戦後初期会議録

組織名
沖縄民政府
開催日
1948年01月07日 
(昭和23年)
会議名
軍民連絡会議 1948年1月7日 目録詳細 画像を見る
議事録
軍民連絡会議〔荒廃地・銀行〕

  一九四八年一月七日(水)午前十一時
  出 席 志喜屋知事、又吉副知事、島袋官房長、比嘉(善)通訳。
  軍政府 ウイルソン中佐。
  速 記 島〔島袋官房長〕
諮詢事項
 ウイルソン中佐
  ヘイドン准将は近くマニラに行かれる。自分は四ケ月間留守したのでリポートを出すに忙しい。
 知事
  薪の問題は困ってゐる。農連だけでは出来ないから各会社、町村に取扱はせることにしました。
 ウイルソン中佐
  曩に農連に一手販売させた理由は舟の制限の為めだった。運ぶのに舟が沢山あれば幾つにもさせられるが、農務、工務、商務と薪に関係ある処が一になってやるのが便利だと考へたからである。
 知事
  多少緩和されてゐます。
 ウイルソン中佐
  寒さに向って薪が不足して失望しました。夏の暑い中に準備したつもりであったのに。
 知事
  ヨギ試験場の未耕作地を当分付近の農家に耕作させたい。実施はしてゐないがジョルダンさんの了解を得てゐるが、お話がありましたか。
 ウイルソン中佐
  まだありません。
 知事
  農村に荒廃地がまだあります。農務、工務、開拓が相談の上耕地に開く事になってゐます。
 ウイルソン中佐
  耕さないでそのまゝ遊閑地にするのはよろしくない。人口が多くて土地の拡張が必要ならばむづかしくても人力で出来るものはやりなさい。一々金を貰ってやるのはどうかと思ひます。
  人力以外をからねばならぬ場合は問題外です。
 知事
  それで農務、開拓、工務が協力してやることになってゐます。
 ウイルソン中佐
  計画については賛成です。補助金が貰へるならやらうといふのには不賛成です。そのつもりで立案して下さい。
 知事
  軍の司法財政に出す日本より受取る預貯金・保険・恩給等調査中です。とりついで下さい。
 ウイルソン中佐
  記録に残った丈けは可能性があると思ひます。可能性あるなしは問題でない。残ってゐないものは困難ではある。法的に主張していい。主張せんと何もならない。記録の有無に拘らず個人から出させて貰ひ度い。
 知事
  台湾から日本に行った人々は取ったといふ話です。
  その証拠がありますから訳して軍に提出します。
 ウイルソン中佐
  確実な証拠があれば力強い主張が出来ます。銀行制度が出来てゐれば、あの時既に出来てゐたらう。
 知事
  今度の銀行の件正式に知事に話はありませんが、おわかりでしたらその内容をお知らせ願ひ度い。
 ウイルソン中佐
  宮古、八重山、大島、沖縄の現在の中央銀行は支店になります。その事について東京で打合はして来ましたが、いつから仕事するかは不明です。
 知事
  大島知事のお話によると此の十五日頃経済会議があるとか聞きましたが。
 ウイルソン中佐
  財政の方でせう。
  銀行はアメリカの組織と一致させる。中央銀行は大蔵大臣に責任がありその下に十二の地方の銀行がありその下に各州に支店があります。今度のそれは十二の銀行に当ります。
 知事
  紙幣発行でも出来ますか。
 ウイルソン中佐
  アメリカでも戦前は十二の銀行が紙幣発行をしましたが戦争になって止めた。アメリカがやってゐないから今は決定されない。
 知事
  大東島の報告。あの建物は一万トン貯へられる広さであるが未完成の為め七〇〇〇トンしか貯へ得ない。未完成の理由は材料がない為めです。
 ウイルソン中佐
  向ふに行く時に必要なる材料は皆持って行った筈です。だのに材料がないとは訳が分らない。自分が沖縄を立ってから四ケ月、ガーン氏が帰ってから五ケ月なる。その間材料がないなら何故とらなかっただらうか。取り寄せて仕事はやるべきです。
  日本から一万五千ドルに相当する物を入れる。見返り品にあるものは燐鉱ばかりである。三八万ドルも入れ、現在一〇〇万ドル要求してゐる。
  何の見返り品もなく膨大に入れるのはいけない。
  ホーイ大尉も沖縄に物を入れる為めに随分働いて来た。自分達は何時迄も沖縄にゐるのぢゃない。
  向ふにゐる人も何時かは帰る。それで事は何時でも新しくなる。軍の首脳部は七月までに大てい更る。個人的親しみは大きなものです。親密を活かせ、充分気をつけてやって欲しい。
  社会事業・労務の隊長は長くゐる。東京にもマニラにも居た。三十年間軍隊にゐた。人情あるいい人です。あの人と長くゐて働きたい。
  ヘイドン准将が十五日にマニラに行かれるので忙しくて今は出来ないから適当な日に話したい。先日は貿易庁の宮里、工業の安谷屋、商務の糸数氏から質問があり簡単に答へたが、適当な人々を知事が此処へ集めて質問に対し知ってゐるだけは答へませう。今大きな問題を四つ考へてゐます。
   1 特別布告第二十四号の労務規程の問題。
   2 経済部門の四つの統一。
   3 食糧其の他の配給品の配給について。
   4 個人企業者が車輛、機械を借りた時その貸賃を取り立てゝ民政府の収入にしたいこと。
  ヘイドン准将がたった後にしませう。
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