戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1950年12月18日 
(昭和25年)
会議名
第2回沖縄群島議会(定例会) 1950年12月18日
議事録
一九五〇年十二月十八日午前十時十分開会
◎議長(知花高直君) 沖縄議会事務室設置条例に基きまして、議長に於て事務室職員四名を任命しましたので御報告致します。
 只今四名を御紹介申上げます。書記長 新垣良正君、書記 翁長永昌君、書記 平政男君、速記士 仲本文子さん

◎議長(知花高直君) 議案撤回につきまして群島知事から議長宛に公文書が参っておりますので書記長をして、朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」朗読)
 沖総第百十二号
  一九五〇年十二月十六日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花 高直殿
  議会議案撤回について
 第一定例会招集の議会に提案の議案第八号特別商品税条例については軍政府に於て全琉中央税及地方税について全面的に検討中で近くその成案が示されるようで本条例を規定するのは暫時差し控える方がよいだらうと示唆を受けましたから撤回致します。
 右御取計い下さる様お願い致します。

◎議長(知花高直君) 本日の日程を報告致します。
  議事日程第四号
 第一 知事の政務報告に対する質問
 第二 沖縄群島公安委員選任同意について
 第三 一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
 第四 予算内支出をするため一時借入をなすことについて
 第五 群島組織法第三十九条に基いて意見書提出について
    (稲嶺盛昌議員提出)
 第六 群島組織法第三十九条に基く意見書提出について
    (仲里誠吉議員提出)

◎議長(知花高直君) 先日の常任委員の互選によりまして、各委員会の委員長の互選があったので委員長を報告致させます。
◎稲嶺盛昌君 常任委員会の委員長互選の結果を報告致します。
  総務財政委員長 具志頭得助
  経  済委員長 仲里 誠吉
  工  務委員長 石原 昌淳
  文教厚生委員長 玉城 泰一
  法務警察委員長 山城 興起

○本日の会議に付した事件
 日程第三 一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
 日程第四 予算内支出をするため一時借入をすることについて
 日程第二 沖縄群島公安委員選任同意について

◎議長(知花高直君) 開会致します。本日の出席十八名、欠席二名であります。
◎仲里誠吉君 本日の日程について要請します。追加更正予算に関してはあらかた各議員の研究もすんでいる様でありますが、今さき議長の発表によりますと、追加更正予算を三番目においてありますが、これを開会劈頭に上程してもらいたいと思います。それの研究が出来ているのに他の討議の題目を差挟むことは不適当と思います。
◎議長(知花高直君) 只今仲里議員から動議がありますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って日程を変更致しまして、日程第三 一九五一年度沖縄群島歳入歳出予算についてを先に審議することに致します。
◎普天間俊夫君 議事に入ります前に動議を提案しようと思っております。懸案でありました学校建築問題は去った十一月に議会でも、お互研究をして今町村長からも陳情が出ているから相呼応して陳情しようと、その準備を進めておりましたが今日では既に政府御当局並に町村長側の努力によってその曙光を見ているようでありますが、吾々議会としても、この会期中に吾々の意思のあるところ、又軍が民の要望を諒としている処置に対しまして、敬意を表するなり、感謝といいますか、陳情にまで及ばなくとも、そういった面で我々議員としても、この問題は是非焦眉の急務であるから計画通り着々進めていっていただきたいということを正式に文書なりでお互の意を披瀝したいと思いますので御同意を得たいと思います。
◎議長(知花高直君) 只今六番議員から日程の追加の動議がありますが御異議ありませんか。
  (「追加賛成」の声あり)
◎議長(知花高直君) それでは御異議がないと認めまして本日の日程に追加致します。
◎議長(知花高直君) 日程第三 一九五一年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算についてを議題と致します。
◎祖根宗春君 予算の政治的な検討をはじめる前に予算に関連することについて、知事並に関係御当局の御説明を伺いたいと思います。
 先ずこの予算は議会の議決によって直ちに施行に移るものか、或は又議会で一応議決したものを更に軍の認可又は了解を要するものであるかどうか、即ちこの予算に関する議会と軍との関係について御伺い致したいのであります。そして若しこの通過した予算が軍に了解なり或は認可を得るものとすれば、議会で可決したものが後になって軍の認可なり了解を得られない場合もあり得るかどうか、その辺も併せて御伺いしたいと思います。次に今度の平良知事によって新しい人員及び機構が生れましてそれによって、本庁職員は、三五〇人とされています。これは三五〇人の根拠はどういうところから来たのであるか、即ち群島組織法にそう書いてあるから、それをただ適用したのであるか、或は又新知事としてはこの三五〇人でやって行ける自信の下に、これだけに釘づけしたのか、或は将来増える見込であるか、減る見込であるか、その辺も新年度予算との関係もありますのでお伺いしたいと思います。
 それから人員整理についての規準でありますが、この職員は馘にし、この職員は残存した、或は又この人を新規に採用した、そういった人員整理に対する知事の御方針を一応御伺いしたいと思っております。その次に四月から九月に遡って五割増俸、こういうことが御当局の案の様に先般の新聞には出ていましたが今度の予算にはこういったものが、ない様に思われますが、その問題はどういう風に処理されるのであるかお伺いしたいと思います。それから次は退職金が二百五十万円編まれていますが、その支給の具体案について御意見を承りたいと思います。次に二・一倍増俸でもって官吏の生活が安定する見込であるか。只今為替レートの改革や、或は戦争の影響で非常に物価が日ましにあがって来ていますが、果してこれに対処するために二・一倍の増俸で官吏が落ついて生活してそして自分の職務に忠実に勤務し得るか、そういった見通しがあるかどうかという点もお伺いしたいと思います。それから次に復興費により従来支弁されておった工務部職員の人件費がこの予算に編まれておりませんが、これは先だっての御説明によると軍と折衝される、とこういうお話でありましたが既に平良知事が就任されて四十余日になっている今日その点が未だはっきりされないので、この予算には提案されてないと思いますが軍と折衝されることについて自信があるかどうか、若し軍が負担しないということであれば約一千万円の財源を見つけて民が負担しなければならない。非常に大きな金額に上りますが、これに対する見通しをお伺いしたいと思います。
  それから次に最近の新聞には復興予算が五千万円追加される、こういう意味の記事がありましたが、この点についてもどうなっているか一応お伺いしたいと思います。それから知事の政策の中にも御発表がありましたが市町村税法の見通しはどういう風になっているか、この点もこの際お伺いしたいと思います。それからこの税収入は相当の額になっておりますがこの税制の改革については知事から何らの御意見も承っておりませんが前知事時代に取決めになった税法に基いてこの予算が編まれている様でありますが、この税制、徴税の技術面の問題、色々税制改革については平良知事の施政方針並に選挙の際の公約にもありましたので御当局は税制の改革について用意をしているかどうか、という点もお伺いしたいと思います。
  それから次に食糧、薬品、油脂、農業資材、水産資材或は工業資材色々のものが漸次一ドル対百二十円の換算率に上げられつつあります。もう既に実施したのもあるし、又やがて上げられるであらうというものもありますが、だんだん百二十円のベースに切換えられることになれば相当物価も高くなるし、従って予算もそれに伴うて只今議決したものが次々と段々物価高のために再々改正しなければならない、或は賃銀も俸給もそれに伴わなければ生活難を来たす、こういう点が考えられる。更に貿易庁の取扱っている雑貨日用品の如きは一ドル、百六十八円の換算だと聞いておりますが、ドル換算による物価の昂騰、これに対する御当局の対策なり御意見を承りたいと思います。
  それからこの予算に編まれてあります企業免許の手数料でありますが、それの現在の決め方、或は一年宛の更新期間、或は手続が沖縄中の免許手続は全部民政府迄来なければ出来ない。そういう手続の問題それについて現状維持で行かれるか、改正する御用意があるか、その辺も承りたい。それから厚生関係の問題でありますが、この追加更正には相当大幅の値上り、食糧費の値上り、によって増収が見込まれていますがこの医療制度をこのまま存続するのか、或は早急に切替えるのか、或は自由開業はいつ頃から実施されるか、その辺の見通しを述べて頂きたい。
  その次は酒造税でありますが、酒造税は造石税であるのか或は消費税であるのか、徴収の方法は製造業者から取っているので吾々は生産税とも見られるのではないかと思っておりますが、その辺に対する御見解。それから酒造税免許手数料一万円となっておりますが、非常に免許手数料としては高いと思いますが、これに対する根拠、それから酒造税の脱税的な行為はないのかどうか、その辺の見通しを御願いしたいと思っております。
  次にサービス税の問題でありますが、御説明によるとこの制度が布かれて約一千万円に近い収入を見ておりますが、これはもっともっと上るべき性質のものではなかろうか、尚細部に亘って吟味した時に、そこに大幅な脱税的な問題が潜んでいないかどうか、そういった点も併せて御説明願いたいと思います。
  そしてもう一つ、この予算面に自立経済を平良知事が主張しておられますが、非常に大きな関心事でありますが、この自立経済を予算にどういうところを特に、自立経済の基盤となるべき予算化をどの方面に予算化しているか、という点も併せてお伺いしたいと思います。以上であります。
○知事(平良辰雄君) 一応私からお答して又詳細に亘っては各部長から御説明申上げたいと思います。第一にこの予算が議決された予算が軍の承認を新たに受けるかどうかの問題でありますが、これは群島組織法によって何らそういう規定はないのでありまして、正面から申しますと何ら軍の承認を受ける必要はないのでございます。然し乍ら軍は色々な問題について指導的立場にあって、こうしたがよかろう、ああしたがよかろうといふ程度のものはあります。それで場合によってはこの執行の場合に当ってそういう面の掣肘を受けるかも知れませんが大体に於て承認を受けてやるとか、或はこれを執行していかんとか強力に推して行く様なことは今のところない様に窺われている。それで今度の予算が決議されたならば無論我々はその通り執行したいと考えております。
  それから定員の問題でありますが、三百五十人を定員としたのはどういう根拠があるかといいますと、その根拠は軍が構想しましてよく分りませんけれども我々としてはこの三百五十人というものは果して適当であるか、どうかということは各部に亘って詳細に事務の分掌をやって見ました。やって見て結局は六百人もおった人間をこれ丈に切詰めたのでありますが、これで大体今迄の仕事はやって行けるという自信が出来まして三百五十人に決定したのであります。尚ほ人間を一方では削って一方では増やしているではないかということでありましたがこれはその通りであります。これは適当な人材を配置するために又新しい人も入れているのであります。
  それから四月からの増俸の問題でありますが、これは前にそういうことになっている様でありますが、これは財政上の都合を見て漸次俸給を払ってやるという様な話になっているそうであります。それで今度の予算にはそれはないのでありますが、これはどうしてもやるべきだと私は考えているのでありまして、それは或は財政の年度半ばに於ても財源を見つけて又追加予算でも出してやりたい、こういう風に今は考えているのであります。
  それから退職金の問題でありますが、これも具体的にどういう風にやるかと申しますと、要するに強制的に半強制的にこちらから整理された者に対しては全面的に三ケ月分の俸給を支払いたい、こういう考でおります。
  それから二・一倍の増俸といいますか、今度の予算は軍の布令第七号によりまして賃銀率が決っておりまして、それを従来財源がないからというので二・一倍にしたようでありますが、今度は布令第七号によってその賃銀をやりたい、然しながらその賃銀が妥当であるかどうかということは別の問題でありますが、これは或はそれ丈の増俸をしましても物価が騰貴すれば追つかないかも知れないと思います。然し一応は現在の賃銀はそういう風になっておりますので全般的に賃銀が改正されなければ何ともしようがないのでありますけれども然し実際に官吏の生活状態を見て又改正をお願いする機会があるかも知れぬと考えているのであります。
  それから復興費、工務部の予算の問題でありますが、就任以来四十日余になってまだ出来てないと云うお叱りであったがこれは致し方がありません。これは吾々としても非常に努力をして来たのでありますが、今軍としても財政の面については、しょっちゅう協議をしておりまして、工務部ばかりでなくその他の円予算の面についてもいろいろ研究している様でありまして何れこれが決定すると思うのであります。吾々としては先日も申し上げました通り到底年度半ばから一千万円の費用を民が負担することは出来ない。これはどんなに逆立ちしても出来ないから、これはどうしても、少くとも年度内はやって貰いたいという風に強く主張しているのでありまして、我々としてはこれが出来なければどうするかという様なことは考えておりません。
  背水の陣をとっているのであります。然しながら、これがどうなるか分りませんけれども大体に於てそれはそのまま認められるのではないかと私は考えているのであります。
  それから復興費の追加があったという様な新聞記事もあったのでありますが、これは正式に何も追加をして来た訳でありません。ただこれは軍の経済部長の考が新聞に出ておった様でありまして正式にこれだけは追加するという様でありまして正式にこれだけは追加すると云う様な指令は受けておりませんけれども、学校建築とかいろんな問題について我々は折衝中であります。大体の了解を得つつある現状でありまして、未だ決定的ではありません。学校の建築もその通りであります。
  次は市町村税の問題についても先日お話し申上げておきましたが、目下軍では中央税即ち琉球政府の税、これと地方の税をどういう風にして按配するかということを考究中のようであります。そういう関係で先程の特別商品税も撤回したのでありますが、これが第一に出ると云っております。然し乍ら、いつ出るかはっきりしませんが、それが出ませんとどういう方向に行くか分らんのでありますけれども大体に於ては現在の民政府の税はそのままに行く様に思うのであります。又、そうでなければならぬと思うのでありますが、これは我々としては先に税制を、大体の税制を考えて、むしろこの機会に早く出してこっちの意見として出しておいた方がよかったかも知れませんが、それがまだ出来ていないのを遺憾とするものであります。
  それから税収入の問題は、徴税面については我々の方でも従来徴税が余りうまく行っていなかったのぢゃないか或は調定の方法に現実の収入というものは申告だけでは分るものではない、それをどうしてこちらが調定するかということは非常に技術を要する問題でありまして、殊に戦前の様にすべての経済状態がうまくいっておれば別ですが今の処まだ登記所とかいった様なところも備わっていないために非常に徴税には困難を来たしている様でありますがこの点については徴税の技術面についてもう少し工風して、そして人間もふやして徹底的な公平な調定をしたいと考えております。
  それから食糧とか、薬品とか、油脂であるとかいった所謂輸入品に対する、ガリオア資金に対する換算、百二十円換算、これが重大なる問題であります。これは私共もそういう風に感じているのでありまして、為替レートが変更される場合もガリオア資金は別だ、これは全然救済費であるから、これは為替レートには関係ないということをも軍も表明しておったのでありますが、実際の経済状態に活すためにはどうしても一般と同じ様に行かなければならぬという方針であるようでありまして必ずしも全部が百二十円にはなっておりませんけれども物によっては五十円、肥料が一番安いと思いますが、それから百二十円のものもあると思います。それで我々としてはこれを急速に百二十円に換算するということは非常に困る、それでは到底ガリオア資金の本質にも悖る、どうしても一般住民の生活を保障するためにはそういう訳には行かんからというので漸を追うて、段々刻んでやってもらいたいということをしょっちゅう陳情しているのであります。特に薬品の現在二十四%の内奴(ママ)がすぐ百二十円にでもなりますというと大変な昂騰でありまして、その点については強く今陳情をしているところであります。
  貿易庁の商事資金の問題はこれは一般の商業資金で売買自由の取引でありますので、それが実際の面について取引が百二十円以下になるということになれば一般の物価ガリオア資金も亦それ以下になす根拠になると思うが、これが百二十円を突破してどんどん売れるということになれば、これもむつかしいと思います。
  然し商事資金は今これも百二十円にするとか或はそういう風にして統制して貰いたいということも我々は陳情して成可く百二十円なら百二十円に換算してもいいからそれに対して、諸掛経費をつけてそして全般的に農村にも行きわたる方法をとって貰いたいということを主張しているのであります。それから企業免許の問題、厚生関係の収入とか、医療制度の問題、酒造税が消費税であるか生産税であるか、或は免許手数料が高いとか、いった様な問題については部長から御説明申し上げさせたいと思います。
  それから自立経済が予算面に盛られていないというお話でありますが、自立経済というものは無論積極的に自立経済を樹てれば農業の施設をするとか、水産の施設をするとか或は工業面の施設に対してやるとか、予算を出して助成する方法もあるでありませう。然し乍らそれは大体に於てガリオア資金に依って色々の物資を入れて、それを皆に行きわたらせる、そのためには一般は資金がない、資金がないということになれば、結局復興金庫から借りるといった様な操作しかないのでありまして、現在の群島政府の予算をもってしては、行政面に携わる人間の給料だけでもやっと位の現状でありまして、果してこれが生活の保障をするためにはもっとこれが俸給も上げなければならないということになると非常に財政が困難になるのでありまして、そういう点は今後十分検討して財政税制の確立を期して、又按配しなければならない問題だと考えているのであります。その点特に行政庁の予算というものは大体人間の予算でありまして、殆ど学校の職員であるとか、或は警察の行政であるとか、医者の俸給を支払うといったものが多いのでありまして、勢い事業面については少いのは止むを得ないのでありまして、この点はまだまだ自分の力を以てすべての助成金を出すとかいった様なところには行っていないのでありまして、殊に農林、水産関係に於ては農林省から殆ど全額補助の形で今やって来ているのでありまして、その農林省の予算には無論積極的な施設も相当加わっているのであります。
  例えばダムを造るとか或は造林の実施とか或は水産の施設をやるとかいうことが農林省の予算に編まれているのであります。然しその編まれている予算が来年も再来年もあるかということは疑問であって、来年辺りから半減されるのではないかと思います。そういう面については又これから研究して自立経済の面にも触れて行きたいとこう考えているのであります。
○厚生部長(宮城普吉君) 自由開業の問題はまだ軍でもいつから始めるか、はっきりしたことは言っておりません。ただこの自由開業を前提に医師法とか薬品法とか、法規類を軍で起案している様であります。
  我々は又医師会の規則の案を作ったりして準備しております。そういう風な時期がまだはっきりしておりませんので従来のものを踏襲している形であります。医療費の問題でありますが、これはこの前も申し上げた通り一ドル五〇円から百二十円になったために八〇%を従来軍で負担しておりまして一ドル対五〇円の時には我々の出す金は十円ですんだのですがこれが百二十円になったためその二〇%二十四円になっております。そういう点から薬品とか、診療費、手術料をある程度上げた結果収入がふえているのであります。そのふえた収入は今は病院、診療所からの収入の増した分でありますがそれからもう一つ家畜検査の手数料も屠殺数がふえたために大分ふえております。
  極く僅かな問題でありますがその外にも理髪試験の手数料或は薬品代金、これは開業している産婆或は開業している獣医こういう方々に薬品を分けたその金であります。
  診療費の増収は四月から九月迄の収入は七百四十万六千円位になっております。十月から以降三月迄の我々の見込が一千六十一万余となっており、その合計が一千八百万円それに屠殺の手数料などが加わっているのであります。
○財政部長(宮里勝君) 酒造税についてお答え致します。酒造税は造石税であるか、消費税であるかという御質問であった様に記憶致しておりますが、租税体系から申しますれば消費税であります。
  最初税法制定当時民政府から提案したものは消費税でそれが軍の布令で制定された税法には造石税制度になっております。
  次に酒造税免許手数料の問題でありますが、現在一万円でありまして、今年の八月から、その前は千円であったのであります。軍の布令で酒造税の中に織込まれておるのでありまして要するに酒造税の方は他の企業免許とは違いまして、その数も百軒以内という風に限定されておりまして特定の人だけに免許をする、こういう恩典、法的の保護を受けておりますので他の企業免許よりか高く制定してある様に承っております。
  それからサービス税についてでありますが、徴収が少ない脱税がないかというお話でありますが、サービス税の性格上色々多岐に亘っておりますし、又各方面の業態を網羅しておりますので他の税法に比べて脱税のしやすい状態におかれている様であります。それで今我々としては職員の増加、その他領収書の発行とかあらゆる方法を講じましてその脱税のない様に努力致しております。
○石原昌淳君 私は先程の日程につきまして、公選後第一回ともいうべき今議会に於て一般質問を日程から除外されたことを非常に遺憾に思うのであります。自分もその決の場合決断が鈍って自分の意見を述べられないことを恥じる者であります。今後は日程の進め方については事前に打合せて、こういうことがない様にありたいものと思い、この点遺憾を表明します。
○議長(知花高直君) 石原議員は政務報告に対する議員の質問が今日の日程に入っていないというのですが、それはあなたの間違でせう、後廻しになったのです。政務報告に対する質問は順序を変更しただけです。
◎石原昌淳君 然し一般質問であれば先であらうと思うのです。然し変更であれば結構です。私は今日予算を検討いたしまして、当局が年度半ばであるところの成立早々人員の大縮減をやり、そして優遇すべきは優遇し能率の増進をはかる様な施策を講じた点及び復興費の予算を従来各部バラバラに取扱っていたものを一般予算に繰入れることを軍に折衝し今一部が繰入れられ、尚他の部の方も逐次繰込れることの折衝が出来ていること、この二点特に当局の御努力と慧眼に対し敬意を表するものであります。
  欲を申しますれば税制の根本的改革をこの機会にやってもらいたいということをも考えられるのでありますが、年度半ばでありますので、この点は困難かと思います。ということも了解しますし、来年度も必ずこの税制財政の根本的な再検討と、その確立を期してもらいたい。そのためには、中央、地方の税制の体系、都市対町村の均衡、農業、工業、商業、これらの産業その関連、社会政策、庶民的に負担は出来るだけこれを排し、富裕な階級に対し、多くの課税をする様な、社会政策的な考慮を払う可きであるという、そういう狙の下に今後税制の改革については官民各方面の知能を絞りまして十全の税制、財政の確立を計る様に期して貰いたいと思うのであります。尚現在の申告制による所得税、これはなんとか前年度の実績によるものに、戦前の税制の方向に軍との連絡をつけることが必要である。更に税制の確立については平衡交付金制度を織込む様にしたいと思うものであります。この点について、当局の御説明を承りたいと思います。
  次に所得税法で大分の歳入欠陥が見込まれておりますが、その大部分が軍労務関係による減収との御説明でありますが軍との連絡の関係不十分による所得の期間的ずれを起していると云うことは誠に遺憾であると思うものであります。この点は今後十分軍との連絡を密にされまして、その課税人員及び課税所得の捕捉に不十分な点がない様に期して貰いたい。そのためには、これはどうしても労務行政、労務管理を是非力強く軍に折衝されまして十分にこの軍労務関係の労務行政が人員の上にも又そういう課税対象の捕捉の意味からも財政的見地からも或は沖縄の経済の上で最大の輸出商品とも云う可き軍労務の質の向上を計る上から致しましても、或は青年層の軍労務の多くが青年層でありますのでその方の教養訓練の上からも是非軍労務の民移管と云うことについて、最善の努力を尽されまして財政各方面からも十分力が発揮出来る様に致したい。この点についても計画を承りたい。尚各列島、各群島から相当の人員が沖縄に今入っている様でありますが、これらの人々が所謂無籍者として或は課税の対象にもならず、或はその他色々な施策の上に支障を来しているということを聞いております。そういうことがない様に一応これらの人々に何とかの便法を与えて、どうせ入って来た者でありますから、これに籍を入れるか、そして財政的にもこれ等を課税の対象にする様な策を講じ、或は又法規面その他の方面に取締とかそう云う面にも十分監督が行届く様にした策を講じた方がよいと思うのであります。
  尚沖縄の現在の状態で最も大きな所得がある階層で然も課税の対象になっていない者として、パンパンと云いますか、これを仲だちする者、或はブローカー、都市に於ける貸地、貸家、これ等の貸地貸家の如きは、いつでも出来るのでありますが、なかなか捕捉困難な対象を何らかの工風をこらして、これらの課税対象を捕捉して財政方面からは財源の足しにしその他風紀の刷新、改善の方面、又衛生の方面にもなる様な方策を講じて戴きたいと思うのであります。次にサービス税について考えるものでありますが、その中の特に交通税、飲食税の如きはこれが中央税として取られる限りに於ては、次年度に於てはこれ等の庶民的なものは廃止さるべきだと思うのでありますが、現在すぐ考えられる事はこれらの地方から出て来る、地方から用件で出て来て、そばを食い腹の足しにするのに都市が附加税を課しているということは農村民の負担に於て都市の財源を足しにしているのであって、今直ちにこの附加税を阻止することが何とか工風する事が出来ますならば、これを阻止する策を講じて戴きたいと云う希望を持つ者であります。この点について、どういう性質のものであるか、これはあってはいけないものだと思うので、これに対する当局の御意見を承り度いと思います。
  (「討論ですか」の声あり)
 所見を述べて討論に移ることは質問の範囲に属すると思います。それから戦争未亡人或は戦争孤児、或は戦争その他による傷痍の人々、こういう人々に対する授産、職業補導のことについては予算を見ても、まだまだどうもこれだけの予算では不十分な点が感ぜられます。
  この点来年度に於て十分その充実を期して頂きたいと思うのであります。それから校舎建築の問題が相当に実現の方向に進んでいると云うことは喜ばしいことでありますが、金の予算は出来ても物が入って来ない限りはどうにもならん事でありますが、私日本に行きました場合にも又最近日本に行って帰って来た人々からの情報からしましても日本の杉材の輸入はマカアーサー司令部の資源局で押えられています為に随分困難な様に聞いています。この点について金の予算が了解がついた様でありますが、物が入って来る見通しについても、十分ついているものでしょうか、その点についてお伺い致します。
○知事(平良辰雄君) 最初に税の問題でありますが、税制の確立ということは我々も考えておりまして、又先日も申し上げた通りでありまして都市や農村の均衡の問題或は一般庶民に対する負担の軽減といった様な御意見に対しては同じ様な意見を持つものであります。
  それから平衡交付金の問題も御質問のようでありましたが、これもこの間お話しました様な税制の確立と関連して考えなければ出来ない問題でありますのでこれを具体的に平衡交付金そのものを考えるとかそういうことは今回答出来ないのでありますが、何れはそういう気持をもって税制を確立し、又その税制の捕捉によっては交付金も考える、そういう風にして行きたいと思います。
  それから労務者に対する課税でありますが、これは期間がずれたということも申し上げておきましたが、尚実態を捉むということも必要でありまして、これは軍労務に対して民がタッチしていないという問題もありますので、この点は労務行政についての考え方を我々としては案を作って軍に提出して行きたいと考えております。
  それから各群島からの人間が沢山入り込んでいるという様なお話でありましたが、これは実際どの位入っているか、はっきりつかめないのであります。今度施行されました国勢調査によりまして或る程度把握出来ると思います。そういった場合にはこれは単に沖縄だけの問題でなく各群島の大きな問題となって来るのでありませう。そういうことは国勢調査の結果を待って職業別のものも出ると思いますのでそれによって、各群島政府が協議して適当な措置を講じたい、こういう風に考えております。
  それから「パンパンガール」ブローカーであるとか課税の実態をつかみ難いものがある。それはそのとほりでありまして本当の申告だけでは課税は決して公平には行かないと思いますので、これはどういう風な方法でつかんで行くかということが研究の問題でありまして、それには結局人間が余計要るということになっております。十名殖せば百人分の税収入が入るということも考えられますので徴税技術面に於ては常時研究をして、そして課税の実態をつかんで不公平のない様にして行きたいと考えております。
  それから交通税、飲食税とかいったものは田舎から都市に集まった人が、そこで金を取られるという様なお話でありましたが、こういう問題も税制を総体的に考えて見まして、どういうものは中央税にすべきである、こういうものは地方税にすべきであるということは自ら出来ると思う。そういう点も十分考慮して税制を確立したいと思いまして、税制の問題については議会に於ても我々は相提携して研究を進めて行って、そして立派な税制を樹てていきたいとこう考えております。
  それから授産施設とか戦争未亡人とかいった者に対する施設が少ないということでありますが、これも御同感であります。現在の予算の状況がその程度になりまして、社会事業面は殆ど軍の費用で賄ってあれだけのことをやっている訳でありますが、この点は十分考慮して行くべき問題だとは考えているのであります。
  それから校舎建築の問題でありますが、木材の輸入問題については我々としても日本からでも、台湾からでも材木をもう少し輸入して貰わなければ困るという様なことを主張してだんだんそういう風な方向に進みつつあるのでありまして、二つの点は遠からず材木の輸入は公式に見ることが出来ると思うのであります。尚現在の学校々舎建築の資材がどうであるかということは工務部長から申上げます。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 校舎建築に対して金の予算は大体ついている様であるが、物の予定は如何かという御質問のようでありますが今長官からお答になりました様に将来の見通しなどにつきましては、その通りでありまして、現在計画しておりますものの予定は大体についております。と申しますのは今迄長官から百九棟二百十八教室が設置の計画をしているという御報告をしておいたのでありますが、これに対する物の予定はついているので、ただ而しここで木材資材がいくらか不足の感じが致しますので新聞紙上などでお気づきかと思うのでありますが、煉瓦の手持資材がありますので煉瓦などを入れて、この御報告申上げた教室の建築をやりたいと思っております。
○議長(知花高直君) 御諮り致します。只今は追加予算に対しての質疑であります。一般政務報告に対しては後刻やることになっていますので出来るだけそこをよくお含みの上混雑しない様にお願い致します。
◎仲里誠吉君 予算に関する質問をします。知事は去った施政方針の演説の内容にも経済面に於てこういうことを述べている。「農務、水産、耕地、畜産の人件費及び事業費が移管されて、農林省の助成の下に運営される」ということを謳っておられるけれども、予算の第何項目にこれらの人件費、事業費が計上されているか、それを承りたい。
  それから水産面に於て今後の対策として魚族の保護育成、魚巣、築磯等の施設から始って大体八項目に亘るいろんな事業が列挙されていますがこれが予算によって裏づけされていない様に思うがそれに対する御答弁を伺いたい。
  それから畜産面に於ては豚疫を予防するための予防接種を全島漏れなく実施する計画を予算にも計上してあるとはっきり言明しているが予算の第何款の第何項に計上されているか、はっきり伺いたい。
  それから矢張り施政方針の中に「スクラップ処理についての財政的処置を致したい」ということが言及されているがこの言葉の意味。このスクラップの財政的処置ということは極めて概念的であって、その意味の捕捉に苦んでいる。それに対する御説明を願いたい。尚税体系と税率については極めて不合理でこれは中小所得者と勤労階級の圧迫以外の何物でもない。具体的な例を取ると、個人所得税の場合その税率は一万円以下より一万円以上の差額に対しては一〇%の課税、それから一万円から二万円を超ゆるものに対しては差額の一万円に対して一〇%、それから二万円から三万円の分それも一万円に対しては一〇%であります。ところが三万円から五万円の分に対しては五%であります。従来一万円に対して一〇%を課税しておったから二万円に対しては当然二〇%を課税しなければならない筈のものが逆に二分の一の五%しか課税されていない。
  それからその次に五万円から十万円迄の五万円に対しても五%しか課税されていない。これは明かに中小所得階級、勤労階級の圧迫であり、高額所得者の保護、擁護にしかなっていないと思う。かかる税率を決められた理由、又それが今迄改正されなかった理由を承りたい。
  法人所得税であるがこれは一律に確か五%であったと思う。然るに法人所得の場合には超過所得に対しては当然この分に対して高額の所得税をかけるべきだと思う。日本の場合は当該事業年度の超過所得に対してはその百分の三十を乗じて算出した金額を超ゆる分に対して特殊税率を課しております。これは同じく法人所得の場合でも、いわゆる小規模の企業者と大規模の企業者との合理的な差別をつけたものでありこれが沖縄にはない。その理由を承りたい。建築税も一律に同率であるが、この建築税も個人の住宅と生産的なものと非生産的なもの、例えば生産事業--工場などの--と料理屋などの様な非生産的な建築に対しても同様な税率を課している。なぜその様な不合理な税率を温存しているか、その理由を承りたい。それからいろんな株式会社が出来て、有価証券の移転があると思うが、それに対して課税してない。その理由を伺いたい。それから奢侈品に対しては当然高額の税をかけるべきだと思うが--日本の物品税--そういったものに税をかけていない。それから相続税も決定して、社会政策的な意図を織込まなければならないと思うが、それがなされていない。それから貿易庁辺りに屯し、超過利潤を得ている中間商人、それに対しては当然矢張り差別を設けて高率の超過累進税をかけるべきだと思うが、それがなされていない理由。これは知事並に財政部長としては、成る程、税体系を踏襲したいという、お考であるかもしれないが、そういうお考であればそれは極めて安易な考え方であり、現在全住民の金詰りが不合理な税体系と税率からきていることがその一因であることは否むことが出来ないと思う。政権を取ったからにはここに思いを致して、税法の改正をしなければならんと思うが、それに対する知事並に財政部長の意見を承りたい。
○経済部長(呉我春信君) 経済部関係の予算についてお答え致したいと思う。群島組織法によりまして、経済部が新に出来たのでありますが、この経済部の運営と申しますか、従来農林省の直営事業であります食糧、調査、林業、この三つを除いた外は経済部の農務課、水産課、耕地課として、これは農林省の助成の下に運営されているのであります。その予算総額は大体一千七百万円程度を予定しています。その内訳を申しますと、農政局が百三十七万円程度、農事改良局が八百十六万円程度、それから水産関係が百六十万円程度、この予算は十分農林省と折衝致してありますが、まだ最後の段階に至っておりませんが次の議会に追加予算として計上する予定であります。大体以上で御了解を願います。
○厚生部長(宮城普吉君) 防疫の関係でありますが、これも今度の助成金の中に入っているのであります。次の議会に追加予算として計上します。
○知事(平良辰雄君) 一寸補足しておきますが農林省の予算は助成費として編まれておりますが、その編まれた内容については、防疫の問題、魚巣の問題もあるのであります。その点群島政府の予算にあるという意味ぢゃないのでありまして、これは然し何れは他のものと同様に、それがはっきり決まればやりたい、追加予算としたいと思うのでありますが、ただ問題は、そういう助成費の問題については或は軍当局の意向も聴かなければいかんし、或は農林省の意向も聴かなければなりませんので、必ずしもこちらで--向うから決ったものを編む以上は--変更することは出来ないという様な現状にあるのでありますけれども少くとも来年度予算としましては、自分達としては向うから出ぬ前に、ここでそういうものは決めて申請した方がいいんぢゃないかと、こういう風に考えておりますが、現在のところは既に農林省でも或は軍政府でも自分達で研究して、これだけはやるからという様な恰好になっております。その点は御了承を願っておきたいと考えているのであります。それからスクラップの問題、財政的な処理、このスクラップの問題については前の民政府の時代から、これは一応沖縄民政府にくれて貰いたい。そして沖縄の民政府が他に売っていきたい。こういう風な考を以て陳情をしたのでありますが、これは出来ないということになりまして、結局は近い中にスクラップの国際入札をすることになっている様であります。二月かにする様になっているようでありますが、しかしこちらとしてはスクラップを入札した場合には何とか財政的の援助の方法を考えて行きたい。例えばこの物に対しての課税が、何か出来る方法はありはしないか、物がこちらから出る場合に輸出税というものは出来ない様になっていますので、物に対する税をこちらから出す場合、その物に対して税をかける、出すから税をかけるというのではなくて、物に対して税をかけると、いった方法もありはせんかということを研究していますので、尚又或は現在は陸上だけのスクラップが問題になっているけれども、海面にある、水中にある船とかが相当ありますのでそういうものは何とかこちらの方から或る程度の資本を出しても会社を、官民合同の会社にするといった様なことも考えられるのぢゃあないかといったような考え方で何とかスクラップからでも財政的な援助が出来る方法を講じて行きたい、という程度の意味でありまして、これは従来から非常に問題がありましたために吾々も一応軍に折衝しましたけれども、なかなかこれはアメリカの会計の法規もあったりして、簡単に我々の言うことが出来ない様になりまして、そういう点に向って課税の面からでも行ければという様な考え方であります。ただ外国人に対しては課税が出来ないといった様なこともありますので成可く沖縄人にこれをさせて、そして課税をするといったことも考えているのであります。
○財政部長(宮里勝君) 今税体系について所得税につきまして税率が庶民階級に重くなっているというお話でありましたが、税率自体が超過累進税を採用致しておりますので、お話の様に上に軽く下に重い様には考えていないようであります。それから法人税につきましては超過所得を廃止した理由といいますか、あの制度は動もすれば小資本家を圧迫する様な制度になっていますので現在日本に於てもあの所得税は廃止になっている実情でありますので、現在法人の生長期間に於きましてはああいう制度は撤回した方がいいんぢゃないかと考えております。
  それから建築税につきましては税率は五%一律でございまするが、住宅に対しては四万円の基礎控除を設け、住宅以外につきましては基礎控除なしに五%の税率でやっておりますが、これを色々な企業面に分類して課税するということは同じ業態に於てもその収益その他に差がありますのでそれを細分して課税するということはなかなか困難でありますので四万円の差別をつけておけばいいんぢゃないかとこういう風に考えております。
  それから有価証券の移転税につきましても課税するにしても件数が少いように思いますので大した税額にはならないと思います。
  商品税については目下考慮中であります。
  相続税につきましては現在土地所有権が確認されたとはいうもののまだ登記されておりませんしこれは将来の問題と考えているのであります。
◎稲嶺盛昌君 予算審議の議事進行上について動議を提出致します。この予算案は本議会の初日に於て我々は配布を受けて、そして金曜日には持ち帰ってしっかり研究する。土曜日に於て全体の合同研究会をする。そして当局に休会の中で色々質問も致しましたし、又今迄も大変有意義な御質問も出ましたし、もうこの予算に関する質問についてはこの位で打切って進行したら如何かと思います。
◎議長(知花高直君) 只今の動議をお諮り致します。動議に御異議ありませんか。
  (「異議あり」「異議なし」の声あり)
◎議長(知花高直君) 採決致します。可とする人は挙手を願います。
  (「挙手者多数」)
◎議長(知花高直君) 多数と認めまして動議成立致しました。これでもって予算案は質疑を終ることに致します。
  (「審議終了は認めますが反対の理由を述べさせてもらいたい」と呼ぶ者あり)
◎新里銀三君 歳入の部から申上げておきます。申告税が相当増加になっている様でありますが、ところが徴税が至って不振であるということを新聞は縷々報じて或は強制的に徴収しなければいけないという様なことを聞かされております。何故申告税が強制的に徴収しなければいけないかということは、大体申告税は本人の申告を税務署が無視しているからでないかと思うのであります。一体本人が申告して後税務署はなかなか是認しない。そして否認致します。
  そして自分で認定課税をしているのが今日であります。そのために納税者を非常にひねくらせまして、そして実態を見てもらいたいといったならば、そういう暇はない、君の商売はこうだから、こうぢゃないかという様に年寄や無智な者がいった場合非常に頭から押えてその申告を全然無視している様な状態でありますので、こういう事情が滞納処分という大きな結果となるのでありますから、こういう点をよく指導してもらって、税務署の人々に納税者の立場に立ってその申告をある程度信じて若し明かに差異があり疑問があれば徹底的に調査し適正に課税してもらって、そして納税思想の普及をはかっていただきたいと思います。
  次に酒税の減収は業者が少くなったのかどうか分りませんが、以前は酒を一ケ月八石造っても造らなくても二万四千円の課税をやっておった。そのために二石造っても五石造っても八石の税を払っていた。然も十五石の場合は超過の七石に対して課税するという、これは脱税の奨励であると思います。業者は少い時に於ける一定の基準量を納めます。多く造ったら多く納めなさいということは一面脱税を裏から暗示した結果になると思うのでありまして、これは実態に課税してもらって、そしてもっと脱税の方法を防止するには封緘をしてもらいたい。酒を自由に造らせてそれによって課税することは申告税とよく似ておりますが以前から酒税はそうでないかと思います。厳密に封緘致しまして脱税防止に努めたならばこの酒税の減収がないと思うものであります。
  サービス税につきましては、先程五番議員さんからお話がありました通り通行税や、飲食税に附加税をつけるのは一部町村でありますからこれを政府の命によりまして沖縄全市町村が同一歩調をもって税制を確立さして行く様に一つ御方針を樹てて貰いたいと思うのであります。何故に一部市町村に限って附加税を課して一般的には課させないか、これは要するに政府が中央、地方税に対する一貫せる方針がないから区々のサービス税が取られ自から脱税行為を発生するのであります。
  尚一面サービス税の中で廃止して貰いたいということを希望するものに一般的な散髪屋のサービス税、風呂屋のサービス税であります。これは衛生的見地からしても是非必要欠くべからざる要件でありまするのでこれを撤廃してもらいたいと希望するものであります。
  それから織物税でありますが、知事の政策の中にも基本産業の育成、中小工業者の保護とあります。わが沖縄は終戦後織物の自給自足迄には至っておりません。こういう織物□自らでも奨励し、補助金を出して□奨励し、南風原の喜屋武本部、久米島の紬、国頭のバサーをどんどん奨励して移入しないで沖縄で出来る織物を保護奨励すべきであってこれに対する課税はまだ早いと思います。
  次に特別税原案削除であります。これは軍が暫く見合せと申しましても、知事は思いきってこういう様な贅沢品には徹底的に課税致しましてそして冗費を省くことによって沖縄の自立経済が出発することが出来ると思うのであります。
  先程申上げたサービス税の中の一般大衆皆に必要なものの税を□□こういう特別税は知事の進言に□□て意見を闘わしても撤廃していただきたいと思う。
  税外収入の中の通信課の減収でありますが、郵便料も電報料金も非常に増額になっております。そして電話の数も非常に多くなっていますがこれが減収した理由を承りたい。それから厚生部の収入も先の知事の施政方針に対する質問に於て申上げましたが、こういう様な一般の医療設備につきましては出来るだけ一杯一杯の人件費、薬品の予算によって増収を図らないようにして貰いたいと希望するものであります。
  それから没収品の売上代、四十七万七千七百四十円とありますがこれは余りにも過少評価されているのではないかと思うのであります。
  最近密航船が頻繁になりまして各地区に於て没収船、没収品が相当あるやに聞いております。これが実際に調査してこの金額になっているのか、或は単に見積でこの金額を計上したものであるか、これらはもっと数百万円になるのではないかと思うのであります。
  次に企業免許の問題、企業免許の事務所は何故に特別会計にしてあるか。これを一般会計においてこの収入は一般会計に織込んで行くべきである。同じ政府が事業をするに於て特別会計を設けている、その理由がはっきりしないのです。
  尚この事務の一元化についてでありますが一つの事業をするのに三つの部門を通って行ったり、或は二つの部門を通って行ったり、或は直接企業免許事務所に行って見たりするという様に多岐に亘っているので、これが一元化をはかって頂きたい。そしてこれは特別会計でなくて一般会計として計上した方がいいと思います。
  次は第六項第一目の罰科金でありますがこれは六十五万九千百二十七円減少しておりますが、然し警察部の項に入ったということでありますが警察部の罰金科金にはそれは含まれておりません。
  それから没収品売却金が五十九万一千五百円減収しておりますが、これは裁判所のものでありますが警察部の方に行ったといっていましたが警察の項目には四十七万円しかありませんのでこれも数字的には相当の差異があります。
  第七項第一目の船舶手数料、これは第二款第四項第四目の船舶手数料に於きまして相当の差額がありますが、その辺はどうして同じ船舶手数料でありながら両方の款項目に別々になっているが、これもはっきりしないところがあると思います。
  支出の面でありますが、人員整理に伴いまして必然的に人件費の節約は認められますが各部門毎の接待費が区々として片手落であると思われる。志喜屋知事時代の接待費が知事室十五万円計上されておったが平良知事は十一月に就任して来年三月迄の五ケ月分で十五万円に更に九万円計二十四万円を計上し、従来なかったところの各部門毎に二万円宛を計上して合計四十万円となっております。前知事の予算の約三倍に当る--五ケ月間で--この二十五万円を増加されている様ですが一体如何なる理由で急に増加しておりますか、又事実必要であるかどうか、その質問についてお伺い致したいと思います。
  然し各部門には二万円の接待費がありますが、一方に於ては厚生部には四万円計上してありながら、警察部には一銭もありません。この差別的取扱は如何な理由でありませうか。
  それから第二十三款の旅費は一括してありますが、百万円計上したことになっております。
  ところが二十六款に保健所の特別会計に旅費を計上してありますがこれは如何なる理由であるか。旅費の減額は果して職員が十二分に能率を発揮し得るかどうか疑問であるが、政府本庁は旅費をとっているか知れませんが話に聞くと初等学校、中等学校、高等学校の職員が公職の為に出張し或は講習会、会議などに出る時は実際旅費を支給されていないと聞かされていますがこういうところはその節約した旅費をこういうところにも十二分に与えてもらって公平に公務に支障のない様にさせるのが建前ではないかと思います。相当自腹をきって会議のために出張する人が相当あるやに聞いております。
  尚雑給は各部に必要と思いますが特に財政部のみに百九十四万九千二十五円計上してありますがこういう風に一ケ所においた理由を伺いたい。例えば文教部にもこういう雑給が若し割愛できると致しましたならば、世話人の給料とか、幼稚園の保姆の給料でも恩典に浴せしめることが出来ると思う。
  尚治安裁判所の如きは世話人がいないために判事検事は内外の清潔整頓も自分でやる。然し手が廻りませんので大分不潔であります。そこのところにも裁判所の雑給としておいて内外ともに庁舎の清潔整頓に当らせた方が官庁としての威厳を保つ上からも必要ではないか。
  薪炭費、これは各部門に共通のものであるが一部門にのみ計上されている。その部が提出していないから或は使用しないからということであると思うがこれは同一にやるべきではないかと思うのであります。
  尚食糧費が刑務所、財政部には相当増額になっています。刑務所が二十八万三千七百七十九円、財政部が七万八千九百円に増額になっていますこの食糧費は来年の四月から増額するということを聞いておりますが何故増額しない前にこれだけ増額するか、その理由を伺いたい。衣料費の如きも十二万八千三百五十円増額になっています、その理由は。
  尚備品の問題についても裁判所へ行って見たら書籍棚、机、腰掛がなくて公判廷に休憩室から持って行ったりして非常に不自由であります。
  この予算から見ると非常に少い。節約はある程度いいかも知れませんがこういう必要欠くべからざるところの然も官庁としてなければならないところの机、腰掛、書籍棚の如きは是非整備してもらって官庁の威厳という点からいってもこれらの備品を置いたらどうかと思う。
  尚旅費の問題でありますが旅費が百万円計上になっておりますが、地区教育委員会は旅費を計上しているのか地区教育委員会は機構は出来ているがその機構を運営するところの大事な旅費がないために非常にその機能が鈍っているように聞いております。そういう節約した旅費をこういう教育委員会の方に廻してもらって十二分に折角つくったところの機構を十二分に活躍させて復興のために活躍して貰いたい、こう思うのであります。
○宮城久栄君 議長は先刻質問は打切るかどうかといって、打切ることに可決したのですが今から矢張り質問をしたのですか。
○議長(知花高直君) 新里議員は意見を述べているのです。新里議員としてはこうしたいという主張をしているのです。
○宮城久栄君 いやおたずねをしている質問が大分含んでおります。
○議長(知花高直君) 大体に於て自分は意見を述べていると思っている。だから質問と意見はごったまぜにしない様にと注意しております。
◎仲里誠吉君 予算の審議は全住民の来るべき五ケ月間の経済生活、精神生活、すべての生活を支配するものであり、その審議は如何に長時間をかけて審議しても十分であると思われない。それを短時間で以て片づけようとする与党側の態度については人民の名に於て遺憾の意を表します。
  それから財政部長は個人所得税、法人所得税これらのすべては高額所得者に有利にならない、差別待遇にならないというその根拠の解釈に苦しむものである。というのは個人所得の場合、先程も申上げた通り一万円以上二万円迄の一万円の差額に対しては十%の課税であるが、三万円以上五万円迄の二万円の差額に対しては五%である。
  ああいう事が如何なる根拠に基いて小所得者に対する差別待遇でないというのであるか理解に苦しむところであります。
  超過所得税は日本に於ては廃止されていると言うことであったが私の知る限りではこれを聞かない。又よしんば日本においては超過所得税は廃止されているとしても沖縄で援用されてはならないという理屈にはならないと思う。
  法人の中には貿易庁辺りから色々な不正な手段で品物を買入れて、しかも独占的な価格で以て売りつけて消費者、勤労階級、就中農村に於ける消費者を苦しめている。それに対して高率の課税をするのは当然である。
  およそ財政には色々の意味があるがその中には社会政策的なものが織込まなければならない。と言うのはこれ即ち国民所得を強制的に吸上げるからには更に又それが一般人民に対して還元する様にしなければならない筈である。それを最初からそういった意図を持たないことは極めて遺憾だと思う。
  それから建築税もこれを細分することは煩に堪えないというておられるが、これは個人住宅は事業住宅、事業住宅を生産事業用と非生産事業用に大まかに分けるだけであって、すべての住宅を一つ一つ分類するという訳ではない筈であります。これに対して財政部長が先程のように単に事務的に繁雑になるから出来ないと云う、これは社会政策的な立場からも極めて遺憾であります。遺憾の意を表明しておきます。
◎平良幸市君 金曜、土曜日に亘って当局と質疑応答を交して研究致しました結果私は合理的にこの予算に賛意を表するものであります。
  ただ当局に希望を申上げておきたいと思っております。
  歳入面に関しましては、前民政府時代も我々が念願しておったところの軍政府補助金を民予算の表面に現した御努力に対し感謝の意を表し、ひきつづき知事は他の部門についても軍と折衝を重ねる御意向を漏らしておられますが是非努力して頂きたいと希望するものであります。
  第一款第九項は早目にこれは手をつけて取ってもらわんと困ると思いますので税務署を督励されてこの面は御配慮下さる様に希望します。
  歳出面に於ては、これは近く新年度予算を準備なさると思いますので予算計上は軍と折衝の上尚統一して貰いたい。理由は例えば先程の新里議員から旅費の件がありましたが、これは形式が不統一であるがために同じ廨であるところの更(厚カ)生園に文教部の廨には旅費がないといったり附帯事業に関しましては第七款の財政部の接待費は附帯事業の七目になっておりますが第十一款の文教部では四項になっております。項になったり目になったりしております。
  それから工務部の建築費と警察部の建築資材費、これは二日に亘る質疑応答によって理解はいたしましたもののこういった名称も軍と折衝の上新年度からは統一して頂きたいと思うのであります。
  第一款の知事俸給は群島組織法によって規定されたものでありまするが故に沖縄のこの群島議会に於ては遺憾(ママ)とも仕方がないこととは思いますが、近く四群島政府の知事の協議会があるかに聞いております。
  こういった場合に知事の俸給の引上げ方については御配慮をお願いしてやまないのであります。
  尚新里議員は旅費が減額になっているというお説でありましたが百万円増額になっているのであります。
  各部の接待費が多いとの御意見もありましたが私はむしろ少な過ぎると思うのであります。
  尚第二十五款給与引上金というのは第一款の俸給の中にぶち込んで然るべきではなかったかと思うのであります。
  以上希望を申上げまして原案賛成であります。
◎稲嶺盛昌君 意見を申上げます。
  最初に歳出の面でございまするが、財源が乏しくて油脂とか燃料その他物価の値上りになって財源の面に於て非常に苦しい立場でありながら四月以来懸案になっておった増俸の問題を処理されるし、その他保健所とか色々の積極的にやるべく決められた新規の事業を予算化して頂いた御努力に対しては心から感謝を申上げて歳出の面、全面的に賛意を表するものであります。
  只今の接待費の問題であっても八番議員と同意見であります。軍政治下に於きまして只今群島政府に於きましては知事並に各部に於きまして軍との折衝に当っては一外交官の勤めをしなくては群島政府の機能を十分に発揮することが出来ないと思うのであります。私はあの接待費の計上はこれからしっかりやるぞという様な、むしろ決然と積極的に政府の機能を発揮する意気の現れであると思いまして、平良議員と同意見でむしろ少い感をするのであります。そういう意味で先程申上げた歳出予算に全面的に賛意を表するものであります。
  歳入の面でありますが、これは新里議員、仲里議員からの御意見もあった通りこの面遺憾な点がある様に感じます。ところが新生発足以来僅々一ケ月そこそこに於きまして、殊に今日の社会情勢から考えまして、色々の税制面が一朝一夕に確立することが出来なくてこういうような状態に於てはやむを得ないものだと、殊に今年度の会計年度が終末に差し迫っている今日、そして政府の行政運営は一刻も猶予することが出来ない、こういう風な立場に於きまして遺憾の点は縷々ありますけれどもこの歳入面に於きましても今期追加予算に対しては賛意を表するものであります。
  それにつきまして追っつけすぐに又新年度の予算の案の計画に手をつけられることと思いますので、今年度のこの予算から見たその方面に対する希望を申述べて見たいと思っております。只今申し上げようと致します面に於きましては仲里議員から述べられたご気持も幾分あるのであります。私が思いますのは勤労所得税であります。勿論税の中心は所得税でなければならないと思うのでありますがあの勤労所得税がこの予算面から見ますると全税額の三二%になっております。軍作業を対象とする四ケ月ずれて行った二千万円余のあの予算をこれにぶち込んで見た時に今年度の勤労所得税が正に全税額の五〇%になっております。昭和十三年と比較致しまして、物価と俸給賃銀の指数を対照して見まするに、昭和十三年度と比較して物価は百十二倍に値上りをするし、俸給賃銀は僅か二十一倍とのことであります。こういう風なことをいわれております。そういう風な面から考えましても俸給取りや賃銀労働者の生活が至って苦しい状態にあるということは、これは周知の事実であります。
  尚前労務課長の色々の研究によって度々我々の生活費の検討発表があった訳でありましてあの点に対しては一般もよく分っておられるその実際の生活費から照らしましても、この源泉課税の対象になっている階級の生活が非常に苦しい状態にあるということは認められる訳であります。
  尚この源泉課税--勤労所得税の対象人員が民側が三万六千人余り軍側が五万二千人余合せて八万人余になっております。全可働者を二十万人とすればその約三分の一強であります。課税の対象になっている人員にしても全可働者の三分の一強しかいない。しかも俸給賃銀から見ると今申上げる様に非常に苦しい。かかる階級に対して全税額の半分を課税をするということは、何といっても均衡がとれた税とは思われないのであります。
  こういう意味に於ては仲里議員の意見に賛意を表するものであり、これは何とかして次年度の面に於て考慮をしていただきたい。私は申告所得税や法人税この方面に税源が潜んでいるのではないか今迄社会状態から考えましてこの方面の調査というのが課税が至って困難なことだらうとは思いますが、この方面に是非御努力をして頂きまして、只今のこの源泉課税の対象の方面に対しては何とか是正方を新予算にはお願いしたいと思います。
  尚税外収入に於きましても、今迄のところ一部分に於ては非常に応急的な非常措置をとってやった様な点が窺われるのであります。これにつきましても既に知事に於ては御計画通り税外収入を目指して色々の公営事業を計画しておりますが、是非この方面は実現下さいまして、税外収入の方面にも是正方をお願いしたいのであります。
  建築税につきましても、先程の議員からの御意見もありましたが、私は今の規格住宅の中に於ては不安で夜も安眠出来ないというような状態であるので、こういう風なところには出来るだけ自力で出来るものは暴風雨にあっても安心して住める様な家に早く切換えさして行く、むしろこの方面は奨励して行くべきであると思い、これに対しては仲里議員の御意見に賛意を表するものであります。
  それから散髪税の如きも又は飲食税でございますが飲食税の対象は我々の見るところでは都市の飲食店が対象の中心になっていると思いますがあの毎日毎日戦前人出の多いことを波上祭のようであるといっていたが那覇の市場は戦前の波上祭以上の人出であります。これは皆地方から集まった人々でありまして、これらの人々が弁当代りに食べるような飲食店に行くのが多いだろうと思います。こういうような大衆的な税方面、散髪税の方面も是正方をお願いしたいことはこれは新里議員の御意見に賛意を表するものであります。そういう風な方面に、是非御苦労ではありますが御努力を頂いて新しい予算には是正方をお願いして今期の予算案につきましては歳入歳出全面的に賛意を表するものであります。
◎宮城久栄君 予算の内容については既に数名の議員から発表されましたから重複を避けます。短時日の間にこの追加更正をでっち上げられた知事はじめ財政当局に敬意を表してそして原案に賛成をするものでありますが、これの執行について一つ希望を申上げます。
  今日二・一倍の待遇の向上を計って貰ったことは六千三百人の民政府職員が非常に満足して感謝をしているであろうと思うのでありますが、一つ未解決の問題は民政府時代から俸給の遅延であります。六千三百人、その家族三万人が俸給がいつ渡るか予定がつかないので生活に不安を与えて、精神的に不愉快な悲惨事が多数続出しているのであります。その例は沢山ありますが、簡単に例を申上げますと学校の先生が村長に、俸給がいつも渡らんから何とかしてくれんかということを度々いって来るんだが村長は一定の予算でそういう予算がないから涙を払ってお断りしている。又警察官が金のある人から何日迄といって借りて生活をしているのだが期限がきても俸給が来ないので延滞をして、警察官自身から詐欺行為をしているということを告白しているのであります。それで私はこういう俸給の不渡は精神面に物質面に大きな脅威を与え従って職務の効率を阻害しているのが非常に莫大なものであると思うのであります。
  よって群島政府に於ては是非俸給日を制定して安心して職務に従事する俸給日が日本時代には一番待ち兼ねたものであります。そのために一生懸命職務にも働くし又借金の心配もなしで来たのでありますが今日は六千三百人の人が職務に熱心するよりは、如何にして家族を養って行くかという生活費の苦面に苦心しております。
  次に議案にも一時借入がありますが、無論税務当局が二十三名も増員して徴税に努力をして下さるということは非常に結構な案だと思います。又そうしてもいかん時には議会に諮り一時借入をしてもらって、俸給日を設置して安心して仕事をし沖縄の復興に寄与せしめるように、これは重大であってこれを希望するものであります。
○知事(平良辰雄君) 色々御意見も拝聴しまして又御質問的なものがありましたので主なるものについて私からも意見を申上げます。
  税の問題については色々方法があるようであります。それは大体に於て私も意見を同じくするものであります。けれども税の問題は年度半ばからなおすことは非常に困難でありますし又杜撰な税制を布いても後で困るのでありましてこれは議会でも十分練って貰って、群島政府でも十分練って貰うというような意味で次に延ばして行きたいという意味に考えたのでこの点は何遍も繰返し申しました通り御了承を願って今後の努力に俟ちたいと思うのであります。
  それから予算の全般的な形式についてもお話があったが、我々は日本時代の予算に慣れておりますので、アメリカ式の予算は私共も不得手でありますけれども、これは軍政府とのいろんな予算の関係もありますのでその形式がある程度我々は不満足な点があるのでありますけれども、これも我々の常識的な予算に直して行きたいと考えております。
  尚又色々あっちにあったり、こっちにあったりしているものもあるようでありますが、これも漸を追うて直して行きたいと考えているのであります。それから企業免許の問題、実は私共はこれも特別会計にせずに全部入れるべきであると考えているのであります。特別に軍から免許に対する指令が前に出ておりますので、そういう関係もあって一応除外してありますけれども、これも一般予算に繰入れたいという話をして段々今了解を得つつあるのでありまして、場合によっては来月の議会に諮ってもいいんぢゃないかと思います。了解次第そういう風にします。
  その他接待費の問題がありますが、これは成程どういうものに使うかということは疑問でありませうがむろん接待費であって主として料理屋の経費であることは御承知願いたいと思います。最近自由貿易が活溌に促進されまして、日本からも台湾からもどんどん人も入って来るでありませう。そういう場合には矢張外交的なこともやらなければなりませんし又軍との折衝に於ても無論ある程度やらなければいかんと考えられますので、その点は何も自分達が飲んだり食ったりするということではありませんのでもっぱら外交的なものに使う筈であります。御了承を願いたいと思います。
  尚申上げました通り今度の予算編成については時日が切迫して焦り気持もありまして遺憾の点は自分も考えているのでありますがそういうものは今日皆さんからの御意見も拝聴しましたし、又来月の議会に於ても色々御意見があれば又追加しておききしたい。そして追加予算も亦必ずしも来年の四月迄という意味でもありませんから、そういう意味で御審議を願って行きたいと思うのであります。
◎仲里誠吉君 一九五一年度更正予算に対しては歳入歳出面ともに全般的に反対であり再編成、再上程を要求します。
  その理由、歳入面に於ては先ず第一にこれは一昨日の研究会議に於ても申上げたことであるが、国民所得の推計がない。従って国民所得推計がないから、国民消費資金がいくら従って労働力の再生産、生活水準が上ったか下ったか、それの推計が出来ない。国民産業資金の大まかな額が分らぬ。それは各種の拡大再生産のためにどれだけ使わせるか、使わしてやらなければならないか、国民更生資金、文化生活をいくら高めてやらなければならないか、これが分らない。従って又税率も適正な決定が出来ないだろう。従って“だろう”税に終っている。それから稲嶺議員のいわれておった勤労階級と事業所得階級の負担分の比較でありますが、稲嶺議員は勤労階級の負担額を五〇%といわれているがそれは如何なる計算基礎に基いてそういうものが出たか分らないが、これの負担の比較は名目上の比較に分れなければならないと思う。註のところに過年度分の説明があります。従って実質的には過年度を差引かなければ分らない。名目上の勤労階級負担分を見て見ると勤労所得税五千六百万円、酒税三千二百万円、娯楽税八百二十万円、サービス税二千百万円、織物税二万円、計一億一千七百万円で、同じく名目の面に於ける申告所得階級の負担分は申告所得税の四千三百万円、法人税七百万円、建築税二百万円、前年度家屋耕地船舶税六十五万円、計五千三百万円で、前年の比率を見ると勤労階級負担が六八・一%、申告所得階級負担分が三一・九%であり、更に過年度分を引いて本年度だけの源泉課税階級、申告所得階級の負担分を比較すると、勤労所得税が五千六百万円、酒税二千九百万円、娯楽税八百十九万円、サービス税二千百万円、織物税二万円、計一億一千四百二十万円で、申告税は二千三百万円、法人税七百六十六万円、建築税二百七十五万円、計三千四百万円で、その比率は更に上廻って勤労階級の負担は実に七七%であり、事業階級の負担する分が二三%である。然も申告所得階級の中には水産業、農業所得者が含まれておりこれを入れれば更にこの率は上廻るのである。
  稲嶺議員がいわれた食糧が値上りしている、食糧が値上りすればどういうことになるかというと実際税の負担をするのは勤労所得階級事業所得階級であるが食糧は自分の生命の再生産のためにどうしても必要であるからこれを差引いた比率、更に散髪、風呂賃、バス賃、電灯料、燃料などの値上りによる実質賃銀の低下を考慮すれば比率は更に加重します。それから現在民政府当局或は琉球列島一円を行政対象とする行政庁に於ける価格政策や販売政策が不備のために擬似インフレを生じているがそのために勤労者の所得は総体的に極めて減少している。それからいってもこれは負担である。
  それから間接税と直接税が全税額に占める比率を見ると間接税は大衆課税、酒税、娯楽税、サービス税等、直接税は勤労所得税、申告税、法人税、織物税等であるがこれの比率を見ると直接税は五二・七%、間接税は実に四七・三%であります。その点は英米のようなところでは八対二又は七対三であります。尤も金持である英米両国と比較することは無理ではあるが然しそれにしても直接税五二・七%間接税四七・三%というのは殆ど独裁政下に於ける税体系を思わせるものであります。然しながら税体系は一般大衆が負担するものであるが間接税の四七・三%を負担さしておきながらこの一般大衆へ還元するものは殆ど零である。尚間接税の中で娯楽税、サービス税、これの少なからざる部分が脱税或は捕捉が不十分と思う。これは去った新聞に於て行政当局がバス事業の公営を発表するとバス事業者は現在の納税額を三倍にふやしてもいいから勘弁してくれといっているそうであるがこれは当局の法人税の調定が不十分でありそれを三分の一に見ている、或はサービス税が三分の一しか納まっていないことを証拠立てるものである。その点からいっても歳入面の計算が極めて不十分である。
  それから税制の立場からの批判でありますがこれは先程申上げたが特にこの税率は勤労階級として重要な問題であるので、三度繰返して申上げます。それは個人所得は先程言った通り一万円から三万円迄は一万円に対して一〇%の税率、三万円から五万円に至っては二万円に対して五%、五万円から十万円迄の五万円に対してはこれの二・五倍の税額をかけるべきであるのが五%である。それから法人所得の超過税をかけていない。建築税はこれも先程申上げた通りそれから物品税、それは先程新里議員からいわれた奢侈税--日本でやっている物品税、これがない。又先程財政部長は有価証券はいうに足らないといっておられるけれどもこれは要するに資本課税である。即ち勤労階級に対する所得税が高率であり、間接税が多額であるということから考えて見れば良心的にいっても有価証券の移転から如何に少額であっても人民大衆に対する責任からいってもB円でも二百円でも課税すべきであろうと思う。
  それから社会政策の立場からであるが、これは先程申上げた様に、これは貿易庁を中心として屯している中間商人の超過利潤に対しては当然高率の課税をすべきであるが、それがない。それは年度の中間であるからといってこれの算定が出来ないということはないと思います。
  次に申告所得階級の捕捉の程度であるが、これは不十分であると思う。その理由は、これは当局の説明によると課税所得額が一億六千七百万円課税額二千五百万円、課税人員三千三百四人、一人当り七千九百三十七円となっておりますが、これを貿易庁を中心とする超過利潤を占めている連中を考慮に入れればこの捕捉が少なきに失すると断じ得られると思う。
  それから次に歳出面からの検討であるが歳出面はこれは一括表があるからそれを御覧になっていただきたいと思います。
  支出の中の俸給、人件費が全額の七一・五%、その他が二九・五%であるが、この支出構成を更に検討して見れば、俸給生活者の家計へ直接還元して行くもの一億六千六百万円でこれは俸給、退職金などであります。
  民間の純所得となるもの、備品、医療、自動車使用料などの大部分、それから燃料費、接待費こういったものがありますがこれが千七百万円、それから民間業者を通じて軍へ還流するものは消耗品、これは若干は正確を欠いておりますが約六百七十万円、それから軍の代行機関にそのまま還流するもの五百三十万、直接軍に回収されるもの六百二十七万、計三千五百万円となって支出が増額になっておりますが、これからどういう結論が出るかというと、これは給料支給のための予算であって、これはやむを得ない点もあり先程いわれた通り恕すべき点もあります。然しながら人件費以外の二九・五%を検討して見ると実に約半数を占めるものは商工業者へ還流して行くのであって農民、漁民、勤労者の生産者へ還元する分は殆ど零である。然るに先程申上げた様に農民、漁民、労働者は全歳入額の四七%を負担している。四七%を負担しながら、農民漁民労働者に殆ど一銭の還流がないということは、非人民的な予算であり、非人民的な財政であるということを断定せざるを得ません。農連、水連を通じて高い資材代と高い手数料を払っているが、その反面からは何ら還元がないということ、それから金融面からの批判であるが、かくの如くして予算が認められれば強制徴収した財政資金は勿論金融機関に流れて行きます。ところが金融機関は儲かる、安全性の高い事業にしか融通しない。従って対象は大企業に限られている。その一面農民漁民労働者に対しては殆ど流れていない。中水金、信連組織によって資金を与えるといっているが実現されていない。これが大衆の重大な金詰りの原因になっている。更にこの歳出面を検討すれば、これは節約する部面がある。例えば退職金はこれも実額は確か、二百三十七、八万円であって、これは十七、八万円位から削減出来ると思うが接待費も検討すれば若干は削減出来るのぢゃないかと思う。営繕費も我々の見るところでは三十万円程度削減出来る。油脂燃料、これからも削減出来るのであるが一面人民的な支出がない。例えば教育面に於ける還流、それから失業対策或は授産施設、そういったものがない。従って結局人民の生活が窮迫するのであるが、これを補うためには地方財政が負担しなければならない、地方に対して強制寄附に仰がなければならぬが、その寄附に応ずるだけの能力は枯渇している。従って枯渇するという論理的な結論になると思う。
  従って歳入歳出面に於ける予算案の本質、税体系、税率からの批判、社会政策的な批判一つとして人民の現在の要望を満たすものはないと思います。そういう意味でこの予算には全面的に反対であり、又聞くところによれば来月も更正予算を出して次の議会に廻されるというのであるが、次の議会が若しくはそれ迄に、本年度内に於てこれを更正されて再提出されることを希望致します。それに対する反対理由として俸給が渡らないとか、退職金が渡らないということもあると思いますが既決予算からかなりの減額をされている。
  本庁俸給は一千五百四十七万から四百万円、廨庁俸給は既決一千五百万円から六百五十万円を差引いている。又教育俸給から見ると八十万円を差引いている。現在これを却下しても人件費は既決予算で十分に賄いそれから退職金も臨時に予備費から出すとか何らかのそういった応急策は講ぜられると思います。以上あらゆる角度から見て、この予算案は人民の欲望を充たすものではないと断定してこれの再編成再提出を要望致します。
○財政副部長(久場政彦君) 財政当局として今迄の仲里議員の反対意見は私等としても非常に今後の政策を樹てる上からも参考になり、税制の改革問題に対しても同意見であります。
  ところが現在一刻も猶予ならぬ行政執行の上に、今度の予算というものが結局これは現在迄の日本時代と違いまして、現在迄の沖縄の状態が軍政府治下にあって軍政府の命令によってやって来たのであります。そしてこれを改正する場合一応軍に申請して、軍の許可を得て税法の改革とかすべてがなされるのであります。改正そのものにつきましても非常に時日を要するのでありまして割に早く行って、一ケ月或はそれ以上の時日を要するのであります。
  それで今後の税制の確立に於て議会ですべての議案、税法案を確立した上で今後執行に移すことについては賛成でありますけれども、政府が成立してからたった一ケ月余りでありますので、追加予算の編成に際しても自から色々の希望を持っておっても一面行政を進行さして行かなければならないので、その執行方に当りましては前年度の分を参酌して限られた予算内に於て勘案して行くというやり方しか出来ないのであります。
  それで仲里議員の御意見は遺憾ながら時間的な面が無視されたような意見のように思います。更にその他についてでありますけれども歳出面に於て殆ど七〇%以上のものが人件費につかわれている。これは歳入面から申しまして知事から御説明がありました通りでありまして、その他の部分の費用というものが二九%、これも官庁行政を施行して行く上の必要な備品、消耗品なり運輸費なりの経費でありまして、それが農民に一銭も還らないといわれたがこれは一つの末梢的な捉え方でありまして消耗品は、これは商業組織からしか買えないものであって、漁民農民から買えるものでもありません。
  農業方面、経済方面の人件費を設けてその仕事をしてもらうための人件費は直接農民生産者の懐には入って行きませんけれども、そういう仕事をしてもらうことによって農村問題が解決し、生産面が解決されて行くのであれば、これは結局農民生産者に流れて行くということになるのではないかと思います。
  貿易庁の問題も税法がないからそれを追及して取ることが出来ない。施行する迄の期間的ずれがありますので私らとしては直接貿易庁の入札者を調べて追及しているのであります。
◎議長(知花高直君) 議案第六号を表決に付します。
 議案第六号の追加更正予算原案を可とする方の挙手をお願いします。
  (挙手多数)
◎議長(知花高直君) 多数と認めましたので可決致します。
 午前はこれで終りまして午后一時四十分再開致します。

  午后一時五十分開議
○議長(知花高直君) 開会します。出席全員であります。
◎議長(知花高直君) 先刻六番議員から校舎建築について動議があるとおっしゃいましたが御本人から取消したいということでありますから取消し致します。議長から午前に日程の順序をお知らせ致しましたが、五十一年度の追加更正予算が成立致しましたので日程の順序を変更して議案の提案から先にいたします。如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 異議なしと認め議案第七号を議題と致します。
  (書記長議案第七号朗読)

議案第七号
  予算内支出をするため一時借入をすることについて
一九五一年度沖縄群島政府予算内の支出をするため、左の方法により一時借入を致したいので、議決を得たく提案する。
 一九五〇年十二月十四日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄

 一、借入金額  一千万円以内
 一、借 入 先 琉球銀行本店
 一、利息の定率 日歩一銭五厘
 一、借入の期日 一九五〇年十二月中
 一、償還の期日 一九五一年三月三十一日但し財政の都合により繰上償還することができる

◎財政部長(宮里勝君) 予算面においては、本庁、廨庁の職員の俸給は明確にされていますが、実際の支給の時は支出が定期的にきちんきちんと請求されていても、歳入は予定より遅れ勝であります。歳入歳出の時間的なずれがあるため俸給その他の支払が定期的にできない状態にある。
  群島組織法の百五十一条に基いて琉球銀行から一時的に借りて支払をやっていきたいと云う計画の下にやっていきたいと思って提案したのであります。それに就ては年度内に償還するつもりで十二月二十日に一千万円借入れて、その後の財政収入で、先ず三十一日に五百万円返済します。更に一月十日に五百万円借入れ二十五日に五百万円返済し二月十日に五百万円借入れ二十八日に一千万円全額返済します。三月十日に五百万円借りて三十一日に全部返還いたします。利息については算定いたしまして次の議会の歳出に出すつもりであります。
○議長(知花高直君) 本案の質疑に入ります。
◎宮城久栄君 追加更正予算、施行上の希望を述べたい。俸給の定日支払をしてほしい。今日の俸給の支払はだらしのない支払で群島政府職員が不安のため精力がそがれるがこの不安な状態がのぞかれるかどうか。
○財政部長(宮里勝君) 借入れが出来れば今のお話の俸給支払ができると思う。
○宮城久栄君 今日までのだらしない支払は事務のためですか、金がないためですか。
○財政部長(宮里勝君) 定期的に出来なかったのは歳入面、徴税の収入が思わしくなかったからと思う、こういうことに帰着いたすのであります。もう一つは復興費の立替え、軍負担の復興費を一応政府で支払って、その後また軍に要求して、それを頂くと云う風になっているが、それがきちんきちんと払っていただく場合もあるが何らかの事情で遅れる場合もありまして、そこに四、五百万円程度の金がねている。もう一つ税金の徴収したものは琉銀の支店と本店に入るが、本店の分はすぐ使えるが支店から本店に入る時間があってそこにおよそ三千万円入っている。これは事務的に相談して出来ると思う。
◎具志頭得助君 一千五百万円になりますがこれは一時借入であるか。当座預金の貸出しでいけば利子も安くてすむと思う。
○財政部長(宮里勝君) 当座貸し越しの方法でいっている。利子については一銭五厘になっていますが折衝に依てそれ以下になると思う。
◎仲里誠吉君 追加更正予算案の全面的反対と一しょに銀行からの借入れも反対します。
○議長(知花高直君) 質疑を終了して討論に移ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり)
○議長(知花高直君) 二十番議員反対ですか。
○仲里誠吉君 反対です。
◎議長(知花高直君) 本案を可とするものの挙手をお願いします。
  (挙手者多数)
◎議長(知花高直君) 挙手者多数。よって本案は可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程の順序を報告いたしますが順序を変更して議案第三号に移りたいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) それでは議案第三号を上程いたします。
◎仲里誠吉君 議事進行で希望があります。軍政官から来たメッセーヂの中にこう云うことがあります。一番下から二番目のまん中あたりに過半数に依て裁決したものに従うことは諸氏の義務であるがまた投票を行う前に諸氏の見解を明確にして、その見解に依て投票をすることも同様、諸氏の義務である、ということを謳って居りますが、反対議員の意見を充分に、明瞭に述べさせて他の立場にたっている議員に納得させ、或は納得させるために活躍せしめるべきだと思います。
  討論をさせ、打ち切りたいときは、予め全議員に諮って全員賛成の時にこれを打ち切ると云う、あくまで民主的に議事の進行をやるようにしていただきたい。次の公安委員の問題についても相当の議論があると思われます。討論が紛糾すると思いますが議長は民主的にやっていただくよう要望を申上げます。
○議長(知花高直君) 出来るだけ御意見に副うようにしますが、また反面議員も自省していただきたい。義務を果させていただきたいと思います。
○仲里誠吉君 議長が民主的であれば従います。議場において民主化のため意見を申述べさせていただきたいと思います。

◎議長(知花高直君) 議案第三号を議題と致します。
 書記長をして議案の朗読を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案第三号朗読)

議案第三号
  沖縄群島公安委員選任同意について
沖縄群島公安委員会委員に左記の者を選任致したいので議会の同意を求める。
 一九五〇年十二月十四日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
    記
 真和志村栄町六班 山田 政功
 宜野湾村字野嵩二九
          桃原 亀郎
 三和村字名城一七 新垣 義常

○議長(知花高直君) 本案の質疑に移ります。
◎新里銀三君 議案第三号の公安委員選任同意についてとありますが、群島組織法は一部改正になって居りますが、第百二十条の改正に依て承認を得て任命するとなって居りますが何れの文句をとられますか。
○総務部副部長(稲嶺成珍君) 群島組織法改正第一号には八章百二十条二項の方に公安委員は知事が議会の承認を得て任命するとあるが、同意の間違いではないかと思います。一番初めに出たものは同意になっているが今回のが承認となっている。
○知事(平良辰雄君) これは文句の問題でありますが訳が二途にわかれる場合がある。観念上余り違いはないと思います。訳の仕方が承認になって居りますが承認に直していただきたい。
◎新里銀三君 群島組織法は沖縄の憲法と思って居りますが、改廃が自由迅速にできて居りますが、知事の権限で出来るものですか。
○知事(平良辰雄君) 改正は急に改正になったのでなく、ごく最近きまったので、その点について悪いとか何とか云う研究もしてない。各群島知事の集りで問題になるかも知れません。
◎松本恭典君 今の議案と関連して意見と希望を申上げます。質疑致します。
  今日の軍政官からの手紙にも立法上の使命云々があるし、立法上に一致するのが議会では建前である。軍が出されるにしても諮詢委員会に諮ったことがあると思いますが、議会にも諮ってもらいたい。公安委員の問題は群島内の法律を維持するところの責任をもっている。
  法律命令を維持する責任を負う公安委員の使命は重大である。日本でも各階層の意見を徴して議会の賛同を得て決定したと云われている。日本内地で始めての試みでありますし、警察の幹部と委員との間に色々のトラブルを起したことも聞かされている。制度は民主的であるが選任を誤ったときは大きな社会問題が起る。政党時代の警察にあった人は、人事行政に悩まされてきた。これも結局この問題からであるが、公安委員は政治色のない人を希望します。
○議長(知花高直君) 後で質問はしてもらう。討論のときにやった方がかしこいではないか。
◎具志頭得助君 公安委員の問題は群島組織法によると五ケ年ということになっているが日本では一ケ年、二ケ年、三ケ年と交互にやる。三名のときは一人一人交代でやると聞いて居りますが、五ケ年では長年のように聞えますが。
○知事(平良辰雄君) 年限の問題については私の意見としては長いように考えて居ります。然し各群島が一しょに歩調を揃えなければならんので、他のところでも三ケ年と云う意見を出した人もいる。われわれは議会の意志を尊重して皆さんの期待に沿うようにしたいと思います。改正もしたいと考えて居ります。そう云う意見をこの議会にまとめていただけば軍に折衝もよいと思います。
◎祖根宗春君 先の二十番議員と同じく議長の議事進行について要望いたします。
  本案は全住民の関心を持っているものであるから質疑、討論は慎重審議させていただくよう希望します。人事問題でありますから最後の票決は秘密投票に依てやることを合せて希望いたします。公安委員会の法文に就てでありますが、群島組織法が公布になったときに日本の国家公安委員会法と同じく、人間は五名、資格条件は警察官の職責(ママ)のない者と、日本のものそのままの公安委員組織法が織り込まれているが、知事、警察部長から人間の数も資格条件も軍に陳情になっている新聞の記事をよんでそう云う印象をうけて居ります。
  人員は三名乃至四名に減らして資格は全部撤廃と云うことになって居りますが、警察官の前歴のある人もない人も選任できる資格ができた、年限は改正された公安委員の制度について提案者の知事はこの制度について全面的に改正された、現法文をそのままずっと改正する意志がなくてそのまま踏襲するのが妥当と思われるがこの箇条のどっかに就て改正の御意向かあれば先にそれからして欲しい。公安委員の人選については何かの一定の基準に依て選任されたと思いますが三名が適任と議会に推薦される基準並びに三名の方々に対する知事としての人物の見解と云ったものも合せて説明願いたいと思います。次の三名の人物は知事が輿論を徴したこともあるか、自薦他薦か。選任に当っての方法の方も伺いたい。
  社会大衆党その他の政党関係があるかどうかと云うことも伺いたい。
  先達ての新聞にでているのをみると社会大衆党の役員会で審議された結果三つの条件を以て今まで噂されていたものは白紙に還元する。法規、法政に明るいヒューマニズムの実行のできる人と三つの条件として、白紙にすると云うことに対して知事は社会大衆党の三つの条件についてこれを参考にされたか、どうかそう云う点も合せて御説明願い度いと思います。次にこの三名の方々は政治的には色彩があるかどうか知事の見解を聴きたい。今度の知事選挙に対してはどう云う態度をとったかと云うことも説明願いたい。次に新垣義常氏が今回の選挙運動をなし平良氏を知事にするため奮闘された、こう云う噂も聞いて居ります。巷間では知事選挙のために運動したので選挙に絡まっていると云う噂もあるが、これに対する知事の見解も伺いたい。同じく新垣氏は復興予算の運営について知事選挙において批難を加え平良氏の選挙を有利にするために、相手方の人身攻撃をやったと云う噂もあるが事実であるかどうか伺いたい。
  次に桃原亀郎氏はどう云う思想の持主であるか、知事の知っている範囲で見解を発表して欲しい。
  昨年市町村長協議会で食糧配給の方法について現在の配給は無政府状態の配給であると述べて当時のチェス大佐が憤慨されて伊集さんに弁明を求めたそうであるが御存じであるか。軍の有難い恩典に対して無政府状態と云うことを云われる人の思想の持ち方、知事が御承知であれば御説明ねがいたい。以上の点を答弁ねがいたい。
○知事(平良辰雄君) 公安委員の法律の改正の問題から申上げます。これは前にもお話したと思いますが、もう一ぺんくり返します。
  この改正は政府としては資格条項の中から警察官吏その他任命職だけとって欲しいと云うことを主張して、警察官はそのままにして欲しいと云った。五名が三名になったと云うのは三名にしてくれと云ったのではない。軍の方針が人を少くしたいと云う方針で一人にしたらと云うこともあって、一人では公安委員の意味が分らないので三名にしてもらった。法律の改正はこれだけの折衝をやった。
  人選は輿論に訴えると云っても投票によると云うことはできないので知事として色々の方面の人に聞いて居りますが、誰にきいたと云う公表は控えますができるだけ多くの人に聞いている。自分の責任になりますので、こう云う段取をやって来た。
  政党関係にあるかどうかと云う問題は現在社会大衆党に登録しているかどうかは分りませんが新垣、桃原両氏は社会大衆党を支援する意向は持っていると想像します。社会大衆党の問題で別段議会に申上げるまでもないのですが充分に注意して人選には当った。社会大衆党の意見を尊重している。
  新垣義常氏が今度の選挙の時どうしたこうしたと云うことは一般大衆が知っていると思いますが、私のみますところでは正義を押し立てていくと云う正義感の強い人と思います。桃原氏は危険思想を持っている人ではないと思っている。配給の問題でもあるがその人に就て或は私が知らないものもありましょうが、皆さんの批判に俟つより外はないと思います。
◎新里銀三君 新垣義常氏のことに就て戦前も県会議員選挙に政治運動をやって、その政治運動をした関係で某校長に抜擢されたと云うが事実ですか。
○知事(平良辰雄君) それは私は分りません。
◎新里銀三君 事実であるとすれば政治色濃厚と思います。議会に味を占めるのは大政治家と思います。民主化し得る人と厳正中立が二つの大きな問題である。そこまで知事は調べてから人選すべきと思います。
○議長(知花高直君) 討論ではないよ。
◎仲里誠吉君 積極的な面から質問します。この三名が沖縄の数ある優秀な人物の中から最適任者として推薦されたと思いますが三名の方の如何なるところに惚れこんだか、各人別に伺いたい。
○知事(平良辰雄君) 新垣義常氏は教育界に長い間居って教育行政に携っていて教育界に長く関係した人であるから適任と考える。
  桃原亀郎氏は収入役、助役、村長と長い間市町村行政機関に携っている。
  山田政功氏は法曹界で長く法律に携わって、法律に明るく何れも最適任者と思います。
◎仲里誠吉君 新垣義常氏は教育界に多年居られた。桃原亀郎氏は公職に多年ついて居った。山田政功氏は法曹界に居ったと云うだけの理由であって単に経験年数に依て推薦したもののように思われますがそうですか。
○知事(平良辰雄君) 無論一つの参考になって居って果してこの三名が公安委員に適するかどうかは別の問題であるが、参考資料として適確であるかは、その人物全体にわたっての考え方である。
◎仲里誠吉君 知事は三名の方と交渉されるときに三名の方の警察民主化のために如何なる識見、抱負を持っているか、聞かれたか。
○知事(平良辰雄君) 或る程度きいているが、公安委員になるか、ならないかは任命してからでないと分らないが、普段の考えから公安委員として適当と思っているからであって、本人がどう云う風にと云う具体案はきいて居りません。
◎仲里誠吉君 先程も議員から話がありましたが、新垣義常氏は善良なる民衆が聞くにたえざる個人攻撃をやった。教育者として社会における指導者として遺憾千万と思います。今度の選挙において泥試合が各所においてありましたが、新垣氏がやったと云う確証が挙っているが、今度の選挙に白黒を発生させたことでありますが、民主的な指導者としては仰げないと思います。
  山田氏は最近輿論週報が創刊されて居りますがその創刊号の十頁から十二頁にわたって
 「沖縄の帰属問題に就て同胞に訴う」と題してこう云う記事を出しております。「沖縄人の生活問題即ち人口問題、食糧問題、経済問題を解決する鍵は貿易移民をなすにあるとは周知のとおりであります。しかしながら本問題も簡単に云えても実際問題になりますと難関が幾多伏在していることを想起しなければならぬ。先ずこれを打開し、これを継続するのは大きな国力(軍隊の力)を背景としなければならないと云うことであります」。これは軍国主義の謳歌である。戦争肯定であり、一歩進めれば戦争讃美になりかねない状態で、現在は戦争街道を驀進しているように見える。アメリカは非常事態を宣言しているようであるが、そうなった場合、勿論われわれとしては第三次大戦は人類の撲滅戦争であると思うが故に、第三次戦争の勃発しないことを衷心から希望するわけであるが、主観的に概観しても客観的な状勢が戦争にまで持っていかなければならないとも限らない。このような時に軍国主義、戦争讃美者にまでなりかねないものを公安委員にもって来ることは妥当であるか。われわれは軍政下におかれているが万一第三次大戦勃発した場合、大衆が戦争にかりたてられないと云うことも保証することができないと云うことは多分に伏在していると思われる。敢えて知事は最適任者とするかどうか。
○知事(平良辰雄君) 三名とも適任者として出している人物の討論のように聞えて来ますがこうこう云う事情で、こうこう云う人で適任者として推薦していると云うことを申上げます。
○議長(知花高直君) 質問だけやって貰おうよ。
○仲里誠吉君 質問です。
◎新里銀三君 警察全般に亘って知事は警察方面から情報を蒐集したかどうか。
○知事(平良辰雄君) 警察の情報と云うと各警察の意見ですか、何とかの方法ではとって居りません。
◎仲里誠吉君 今の問題と関連しますが、直接本質疑にはつながりませんが、この議場をかりて当局議会外の一般大衆に釈明したい議員の職責上かりますが、今朝の琉球日報紙上(うるま新報カ)に仲里議員は公安委員に関し特別警察隊の意見も聞いた所が現在の顔ぶれに対して否定的な意見を述べていると出て居りますが私は特警隊を始め、警察上層部の一部下層警官の意見を徴しているのは事実であるが、特警隊はそれに対し積極的に反対であり、絶対に表明しておりません。その点は特警隊自体の責任の問題でもありますし面目の問題でもありますので、向うに類を及ぼさないようにこの席上をかりて議員諸氏一般諸氏に対し釈明します。
○議長(知花高直君) 質疑はないと認めまして討論に入ります。
◎新里銀三君 ただいま申上げました通り公安委員の選挙に対しまして或は群島内の法律命令の維持責任者である重要なものである。
  群島警察の活動、犯罪の管理、犯罪統計、教養施設、警察の統合計画、警察行政の指導的立場にある大きなものである。これは重要な問題で、この制度の趣旨も、民間人に警察の運営を管理させて民意を強く反映させることと二番は政治的に厳正中立を維持する二点である。万一無視されるならば知事の権限から独立させる必要はないと信じて居ります。
  戦前の日本が警察国家と云われた程警察が政治的権力のために乱用されていたことは記憶に明らかなるものがあります。
  故に連合軍総司令部が真先に日本の警察制度に根本的改革を断行したのは根本的に警察の弊害を認めたからであります。
  警察官が民衆の公僕として社会の安寧秩序を維持するためには封建的残骸のなお濃厚なる警察制度慣習を徹底的に刷新しその民主化を計らなければならない。
  民衆から親しまれる警察であって、警察が自分等のために存在することを民衆に十二分に認識せしめ信頼と支持を受けるために完全に脱皮する必要があると思う。今後警察官の再教養を必要としますが、民主化の線に沿うてやらなければならん。この制度は警察革新の第一歩を踏み出すものでその使命も大きい。知事に依て推薦された新垣、桃原の両氏は政治色濃厚で選挙の論功行賞的人事と世間では酷評している。
  公安委員は群島内の法及び秩序維持責任者であります。この責任者に依りまして、郷土の治安が安定し、住民は幸福な生活が続けられるのであります。幸福な生活をする住民こそ自らの意志を反映するものと信ずるのであります。
  若し知事が野党側の反対や輿論を無視して良心に反して、かかる人々を押し通して公安委員に推薦するならば知事は既に公約違反であり、且つ官僚独善の指導者であると申しても過言ではないと思うのであります。
  また与党側議員も個人的には反対しているのが多数あるが与党の勢に任されてこれを承認するならば翼賛会式議会である、明らかに選挙民を代表する機関ではない、特定人の代表者であるのであります。大いに反省を要すると思うのであります。政治には政党政治も必要でありましょうが、わが沖縄は未知数である、これから育成すべきものであります。知事が臨時議会初議会におきまして、御挨拶の中に述べられた通り、大乗的見地に立脚して、善処すべきだと思うのであります。本議員は以上の趣旨に依りまして新垣、桃原両氏は最も不適任であると信じます。而も任期が五ケ年でありますので、若しあやまった人選をしたならば吾々は後任者に一ケ年は迷惑を掛ける訳になるのであります。依って不適任の理由を申上げたいと思うのであります。
  新垣氏は教育家でありますが教育界の重要な地位、視学の地位にありながら視学をやめてまで選挙運動をする大政治家である、即ち政治色の最も濃厚な人物であるのであります。社大党は明るい人を選ぶといっておりますが、然らば知事と社大党は別だとおっしゃるかも知れませんが、知事は社大党の政策だといって常任委員会には各部長の出席を進めておりますことを拝聞しております。故に同一だと思うのであります。この公安委員問題が社会に問題を捲き起すや、当の新垣氏御本人は入党を申込んでおります。社会が自らこれを認めるものであって、自分からこれを救うてくれ、使って呉れと東奔西走するだけでも既に公安委員の資格がないと思うのであります。更に政党色最も濃厚なることが今度の知事選挙におきまして某有力者とはかって初等学校、中等学校、高等学校にかけ合って、学生、生徒まで選挙の渦中に捲き込み神聖なる沖縄教育界に汚点を残した、そして衆の批判をうけております。依て翼賛会化され、青少年に悪印象を残したという批評であります。沖縄政界にも一大汚点が印されたようなことであります。また先程申されました通り、県会議員某候補者のために大活躍をして、その功に依って某国民学校の校長に抜擢された批評を聞いております。政治的に濃厚であり、そして翼賛会式の思想では警察の民主化は計り得ないものだと思いまして、不適任だと思います。
  桃原氏は明らかに茂太氏の令弟でありまして、沖縄の大政治家である兄との関係において今度の選挙においては中部地区において最も強く働いた人であります。
  また全琉知事を目標に活動開始の風評があります。依って政治色の最も濃厚な人でありまして、これだけ足を突込んだからには決して厳正公平なることとは申されないのであります。また先程、知事から思想的方面についておっしゃっておられましたが、昭和四年に学校を退職されているが、辞めたのであるか、やめさせられているのか、そこも疑問と思います。依て公安委員は非常に重大な問題であります故に私は二人は不適任だと思うのであります。
  山田氏は私は適任だとこう思うのであります。
◎稲嶺盛昌君 私は嘗て南部地区戦前の島尻郡の教育界の席を汚がしておったが、新垣義常氏とは教育会関係で度々一緒に仕事をしたが新垣義常氏は正義感に強く、情熱に富み、責任感があり、当時はまだうら若い青年であったが相当の見識を持って立派な人物であったと認めて居ります。この度の知事選挙においては二十ケ年の教員生活から抜擢されて民政府の視学官になった報道を聞いたとき私は心から祝意を表した一人である。平良知事のため視学官の職を辞めて当選を期したことは、正義感に燃え、人を見る相当の見識をもっていることを信ずる。
  平良氏を知事にすると云うので、勇敢に、敢然と出てきたことは瑕にとる必要はないと思います。
  公安委員になった場合は警察の運営上いかなるあり方でいくべきか、その辺をよく見得る人物と云い得るその立場、その立場において手腕力量を信じて賛成するものである。
  桃原氏は同じ中頭の出身であって長年村長の席で町村長会において仕事をやってきた。宜野湾の村長をやっているがその間中部地区の町村長会の副会長をやって各村長から信望が厚かったのを知っている。論理的に物事を正しく識別するような見識を持っている人物と思ってこの人も適任だと見て賛意を表するのであります。
  山田氏に対しては十六番議員と同感で終戦後も宜野座地区でよく接して居りますので適当な人物と思います。賛意を表します。
  沖縄の警察が群島組織法によって一千数百名から一千百名に減員されるときは警察事務の煩瑣な所に重点的に警官を配置していくべきと云うことも何かの新聞にあったと思いますが、賛意を表します。
  三名の出身地区を申上げますと地区単位よりは人物本位でありますが、民主警察としてそこの実情に精通し、一般の民衆が警察に対して如何なる要望をもっているかと云うこともキャッチしていかなければならんと考えられるのである。
  その意味から沖縄の現状から新垣氏の出身地糸満は港をもち闇船の出入頻繁な所で重要なところである。そこの状勢をよく分っているし、一般民衆が警察に対してどう云う風な希望をもっているかに対しても充分わかっている。適当な一条件として推奨します。賛意を表します。
  桃原氏は胡差地区で沖縄全体の軍施設が過半数ある、軍との折衝が多く警察事務の煩瑣が沖縄一だと思う。そこの事情をよく知っている。この点において新垣氏と一しょに賛意を表する。山田さんもまたこの意味において那覇は物資の集散地で集まる場所であるから、この意味においても山田政功氏に賛意を表する条件であります。
  斯様な意味において警察事務の煩瑣な糸満、胡差、那覇地区から出たし人物についても申上げます通り賛意を表します。神ならぬ身の幾分かの満足できない所は人間だれでもあると考える次第であります。
  政党の関係について社会大衆党の事務局に行って調べたが役職員でもない、党にも入ってない。
  また今度の知事選挙において彼が政治的色彩濃厚とは云えない。将来政党が発達した場合、免がれないと思う。重要性を充分に見極めて民主警察のあり方について適正にやれるものと賛意を表します。
◎仲里誠吉君 反対意見を持って居ります。只今三番議員(稲嶺盛昌君)から縷々として賛成理由を述べられたのでありますが、その理由を纏めて見ると結局、候補者としてあげられた三公安委員がそれぞれ沖縄群島において重要地区である糸満、胡差、那覇、この三地区の実情に精通していること、それから、二番目には警察官を重点的に配置する場合、民衆が如何なる要望をもっているかということも、妥当であるか、ないか、そういった要求を適正に判断し得る人物であり、神ならぬ身であるからまずまずこれ位で辛抱してもらいたい。この三つに結着できると思います。それに対して私も意見を申述べたいと思います。その地区の実情に精通していることはこれは新垣義常氏、桃原亀郎氏、山田政功氏以外にはいないということは納得することができない。更にその精通するためには何もその地区以外から人物を出せというのではないが、この三名以外に適当な人物がいれば、例えば具志川の人が胡差あたりの実情を知りたいと思えばその地区の警察の記録、市役所の記録を調べまたはそこに二、三日宿泊して民情を視察すれば充分に精通することが出来ると思う。また人民の要求についても然り、神ならぬ身の云々と云う賛成理由であるが、これはやはり反対者としても神ならぬ、完全でないということは分るし、神ならぬ身であっても、一歩でも神に近いものが他にいる筈だ。
  また吾々としても選ぶことが出来る。吾々が現在、肚の中に持っている人物に比較した場合には見劣りがする。三番議員(稲嶺盛昌君)の意見には同調の根拠を見出し得ない。三番議員(稲嶺盛昌君)は地区単位の賛成理由を申上げられたが、やはり地区単位にいうのであれば立派な人物が社会(大カ)党内、知事から自薦他薦、優秀な人の推薦があったと思いますが、結局、三名に落付いた経過報告がない以上、この三名のみが最適の人物であると納得することはできない。強いてこの三名が最適の人物であるということであれば、今までの銓衡の理由、経過を報告していただきたいと思う。もう一つ、今より四、五日、一週間前にも某新聞の社説にも公安委員の人選については再三再四主張があったが、要約して見ると一般人民としてはこの三名の顔ぶれには納得することができない。
  知事は議会においても民意に反してこれを撤回せずに主張をおし通そうとしているのは如何なる理由に基くものであるか、理解し難い。
  一たん前の議会にかけたのだから面子にかけてと云うえこぢなところ、官僚独善な所があるのではないかと云っているが、その当否はともかくとして民意に徴した場合、民意の大部分がこの顔ぶれに対して不賛成である。この民意がこれに現れていない。強いて現れたものがあるとすれば山田政功氏が一人である。これは私がこれから申上げる理由に依て適当な人物とは認めない。政党的な色彩であるが事実において新垣義常氏、桃原亀郎氏が先程知事の言明において党員ではないけれども、ともかく社会大衆党に対して同情をもっている人物であると云うことをはっきり云われて居りますが同情をもっている以上は政党色をもっていると云うことを断言してはばからないと思う。
  三番議員(稲嶺盛昌君)が桃原亀郎氏の場合は、氏の血縁に当る桃原茂太氏は彼は社会(大カ)党の中央委員であって、中央委員を血縁として持つ桃原氏が政党には入党しなくても完全に自分の血縁からの影響から脱却すると云う反証は絶対に上げることはできない。寧ろ人情の常として、そう云う血縁をもつ場合は寧ろその影響を受けるものであると云うことは吾々の過去の経験に徴して明らかと思う。それから又知事に三名の提案理由を聞いても、何ら知事自体にはぜひこの三名でなければならんと云うゆるがざる信念が感ぜられない。それから社会大衆党は公安委員の条件として三つの条件を上げている。ヒューマニズムの人であること、警察法規に明るい人、民主的であると云う三つの条件を上げているのではないかと思う。先程申上げたように新垣義常氏の場合はヒューマニズムとは云えないと思う。忘れない中に要望しておきます。新聞に社会大衆党は三名の公安委員の条件としてヒューマニズムに立脚して、これを処理し得る人と云う言葉を掲げて居りますが、社会大衆党はその性格を見れば人民大衆勤労階級の利益を或る程度反映するかどうか、これからの実績を見なければ判断できない、文句を見るとそう云う言葉を使っている。然し乍らヒューマニズムと言う言葉は何のことか分らない。農民や漁民と云った人々には分りません。社会大衆党と名乗るからには用語も一般大衆に分るようなものを掲げてもらいたい。党首、中央委員諸公においてはよく考えられて用語の使用、その点だけ関連して要望しておきます。
  それからまた先程申し上げたように現在、全世界が戦争街道を驀進しているように見える。充分に判断するだけの客観的な証拠が上っている。この場合に軍国主義或は戦争を肯定する人物をもって来る。就中警察権は強大なる権限を人民の上にもっている。その場合、自分の地位を利用し、周囲に帝国主義的なものに同調して警察権を振翳して人民を戦争に狩り立てる人物が出たら沖縄住民は再びとたんの苦しみに陥れられる危険が多分にある。何等賛成の理由を見出せない。全面的に反対するものである。
◎玉城泰一君 三名の公安委員の推薦を承認いたします。人物を評価すれば各人の主観に依てやりますから十人十色まちまちになるのは已むを得ない。その人が人物であるかどうか、過去に於て従事した職責において充分にやったかどうかにおいて識見手腕が分ると思います。この三名の方の略歴を見ると山田氏は国家試験に合格し弁護士をし、法曹界に活躍した。桃原氏は市町村の行政に曾て収入役、助役、村長をやっている。新垣氏は多年教育界に乗出し校長もやって名声を博している。何れも重要な職に奉じ職責を果した。去る知事選挙において特定の候補を良心的に訴えて支持したということで三名の中の二人の候補者の推薦に御異存があるようですが、自分の信ずる人を極力推薦すると云うことは民主政治においては好もしい、寧ろ義務と考えている。これは批難する材料にならんと思う。
  政治色があるからと云うて排斥するのはどうかと考えられる。群島組織法では政党に(のカ)役職員は除外している。加入者は欠格者にはならん。
  本当の公安委員の制度は日本の制度を真似たものと思われる。沖縄も同様に役職員、政党の役員は禁じているが、政党に加入している。
  政党人は除外してない。三名まで同一政党に属することはできないとあるが政党人になっても差支ないと云うことが分る。二人まではいい、三人以上同一政党に属することはできないと云う。それを見ても政党人を批難することはできない。法律に明るい人と云う意味もありますが、三名ともみな法律に明るい人でなくてはと云うことはないと思う。その中一人が、法に明るければ三名が一体となって警察行政に当るから三名は異った経験を持つ方が視野が広く、広い立場から処理できると思う。以上の理由から三名の推薦に賛意を表する。
◎仲里誠吉君 九番議員の反対意見をまとめてみると結局選挙の場合、相手方を批判するのが寧ろ民主主義に忠実なるゆえんであると云うのが一つ、それから政党の色彩に関して日本の法規を持ち出していられるが、成程日本の場合は公安委員会の規定に依れば半数以上は政党に属するものなるに到りたる場合は一人はやめさせると云った意味の規定があるが、それを援用した。
  それから法律に明るいと云う条件、これは三名とも全部が全部その必要はないと云う三つに結着すると思うが、それの反対理由。選挙の場合、自己の信念に基いて相手方を批判するのは民主的と思う。それには限界がある。知事選挙と云う沖縄の最高の公職に就く選挙であるから批判の場合はあくまでも公人としての批判でなければならんと思う。それを私生活にまで立入ることは民主々義に忠実なるゆえんとは絶対に云えないと思う。それから日本の法規を援用しているがわれわれが問題にしているのは沖縄の場合であって、日本の法規でない。群島組織法の中には政党員若しくは政党に同調するものは公安委員たることはできないと云うはっきりした規定はないけれどもこれは吾々の良識に訴え判断すべきことであると思う。民意はわれわれの見解を支持している。また警察自体が各々の階層の意見をきくと彼等は昭和初期における警察政治、あれに弄ばれた苦い体験をもっている。それが再現することを非常に心配している。われわれの常識に依れば、政党員でなくて同調するもの、中央委員という施(執カ)行機関党の意志を決定(ママ)中央委員を血縁にもつものが、その血縁に当るものに影響されないと云うことは考えられない。吾々の過去の経験、習慣に依って判断しても必ずやそうなるであろうことは充分に判断される。それから法律に明るいと云う条件、これは何もわれわれ反対派は三名とも法律に明るいと云うことでなければならんと云うことは云っていない。一人でもよろしいけれども、例えば一人は法律に明るくても軍国思想を持つもの戦争を肯定するものはその利点を打ち消すに充分である。寧ろ危険な所がある。世界は戦争街道を驀らに歩んでいる。法律に明るい人一人を選ばなければならん主張を捨てるのではないが法律に明るければ軍国主義、非民主的であっても構わないか。絶対に賛成することは出来ない。一度再び三度、四度反対します。
○議長(知花高直君) お諮りいたします。討論はなるべく、議題をそれぬようにしてほしい。各自意見に対して討論会式に他人の意見をとり上げることは程度があります。その点御含み願います。
◎長浜宗安君 公安委員問題はその任務の重要性に掛るが、反対者の意見もよく聞いたのでありまして問題はその人物論に終始する感がする。
  本当にその人の一面を知って云々するのは出来ないと思う。何年かその人と共に飯を喰い、共に暮らすと云うことがないといえないことだと思います。まさに決定しようとする三名、警察民主化のために喜ばしい人物だと思います。
  知事が三名を推薦するには慎重に考えたと思いますが、知事が三名に期待するように私も期待して賛成致します。
◎新城徳助君 いろいろ討論を拝聴しましたが人物評論は十人十色であっていくら時間があっても尽きない。三名にやらして見て悪ければ知事の職権に依って切りかえると云う風にして、三名にやらして見ると云うことにしたいと思います。
  (発言する者多く議場騒然たり)
◎仲里誠吉君 長浜議員、新城議員は多年かけてつき合って見ないとその人物は分らないと云うのは同感である。一ケ年も半ケ年も吾々と三名とにつき合う時間があれば判定も出来るが、与えられた時間が少いから吾々がもっている知識に従って反対する。一ケ月、二ケ月、半年や一ケ年とつき合ってくれと云うならばそれもやる。(笑声)やらしてみようと云うことを述べていますが、それは極めて非民主的な法である。(笑声)やらして見て悪かったら首を切る。こういうことは指導者として出来るものではない。指導者は確たる指導精神に基いて事を行っていかなければならん。政治は文化、経済あらゆる面を支配する。この問題は沖縄住民が白熱に燃える関心を集めている。当局が強いて三名が最大の適当者であると云うのであれば銓衡の経過を報告して欲しい。休会するなり、次会にまわすなりして銓衡経過を報告してほしい。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
  吾々議会議員は民衆を代表するものであるから、吾々議会議員の意見も当然きいてよいものであると思う。三名の銓衡経過報告をしてほしい。民意に諮る気持があるならば民衆の代表たる吾々議員の意向も徴してほしい。
◎稲嶺盛昌君 二十番議員(仲里誠吉君)にお答えしますが、本員(稲嶺盛昌君)から地域問題を云々して、かてて加えて都合がよい人物に賛意を表するのは申し上げた通り、尚その地域の出身であるからと云う意味に解釈して欲しい。(笑声)二十番議員(仲里誠吉君)の意見に賛意を表するのが一つある。民意に輿論を聞けと云うが尤もである。二十名の議員は十ヵ所の選挙地区から出た、各々の地区における輿論はきいてきただらうと思う。輿論につき(ママ)と云う方法には同じである。(笑声)
◎祖根宗春君 人物論に花が咲いて居りますが、(笑声)私は賛成議員から賛成の中の理由の中に校長で、正義感が強い、行政一般の長として適任者であると云うが、手腕力量の賛意はあるが、人物の否定はできない。そういう人は文教部長とか、総務部長、行政課長とかにはめれば問題は紛糾しなかったであろうと思う。人材であるがはめる場所が悪い。(笑声)適材適所でいくとよい。山田さんは法律に明るい、警察の表裏をよく知っている。よい悪いはかみわけている。後の二人の選任の方法が一寸問題だと思う。先程の質問したとき、なぜ賛成議員のように詳しく説明しないか。公安委員と云うものは新しい出発で、全然知事の指揮監督指導を受けない。知事の下から全然切りはなされたと云うことに異議(意義カ)がある。知事にも任せられない、公安委員の重大性に関して自分の側近者でなかった人、もっと政治色のない厳正中立な、全住民が絶対的に信頼するもっともっと立派な厳正中立の選挙にも絡まない蒸溜水みたいな気持をもっている人(笑声)をと思うのであります。
  警察行政の今後の運営、人事、機構、組織のやり方に就いて議会が知事の提案に依って選んだ公安委員が巧くいけばよいが、巧くいかないとどうすることもできない。議会は四ケ年で、公安委員は五ケ年となっているから、公安委員が立派に運営をやってこの人たちは本当によく運営してくれたと云うときは反対者の吾々も賛成するかも知れません。が今のところ全然知事に関係のない社大党に関係のない、選挙にも関係のない人をもっていけば最初から全民衆に疑惑の眼を以てみられないだけにやりよかったと思う。最初から知事の選任の方法があやまっている。
  適材適所にはめることが出来なかったため反対する次第であります。
◎仲村栄春君 議事進行について動議を提出いたします。
 採決に入ってもらいたいと思います。本議案は撤回された議案であって充分に吾々は検討し選挙区民に対して輿論も徴してきた。吾々は本議案を賛成するか、しないか明白であると思いますが。
◎新里銀三君 人事問題は慎重を期さなければならない。(笑声)簡単に採決されては実際には反対の人でも他人の顔色を見て賛成するものが居りますから無記名投票をやってほしい。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
◎仲里誠吉君 秘密投票はしないで挙手にして欲しい。議場にいる一般大衆も吾々が知る範囲内で民意は圧倒的に反対意見である。一般大衆が反対意見である民意を無視して誰が挙手するか議場の一般大衆の方もはっきり見て欲しい。(笑声)
○議長(知花高直君) 表決に異議はありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(知花高直君) 採決は挙手と投票がありますが、どうしますか。
  (「十六番議員(新里銀三君)の意見に賛成します。」と呼ぶ者あり)
○仲里誠吉君 挙手を主張します。(笑声)
○議長(知花高直君) 挙手で採決をとることを可とする人の挙手をおねがいします。(挙手四名)
◎議長(知花高直君) 挙手者少数。よって無記名投票によることに可決いたします。投票の場合は原案を可とする人は可とし、原案を否とするものは否としていただきます。二十番議員(仲里誠吉君)と二番議員(与儀清秀君)は開票立会人の労をとってもらいます。(笑声)投票用紙を配布させます。
  (書記長投票用紙配布)
  (「番号を書きますか」と呼ぶ者あり)
○議長(知花高直君) 番号はいらぬ。(笑声)
◎議長(知花高直君) 投票洩れはありませんか。投票洩れなしと認めます。
 投票を計算させます。
  (仲里誠吉君、与儀清秀君投票の数を計算)
◎議長(知花高直君) 投票の結果を書記長より報告致させます。
  (書記長報告)
 投票総数二〇票、可とする票数一五票、否とする票数五票(拍手)
◎議長(知花高直君) 開票の結果本案は原案通り可決いたしました。
  (仲里誠吉君、只今の表決に就て所見を述べさせていただきたい。)
◎議長(知花高直君) 明日午前十時から本会議を開きます。本日はこれにて散会致します。
  (午后三時五十九分散会)
出席者は左の通り
    議 長  知花 高直君
    副議長  稲嶺 盛昌君
議員
 与儀 清秀君  仲村 栄春君
 石原 昌淳君  普天間俊夫君
 宮城 久栄君  平良 幸市君
 玉城 泰一君  松本 恭典君
 具志頭得助君  長浜 宗安君
 山川 宗道君  祖根 宗春君
 山城 興起君  新里 銀三君
 新城 徳助君  野原 昌彦君
 崎山 起松君  仲里 誠吉君
  群島知事   平良 辰雄君
  群島副知事  山城 篤男君
  総務部長   幸地 新蔵君
  経済部長   呉我 春信君
  工務部長   渡嘉敷真睦君
  法務部長   知念 朝功君
  文教部長   屋良 朝苗君
  財政部長   宮里  勝君
  厚生部長   宮城 普吉君
  警察部長   仲村 兼信君
 知事室事務局長 宮城 寛雄君
  弘報室長   崎間 敏勝君
  総務部副部長 稲嶺 成珍君
  経済部副部長 知念忠太郎君
  財政部副部長 久場 政彦君
  工務部副部長 西銘 順治君
  法務部副部長 金城 信範君
  文教部副部長 仲宗根政善君
  厚生部副部長 大森 泰夫君
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