
 予め軍の諒解を得なかったということは、全然得なかったということではなく、吾々としては沖縄群島に対してこれ丈は是非必要だと主張し民政府の各課長とも連絡して之位いはどうしても出して貰えるだらうという見当をつけて出したのであります。最初吾々が提出したのはこの程度なら軍も呉れるだらうといわれた四億五千万円でありましたが民政府各部で検討したものは六億となっていました。処がその後軍の財政部の連絡会議で向うから要求したにも拘わらず金がないというのが大きな問題であります。それでどうしても出来ず、六億、五億、四億、三億という予算を更に編成して四億の場合はこれ丈、三億の場合はこれ丈という案まで出して折衝しましたがこの中から経済部関係のものが削減されました。ただ建築費関係は全面的に抜けています。だからこれを全部入れると大概これに達する結果になっています。その点は御承知かと思いましたが念のため申添えておきます。
○財政副部長(久場政彦君) 政府の出した四億五千万円の予算がどうして一億六千万円に減額されたか、その経緯について説明致します。
 当初この四億五千万円の予算に対し沖縄民政官府では必要な事業費として六億七千二百万円程度にして本部に提出しましたが軍の方で補助金を減額した理由の一つとして、亜米利加本国に於ける琉日援助資金の減少があげられます。弗による琉日援助資金は千五百万弗の予算請求に対して千二百万弗にしかならないだらうということと、更に所謂見返資金がスキャップの方針として第一に軍の土地購入費に当てられ、更に見返り資金を全部放出することなく今後の復金回転に当るため円資金の或る部分を金庫化して行く。それから臨時中央政府の維持費に当て、そして残りを各群島政府に割当てるという基本方針を取って最初予想された見返り資金が実際に補助となる部分が必然的に減少を見た訳です。それから亜米利加政府の予算の仕方ですが日本と違って例えば予算案を出して議会で通過した場合はこの予算による計画は議会の承認が必要な訳ですから予算が承認されたといっても政府が債務負担をやってよいという意味にはならない訳です。そこで議会は政府の案を認めてそれを実行して行くに当っては議会で経済事情、政府の資金保有高を睨み合せて一つの枠内で事業の必要を認める訳です。例えば今年の後半期に於ける経済事情によって大部危いから最初から事業を多く計画すると危険に陥るから一億の予算でも議会は八千万円に削って政府の債務負担を押える訳です。その方式からいくと群島政府の補助金も四億五千万円か一億六千万円になったからその他は絶対駄目だという訳ではなく軍政府の円資金の蓄積量を睨み合せて最初に一億六千万円を呉れたのであります。そして徐々に必要な資金は追加配付をする訳であります。更に建築事業その他については一応資金が五一年度の建築状況を睨み合せて配賦するという恰好になっています。だからこのために財政的混乱に陥るに危虞されていますがそういうことはないと思います。そういう計画についてはこれから提出して折衝の余地は多分にあると思いまして全力を尽して努力する積りであります。
◎新里銀三君 大体分ったんですが最後の言葉に金がないということを言われましたが亜米利加軍当局は沖縄の要路の人々に沖縄の復興のため出来る丈、産業、教育、文化その他に力を尽すといっているのに金がないと一蹴された場合に亜米利加軍当局は単に口先丈けで言ったのか、それについて深く突込んで獲得することによって知事の手腕力量が現われると思う。一弗対百二十円になったからにはその復興資金もそれに比例して増額なったと思います。それが沖縄では一九五二年度の予算でもこのように半額以下となれば知事の復興三年計画の莫大な予算は到底望めないと思いますので是非補助金獲得に総ゆる手段を尽し全住民が活気づいて働けるよう工作することを希望します。
◎議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第四十七号は委員長の報告通り原案可決致します。
◎祖根宗春君 只今可決された予算について今後の希望を述べたいと思います。この追加更正予算は従来の雛形と違って今度のこの新しい形式によると、先ず追加更正予算額は補助金の場合実際補助したものを予算額に入れて既決予算と相殺することなく計を出しています。増減でもって増えた減ったをはっきり出していますがどうもこういう予算の形式は従前通りの、つまり減額された丈のものを追加予算に入れ既決との差引を計に入れる従来のやり方がピンと来ると思いますので、元の様式通りやっていかれんことを希望します。
○議長(知花高直君) 委員会で希望されたでせう、蒸し返さないでいいじゃありませんか。
◎祖根宗春君 更に七月の追加更正予算について希望でありますが、今回は只補助金丈の追加更正ですが来るべき予算更正についての希望を述べたいと思います。それは先ず三月に通過した改正税法が未だ軍の認可を得てないので実施もおくれそのため相当の歳入減を見ると思うのでこれも早く軍の認可を得るよう努力して頂きたい。次に七月から配給物資の値段も上り、それに附随して物価も相当上ると思われますので職員の増給問題が来るべき予算に取り上げられるならそれに対しては脱税の防止とか徴税機構の強化による税収入の増加による財源をこれに当て更に色々節約する部門は節約してなるべく俸給の引上げが一般住民の負担を多くすることによって財源を見つけないよう希望します。更に市町村平衡交付金はどうしても二千万円に増額するよう努力して頂きたい。理由は吾々が非常に希望していた自立経済三ケ年計画の根本をなす経済部の軍予算が殆んど削減され、そのため農村、漁村、山村或は零細中小工業者の方に補助金或は助成金として還元さるべき経済部の補助金が得られなくなったため農村に対する還元が少くなったのでますます農村は疲労困憊する。これを救う意味からしてもどうしても二千万円に増額するよう努力願いたい。そしてその財源は色々あると思いますが先ず早く改正税法を通過させて、それによる財源の増収と、それから消耗品、油脂燃料費などの方面から削れるものは削って節約して貰い、又新しい税目を見つけ財源を求めるとかして御努力を願いたい。以上予算に関連して来るべき追加更正予算編成について希望を申述べます。

◎議長(知花高直君) 日程第二、及び第三の議案第四十八号及び第四十九号は関連致しますので一括議題と致し、総務財政委員長の審査の結果報告を求めます。
最終案
  群島並びに地区選挙管理委員会の委員及び職員諸給与条例
  群島並びに(注欠落のため挿入した。)地区選挙管理委員会職員定数条例
 (一九五一年七月二十八日付沖縄群島公報第三十一号に登載済に付省略)
 (注 八〇頁に掲載)
◎稲嶺盛昌君 只今議題となりました「群島並びに地区選挙管理委員会の委員及び職員諸給与条例」と「群島並びに地区選挙管理委員会職員定数条例」について一括して総務財政委員会の審査の結果を報告致します。
 本議題は去る六月十四日の議会本会議において本総務財政委員会にその審査を付託されたので六月十五日群島政府会議室において本委員会を開催し委員六人出席のもとに政府主務部課長の出席を求め審査を行なったのであります。
 選挙管理委員会委員並びに職員の諸給与につきましては昨年度迄軍より支給されていたのであるが軍の指示によりまして、本年度から群島政府の費用から支給することになったもので本年度予算には既に所要経費を計上してありまするが支給規程が未だ制定されてないため今回提案されたもので事務手続きが遅れたに過ぎないのであります。
 本議題の質疑は主として議案第四十八号第二条第三条関係別表記載の支給金額に置かれたのでありますがこれは現在実際支給額を勘案し、又選挙のある場合を予想しまして、幅を持たし、その最高額を定めてあり適当と認められます。
 次いで質疑を打切り討論に入りました処議案第四十八号及び議案第四十九号両案とも異議なく原案通り可決致したのであります。
 以上甚だ簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 只今の委員長の報告通り原案可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第四十八号及び第四十九号は委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第四の議案第五十号を議題と致します。総務財政委員長の審査結果の報告を求めます。
最終案
  沖縄群島登録税条例案
 (一九五一年七月二十八日付沖縄群島公報第三十一号に登載済に付省略)
 (注 八一頁に掲載)
◎稲嶺盛昌君 只今議題となりました議案第五十号、沖縄群島登録税条例について総務財政委員会における審査の結果を報告致します。本案は六月十四日議会の本会議において総務財政委員会にその審査を付託されたので本月十六日、十九日の二日間に亘って本委員会を開催し委員五人出席のもとに政府関係主務部課長の出席を求めその審査を行なったのであります。
 本案は議会本会議において財政部長から提案理由の説明があったのでありまして、即ち特別布告第三十六号に基く登記所再開に当り不動産、船舶、財団、会社、その他の登記に関して、群島組織法第百四十条の規定に依って登録税を徴収する条例を制定するというのがその趣旨となっているのであります。
 本案は日本の登録税法を参考にして沖縄の実情に即する様立案されているのであります。本委員会は政府主務部課長を交え二日間に亘り逐条的に慎重審議を行なったのでありますが、質疑は主として左の事項でありました。即ち
 1 日本では登録税法第三条に船舶に関する登記、同法第四条に船籍に関する登録、同法第九条に船員の官簿登録等について登録税を徴収しているのであるが沖縄では本条例で船舶に関する登記の登録税を、船籍登録或は船舶職員関係については群島条例第八号により登録、検査、免許試験等の手数料を夫々徴収しているのであるが税体系の一元化を図る意味から致しまして本条例に一括すべきではないか。
 2 第二条第二号の課率子分の五〇は他の課率に比較して高率ではないか。
 3 第八条の解釈について
 4 第十二条第二号の墳墓地の非課税について
 5 第十二条第三号の公共団体の限界如何
 6 本条例実施後の歳入予算の更正については増収になるか減収になるか。
 以上が質疑事項中主なるものでありました。
 次いで質疑を打切り討論に入りましたが別に異議なく総員を以て原案通り可決致したのであります。
 尚本条例実施に当り本委員会において特に左記二件を要望することに決定致しました。
 1 一九五〇年三月二十七日沖縄群島条例第八号、船舶の登録、検査及び運航並びに船舶職員の免許試験等手数料徴収条例の規定事項は税体系の一元化を図るため本条例に一括規定して貰いたい。
 2 課税標準たる不動産価格の設定を急がねばならないので土地の評価は急を要する問題だと思料する。依って市町村の土地評価委員会を組織し督励の上至急善処せられ、本条例の実施に万遺漏なきを期せられたい。
 以上簡単ではありますが報告申上げます。
○議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。
◎新里銀三君 これは税率が高率であることが一つ、それに土地の問題は市町村の関係から見て、而かもこれは直接住民の権利義務と関係があるので法律体系を一本にして相互に連絡してやらないと駄目だと思う。それで政府の予算運営にさほど差支えがなければ公聴会などを開いて、一般の意見を聞いてやっても遅くはないと思いますが。
○議長(知花高直君) 今の意見は何ですか。五十号議案は今議決せんでもよいということになる訳ですか。
◎新里銀三君 そうです。法律の一元化を図るため縦横の連絡を取り、又住民と関係深いから公聴会を開いて一般の意向を聞いた方がよいと思います。それが更に予算運営上支障があるなら別として、ないならもう暫く猶予して出した方が手続きも簡単にいけると思います。
○議長(知花高直君) 只今の十六番議員の意見に対して当局はどういう考えか。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 登記所の事務開始が七月一日に開始する運びになっています。従って権利の申請が登記所に続々来るものと予想され、又事務に要する職員も相当要る訳です。それに対する経費は大体登録税を以てこないと財政上非常な困難を来たすと予想しています。結局本案は先にも御説明致しました通り財政上の困難という理由から提出した次第であります。宜しくお願い致します。
◎普天間俊夫君 今の二項の百分の五十が他の税率に比べて高率ではないかという見解、それから所有権の保存が百分の六となっていますがこれについての質問は本員が委員会においてなしたのであります。先ずこれについて民の担税力の方面から見ても充分検討しなければならないという見解から今の三項は全住民と関係があり、而かも戦災を受けた復興の登録ですからできる丈二項は削除して頂きたいということを述べましたが、二項についての当局の答弁は二項丈特に引上げたのではなくて他の項が引下げられた訳で別に日本の税法と比べてもよいということ。それから三項の戦災復興登記の免税方の実施については、これは全部登録するのではなくてその必要に迫られた時その都度出て来る訳だからそうたいしたことはないということで二、三項とも吾々は政府の答弁を諒として委員長報告通り原案可決した訳です。その意味で二項、三項は吾々委員会でもやってありますし、政府からも要求されていますので委員長の報告通り可決せられんことを望みます。
○議長(知花高直君) 十六番議員は、五十号議案についてはもっと公聴会などを開く期日を与え、つまり言換えれば本議会で可決するのは早いというので延期説でありましたが……。
◎稲嶺盛昌君 十六番議員の意見は要望事項に入っていますし又政府が予算編成上差支えがない場合ということでありまして政府としては差支える旨部長がはっきり答えられましたが、そうなると十六番議員の意見は反対ではないと本員は思われますが如何でせう。
◎新里銀三君 条例制定には賛成するのですが本員が政府の行政運営上ということは単に登記事務所というのではなく政府全体を意味するのです。それから出来れば税体制が一つになり得る機会をつくりその後でも遅くはないじゃないかという意見です。
◎議長(知花高直君) 十六番議員の意見は出来得ればだから希望意見であって、原案に反対の意味ではないと認めます。
 本案委員長の報告通り原案可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十号は委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第五の議案第五十一号を議題と致します。法務警察委員会付託となっておりましたので委員長の審査の結果報告を求めます。
最終案
  沖縄群島登記手数料徴収条例
 (一九五一年七月二十日付沖縄群島公報第二十九号に登載済に付省略)
 (注 八五頁に掲載)
◎山城興起君 只今議題となりました議案第五十一号沖縄群島登記手数料徴収条例制定について法務警察委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は六月十四日議会の本会議において法務警察委員会にその審査を付託されましたので本月十八日政府会議室において本委員会を開催、全委員出席のもとに政府関係主務部課長の出席を求めその審査を行なったのであります。
 本案は不動産登記法第二十一条に「何人と雖も手数料を納付して登記簿の謄本又は抄本の交付を請求し又利害の関係ある部分に限り登記簿又は其附属書類の閲覧を請求することを得、登記事項に変更なきこと、或事項の登記なきこと又は登記簿の謄本若くは抄本の記載に変更なき(事項にカ)ことの証明に付き亦同じ」と規定され、又非訟事件手続法その他の法令によって登記簿の謄本又は抄本の交付、登記簿又はその附属書類の閲覧等の請求について手数料を徴収するというのが本条例の主眼となっております。逐条的に当局と質疑応答を行ないましたが質疑は主として第二条、第三条、第四条の手数料額に置かれたのでありますがこの金額は日本の手数料を斟酌し、尚現在各市町村における証明手数料等を勘案致しまするに原案の金額は適当と認めることに意見の一致を見たのであります。
 次いで質疑を打切り討論に入りました処別に異議なく総員を以て原案通り可決致したのであります。
 以上簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。只今の委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十一号は委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第六の議案第五十二号を議題と致します。法務警察委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
  沖縄群島土地台帳条例
 (一九五一年七月二十日付沖縄群島公報第二十九号に登載済に付省略)
 (注 八六頁に掲載)
◎山城興起君 只今議題となりました議案第五十二号沖縄群島土地台帳条例制定について、法務警察委員会における審査の結果を報告致します。
 本月十八日政府会議室で本委員会を開催、全委員出席のもとに政府関係部課長の出席を求めその審査を行なったのであります。
 土地台帳に関する規定につきましては戦前地租法の中に織込まれていたのでありますが現在日本では土地台帳法ができているのであります。本案は日本の土地台帳法や地租法を参考にして立案されており本群島の土地について、その状況を明確にするために土地台帳の登録を行ない、その事務は中央土地事務所でこれを掌るというのがその主眼となっているのであります。審査は逐条的に政府当局と活溌な質疑応答が行われたのでありますが、質疑は主として第四十三条の解釈について、第四十四条の代位について、第四十五条の規定即ち市町村に対する委任事務ではないので市町村長が、この条例に依る申告書受理を拒んだ場合はどうなるか、「市町村長は市町村住民の福利増進を図るべきであって、これを拒むことはあり得ない。道徳的問題になるからそう拒む、ということは起らないではないか」、それから第四十九条の当該官の解釈についての事項に置かれたのでありました。
 次いで質疑を打切り討論に入りました処新里委員は、第三節「地目変更」とあるを「地目変換」に改め、第三十条第三項の「質権者」の下の「は」を削除し、第三十二条第一項「左の区別」の下に「の」を挿入し、第四十九条第一項の「当該官」とあるを「中央土地事務所係官」に改め、同条第二項の「当該官」を「係官」に改める。その他は原案通りとする修正意見を述べられたのであります。
 その他は別に意見はなく総員を以て新里委員の修正意見に賛意を表されたので本委員会は只今申上げました通り一部修正の上可決致したのであります。
 以上簡単ではありますが報告致します。
○議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。別に御意見はありませんか。
◎祖根宗春君 一寸伺いますが登記手数料で登記簿などを閲覧する場合は閲覧料が二十円となっています。而るに土地台帳条例によると第三十二条で台帳閲覧が一回十円になっています。同じ群島政府の事務であり乍ら登記簿の関係では二十円の閲覧料を取り土地台帳関係では十円を取るという風に差が出ています。これはどういう関係から差が出ているかその辺を御説明願います。
○法務部長(知念朝功君) これは登記簿と土地台帳の性格からして、登記簿は権利の保護という面が大きいからです。経済的価値があるものですからこうしたのです。
◎仲村栄春君 本条例第七条においては賃貸価格を市町村長が通知をすることになっており各市町村長は夫々の立場で賃貸価格が設定されているようです。
 従って政府は群島組織法第二条第二項B項(号カ)の各市町村の活動の綜合調整を充分して頂き各市町村の賃貸価格にむらが起らないよう充分に指導して頂きたいと思います。
◎議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十二号は只今委員長からの報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第七の議案第五十三号を議題と致します。法務警察委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
  沖縄群島家屋台帳条例
 (一九五一年七月二十日付沖縄群島公報第二十九号に登載済に付省略)
 (注 九二頁に掲載)
◎山城興起君 只今議題となりました議案第五十三号沖縄群島家屋台帳条例制定について、法務警察委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は第一条に規定されております通り群島内の家屋について登記所で家屋台帳を作製し必要な登録をする、分り安く言いますると家屋の戸籍をつくるというのがその趣旨となっております。本条例では登記所において一応家屋台帳を調製して、その後の異動につきましては、所有者からの申告に依って登録、修正、訂正をやって行く様になっておりまして、この条例は先程可決になりました土地台帳条例を相当準用する様に規定されているのであります。審査は逐条的に政府当局者と質疑応答を行なったのでありまして、質疑は主として第二条の附属家屋の限度如何、第六条第一項、第二項及び第二十四条の準用規定等に置かれたのでありました。
 次いで質疑を打切り討論に入りました処、稲嶺委員は
 第六条第一項中「家屋の賃貸価の」とあるを「家屋の賃貸価格を」に改め、同条第二項中「条正」とあるを「修正」に改め、第十五条第二項の「家屋台帳」の下に「の謄本」を挿入し、第十六条第一項中「第十条の規定により申告」の下に「を」を挿入し、第二十三条第一項中「当該官」を「登記所係官」に改め、同条第二項中「当該官」を「係官」に改め、その他は原案通りとして一部修正可決せられたいとの意見を述べられました。而して全員稲嶺委員の修正意見に賛成せられましたので本委員会におきましては只今読み上げました通り一部修正可決致したのであります。
 以上簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。只今の委員長報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十三号は委員長の報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第八の議案第五十四号を議題と致します。
 法務警察委員長の審査結果の報告を求めます。
最終案
  登記再開前に企業免許を受けた会社の取扱いに関する条例
 (一九五一年七月二十日付沖縄群島公報第二十九号に登載済に付省略)
 (注 九七頁に掲載)
◎山城興起君 只今議題となりました議案第五十四号登記再開前に企業免許を受けた会社の取扱いに関する条例制定について法務警察委員会における審査の結果を報告致します。
 商法第五十七条に「会社は本店の所在地に於て設立の登記を為すに因りて成立す」と規定され、即ち会社は登記されて始めて成立するのでありまして、本群島におきましては五月末日現在で株式会社一六八件、合資会社二三七件、合名会社三〇件の会社が既に設立されており、夫々商行為をなしておりますので、企業免許の日を以て成立したものと看做して効力を生ぜしめる様に致したいというのが本案の趣旨であります。
 本委員会はその必要性を認めまして質疑討論を省略致し総員を以て原案通り可決致したのであります。
 以上甚だ簡単でありますが報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。只今の委員長報告の通り原案可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って第五十四号議案は委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第九の議案第五十五号を議題と致します。工務委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
  沖縄群島道路条例
 (一九五一年七月二十日付沖縄群島公報第二十九号に登載済に付省略)
 (注 九七頁に掲載)
◎石原昌淳君 只今議題となりました議案第五十五号沖縄群島道路条例制定について工務委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は去る十四日の本会議において工務委員会にその審査を付託されましたので六月十九日政府工務部において本委員会を開催、全委員出席のもとに政府主務部課長の出席を求め、これが審査を行なったのであります。
 本案は現在道路維持管理の責任がはっきりしていないのでこれをはっきりさせたい。それから道路認定の根拠をはっきりさせたい。尚罰則を制定して道路行政の完璧を期したいというのが本条例案の主眼となっており、大体日本の道路法を参考にして沖縄の実情に即する様立案されているのであります。
 審査は逐条的に活溌な質疑応答がなされたのでありますが質疑は主として本条例第六条に置かれたのであります。即ち第六条に「道路を構成する敷地、その他の物件については私権を行使することはできない。但し所有権の移転又は抵当権の設定若しくは移転するのはこの限りでない」とされ私権の行使ができないと断定しておるがこれは土地使用料等を請求する権利をもないことに解されます。私権ということは個人の一切の権利であり道路構成のために一切の権利を喪失することになる。成程今からできる道路に対しては割方解決はつくと思うが既に今迄にできた道路に対して使用料その他土地代の請求ができないということは大きな問題である。日本と沖縄とは事情が異なる。沖縄では大分の道路は所有権認定前につくられている。軍は民に対し土地代や、使用料を払うとしておるのに何が故に本条例に依って自から取る権利を放棄するというのはいけないではないかということで色々論議されたのでありますが、結局本条全文削除することに意見の一致を見たのであります。
 次いで質疑を打切り討論に入りました処平良委員は左の通り修正意見を述べたのであります。
 第三条第二項の項頭に算用数字の2を附し、以下之に準じ各項毎に2、3の数字を冠すること。
 第四条第二行中「命令」とあるを「府令」に改む。
 第六条は削除する。従って六条以下各条は逐次繰上る。
 第九条中「群島内のものにつき」の次に「議会の承認を経て」を挿入。
 第十条中「路線につき」の次に「議会の承認を経て」を挿入。
 第十四条第一項第一行中「行政区画」を「市町村」と、第二行中「関係行政庁の一」を「関係市町村」と改む。
 第十九条中「管理者たる行政庁は下級行政庁」を「知事は市町村」と修正。
 第二十四条第一項中「道路の占用」の次に「若しくは使用」を加える。
 第二十五条第二行中「使用することを得る」とあるを「使用することができる」と、第三行中「管理者は」を「市町村長が」と改む。
 第二十六条中「管理者」を「知事及び市町村長」と改め、
 第二十八条第一項第二行中「管理者である行政庁の統轄する公共団体」を「群島又は市町村」と、同行中「行政区画」を「市町村」と、第三行第四行中「行政庁」を「市町村長」と、「調わざる」を「調わない」とそれぞれ改める。
 第二十九条中「市町村以下」の「以下」を削除する。
 第三十条中「第二十一条」を「第二十条」に、「第二十三条」を「第二十二条」に、「規定により設くる」を「規定により設ける」に、第三行終りの「得たる」を「得た」にそれぞれ修正。
 第三十一条第一行目より第二行目中「他の工事又は行為のため必要を生じた道路に関する」を「第十八条の規定による」と、第三行中「者をして」を「者に」に改む。
 第三十二条中「第二十条」を「第十九条」に、第三行中「管理者が同条下級行政庁の統轄する公共団体」を「知事が市町村」に、第三十五条の全文を「第二十一条の規定による工事の費用は特別の事由ある場合他の工事につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担せし(させカ)めるほか道路の管理者が負担しなければならない」と置換える。
 第三十六条第二行中「第二十三条」を「第二十二条」に、
 第三十九条第二行中「五ケ月」を「三ケ月」に改む。
 第四十四条第二行中「第一号にあつては行政庁において、その他にあつては管理者において」を削除し、「監督官庁」を「知事」に改む。同条第一号、第二号を削除し、第三号より第十号迄逐次繰上る。同条第二号中「第十八条乃至第二十条」を「第十七条乃至第十九条」に、次ぎに第三号と第四号を置換える(第三号は第四号に、第四号は第三号に)、第三号中「第二十二条」を「第二十一条」に、第四号中「第二十三条」を「第二十二条」に、第五号中「第二十四条」を「第二十三条」に、第六号中「第二十五条」を「第二十四条」に、第七号中「第三十二条乃至第三十六条」を「第三十一条乃至第三十五条」に、「負担すること」を「負担させること」に改める。第八号中「第一項又は第二項」を削除する。
 第四十六条中「五千円以下」の次に「罰金又は」を加え、同条第二号中「承認を得ない」の次に「で」を挿入、第五号中「正当」の次に「の」を挿入し、「第三十九条」を「第三十八条」に、第六号中「第四十一条」を「第四十条」に改む。
 第四十七条中「知事が」とあるを「府令で」と改める。
 その他は原案通りと致します。
 只今の平良委員の修正意見に対し全員賛成せられましたので本委員会としては只今読み上げました通り一部修正可決致したのであります。
 以上甚だ簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。只今の委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないものと認めます。依って第五十五号議案は只今委員長の報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十の議案第五十六号を議題と致します。経済委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
  沖縄群島植物防疫条例
 (一九五一年六月二十八日付沖縄群島公報第二十五号に登載済に付省略)
 (注 一〇一頁に掲載)
◎玉城泰一君 経済委員長仲里議員が病気欠席のため委員の互選に依り私が仮委員長の職務を行ないましたので私から只今議題となりました議案第五十六号沖縄群島植物防疫条例制定について経済委員会における審査の結果を報告致します。
 本月二十日群島政府経済部において本委員会を開催、委員七人出席のもとに政府関係主務部課長の出席を求め審査を行なったのであります。
 本案は本月十四日の本会議で経済部長から詳しく説明がありました通り輸出入の植物及び群島内の植物を検疫し、植物に有害な動植物を駆除し、及びその蔓延を防止するというのがその目的とされているのでありますが、根本問題として本案は全琉的な性質を帯びるもので、これは寧ろ中央政府で制定すべき筋合のものだと思われます。農林省としても立案中ではあるが、公布の時期が遅れる模様であり、群島政府においては早急制定の必要に迫られ、軍の了解を得て今回茲に提案した様であります。審査は逐条的に活溌な質疑応答が行なわれたのであります。質疑の主なるものについて申上げますと
 1 本条例は群島組織法第二条第二項のA号とL号の何れに基くものであるか、意見が分れましたが研究の結果L号に基くものであるとの解釈に一致致しました。
 2 次ぎにこの条例には輸出入に対する制限規定があるがこれは群島組織法第三条即ち防疫は群島の事務以外であるとの規定に抵触しないかとの疑義がありましたが法務部長の説明により「貿易事務とは港に入れる迄の事務であって港内に入って後検疫をすることは決して貿易事務ではない」ということになりました。
 3 第五条の「沖縄群島内の植物の移動は知事が指示するものに限り輸出入としてこの条例を適用する」となっており、第一条の「沖縄群島内の植物を検疫し」とあり、その関係はどうなるか。
 4 第十五条は損失の補償の規定であり、これは第十三条及び第十四条に依る防除を行なう為めに必要なる限度において知事が命令する禁止措置の場合は原則としてその損失に対しては補償すべきではないか。予算の都合で補償できないとすれば第十条に基く損失の補償もしないことに「第十条」も挿入すべきではないか。
 以上四点が質疑の主なるものでありました。
 次いで質疑を終了し討論に入りました処各委員から夫々本案修正意見が出ましたので、委員長において各委員の修正意見を聴取し修正案を作製致したのであります。次いで左記修正案を委員長から読み上げました。即ち第四条第二項一行目の「有割動物」の害の字の誤りを訂正し、第七条第一項中「又は信ず」を削除し、第十条第一項中五行目の「消毒」の下の「し」を削除し、第十三条第一項中「新に」とあるは「新たに」と改め、同条第二項中「三十日」とあるを「二十日」に改め、第十四条第一項第四号中「措地」とあるを「措置」に改め、第十五条中「知事は」の下に「第十条及び」を挿入し、第十六条の右方見出しに「(罰則)」を挿入し、第十八条第三号中「第四条」とあるを「第四項」に改め、第十九条中「尽されたこと」の下に「の証明」を挿入する。その他は原案通りとする。
 この修正案に対し全員賛成せられ本委員会としては只今読み上げました通り一部修正可決致したのであります。
 以上簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 本議題の討論に入ります。只今の経済委員長の報告通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないものと認めます。依って議案第五十六号は委員長の審査結果報告の通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 次ぎは日程第十一の議案第五十七号を議題と致します。経済委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
  沖縄群島農業改良委員会設置条例
  (一九五一年六月二十八日付沖縄群島公報第二十五号に登載済に付省略)
  (注 一〇四頁に掲載)
◎玉城泰一君 只今議題となりました議案第五十七号沖縄群島農業改良委員会設置条例制定について経済委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は知事の諮問機関として、群島及び市町村に農業改良委員会を設けて、農業の計画並に農民の有益且、実用的な知識の啓発、農家経営の合理化を図って行きたいというのがその主眼となっております。
 質疑は主として、群島の委員会と市町村の委員会の職務に関する事項、それから各委員会の委員は無給であり有名無実になりはしないか、各委員会の調査審議事項中、人事に関する件等でありました。
 次いで質疑を打切り討論に入りました処仲村委員は、第二条第四号として「農家経営の合理化に関すること」を挿入し、「第四号」を「第五号」に改め、第七条第一項第二号及同条第二項中「農業普及事業」とあるを主題と同様に「農業改良普及事業」に改め、第八条第四項中「農業を営む世帯に属する者で」とあるは不要につき削除し、その他は原案通りとして可決せられたいと述べたのであります。
 而して仲村委員の右修正意見に対して全員賛成し本委員会においては只今読上げました通り一部修正可決致したのであります。
 以上簡単ではありますが報告致します。
◎議長(知花高直君) 只今の経済委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十七号は只今委員長の報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十二の議案第五十八号を議題と致し経済委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
  沖縄群島農業研究指導所設置条例
 (一九五一年六月二十八日付沖縄群島公報第二十五号に登載済に付省略)
 (注 一〇六頁に掲載)
◎玉城泰一君 只今議題となりました議案第五十八号沖縄群島農業研究指導所設置条例制定について経済委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は沖縄群島における農業の改良発達を図るため農業研究指導所を設置し職員を常置して農業の改良増殖及調査その他の業務を行なわせるというのがその狙いとなっております。
 本案の研究指導所は現在名護、東恩納の二ケ所となっており、昨年迄は農林省所管でありましたが本年度からは群島政府所管に切替えられ一九五二年度予算には既に織込まれており、四月一日から発足しておるので単に事務手続が遅れたに過ぎないのであります。質疑は省略致しまして討論に入りました処仲村委員は左の様な修正意見を述べられたのであります。即ち、種畜関係は現在中央試験場所管となっておるのであるが、将来を見越して第二条第二号「種苗」の下に「種畜」を挿入し、それから沖縄の農業気象の重要性に鑑み第二条第五号として「農業気象に関する事項」を追加し、第五条第六条中「上司」とあるを「所長」に改め、第七条中「新に」とあるを「新たに」に改め、その他は原案通りとして可決せられたいとの意見を述べられたのであります。そこで右修正意見に対して全員異議なく仲村委員の修正案通り賛意を表されたので本委員会は先程読み上げました通り一部修正可決致したのであります。
 以上甚だ簡単ではありますが報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 只今委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第五十八号は委員長の審査結果報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十三の議案第五十九号を議題と致し、総務財政委員長の審査結果の報告を求めます。
◎稲嶺盛昌君 只今議題となりました議案第五十九号の沖縄群島市町村税条例の一部を改正する条例について総務財政委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は六月十四日の本会議において総務財政委員会にその審査を付託されたので六月十五日政府会議室に本委員会を開催し委員六人出席のもとに政府主務部課長の出席を求め、これが審査を行なったのであります。
 条例第十号沖縄群島市町村税条例に依る土地税の納期はその第一期が五月一日から五月末日迄と規定されておりまするが、市町村においては土地名寄帳の整備が未だ完成されてないため規定通りの納期においては土地税の賦課徴収ができない実情にあります。これは明らかに条例違反になりますので本年度に限り土地税の納期を市町村の実情に即して市町村の条例で定めることの特例を設けるというのが本条例の主眼となっております。審査は休会の上活溌な質疑応答が行なわれたのであります。即ち土地税の納期は家屋税、市町村民税の各納期とも睨み合わせ、尚納税者の立場も考えます場合寧ろ本年度に限り土地税のみでなく家屋税、市町村民税とも市町村の条例によって納期を定めることにしてはどうかとの意見もあったが、条例遵守、特例制定の趣旨から致しまして原案通りとすることに意見の一致を見たのであります。
 次いで本会議を開きまして更に質疑を重ね、それから討論に入りました処全員異議なく原案通り可決致したのであります。以上簡単ではありますが報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 只今委員長の報告通り原案可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って第五十九号議案は委員長の報告通り原案可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十四の議案第六十号を議題と致します。総務財政委員長の審査結果の報告を求めます。
修正案
議案第六十号
  知事の専決処分事項指定について
 左記事項を群島組織法第三十三条の規定による知事専決処分事項として指定してもらいたいので、議会の議決を得たく提案する。
  一九五一年六月十四日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
    記
一、米国民政府より補助金令達ありたる場合の予算の追加更正の件
  理 由
 補助金は、米国民政府の資金の関係で、その都度使途を指示して追加更正令達されているが、この場合緊急執行を要する予算の追加更正に関しては、これを知事において専決処分せしめるを適当とする。
◎稲嶺盛昌君 只今議題となりました議案第六十号知事の専決処分事項指定について総務財政委員会における審査の結果を報告致します。
 本案は軍の補助金が令達され緊急執行を要する場合知事限りで予算の追加更正をなし次回の議会において報告する様に致したい。原則としては議会の議決を経て後執行すべきであるが一々議会の招集を待っては予算経理事務に支障を来たすことになるので群島組織法第三十三条に依って知事の専決処分事項として本案左記の事項を指定して貰いたいというのであります。審査は休会の上政府当局と活溌な質疑応答が行なわれたのであります。質疑は主として本案左記事項が果して群島組織法第三十三条の規定に依る軽易な事項であるかどうか、それから左記一の「既決予算以外に」とあるがこれは「既決予算」にないそれ以外のものと解され、この字句の解釈からすると「既決予算」にはあってその補助金の増減令達があった場合は含まないことになるので指定の範囲がせばまれる結果になるのではないかという点でありました。
 次いで本会議を開き更に質疑を重ねそれから討論に入りました処、平良委員は
 『予算経理事務執行上本件の必要性は認める。米国民政府よりの補助金令達については組織法第三十三条に規定する軽易な事項とは認められないけれどもその令達ありたる場合の予算の追加更正についてと謳われ、提案の趣旨は事務的の問題として軽易な事項と認める。依って本案左記一を「米国民政府より補助金令達ありたる場合の予算の追加更正の件」と修正し、理由を「補助金は、米国民政府の資金の関係で、その都度使途を指示して追加更正令達されているが、この場合緊急執行を要する予算の追加更正に関しては、これを知事において専決処分せしめるを適当とする」に修正して可決せられたい』との修正意見を述べたのであります。その外に反対意見もなく平良委員の修正意見に全員賛意を表せられたのであります。依って本委員会においては前述の通り修正可決致したのであります。
 以上甚だ簡単ではありますが報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 只今委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って第六十号議案は只今委員長の報告通り一部修正可決致します。中食時刻でありますからこれで休みまして午後一時から再開致します。
  十二時三分休会

  午后一時五十九分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。本日はこれで散会致しまして明二十三日午前十時本会議を開きます。
  午後二時散会
出席者は左記の通り
     (六月二十二日)
     議 長 知花 高直君
議 員
 稲嶺 盛昌君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  松本 恭典君
 長浜 宗安君  山川 宗道君
 祖根 宗春君  山城 興起君
 新里 銀三君  新城 徳助君
 野原 昌彦君  崎山 起松君
知事       平良 辰雄君
副知事      山城 篤男君
総務部長     幸地 新蔵君
財政部長     仲宗根秀俊君
経済部長     呉我 春信君
工務部長     渡嘉敷真睦君
法務部長     知念 朝功君
文教部長     屋良 朝苗君
総務副部長    稲嶺 成珍君
財政副部長(注 欠落のため挿入)    久場 政彦君
文教副部長    仲宗根政善君
法務副部長    金城 信範君
警察本部次長   西平 宗清君

 一九五一年六月二十三日(土曜日) 午前十時十分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十六名、欠席四名であります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。
 民政官府から法令の解釈についての公文が議長宛に参っておりますので書記長をして朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」公文朗読)

 琉球列島米国民政府
 沖縄民政官府
一九五一年六月十四日
米民沖行法
   副官 軍務団大尉
    ルウイス・ピー・オーア
沖縄群島議会議長殿
  法令の解釈について
一、一九五一年六月十四日沖縄民政官府主席民政官に依つて会合が開かれたが、その時民政府法令に就いて疑義の点が挙げられたから、これに答える。
二、左の事項を御参考までに御知らせするから御指導願いたい。
a 布告は民政副長官が署名して公布するものであって、占領軍の政策の最も重要なる発布である。布告は後に発布する同一種類の法規によつてのみ廃止、修正、若しくは代替することができる。
 布告は内容別に一連番号を付ける。現在一連番号を付けてあるものを「民政府布告」と言つている。一番最初に公布された布告は一九四五年の「米国海軍々政府布告」であつて、それは特に廃止した事項以外は現在もまだ有効である。
b 布令は全琉球人若しくは一部琉球人に効力を有する立法的性格を帯びる条規であり、概して次の様な問題は立法的権能を必要とする。
 1 人民政府若しくはその他の機関の立法、司法及び行政権の創設及び賦与
 2 刑罰規程の設定
 3 税制の設定
 4 現行法令の修正若しくは廃止する(ママ)
 5 布令は民政副長官が署名して公布する。現在琉球列島に於いて法規を公布、之に署名する権限を委任されたものは民政副長官だけである。
c 民政府指令は非立法性の行政命令で副長官が各群島知事に公布するもので、各群島政府若しくはその行政管轄区域内の機関及び個人の行為を指示するものである。概して民政府指令は布告中にある非立法的条項を補足する行政的規定である。指令の適用範囲は全琉にまたがる事ができ、又しばしば全琉に亘るが地方的状況又は特殊の事情によつて米国民政府の下級的機関若しくは群島政府にその詳細内容の適用の指示を委任することもできる。民政府指令の発布権は民政府(ママ)副長官に委任されている。
d 命令は布告又は指令に附随するものであり、布令或は指令の範囲の広い条項の限度内に於ける特殊な手続、制限、人事事件、若しくは活動に関するものである。命令は次の如く厳重に限定される。
 1 一地方の特殊事情に依り必要とせられる解釈若しくは補足
 2 緊急時、これは副長官に照会して副長官が認可した緊急時の際でなければ之を発布することはできない。この種の場合は緊急命令と称する。
 3 命令は民政官府主席民政官がその権限内で群島政府知事に公布し、公布した命令はすべてその写しを直ちに民政副長官の許に送付する。
 4 命令はその発布当局たる民政官が毎年新しい一連番号を付ける。
三、民政副長官の権能に依つて琉球列島住民若しくは群島政府に責任、義務、特権若しくは権利等を賦与する為めに民政府若しくは民政官府が前記a、b、c及びdの各項に記述したもの以外に公式指令書を公布する事はない。
 本条項は覚書、回覧文書、物価価格表、標準手続法及び部内の内規若しくは通知等に関して民政府職員に対して発するその他の占領軍関係の命令等の公布に関する正当なる権能を決して侵すものではない。
右民政官の命に依り通牒する。
◎議長(知花高直君) 十六番議員(新里銀三君)から今期議会に提案すべき陳情案の送付がありますので書記をして配付致させます。
  (書記陳情案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第十五号
 第一琉球中央政府樹立に関する件につき陳情書を提出することについて
  (十六番議員提出陳情第五号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、琉球中央政府樹立に関する件につき陳情書を提出することについて
  (十六番議員提出陳情第五号)

◎議長(知花高直君) 只今より本日の会議を開きます。日程第一の陳情第五号を議題と致します。
  (書記長「新垣良正君」陳情第五号朗読)

陳情第五号
  琉球中央政府樹立に関する件につき陳情書を提出することについて
琉球中央政府樹立に関する件について別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
  一九五一年六月二十三日
    十六番議員 新里 銀三
宛 ・米国琉球民政副長官
経由・沖縄民政官
発 ・沖縄群島議会議長
題 ・琉球中央政府樹立に関する件
 琉球の政府機構は左記理由により公選による全琉統合政府が望ましい、依つてその実現方をお願します。
理 由
 1 税体系の一元化による住民負担の軽減
 2 行政事務簡素化による行政能率の向上
 3 各群島政府管下の土地人口は一政府をもつにはあまりに狭小である。
右第八回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
 一九五一年六月  日
  沖縄群島議会議長 知花 高直
○議長(知花高直君) 提案者の説明を求めます。
◎新里銀三君 一昨日本員から本問題に付きまして決議案として提案したのでありますがその後決議よりは陳情の方がよいと云うので昨日の本会議後、全員協議会に於て陳情文にすることとし、そして時間の都合で後になりまして起草委員を挙げることになり、その起草委員は議長の一任で七名の委員が挙げられたのであります。引続き午后二時から四時迄只今の会議室に於て色々検討したのでありますが、委員会に於て提案者の理由を以ちまして本員が委員長になりましたので茲にその理由を御説明申上げます。
 只今書記長が読上げました通り全琉球の政治機構が甚だ多岐に亘りまして実に複雑になっているのであります。群島政府を中心にしているところの諸問題もあり或は全琉に亘る諸問題もありますので例えば金融機関なり、農業、水産の経済部門なり、農林省の食糧問題と云うような問題が全琉に亘るのでありまして又行政部面に亘りましては各群島区々になっておりますので、此の小さい四つの島に四つの群島政府があり四人の知事があり、更にその上に中央政府があると云うことはあらゆる面から考慮した場合に総て事務の手続が複雑になりますので、此の事務の簡素化を計ることによりまして、同時に民の負担が軽減する事を予想致されますので、これが提案した理由であります。
 尚今一つは例えば八重山群島の如きは人口四万人、那覇市より小さい島に一政府を設けて、夫々の機関を設けて職員を置くと云うことは非常に民負担の過重であることを考えました場合出来る丈け早く解決しなければならないと云う理由で提案した訳であります。
 最も大きな理由は政治的問題も関連致しますが市町村及び群島管下に於ては自治政府が既に設けられ民選による市町村長及び知事が選任され夫々自治能力を十二分に発揮している今日、その上に立つところの中央臨時政府は民選に依らず官選によって総ての政治を執ると云う事は官僚独善政治が施行されるうらみがありますと同時に民の負担から来るところの、例えば群島政府に於て民負担を軽減するために特別商品税その他の税外収入を考慮しているのに、それを臨時中央政府がすっぱ抜いた場合は群島政府の予算が狂ってしまうと云うような悪結果を来すのであります。
 それでこれは早く統合致しましてこう云うような民負担の軽減を図ると同時に事務を簡素化して行くと云うのが狙いであります。以上の理由で提案したのであります。何卒皆さんの御賛同を得たいと思います。
○議長(知花高直君) 御意見を伺います。御異議ありませんか。
○稲嶺盛昌君 休会をしてゆっくり審議を進めた方がよいと思います。
○議長(知花高直君) 暫時休会致します。
  午前十時二十五分休会

  午前十一時二分再開
◎議長(知花高直君) 開会致します。陳情第五号に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして原案通り可決致します。
 今期議会に於ける提出議案全部終了致しておりまするが閉会する前に更に休会を致しまして各議員から当局に要望したい点も色々あると云うことの申出がありますのでこれから引続き当局との懇談会を開催致します。
  午前十一時四分休会

  十二時五十五分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。
 今期議会は十四日から本日迄十日間に亘り知事提出議案十五件、議員提出陳情案五件が審議されたのであるが其の間各委員会に於ける熱心な審査に対して感謝致します。
 これで今期議会を終了致します。
◎知事(平良辰雄君) 今期議会は十日間皆様が御熱心に慎重審議を終えられ茲に提出諸案件を可決して頂きまして誠に有難う御座いました。次の議会に提案予定の一九五二年度予算の更正、市町村制の改正案其の他等重要問題がありますので議会前に於きまして各部と各常任委員会と十分なる御連絡を取り研究して頂きますため開会予定日を繰下げ第四週木曜日に開催することに致しました。有難う御座いました。
  午后一時閉会
出席者は左記の通り
     (六月二十三日)
     議 長 知花 高直君
議 員
 稲嶺 盛昌君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  松本 恭典君
 具志頭得助君  長浜 宗安君
 山川 宗道君  祖根 宗春君
 山城 興起君  新里 銀三君
 新城 徳助君  崎山 起松君
知事       平良 辰雄君
副知事      山城 篤男君
総務部長     幸地 新蔵君
財政部長     仲宗根秀俊君
経済部長     呉我 春信君
工務部長     渡嘉敷真睦君
文教部長     屋良 朝苗君
警察本部長    仲村 兼信君
弘報室長     崎間 敏勝君
総務副部長    稲嶺 成珍君
経済副部長    知念忠太郎君
工務副部長    西銘 順治君
厚生副部長    大森 泰夫君
法務副部長    金城 信範君
警察本部次長   西平 宗清君
文教副部長    仲宗根政善君
 一九五一年十一月十二日
  沖縄群島議会議長
      知花 高直 サイン
 一九五一年十一月十三日
  会議録署名人 石原 昌淳(印)
 一九五一年十一月二十日
  会議録署名人 崎山 起松(印)
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