戦後初期会議録

組織名
奄美民政議会
開催日
1950年01月28日 
(昭和25年)
会議名
第1回民政議会(3日目)
議事録
第一回民政議会議事録

第一回民政議会議事録(三日目)
      一月二十八日
 政庁コンセットに於て

  (午前十時開会)
◎中江 昨日に引つづきまして今日は皆様方の質疑応答にうつります。
◎二番 昨日御説明を伺いまして今の大島ではぜいたくすぎはしないかと思はれるような奢侈品、例えば煙草とかビール、シトロン、りんごと云うようなものが御承知の通り大島で出来る味噌、醤油、下駄等が店屋で盛んに売られております。これはこれは私共の考としましては大島の経済が立ち直るまでは一時販売を停止してしかるべきものだとこう考えているのでありまするが、当局では一時停止する用意は出来ているかいないか品目についての調査が出来ておりますか、このことについてお伺いします。それから貿易が始まった場合も当分の間はこの趣旨に依りまして輸入品を制限すべきものだと云うことを考えております。また税関みたいなものを決めまして或る品目に対しては重税を課すべきだと考えこの点に対する用意は出来ておりますか、それから貿易が始まりましても今のような状態では私共のねがっているような結果は来ないもんだと考えております。我々が従来輸出しておった紬、海産物、黒糖、百合、蘇鉄葉、ハブ酒の如きものを大いに増産しなければならないと思いますが、それについてどう云う用意がありますか、新しい産業として輸出され得る可能性のものがあろうと思います。そう云うことに対する用意は如何であるか工業についてもその基本になるものは電力であります。道路がなければなりたちません電力を大きくするためにどう云う用意がされているか、最後にドルとの交換率の問題でありますが売るものは高く買うものは安く出来たら結構な話ですけれどもこれは虫が良すぎて出来ない話だと思います。売るものが安くても買うものが安ければそれで良いんだと云うことになります。その経済部長さんから御説明がありましたがどの辺が公正で一番適当であるかと云うことをお伺い致します。
○中江 一番最初の煙草、りんごその他の店売こう云うものは売っておって現在の大島の窮乏状態から不必要じゃないか私は同感です。この間経済委員会でこうした経済部長が云った経済委員会の中で反対をされて実現しなかったのでありますが、沖縄とのいはゆる闇取引と云いますか軍で命令されているものがその金の流れておりますことは事実でありますが、それを何とか商売のために持って行く風にしたらどうかいろいろ調査をして話し合ったのですけれども、具体的にどの程度から禁止するか全面的にこれを禁止するかいろいろ問題がありましてまだはっきりした対策を決めておりません。煙草とかビールとかは軍需品であって軍の命令に依って禁止されております。軍の命令に依っても出来ないと云う状況であります。そう云うようなことをやって出来るかどうか疑問を持っております。次は将来貿易が再開された場合に大島に不必要なものを入れないように制限を設けたら如何かと云うことは当然で大島が必要とするものから輸入すべきだと思います。輸出品の奨励例えば紬とか百合とか蘇鉄葉と云うものに対してどう云う具体策があるかと云うことでありますが、これも前経済部長から話があったか知れませんが極く最近沖縄軍政府から大島紬の販路の可能性と云うことを、その紬を販売して交換に原料を入れる可能性について業者を派遣することにした。こちらに通知をしろと云うから一名向うから指定された電報が来ておりますが、これは我々としては一名では物足りない業者二名政庁から一人軍政府に話をしたら自分の方では何とも云えない、しかしうまく行ったら三名行けることになっております。そして大島紬の価格、販路を良く研究して取決めてもらうそれに対して原料糸を入れる、同時に黒糖、蘇鉄葉こう云うものを正式に取り決めて頂きたい。軍政官も正式の場合紬が重要な蘇鉄葉と云うものの必要性については調べてなかったから我々はそれを期待しております。輸出品と云うことについてまだ具体的に考えておりません。今度の復興予算の説明があったと思いますがそれについては非常に幸先が良いと云うようなこともきいております。まだ具体的にはっきりしませんけれどもああ云うものを出したら良いと云うことになったら相当な輸出品になりはしないかと思います。電力の問題でありますが離島のことは先ずさておきまして茲で本島のことについて申上げますと、古仁屋の近くの阿木名部落に元発電所があってやっておったんですがそれがダムの関係、水力の関係で宇検村に変ったのでありますけれども発電機、資材は完全に残っております。ダムさえ切り換えて新しく作ったら相当余剰電力が出来て古仁屋、西方、宇検に相当電力の余裕が出来て来る見込でありますので昨年十一月頃から問題になったのですが、大体経費が二百五十万円位かかるからこれを軍政府の方に復興予算でやってもらうように交渉中でありますが、予算に組んでありましたが軍の考え方としては琉球銀行からこれを借れその代り何年間で返済するか或る程度の担保物件があるかどうか照会が来ております。その他五十キロワット以上の水力発電の可能性があるかないかについても来ていますが、相当大和村の側では値段その他いろいろ可能性がありますのでこれを検査して軍の方に報告しようと思います。大島の発電所の問題ですがどうも老朽になって手がつけられない実情でありますが、経営者に才能がなく不便の点も多々出て来ると思いますがいろいろ地元の方から四ヵ町村が管理さして呉れとか、或いは新しく作ってはどうかと思いますがまだ私達は軍の管理になっておりますから法的に見てそう云うことはまだ善処していない訳です。為替の換算率でありますが中々むつかしい問題で一概に云えない、沖縄の新聞等を見て輸出業者の茲のビー券の価円を日本の円に比べて相当高く評価しなければならないと思っております。一方労務者はそれに反対でありますが結局利害が相反するのですから新聞を見ると八十円程度は妥当じゃないかと云う議論になって、委員を挙げて研究すると云うことが新聞に出ておりますが今の一ドル五十円と云うことは率に合はんだろうと思います。これは貿易が行はれれば当然価格は切り換えられますけれども軍の統制にありまして、あらゆる物資は入れられない特定の物資しか入れられないと云うからこの価格は経済計画に従って妥当なる価格とならない、どの価格が良いと云うことは理論的に云えないと思う。一般的に見て百八十円では高い、もっと上げなくてはならぬと云うことは云えるのです。不得要領な返事では御満足を得ないかも知れませんが。
◎祷 良く分りましたが禁制品問題ですが軍が禁止してもそれが行はれない実行の面でどうかと云う意見ですがそれは私出来ると思います。例えば私共が村にかえりまして相談しましてこうこうであったと話をしましたら村民も自ら禁制品の禁止に協力するものと思います。単に警察の力だけではむつかしいだろうと思いますけれども大島郡民協力の下に郡民の自発的な力に依れば私は易々として出来るだろうと思います。それから電気の問題ですが例えば徳之島ではセメントを作る材料はいくらでもあるのです。工務部長の説明はセメントがないと云はれましたが電力があったらセメントなんかヂャンヂャン出来るんです。それから茲の三方村役場の話ですが住用村に豪い山があるが道がわるいために伐採出来んと云うようなことはどしどし復興予算で林道を作って、その材木をどんどん出すと云うような事も考えられるのですが夢かも知れませんけれども大いに頭を使って新しい輸出産業はあるだろうと思います。それにつきましては一番始めに必要なものは動力ですから今まで当局が電気の整備と云うことについて十分力を入れていると云うことは、十分同情しておりますけれども尚一層新しい産業の基礎になるんだと云う考から根本的に一つお考えねがいたいと思います。
○屋田 今の祷さんの御意見もっともと思いますが、それについて闇の取締りにつきましてこの前も具体的にお話したんですが先ず二つの原因が考えられると思います。一つは黒糖が正規のルートを通じて出来ない、従って日本では需要があるけれども正式の貿易に切り換えて作ったものを内地に出さなければならないと云うこと、大島の生活必需品が不足しております、だから持って来たら幾らでも買うから商人はもうかるから結局持って来ますから、この二つの問題を解決するのが闇を防止する一番良い方法ぢゃないかと考えられます。それに対して私の個人的な意見ですが貿易庁を通じて生活必需品を安くで入れてもらう、そうすれば何も高い闇船が持って来る生活必需品は不必要であります。値段の点からそれをおさえてしまいまして更に黒糖はザラメさえ琉球から流れて来なければ琉球内ではけるものをそれを八重山に行って台湾との密貿易の取締りが出来るんですがそれが出来ない。この二つの問題が解決出来たら非常にうまく行くんぢゃないかと思います。それから新しい輸出品についてお話がありましたが去年軍政官と知事が鹿児島に参りまして向うの商人と会って見ますと芭蕉の繊維ですがこれを非常に欲しがっております。それから藪肉桂(シダラの実)です、我々が昔集めたことをおぼえていますがやっぱり必要はあります。処がその必要があるにかかわらず一向日本政府が買ってくれない、非常に値段が遠い訳です。黒糖等にしても高い値段で売れているが更にこっちの価格は非常に安い、いろいろ私の想像ですが日本としましてもドルを通じて貿易をやっておりますから、そのドルを少しでも節約して余り不必要なものは買はないと云う方針をとっているがためにこう云うことになっているのではないかと考えられる訳です。実際需要はあり乍ら日本政府が許して呉れないために日本が買はないと云った処に、非常に窮屈な面が(現在の管理貿易の)あるんぢゃないかと思います。正式にルートに入れる確実に金がとれる方法がついたら良いんぢゃないかと軍政官に事情を具したことがありますが、実際問題として困っておりますが沖縄に行ったら貿易庁の連中と相談して以上の点をはっきりしたいと思います。
◎川井 只今祷さんから質問されました問題に関連性がありますので現下の郡民経済の苦境を打開するための方策として、いはゆる奢侈品類の入荷抑制等も考えられるのであります。しかし私共は根本と致しましてりんごも喰べたい、ビールも呑んで見たい、事実内地に於てぐんぐん文化的生活が繰りひろげられていると云う事実を見まして私共は羨望の的であります。故に大島郡民だけが只生活を切下げる方法に依って郡民経済をお考えになるのはどうか、我々は新しい平和の時期をむかえて文化生活をして行くと云うことが唯一の我々の生きる途だと云うことをみんなが話しております。目下の急務である処のこの苦境を打開するためには消極的にそう云うこともとられねばなりませんが、軍政官にしましても政庁当局と致しましても私は只今申しましたように文化生活が出来る方向に向って大きなる政策がなければならないと思うのであります。若し昨日財政部長から説明がありましたように三億数千万円の五一年度の予算を切盛せよ。また来年再来年までも多額の復興資金等が組まれると共に大島がこれに依って復興資金に依って大島の産業が革命的に飛躍をとげるとなれば決して我々の生活を消極的におし止める必要はない。「やれやれ意気銷沈するな」と云うことをおし進めていかなくちゃならないと思うのであります。その点に対して知事に於かれては如何なる方策を以ておられるか承りたいのであります。その方策を承りまして後それに関連する点を知事に御質問申上げたいと思います。
○中江 大きな問題です。実際問題として要するに貿易を早く軌道に乗せなければならないと云うことが一番必要だろうと思います。今まで数年間それを叫びつづけてそれをお願いしましたけれども未だに開かれない、悲しむべき結果でありますけれども云って良いか知れませんが、日本が諸外国と自由貿易を許されると云うことについて琉球地区に対して政策を取ると云うような事をきいております。或る種の自由貿易と云いますと日本の自由貿易に関連して或る種の手を打つのではないかと云うことを予測しているのですが、沖縄貿易庁の或る係員は日本に行って帰って来ての話ですが要するに従来の大島の産業から見て紬と黒糖が一番重要な問題ぢゃないか、こいつを一つ食うものはどんどん出して作らない、他の原料をいれてもらうと云うことが根本問題ぢゃないか、具体的に云ったら紬がおこれば農村あたりの労働力が低廉に出来ますから、紬が良く普及されるようになりますと失業問題も自ら解決され農家一般の副業も出ますからそれを一番頼みにしているのであります。紬の値段について沖縄貿易庁を通じて来た値段は最高一反八百円普通三百五十円、こちらから業者が鹿児島に電報を打って調べて見てもっと高い値段を云って来ている。そう云う点をいはゆる管理と云いますか素人が取扱っている無智な知識のないアメリカ人が取扱っている価格は信頼性が持てない。本当に利用する者の話でなかったら信頼出来ないんぢゃないかと云うのでさっき申上げました業者を日本内地にやった次第であります。
◎川井 それでは五一年度の予算に復興予算と致しまして三億数千万円を計上していると云うようなことでありましたが、これに対するどの程度の確実な打診が行はれておりますか此の点について説明ねがいます。
○中江 それは私には予測はつかないだろうと考えます。昨年までに復興予算の編成の仕方、時期、折衝(軍政府に対する)昨年度はおくれて行って結局時期おくれになって間に合はなかった。今年の予算関係の会議に我々は招集されておりますからその前に向うの軍の示す予算の経過がこっちから向うに分り易いように表を作ってあります。また今度沖縄に参りますれば全地区の関係者が集って復興予算の審議が行はれますので昨年よりは期待が持てるのではないかと思はれます。軍政官には昨日副知事が予算書を持って話して来たから内容は大体分った。沖縄の昨年までの状況、或いは今度の軍政府の内示と云いますかそう云うことを引き比べながら大体内容は分ったが細かい細目の話があったそうですが行って見ないと茲で三億とれる二億とれると云うことは申上げ兼ねますが、予算の金額はシーツ少将の施策に依って相当とれるのではないかと思います。沖縄の人口比率そう云うことを比較されては大島が困る、向うは軍需基地で軍の必要とする設備がありますから、そのために労務者もおりますし相当金額もとれますが大島はそう云う軍の施設が設けられると云うことになっておりません。単なる民政の為の復興予算と云いますか向うは軍のための施設関係のために使う金が相当ありますので、一概に沖縄は十億もらったから大島は半分貰はなければならないと云うことは云えないと思います。
◎川井 昨日の経済部長さんの説明の中に大島の経済復興の唯一の途は貿易を再開すると云うことを云はれましたが、私共の考では先程二番議員が申上げました通り貿易が開始されましても我々が夢見ているような状況は来ない。それでは大島と沖縄が貿易を開始すると云う直接的な貿易を開始して呉れ大島の業界は手ぐすね引いて待っているんだと云うことを盛んに云っていたのでありますが、実際開始して見て何が輸出されたどう云う取引高になったと云うことでお互いが現実に見ていることであります。それで私共が考えますることは大島の財政、民経済の基礎の有力なものはいはゆる出稼者在外移住者の送金があったと云うことを考えまするが、現在に於きましても沖縄に於きましては相当の仕事がありますのに対しどうも大島から沖縄に行っている人々はばらばらに行ってしかも直ぐもうかろうと云うようなことから悪い事件を起しておりますが、この沖縄に対する計画的な出稼ぎ或いはその他について外から金を入れる方法これが非常に考えられているでありますが、それと大島の今日の農業と云はず水産と云はず原始的な方法に依ってなされていた。これを多額の外資導入に依って開拓するならばまた大島復興の一大原動力であるこう考えているのであります。この外資導入及び移民この二つについて如何なるお考えを持っておられますか。
○中江 移民と云うことについては差し当り考えられますのは昨日農務部長が話しましたが八重山地区で相当に土地が有り余っております。只問題はマラリアが多くて危険です、向うで努力しております(マラリア撲滅に)。沖縄本島としましても過剰人口を八重山に移すべく計画しているようでありますが、昨日来た新聞を見ると沖縄本島から向うに行く移民計画は中止になったようです(軍から)。内容を推察すると講和会議以後でなければそう云うことは出来ないと云う考から禁止されたと云うことが新聞に見えております。外資導入の問題はアメリカの資本になりますがアメリカ人の資本を入れることについては向うが茲を開発して有利なものであればこそ入って来るのでありますが、大島自体としてアメリカ人が目をつける対象になり得るものがあるかどうかその問題と思います。問題は大島の立地条件がわるい、労働力は多分にあると云うことは考えられますが、そうなると繊維工業、綿紡績と云うことも一応考えられますけれども、石炭を運んで来なければならない、機械を設備しなければならない、労働力だけが有利な点になると大島はもっと有利な条件をそなえることが他にあるから大島の不利な点がある。私自身にしても外資を入れて産業を開発すると云うことまでは考え及ばないのであります。
◎二番 さっき九番議員から申されたことが誤解を招くおそれがあるように思いますからそれは我々はよりぜいたくな生活が出来ることを望むことは当り前であります。誰しもそう願っております。大島の現状でそう云うことを云っていた日にはそう云っているうちに見る見る金がなくなってお互い奴隷になってしまいます。只今さっきの話のように今現在困っている大島が有福なぜいたくの出来るような大島は一朝一夕に出来るものではありません。良く政治にそう云うことを望むのでありまして結局うまずたゆまざる努力をしないと出来ないのでありまして時日を要するのであります。その間お互いは辛抱しようと思うのです。
◎九番 私は将来に対する恒久的な意見と云うことを云ったのです。
◎二番 最後に戦争前に於ける最近の輸出入の統計、品名、数量、金額、最近の輸出入の品目、数量、金額それからなるべく最近のものが良いのですが大島の財政がどうであったかと云うことが分るのは大島にどれだけ金が外から入って来てどれだけ外に出て行った、そう云うような統計にこれを述べてあったので御座いますけれども作成して頂きたい。
◎三番 先ず貿易再開に当ってはレート決定が一番大事になるのでありますが昨日から百二十円と云う声がきこえたり、それから今日また八十円と云う声がきこえたり或いは紬は三百円でなければとてもと云う説明があったりいろいろまちまちな説がありますが、実際輸□する人に取ってはドルをなるべくビー券を高く換えられた方が輸出業界も助かる訳であります。しかし乍らついこの間放出物資の五十ドル換算値上りと云うように相当大きな運動を起して反対した手前、そうして放出物資が今では大体三十円のレートで以て計算されて配給されていると思います。(価格を下げましたから)そうして運動を起した直後に於て果して三百円にしたら十倍から喰い違います。こう十倍も喰い違う二つのレートを同時に認めてもらうように向うの軍政官から許可を得ることが出来るものであるかないか私達はこれを慎重に考えなければいけないと思います。本議会で考えているものと内地での値段は違うから或いは百二十円位が妥当と思うのでありますが、或る程度の産業を保護する意味に於て戦争に依って疲弊した処を助ける意味に於て或る程度のレートでも認めてもらえるでしょうけれども十倍も喰い違うレートと云うことは中々常識で考えても認められないのではないか、それに対応すべく輸出品に対する保護そう云ったものが別個に考究されなければならない問題ぢゃないかと考えられます。それはさっき知事の説明をきいて安心したのでありますが日本から申込みの値段は実際の相場より安い。従ってこれはレートを只単に上げるだけでなく百二十円を三百円にしようと云うようにさっき説明したように容れられないような要求をするよりも、本土に調査団を派遣してドル建値を高くしてもらうレートは百二十円でも良いからなるべく向うの建値を高くしてもらうことを考究してもらうことは必要であると思います。同時にさっき云いましたように補助政策が講ぜられる必要があった。いたずらに一ドル三百円としたら却って誤解を招くおそれもあるから日本の建値を本格的に考える必要があるのではないかと思います。それからアメリカ対の貿易でこの主なる対象になっているのに蘇鉄葉、百合がありますが百合は今横浜渡しと云うことになっております。これをアメリカから沖縄にいろいろな物資を持って来る船は沢山あるのですから直接貿易することは出来ないのであろうか、沖縄渡しの値段を安くして手数料を下げると直接作っている農民の手に入って来る金は多くなるのではないかと思います。百合の値段の問題についてこれは確実な証拠文書をこっちに提出出来ないが最近ですが奄美評論か自由にあったと思いますが、一昨年の百合が大島に外資獲得の意味で百合を一球一ドルに計算されておりました。確かな記憶ですが、処で永良部の今の値段が一球九円しか払はれてない。一球の値段五十円でも余りに手数が多すぎる。恐らくあれは前の十五円の計算ぢゃないかと思いますが、この百合が若し一球一ドル百二十円にレートを計算されるとこれは中々重大な問題になるんぢゃないかと思います。農務部に関係のあることでありますが近頃非常にアリモドキ問題で喜界島、永良部の大きな問題になっておりますが、百合を奨励することに依ってこのアリモドキを防ぐことが出来ると私は思うのでありますが百合は沢山労力がかかります。畑を何回も掘り起さなければならない、それからとり入れる時も荷作りに相当労力を喰いますから土地を持たない田舎の浮遊労働力がそれに依って相当吸収されます。処が百合を植付けるためにはそれだけ芋を植える面積が小さくなる。相当食糧品をやはり配給してやらなければならないのではないかと考えるのであります。農村に相当量食糧品を配給することに依ってより有利な配給物を取ってそれ以上の金をこっちに入れることが出来るのでないかと思います。只喰いつぶすのみでなく喰ったことに依ってより生産出来るのが得策ぢゃないか。しかもその百合に依って金が相当に入りその次芋を作ってアリモドキが予防されるのであったら正に一石二鳥の方策ぢゃないかと私は考えるのであります。それから農務部にまたがって来ましたから序でに農務部のことをおききしますが、現在の大島の農業に於ても緻密な計画が必要である。近頃肥料が非常に沢山来ていますが農民はこのこやしに対する本当の知識を持っていない、その肥料をいれたらどれだけ増産出来るか全然農民は知らんようであります。特に大島の土地は日本の土地と相当違っておりますからしかも大島に於ても各地域々々各土地々々に依って土壌が違っているのでありますから、これを技術員に命じて正しく土壌化学を研究さしてその畑に何を幾らの割で入れなければならないとか、この田圃はどうしなければいけないと云うことを再教育して良く教えなければならないと思います。硝安も使い方が下手なため産物を駄目にした例が沢山あります。こっけいな話でありますが硝安が硫安よりずっと有効でなければいかんのにまだ土地の百姓は硫安を好んでいるような傾向さえ見られるのであります。従って大島の農業を振興させるためにはどうしても技術員を再教育して、特に土壌化学と肥料の関係について良く徹底するように農民に教える必要があるのではないかと思います。それから経済に関係する農務に関係しますが我々は黒砂糖と云うものに対して相当考え直さなければならないと思います。砂糖が出来る条件に大島は限界に達している時だと私は見ます。これは大島より台湾の方が暑い、製品が安くで出来るジャワ、台湾等は問題にならない程度に安く出来るのであって、茲に当分は日本の貿易が完全になっていないから黒砂糖の値段が相当な値段になっているのでしょうが、これが従来の保護関税をとられずにどんどん外国から入るようになったら従前、戦前日本政府が一生懸命沖縄と大島の砂糖を保護しておった時代に於てさえ保護されておってさえ成立たなかった。この黒砂糖が果して有利な輸出品になり得るかどうかと云うことは相当考えなければならない事だと思います。そこで黒糖と云うものを再検討してこれは自由貿易になった時の話ですが砂糖キビそのものを果物として輸出する方法が良くはないか、地の利を得ていますから日本に砂糖キビを果物として出せる地域は他に御座いません。台湾よりもこっちが近いから果物にして出した方がより一層有利でないでしょうか。もうこの方法はあれを黒糖にしないで砂糖キビからその儘で菓子を製造する方法そう云った方法も研究して見る必要がなかろうか、例えばその儘飴にもなる訳で経費がかからない菓子を作って出すのも必要ぢゃないかと思います。それと同時に将来若し黒糖に代り得るものがあったら換金農産物として何を考えたら良いか非常にむつかしいと思うのであります。以上のことについて経済部、農務部の所信の程をお伺いします。
○屋田 私の関係のことをお答え致します。先ずレートの問題でありますがこれは現在為替率が決定しておりません。従って一ドル三百円、百二十円と云うのは貿易庁が自由に操作しているのであります。私達は一ドル三百円を為替率にして呉れと云うのでなしに内地え輸出するに際して(紬の)日本の価格が変らないとしたら百二十円で換算したものを三百円で換算して出さして呉れと考えております。日本の新円とこちらのビー円の換算率を一対三百円にして呉れと云うのではないのであります。過去の換算率は貿易庁が勝手にやっておりました品目に依って違うのであります。例を申上げますと貝殻、高瀬貝が百二円八十銭に換算してありまして一ドルの貝殻になりますと三百四十二円八十五銭で計算しているから貿易庁で勝手に換えられております。従って我々は百二十円で出しております。三百円にして出しては売れない、その操作は貿易庁で行はれることに問題がある訳です。直輸出の点でありますがもっとも望ましいことだと私は考えますが、日本の商人に中間の利益を取られないで直接にこっちとアメリカと取引をすると云うことは非常に望ましいことでありますが、現在としましてはその途は非常にむつかしい手数がいるときいておりますがそう云った必要な設備もありません。国際的情勢を思いますとそう云う話はまだきいておりません。将来是非そうありたいものだそう考えております。それから百合の価格を一球一ドルに換えてあるとのお話ですが私共が貿易庁から受取った正式の書類では四セントです。ですからそうすると四セントと云うのは五十円の計算にしまして二円です。二円を九円で売っているその差額は貿易庁で結局貿易資金に依ってまかなっております。一ドルいくらと云うことはきいておりませんがどっから自由はとったのかわかりませんが、しかし毎年々々価格は変りますから今年どう云う価格を云って来るか今の処わかりません。黒糖の将来性これは農務部の方からお答するのが至当かも知れませんがこれは輸出品として黒糖の価値、もっともキューバとかジャワとか台湾等の砂糖に比べますと非常に高く大島の黒糖はついているようであります。一方農民の換金作物としての点から考えてこれを現在廃止すると云う訳に参りません。殊にキビを果物と云う風にして日本に出すと云うことは地理的に考えると非常に有利かも知れませんが、果して果物としての価値を日本が持つだろうかと云うことに研究を要する問題と思いますが日本で果物として需要があるでしょうか。
○吉松 高く売れますよ。
○屋田 黒糖のことについてはこれだけしかお話出来ません。
○杉島 この農業生産品、貿易品と云うものがありますから私の将来に対する考は結局コストを下げること、その前提になるべきものは少く共世界は一つの経済圏に計画されたものが第一であります。農業と云うものは自然条件をまとめて即応してより良く活かして行くのを原則としたなら世界はそれぞれ特殊性を持っている筈であります。そうした特殊性を持った処を活かして行くと云うことを私は思うのですが、そうした場合大島なら大島、キューバ、ジャワはいずれも砂糖を作るに適する、その使命を果すように仕向けるべきである(すべて)後は方法論であります。値段が高い場合安くするように仕向けて行くだけの話、本質は変らない。以上の面から私は大島は半熱帯性の気候にあります。その気候の中に茲でなければ出来ない処のものこれは結局将来のこの農業のそう云う面から云いまして今までもそうでありますが、将来も何らかの形に於て黒糖或いは百合その他果物としてバナナ、パパイアそれから後農業作物として薄荷、唐辛子それから百合その他この熱帯性に適した各種の蔬菜のはしり、時期の早いものですね、これは結局内地あたりへはしりの名目に於て価値がある訳です。例えば茶にしても内地で新茶が摘める前にこちらではすでに一番茶が摘めるそんなものを早く出すはしりと云う方面に重点をおいてそう云ったものをはしりとして出す。以上のことを私は将来農業生産物として貿易品として考えられるべき自然のものであると、然らばそれに対する処の方策はどうかと云うことになりますが、現在私の方は昨日までも農業会長、技術員会議をやりましてこの問題について話した訳ですが、本年からバナナ、パパイアだけ輸出向けのものを集めて増産して行くように苗木を斡旋しようと話しました。百合の方は昨日話しましたが昨年は二十万球、来年は百二十万球これは私がさっき云った大きな従って茲で全然百合ばっかり砂糖ばかりを作って最大の収益が挙がるようになったら、それを出してその金で全郡によそから食糧を入れても良いのです。只現在限られた範囲内に於てそう云ったことは許されませんからあたえられた限度内に於て黒糖を何町歩、百合を何町歩作るかあくまでもそれは一つの具体的なあり方であって将来大きな世界的な施策と云うものから割出されて来るものであるとこれだけ云えると思います。従って黒糖の問題でありますが黒糖は私は宿命的にこれを作らなければならぬだろう。只それを前提として将来それをどう云う風にやって行くかはしばしば皆さんが云はれますように、商品価値としてより高いものであるように商品価値と云うものは主観的に決定されるものでない。只今の結論は果物なら果物として日本が希望するとした時、その希望するものがコストの面から云って一番最小のコストで最大の収益が得られたら良いでしょう。需要供給の問題に依って操作されるものであって一概に云えないと思います。これ等のものを出してそれで以て日本内地でいくらかで売れるとした場合それからあがる収益それをこっちで黒糖にする、若しくは現在考えているウイスキーを作るアルコールを作ることを考えたのでありますが、そうした場合それを出して行った方が日本に於ける需要が多いかと云うのでありますが、多い少いでなくそれを出した方が結局最少のコストでより多くの収益をあげられて来るか如何か、それを出した場合菓子にして出した場合黒糖にして出した場合ザラメの場合それより多くの収益があるかと云うことからその順序は決定さるべきものであると私は思います。その点に対して私は日本内地にこちらで出来たアルコールを出して幾らで売れるか具体的な資料を持っておりません。それらの問題はその資料を得てそれからにしたい。需要供給の度合に応じて一番あがるものと云うことを考える訳です。もう一つは良く云はれる分蜜糖の事を考えておりますがこれが商企業として成立つかどうかと云うことに疑問がありましたが、新しく私の部課にもそう云った見通しがありましたので今ザラメ、新糖が沖縄の軍政府あたりでも論じられているようであります。一応その生産地帯の各処に分蜜糖工場を作るのは悪いことではない必要なことだと考えていますので、本年度内地の遠心分離機を関係者を招んで沖縄で手をかけて見たいと云うことも考えております。一つの農業機関として利用してもらおうと思っております。以上の事から私の農業生産物を通して貿易と云うものを見た場合(私の案ですが)肥料の問題ですが、肥料は今おっしゃいました通り御尤もであります。技術員にそのために私達の方はその都度公文で使用方法普及徹底を通知している訳でありますが、技術員のことについてはしばしば名瀬なら名瀬に集めていろいろ教育もしたいのでありますが、本年度少く共三回乃至四回はこっちによんで講習会をやって見たいと思っていますが、それとは別にその都度々々こっちから公文で以て使用方法なり或いは農民に普及方法なりを知らしめているのでありますが、それがちっとも実行されていないと云うことでありましたが技術員なら技術員にしても先ずそれ自体が知識がなかったことは、これはそのためには今度講習会を開く町村の話に依ると町村ではさっぱり技術員が部落をまはって今夜農談会をやるからと通知しても集って呉れない。若僧が何を云うかと云う気持があるかも知れません。集って呉れない非常に困る政庁から来てもらうとその人と一緒に行ったらみんな集って呉れる。そこに私は何か矛盾するものがあるような気がするのであります。この面に対しては今後もあたらしいものが入った場合政庁からその輿望に応えて出張して行きまして部落の技術員と一緒になっていろいろなことをやって行きたいと思います。肥料の内容ですが硝安は勿論昨年より多く来ました十分持っております。大きく云ってその土壌調査というものが出来ておりませんので昨年度から試験場の方で各村の試験場で現在やっているのですが、今まで約七、八十年間日本から放置されておったことはまことに遺憾に思いますがおくればせ乍らその制度をやっております。今それは勿論各離島別に土壌が違うから更にそれにはそう云った一地区だけの土壌調査しか出来ません。各個人々々は自分の畑々の土壌調査をしなければならないこうなって来ると厖大な経費を要する。こう云ったことをぬきにして大島郡の全般的に土壌と云うものから調査して世界のあらゆる作物を通じて十に対して燐酸分二加里分二です。これが琉球列島一帯に窒素二乃至三に対し燐が一と云うように概略的に永良部に行ったら加里分が多い、おそらく向うは窒素です。そう云うように地区に依って違う訳です。それ等のことに関して私が淋しいと思う事は大島の農民は喰はずぎらいで硝安や塩化カリその他の新しい肥料を今までに使った事がないからあれは肥料でないと考えているようですが、それが分ったらそれを呉れと云って来ていますが特に塩化カリは澱粉質で形成されている芋、ジャガ藷に非常に効く、そう云うことを全然信用せず只葉が青々と茂っていたらそれに満足している、その他これに類した話はいろいろあります。
  (以下肥料の成分その他の説明省略す)
◎二番 それ等の問題に関連しまして黒島(名前は忘れましたが)鹿児島高農の博士でしたがこの人は自分で使って見よ自分の畑に入れて見てこれは畑に良い、あっちはあれが良いと云うことを自分でやって見ろと云うことを云はれた。それで政庁からいろいろ研究して指示することも必要でしょうけれども各畑々、一枚の畑でも違います。各畑について一々土壌検査をやることはむつかしい、それより農家がもっと自主的に自分の畑だからどう云うこやしを入れたら自分で研究すると云う自主的な熱意を持たせるべきだと思います。余談に走るようですが畜産にしても養蚕にしても大島では新しい費用もないそう云ったものはほとんど県でやったから大島郡民が依頼心が強かった。この事が民主主義の邪魔をしている、余りに県に依頼しすぎる、そう云う風な御指導も一つ農務部長さんからお願いしたいと思います。
◎五番 これが済んだら後まとめて一人から質問してもらう方法はないですか。今農務、経済、財政の三部長は明日お発ちになるから今明日の準備でおいそがしいはずだと思います。なるべく三名の方々の関係する分を早くしてもらって後で他の部の関係にお願いしたいと思いますが。
◎山下 私は実は各課にわたりまして現在我々軍政下に於て今日如何にして生きて行き得るかと云うことを一応お序でにやった方が良くはないかと思う。我々は戦争のためにどれ程の貧弱郡として全国に有名な県から国から扱はれる我が郡が一番帝国内に於てひどい戦災をこうむっている、このこうむった、この戦災復旧が私は現下の急務ぢゃないかと私は信ずるのであります。私は各部長に向いまして私は戦災復興をどう云う方法でやって行かれやってもらうかこの問題を一つ議会に於て取扱ってもらいたい。その方向に向っておたがい議会、政庁御当局と共に手を握りまして進んで頂かなければやがては講和会議が出来てそうして帰属が決った場合に少く共沖縄並には行かないにしても先ず我が大島でありますが、この方面はさしたる戦災もうけてないのでありますが永良部方面は直接沖縄に近かったために艦砲射撃を受けて非常なる精神上のみならず物質的に大なる損害をこうむっています。学校もありません。全部木端微塵にされております。最近補助金がありましたのでそれに依って仮校舎的なものをようやく二棟作っております。三十坪に二十坪そう云ったような小屋、昨日文教部から出してありまする処のこの表に依ると相当各村も被害をこうむっているようでありますが、そこで私は先ず官公署の復興がわずか十一パーセント学校十六パーセントこの位出来ていることは先ず学校でありますが、我々の所は全郡に於ける一番貧弱な町村でありますために自力でやって出来ないのであります。一番交通に不利な処にありますためにこの辺で材木が一本六円で買えますけれども与論に持って来ると百二十円になる、補助金が割当てられて三十万円でやって行きますけれども三十万円で十五、六坪の家が出来る。わずか十坪の仮校舎も出来ないと云う状態になっております。そのためには私は学校の復興計画各村別に計画されそうしてこれを現実に完成し、港湾、開拓、排水いはゆるその他のいろいろな方面にわたってやって行かなければ立ち上ることが出来ない、大きな問題がそれぞれ各村毎にあると思います。それ等を根本的に御調査頂きましてそうしてこれを行き当りばったりでなしに本当に計画はこうでなければいかん、校舎の設備も何カ年でなければならんと云うことを重点的にして行くと云ったような計画を立てて、三年乃至五カ年の万全策を立てるよう一層の努力を払いまして全力を注ぎ復興方面に力を注ぎたい。その以外の問題は私はこれは枝葉末節の問題と思います。食糧問題に於てもあらゆる工夫考案をしまして農産物を作り、そう云う風にして今日金を出して作り得ない処の復興方面に向って一段の御協力と御努力をお願いせねばいかんぢゃないかとこう信ずるのであります。処がこのことについて各課に向って例えば学校の復興計画が各村別にどう云うこともやらなければならない、先程知事のお答えに三億円見てあるがまだ具体的案は出来ていないと承りましたから、どうしても若しこれが出来てないとすれば各項目毎に年次計画を今からでも立ててお互いが協力して立ててもらって、そうして行かねば大島郡の経済復興は出来ないのぢゃないかこう思う次第であります。それからもう一つお願いしたいことは今日貿易品、百合、紬こう云ったようなものがありますが、これは従来もありましたが紬の如きはまた復活しても大島本島にしか出来ません。百合の如きも或いは割当奨励して作らしたら出来るだろうと思います。その他今年の予算に於てもなるべく作りたいと云って種を買ったが非常に高い、一般にも奨励しましたけれども種の入手困難で中々この奨励も出来ないのでありますが、私思いますのに百合の如きは一応永良部から政庁の方で出しまして現地からもらってそうして安い値段で持って来て配給してこれも出来るだけ奨励するような政策をとってもらいたい。それからもう一つさっき二番議員のお話がありましたように私は大賛成であります。どうしてもおたがいは文化生活を営む、生活の向上を求めて行くことはこれは誰しも議論の余地はないのであります。しかし乍ら我々は現在に於て過去に於ても問題にされております。如何にして税金を納めているかと云う場合に人がのんでいるから青年連中も好奇心にかられ親の目を盗んで、そうしてまだ未成年者が最近問題になっていることですが十七、八の青年がアメリカ煙草を平気で吹かしております。こう云った煙草の害について一面に於ては消極的な論ではありますけれどもいはゆる奢侈風潮を取締って行くと云う点から、これは出来ますならばこの際政庁にお願いして警察にお願いして各町村長によびかけて断乎ぜいたく品を取締ってもらいたいと思います。官公吏の方々がお土産にもらっておられると云うような、もとはどんどん島で出来た処の煙草で以て刻んでそれを紙で巻いてそれで済しておったが今は紙で巻いた煙草は吸はないで、金もない連中が内地でもうかって来たものは煙草を吸うと云うようにぜいたくをしてみんな煙になしている。これは私は何とか取締りの方法がなければならない、やって頂きたいものだとこう存ずるのであります。それからこの砂糖でありますが非常に黒糖の将来性と云うことについて御心配になる方もおいでですが戦争中統制されて黒糖がどうしても自由に出せないと云う処からして黒糖の許可を受けながら黒糖の取扱いが出来ない。それを加工して菓子に製造して送ると云うようなことをしておった人がおりますが、従来は黒糖は沖縄が九十万町歩大島が二十万町歩この位はどうしても必要である。農林省に於てもこれを奨励してやった訳でありまするが、やはりその時もどんどんザラメ或いはキューバあたりからいろいろな白糖が参りますけれどもやっぱり黒糖でなくてはならないことになっているのであります。本土と貿易が開始された場合解決される問題でありまするが、我が大島郡から砂糖と云うものを除いたならば農家の生活と云うことは出来ないと云うことを私は信じております。何故なら農家は畜産に依って有畜農業をやっているが大島は砂糖を作っているために牛馬の飼料はとれるしまた牛馬を沢山飼うことに依って肥料もとれると云うことになりますから、どうしても値段の関係もありましょうけれども黒糖の二十万樽内外は戦前と同じような状態を以て来ても心配する必要はないと思います。それから衛生部長が、お医者さんをこの無医村に向って一つ診療班をこの前衛生部長のお話がありました。是非あれは実施してもらいたい。私は昨年四月にお願いしましてこの内科、外科、全体の患者はもちろん健康診断をして頂きまして十二指腸、寄生虫その他を調べてもらいまして現在私の村と同様な町村もあろうと思います。名瀬は中央病院に医者が沢山おられますので地方の無医町村にどしどし派遣してもらいたい。そして患者の救済、健康診断等にもう一段の御努力をお願いしたい、こう云うことも御要望しておきたいと思います。これで終ります。
◎鬼塚 補給関係で御座いますが新聞紙に琉球海運設立問題が出ておりますが、この海運会社が設立されると云うことについて食糧の運賃の問題をおききしたいと思います。今までのように沖縄から名瀬に来る間の運賃は軍で持ってもらえるのであるか、或いはそれが受配者が負担をなすと云うものであるか、若し受配者が負担するとなりますとそれは大きな問題になるのであります。出来るだけ今の通り軍の負担にして頂く方策はないものでしょうか。
○中江 内容について詳しく分りませんが恐らく運賃は払うことになると思います。海運課長の話ではそう云う話をしていました。今直ぐなるか如何か分りませんが今度沖縄に行って研究して来ましょう。
◎五番 農務部長さんにお尋ねやら御希望を申上げます。昨日の話の中に技術者の指導とか講習会がなされているようでありますが、かねがね考えていることでありますが実地指導と云うことを実情を申上げて見たいと思います。先刻のお話の中には一カ年に時々集めると云うからどうも集まらないと云ったように私は受取ったんですが、私はなる程これでは下情上達してないんぢゃないかと思いました。と申しますのは部落に農談会をやります日を決めて村当局、技術者、農業会幹部が相当数集った処がその実情も後では私は百姓の事は分らないがそう云う機会に欠かさず自分は出ている訳ですが話が済んで懇談会の時に話だけぢゃ何にもならない。一昨年私の処の町長、政庁の技術者、中農の方々その後独り(・・)私の部落、地区のみでなく村全体を通じて後では物足りなさを感じた。何回も座談会をやらないで実地講習をした方が良いぢゃないか、私の要求です。私共も側面から村の方にお話をしたのですが恐らく私寡聞にして聞きません。引揚げて三年になりますが一回も実地指導を見たことはありません。そこで部長さんに特にお願いしたい。実地指導です。民衆の心をはなれて良い結果は得られるものぢゃない。つまり幾ら笛を吹かれても踊りませんですから村に駐在している技術員は年に一回二回いろいろな懇談会で話されることを実際にですね、やって頂いたらまたその指導をされる方々の熱意に動かされて農民はより以上努力を惜しまない、こう私は考えているのであります。たまたま技術者の話もありましたから。
○杉島 人に依ってやっている処とやっていない処がある、或いは技術員そのものの実力のあるなしに影響する処があるようであります。一概に云えません。その際夜電灯をつけて話をするのでなく畑そのものでやると云うことだけは今後重点的に各町村に話しまして伝達します。
◎吉松 昨日話をきいて非常におどろいたんですが、補給部の方で軍政府に払うべき金を払ってない金がものすごく厖大な額に上っておりますがこれは如何にして払う目安がついておりますか、払えそうですか。
○中江 四日ばかり前軍政官によばれ茲の軍政官が沖縄に出張して二十日ばかりして帰った。そして沖縄軍政府の方から大島政庁から払うべき金がこれだけこれだけ取っているこれを払はない、書類を持って来た。それを見ると一億五千三百円(ママ)(四六年七月)何十万円になっている。向うの取り分と称するものは我々が払ったものはわずかに三千四百万しかのっていない。それで私としてはそれだけぢゃないもっと払っているに違いない。軍政官といろいろ議論したんですが、四六年四七年一銭も払っていない。四六年九月に九百万払っている。これはちがうから僕の方で支払帳簿を調べて交渉すると云うことでありました。昨日その表が出来ました。実際は七千九百万払ってあるんです(昨年の九月までの状況です) 一億五千万円引くと約半分ですね、昨年九月までに不足になっている訳です。これの内容は去年四月から食糧が三倍に上った、そのために町村は旧価格で配給した為に食糧価格の差額と云うものが相当な額になるが十二月までの正月からの帳簿を見ると七千九百万円は赤字です。食糧だけ九月までに七千いくら全体の取分で見ても七千幾らあるが大部分は食糧価格であります。その他農業会で扱っている肥料代金も相当上っております。農業会に尋ねると金が取れない農民は払ったものもあると思う。こっちの農業会で中農で運用したりするのがあると思います。食糧以外は払えるだろうと思います。去年の四月から今年の食糧だけの借金は七千万になっておりますがこれをどうするか、その時軍政官が云いました「君等がこれを払い切らんことは知っている、それを只で呉れと云うことは出来ない、何らか説明をして呉れ、そうしないと自分が沖縄に行って交渉出来ないだろう」こう云う話で私の考え方では泣き付くより他に方法はないと思うんですよ。今から取ろうとしても回収は出来んと思うんですがね。
◎吉松 昨日の話では衣料品なんかまだ借金があるような話でしたが衣料品は毛布なんかは三百円で配給していることになりはせんですか。
○大野(補給) 補給部で未収になっているから私の方から向うに払えないと云う実情です。それといくらかのストックもあります。
◎三番 今私がお願いしたいのは砂糖の消費税を何とか下げてもらいたい。これは農村の声です。海運課にお願いして陸運と海運ですね、これの官営はいかんと思うんですがいろいろ方法を研究する必要はないか、農家の経済と云う面からこれから研究してもらいたいと思いますが。
◎中江 協議会にして具体的にやってもらうことにします。協議会に移ります。正会に移します。途中で沖縄に派遣する諮問委員の審議に移りたいと思います。宜しう御座いますか。昨日の協議会で前の久保井、肥後氏はその儘認めて後一人は有村治峯氏にしたらどうかと云う御意見がありましたがそれに御異議の方がありますか。御異議ありませんね。それでは一人は有村氏と云うことにしまして肥後、久保井、有村を本議会は知事に推薦すると云うことに決定致します。それから沖縄に行く諮問委員の予備員三名それで決めて頂きたいと思います。
  (協議会に移し、昼食、十二時半再開、食糧価格問題について協議あり)
◎川井 非常に良い機会でありますので我々二十余万郡民の念頭から離れない食糧問題でありますが、今度の新価格の六十パーセント取ると云うことが来ていますが、これは軍政官の査定で暫定的価格として折衝せられた向うの回答であるかないか不明ですね。
○中江 暫定的でないと云う見通しがつけば我々の考えでは旧価格の程度であれば何とかやって行けはしないかと云う考えで、御承知の通り急角度に経済が逼迫しておりまして旧価格の程度になっても取れない者が続出すると云う見通しを我々は持っているのであります。それでいろいろ考えたのでありますが暫定的でなくして最後的な計画であってもこの際万全を期して研究して見ようと思います。此の点は特に名瀬、古仁屋の住民の切々なる歎願でありますが資料を持って行って交渉しましょう。
◎十番 只今の食糧問題ですが貧窮者の救済については貧弱なる財政で中々出来ないとは思いますが、一番大事なことはこの食糧配給量が第一になって来るのですが、私の村でやっている配給を実際調べて見ましたら四月以降で全部集めてそれを一日平均したカロリーの統計から来ております。官公吏は千五百二・五カロリー、土地を少し持っている方が千四百三・五カロリーです。千七百七十七・五カロリーは一般貧窮者で土地を特に持たない人間を(A)一人六畝以下若しくは三畝しか持たざる者に交附しております。その受けた配給は貧困者は勿論この(A)に入る訳ですがそのカロリーは三百十九・八カロリーであります。それから農家で少し土地を持っている人のカロリーが七十九・四カロリー、三百カロリーではこれはほとんど何もならんぢゃないか、官公吏の方の給与を増さなければいかんと云うことは私達痛切に感じているのでありますが、生産面ににらみ合せてこれが旨く行くようになれば幸いだと思いますが、一方官公吏であれば千二百七十カロリーやっているのに全然土地を持たない人間は三百カロリーしか受けない、どうも不合理ぢゃなかろうか。特に名瀬、古仁屋の配給に比してこの三百カロリーと云うのはひどすぎやしないか、そう云うことを痛切に感じるのであります。誰も目の前に表れているものは直ぐ目にうつりますがこう云った土地を持たない人間に食糧の増配と云ったような方法はないのであるか、こう云った点をおききしたいのであります。
○吉田(内務) これは只今の御質問は補給部のことに関する事だと思いますが、結局補給部に於きまして食糧の配給に関する各町村への食糧配給の基準と致しましては、私の存じている限り各人の一人当りの消費カロリーおば一体一千八百カロリーと決められておりますけれどもその都度入荷量に依って一千三百カロリーとして配給される場合、これまで或いはまた我々と致しましては各市町村のそれぞれの生産者、また非生産者或いは生産者から消費者に転落者そう云った基礎数に依り割当をしてある筈だと思います。また政庁の割当に対する基準なるものは各町村から資料を取ってある筈でありますが、その資料が正しければそう云った誤差は生じて来ないだろうと思います。尚貧困者に対する配給につきましては実は昨年始めから現物配給をして参りましたが、途中で政庁の財源の欠陥の見通しがつきまして実行予算に移り変りましたので止むを得ずその現物をもとの現金給与にまた切り換えまして現金を給与して、それで市町村で適切なる救護を行ってもらうと云うことに致しております。昨日も申しました通り現在の予算を以て致しましては本当に餓死を救う程度の事しか政庁は出来ませんが、それから先のことはやはり各市町村の自主的立場に於て隣り近所、部落なりその市町村と致しましてそう云った救済対策を考えて援護して行くと云うようにやって頂きたいのであります。尚これを根本的に解決するものと致しまして以前からそう云った細民に対する救済をお願いしているのでありますが、沖縄ではこう云う方面に相当実績をあげておりますけれどもこちらの方で折衝の結果に依りまして沖縄の人民と大島の人民も戦災に依って向うは九十五パーセント、こちらは三十五パーセントやけておりますので向こうのみを考えてもらっては全然通らない。その他また食糧価格値上げの場合に於きましても癩療養所、刑務所、病院或いは技術者の方々に対しては別の観点から指示がありますが、細民に対しまする処のそう云った特別の条文がなかったので無料と云うことにして頂くことに対して折衝して前のバーシャー副官の処まで諒解済みになって上司の方にお伺いをたてる処まで進んでおりましたが、突然副官の更迭に依りましてその後の折衝の結果は全然受け入れられないと云うような事実に徴して非常に意外に思っている次第であります。しかし我々政庁と致しまして政庁の財政、市町村の財政或いは民間の財政能力と云うような処から絶対に我々と同じ同胞であるが我々が救いの手をのべる余裕がないと云うような数字を示しまして何らかの形で軍政府の御援助をあおぐべく歎願折衝を行っているのであります。恐らく知名町の場合他の市町村の場合もそう云う例があるかも知らんとは思いますが、また市町村でそう云った配給状況或いは政庁に対する配給割当基準そう云うものを検討する余地が十分にあると考えられるのであります。
◎坂 今の問題と関連しておりますが一言御意見を申上げたいと思います。先ず第一は段階配給を当分実施して頂くことは申すまでもありませんが、現在に至る間のやり方をさっき吉松議員の話の通り切換える時何だか反官思想が出来て来ると云ったようにとられる指令を出しておられる訳ですが、結局御趣旨は良いけれども方法が一寸市町村に於けるやり方等で一寸予見出来たような場合は結局うらむことは結局お役所の方をうらむことになります。これは要救護者の状況を政庁が受付けて呉れないと云う、三年前にこの部落に三十名おりますが、この数は直ぐ増えて七十名位になる、その三十名分を七十名に割当てる早町村あたりは部落でその扱いをやっている。それなら何故政庁の専門家は数字を一定不変のものにするか報告しても政庁当局が何とも認めて呉れない。それでは半期毎に一年毎に報告をやるか役場当局に質しますと、先ず一年毎にすると云っておられた、そうすると実に矛盾だらけなんですね。と申しますのは三月前に三十名と認めた要救護者は相当現はれて来る筈ですがその反対の現象です。その後報告もれを以てより以上に困窮を来したものが相当に増加している、その三十名分が七十名分に増えたりする。そこで申上げますのはこれを何とか更新するような方法はないものでしょうか。これは世論です。役場は板ばさみになって困っているようですが御意見を拝聴致します。
○吉田(内務) 救護者の実態把握については三年前の指令を用いておりません。現在ののは昨年の何月ですか下半期のものを基礎として割当ててあります。大体年に五回位調査を致しまして新しい数をつかんでおりますが問題は貴下がおっしゃる早町村、喜界町なんかの場合早町村が非常に増えていると聞いております。我々の目から見ますと同じ実態調査をしたが早町の貧困者の例を以てしたら救護者のうちに入らないと云うような大きな差があるのでありますが、その村々の結局調査に依りまして非常に紙一重の差で救護者に該当するようなこともあります。或る処では三十点以下を救護者にする或る処では二十点以下を救護者と見ていると云うので、そこで同じ村内は大体均衡がとれておりますけれども問題が村対村になりますとそうは行かないようです。各市町村に我々は一昨年実態調査をしてつかんだ、そいつを勘案して市町村からの報告と我々の査定とをにらみ合せたものに依って配給をしておった訳であります。若しその実態を把握するために実は昨年この日本では救護法、母子扶助法或いは遺家族の軍事扶助法ですが、こう云ったような法規が出来まして新生活保護法が出来まして昨年度それを基準にしまして、こちらに於て(政庁が大部分を負担して)市町村に負担させるように立案して軍政府に提出したのであります。処が軍政府の方では大島は現在自給予算でこう云った法を施行したら政庁そのものが自滅におちいるからこう云う施行は見合せにしろと却下になった。それと並行して民政委員に於きまして各市町村或いは各部落に数名のそう云った委員を設置致しまして、定員は各校区に三名から四名だったと思いますが民政委員を設置致しまして、その方々の査定に依って公平なる救護人員を見ておき、更にそう云う方々をして常に生活救済指導援護に当らしめそれと並行してその点も準備したのでありますが、それも政庁予算が実行予算に依って実は切り落され或いはまた今の民生生活保護令が却下になったと云うような都合で、結局民生委員も現在置くことが出来ずに我々としては只胸算用だけでこれをどう云うようにして実態把握ととぼしき乍ら最善の救済をやって行くかと苦慮しているのであります。それからもう一つの官民離反の基になるのは恐らく食糧、衣料品の特配時代だと思います。あれは現在廃止になって役人も民衆も同じような配給になっております。
◎坂 もう一言、私の部落あたりは二十七名現在も以然として二十七名おります。部長さんがおっしゃるのはいろいろ調査されたと云はれましたがこの事は別にしまして村当局の方針と云うものは御もっともと思います。一応うなずけるのですが配給基準の問題ですが人口比率と云うことも不合理です。当局に於かれましても一つ御研究になりましてより公平な御処置をお願い致します。
○吉田(内務) 私から具体的に人口比率でやれとは指示出来ないが各町村の運用如何に依ってこう云っちゃ甚だ失礼ですけれども或る村では生産者に一律に配給もしていると、しかもそれがこっちから監査に行って指摘されても非を改めないような処があったと、現在は改めているかも知れませんがあんたも御存知と思いますがそう云った処もあります。末端に於ける配給そのものが政庁の指示と違っているとか或いはまた末端に於けるそう云った処の機構が喰い違いがあって、結局理想的な運営が行はれていないと云うことはこっちの方でそれを是正せしめるべくいろいろ指導もお願いも申上げておりますが、実はこの配給問題は補給部関係になりますし詳しい資料が手許にありませんのでこれ以上申上げ兼ねますが。
◎叶 現在の官公吏では喰って行けない人が沢山おりますが私の村にも喰って行けなく職がない程苦しい事はないのでありますが、これを何らかの方法で救済して行く方法はないものかと考えております。一つ御意見をきかして我々議員の方から建議でもして頂きたいのであります。何か対策はないものでしょうか。四、五百円の月給で配給が八百円位すると後の二、三百円はどうするか、何とかして生活を脅やかさないような工夫をこらして欲しい。そんなら辞めたら良いぢゃないかと云うと先生がいなくなる、何か良い方法があったら一つ研究して欲しいと思います。
◎坂 今お話があったんですが我々の処では政治が貪婪の的になっております。世論囂囂です。名瀬、古仁屋のように千篇一律に自分の家から通っている人に同じような率で上げております。その点をおききしたい。只結論として手当制度を考えて頂きますれば非常に民衆は納得するのではないかと思いますが、民心を攪乱するような嫌いが多分にある訳です。実際問題として二倍位上げてもらっても何もなりません。
○中江 考えて見ませう。この問題はとてもむずかしくて直ぐ教職員組合が喰ってかかって来るんですよ。
○坂 何か恩給関係は出来ないけれども或る先生から直接ききましたが近き将来に於て恩給制度が制定された場合本俸が減るから、或いは名瀬、古仁屋の方では(極端な言葉を使って)総辞職すると云っていましたが、それで今の手当制度が別になったらそれなら文句はなかろうと云っていました。
○中江 将来考えて見ましょう。
◎十番 今度は司法部長はおりませんが直接責任の衝にあるのは知事ですから、司法部について昨日の話のうち判事を二名増員するのはそれを試験して採用すると云うことでありましたが、試験を経て採用すると云うことは非常に民主的で良い事だと思いますけれども、しかし乍ら本当に資格がない者を試験を受けて採用すると今度は今日の新聞に出ていましたが、一昨日話がありましたが沖縄全体を一致した司法制度を作って向うの最高裁判所に行くと云うことでありましたが、このことは非常に良いことでそうすることに依って人事の交流をはかって司法の交流も出来ると思います。そうすると人の任用採用はやすいが一旦任用したものは永久みたいになって今度は簡単に辞めさせることが出来るものかどうか、それを考えますと今しばらく採用することは止めた方が良いんぢゃないかと信ずるのであります。特に世上司法官の資格がどうも軽きに失すると云うようなことをきく時に当って、今しばらく差控えて沖縄全体になるように我々も努力しそして交流人事を行っていくようにする面から今しばらくどんなものかと思いますが。
○中江 あれは採用試験ぢゃなく資格試験です。現在司法官試験に例えその人が試験に通ってもその人の人格とか過去の経歴とか云うのを勘案して採用しようと思っております。採用するかせんかは将来の問題です。今度の会議で全部の裁判制度任用制度が起って来ると思います。一つは今まで私が独断で推薦して判検事として余裕しゃくしゃくでない者をした場合もありますから、一応裁判所の書記の連中にもっと勉強してもらって民間の人でもそう云う知識を持っている者に資格をあたえるような考えから試験をする訳です。午前中申上げました奢侈品ならびに島で出来る品物の販売停止ですね、これは他の方も大体同意のように見受けられますがなるべく速かにしてもらいたい。方法としては政庁がせんにやならんですが現在持っている品物は補給しないで、それに依って出来る失業者は紬機業の方に転換して行くような処置をとったり、それからそれをやるにつきましては郡民によびかけて自分々々でそうしなくちゃならぬと云うことを自覚させて、そんな方法をとってなるべくまさつのないように速かに実施して頂きたいと思います。
○中江 未成年者の喫煙取締りが全然だらしがない。何とか引締めて行きたい。この間の演説会で先生は子供いぢめばかりしていけないと理屈を云って先生もあきれておった。それだと云ってやった行為に対する責任は追及されんことはないのですから学生は純真でなければならない。自分達だけでも真面目にしなければならないと思う。生徒達の気持としてはのむ奴はのむがのんでも後で反省する、そう云ういたずら気があるらしい。警察等にお願いして或る程度の見せしめ的な引締めをやって行きたいと思います。
◎坂 今話した理由を極く簡単に申しますがたまたまその話が出ました二十日前、私の部落では警察の方から通り一ぺんに通牒が役場の常会の席上で区長がこれを朗読する(青年関係)そのときに考えさせることは部落でやって禁じようとしたら結局は自警団の方で折檻したわけです。そうしたら十九になる青年が舟で家に帰って発破持って来て(雷管のつかない)発破持って来てやっつけてやると云って一騒ぎした。私は只部長にお願いしたいのは徹底させるようにしたいのは徹底させるようにしたら良い。駐在巡査は二、三部落の区長にそう云う重大な書類だけを伝達せしめないで御多忙でありましょうけれども、警察官個人で親切にこんこんとお話されたならば青少年は殊に感銘して自粛するのではないかと、その時また散会後に部落での代表連中が七、八名集って折柄のことであれば御苦労でも警察官に来て呉れと云う話があった。一つは警察相談所の限界でありますが地方に於て警察相談所があるが故に本当に世話になっている実情です。処が権利争いになった場合この駐在の方々タッチします。そうすると或る警察官は適当な処でこれ以上深入りしてはいかん、後で自分達が困るからとやめる方もおられます。非常に熱心になされる人は何処までもそいつを解決つけようとするが為に公平に扱うにかかはらず、その調べを受ける一方では畏怖心を生じて結局心ならずも不本意ながら譲歩する。そうなると民事問題に干渉する。先般の法制委員会の際に検事長さんにこの問題は特にお願いしたのであります。明後日から私共司法主任会議があるからその席上でお伝えします。川崎検事長はおられた部長さんの耳に入っているか知れません。そう云った問題は結構な制度とは思いますがそれには先ず結論は教養であります。検事長さん中農で特に話しました、非常に何と云いますか具体的な問題もありますが、指導して頂くか通牒や通達だけでも第一線にいる警察官すべての方々に御多忙と経費の都合もありますけれども、実際に於てかんで含めるようにしませんとこれはどうも駄目だと思います。世界の大島復興大島建設いろいろ云ったのですが民衆の声と云うものもこれは申上げますと非常にこの沸騰するような実情であります。ねがわくは一つ指導教養と云う面に力をお入れになって民衆の気持も察してやらせるようにやって頂きたいと私は希望致します。相談所の限界ともう一つ自警団関係でありますが、早町村では自警団が区長を集めてこの部落でもこの部落でも即決で二百円、五百円、千円、実際の実例を申上げたら良いんですが裁判所のように即決をやっておりますが、これは警察は駐在所の方々と連絡を取って彼等に法をこえないように指導してもらいたいと云うことも私は申上げる訳です。そう云った面にも一つ御考慮をお払いになってその解釈を一般が見て、これは妥当なりと思料されるような限度に於て一つの例ですが田の稲の実を取って罰金千円、極端な例はその部落の区域外の人が蘇鉄の葉に女の洗濯物を干しただけで罰金を取っております。南方の土人のようなやり方です。そう云った実情と云うものは警察御当局に於て、一々必要な事例は報告を取っておられるのではないかと思うんですがどんなものでしょう。そう云うような実情であります。もう一つ序でにお願いしたいのは最近非常に民主主義とか民衆警察とか云って以前の国家警察です。そう云ったものを用いておられるか如何か知れません。強権を発動させるべき時に発動しない、徹底的に網にかけたら良いと思うようなものは逃して雑魚ばっかりすくっている。私は警察が遠慮するな、大いにやってもらいたいと云うようなことを時々話すんですが、遠慮勝になって遠慮すぎるのではないかと思う。そう云う事例を私は持っております。茲では話しませんが一つ御指導願うようにして頂きたい。お耳障りの点もあるかも知れません。どうぞ宜しくお願いします。
◎四番 それと今の問題とすこし関連しますが、昨日公安部長さんの説明の中に少年犯罪が非常に増加したと云うことを発表なさっておられます。非常に御心配になっているような風に承っております。経済復興をも大島のすべての問題から少年犯が増えると云ったような社会問題を大きく取上げてそれであらゆる施設、その他教化指導と云ったような問題が大事と思うんですがその点如何なものでしょうか。
○高田(公安) 少年犯と云うものは従来内地では少年係がおりまして普通の犯罪とは或る程度別個にやっておった。大島は今そう云うものはやっておりません。将来そう云うことも考えて少年犯罪については留置場にいれると云うことは絶対にしては不可ない、出来る限り他の留置人といれてはいけないと云う規定もありますがその点を警察署にはっきりさせてそれで行っておりますが、少年犯に特別の係員はおいておりません。種々の関係で少年犯の係をおく必要はないように考えます。これは非常に大きな問題で警察ばかりでこれをやるのはむつかしい問題と思う。一般の父兄も大いにこれを考えて欲しいと思います。その都度警察署は父兄を諭して只その程度しかやっておりません。将来考えて見ます。
◎坂 思想問題ですが私は思想家でも何でも御座いませんが、政庁御当局に於かれましても御無理とは思いますが最近の情勢は私も良く判っております。地方に於てもその面では非常に杞憂を抱いております。近きうちに極端に云えば言葉は違うんですが近き将来を以て資本主義的経済組織は破壊否定され共産主義に移行して行くんだと云うことが盛んに論議されているんですね。そこで私は引揚げて参りまして法制委員会の第一回第二回の席上で他の方が前豊島知事におたずねしました。それから部長さんがおられたのでその対策をお伺いした。現在のような状態にあって杞憂に過ぎるかも知れませんが一般民心にあたえる影響は大きなものです。只一口に申しますと政庁当局に於かれても何らかの対策がおありか。先日も私の隣り部落志戸桶で部落の連中でも相当部落の代表と思はれる連中が座談会をやろう、面白いと云うことになって向うから引揚げた復員軍人ですが労働歌を歌うとかどうも変っているから半面私はそれとなく内偵していると云う訳でもないんですが、二週間前青年団の会合の席を借りて極端なことはしなかったらしいです。そう云うように前青年団の幹部の話があったんですがまた聞きですが、それは私の処がそうですが早町村も喜界町も同じです。あっちでもこっちでもそう云ったことがあるんですが当局と致しましてもそう云った面、これこそ自由ですからその儘やれるか対策はないか、こう云ったようなことをおききしたいと思います。公安部に関係しまして人権は十分尊重しなければいかんと思います。未だ大島の警察に於て拷問にかけたりしているように私は思うのであります。これを防止するためには良心的な科学的捜査法がなければならないのでありますが、科学的捜査がどう云うものか昔の従前通りたたいたり拷問したりして自白させないで良いと云う方針に強硬に変更されなければならないと思います。科学的捜査法は困難なこともありますけれども少しずつでも改正して行くように努力すると共に地方に於ける種々の学校の先生とか、或いはその他科学に関係のある人々を諮問機関にして科学的捜査法をだんだん進めて行って拷問と云う方法は是正しなければいかんと思います。
○高田(公安) それは大いに考えております。事実そう云うことが表はれて来ると実際に厳重にしなければならないと、かねて常に私は書類でも出しておりますし署長、部下に対して調べる時は先ず自分が調べられる立場になった時を考えて、自分が警察に調べられる嫌疑で留置場に入れられることになった場合これが事実嫌疑だけで犯罪にならない。自分自身として民間人であったら承知しない、そう云う考から犯罪の取調べも人権の拘束も余程慎重にしなければならないとやかましく常に云っております。そう云う事実があるとしますと大きな問題で御座いますがまた私は刑事の指導と云うことが一番必要ぢゃないかと思います。人を調べるには自身がそれだけの頭を以てやればそう云うことはないだろうと考えます。先ず来年に入って直ぐ刑事の講習をやろうと云うことも本年中にやる積りでしたが、経費が全部削減されまして教養費二十四万円中更正予算の時にその当時に十二万いくら出しております。後全部けずられて出来なくなりました。そう云う状態で教養の面に力を入れられなかった。後から早速刑事の指導と云うことに力を入れます。
◎吉松 今の警察官の数は戦前に比較すると非常に増えていると私は考えます。それは統制経済があったために経済事犯を良く指摘するために、例えば小さな刳舟に品物を積んで闇をすると云うような事等を調べるために派出所を作ったりしているようですが、経済統制は解かれたのですから警察官の数を減らして素質を良くする待遇も良くすることを考慮されて然るべきと思います。
○高田 低物価政策の時二百八十名位増員されておった。その前百十名くらいになっておったと思います。それで昨年、一昨年の予算編成後今二百二十名でありますから約五十七名に定員を減らしております。この定員問題につきましてもいろいろ考え方がありまするので日本の従来の行き方は人口は田舎で八百名と云う基準になっております。それからこれに依って階段が出来ているのでありますが、最高は八百名(一番重い負担をしております)人口から大島を考えると千人以上に一人の定員になっております。果してそれが人口ばかりで行って良いかと云うことも大きな問題です。署長にもいろいろ定員問題で指導を行っておりますけれどもむしろ増員を要求して来まして困っているのです。私は最大限に減らそうかとやっておりますが昨年も知事、副知事、署長直接の意見を述べさして書類を知事さんの処に出している程度で私は十分と思っております。署長はそう考えておりません。決めた定員は部は部の方針で署長の方針ばかりきいて自分の課は増やそうと考えております。配置の面でも各警察署の事情に応じた定員を充たせる、特に大島署等は軍政府の直轄下にあるから非常に事故が多い。御殿浜にアメリカの船が上った当時毎日これに監視をつける命令を受けまして、後は定員が足らないから偵邏の時だけで良いと云うことになったのであります。いろいろ小さい事でも警察を使うのであります。他の処は喜界は別に大島に持って来て良いと思う。犯罪の件数から申しても大島署が徳之島の倍以上になっております。沖永良部はまた古仁屋とやがて匹敵する犯罪発生条件にあり、犯罪が少いから署として件数を見ても約三十件しかないのに司法を三名おいている。署長に云っているんですが署員の点を考えて実情に応じて定員をやりくりしよう、今よりへらすと云うことは非常にむつかしいと思います。今の警察官の問題ですが配置問題、駐在所、派出所問題ですが幹部連中が話したんですが集中主義を取って、例えば名瀬について云ったら外勤を本署におく、地方の駐在は会合して名瀬に古仁屋なら古仁屋の署に行く、そうした方が署長の監督もとどく。田舎で事件がないのに部落々々に於て駐在をおきすぎたんぢゃないかと話し合っているんですが。
◎五番 喜界は今一番与論も駐在は最近二カ月前ですが三カ所減っております。駐在外勤として此の程度と云うように多くの人が話し合っているようです。内容がまた多すぎた、それでそう云ったことは考慮すべきと思いますが幸い我々の個人の考えが今部長さんがおっしゃる程度は現在程度とおっしゃるんですが植民地より人口比率をとったら多いんですね。台湾の蛮地あたり人口二十万近い、ようやく百名、それで治安を異民族を抱擁している異郷で以てようやく百名の警察官で治安を保っております。そう云ったように本郡には離島がありますし交通の不完全なために必ずしも人口に比例してどうこう云うことは申上げにくいんですけれども、結論は現在の大島本島は分りませんが只相対的に見まするならばこれ以上の増員は考慮すべきものではないと考えられます。只私の愚見でありますが。
○高田 警察相談所が民事事件に絶対干渉してはいけないと署長会議でも云うんですが、私の知っている範囲に於て私の駐在所で扱った事件ですが民事の事にタッチし一方に偏したような処置を取っているんです。現在そう云う事実があって警察と密接な関係を以て民衆が良いこともあります。そのやる方法に依って大きな問題になっている、常にやかましく云っております。駐在所にもそう云うことがある。出来たら警察署長、署僚がやらなければならないと云っております。そう云う方針を以ております。近頃これが非常に多い。沖永良部は実に多い。引揚者の財産争い、そう云うように警察としても民事と云うものに干渉してはいけない。調停裁判もあるからそれに行ってかけなさい。それ位指導した方が良い。それ位命じております。特に大きな問題だと思います。
◎坂 それは今お話を承って良く判りました。第一線の警察官はそう云ったような認識を持っていません。或る程度までは刑事事件として当然視されるけれども民事であるが故に、或る程度まで相談所に於て裁定をやっているようなことがないかと云うこと等を考えるととんでもない間違いです。多くは民事の面を扱っております。署長の署僚の処に持って行ったら駐在所の門口に相談所がある故に一般がそれを民事と思っております。私は控訴裁判所から調停委員の辞令を頂いているんですけれども駐在の方々と連絡がありますために私の手はぬきにしております。民事は駐在で扱うもんだと云うことを前提におきますとむしろそう云うことをやっております。私は扱いません。警察官の方でやっておりますから、そう云うような一般的傾向がそこにあるんです。適当な機会に於て規定してもらはないといかんと思います。
○中江 教養の問題ですがこの間警部補試験をやって見ましたんですが警部、警部補試験を受ける、警部に将来ならなければならない連中の程度が実に低い。驚くですね。巡査の連中もそんなもんだと云うことは想像がつくんですよ。余程指導を良くせんといかんです。
◎大野 私は開会前に考えていたのでありますが、余りに数に於て貧弱でありますために座談会式に流れる恐れがあるんぢゃないかと心配していたのでありますが、ややもするとそう云う傾向があるやに思はれます。形式に流れるかも知れませんけれども発言される方は必ず発言を求めて起立してされると云うようにして議会らしい議会であって欲しいと希望申上げます。次に通信部長さんがおられるようでありますが通信部に関して一寸したことを質問致したいと思います。現在社会のあらゆる面から考えまして行政は勿論文化、経済、産業の根幹をなすものは通信機関だと思います。処で現在の実情はいろいろな点で資材その他が不足のために戦前のように行かないと云うことを考えますが、戦前のように行くことも只こう云う時代だからと云うような事が何だか復興が遅れ勝ちになった原因のように考えられます。特にこの通信に対して非常に我々は不便を感じております。一例を申しますと名瀬から古仁屋に出す手紙が十日普通一週間十日、徳之島に出す手紙等いつ着くかわからんと云うようなことが、我々みたいに各種団体と取引があります処は総会の招集でもします場合に手紙と電報両方でなければならない。電報も遅れる場合がそれはいつ着くか分らないと云うような状況ですが、こう云うものは止むを得ませんけれども速急に復興されることに努力して頂く他にありません。船便がある処は手紙が戦前の二倍も三倍も時間がかかると云うことは私は不思議でたまらないのであります。現在は海運にしても陸運にしてもそう云うような理由があるとは思はない(殊に島内に於ても)それに経費の関係もありましょうけれども船や自動車等出来るだけ沢山の運送機関と契約されて、そして経費がなければ各運送機関が或る程度犠牲になってもらって通信機関が完全にやって行けるように計画して頂きたい。このことをお願いする次第であります。
○玉利(通信) 只今通信機関が遅れると云うことにつきまして私はその責任者として甚だ申訳なく考えている次第であります。一方議会がこう云う方面の処に関心を持っておられればこそそう云う点でお気付の事と思いまして感謝申上げる次第であります。郵便が遅れると云うことはこれは昨年来度々方々から苦情が出ている問題でありまして私等としましても実際の状況は良く承知しているのであります。何故ああ云う風な結果になったかと云うと昨年行政整理で郵便は百八十七名をどうしても減員しなければならない、自然そうなれば今までこの郵便局関係が八百五十名から次々整理され現在四百三十七名になっておりますが、それで八十七名減員となるとサーヴィスを落すより他にない。サーヴィスを落すにはどれを落したら良いか、電信電話どっちを主にするかと云う問題に到着しましてどうしても電信電話は非常に急を要するものだからこれは昼夜間扱うことにしなければならない。最初は電信電話は昼間だけ、夜間だけ止めるようにしたらやれるだろうといろいろ研究を要して見ておりますが、それよりやはり電信電話は昼夜いつでもかかって来たら直ぐ応答し配達するようにしなければ緊急と云う場合に間に合はんだろう。本島の郵便物関係を見たらそう大して重要でないのがある。島内の状況を見ても結局郵便を隔日に逓送配達した方が良かろう。サーヴィスを落さなければならないが重点的に見て郵便は多少遅れても重大でないからそれより方法はなかろう。郵便は隔日に逓送隔日に配達する実際にそう云う処に人が足りなかった。昨日申しました通り局長以下四名の局が二十五あります。これを大きい局に包含して小さい局を集配事務を止めて只小さい局は電信電話だけにして附近の大きい局に受け持たしたらどうかと云うことも研究して見たのであります。処がこれは最前も話したように定員関係で大きい局に受け持たせるとほとんど五割位い減員された今日に於ては、大きい局に移した場合小さい局から文句が出て逓送集配する定員に足りない。それで止むを得ず四名局でも良いから逓送集配を隔日にさせよう、今日は集配明日は逓送と云うことにしよう。処がやらして見たらさっき大野議員のおっしゃったような遅れて日曜がはさまったり或いは公休日や祭日がはさまったりする場合は、我々は予想したより非常に遅れるような場合もあるのです。三日、四日の遅延なら良いが一週間も遅延する、それ以上の遅延は何かの事故で遅れたと思いますが、普通遅れる時は六日遅れる計算になったのであります。先般市町村長会の方から非常に郵便を何とかしてくれとの話もありました。社会の人が始めて郵便が遅れると云うことに関心を持たれ、これでは困るこんなに遅れたら用をなさないと云う声が方々から起って、そう云う風に困っていたら何とか考えなければならない。現在どう云う風にしたら合理的に一日でも郵便が早く着くように出来るかと云うことについていろいろ討論しました結果、結局現在の儘でしては所詮無理はいくけれども止むを得ないから我々は多大の犠牲を払って自分の使命たる郵便の速達と云うことに努力しなければならぬ。見込がないから二十四時間制とそう云うような現在の労働条件からしたらいろいろとてもやかましいんですが、そんなことをしていたら出来ないからやれるだけやって見よう。試験的に決行せよと云って昨年十二月二十一日から毎日集配せしめ年末の急場を切り抜け一月十日から更に毎日逓送集配を実行せしめているのでありますが、それで現在としましてそう云うような遅延を来すのではなかろうかと思います。この状態がいつまで続くかこれは非常に従業員に無理が行くのでありまして四名で毎日逓送毎日配達いろいろな仕事がありますから、非常に無理が行きまして二十四時間勤務の上に日曜も休めない状態にある部課は定員が多いから差し繰りが出来る、小さい局が一番無理が行く。兔に角自分達のあたえられた使命だから倒れるまでやれと強硬に進めて今実行さしているのであります。それで今のような状態はそのうちには何とかいろいろ機構もかはり三月までのうちに来年度から何とかこれを打開出来るような方途もつくのではないかと云うことに一縷の望みを以て三、四カ月の辛抱だと押し通してやれと云うことをやっています。離島の郵便が遅れるお話はこれは一寸離島は何か特別の事情があると思いますが、輸送組合と契約しております海運課と契約してあります。船便が出るから発動船が出るから郵便は積んでいるのでありますが、これは何かの行き違いでそう云う一日遅れて出て来たのではなかろうかと考えております。すべて船便の度毎に積んでおります。離島は船便がなければ郵便物は来ないことは絶対ですから船に積んで翌日配達すると云うことになっております。それで郵便物の差立は船便毎にやっております。離島の郵便が遅れると云うのは何かの行き違いではないかと思いますが、調査さして若し船を限って郵便を積んでいると云うようなことがあったら訂正を致しますが、現在どの船でも相当の料金を払うから船の方でもいやがることはないのであります。その点は十分調査しておきます。そう云うような事情で一週間も六日も遅れると云うことはその実情は良く承知しております。皆様の御要望に応えるように致します。
◎大野 只今のお話に依りますと郵便物は非常に少いと云うことでありますが郵便物の配達を早めれば自然郵便物が増加すると思いますけれども、甚だ失礼でありますけれども我々は郵便をほとんど当にせず手紙を出す場合に人に依頼した方が早途だとこう云う事まで感じている現状であります。次にもっとも不便を感じているのは電話でありますが話に依りますと資材が不幸にして老衰していると云う話であります。予算のない現在の状況ではこれまた止むを得ないかと思いますが、こう云う不便を感じるよりも加入者と致しましては或る程度の負担をしましても、この電話が今少し便利に通話出来るような方法を講じてもらいたいと云うことは我々、私のみならず加入者全体の希望だろうと思います。その資材購入の費用がない場合は加入者、その土地の例えば名瀬なら名瀬、古仁屋なら古仁屋の加入者が、当局と郵便局と懇談でもなさいまして個々の各線から加入者一人当り寄附と云う形で出せと云うようなことで出してもらって、例えばこう云う際の経費として今少し御奮発してもらうような方法も講じて頂きたいと思うのであります。もう一つ昔は交換手は非常に女学校を卒業した子の羨望の的で非常な競争で採用しておられたように思いますが、現在はそうでなくその係員の程度の低下もまたこの電話交換の障害になっているのではないかと考えます。こう云うものも加入者に寄附行為でもさして少しく他の部面より事務員関係のものより優遇してもらいますと従って希望者が多くなります。多くなりますと優秀な者が採れると云うことになって来るのではないかと思います。それで加入者と郵便局当局との会合でも開かれて加入者の悪い点も或いは局側の注意すべき点も懇談する会を作って頂くことが非常に便利と思います。この点をお願いしておきます。
○玉利 非常に有難い御忠告を受けましたことを心から感謝申上げます。そう云うようなお気持で見て下さる加入者が大部分おられますと非常に我々の方も心強く感じられますが、現在の資材の面に於きましてはおっしゃる通り非常に交換機は第一そのケーブルが不足で、これはもとならばこの穴に一加入者と云う具合にして非常に交換業務もはかどったが、今はこの穴に二つも三つも加入者が入っておって交換手も非常に勤務の負担が重いのでありますが、一方で呼んで来て一方で話している、その三人のうち一人が話していると全然後の二人は話せんのです。呼んだ方が他と話しておらなくてもその線は他に使っておれば話中で断ってしまう。非常に不便であると云うことはわかっているのでありますが交換機、ケーブル、配線盤いろいろな資材が要るのです。今度機械が参りました時マッカーサー司令部から電信電話関係の専門家が来ております。一体何が不足しているか何が要るか、電話問題は第一交換機がそれからケーブルが不足しているかと云うような質問を受けまして、その数は全部記録して行きまして日本の方に交渉して調査すると云うような話を決めて来まして、これが何時実現するかと云うことはまだ相当時日がかかるだろうと思います。只今大野さんのお話がありましたが出来ましたら研究して次回からこう云う風にして頂いて寄附をして頂いて、それだけの金が出来たら莫大な額に上りますからそう云う風にして、若し皆が喜んで応じて頂くと云う確信が持てましたらそう云う手でも打って御要望に沿うようにしたいと思います。交換手の待遇について御同情の言葉を頂いてありがとう御座います。これは私共どうしても交換手はいはゆる特殊の技術を要するのでありまして普通の事務員と違いますから、幾分の他の仕事より重く見てやっておりますがわずかの差でありまして比較するとお話にならぬのであります。素質の良い者を採用しようとすると待遇でも良くしないととびついて来ないのであります。何しろ予算にしばられて思うように行きませんが、只今のような方法で若しそう云うことをして頂けるならば嬉しく考えるのであります。これを実行に移すと云うことは尚良く研究しましてそう云うようなお気持をありがたく含んで善処して行きたいと思います。
◎坂 御参考までに皆さんのお耳に入れたいと思います。十二月三十一日午前十一時早町発の電報が秋徳の学校に着くのは明けて一月四日です。それでよりより話では電報がそう遅れる筈はないがどうか。一方では途中お正月だから電報も遅れた、私は馬鹿な事を云うな、お正月だから局の方々が骨休めするから日をごまかすようなことはないから絶対に云うな、私も実はそう感じているのであります。何しろ事情が知れないから何でも受信して小舟で渡る処らしいのです。そしてその電報は学校の先生が持って行ったと云うんですがそう云うような話もあります。今電報が遅れると云うようなお話が出ましたので参考のためにお話しておきます。
○玉利 今のお話は無電の空中状態の関係もありますがその当時は非常に不良でした。
◎川井 先日の部長さんの御説明で郵便資金が千七百万円位かかっているに対し千二百万円、貸付を打切っていると云うような話ですが、千二百万円の貸付方法貸付先と云うことを承りましてお願いしたいことがあるんですが……。
○玉利 それは貸付けてありますが現在は資金が足りませんために貸付は停止の状態になっております。貸付の方は財政部でやっておりますから分類は財政部でわかっております。
◎吉松 通信部で振替為替制度にする意向はないですか。それからこれは少し是正はされましたが電報為替に印紙がうんと要るために不便を感じております。五万円位送ろうとすると千円の印紙をつけなければならない理由は奈辺から来たか私は考えております。今度五千円になって少し楽になった、当然これは一万円、二万円の電信為替が送れるようになったら良いんぢゃないかと思います。なるべく振替為替の制度も復活する必要があると思います。それから当分予算がないから仕方がない永良部は郵便局が非常に少い、徳之島に比較して半分しかないようです。後々予算が出来たら永良部に局を増やして頂きたいと思います。只今振替貯金はその必要を認めるのはどうだろうかと思いますが振替貯金は当分本諸島はやらないことにしていますが、今の処その利用価値もないんぢゃないかと思いますがこれは当分復活の意思はありません。今度の全琉会議に於てもこう云うものは止めると云うことを向うからも話があって当分やらないことになっております。電報為替はこの南西諸島だけは電報為替或いは為替の取引が出来るように近い将来に於て出来るだろうと思います。電報為替の取組金額を引上げる必要は当然あるだろうと思います。良い処にお気付き下さいましてまたこれまでの面から見て最近利用されるような方は大島郡内だけでしたから、これから沖縄とも宮古、八重山全体に交流することになるから当然これは金額を引上げる必要があると思います。この点を承りまして早速そう云う風な計画にしたいと思います。ありがとう御座いました。
○中江 通信部はこれで終って良いですか。(異議なし)それでは終りまして文教部に対する質問に移ります。
◎十番 教育委員会の制度を説明して頂きたいと思います。
○奥田(文教) 教育委員会と云うのは教育委員会法と云うのが出来ているのでありまして、それに従いまして一昨年十一月一日から日本に於て発足されております。昨日も申上げましたように一定数の人を公選に依って出しまして、その方々が従来の官庁と別個の立場で教育のすべてのことをやって行こうと云う委員会であります。大体の根本的な要旨は従来の官僚的な画一主義的な処を是正する。第二は教育に於て公正な民意を尊重する。第三は教育の自主性を確立する。教育行政の地方分権、中央にあったものを地方に移譲する。第四番目学校の(大学を除く)学級、学校教育クラブの発行、学校教育機関それから社会教育を緊密化すると云う点。第五番目に教育に関する考査研究に表れた処(ママ)を、第六に教育財政の整備、以上のようなものが教育委員会のやる要素であります。特に内容に於きましては教職員の人事を含む教育関係一切こう云う点があります。
◎十番 今の御説明ですがこの教育委員会制度は非常に必要なものだと信ずるのでありますが、我が大島に於て何時から実施される積りであるかなるべく早く実施してもらいたいと云う希望を持っております。その次昨日の話で大学が出来るような話で御座います。教授等の都合等もありますし大学はそう簡単に出来るものではないと私は考えます。折角作るためには良い大学を作らなければならないが財政の限度も考えて余程慎重に考えて頂きたいと思います。小学校、中学校、高等学校の内容でありますが、大島の人間は校舎を作ったら学校を作ったと云って喜んでいる。そんな学校の建物より内部の設備が重大だと云うことを父兄にわからして必要な理化学実験機具、博物の標本器具、音楽の楽器類などいろいろ手をつくしてなるべく早く内容を充実させるようにして欲しいと思います。
○奥田 教育委員会については従来教育審議会、文化委員会のような処で最近開始しようと云うことになりまして建議案は出しておりますけれどもその儘消えてなくなったのであります。教育委員会制度を作りたいとこう思いまして副知事、知事の諒解を求めてあるのであります。中央に於ける教育委員会は定員七名その七名に対する旅費その他を新しい予算に編成してあります。沖縄に於てもすでに実施をしております。大島に於ても出来るだけ早く実施をしたいと思っております。現在立案中でありましていずれ次の議会に出しておきたいと思います。大学の問題でありますが私共別に予想は致しておりません。先般教育官が沖縄に参りまして向うで協議をしまして向うで大学を作る案を考えております。これを見ますと(別表参照)(ママ)。
 そして大学を作るなら日本から教授を招へいする。招へいする手続或いは旅費その他は軍政府が負担するが教授の住宅、俸給は政庁で負担しなくちゃならぬと云うようになっております。それでこのことは全部でもみ消して参ったのでありますが到底茲には大学設備の可能性はないと思うのですけれども、向うの要求は一カ年、二カ年の大学を前提とした大学を作ったら良いだろう。それをたてるには大島で費用を集めて出来るだろう、近く高等学校校長会議を明後日開きます。その際現在の中学校でありますが専攻課でありますがその会で専攻課と云う名前はまずいから日本に於ける一カ年二カ年の(ジュニア・カレッヂ)にしようと思います。
◎吉松 大学を作ることは非常に難しい。内地に進学を許して頂けるように将来伸びる明るさを与えたいと思いますから軍政官に陳情して下さい。
○奥田 内地進学について軍政府に陳情しております。高等学校の生徒が集って陳情しましたが最近「うるま新報」に百五十名程文部省から採用すると云うような通知があったと云うようなことを書いてありました。また戦前大学におった一学生からそう云うような知らせが来ております。現在栄養学研究に行くようにかみしま先生を派遣するようにしました。これはそうなるのではないかといろいろな人が文教部に集まりましたが真実ではない誤伝だと云いますけれども、東京から文部省が五名、外務省から二名の試験委員が来ると云うことになっておりますから、その点に希望が持てるのではないかと思います。人口割にしても四十名程は出来ると思います。現在学校で夜間三時間ずつ大学準備の勉強をさしております。
◎坂 一昨年私共の校区の父兄会の席上で山元先生が父兄に云ったのは現在の五、六年生の学力程度は前の戦時中の二年生位の学力しかない。父兄会で相当問題を起したのであります。それから私はきいている一員でありましたから終ってから後で先生に本当ですか、本当です。それから私は好奇心にかられ他の先生にきいた処がこれも事実です。よくこの後援会の役員会あたりの席上で常にこれが論議される問題でありますが、御当局におかれましてこれを高度にレヴェルをあげるだけの方法が講じて頂けるか如何か近道があるでしょうか。この儘では学校寄附金問題今の方法は設備の問題も先月末に出来た時もこの問題が盛り返された訳ですが、年を追って競争をしたらいざ知らず何とかして出来る限り早くこれを盛り返すような方法が必要ぢゃありませんでしょうかと云っている訳です。実際の状況の一つは極く簡単に云はなければなりませんが、近頃御承知の通り私が茲で申上げなくても世相の変遷に伴う混沌としている時代に基本法にある処の趣旨は私共は良く分りませんが、理想としては□□次々に向上して行くのが理想ぢゃないかと思うのですが、現在の実情に於てはいはゆる社会教育と云うものは極端に申しますと放任されたような形にあると私は考えます。地方に於ける有識者に云はすと先程今の処全力を注がなければならない処の社会教育の面をおろそかにして行ったなら、これはどうも由々しい問題ぢゃないかと思はれております。出来る限度に於きましてやれば良い、良いと云う程度であれば何とかして多少の無理算段はしてもやって頂いたならば非常に効果があがるんぢゃないかと私考えるのであります。そう云った場合に於てその宗教、教育団体と何らかの交渉連絡と云うのもあったでしょうか、今までなかったでしょうか分りません。只話をよりよりきくとそう云った団体は政庁御当局と連絡がとれたなら費用を使はず出来るのではないか、暴論かも知れませんが口に出した人もおります。要は出来得る限り一日々々延ばして行ったら延ばすだけ目に見えない損害をこうむる。これは多少の無理はして何とか御考慮を払って社会教育の面に力を注いで行くようにお願いします。希望を申上げます。
○奥田 先程の学校の備品の如きものは大体どの町村をまはりましても設備の如きほとんどない、天城村の如きはオルガンも知らんと云うような話であります。そう云う関係で教育官と一しょにまはりましてこの必要なものを書出しましたら楽器はアメリカに注文中になっております。理科機械の如きは大島で補給出来ないと云うことを思案しておりましたが最近理科器機も資材も買えることになっております。初等中学校、高等学校に備えるものは尚そうまとめにしてあります。今、坂さんの第一学力の低下と云うことは或る程度見られております。そう云う内容そのものはやはり学年に応じて進展しております。非常に落ちると云うようなことはないと信じております。しかし学力と云うものは実力と云うものはおおよそ考えて頂かなければならない。内地の学力と云うことはむしろ試験学校がない、同じ方が高い。只教科書のみを考えてもいかんのではないかこう思うのであります。初等学校の例は特例でありますがこっちの高等学校の生徒の力を見ましても決して内地の生徒の学力に於て落ちません。喜界の子供で昨年、一昨年卒業しました。それから内地に飛び出しましてその年の十一月に大学入学進学試験に立派に入学しました。昨年四月に文理科大学に通っております。さほど悲観すべきではないと思います。まだ各学校まはって見ませんからその点はっきりわかりませんが。
◎山下 教育問題のことにつきましてさっきも申しましたようにいろいろお願いしたり要望することが沢山あるのでありますが、それはむしろ私は各項目にわたって年次計画そう云ったものを実際問題に触れて計画して、社会教育はこう云う欠点があるからこう云う方面に行かなければならないとか、その他あらゆる方面をやってもらはなければならない。そう云った面をやっておりますが今云ったような部門にわたりまして是非委員を組織して当局と一体になって、そうして重点的にこれを編成して行きたいとこう云う処からこれを考える訳でありますが、只今おっしゃったようにいろいろの現在の社会の欠陥が教育の力がなければならない。法制委員会に於きましても私は部長さんに対して学校の先生に停年制があるか、それを知らなかったから現在の諸官庁の教育界出身の方々を早くこれを教育界から引退させて融通して行くことは大事ぢゃないか、ああ云った人を社会教育方面にまはしてもらって指導してもらう必要はないかと云うとそれはわからない。本人の希望に依ってするんだから。要するに学校教育だけで教育の目的は達し得ない。生徒の実力は学校の先生がつけるだろうし教科書に依ってその実力をつける子供をのばして行くのが教育だと云うことをきかされておりまして、そしてそう云うことも十分承知致しておりますが問題は今我々の処では楽器とかオルガンそう云った方面の問題でないのであります。私は前に学校の先生校長先生においでを願うようにあらゆる方面から問題を持ちかけて是非部長さんにおいでを願っていろいろお願いしましたがいろいろの都合でおいでにならなかった。本当に与論はこの教育の設備に対して他の村と著しく非常なみぢめな戦災をこうむっておりますので、仮校舎を或る程度設備をしてその本校舎が建つまでの間仮校舎で本当に我々のような背の低い者でもかがまねばならない山羊小屋よりも浅間しいような有様でありまして、そう云った破れ家を持って来て間に合せてやっておりますが、そこに持って来て椅子、机を作ることが出来ないのです。藁を用意してそれを持って来て地面に坐っている。ヌキ(貫カ)四寸角のヌキ板を持って来てそれを机の代用としてやっております。私は今度中学校のP・T・Aの会長に選挙されましたからそこに於て父兄会の力に依って、このために机を準備せなくちゃならん、それも必要である、寄附にまって設備して行くことは必要であるが、前以て町村に対して或る程度負担させて出来ない分だけを後援会にお願いする。村当局に要求して村債を起してやるようにやったら村長がそう云う金はない。それをやるには振興計画を起さなければならないと云うような訳で本当に中学校から小学校に至るまでそう云った実情にあるのであります。それ故私は重点的にそう云った方の経費について御調査して頂いて、そうしてそう云ったような方面に今年一ぱいに出来なくても二年、三年こう云う風にして充実させて本当の教育が出来るように努力してもらいたいと思います。そう云ったものを根本的に委員会組織にその計画案を作る時に申上げたいと思って私は待っておったのであります。どうかそう云った方面についてあらゆる方面に於てそう云ったような一貫した処の計画を作って欲しい。こう云う考を持っております。
○大重(博物館) さっき坂さんから何とかして早く実力をつける方法はないか、そう云うことを我々は考えさせられる。文化向上の途を向上する今日の子供の勉強する子供達の参考書を作ろう、現在の図書の高いことはおどろくのであります。一例を申しますと植物の分布、奄美大島の特殊分布状態に関する本が八百五十円します。予算がないものだから買うことが出来ない。博物館で借りなければならない実情でありまして、以上の意味から参考図書を買うことはとても出来ないと云う意味から致しまして図書館は参考書を次々と購入しております。昨日も話しました通り児童巡回文庫を設備しようと皆様御承知の事だと思いますが、九十円する参考書を兄弟二人に買ったら百八十円もする。古い参考書を買うと二、三百円、四、五百円の参考書を小学校の子供にあたえなければ学習が出来ないと云うことを何とか打開出来ないかと云うのが巡回文庫の趣旨でありますが、地方におかえりになったら図書館がそう云う計画を持っており予算も計上してあると云うことをお伝えになって下さい。その予算が出来次第各地方に続々巡回文庫をまはしてそれを参考として学校教育または一般の社会教育をやって行く上の参考にしたいと思います。最近はあらゆる本が相当集っていますからそう云うように御利用させるように御鞭撻と御希望とをお願いしておきます。
○奥田 昨日も申上げましたが向うの社会部に於きましては大島に図書館を本諸島に設立する意向を持っております。これ等の図書は直ぐ沖縄から供給されることになっております。
  (図書館の件について指令朗読別表参照(ママ))
○笠井 どうですか、文教関係でありませんか、質問を終りたいと思います。その次は教育委員会制度を今研究中であります。是非四月から発足させたいと思っております。
◎吉松 財政部で先ず最初に考えなければならないことは財政計画としまして所得税については戦前に日本の免税点が年収六百円でありました。この額はその当時に於ける中流までは行かなくても相当な生活を営むに十分な金であったのであります。従って最低の生活を保障してその余分の分から税金を取ろうと云う仕組になっておったのでありますが、現在大島に於てはその当時の百倍以上も物価が上っているにかかわらず所得税の免税点を年収千二百円と決めてあります。この数字は一体何を意味するものであるか。千二百円の金を除けたら後は相当なべら棒な金が計上してあるようですが、この取り(通りカ)取られたら大島の人は全部首を縊らなければならないと思う。官公吏から三割税金を取ったり辻褄の合はないようなことをやっているのであります。この物価の割合からしたら六万円に上げなければならないと思う。しかしそれではまた非常に所得税の額が少くなって来ているのです。これを二万円乃至三万円で止めてその代りに最初のうちで整理して非常に低くし幾段階にわけて段々を多くして行くように率を上げて行くようにしたら良いんぢゃないかと私は思うのであります。それから酒税のことでありますがもう終戦後五年になるし私達も少しこのことについて考えなければならない時代だと思います。現在のように食糧の少い時代に酒を一般の民家に今の儘で許可しておいて若い者に酒を飲ますと云うことは民族のために喜ぶべき事であろうか。元々通り厳重に封印して酒屋に売らして酒屋から税を取ると云うようなことが正式な途ぢゃないかと思います。それから放出物資手数料が一般会計に繰込まれているようでありますが、あれをもう少し増収をはかる余裕はなかろうかと云うことです。それからもう一つは金融機関が非常に窮屈になっております。貯金を奨励しておりますが貯金なんかは奨励しても出来るもんぢゃない。本当に貯金を奨励する積りだったらむしろ本質的に貯金の利子を引下(上カ)げるのが妥当ぢゃなかろうかと思うのであります。ポスターを何枚張っても貯金は奨励されるとは私は考えていないのであります。この辺のことについて所信をお願い致します。
○重村(財政) 所得税の免税点これから申上げます。昨年だったと思いますが私がまだ財政部に行く前の話ですが一昨年かも知れません。基礎控除に於て千二百円を二千四百円まで引上げたいと云うことを軍政府に申請したことがありますが、これは軍政官から却下されました。それを引上げる基礎数字を引上げる必要はないと云う書類が参って来ているそうであります。私は非常に現在のものでは低いと思いましたが何分軍政府で認可致しませんから仕方なくやっております。大体これを基礎数字を引上げて行かなければならないと云うことは考えておりません。自家醸造の禁止ですが御意見の通り私達も思っております。処が此の間町村に代理人を各町村に置いてありますがこの人達の意見をきいて見て各町村の一般の意向としましても、すぐに自家醸造を禁止すると云うことに対してみんな反対の意向を述べているようであります。私達も今与論の山下さんが云はれるように全面的に一時に停止することは非常に弊害を伴うこともありますから、漸次各町村の酒造工場あたりに出来て行けばすべてに配給してこれを禁止して行きたい意向は持っております。それから放出物資関係ですが放出物資の手数料を廃止するのは如何か、出来るだけ手数料をやっている訳です。私達がこれを取るまいと思いましても現在の歳入はこれと税が一番大きなものでありますが、必ずしもこれで賄うことは良い事でないかも知れませんが現在の大島の状況ではこう云う途を辿るより他に方法はないのです。これは今度の予算、昨年度、来年度の予算でもこれを良く考えております。内輪に見てありますが出来るだけこの方法をとりたいと思っております。処が反対に手数料は取ってはいかんと云う説もあります。それがどう云う理由であろうとも、現在の大島ではこれがなければ何もやれないと私は思っている訳であります。従って良いにしろ悪いにしろこの線で行きたいと思っております。金融の点も御意見の通り金利を引上げることが一つの原因だと思います。反対に引上げることは貸出しの面でそれだけ高い金利で貸出さなければならない結果になって来ると思います。一長一短でありまして金利を引上げること必ずしも金融政策の面から良いか悪いかと云うことは検討さるべきものと思います。それともう一つ昨日云ったように私達の狙いは産業資金の点から云ったら現在の金利が多分に私は高いと思います。現在の琉銀の金利が大体二銭六厘ぢゃないかと思います。日本の場合に於ては大体四銭五厘でやっている。それに比較して政庁の融資の面から云えば出来たものも高いコストにつくと云う結果になります。そう云う面から昨日もお話しましたように買うとしましても安い金利しかも貿易市場方面に安い金利、郵便資金を出来るだけ運用しまして製品のコストを安くして国際競争におくれないようにと云う風に考えている訳であります。金利の点は私は今の処引上げるか引下げた方が良いと云うことははっきりした意見は持っておりません。
◎坂 簡単に部長さんにおたずねします。今出ました酒の消費税ですがこの税は私の処では悪税と云っております。そのことにつきまして申上げて見ますと一昨年税務の方が見えた時こう云う話をすると酒造税、消費税について世論囂囂としておりますのはそんな部落に割当てる処の、今人口割と云いますね、そうすると混乱を来す、世論沸騰して盛んに喧嘩腰になるような状態ですね、例えば一滴も作らない女の人でも割当てるため問題が起きて村に持込むそれで部落の方でどうも困るんです。今度のお話の中にあったようですが現在の御方針を強行されるんでしょうか、検討の余地はありませんでしょうか。
○重村 自家醸造は実際作った製造高に応じてやるのが本当ですが実態がつかめない。税務署は例えば(A)一斗作った(B)五升作ったと云うことがはっきりわかればこれは製造高に依って税を割当て賦課出来ると思います。処が各部落に入ってどこの家で一年間どれだけ酒を作ったと云うのが分らないので代理人に出来るだけ製造高に於て取るように話してありますが、処が代理人は一々ついているのぢゃなし実態がつかめない。その結果今のような頭割で行く。そこにはやはり部落の常会あたりで協議しましたら大体それに近いものが出はしないか、この点を何か良い方法があったら教えて頂ければ非常に改正することは出来ると思うんですが、何か他に良い方法がありますか。
◎坂 実際作って商売したりする一部の特殊の人のために一般が犠牲になるのはかわいそうです。みんな一人の者も割当てる。それで今世論が出ているのは前からですが以前のように組合を作って申告制度を作って、これを厳重に代理人が責任を持ってびしびしやると云うことであればこれは合理的です。只今部長さんのおっしゃるように方法が良い方法がみつからないからして止むを得ずこう云うようにそこに指導の余地があると私は考えているのであります。……私達はそれを廃止したために一般に酒を作らない、飲みもしないのに負担しなければならない、或るキリスト教の人が酒を一滴も飲まない人が理屈を云いますが……。
○笠井 それから補足しておきますが税務署長に命じて今の方も良くないと云うことは我々は認めております。だからこの方法を正常に戻すと云うことについて今考えている訳です。税務署長は来年度あたりから何らかの方策を考慮しておられるようです。また税務署の方でも来年までは研究します、どう云う形で生れるかは別としてその点について出来るだけ早く正常に戻したいと思います。それからもう一つ税制に関することですがさっき部長の答があったように六百円を千二百円にすると云う案は数回突返された。軍政府としても経済水準を一つにすると云う建前から全琉球の税制制度を一本にすると云う考を持っている。茲だけで案を出しても通らない。すでに沖縄で立案中だから出すことを云っておった。私が昨年行った時係の方が立案中で書類を見ましたが不幸にしてアメリカに帰ってしまって後任者がその意思をついでいないのかどうか、現在社会がこう云うような状態であるために未だにその税制の面でも一本にやっていないように思はれるけれども今日までやっていない。今後我々に予想されることはやはり経済水準を一つにした税制についても根本的なものも何とか考えているのではないか、その後に起きる問題は大島の産業経済が沖縄と非常に相違があると思いますが、それはその案が出た時に皆様におはかりする機会がありましょうし政庁としても向うからの案で行くことと思います。
◎大野 先程十番議員から御質問になりました金利の問題も非常に重大な問題だと考えます。部長の御答弁に依りますとそう高くはないと云うような御答弁でありましたが、私は金融機関の会合でいつも強調しておりますが関心がうすいのです。琉球銀行が建ちましてこの大島に於ける預金利子の引出し貸付に当っている訳です。それに対してはっきりした事実があるのに民衆がこれに関心がうすいのは不思議でたまらない。琉銀の決算書が昨日から配付されておりますように一カ年間に相当の利潤をあげているように、我々が預金するものに対して利子を安く取り、安く支払い、借りに行けば利子が上っているのです。これに倣いましてその他の金融機関も琉銀に倣いましてそう云うことをやっていると思います。それは我々の預金利子をまだ上げるから預金奨励の一番の問題だと思います。預金利子をうんと上げ貸出しも現情にとどめるかそれ以下に下げるか、そうしますと金融機関でこの利益がうすくなりますけれども、日本に於ける日銀見たいな国家の財政を左右出来る性格のある琉銀があまりもうける必要はないと考える訳でありますが、これを我々だけ高いのどうのと云う問題ではないと思いますけれども我々が同じ気持ちで見て沖縄でも多分同じだとは思いますが、こう云う意見がどっからも出ないと云うことは琉銀の現在のやり方が正常でないと云うことを軍政府に見せるから一応出来ても出来なくても大島ではこう云う意見である。預金利子はもっと上げてもらいたい、貸出しをもっと整理してもらいたい。余り銀行が金融機関がもうからんでも良いと云うことを陳情する必要があると思う。日本内地の現情は非常に金融機関のサーヴィスが我々が戦前知っておった以上にすばらしいサーヴィスをやっております。例えば定期貯金をやったと現在の宝籤、そう云ったものをその銀行あたりがやりまして仮に一万円定期をやりますと何枚籤が引ける。そうすると一万円貯金をやって、場合によったら百万円も籤が当ると云うようにしてそして貯金を奨励しているので内地がどう云う結果になっているかは知りませんけれども、想像すると大島も非常に良い結果を上げるのではなかろうかと考える訳でありますが、今はほとんど金融機関はサーヴィスをする必要もなし手も足も動かさず、莫大な利益を受けていると云うことは民衆のために非常な反感を持たせると思いますから、この金利の引上げ預金利子引上げを強調してもらいたいと云うような希望を申上げます。
○重村 今の大野さんの御要望は知事、財政部長で出来ますからこの機会に琉銀で研究して見ます。
◎祷 先程何番か質問があったようですが千七百万円を輸入資金として千二百万円が貸付け済み、貸付先は何処かと云うことを私は貸付けた先ははっきり覚えておりませんが六百万円が蘇鉄葉資金に貸付けてある訳で、後残りが製材所とか平木工場こう云う大島の復興方面に関連するものぢゃないかと思いますが、それから味噌、麹、製造業者、後小口の方は良く私は覚えておりません。そのうち蘇鉄葉、紬を輸出するために集荷させました。そのために銀行からも貸出してありますがその資金は二百万とか三百万とかそれは調べると分ります。三百万のうち百万と二つの大口が出ている訳です。
◎川井 もう一つおききしたい事があります。税です。我々としましてはこれ以上税を取る余地がないと云う考か、また多少取れる見込みかその辺の事を一つ、税はこう云う状態でこれがせいいっぱいと思います。処で後の復興予算です。相当入ってくれば税金も増えるからその場合はその後の問題も復興予算とにらみ合せてやります。只今の問題について申上げます。その貸付方面を是非やってもらいたい。これは部長さん大体おわかりでないですか、どの地方に貸してあるか……。
○重村 去年一月十五日現在で多少違うと思いますが、その当時市町村に貸してあったのが百七十三万、政庁大島電業所が三十万円を含め政庁通信部の郵便局舎復旧三十五万借りております。各種の組合、農業会、漁業会に対して二十万円、貿易品の集荷資金が紬と蘇鉄葉合せて八百七十万円これが大体主なものですが、今まで申上げましたものをパーセンテイヂを取って見ると貿易品集荷資金六十パーセント市町村に対して十二パーセント政庁に対して二、五パーセントそれから農業会、漁業会、組合に対して出したのが一、五パーセントこれが大多数であります。その他に小口の貸付を申しますと機械企業で御座いますが経済復興に対して六件五十二万四千四百円、これは経済復興の中に政庁の工事□請負工事に対してあらかじめ金を出したのが四十八万円を含めその他の貸付は零細な建築資金であります。土地改良に関してこれは畑を田に改正するとか荒地を開墾するので、これに対して七件一万三千円、製材所十二件六十八万円、漁業四件これが九万五千円、病院新設、現在の数字は多少違っておりますがその当時六万五千円二件であります。製塩四件一万五千円それから食料、加工、味噌醤油十五万円、家畜購入八千円、印刷業建設費八万円それから各種工業これはいろいろ小さい製紙工場も入っております。網、漁具をこしらえる、そう云ういろいろな方面に十四件九十四万円、家畜工業(ママ)九十四万円その当時のパーセンティヂ十八パーセントになっております。現在の数字は多少違いますがその当時の表には名瀬三百万、政庁貿易資金の費用、貿易品集荷資金を除いてあります。三百四十万円、古仁屋町二件十八万円、笠利村九件四十三万円、竜郷村十二件八万九千円、住用村二件七万円、大和村五万円一件、喜界町一件二十万円、その他学校建築費鎮西村一件三万五千円、天城村一件五千円、与論五万円村役場を作った費用合計六十一件、貿易資金の九百万円を除いて四百五十万になります。処が徳之島は非常に少い。一昨年に徳之島から申込がほとんどないのです。どう云う訳でなかったかと云うと住民がこれを知らなかったのだと考えているのであります。こう云った貸付があると全然知っていない。昨年始めに局長会議を開催しましたが徳之島の局長は全部集っていました。その当時貸付のことについていろいろと論議致しまして局長さんが始めて知ったような気が致しました。昨年の三月以来は徳之島の申込が非常に多くなって来ております。処が多くなって来てこの爾後郵便局資金の状態がわるくなって参りましたので昨年の六月以後中止にほとんどなっております。地域に依ってないものはない、あるものはあるようになっていると思います。申込もいろいろあって審査も厳重にやって経済的再建に役立つか慎重に検討しておりますから申込があったから貸付けるんだと我々は考えておりません。結局郡経済に貢献し得るような産業方面経済方面に貸付ける積もりであります。一年が最高の期間内にある訳です。期間を更新するものもあります。更新しなければならない事情のものもある訳です。例えば製材所を設置する設備資金を貸付けて一ヵ年でこれを回収することは非常に不可能な問題です。何故なら製材所の如きは固定資金で大きな金額です。一年間に資金を回収しようとしたら製材料金を非常に高くとらなければならないもので御座いますから、設備資金と多額の固定資金を一年でとると云うのは非常に無理だと思います。間違いはありません、担保はとってありますから。元来うまく行っていない産業資金を一回で回収することは影響を及ぼすから回収の出来ないものは六ヵ月に更新して延期すると云う方針です。
◎川井 只今の明細な説明に依りまして内容ははっきりした訳ですが、これに依りますと大体各町村にまはっておりますがそれもほとんど各町村の役場関係が主のようにうかがはれます。従って民間業者と申しますか、こう云うものはほとんど名瀬にあると云うことを私かねがねきいておりまして、この方面に主としてまはっていると云うことが察しられるのですが事実そうであったか分らないが地方からは受付けない。そう云うような傾向にある。勿論こう云う良い条件の金融と云うものは皆がほしがっているものでありますから、是非今後は地方にも或る程度の割当式をやって希望がなければ他の地方にゆずる、あれば貸して頂くと云う方針にして頂きたいと思います。
○重村 昨年食糧価格の値上りに伴いましてその調査に軍政府のウッドワース大尉が来まして私が折衝したのでありますが、その前に私の考を申上げますと私共の財政部は住民から集めた郵便資金を財政部が貸すと云うことについて私はうれしくない意見を持っているのであります。財政部はそう云った政策をやる処であって金を貸したり取ったりすることは業者にやらせるのが一番良いんだ。しかしそれを何故やらなかったかと申しますとその当時銀行は郵便資金は無利息でしかあずかってくれなかった。金利がつかない政庁と致しましては住民から預った資金に決められた利息を支払はなければならない、一方その金を目当なしに流すと云うことは産業を復活しないと云うことと、銀行にいれても無利息でしかあずからんと云うヂレンマから政庁が扱うと云うことは宜しくない。郡全体のために使うと云うことになったら良かろうと云う意味合いでやって来たがウッドワース氏はこれはそう云うことはない。そのために銀行は七十五万の銀行予算があるから支払うべきだと、早速銀行に行って調査致しました処私の云ったことが間違いで支払っていなかった。中農の会議の席上で彼が自分の意見が間違っておったから間違っておったことは銀行の取扱いが間違っていた、直ぐ払はせるからとその日で預金の千何百万円を郵便に繰り代えて貯金をした訳です。そう云う訳で今後はこれを整理すれば努めて銀行が肩替りして、そしてそう云った金融を政庁の機関にあずかってもらうのが一番良いんぢゃないかと思っております。さっき川井さんが財政部長さんがなるべく地方の郵便局の証明に依って認可してやろうと云う方式は、これは地方に金を割当てさせる工夫を前にやりましたが御承知のような金融情勢になって郵便資金は貸出を今の処やられない状況にありますので、そう云う考の下に考えたのでありますが今日はやれません。その点を一つ御諒承願いたいと思います。
◎川井 先程部長さんの御説に依りますと云うと、現在の大島の財政では放出物資の手数料を相当見込まないと財政の切盛方法はないと今後そう云う方針だと申上げました。私はそれについてはこの会議に臨む当時から質問したいと思ったのですが、実は我々は旧価格に於ても配給は取れないと云う事実を見せつけられております。そうしてみんなが一体になりましてその引下げのために運動を開始しているのであります。そうして現実は値下げしてもらって反対に政庁の予算を使うだけ使うと云うことは如何か、特に私は他の物資は別と致しまして食糧と云うものはどうしても生きなければならない為に必要な物資であります。他の物資と違うのであります。そう云う角度から方針が決っているとするならこれはもっと島民によびかけて世論をきくべきだと思います。食糧に関する限り私は本年度予算にいくら手数料を含んであるかわかりませんが、その通り含んであったらこれを更正予算に於ても考慮すると云うような用意が欲しいと私は要望致します。
○笠井 御趣旨の通り私の処もそう思っております。先程部長も答えたと思いますが現在の大島の自給財政上止むを得ないと云う、その後は決済して卸価格から二十五パーセント程度支給すると云うのが軍の方針であります。それで二十五パーセント追加と云うことになればその差金をまた向うに払はなければならぬのではないか、いはゆる七十五パーセントを払うなら二十五パーセント程度のカロリーにしたら八十パーセントでやれ、こう云うこともうたはれてありました。向うで二十五パーセントなら二十五パーセント、我々がもらってそのやりくりをして政庁の財政がまかなはれて双方のために良いんぢゃないかと思います。このことは止むを得なかったからそうしたんですが向うから二十五パーセントにされたからそれで五パーセントとられるよりもらった資金はこっちでつかった方が良いと思います。
◎川井 政庁に五パーセントまはせるなら他の方面にいろいろまはせると思います。社会事業、救護者がどしどし増えております。そう云う方面にまはせるべきである。その点を事務上のやりくりで出来るならせめて食糧だけは最低価格でやってもらいたい。それに依って林道工事でもあると思います。他のものは仕事がなければわたせないと云うことで御座いますけれども喰べるものを先ずやっておいて、その他の点をそれから工夫しようと云うことにならなければならないと云うのが大島の現状ではないかと思います。そう云う現状とてらし合せましてこの点は特別なる御考慮をお願い致します。その点についてはもうすでに皆さん御承知の通りまはった金は地方に還元すると云う考から、地方に農業、衣料倉庫若しくは医療倉庫と云うものを作って努めて地方に金を還元して行った積りであります。それから昨年の町村補助と云うようなものはこう云う金があったから出来る限り町村に補助を余計しよう、町村から見たら少いかも知れない。昨年九十万円予算を組んであった。これが余るから百三十万円あげようぢゃないかと云うようにして相当やった積りです。大部分の金が予算に入ってその中から倉庫を作ったり町村に入ったりするのでありますが、これは□□でありますが今後のことについて非常に心配になるのは沖縄に今度の会議に農務部長をやりますが、F・A・Oと云う機構が出来ることになりました。これは食糧関係の機構で全琉球の統一機構が出来ることになっております。そうするとその中で扱う水産も勿論現在やっている農務と補給部の仕事のほとんど全部がF・A・Oに統合されます。それ自体が配給すると云うことになるとそれ自体がやるからどう云う価格で彼等が配給して呉れるかが問題になって来ます。果して予算を組んで先は今年F・A・Oに依って政庁が参加するか如何か予算を組んで後で通知がありますか、その点に非常に大きな疑問を生じて来ておりますがそう云った事情であります。
○重村 要救護者は一般予算で全部見る訳に行かないから復興予算で出るようにしてあります。要救護者にまはすようにしろとおっしゃったんですが…。私から質問しますが、先程五番議員から酒の税は悪税になっているが砂糖が問題にならないと云うことですか、皆さん全体の気持ちは……。
◎五番 あれはこの地方に於きましては不当だと云うことは云っておりました。農務部長さんにお話したんですが実情を訴えた訳です。脱税さして少ない金取るより一円でも余計に取った方が良いぢゃないかと云う一般の世論です。砂糖は私が云うのは砂糖に対して不当だと云う悪税だと云う声はききません。率直に私が申上げたのは酒の消費税について世論が沸騰しております。
◎山下 私の処は坂さんと反対の意見です。砂糖のことは今申しましたように今のように闇値で売ったら問題もありませんが、いよいよ貿易でも□なって価格が安くなったら今の二円では高いと思います。酒造税でありますが早町のやり方はあまり私の処でも人が歓迎しないようです。それをなるべく税務署も指摘してなるべくそう云う自家用は返して酒造屋が一軒ありますから、品物を持って行って交換してそこから買って飲んだら良いんぢゃないかと云う人もおりますが、一般は蘇鉄、芋、豚の余りで簡単に作るし簡単に出来るんだから是非酒造は当分の間認めてもらいたいものだからと云うと、今度は作らない人が来て自家用で作って近所隣りから立替えたりしてもらうから酒屋は今の値段でやっていますが沖縄から焼酎が入ると百五十円、七十円です。そう云う風に若し自家用酒造が配給酒屋は八十円、百、百二十、二割、三割位あがるだろう。今の自家用の税金は一升六十円ですけれどもこれは儂なんかの部落などは実際作るものが作らないものが作るとなると三百円、一番多いのが二、三百円越します。作らないものは作る人があってこそそうなるから若し我々があんた方作らないと云っても酒屋に行ったら年に二、三升の焼酎は要るからそれを酒屋で買うと焼酎は一升三十円、六十円かかることになりますから、その現金がどんどん砂糖、牛の仔が売れ一般に現金が入って来ることになる。こう云う風に自給自足の方法を講じて行きたいと云うのが私達の考ですが、税務署から来た人もそのほうが良いぢゃないか、与論だけは一、二ヵ年そう云う風にして欲しいとお願いしました。私共の考は与論村の経済情勢から見てその方が一般に見て経済ぢゃないかと思はれます。千何百名に対し税金は滞りなく納めています。
◎坂 私の部落は十一階級に分けております。大体最高三百円にしても十五円ぢゃないかと思いますが、要点は前のように私の部落の配給戸数は百五十戸ですが三つの組合が出来ておったのです。それを復活させては如何か、それは全部作らなくても全村に作っているから毎日売りに来ますから、要するに復活さして厳重にその部落の代理人に責任を持たして申告それ自体を正確に申告させると指導監督して行けば非常にうまく円滑に運営されて行くと思うんです。私の所で代理人を最近決めたが部落の代理人がしきりにそれを云っております。思想的に持てる物は保護されると云うことになる訳ですが持てる者の負担額を持たない者に転嫁させられている。こう云う風に目に見えないような悪影響をもたらすと云うような実情でありますが、実際の話ですが良くお調べになって下さい。町村の代理人に責任を持たして調□不徹底で不可能だと云っておりますが無理もないです。距離は自動車で行ったらまはれるが遠い処では代理人が有志を集めてどうかどうかとやっても効果はないのです。税務署に率直に実情を話しております。良く諒解して下さいました。税務の方もしょっちゅう云っておりますがそれでは代理人も責任を持たないです。今日は茲、次はあっちと云う風にあっちこっちまはってばかりいて、無駄な旅費ばかり使うより常会でも開いてやると良くわかると思うんですが、そうでないと効果は全然ありません。もっと力を入れてやってもらったら効果があがるだろうと思います。
○笠井 良く分りませんが次の会議までに良く研究しておきましょう。
◎三番 砂糖の消費税問題は午前中にやりましたが悪税ではない筈だが半分に下げる必要はないか、伊仙村は半分以上生産しておりますから一番痛手です。これを一つ研究して見て下さい。
◎笠井 それでは本回の会合は軍政府の命令で一月一日会合を起ししかも速急にやってその結果を早く報告せよと云う命令を受けたことと、招集する期間と私共の計画の方に十分な連絡がなかったから私共の方と致しましても初顔合せと云いますか、いろいろと御相談申上げる諮問事項も一応知事が今回食糧値下げ問題と復興予算問題と同時に一般予算の承認と云う問題もあります。こう云った問題で係部長をつれて参ります。出張予定は約三週間になっていますが帰りましたらそれに対する具体的な問題が次々表はれて来ると思いますから、その時に皆さんにお集りを願ってそして財政部のやっておりますいはゆる一部財政開発、これは沖縄に行って全琉球を一円とするように目論まれているか茲だけの話か研究して参ることになって、現在立案中ですが財政部の財政開発の提案をする。その他各種の重要案件があると思いますがその時に出したいと思います。今回は皆様何か物足りない点があると思いますが本回はこれで閉会致します。まことに有難う御座いました。
  午後三時四分閉会

 右会議の顛末を記載し、其の相違なきを証するため茲に署名する。

 民政議会議長
  臨時北部南西諸島知事
        中江 實孝(印)
  民政議会議員
        大野 重隆(印)
    同   祷  清二(印)
上へ戻る