戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年11月15日 
(昭和26年)
会議名
第9回宮古群島議会(定例会)[1]
議事録
第九回宮古群島議会(定例会)会議録

第九回宮古群島議会(定例会)会議録
一九五一年十一月十五日午前十時左記議案に付宮古群島議会(定例会)を宮古群島政府に招集する。

   記
一 議 案
議案第八十七号 宮古上布検査条例について
議案第八十八号 貝殻海人草検査条例について
議案第八十九号 砂糖製造人免許条例について
議案第九十号 養豚条例について
議案第九十一号 宮古砂糖及砂糖容器検査条例の一部を改正する条例について
議案第九十二号 宮古群島政府旅費支給条例の一部を改正する条例について
議案第九十三号 宮古群島政府工事請負条例の一部を改正する条例について
議案第九十四号 宮古群島政府特殊機械使用料徴収条例の一部を改正する条例について
議案第九十五号 群島税徴収条例について
議案第九十六号 一九五一年度一般会計歳入歳出追加予算について
◎知事(西原雅一君) 開会前に一言御挨拶を申し上げます。
 中央政府が樹立されますと、群島政府も解消され議会も解消されると思います。後僅かに三ヶ月余でありますが、私共は私共に与えられた義務権利を忠実にやる考えであります。従って今度上程する条例等についても、其の運命がどれだけ続くか分らないが、私共は為すべき権利(義務カ)を忠実に履行して行かなければならないのでお互いに審議して行く考えであります。
 群島政府とはどんなものかと云うビートラー少将からの公文が来て居りますから参考までに朗読します。
  (別紙)
 これによっても御分りのように群島政府の職員は一部は吸収されても大部分の職員は整理されるものと考えられます。私も部下の為に全力を尽して今後の処置に尽していかなければならぬので皆様の御協力をお願い致します。何卒其の点御賢察下さいまして民政長官の話にもあります通り、今日上程になります各条例等はどれだけ効力があるか分らぬが、これは吾々が最後の日まで忠実にして行く考えであります。
 何卒慎重御審議下さいますようお願い致します。
◎議長(玉城玄教君) 開会します。(午前十時四十五分)
 出席議員の報告を致します。出席八名、欠席一名であります。
 議事録署名人の選出方法についてお諮り致します。
○福里芳夫君 議長指名にお願いします。
  (「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) それでは三番の嵩原惠典君と四番の渡久山知照君にお願い致します。
 それでは知事から議長宛に公文が来て居りますので朗読致します。
  (書記長伊川長壯君 宮総発第六九〇号朗読す。)

宮総発第六九〇号
 一九五一年十一月十五日
  宮古群島知事  西原 雅一
宮古群島議会議長玉城玄教殿
  第九回宮古群島議会提出議案について
第九回宮古群島議会(定例会)に於て議会の議決を得たく別紙の通り議案を送付致します。
  (別紙省略す。)

◎議長(玉城玄教君) 陳情書が参って居ります。二通参って居ります。平良市長石原雅太郎と上野村の下地好雄外七名から来ていますから朗読させます。
 (書記長伊川長壯君朗読す。)
○議長(玉城玄教君) 議案を配付します。
◎議長(玉城玄教君) 議事日程をお知らせ致します。
 会期を二日として、本日は議案の説明をしまして午後からは陳情書、其の他に対する協議会をお願い致します。明日は議案に対する質疑討論又全議案の審議を致したいと思います。
 議案第八十七号から第九十六号まで一括上程します。
 議案第九十六号から説明して下さい。
◎財政部長(島田文雄君) 便宜上歳出の方から御説明します。
  (別紙の通り)
 警察学校の消耗品は其の部に取扱はして居りますから御参考に申し上げて置きます。
◎議長(玉城玄教君) 今日の日程はこれで終了致しました。
 休会致します。(午前十一時三十分)
 協議会は宮古旅館で致しますから御参集下さい。

   協議会記録
◎市長(石原雅太郎君) 陳情書のことでお願いしたい件で御邪魔に参りました。平良市桟橋埋立地を平良市に移管して戴き度いと思って参りました。何卒よろしくお願い致します。
◎平良市議長(伊志嶺玄良君) 甚だ僭越では御座いますが議会として貴重な時間を割いて吾々の為に誠に有難う御座います。
 平良市の為陳情書にも書いてあります通り平良市に移管して戴くよう御願いします。
◎議長(玉城玄教君) 協議会を開きます。(午後二時五分)
 歳入歳出予算に一応目を通して置かうと思います。監査委員、公安委員の予算を何回も追加しないようにして貰います。
○福里芳夫君 追加予算を何回もしないようにして下さい。
○嵩原惠典君 警察の武道場を作るようなお話しがありますか。
○議長(玉城玄教君) 歳入を見て下さい。
○福里芳夫君 異議なし
◎議長(玉城玄教君) 陳情文について、上野村から附属建物五三坪総経費六三万円となって居ります。これに対し応分の寄附をして下さいとの意味のようです。
○平良金一君 当局が見えませんが上野村の更生の為に皆様方の御協力と御同情をお願い致します。
◎議長(玉城玄教君) 六三万円はどう云うふうに捻出される予定ですか。
○平良金一君 村有地を売却して財源に振り向ける考えをして居ります。
○知事(西原雅一君) 六三万円までは行かないでせうが村民の労力奉仕即ち砂利、砂等を奉仕する筈ですから五〇万円位は要るでせう。
○下地敏之君 財源の問題になって来ますが。
○福里芳夫君 当局の御考えはどんなものですか。
○財政部長(島田文雄君) 今のところ一杯ですが備品等は全然購入せんつもりで居ります。現在あるもので間に合わすと云う考えをして居ります。
○下地敏之君 どうです二〇万円位出したら。
○福里芳夫君 城辺町役所も雨漏りして困って居ります。
○嵩原惠典君 そう言わないで一方さえ済めば後は何とかなるよ。
◎平良金一君 返す返すもお願いですが新らしく作らねばなりませんのでお願いします。
○福嶺紀仁君 新らしい村でもあるし、知事さんのお話のように砂利とか色々奉仕がある筈だから五〇万円位はかかるでせう。
 二〇万円出したらどうです。バスも故障だらけで困って居りますし財源も困るでせう。
○財政部長(島田文雄君) 村民税等に弾力性をもっと持たせたらよいでせう。
○議長(玉城玄教君) 今二〇万円と云う説がありますが、当局はどう考えて居りますか。
○財政部長(島田文雄君) 将来もこう云うことがありますと困るし、今申し上げたように財源に困るのであります。
○嵩原惠典君 公益質屋の問題ですが、公益質屋以外にも免許質屋があるようですが。
○議長(玉城玄教君) どうですかねまとめないといけないがね、貴方の方としてもどういうふうにしてどの位と云うことをざっくばらんに話して下さい。どうですかその位にして頑張って貰えないですか。
○嵩原惠典君 上野村が更生するならばよいでせう。
○財政部長(島田文雄君) 収入がないと困ることです。公益質屋あたりを吸収しても八〇万円が其の儘入って来たらよいですがね。
○議長(玉城玄教君) 要は金額を決定すればよいです。
○副知事(東風平惠令君) 現物なら何とかなりますが金額を一〇万円として現物を出すと云うことにしたらどうですか。
◎平良金一君 非常に苦しい財源ではあるでせうが何とかして二〇万円位は御願いします。
○議長(玉城玄教君) 当局は総額一〇万円にしてくれと云うて居られる又現物を支給したいと話して居られる。吾々は二〇万円と云うて居る。どちらにしても迷惑のかからないように思って吾々としては多くあげたいけれども止むを得ず一〇万としてやることにしませう。
○知事(西原雅一君) 不渡手形では何にもなりませんよ。
○平良金一君 二〇万円に頑張って下さい。
○議長(玉城玄教君) どうですか皆さん。
○福里芳夫君 当局は不渡りでしたらどうします。
○議長(玉城玄教君) 取れるようなお話をして下さい。吾々としては沢山上げる考えですが、一〇万円と云うことに致します。
○平良金一君 一〇万円に減らされては困るのです。
○副知事(東風平惠令君) 収入の見通しがつかない。一五万円の範囲内にして当局に委せたらどうですか。
◎議長(玉城玄教君) はっきり決定せんといかんですよ。
 今が最悪の場合ですよ。一五万円と決定して置きます。
  (「賛成」の声あり)
 それでは一五万円としませう。
 頑張って大いにやって下さい。
○平良金一君 有難う御座います。
◎議長(玉城玄教君) 次は平良市から現在の埋立地及護岸を平良市に移管してくれと云うて居ります。これに対して民政官府あたりに聞いて見られたことがありますか。
○知事(西原雅一君) ありません。
○工務部長(高良憲松君) 北側、南側と合わせて五、七〇六、五〇〇円となって居ります。
◎議長(玉城玄教君) 議会として各関係者とも話し合ってから次の議会にでも決めたらどんなものですか。
○知事(西原雅一君) 今までそういうことに対しては話して見たことがない。
◎議長(玉城玄教君) 沖縄に知事さんが二十日頃いらっしゃるですから向うの群島政府と折衝してから決めたらよいじゃないかね。
○知事(西原雅一君) 議会の議決をしたからと民政官府に行って相談したらとも思はれるが。
○平良金一君 中央政府に上げるよりか平良市に上げた方がよい。
○下地敏之君 物は交渉の出方でないと。
○知事(西原雅一君) 色々あるでせう。皆様が議決して民政官府に会って話して相談する方法もある。今決めて後で議決する方法もあるのではないでせうか。管理をさせてくれと云う方法もある。
○議長(玉城玄教君) この陳情に対しては民政官府の許可を受けてから議会にかけた方がよいと思う。
◎平良市副議長(下地淳一君) その市町村のものになって居りますよ。決めて下さらんと実際困るのです。
◎下地敏之君 桟橋を使用するには、どうしてもその周囲の土地を荷物揚場所が必要だからと交渉してから決めた方がよいと思う。
◎議長(玉城玄教君) 議会としては異存はないが、そう云うことにしませう。
 次は豚飼育はどうなって居ります。
  (豚飼育状況調査成績表を配付する。別紙の通り)
 法規の命ずる通りに処罰すると云う方法にしたら給糞しないだらうと思うが。
○経済副部長(下地明高君) 警察に呼出してやればよいでないですか。
○警察本部長(砂川武俊君) それは前条例では給糞すると云うことはなく只々豚舎改善とのみあったのですが。
◎議長(玉城玄教君) 今後食わしたならば始末書を書くとか警察に呼ぶようにしたらよいでないですか。
○上野村助役(砂川誠昌君) 上野村の為に群島議会議員の皆々様方が絶大なる御同情により行政方面にも御指導下さいまして誠に有難う御座います。上野村役所の本建築を計画しました所、群島議会議員の皆々様方の特別なる御援助を下さいまして補助も戴くことになりましたことを衷心から厚く御礼を申し上げる次第であります。役所の本建築をしまして行政事務も順調に進□して行く事と思います。今後益々公私とも御援助下さるよう御願い致します。この席を借りまして御礼の御言葉を申し上げます。誠に有難う御座います。
◎議長(玉城玄教君) 講和会議後における米国の琉球統治に対する要望について、沖縄群島議会が出して居りますので宮古としても出した方がよいと思います。原文のまま朗読致します。
 (波平書記朗読す。)
 沖縄を琉球に訂正する。日本国旗の掲揚はどうです。貨幣が入ってないから入れることにしたらどうです。
◎下地敏之君 沖縄を琉球に、国籍を日本人として、それから日本の国旗を掲揚させること。これでよいでせう。
◎議長(玉城玄教君) 宛は米国政府、日本政府、宮古民政官府並に琉球列島米国民政副長官に提出しませう。議会の議決をしまして送付しませう。それでは訂正することにします。
  (「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) 砂糖免許条例については議案として出て居りますか。委員附託して保留して其のままにすることにします。それから質疑討論が出て居りませんから何かありましたら提出をお願いします。
◎財政部長(島田文雄君) 税徴収条例は事務上に差支えがありますので議会として事後承認をして貰いたいと思いますが。
◎議長(玉城玄教君) それは事後承認としてよいでせう。事務に差支えがあるならばよいでせう。
 今日はこれで終ります。有難う御座います。(午後四時二十分)
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