戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年11月16日 
(昭和26年)
会議名
第9回宮古群島議会(定例会)[2]
議事録
 一九五一年十一月十六日
◎議長(玉城玄教君) 開会します。(午前十時五十五分)
 出欠議員の報告を致します。出席八名、欠席一名。
 今日の日程をお知らせします。第一番目に、三番議員の動議があります。
 次は施政通告、施政に対して質問事項があります。
 次は議案審議とします。
◎嵩原惠典君 昨日の特別委員会に於て決議案を提出致したいと思います。
  (琉球統治の要望事項について決議文を朗読す。別紙)
 昨日の特別委員会に於ける決議文を提出したいと思う。
◎下地敏之君 伝うる所によれば琉球に対するアメリカの信託統治は或はなくなるかも知れない。私は新聞紙上でもはっきりしてないが琉球の信託統治は戦略地域であれば安全保障理事会が全会一致でないと成立しない。若しソ連が信託統治は聞かないとすればこの協定は成立しません。戦略地であれば疑問がある。軍事基地を持つことは出来ないのでないかと疑を持って居りました。若しそうなれば吾々は日本復帰を要望する機会を作った方がよい。只その間でも之から信託統治で行くものであればどしどしアメリカ、日本に対し要望する必要があると思います。この決議文は誠に結構なことと思います。三番議員の決議文に対し賛成するものであります。
 (「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) 本決議案は満場一致可決されました。
◎福里芳夫君 こう云うお願いは民政官府を通じなかったら出来ませんので事務局にお願いします。
○議長(玉城玄教君) 如何で御座いますか。
○知事(西原雅一君) 群島政府に提出して下さい。
◎議長(玉城玄教君) 心得て居ります。
 質問事項に致します。
◎下地敏之君 群島政府も後僅かの生命しかないが、一般会計で作った集農、公益質屋、郵便庁舎、副知事官舎等、群島政府だけで作ったものは中央政府に引継ぐ必要はないと思います。当局の意見を承りたい。条例の幾分かに対しても質問したいと思いますが来年三月或は六月迄の間に現にやりにくい事柄はなおして貰いたい。部は言はないが映画興行をやっても収支はどうなっているものか解らない。元来会計法規に於て収支をはっきりして貰いたい。財政部も何も解らん。会計規則に基づいてやって下さい。若し穏当ならざるものがあるとすれば政府に対する不信任並に行政上の責任問題となります。それから寄附金の募集については政府は権力を持って居る。法律的には権力を持って居る。統治する権力を持って居るので寄附金を募集するといやいやでも寄附を出すので強制的ではいかん。之からも色々あると思うが寄附募集をしたら財政部に入れて収支をはっきりして貰いたい。島民の一人からでも不信任されないようにして貰え□もう一つは希望条件を申し上げます。
 群島政府が統合すれば支庁となる筈だが職員も四分の一になると思う。沢山の失業者が出るので一番最後に問題が出てくると思う。一〇〇人以上の失業者をどういうふうに持って行くか、今度知事は上沖することですから中央政府に優秀なる人を多数送るように相談して貰いたい。部長、課長に優秀なるものをどんどん送って宮古の為に協力させて貰いたい。知事会議の場合、強く頑張って貰いたいと思います。
○副知事(東風平惠令君) 五番議員さんの御質問に対して答弁致します。集団農場、公益質屋、郵便庁舎、副知事官舎等は自力に依って造った財産でありますので、今度機構改正に依って財政上の立場から見ても五番議員の御意見通りに致したいと思って居ります。前からのしきたりでありましたが五番議員の言はれることに同感であります。改めたいと思って居ります。寄附行為は内務条例によって御趣旨に副い政府に入って来る金は予算に入れて行く考えであります。この点は充分考えて行くつもりであります。又失業者は最少限度に止めるよう努力したいと思います。
○知事(西原雅一君) 五番議員に対しお礼を申し上げます。
 大変私共の為に御心配下さって有難う御座います。私も実はなやんでいるのであります。中央政府を強化する意味からして出来る人優秀な人を持って行く考えをして居ります。失業者を救済して行くと云うことはなかなか大変なことでありますので御協力をお願いしたい。今度二十日迄には来いと云うて居りますので其の点だけは強く述べるつもりで居ります。皆様方の御協力を是非お願いしたいと思って居ります。
◎嵩原惠典君 五番議員からも話があり、知事からも答弁されて居られます。百余名の失業を議会人としても考えねばならない。仄聞する処によりますと他島は要路の人々を出して運動して居るとのことです。本群島内からも出して代表を送り、何と云うても交際費が要るのであります。この際知事や議長が統合を前にして十分群島の為活動が出来るよう交際費を大幅に増額する必要があると思います。
◎福里芳夫君 御承知の通り、今は金詰りであります。復金でやりくりをして居ります。戦前の貯金を早目に支払うようにして貰えば結構なことです。郵政庁や群島政府の努力によって確実に支払が出来ることと思って居ります。恩給も新聞紙上で見れば支払が出来るとのことです。
 戦前の一千円の預金に少し利子をつけて支払えば何も恩恵は受けないと思う。恩給は当時の賃銀ベースと現在の賃銀ベースとを二つにらみ合せて払って居るようです。物価指数と現在のそれとにらみ合せて納得の出来る率で支払って貰うよう折衝して貰いたい。全く強制された預金であります。率を高めなければならんと思う。群島政府はこれに対してどう考えて居られるか当局の御考えをお聞きしたい。
 群島政府が解消され職員も浮腰になって居りますが早急に群島政府は最善の努力をして貰い同時に其の支払いを早めに率を高めて支払って貰うよう要望致します。
○副知事(東風平惠令君) 恩給、年金、預金関係は早期に支払って貰うよう、其の筋にも色々とお願いして居ります。郵政庁長がお出になって居られましたときも皆さんの考えて居られるように一〇〇倍になって居ると云うような話をして居られた。これは調査復命をすることになって居ります。戦前の物価と戦後の物価とにらみ合せて支払うことになるのではないかと思います。星島事務官がお出になりますので、この点を要求し実現方を要望するつもりで居ります。
◎池城朝清君 中央政府が樹立に伴って群島政府も三月までと思って居ります。この期間こそ色々の設備をやらねばならない。例えば武道場、護岸、上野村役所等で中央政府に統合されては望みがうすいのであると思います。地方財政に対して吾々は四年間の任期が中途で辞めねばならない。一年の歩み、一年の力に依りまして各市町村が財政上に困らないように考えねばならない。解消されねばならないので村民の福祉の為に足跡を残さねばならない。地方の交付金でありますが、人口割、徴税割の方法があると思うが、今度の場合、地方の財政の力を勘案すべきだと思う。割当額の基準を質問し、庁員の一段の努力を要望する。
○知事(西原雅一君) 御尤もだと思います。私共の運命も議会の運命もはっきりとして来ました。最後の一日まで郡の為に努力して行きたい。事業等に対しても最後の努力をして行きたいので充分考慮して居ります。思うように出来ないことがあります。各市町村が安楽にして行くように考えて居ります。
○副知事(東風平惠令君) 市町村財政調整並にその実情に□しまして去年度は二〇万円、本年度は四〇万円として増額してあります。交付金の基準を改正したらどうかと思う。それを考慮して行きたい。
 (議長、副議長と交替)
◎玉城玄教君 色々御意見がありました通り、群島政府の命も幾何もないので自分の意見を申し上げて色々と要望したいと思います。愈々来るべき運命が来て知事さんを初め職員も辞めねばならぬが、強くなって郡民の為に強い決意を持って貰いたい。部下職員にも持たせて貰いたい。黒糖の問題ですが、黒糖に対する本政府の特恵待遇を継続してもらうよう努力して欲しい。又外来糖の輸入には全面的に反対であるが、当局の所見如何、日本時代勧銀や興銀からわずかな金を借りたが為に財産を登記されて、その活用を阻まれている人が千人を超すと聞いている。これを供託局に供託することによって抵当を抹消することが出来るよう、その実現が一刻も早くなるよう押して欲しい。統合に依る犠牲者を最小限度に止めて欲しい。知事が最近上沖されますのでこの事は充分推進して貰いたい。出来るだけ宮古から失業者がないように全力を尽して貰いたい。知事さんの御意見を伺いたい。
○知事(西原雅一君) 黒糖の問題でありますが、六番議員のおっしゃる通り、ビートラー少将にお会いしましたら黒糖について色々とお話がありました。
 それで分蜜糖に対し三〇〇噸位の工場を持ったらどうかと話して居られた。分蜜糖のキビが違って来る。分蜜糖工場が必要と思う。黒糖の値段については皆さん達の御努力に依ると思います。白糖の移入について酒造組合から申出て居りました。平良知事は暫定的に入れてもよいと言って居られた。私は全反対をしました。日本から米を入れなかったら、其の代り白糖を入れて泡盛にして出した方がよいと云う意見だそうです。これも其の後入れんのでないかと思って居ります。農村の人は反対して居ると思います。其の辺のようすは聞かない。群島政府職員の為に御心配をして非常に有難う御座います。或は四分の一になるか□分の一になるか解りません。人間の経済面からしても人員の配置についても見通しが付いて居りません。
○副知事(東風平惠令君) 戦前に土地を担保にして勧銀から金を借りて現在まで返済が出来ないで農村、漁村に大きな影響を与えている。未だにその実現が出来ないので玉城さんは自ら筆を取られて陳情されたり係官に折衝されたりして後一押しと云う処まで行って居られます。ほんとに玉城さんの御努力に対して当局として感謝して居ります。我々としても軍政府にお願いして解決して金融界に曙光を見出すつもりで居ります。
○下地敏之君 最後の二ヶ年分しか抵当権は保証しません。それと元金とになって居ります。
○知事(西原雅一君) 砂糖の移入問題については宮島所長に私の意志を話してあります。
  (議長、副議長と交替、副議長席に着く。)
◎議長(玉城玄教君) 時間を延長します。提出議案審議して行きたい。
◎福嶺紀仁君 一括して審議しませう。如何で御座いますか。
 (「賛成」の声あり)
 議案第八十七号から議案第九十六号の内議案第八十九号は現在の農家の現状に鑑みまして研究の余地がありますので保留したいと思います。残りの議案は宮古郡の自立経済面に適当な処置として一九五一年十一月十六日付施行して原案に賛成します。
 更に委員会でも注意を喚起されまして監査、公安委員等の予算を追加されることは当局としても創意工夫しこれ以上出さないようにして現予算の範囲内で止めて貰いたい。
◎議長(玉城玄教君) 八番議員の希望条件を附しまして原案通り認めたいと思いますが如何で御座いますか。
 (全員「賛成」の声あり)
 これで全議案を終了致します。
 閉会します。
○知事(西原雅一君) お忙しい処を誠に有難う御座います。
 閉会。(午後零時五十五分)

一九五一年十一月十七日
宮古群島議会議長 玉城 玄教(印)
    三番議員 嵩原 惠典(印)
    四番議員 渡久山知照サイン
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