戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1950年12月19日 
(昭和25年)
会議名
第2回沖縄群島議会(定例会) 1950年12月19日
議事録
一九五〇年十二月十九日(火曜日)午前十時十六分開会
◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
 議事日程第五号
 第一 知事の政務報告に対する質問
 第二 群島組織法第三十九条に基く意見書提出について
    (稲嶺盛昌君提出 議案第一号)
 第三 群島組織法第三十九条に基く意見書提出について
    (仲里誠吉君提出 議案第二号)

○本日の会議に付した事件
日程第一 知事の政務報告に対する質問
日程追加 校舎建築促進陳情の件について
    (普天間俊夫君提出 議案第三号)

◎議長(知花高直君) 開会いたします。出席人員十八名、二名欠席であります。
  それでは知事の政務報告に対する質問に入ります。
◎崎山起松君 当初予算に対しましては、当時の知事の施政方針並に財政部長の予算編成方針などは知りませんが、課税が的確に徴収せられなかったために、議決された予算が収入減となっておりますが、これは要するに課税の方針が悪いか或は徴税の機構が悪いか、又はその何れか悪いかに決っているのであります。更に又各議員からも税制の改革を叫ばれ、更に税率の改正を要求せられている点から見ますれば、勢い諸税制に対する改革が目下の急務だということは当然考えられるのであります。これに対しまして諸税制の改革を知事はなされる意志があるかどうか。又なされるとするならばその時期、所謂新年度迄にそれを改革するか又は来年半ばにこれが改正を行うか、その点について当局の御意見を承りたいと思うのであります。無論私が年度半ばということは予算の蹉跌を来さない上の、いわゆる年度半ばの税制改革についてであります。その点繰り返しておきます。次に今度取られなかったところの軍労務者の勤労所得税、これは来年度に於て取られるということをはっきりいわれているが、これは間違いなく来年度予算に過年度収入として計上されるかどうかということを公約していただきたいと思うのであります。
  次にお聞きしたいのは、今日地方農民の疲弊は殆ど家畜伝染病によって招来せられているということは知事もよくいわれ、又この撲滅予防に対しましても相当お力添をなさっていることはよく分っておりますが、私のお聴きしたいことは、むろん数字上に於ておききしたいのでありますが、知事の数字上の御報告に対しては斃死豚数、更にそれの価格の見積などについてでございますが、私の聴かんとするところは死んだ豚の数、或はその見積価格よりは今後撲滅予防に対するところのいわゆる薬の入手先は日本か、アメリカか、或はその数量、或は予防液の効力如何。又現在豚に対してその数量はどの程度位予防をなせるか、その点についての数字をおききしたいと思うのであります。なお今後豚が相当繁殖して行くものと考えた場合に、ここに沖縄としては当然血清所を設けなくちゃならぬ。その血清所をお建てになる意思があるかどうか。その点について承りたい。なお建てるとすればその費用に対しては知事としては農林省の補助金として建てるか、また農林省をして建てさせるか、また群島政府の予算からこれを建てるか、その方面についても御意見を承りたいと思うのであります。
  次に教育関係についてであるが、今日優良教員或は相当の教員が中央に集まっているような感があります。これは何かといえば、初等学校、中等学校、或は高等学校の俸給の差額が余りにも小さい。そういう関係で優良教員は中央に集まって地方には行かない。従って学力の優劣も自ずと決るような訳であります。最近教育の機会均等が叫ばれている今日どうしても教員を適材適所に配置して、そして教育に重点を置いてわれわれの子弟を教育して行かなければならぬのであります。その点につきまして是非とも教員の差額をあく迄も大きくしてそして優良なる教員が地方にも行っていただくようなお考えがあるかどうか。またこれが予算面に盛られなかった場合にあく迄も人事の交流をしてそして教育の均等を計っていただく意思があるかどうか。この点については文教部長の信念ある答弁をお願いしたいと思っております。
  次に最近地方の経済が非常に疲弊困憊に陥っているのであります。従って市町村としても是非とも最低の設備の強化を計らなければならないといって努力しているような訳であります。その際に知事が新聞紙上に平衡交付金制度のことについて御発表になったので、地方の方では多年知事が行政にあられた関係からして知事になると同時に予算の見通しもおつきになって、すぐにこういう制度を設けられる実に有難いと感謝しているのであります。その収入面に対する知事の見通しまた制度の方法その他について承りたいと思っております。
○知事(平良辰雄君) 第一番目の御質問の税の問題であります。これは既に何べんか御質問を受けたと思うのでありますが、税制を改革する意思があるか、それはいつ頃できるかという問題でありますが、意思があるということを表明してあります。そしてこれの時期の問題であるが、これは現在軍政府の方で、中央、地方税の根本になるような法制を研究中であります。これを早く出してもらわなければ、われわれが来年に間に合わないからということを、しょっ中申上げておりますが、また明日も軍との連絡会議がありますので真先に申上げるつもりであります。これがはっきりすればそれに依てこちらも税制の体系を整えなければならない。それはいつ頃できるかということは大体軍との折衝もありますので、われわれとしては来年度から実施したいという意気込みである。そういうために議会の委員会においても研究されまして、来年から実施できるように政府と議会が充分連繋をとって努力していただきたいということを特にお願い申上げる次第であります。
  それから平衡交付金の問題も既に何べんかお話申上げたのでありますが、これも税制との問題に関係しますので、単に平衡交付金をやるとかやらんとかいったものは税制の確立を俟ってでなければ、これは簡単にはできない、そういう按配でこれは両方一しょに考えていきたい。こういう風に考えております。なおその他の軍労務であるとか家畜伝染病、教育の問題については各部長から答弁を申上げたいと存じます。
○財政部長(宮里勝君) 軍労務者の勤労所得税につきましては、九月以降は軍の方で源泉徴収を致しておりまするが、四月から八月までは徴収致しておりません。これは税務署の方でカードを作って未徴収を整理しておりますのでこれが出来上り次第即時徴収することに致しております。
○経済部長(呉我春信君) 家畜伝染病についてお答え致します。来(去カ)年一月から六月迄の間に家畜伝染病の犠牲になった頭数が三千頭であります。これを一頭約五千円と見積りますならば、千五百万円の損害という計算になるんであります。現在畜産はうんと殖やすということが主眼でありますので、家畜を買入れて増殖するという面とこの伝染病に依て犠牲を蒙るのを少くしようという消極面もあろうと思います。
  この予防については今年(ママ)から来年中(ママ)に第一次の予防接種を致しました。数は四万八千五百六十五頭というのが予防接種を行ったのであります。それから丹毒のが三万一千五百六十九頭になっております。これの薬品は現在迄主として日本とアメリカから入れておるのでありますが、これは時期を失したり或はその薬品が用途を失ったりする場合もありますので、今後は是非とも沖縄で生産しなければならぬという建前から致しまして、計画中でありますが、幸い農林省の管轄で今年琉球家畜衛生研究所というものが認可されたのであります。元の畜産試験場跡にこれの設置を見たのであります。それの今後の運営に依て、ここで、この予防薬が出来るものと期待しておりますし、又農林省でもそういう計画を進めているようであります。大体以上の通りであります。
○文教部長(屋良朝苗君) 文教部への御質問にお答え致します。
  最近教員の資格者が都会に集中しておりますことは御説の通りであります。終戦後教育の機会均等の立場から学校が分散致しているのでありますけれども、然し教員がこういう風に偏在しては実質的には教育の機会均等にはならないと思って、私達は非常にこれを心配致しております。何とかして実質的な機会均等たり得るように、教員の配置も考えねばならぬと思うのでありますけれども、今日はそういう風にはいっておりません。その理由は、従来地方に配置されておりました教員は、大体地方の方は地方出身者の教員だけでは充たされていなかったので首里、那覇の教員が地方に進出して行って補っていたような有様でありましたが、終戦後それが不可能になりました。何故ならば生活が非常に困難であり、住居がない。そして地方に行きますと、この生活問題、住居の問題で非常に困窮を加えまして、どうしても郷里に帰って自分の家から通わなければならないという状態になっているのであります。そのために首里、那覇地区に多く分布している訳であります。首里、那覇の教員が全部都市に集中したために今日のような状態になっているのであります。戦後こういった傾向が特に目立ちますので何とかしてこれを是正しなければならないと赴任以来何か方法はないものかと考えておりますけれども、せめて校長、教頭あたりでも人事の交流をして都会から田舎へ、田舎から都会へと交流したいと思うのでありますが、住居の問題が解決がつかないので、これも思うようには参りません。最近もある学校に校長を任命するのに住居がないので、赴任を思い止まったことがあります。元来ならば学校の附設建物として校長住宅も建ててそこに校長に住ってもらうべきでありますけれども、それが、教室さえも充分造れないような状態でありまして、住宅にまでは手が出ない。そこでわれわれとしても各村にでもお願いして校長住宅だけでも解決してもらうよう交渉しております。国頭では出来ておりますが、中頭、島尻では今のところ不可能であるという町村長の話でありまして、従って校長、教頭あたりも、その町村出身が行くことしか出来ないという現状であるが、然し何としても、この問題はだんだん解決していかなければならない問題でありまして、文教部と致しましては、これから町村と充分連絡をとって、先ず始めに校長、教頭の人事の交流を致し、それから先生方にそういったような根本精神を了解していただきまして、又例えば地方に行けば俸給も是正して、喜んで行けるようになるとかという風にしていきたいと思うが、今のところ必ず人事の交流を断行して御心配をなくするということは自信を以てお答えすることは出来ない現状であります。
◎崎山起松君 ちょっと忘れたことでありますが……、知事は官営事業をやられる。力強く発足されることは誠に結構だと思いますが、官営事業の中には陸の面は大分盛られているように承っておりますけれども、海の面は盛られていない。最近知事は自立経済を謳われているので、自立経済の一助をなす意味に於て官営の海運業をやるかどうか、それについて承りたい。尚もしこれをおやりにならんとするならば今の船会社を助長育成してそれの完璧を期されるかどうか。
  財政部長にお聴きしたいが、私の質問はとれないところの税金を確実に取って、そして過年度収入としてこれを予算に計上してもらうように公約してもらいたいという意味の質問であります。
○知事(平良辰雄君) 海運事業についての何か計画があるかと申されましたが、今のところ海運事業について官営でやろうという考えはもっておりません。現在の状勢としましては、海運事業というものが果して官営でうまく行くかどうかということは非常に研究問題でもありますし、また将来に於てもどうなるかということも無論考えなければなりませんが、大体の考え方としては交通とかいったようなものはやはり官営を考えるべきぢゃないかという位のことしか考えていません。
○財政部長(宮里勝君) 今の御質問は軍作業員の勤労所得税の徴収期間のずれの収入を過年度収入として計上するかという御質問でありましたが、これは当然入って来る税収入でありますので、来年度に入りましたならば、過年度収入として当然挙ぐべきものだと解しております。
◎仲里誠吉君 知事並に関係部長に質問します。知事は先達ての施政方針の説明の中において都市における水道の施設を考えておられるということを言明されましたが、大変結構なことであります。然しながら農村面における水利の問題には全然触れられていない。この農村における水利問題の解決をするについてどういうことを考えておられるか、就中具体的な例をあげると、兼城村においては数十町歩に亘る水田の唯一の水源として与座川があるが、これが現在軍の施設に引かれて水を殆ど失って約二十町歩の水田が枯死の状態にある。例の北谷の「ターブックヮ」も住民として唯一の水源であったが、軍関係に押えられて非常に窮屈な思いをしている。新聞にも発表されたように伊計島も唯一の水源が軍に取られて飢渇を訴えている。知事はこの事実を知っておられるか。知っておられるとすれば、その解決に何らかの手を打たれたか、又は打とうとしているか、それを伺いたい。
  それから金融問題には殆ど触れられていないが、商業金融は琉銀があり、産業資金として復興金融金庫が設けられている訳であるが、中小金融に対する機関が全然ない。それに対する知事の意見。それから次は労務面であるが知事は去った新聞紙上によれば軍作業に於て生ずるところの災害を受けた労務者、これに対する災害賠償の問題があちこちから火の手があがって、軍と折衝したが、軍の予算から払うべきものは払っていく、それ以外の民間のものは全部支払済であるということを発表しておられるが、事実民関係から出るものは支払済であるかどうか、自信をもっていい切れるかどうか。
  前志喜屋知事並に平良知事は民政府職員に対して四月二十日に遡って七月三十一日迄の五〇パーセント増俸を公約されたのであるが、今度の追加予算にはこれが出ていない。これは勿論それだけの財源がないためであって、これはわれわれとしても了解するところであるが、今後この公約をどうされるのか、然もこれは全職員に対して四月何日か附で発令済である、まだ金を渡してないが、この問題をどう処理されるか。
  それから昨日の更正予算の審議のときに本議員の質問に対して知事並に経済部長は農林省の補助金、防疫費、これを来月の追加更正予算に計上するということをいわれたが、自信をもってはっきり公約できるかどうか。
  協同組合の問題であるが、社会大衆党党首としての知事の談話には現在の農村経済を救うには協同組合以外にはないということをいっておられる。これに対しては満腔の賛意を表するが、施政方針には今後協同組合をどうするか、現実の具体的問題としてこういうのがある。新聞紙上の報道によるのであるが、現在真和志に於て大豆から油を搾る会社が出来ることになっている。これは当然農村に於て組合、できれば協同組合によってやるべき事業ではないかと思う。
  それから又価格政策の一端であるが、農連が、現在農民が貿易庁の放出物資を高い価格で買わされているので、それを緩和するために農連としてもこの販売に参加して、農村に安く品物を流したいということを意思を表示しておったが、途中でその意思を撤回しているが、農村に安い消費物資を安く流すのに単に商業機関だけに任せておいていいか、特に現在の社会経済態勢に於ては、農村民も或は水産業者は所謂消費者価格と彼等の生産者価格との差額が余りにも大きく、即ち鋏状価格差で悩んでいる。これを金融機関、商業機関だけに委しておいていいか、沖縄全島の物価政策として如何なる抱負をもっているか伺いたい。
  それから国際状勢の今後の転勢についてどういう見通しをもっているか、又これが沖縄経済に如何なる影響を及ぼすと見ているか、その見ておられる影響に対して如何なる政策を樹てんとしているか、それを伺いたい。
  次に財政部長に対して、昨日の予算審議に於て財政部長は有価証券移転税は早い、それは軍ではまだ所有権を認めていない。従って動産に対して課税することは出来ないと言明されたが、然らば何故差押をするか、その対象は動産である。何故有価証券は早いといいながら片方に於て大衆の動産を差押えようとするところの政策を推し進めて行こうとされるのであるか、又副部長は昨日の時間切れに於て、政府が強制的に財政資金として人民から取上げたものを更に又人民へ何らかの形に於て還元しなければならないという本議員の意見に対して、人民への還元ということは末梢的なものであると言明されたが、これは聴き捨て難い問題である。何故ならば財政には常に社会政策が加味されていなければならない。即ち国民所得の再分配ということは、財政政策の最も基本的なるものの一つである。それを財政副部長は否定されたのであるが、その理由。
  それから経済部長に対して、この知事の施政方針に於ては農産(業カ)生産手段並に水産業の漁獲手段の科学化ということが、全然謳われていないが、この点に対する意見如何。農業生産、水産漁獲の科学化されつつある現在経済部長の所見如何、考えておられるか、考えておられるならば如何なる研究を進めつつあるか--その研究面に於ては群島政府の管轄外ではあるが--それにしても経済部長の経綸若しくは抱負を伺いたい。
  文教部長に対して、これは一応新聞紙上にも発表されたが、沖縄全島の各学校に於て学力テストをしている。その結果を新聞記者に一部は発表しているが、他は資料を当局が提出しないから発表されていない。本議員も二回、三回にわたって文教当局に資料の提出を要求しているが言を左右して断っている。その一部を見ると、これは算数のテストである。これは初等学校六年生に対してテストを行ったのであるが、このテストの問題を見てみると戦前のわれわれの観念でいって初等学校三年程度の問題であると思われるけれども、その結果は全島統計であるが、学校別平均点、最高六八・七点、最低六・三点、勿論百点満点であります。結局これは沖縄の全学童の八〇パーセントが五〇点未満をもらっているということになるのであります。この問題を本議員は、解明したいと思って当局に再三足を運ぶのであるが、言を左右してその結果を発表しようとしないが如何なる理由で発表しようとしないのであるか。学力低下の問題は放っておけば民度の低下、ひいては財政経済あらゆる面に影響するものである。民族勢力の縮小再生産を意味することに外ならない。即ち民族の運命が刻々として低下することを意味する。それを秘密にしようとしている理由如何。
  それから警察部長に対して質問します。現警察部長は警察の民主化が完全若しくはそれに近い程度迄こぎつけていると思っておられるかどうか、例えば被疑者を取調べる際に、警官が拷問して取調べる、なぐったりけったりするような傾向はないか、又そういうことは跡を断ったと思われるか、或は又威嚇的な「おいこら」「貴様」のような態度をすることが残っていると思われるがどうか。以上の点について伺いたい。
○知事(平良辰雄君) 第一番目に水道問題について、民の使っている水源から軍が相当取っているということは、その通りでありまして、われわれも全般的に調査して、これこれ何処何処ということはまだやっておりませんが、そういう話は聞いております。無論軍の方でも必要なものは必要でありましょうが、民としても又生きるためには必要であると考えますので、その点については軍が従来の水源を取っておれば又別にこちらは水道を設けるというようなことに対しては軍の援助も乞いたい。こういう風に考えている。そして農村の水源というのは、ずっと戦前からも水が少くて天水甕を造ってやったり、或は水道をひいたりしてやったり相当に政府で助成していた事実もありますのでそういう面にはその状況に応じて適当な施設を講じて行きたいと思っております。
  金融問題でありますが、これは群島政府の権限にはなっていないので報告はしていないかも分りませんが、これは私の考え方としましては、特に農漁山村関係の金融についてはどうしても特殊の金融機関を設けなければならない。そういう考え方からしまして、農林省の時代にそれを強く主張しまして、大体成案も出来ているようで、近い中にこれの発足を見るようになっていると思います。その点われわれの方から知事としても農林省や或は軍政府にもそれを早く実現してもらいたいということを、しょっ中お願いしているのであります。そうなりますというと、農漁山村に対する金融が又活溌になって来ると考えている訳であります。
  それから災害補償法は民の方は全部払っているが、はっきり答弁することが出来るか、こういう資料をもっておりませんので、はっきりは出来ませんが、話では民の方は大体払っているが、軍の方が払っていないということは全部しらみ潰しに調査していないのではっきりないということを答弁しきれんのを遺憾に思います。軍の方では予算がないからというので今までずるずるべったりになっておるのでありまして、予算がないから払わないということはいけない。これは布告にもあるから是非払ってもらいたいということを再三に亘って折衝しまして、今軍政府の方で全部の財政問題或は俸給未払が相当ありますのでそういうものは研究中であります。
  それから職員に対する五〇パーセントの増俸を公約した、発令はしたがこれに対して知事はどうするかという話でありますが、これは財政を見計らって徐々に支払ってやるような話で進んだそうであります。それは私としてもそういう風な考えをもっているのであります。それから農林省の問題ですが、農林省の補助金の問題はまだはっきりしていないようでありますが、多分来月のものには間に合うのぢゃないかと考えております。若し来月に間に合わなければ、次の議会に於てその予算の内容については皆様に発表する機会を持ちたいと思っております。
  協同組合の問題でありますが、これも農林省の管轄でやっておりますが、農林省におりますときも真先にこれを取上げて今の農民金庫協同組合法の制度についての交渉に殆ど終始したのでありますが、これもこの金庫の方と一しょに協同組合法が遠からずできると思っています。それで協同組合の育成発達にはこちらとしても無論推して行きたいとこう考えているのであります。
  それから色々な商業機関にばかり、すべて委してはいけないというようなお話でありましたが、大体軍の方針というものは、商業の自由ということを主点にしているように承っています。推察しています。それで協同組合とかいうものを作って是非こういう消費者大衆或は小さい生産者を保護するという行き方はどうしても必要であると考えますので、その協同組合や消費組合の建設によって、その助長育成によって是正して行きたいと、こう考えているのであります。
  物価問題についての対策でありますが、これは非常に難しいものであって、これを短時日に解決しきる人は恐らくいないと思っています。それはいろんな沖縄の現状としては今のところは輸入物資が多いから、この輸入物資と生産をにらみ合せて適正な輸出を計るというような方法が先ずとられなければならないと思うのでありますが、こういう面について、今実際の生産統計といったものが非常に杜撰でありまして、適確な生産統計が出ていないのであります。農林省の調査局で今的確な資料を得るために努力しております。殆ど町村から蒐集したものでは余り参考にならんようなものもありますので、国勢調査、農業調査というようなものを俟って、総べての需給関係を調査して物価の対策を決めるべきではないかと考えているのであります。
  それから国際情勢についての問題でありましたが、自分としては国際情勢は現在のところ殊に経済面に於ては沖縄は、やはり或る程度自給自足の態勢を整えなければならないのぢゃないか、こういう様な考えをもっている。そういう方向に経済政策を樹てていきたいと考えているのであります。
  後の問題は各部長から答弁致します。
○仲里誠吉君 財政部長並に経済部長、文教部長の答弁をされる場合は本議員は耳が遠いですから、なるべく大きな声で答弁されることを希望します。
○財政部長(宮里勝君) 有価証券移転税の問題は昨日私が申上げた答弁を仲里議員は聴き違いしているように思います。私が昨日申上げたのは速記録を御覧になればよく分ると思いますが、有価証券移転税はこれは流通税として課税すべきものではあるけれども、これに課税しても今証券の発行が僅かであって大した金額にはならない。又これに課税すれば収入印紙の発行もまだ出来ていませんので時期尚早である。こういう意味であります。動産の所有権の否認云々のことは相続税の問題に関連してでありまして、この方はまだ所有権の確認は、確認されたようにもなっておりますが、まだ登記所も出来ておりませんし、相続税の大部分をなす不動産の完全なる補捉が困難であるのでこれも将来考えたいというのでありまして、動産の所有権を否認したような話はしておりませんので、これは私の答弁を聴き違いをしておられるように思います。訂正しておきます。
○財政副部長(久場政彦君) 昨日の予算面に於ける民衆への支出のことについて、還元が末梢的なものであるという風に、これも一つの曲解をしていると思います。私は財政面の問題が、国家財政の支出というものが一般の民衆に還元されることが末梢的なものであるといったのでなくて、今度の追加更正予算の七十パーセントが人件費、二十九パーセントがその他の費用である。その殆どの部分が商業者へ振り向けられるもので、それの農村への還元がないという、その問題の捉え方そのものを末梢的だといったのであります。これは現在の政府が資金的な余裕がない、事業面も受持っていない、積極的な農業施設、工業施設に手の出せない現状に於ては殆ど人件費であり、残りが行政執行上に必要なる備品、消耗品そういったものに振り当てられる予算である。そういった用紙や備品を購入する関係上勢い商業者の手に落ちるのであって、農民から用紙や備品は買えないが大部分が商業者に向けられて農村に還元していないから農村を無視したやり方だといったことに対して反対をしたのであります。この予算に於てはそういった事業面の資金がないために積極的な農村への給付という形がないのでありますが、結局経済部の人迄狭かった経済部の機構を拡大充実してそして農業政策、農業上の事業を遂行して行くための機関を一応揃えることに依て、間接的に農村のためにそういったものが還元して行くのであるということを申述べたのであります。決して農村への還元というものが末梢的だといったのではありません。
○経済部長(呉我春信君) 農業水産面に対する生産の改善の抱負を聴きたい、私はそう聴きましたが間違はありませんか。
○仲里誠吉君 科学化であります。科学を通じての改善であります。
○経済部長(呉我春信君) まず農業面に於ては本島の農業は非常に土地が狭く生産手段に於ても非常に幼稚な点があると私は見ているのであります。然もその農業面の悪い特徴と致しまして、本島の気象が雨期、暴風雨期、乾燥期、この三つに分れているような感がするのであります。この気象状態からしますれば農作物が非常に気象の障害を受けている。暴風雨の場合は一朝にして農作物が被害を蒙るとか、或は折角耕作したものが雨期にあって出来なかった。こういう天候に支配された悪い条件を多分にもっているというような感がするのであります。従ってこの自然に幾分たりとも対抗し得る農業政策がとらるべきであると考えているのであります。その自然と太刀打するには水のないときには水のあらす方法をとる、暴風雨期にはその対策を行うという面も充分行われねばならんと考えているのであります。従いまして具体的には如何なる方向に持って行くべきか。先ず私は農業の基本的な施設としてダムの構築を--これは無論軍並に農林省の助成の下にダムの構築をすべく今基本調査をさしているのであります。水は農業にとって一番の生命でありますので、これを水田にするなり或は甘蔗作をするなり、藷作をするにも水が必要でありますので、先ず水の便を図るのが第一番ぢゃないかと、こう見て目下これを調査さしているのであります。その他農具の改善、その他いろいろありましょうが、まず基本的な方向としてはいま申上げた通りの考えをもっているのであります。
  次は水産面でありますが、沖縄の水産は有望だとよくいわれているのでありますが、その生産高に於きましては、日本と比較した場合約五分の一程度であります。的確な数字は覚えておりませんが、確か一年の一人当り生産高が〇・六トンと覚えています。日本に於ては五倍の約三トンであり、アメリカに於ては六トンであります。この生産率の低い沖縄に於ては、やはりこれを向上させるというのが第一の眼目であらねばならぬと思うのであります。それを具体化するには生産の近代化を図る、その生産の近代化を図る面は多々あろうと思うのであります。第一番に施設が不充分である。魚はいるが氷がない、或は大漁して来たがそれを貯蔵する貯蔵庫がない。そういう面が逐次改善されなければ、その水準迄は上って行かないと思います。なお船につきましてもその通りであります。或は港湾施設、その他の設備に於きましてもその緒についたばかりで、やっと氷の問題が来季から解決されるような按配であります。なお貿易その他輸出をはかるにはどうしても冷凍設備が早急になされねばならぬと思いますので、この面も逐次改善の途につきつつあります。大体抽象的ではありましたがその根本を捉えて申上げた次第であります。その線にそうて進みたいと考えております。
○文教部長(屋良朝苗君) 私からテストについてお答え申上げます。学力テストはこれ迄のやり方とどういうところを違えたかと申しますと、私共が現在の生徒の学力がどれだけあるかを科学的に調査をしてその上に指導して行こうという目標で進めたのであります。科学的に徹底的に調査をする。その上に立って指導を施して行く、むしろ指導の面に重きをおいて学力テストをやった。従来学力テストについて弊害を生じました。これは、それの結果を見てその学校を評価するというようなことになってしまって、その学力テストの悪い学校は、悪い学校というように考えられ勝になったために、いろいろと弊害を生じて来ました。それで私共はこの学力テストによって根本的に、科学的に調査をして指導するというところに重点を置きましたので、各学校の順位を決めてこれを発表するのを控えたのであります。それは又校長会に於ても要望しておりまして、若し各学校の順位をつけて発表するとなると、いろいろな弊害が予想せられるのでありまして、その点私ども他の方にも余り公開しないようにしております。その点だけを公開していないのでありまして、その内容の実態については御要求があればいくらでもお報らせ致したいと思います。恐らくは仲里さんが要求されていることが、まだ充分調査が進まなかったか、或は学校の順位のことをおききになられたか私はおりませんのではっきりしませんでしたが、その実態については私は詳細に亘って発表したいと考えているのでありますが学校の順位とかそういうものについては只今差控えているような次第であります。
○警察部長(仲村兼信君) 仲里議員にお答え致します。先程の御質問は現在の警察が民主化しているか、民主化していると思っているのか、或は取調の際に拷問その他威嚇の事実はないかどうかという御質問のように承ったのでありますが、現在の警察は完全に民主化しているとは申上げられんのであります。甚だ遺憾でありますけれども、まだ勉強の途中でありまして、民主警察の線にそうて理想的な民主警察へもって行くべく努力をしていることは事実であります。あらゆる角度から新しい制度などを研究致しまして、全警察官に対しましてこれを徹底せしむるということにいま最善を尽している半ばであります。幸に致しまして昨日公安委員が御承認になりましたのでこれから本格的な制度の改革或は民主化への移行ということが着々実現して行くものだと期待致しております。なお取調の場合の拷問或は威嚇の問題でありますが、これも現在ではないと信じております。また極力それを防止すべくあらゆる手段を尽しまして、方法を講じまして、その防止に最善を致しております。
◎平良幸市君 知事の行政報告に対し希望を申上げて、関係部課に二、三だけ質問を致します。今期議会に於てなされた知事の行政報告は、その構想に於て、内容に於て終戦後はじめて沖縄民衆に大きな希望を与えたものであると信じて本員は感謝の意を表します。
  従来なすべくして為し得なかった政府職員の人員整理は一には群島組織法によるものであったとはいえ、知事就任早々断乎として、これを決行されました点は誠に感謝にたえません。今後山積された幾多の問題をかくの如く断乎として処理してもらい、そして民衆のための政策実現に邁進していただきたいと希望致します。人員整理に引続く問題は事務の簡素化であると思考されますが、この点は政府当局は充分御配慮のことと思うのでありますが、これと関連致します点は、各市町村に於ても現在事務の簡素化については一生懸命にやっているのであります。従来兎角民政府から市町村へのいろいろな調査の依頼物があの部からもこの部からも似通った調査ものが間々あったのであります。今後は横の連絡を密にされ、こういう二重の仕事を各市町村にさせないように御配慮を願いたいと思います。これは知事の管下ではありませんけれども、知事からその当局に折衝してもらいたい点は、例えば農林省の調査局は従来兎角調査員の設置もせず、関係せる事務は殆ど町村に依頼している恰好であります。もう少し農林省調査局の機能を十二分に発揮させていただくように折衝方お願い致します。
  なお人員整理について残された問題は、公務員法の制定であろうと思うのであります。既に定員を定められましたし、優秀なる人員を以て沖縄復興の第一線に立ったのでありますからして、この職員が喜んで、誠意を以て、希望を以て働いてもらうためには、この職員の身分保証しなければならないと思うのであります。政党政治になりかけた沖縄は将来あらゆる情実に流れないために、その任用に於て情実に流れないために、或は又各職員が職務遂行に当って役得などという忌わしいことが伴わないために、是非とも公務員法の制定は早急を要する問題だと思うのであります。従って本員はこれが立案、実現方を希望する次第であります。なお人の整理につづくものは物の整理であると思います。これは甚だ簡単な問題だと思いますが、考えように依ては大きな問題である。これは役所の狭い関係で致し方がないと思いますが、又軍政本部みたいにきちんとは行かんと思いますが、もう少しは何とか整理して下さるように希望致します。各部にばらまかれた備品、総計致しましたところでたった十五万円であったと思いますが、これ位では何の設備も出来ないと考えますが、何とか御配慮方をお願い致します。
  次にすべての計画樹立に関する統計事務規定の基礎を制定された点は誠に結構であり心から賛意を表するものであるが、百尺竿頭更に一歩を進めて各市町村の事務担当者をして沖縄の現状に於て統計事務が如何に重要なるものであるかということを深く認識せしめ更にその素質向上を目指して統計に関する講習会などの開催を計画していただきたい。かくして統計に関する諸規定が十二分に生かされ、或は計画樹立の数的基礎資料が確実に得られるものと思考されます。確実な統計資料なくしては計画樹立は出来ないと考えますが故に敢て希望を申上げる次第であります。
  次に労務行政についてでありますが、労務管理の問題については昨日の石原議員と意見を同じくするものであります。知事がこの労務関係について行政報告の中で努力したいと述べられました四項目の実現には是非邁進していただきたい。四万人の若人を軍部隊に送り、戦争によって働き手を失ったために幾多の老人、或は未亡人が働きに出るこの労務問題は実に広範囲にわたると思われるからであります。
  次に財政問題に移ります。自立財政への推進は税務に課せられた重要な問題であり、知事の御報告を承りましたときに知事の御決意の程と御苦心の程が察しられて、感激にたえません。今期議会に提案になりました追加予算の歳入面を見る迄もなく、誰しも理論上現在の税法が適正でないとの考えは当然だと思うのであります。然しながら追加更正予算前にこの税制の改革をなされなかった当局の見解に本員は心から賛意を表するものである。理由は年度内に追加更正予算を急がなければならない。税制の改革は拙速主義でやってもらっては大変だと思うからであります。然しながら何といっても幾多の議員から述べられたことも税制の改革については着々準備を進めていただきたい。なお調査員設置に関しても合せて御配慮方をお願い致します。
  次に復興予算についてであります。今回の追加予算の軍政府補助金として、復興費関係の予算を民予算面に現していただいた点に感謝の意を表します。更に次々と軍に折衝なさるとの御答弁をいただきまして、この点われわれが従来念願しておりましたところのドル予算にまで意見具申ができることを考えました場合に明るい希望をもつものであります。この点に関しまして、本員は議会、政府一体となって折衝したいと思います。
  市町村税法に関しましては、希望もありましたし、御説明もありましたので省略致します。
  経済面について申上げたいと思うのであります。自立経済計画はこと重要な問題でありまして、しかもこれが一日一日と延々すれば、むつかしくもなるし沖縄の将来に多大の影響を及ぼすものと考えます故に、早目に各方面の専門家を網羅され委員会の設置を希望致します。農務行政の問題でありますが、沖縄農業から糖業を取去ることは当然できない相談であります。この面に関しましては報告もありましたので改めてつけ加えませんが、従来の農事試験場が農業研究指導所として再出発致しましたが、この指導所を督励され、戦後に於ける沖縄の農業形態が戦前のそれといささか趣を変えねばならんのぢゃないか、また従来沖縄農民の農家経営は如何にするかという経営面の研究が足りなかったと思う。これは指導所をして、農家経営は如何にあるべきかということを充分に研究させていただきたい。先程経済部長からもいわれたが農具の改良は、農民の殆ど全部が何百年来の農具を使っているということは誠に嘆かわしい現状であります。何といっても農具の改良は沖縄の農業にとって重大なことであり農業研究指導所に与えられた大きな責務の一つだと考えているのであります。従来動もすれば農民指導の立場にある方々は、農民はどうも無理解で困る。科学性がないといって自らの指導面の技術を反省することなくして責任を農民になすりつけた嫌いなきにしもあらず、もとより農民の理解の不足、科学性の乏しいことも事実であります。然しながらこの農民を指導するために指導者が必要であって、理解も充分あり、科学性も充分あるならば、指導者は必要はないのであります。戦前の指導者の大きな欠陥は指導者の反省がなくして被指導者に責任を負わせた。これは特に農業研究所の職員に心構は充分持たしていただきたいと思うのであります。同じく経済面の家畜の部面であります。これは先程崎山議員から質問がありましたが、ここに附加えて一言申上げたいと思います点は、沖縄は畜産専門家が非常に不足ぢゃなかろうか。沖縄の農業はどうしても畜産に頼らなければならないと本員は予想致しますが、こういうことを考慮した場合に畜産専門家の養成は沖縄にとっては大きな問題ではなかろうかと思うのであります。この面について充分御配慮方をお願い致します。
  工務関係に移ります。先程開会前に話がありました学校建築の件は新聞紙報道によって、計画のあらましは承知致しておりますが、新聞紙報道は責任あるところから調査した数字であると思います。この校舎建築に関して、当局がもっておられるところの案をお示し下さってこの案が如何様なところ迄軍との折衝が運んでいるかを御説明願いたい。
  なお土木事業に関しましては、既に関係当局におかせられては充分なる調査をなされることと思うのでありますが、今度の戦争によって如何様な被害を受けたかということは各地区別にその被害度の調査をしていただきたい。これによって工務計画は、知事が指導権を握ったこの際に充分なる検討をなされて、今後の計画を樹立していただきたいと希望致します。同じく工務関係の陸運で公営バスの件を研究したいという御報告がありましたが、既に出来上った業者を圧迫するのではなく、また敢て競争しようというためでもなくして、あくまでも民衆のために、兼て財源というお考えのように知事の御報告もありましたので、その知事の下に充分なる研究をしていただきたいと思うのであります。
  学校関係については先程の議員から質問がありましたので省略致します。
  厚生関係について、薬価の現状維持に努力したいとの御報告でありましたが、賛意を表します。どうぞ薬価の現状維持につきましては、最善の努力を尽してもらいたい。なお沖縄の現状においては社会保険制度は遙かに早いかとも思うのでありますが、然しながら早晩必ず実施しなければならない問題だと思いますので、今から着々準備を進めてもらいたい。なお法務関係で土地所有権の認定は真近に迫りつつあるけれども、われわれが考えておかなければならない問題は県有地の問題であり、同時に終戦後所謂俗にいう捕虜収容所時代に建てられた幾多のハイスクール、あの土地代が如何になるか。その場合になってからどぎまぎしてもらっては大変なことになります。この公共施設の敷地の問題は土地所有権確認と同時に財源面とも大きな関係をもつ重要な問題だと思うのであります。この点に関しては充分なる御準備をお願い致します。
  なお法務部関係としては、前議会からの未解決の問題があると思うが、それは上訴裁判所の問題であります。これは確か私の記憶に間違がなければ八月からは民政府からは離れた形になっているのでありますが、最近聞いて見ると、俸給支払関係はまだまだケリがついておらんということであります。これに似通った問題に郵政庁もありますが、これは琉球諮詢委員会、軍当局に折衝して一日も早くケリをつけてもらいたい。でないと予算面にも支障を来す問題だと思うのであります。以上は知事管下にあります面につきましての希望であります。一つだけ質問がありましたから………。
  これは知事管下ではありませんが、沖縄住民の生活に実に重要なる関係をもつ部面であります。
 一、貿易庁 指定価格五十円五十銭が五十一円で商人の手に渡り消費者価格が百五十円になるという、こういった貿易庁の物の捌きは、いま全住民のごうごうたる非難の的である。それは特例というかも知れませんが特例も度重なれば特例とはいえないのであります。踏み分とか談合とかいろいろあるようでありますが、これに関しては全民衆のごうごうたる非難があります。これに対して経済部御当局は新聞紙報道によると案をもっておられるということであります。この方の御説明をお願い致します。質問の二番目であります。農林省関係でありますが、協同組合法の実施に関しましては、知事の御答弁の中にもありました通り、一日も早くこれを実施させるべく農林省に御折衝方をお願い致します。何故ならば、これが正式に生れて来んと沖縄住民一般に関係の深い農水金庫の名前を以て出発しようとしておった庶民金庫が実現しないからであります。庶民の金融機関、苦しんでいる農民を活かすためにはどうしても早目に実施せねばならないからと考えるのであります。もう一つは農林省の食糧局に関する配給の問題であるが、今や農民の声は一律配給を叫んでいるのであります。彼等、いわゆる藷を作る人は藷を売って病気の時には米を買って食べなさいという理屈が立つならば、俸給取りは俸給を取って米を買えばいいぢゃないか、これは明かに物の時代から金の時代に来たということを端的に農民の口から出た表現方法だと思うのであります。三百坪の畑を耕しているお婆さんが孫を抱えて、三百坪あったがために米の配給一粒もなくして、堂々たる若者達が米の配給を受け贅沢をするということは何といってもこの現状ではすまされないと思うのであります。敢て一律配給とはいかないにしても、何とかしてこの配給基準の再検討を食糧局に御折衝方を希望致します。時間がありませんのでこれは項目だけに止めておきます。
  なお郵政庁関係については、終戦以来既に六年、まだ電話の入っていない町村が多いということは、誠に嘆かわしい現状であります。
  以上貿易庁、農林省、郵政庁関係は知事管下ではありませんが折衝方をお願い致します。学校建築は実に重要な問題でありますので、今迄の案を御説明願います。貿易庁の問題は全住民の最も関心事でありますのでこの点の御説明方もお願い致します。
○文教部長(屋良朝苗君) 校舎問題について計画を御説明申上げます。現在われわれが狙っているのは、現在沖縄の諸学校の学級数に相応する教室数を獲得することであります。そういう見地から現在建築を必要とする教室数をわれわれは二千二百三十、こういう風に計算しております。この二千二百三十教室の中、来る三月迄に何とかして解決していきたいと考えておりますのがその四割、八百九十二教室、この四割と申しまするのは現在できているもの或は古い建物を修理しているもの、それとこの八百九十二を合せますると大体五割六分、沖縄の全必要教室数の五割六分位の見当になるのであります。これは知事さんのお考えで五割六分位の校舎が先ず出来ておれば暴風雨があって吹き飛ばされるようなことがあっても、二部教授をしても間に合う。だから本年度はこういう目的でやろうぢゃないかという考えであります。八百九十二教室を三月迄に何とかして解決していきたいという計画であります。その内訳は復興費による建築教室数二百二十四教室分百十二棟、その理由は現在永久建築教室を一棟も持たない学校が百十二校あるのであります。これに二教室百十二棟をあてる、こういう計画であります。残り(八百九十二から二百二十四を差引いた)六百六十八教室、これをその他の財源によって一つ解決して行きたい。これは知事さんのお伴をしてロスゲヴさんのところに行って陳情しているのであります。そのときに今校舎建築に対する民の輿論は充分よく分っている。われわれもこれを早く解決しなければならないと思うからしてその陳情は諒とする。但し上司の決裁を俟たなければならないから一、二週間待っていてくれ、希望をもっていてよろしいという御返答であった。この六百六十八教室、これは一棟四教室という見当であります。これの配当その他については………よろしうございますか。
  なお百十二棟二百二十四教室、これは工務部長さんの御計画でありますが、軍の指令が来なければ間違いないということはいえないと思います。そういう計画で設計見積をして準備を致しているのであります。残りの六百六十八というのはその他の財源によるという風にして陳情してあるのであります。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 只今文教部長から一通り校舎建築問題についての御説明があったのでありますが、更に工務部として校舎建築問題に対する経過を簡単に申上げることに致します。この校舎建築問題に入ります前に、確か三週間前位かと思いますが、軍政本部の工務部長から来年三月迄に工務部の予定している、欲する工事の見積を提出せよという風な御内命があったのであります。それでこれに対して、建築、土木、耕地復興の工事を計画して今出さんとしている最中なのであります。その次は平良知事から、多分ロスゲヴ軍政官からの御連絡かと思うのでありますが、同じような工事見積を早急に出せというような御命令がありましたので今そういう風に準備を進めているのであります。なお校舎の建築問題に対しましては、屋良文教部長さんと四回にわたりまして打合せをしたのでありますが、どうも軍政府の御意向が幾分の民負担をしなければその実現は困難のように感じられるので校舎建築については建築費の一部分を民が負担するように進んで行こうという風に話合ったのであります。尚それでは負担額の基準をどこに置くかということを話合った結果、今の民の経済状態では普通労務費だけしか負担できないのぢゃないかというような意見の一致を見たので基準としては普通労務費を民が負担するような話合を致しておるのであります。
  それから予算の御説明を申上げると、一億七千五百万円が本年度工務部に割当てられた復興費の予算総額なのであります。この一億七千五百万円の内、既に支出された分は、尚これから三月迄に支出を予想される分を差引き尚現在工事を執行中なのがありますが、そういう支出を差引いた残りが約五千三百万円程度あるのでこの五千三百万円が即ちわれわれの意図によって計画される。はっきり申上げておきますが、事業の計画される額と思っていいと思うのであります。従いましてこの五千三百万円を土木、耕地復興、建築に如何様に割当てるかというような点につきまして課長会議を二、三回開いて、その結果こういう風に決定致したのであります。土木費と申しますのは耕地復興が含まれていますから左様に御承知を願います。土木費三千万円、建築費二千三百万円という風に課長会議に於きまして、こういう風に額を決定致しまして、更に知事の御了解を得たのであります。従いましてこの建築費二千三百万円の中から校舎建築に廻される額について充分に文教部長とも打合せの上に約一千七百万円程度を建築費に廻すということに意見の一致を見たのであります。従いまして、この一千七百万円を、先般知事の政務報告の中に出された百九棟二百十八教室というのがこの予算の残を充分検討してこれ位しか造れないようでありましたので、こういう風に報告を致したのであります。多少文教部長の報告といくらかの差があるのは、この百九棟二百十八教室は五十年型木造建築を基準として取ったがために、この位しか出来んようであるが昨日もお話申上げたのであるが、いくらか煉瓦の手持資材がありますので、これを使うことになるというと今文教部長から御報告になった棟数は出来ると思うのであります。ただ私はこの報告書を作るまでにはまだ建築課に於てそういった計画が充分できていなかったがためにこの報告書には百九棟二百十八教室という報告を致したのであります。
  それでは次は計画がどこまで進んでいるかと申しますならば、建築課においていちいち各個別の見積書を添えまして、軍に申請するのであります。そして軍からこの建築工事を開始してよろしいという指令が来てはじめて、この工事に着手するのでありますが、まだ申請書が作成中でありますので、この申請書はまだ軍に行っておりません。後二、三日でこの二百二十何通の申請書が出来上りまして、軍に持って行く予定に致しております。その次は資材の問題でありますが、いささか木材資材が少いような感じが致しますので、今建築課に於ては石造、煉瓦造を計画しているのであります。従いまして今の申請書は煉瓦造、石造によって申請されることに相成っているのであります。
  以上校舎建築につきまして、御説明申上げて更に平良議員は土木関係について御意見があったようでありますが、それについてちょっと申上げておきたいと思うのであります。土木関係は被害調査を充分やってそして工務計画を樹てよという御註文であったようでありますが、誠に結構な御意見だと思うのであります。尚この工務計画につきましては、議員の皆さん方とも充分お話合の上に意見もお聴き致しまして工務計画を確立して工務行政を運行(遂カ)して行きたいと、こういう風に考えているのであります。
  なおもう一つ公営バスについては御希望に副うよう充分な研究を致しまして、住民の福祉といくらかの財源を目標にして研究を進めて行きたいと思うのであります。
○経済部長(呉我春信君) 平良議員から農家経営の指導或は支援が足りないぢゃないかという御質問がありましたが、私も平良議員と同感であります。この問題は逐次今後農村で協同的な施設が生れて来ると思いますので協同組合が設置されれば、この協同体としての研究を進めて行きたいと考えております。なお又農民指導に当るものの心構について御意見があったようでありますが、私も戦前農民関係にタッチしておりましたので、ちょうど平良議員のおっしゃる点は充分認めているのであります。然しながら農民は殊に保守的でありますのでこれを一時に廻れ右でやることはかなり困難であり又行政の妙味も、聴くように導くということが行政の妙味であろうと思いますので、この点は充分私も心構をもっていますので漸次これを改善して行きたいと思っております。
  それから畜産専門家が不足ぢゃないか、その対策として養成する意思はないかという御質問でありますが、この不足でありますことは事実であります。その埋合せとして、大島、八重山辺りにも技術者が相当いるように聞いていますので、その方面ともよく交渉致しまして、若し採用できたらその面でも一時は埋合せつつ、なお又養成機関についても考慮したいと、こういう風に考えております。
  次は貿易庁に関しての問題でありますが、新聞紙上いろいろ世論が沸騰したのでありますが、われわれとしても、これはエロア資金、商業資金の問題であるので、当然全般に恩典を浴せしめるのが妥当だという考え方から案を立て貿易庁に交渉しました結果貿易庁総裁もよかろうという返事であるし、その案を軍政府に提出してありますので、軍政府の許可あり次第実施したい。その案の大要を申上げますと、先ず機構は従来ありました商業協会、これは卸業者の団体で主としてこの面が入札にタッチしているようであります。この商業協会と以前民政府で指導して成立した小売商組合連合会というものを一つにして貿易庁の示す価格でこの団体が一括して引取ろう、商業協会と小売商業組合連合会が合体致しまして、これを商連と名付けて、これが一括受取をなす。一括受取をなしまして商連の役員会、その他農連、水連、群島政府もタッチしまして、委員会みたいなものを作ってその値段、配給方法などを研究して各村の商業組合に流したい。各村の商業組合では各町村長その他団体長を合してこの処分方法を考えてもらう。これは現金引換でありますのでこれについて町村長その他関係団体のかたがたもこれにタッチしてもらって決めた値段で売るように各商店を監視してもらうというような面で行きたいという考えをもっております。
◎新里銀三君 知事の施政方針は各部門にわたりまして、微細に計画を樹立されているので誠に結構でありますが、然し該計画案を深く検討して見ますと、莫大なる予算と相当の年月を要するものと考えられます。知事の任期は四ヵ年であります。また政府予算にも限度があると思うのでありますが、知事は任期中に果してこの政策を実現できる自信があるでありましょうか。そのために提出したのでありましょうかどうですか。知事は行政官であると同時に一面社会大衆党の委員長であります。政党には任期がないから国家百年の大計を政策として羅列できますが、知事は自ら計画したものを自ら実行する責任があります。公約でありますから、その点をおききしたいと思います。企業免許でありますが、これを一元化して事務の簡素化をはかっていただきたい。そして許可は一回許可すれば、できるだけその人が死なない限り、廃業しない限り、法規に違反しない限り一旦許可が与えられたならば、一つの特権として永続させる意思はないか。更に市町村に事務を一任して、その予算に編入する意思はないか。
  公益事業の公営化、バス問題は先程から問題になっているが、新聞紙上を見ると、陸運業者との妥協ができたという新聞記事があるが、これは事実であるか。これは先程も申上げた通り、官僚経営の事業は決して政府の財源として望ましくないと思うのであります。
  病院収入の問題であるが、これはなるべく実費でやっていただきまして、政府の予算として計上しない方針をたてていただきたい。これは希望であります。税制の問題については省きます。
  糖業問題、沖縄の自立経済の大きな基礎をなすものでありますので当局の計画は大変結構で、早急に実現方を希望するのであります。差当り農民が現実に困っているのは黒糖を生産しても輸出する方法がない。現在闇商人、その他の商人、農連が相当の前金を出して買っておりますが、それがまだ正式のルートをもって輸出できない状態にある。その理由をきいて見ると、貿易庁から日本の通産省への報告が行っていないので状況が分らないから日本の商人に対してその買取方を交渉できないということを昨日きかされています。この問題について知事は、或は群島政府は貿易庁に対してこの輸出が早くできるように交渉されたかどうか、又その対策をどうなさっているか、これをおききしたいと思う。
  畜産方面については二、三の議員からお話がありましたが、特に乳山羊を一般農家にも奨励していただきたい。又伝染病を予防するために血清所が出来るということを聞いているが、撲殺した場合、蔓延を防止するために犠牲になる豚があり、又は罹り、罹った場合にその蔓延を防止するために撲殺する。その場合には最近手当があったが、その手当を今度の予算に計上してあるか、この手当を今後もやる意思があるかどうか、それをおききしたい。
  度量衡検定所を設置する方針のようであるが、これはなるべく早急に実現してもらいたい。これには相当の費用がかかると思うが、予算面に盛られているかどうか、これをおききしたい。市町村長会に於ては度量衡問題に関して論議し、不正商人の多いために現在の場合、買う方の秤と売る方の秤を別個に持っているということを聞かされております。なるべく少い量をもって沢山金を取る、なるべく沢山買って金は少く払うということを聞かされていますので、ぜひ実現方を早急にお願いしたい。その費用が計上されているかどうかをききたい。
  工務関係、民工務部の人件費は来年三月迄、若し軍が負担すれば問題はありませんが、五百七十余万円、道路二百四十八マイル、一ヵ年の修理費が約八千万円になるということをきかされていますので、前述の道路の場合の如き年度半ばから到底できないことでありますのでぜひ軍に交渉致しまして、軍負担にお願いしていただきたい。その実現方を希望するものでありますが、更にこの問題に関連致しまして、公安委員任命問題については、世論が問題を惹起致しましたので、軍の内諾を得、軍がOKしたということを報道していますが、これは組織法には根拠はありませんが、然し民政府の工務職員に関する限りは、例えば組織法には知事の任免権はありますけれども、その職員の給料は軍が負担しております。更にその事務も今日迄は軍の代行機関であったが故にどこまでも主体は軍であると思うのであります。そのために知事は工務部の職員を任命するがために、技術部門でありますが故に軍政府の内諾を得ているかどうか、若し内諾を得ておれば結構であるが、そうでなく軍の代行機関であり、技術部門であり、且つ軍負担であるので、その辺に軍との感情上の問題が思わしくなくて年度半ばにして今度からの復興費に関する問題は、人件費は軍で負担せよ、道路修理費も民で負担せよという指令が来ているのぢゃないかと思うがその辺のことをおききしたい。
  陸運課においても日本製トラックを軍が引上げて食糧会社に配車したという、この事実があるかどうか、もし事実であるとすれば、その理由。又それに対する対策を講じているか。更に今度は十一月十一日のクララ暴風に全壊九八四棟、半壊二、二四五棟、計一四、〇二九棟となっています。修理を要するものが一〇、八〇〇棟、公共建物全壊二二六棟、半壊二二一棟、合計九七八棟、そのうち修理を要するもの五三一棟となっております。その他に護岸、堤防、道路などが莫大なる被害を受けております。これに対して従来は軍負担によりまして、公共建物の如き或は道路或は住宅の如きでも応急処置として軍が相当の資材を出しておったのでありますが、これに対して今度とった処置、知事並に工務部がとった処置をお伺い致します。資材をもらったかどうか。応急処置を講じたかどうか。
  サービス税、交通、飲食税の附加税は、これを廃止してもらいたい。二、三の町村はもらっているが、他はもらっていないから全般的に廃止すべきであると思う。更に理髪のサービス税を撤廃するよう希望する。これを廃止する意思があるかないか。理髪は全般的な、衛生的に見ても男女老若が常に必要なものでありますので、これを廃止してもらいたい。
  それから接待費の問題で申上げたいが、何故に厚生部は四万円計上されているが、警察部には一銭もないのか。
  更に文教部にも雑費を計上致して世話人の費用を出してもらいたい。文教部にこの予算があるかどうか、この意思で交渉しているかどうか、おききしたい。それから各学校地区の教育委員会でありますが、その委員会が各学校に、公務のために出張するに当って、能率を十二分に発揮するために運営に支障のないよう適当な予算を計上してあるかどうか、それを文教部にお伺いしたい。もう一つは今度の知事選挙に於きまして、多数の学校職員、学生、生徒が選挙に巻込まれたという世評があります。これは知事及び群島議会議員選挙法によって厳に禁止されていますが、処罰される問題だと思っていますが、教育上ゆゆしき問題だと思っています。今後学校当局として、こういう選挙運動について如何なる考えを持っているか、これをお伺いしたいと思います。こういう面があるからこそ学力低下の問題も起って来ると考えるのであります。
  又裁判所を三、四ヵ所廻って見たら雑費の予算の関係上世話人がいない。裁判官と書記がいるだけで、不潔で整頓がなっていない、ぜひ雑費を計上して庁舎の清潔、整頓をし、尊厳を保たしめていただきたい。更に備品も完備していただきたい。それについて現在の予算だけの備品を以て足ると思うか、これに対して如何なるお考えをもっておられるかどうかをお伺いしたい。
○知事(平良辰雄君) 予算の件についてお答えします。これは相当な事業が織り込まれていますが、実現できるかどうか、できるだけの実現を期し努力します。必ず出来るということは分りません。われわれとしてはそういう線にそうていく決心を持っております。公安委員の人選の問題は内諾を得たかということでありますが、群島組織法にはない。各部長、総べてのことにそうである。軍としても特別に予めどういう人がやるか相談してくれといわれた。その他はこちらの考えでありますが、軍はこれをやれとか、やるなとかはいわれません。こういう問題は軍政下にある以上、条例の問題にしてもただ軍と相談しないでやるのはどうかと思いましてこちらとしましても、軍が指導的な感じを持っていますので、相談することは有り得るのであります。選挙において教育者がタッチしたということは限度の問題であります。この問題は議論であってお話したとおりであります。税の問題につきましてはサービス税、理髪税でありますが、これも税制の全面的の改廃の場合にと考えております。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) ただいまの公営バス計画については一層の研究をやると申上げましたが、更に十六番議員(新里銀三君)から業者との妥協はできたかということでありますが、業者との打合せの概況を簡単に申上げます。お集りになった方は紙上でお分りと思いますから省きましてバス事業をやるときに民業を妨げない。民業と競争して官営を運営していくことは毛頭ない。そのことは、はっきり申上げた。われわれ工務としては、この官営バスの事業計画については案を持っているのでありますが、その案は、決してこの計画した案を運営して行こうという気持でなく業者とお話するため、軍と交渉するため一通りの案を持っていなければならんというので案を持っております。案の中から最初にこういう点を諮(ママ)らったのでありますが、それは現在の沖縄の旅客を運送するのに、どれだけの台数があればよいか、御承知のとおりでありますが、相当混雑している。これを完遂するにはどれ位のバスがあればよいかというと、およそ一二二台持っておれば旅客運送ができるというのではないかと検討している。一二二台という風な案に対して業者から意見もあったが、工務が考えているのは妥当であろうという意見を持っている。これを如何ように配付するかというと確実な数は違いますかも知れませんが、沖縄バス三八台、協同バス三七台、政府三五台、首里二台ということになった。こういうやり方をして、将来これが要らないという場合は、旅客の運送が減じた場合は、率に依て減らしていくというような話合いである。なお業者側から三本建になると競争が起るので車のもちがもてないようになると困るという風な意見があった。これに対しては陸運行政の根本的な考え方としてバス事業の申請があった場合は許すべきであるかどうか、或る程度、一会社の設立を育成していくような態度に出ることは迷っている。何れか根本的改革に関してはその方々ともよく話合をやって態度を決定したいと考えている。盛にあちらこちらからバスの申請があって、その席上においてもどの町、どの地区という所からも群島政府が官営のバスを経営するならば、自分等は止めるという或る町村の意見もある。計画もやめていいという内談も受けている。官営バスが発足すれば今後願い出る業者に対してそれを抑えることも可能であると思う。官営バスの発足に依て既に設立された民業は保護されるということも考えられる。こういう点も話合ったのであります。
  次は路線の割当等も話合って、那覇、糸満、金武湾、石川、泡瀬間、名護、辺土名、本部一周、糸満から先の線、知念の一周線といったものが割当に依てよいのではないかという意見の交換もやりました。それで各会社と更に再検討して年内に更にもう一回集まろうということであります。これだけ申上げますと業者との問題がお分りになると思います。官営は財源にならぬということでありますが、私たちの案は財源になるらしいようであります。工務の案は財源になるようになっております。戦前の鉄道は官営であったが、多少事業の趣を異にするのは分るが、しかしどこまでも事業の内容を異にするが、官営バスはいくらかの財源になると思っている。
  食糧会社に車を売った件、それの顛末と対策の質疑でありますが、私自体、遺憾に思っております。十一月三日私が就任します前日に軍の工務部長のバービル氏が口答でニッサントラック三台を食糧会社に発売するからという通牒を受け、先任の部長代理が処理された。これは販売されているので、軍に聞くのは行政者として、根ほり葉ほり聞くことを遠慮した。ああいうどさくさにこういうことがあるのは遺憾であります。陸運課長のいい分では食糧会社は車を借りて輸送されていたが、その車は弾薬輸送に使っているので借用ができず食糧輸送に支障を来しているため工務部の管理されたものを売られたようなものであるとの報告を受けた。日本車輛の経過を報告申上げました。
  クララ台風の処理に対しては土木関係は紙上で発表したから御存じと思いますが、災害復旧予算と戦災復旧予算は別途にしなければならんと考えている。従って災害の復旧予算はこの一億七千五百万円、工務部に割当られ復興費以外に支出していかなければならんというわけで、その中から支出する土木関係に五六五万円、災害復興費五八九万円、合計一、一五四万円は書面を以て知事名で災害費を出してもらうように陳情している。設計も完了して、設計書も添えて出そうと思っている。民住宅の被害に対して資材をやったかということであるが、工務としては、民住宅の被害住宅に対しては、こうした民の処置は各自各自でやってもらっているのではないかと考えている。御承知の如く無償から有償に移っている今日、予算の関係で困難ではないかと思っています。民住宅には資材その他を補助することは困難であると思って考究しなかった。公共施設方面は予算が少ないようでありますので、校舎とか被害をうけたものは、関係住民で応急の処置をやっていいぢゃないかということで各公共施設の施設については関係者が処置をしてもらうようにした。病院関係の建物の処理があるが、総務部の営繕課がやりますが、その方に考究してもらっております。以上暴風被害について申上げました。なお申しおくれましたが、被害の正しい統計を作って、被害の実態を申上げて軍に対策を講じてもらうように極力折衝いたしました。これに対するバービルさんの御返事は道路維持修理費は民政府が考えなければならんのぢゃないかといった風な話である。上司に話して充分に努力してみようといっていました。バービルさんの見解でありました。以上を申上げます。
○経済部長(呉我春信君) 経済関係の一番目は乳山羊を奨励しようといわれているが、これは大いに奨励したいと思っております。本県の従来の畜産は馬が中心になっているが、最近は馬の利用がせばめられて来た。その他の状勢から乳山羊を主体とした酪農研究に今から研究している。乳山羊をうんと奨励したいと考えております。病豚の撲殺に対する補償のことでありますが、まだ実施してないが財政の許す限り研究したいと考えております。次は度量衡の問題でありますが、その事務のために二人の職員を置いてある。軍とも購入を折衝しております。近く実現すると思います。なお砂糖の輸出の問題でありますが近く農連会長が上京しますので日本とも交渉して促進したいと思います。
○厚生部長(宮城普吉君) 厚生部の接待費のことでありますが、二万円であります。
○法務部長(知念朝功君) 十六番議員(新里銀三君)の裁判所のことについて希望を述べられてますが、実際、裁判所の威厳は地に落ちた感がします。私が申上げますのは建物であります。治安裁判所には判事一人、書記一人しかいません。事件の処理に忙殺されて裁判所内外の清潔は及びもつかない。いかようにひとびとは裁判所を蔑にしているか、廨庁の備品費も三万一千円やっと計上され、十六の裁判所と四つの検事局に割当てますと一千五百四円しかない。書類を納めるものもなく、ソーメン箱に大事な書類を入れて持ち帰っているようであります。法の尊厳を認識するところにありますが、私としても全力を尽しますが、議会の方でもどうぞ裁判の現状を御賢察下さいまして政府も議会も中央機関も一体となって沖縄群島における司法権を確立し尊厳を確立させていただきたい。

○議長(知花高直君) お諮りいたします。開会前に質問は午後〇時三十分までという相談を申上げましたから約束どおり、時間となりましたので、午前はこれで終了いたします。午后一時三〇分から再開いたします。
  午后〇時三十分閉議

  午后一時三十分開議
○議長(知花高直君) 開会いたします。出席議員十八名、欠席議員二名であります。
○具志頭得助君 議員側から提出になった議案もありますので一旦休憩いたしまして協議会に移したいと思っております。
○議長(知花高直君) いま十一番議員(具志頭得助君)の動議に御異議はありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(知花高直君) それでは暫時休憩いたしまして打合せをいたします。
  (宮城久栄君出席)
  午后一時三十三分休憩

  午后三時三十二分開議
◎議長(知花高直君) 開会いたします。先刻の日程の第二、三号は更に再検討する必要があって、日程から除外することにいたします。議案第一、二号は撤回いたします。日程を追加するのは「議案第三号校舎建築促進陳情について」を議題といたします。
  (山城興起君出席)
◎普天間俊夫君 提案の理由を御説明申上げます。校舎建築は焦眉の急務であって、十一月の初議会の時にも軍政官府に行った時、話題にのぼった。学校を建てても生産がにぶるようでは生徒が困るであろうといわれてがっかりした。新聞紙上で明るみを見たという記事を読んでいる。本日も当局の御意向を聞いて喜んでいる。政府当局の要望を諒とせられているが、ぜひ軍に実現方を促進していただくように意見を具申いたしたいと思います。皆さんの御賛同をお願いいたします。
○議長(知花高直君) ただいま提案の理由を説明いたしましたが、総べてを省いて可決したらどうですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 内容については議長に一任してもらって本案は可決いたします。引続き当局に向って聞きたいことがあるようですから時間を借りて質問をお願いします。二十番議員(仲里誠吉君)簡単によ-。
◎仲里誠吉君 要望に属する箇所のみ申上げます。現在、貿易庁、農林省はもちろん群島政府とは別個であるが、沖縄の経済界を見た場合、自立経済の一番は、農業、水産業であるが、その復興、発展には群島政府でも相当のエネルギーをついでいるが、直接には向うでやっていることは新聞紙上以外では分らない点が多々ある。貿易庁は全島の経済生活を支配しているので労働者の受ける影響は多い。質問をするなり、或は予め知識を得るという機会がない。個別的に訪問することは勝手で可能であるが、本議員の希望としては、貿易庁総裁、農林省総裁を、知事を通じて出席方を要請して、われわれの質問に答えてもらうようにして欲しい。知事の御意見を伺いたい。
  先程も度量衡について要望があったが、これは切実な問題である。中間商人が米を買いに行く、すると現在の一般商人が使っているので買って、買う場合は穀類は無理に詰めて計っている。売る場合は軽くゆるく計っている。ひどい者になると一斗から二升以上の利益をとっている。農民は安い穀類を売って、自分の必要の生活物資は高いものを買っている。度量衡制一般を法制化するだけでなく穀類に関する限りは一切の販売は斤でいくということを法制化して厳重に実行して欲しいと要望する。
  文教部の問題であるが、一応質問をしたが、テストの結果は詳しく発表して、全議員に配布していただくように希望する。第二次テストを計画しているようですが、詳細に何等かの基準を分析批判したところを第一次のを配っていただきたい。全島に散在しているから検討する必要がありますから。
  次に厚生部関係でありますが、予算面ではハブの毒液採取料を減額している。国頭の住民の話をきくと自由開業に対して反対である。本部町の住民の意思をたたいたが、名護とか繁華街、経済都市に集中する傾向があるのでハブの災害があった場合、名護まで運ぶには事きれるということになる。住民は戦々兢々としている。ハブの血清液が住民に行きわたるだけ作製できるかどうか、伺いたい。
  知事に対する要望でありますが、離島の渡名喜島の港の入口の入砂島は全島面積二十三町歩、耕地面積五町歩あるが肥沃な土地である。渡名喜島は全島岩山で段々畑になっているが、向うの島民は農業面に窮迫している。入砂島の土地が肥沃であるため耕作する人が多い。希望者は投票に依て四カ年宛耕作して戦前は五百円であった。人砂島の周囲は海産物が豊富で、かつお用餌、たこ、えびは元の県水産試験場で採取しておったそうであります。しちゆう、ひろせ貝、磯魚とか魚が豊富である。入砂島の土地自体が豊沃であり、また放牧に適当な所である。小さい島であるが、軍が占領して以来、入砂島を中心にして何哩か航空演習の指定地になっている。海産物の採取もできないで現金の収入が縮小を来たしている。軍当局としては航空演習地の対象というのであれば肥沃な入砂島以外にもあると思う。無人島もある。大きな岩礁もあるから代用するようにしてほしいことを、軍に対して航空演習の対象から除いて欲しいように陳情し、変更するようにして欲しい。
  警察の民主化に対しては警察部長から答弁があったが、警察部長の答弁意図にも拘らず与那原署で非民主的なことが発生している。資本金一万円前後の商人が軍関係の或る品物を買って贈品(贓カ)とは分らないで四回転か五回転して手に入っているものを、警察官の取調べる態度が脅迫的であり、始末書を書かされたそうであるが、その場合、商資本の代金が戻るようにして欲しいと希望したら、中に入るか泊るかしろといわれ、中で取調べられている人が打つとか、けるとか拷問に附されているので、始末書も向うのいうままに書いたと、贈品(贓カ)と思わなくて買った点を主張したら強制して、裁判でもめるから書くなと、品物も戻してくれと書いたというが、書くな、といわれたという。公安委員会もできた以上、民主化されることを希望する。この問題を取り上げて民主的に処理して欲しい。
  財政副部長は予算を編成する場合、勤労階級に還元するということを取上げた自体は末梢的だ、還元するということは賛成するが、今度の予算に限りこれを取上げることを末梢的であるというのは承服することはできない。知事の施政方針の演説の翌日に予算の審議をしたが知事は経済関係の事業費が農林省から移管されている、とうたっている。これは農村に関係する豚疫の予防費として一万五千円を計上してあると、はっきり言明している。予算の審議中は当然そうあるべきものだと思う。知事が言明する以上は予算に編んでいなければならない筈であり、本議員が勤労階級より強制的に徴収した税の還元方を要求するのは当然と思う。理論的にも、勤労階級を代表する議員としても当然である。他の議員にも当然すぎる程、当然であると思う。財政副部長は予算年度の途中であるから行政の執行のためのものといっているが単に行政の事務に集中することは不合理である。人民を代表する議員において税体系の改善を要望し、不備をつき、税の還元を要求するのは当然である。予算の途中でも税体系が不完全で不当であるのは与党側も認めている。補償を勤労階級に要求するのは当然である。更正予算とはいえ、人民の生活は五ケ月間はこれに依て支配を受ける。この五ケ月間に支配面に還元を受けるのは当然である。社会勤労階級の利益を代表するのであれば如何に更正予算であっても可及的にあらゆる努力をやって還元されるように努力すべきである。私は人民の良心にかけて財政副部長に前言取消しを要求するものである。
○知事(平良辰雄君) 要望事項は皆さんの御意見にそうて実現したいと思います。農林省総裁や貿易庁総裁の特別出席も努力いたします。度量衡の問題も早く実現したいと思います。血清の方は現在どういう風にしているか分りませんが、全般的に農村の診療所に引き合して手落のないようにする。入砂島のようなところは軍に陳情します。こういう問題については地元の町村から陳情していただけば、われわれも推進していきたい。人権蹂躙は無論そういうことのないようにわれわれも適当に処置を講じたい。財政部の問題はいろいろ対立しているようであるが、今度の財政の勤労大衆に行きわたってないというところもあると思う。今の予算も是正しただけで、新規に考える余裕がない今度の税制と来年度の税制に依てやっていきたい。必ずしも勤労大衆から税を取り他に廻すこともしてないと思う。御意見は承知しております。以上、足りない分は各部長からお願いします。
○警察部長(仲村兼信君) 二十番議員(仲里誠吉君)から人権蹂躙みたいなことがいわれていますので、報告書がありますから読んでみます。そのまま読み上げます。名嘉山光男の妻登代(二十六歳)という女に対する事件であります。事件の起りは那覇港湾から先般、油、毛布、靴、板、角材、メリケン粉等およそ百万円程度の盗難事件の訴えを軍から受けました。それを調べたのであります。それはドライバーと協力してその品物を方々にばらまいたのであります。この時、豚油であるが、ドラム缶に入った油は十八缶の相当なものであります。それが港湾のガードと連絡をとって方々に品物が配られた。□□□(ママ)という女がその油を一斗缶買ったということが分って、十二月十六日に本人の任意出頭を求めまして、与那原署で、それを聞いたそうである。そうしたら事実、買ったのは間違いない。朝、出頭してお□に請書を徴して帰した。それはこの豚油は証拠品として裁判所に提出するので、その豚油を取り戻さなければならぬ。その品物を返しましたという請書を徴して帰した。十七日に豚油を取りに与那原署の刑事が□□(ママ)の家に行ったら、令状がないと渡さない。しかもこの事実は与那原署がひどいことをしておったようだから仲里誠吉さんにも話すといっておった。正式の令状を持って行っておったので昨日治安裁判所に令状をもってその油を証拠品として与那原署に持ち帰っている。十六日の午前中にこの事件を調べたようであるが、その間、拷問もしておりません。人権蹂躙もしてないようであります。
○議長(知花高直君) 時間を延長します。
○財政部副部長(久場政彦君) 仲里議員の問題に取上げたのは良心の問題でなく見解の相違であるから、依て前言取消しはやりません。
○経済部長(呉我春信君) 入砂島のことであるが、渡名喜村としては、重要な位置を占めているところである。二回にわたって変更して欲しいと陳情したが、まだ実現にいたっておりません。なおこの問題を取上げて陳情したいと思っております。
○厚生部長(宮城普吉君) 減額になりましたのはハブを百乃至二百から取るので飼育人を置くようにしているが、飼育者がいないので、研究所の人がやるようになった。またハブの飼育食料が安くなったのも一つの原因であります。自由開業も農村は困るということも承知しております。自由開業の運びが進まなかったり、機構が代るが医者の配置とかを医療団と相談しております。
◎長浜宗安君 建築問題に絡んで二つ、簡単に申上げます。
 文教部当局は将来ハイスクールを統合させるかどうか、学校建築が民衆の手をかりて本格的に開始される場合、現在のようなハイスクールの位置に、また数に割当てられた場合、将来沖縄の財政上そのまま持って来れるかどうか、現在のままがよいのではないか、地方分散という面からそういう意見がでている。もっと縮小して重要な教員を集める。又モデル的なハイスクールを造った方がよいという輿論があるように聞いている。もう一つは沖縄の建築復興面において奇異の眼を放つ、表には瓦、コンクリートの建築ができているかと思うとまた丸太の上にテントでいるような細々とした希望をもっているものもあると思う。怠けて建てないのか、或る程度、雨露をしのぐ家も造れなかったのかというところを検討して、その実態を調査し、対策を講ずる意向はないものか。今年度予算ではできないといわれたが、次年度からでも造ってもらえるかどうか、二つを伺いたい。
○文教部長(屋良朝苗君) 学校の統合に関しては中学校、高等学校に就て今は教育長を通して検討し、調査を進めつつある。今のところ高等学校に関する限り統合する考えはもっておりません。理由は通学が遠くなるに従って距離だけでは解決できない。寄宿舎に入るなりしなければならん、寄宿舎に入れたりすると途中、学資が続かない、統合するとハイスクールに受け得ない者が多数でて来る。統合の気持は持っておりません。初等学校や中等学校は戦前よりも学校は多くなっているが、これも通学の便、教育の機会均等の面からそういう風に設置していると思うが、これは町村当局の輿論が統合した方がよい、分離したため効果が上がらなかった事実があれば考慮する準備をもっている。しかし新しく新設して教育効果があがって輿論が、存置を希望するときは簡単にはいかない。御承知のように各地において敷地問題で論争している。簡単に統合することはできないものと考えている。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 住民の住宅問題は大きな問題である。生活力のあるものが、配当を受け補助を受けている。生活力のないものもいるが実に重要な問題と考えています。工務においてもこういう問題は充分に検討を加えていきたいと考えております。
◎松本恭典君 ただいまの文教部長さんからの問題と関連します。校舎問題も、光がみえて喜んでおります。教員の資質、生徒の学力の低下は社会の関心事である。関連して質問いたします。教員が政治的に進出して来て、村会議員にも出ている。こういうことは沖縄の民族生成発展のため結構と思っております。教育は資本一番といわれている。戦前と違って変っている。物を与えることに依て充分効果を挙げていかなければならん。教員の質、程度も物を与えることに依て向上ができる。教員に一定の俸酬を捻出して教育に力を打込んでもらうことも考えられる。そういう点も配慮しているかどうか。教員組織の問題についても常に考えられているが、高等学校の組織、補充、対策についても更に日本の教員数と沖縄の教員数の対照に依る御見解を伺いたい。
  次に工務部長さんにバス問題について、群島組織法第二条に群島政府がこの事業を行う時は、責任ある私企業の設立を妨げたり又は私企業に移った場合はこれと競争して同種事業を行うようなことがあってはならない、と出ている。原則としてはできない。第百六十九条には群島は軍布告、布令または指令により禁止した場合を除くほか、群島住民の福祉のため必要があるときは一市町村につき第二条の権限を行うことができる、と謳われておりますが、要するに布令、指令に示されてない場合と解しております。組織法第二条に依て禁止されている以上、できないのではないかと解釈しております。御見解をお願いします。
○工務部副部長(西銘順治君) 群島組織法第二条のバス設置、管理は群島政府の事務になっている。これと競争して同一事業を営んではいけない、といわれているが、これと競争するのではないと考えている。部長から話された通りに事業計画を進めている。解釈の問題と思う。以上であります。
○文教部長(屋良朝苗君) 教員の資質の問題について同情のあるお言葉を承って感謝しております。教員の資質が低下しているのは戦争でたくさんの教員を失ってしまった上に生き残った人も待遇の関係で離職している。金融に乏しい、教員養成の機関も不備である。教員の資質は低下しておりますが、何か俸給を是正して金融機関を与える質問でありますが、知事さんにも再三お願いして、待遇、教員養成の問題、教職にある者の再教育等を通じ資質の向上を図る。養成は琉大の教育課があるが、一カ年訓練を受けて若干は出るが、正式の師範学校がない。四つの教育訓練所が、糸満、前原、胡差、名護にあるが補足をしてやっている。教育上、教員養成を実施することを念願している。琉大は後四カ年後に卒業生を出すと補いもつくが、それの補いが今のところない。日本との教員の比較であるが、初等学校は生徒数を五十で割って一・三五倍したのが初等学校の教員の数で、中等学校は生徒数を五十で割って一・七倍している。沖縄では学級は六十名までということになっている。しかも生徒数を六十で割って一・何倍はできない。時に英語教員をもって来るというだけで、中等学校は六十で割って一・二倍はできているかも知れないが、遙かに日本に及ばない。
◎新城徳助君 前置きは抜きにして希望だけ申上げます。経済部にお願いしますが、農器具のことは省きまして沖縄には牧畜、養蚕、百合根、蔬菜類の栽培が必要と思う。御研究していただきたい。農産加工場らしいものもないので、将来、製粉、漬物とか、是非やって欲しい。
  山林の保護、植林はまことに重大であって、今みるところ実に放任しているようであるが、遺憾に思います。害虫駆除の如きも薬品はありますが、各村の農村機関が勉強しないかも知れないが、徹底してない。校舎建築は論議されているが、既設校舎の率が異っている。ぜひ均衡を保つように願います。次は病院でありますが、車がなくて往診に行かないということも聞いている。それではとりかえしのつかないようなことのでるのを聞きますが、充分に往診のとどく方法をしていただきたい。次に学校問題でありますが、学力低下の問題が叫ばれている、教員問題は別として、教員自体が心すべきことが必要で作業時間が余りに多いということを校長会が、婦連であったとき論じたが、反映がないように思った。学力低下についてできる限りの努力をしてほしい。裁判所のみすぼらしいことは十六番議員から話がありましたが、名護の裁判所に行って感じました。以上であります。
○経済部長(呉我春信君) 御説のとおり本県の農業は多角農業でなければならんという風に意見を持っております。農器具の問題も農林省と打合せて改善することを計りたいと思っている。なお加工の点も群島政府の方々も農林省の方にもそれぞれ専門家を置いて努力しつつあります。林業関係も御説のとおりで大部分公有林は林野庁、国有林は群島政府であるが、これの打合せは職員も配置するようにはなっておりますが、近く職員も来ると思います。
○文教部長(屋良朝苗君) 先程、作業のことをいわれましたが、どんな作業でしょうか。
○新城徳助君 運動場の修理等であります。
○文教部長(屋良朝苗君) 幾分そういう傾向は多いが、校舎の修理、運動場の修理は生徒自体の手でやらなければ已むを得ない点がある。作業が必要以上にあることは学力も低下すると思いますが、修理等を放置しては学校関係が整備されないし教育効果を低下するのであります。作業ということで授業を欠かすことではいけないという御心配と思いますが、そういうことについては是正したいと考えております。
◎議長(知花高直君) 終了いたします。本期議会におきまして諸君が真剣に提案、議案に対して審議されたことは喜びにたえません。閉会に当り知事の御挨拶があると思います。
◎知事(平良辰雄君) 今期議会は期間は短かかったが皆さんが御努力なさったことを伺って敬意を表します。決議された案件については皆さんの御指示に副うように実施したいと思います。議会の運営については定例もありますし、常任委員会の会合も開かれるのでありましてそのときに充分のべられて、私どもも反省もしていきたい。軍のいうとおり常任委員会に依て充実を期していただきたい。われわれもその面に賛意を表して協力していきたいと考えているのであります。今回の議会にたくさんの案件の表決していただいたことに敬意を表し今後も御指導と御協力をお願いして止まない次第であります。(拍手)
◎議長(知花高直君) 閉会いたします。
  午后四時三十分散会

出席者は左の通り。
    議 長  知花 高直君
    副議長  稲嶺 盛昌君
議員
 与儀 清秀君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  松本 恭典君
 具志頭得助君  長浜 宗安君
 山川 宗道君  祖根 宗春君
 山城 興起君  新里 銀三君
 新城 徳助君  野原 昌彦君
 崎山 起松君  仲里 誠吉君
  群島知事   平良 辰雄君
  群島副知事  山城 篤男君
  総務部長   幸地 新蔵君
  経済部長   呉我 春信君
  工務部長   渡嘉敷真睦君
  法務部長   知念 朝功君
  文教部長   屋良 朝苗君
  財政部長   宮里  勝君
  厚生部長   宮城 普吉君
  警察部長   仲村 兼信君
 知事室事務局長 宮城 寛雄君
  弘報室長   崎間 敏勝君
  総務部副部長 稲嶺 成珍君
  経済部副部長 知念忠太郎君
  財政部副部長 久場 政彦君
  工務部副部長 西銘 順治君
  法務部副部長 金城 信範君
  文教部副部長 仲宗根政善君
  厚生部副部長 大森 泰夫君
 一九五一年二月十六日
     沖縄群島議会議長
       知花 高直 捺印
     沖縄群島議会議員
       具志頭得助 捺印
     沖縄群島議会議員
       平良 幸市 サイン
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