戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年03月26日 
(昭和26年)
会議名
第3回宮古群島議会(定例会)[8] 合同研究会、本会議
議事録
 一九五一年三月二十六日
◎議長(玉城玄教君) これより始めます。(午前十時二十分)
 全員出席して居ります。
◎宮古織物組合長 (池村恒章君) 予算審議中の処を御邪魔しまして誠に恐縮でありますが織物組合としてお願いに参上致しました。織物組合は検査を非常に急いで居ります。三月で二二三反、機械織二五反で、下地町辺りは五月頃までには少なくとも一〇〇反は出る予定であります。只今検査料は二〇円貰って居ります。之の検査料で検査員を賄うと云うことは不可能であります。検査器具が必要であります。商標宣伝証を東京の商社の方から貰って来て居ります。(実物を回覧にする。)宮古上布の絣でも形にして商標にし度いと考えて居ります。もっと技術の研究が必要であると痛感して居ります。宮古の織物業が活溌になって行く事は間違いはありません。只今、お目に懸けて居ります「おさ」は滑りがよくて能率もよくて値段も安いようです。之を奨励しようと考えて居ります。今後織物の移出は日本だけでなく、台湾、アメリカ方面にも移出されます。染方等も余程研究する余地があると思います。其の技術者の嘱託員を欲しいのであります。組合の経営が困難と思います。全体の世話をすると、重点的に於て経営していかなければならないと思います。沖縄県時代は県から一人派遣されて居りましたので、嘱託員の費用を群島政府で負担して貰い度い。勤務は組合に置いて貰い度い。アメリカさんは上布を見せると非常にお賞めになります。只今上布は三千円では売ります。組合が実力がありませんので五反位アメリカへ差上げて居りますが、一向お金を支払って下さらんので御嘉納したことになって居ります。
  (笑声が出る。)
 予算審議も進行して居られるようですが、更に御審議をお願いし度いと思いまして参上した次第であります。
○議長(玉城玄教君) 検査員を嘱託にしてくれと云うことですか。
○池村恒章君 勤務は組合にして貰い度い。
○知事(西原雅一君) 検査員と指導員は兼ねる事が出来ますか。
○議長(玉城玄教君) どうですか皆さん、検査員も指導員も一人で兼ねてやらせたらどんなものですか。群島政府の予算で持って貰い度いとおっしゃって居ります。
○副知事(東風平惠令君) 移出には課税は出来ません。
○財政部長(島田文雄君) 予算に計上してあるもので当分やって貰はれたらどんなものですか。
○議長(玉城玄教君) 今の予算には其んな費用はないでせうね。
◎砂川玄仁君 陳情書が来て居りますが、議会が終了しようとして居る状態で実際迷うわけです。福里議員からも熱心に要望もありましたです。当局も困ることと思いますがね。
○議長(玉城玄教君) 陳情文は開会前に提出すべきものです。奨励費で適当にやられて費目の新設をしなければならないし。
○福里芳夫君 当局の意見はどうですかね。
○財政部長(島田文雄君) 奨励費一万二千円ありますから其れで賄って貰って後で予算に計上するようにしたらと思います。
○議長(玉城玄教君) 当局で必要に応じて処置されて下さい。食糧対策委員会が特別委員会になるのです。
○副知事(東風平惠令君) 議会委員設置条例制定について。
  (朗読す。)
○議長(玉城玄教君) 第十五条の常任委員と訂正して下さい。会を削る。第十三条閉会中でも出来る。緊急事件があるときは、議長が知事に云うて招集する。
○下地敏之君 議会の招集中は権限があるが閉会中はない。
◎議長(玉城玄教君) 初めてで色々研究が足らなかった。閉会中は群法によってやる。委員長は左記の通り決めてあります。
 財政部 平良金一、経済部 福里芳夫、工務部 渡久山知照、文教部 福嶺紀仁、法警部 下地敏之、総務部 砂川玄仁。
○副知事(東風平惠令君) 全員としないで少なくして貰い度いと思いますが。
◎議長(玉城玄教君) 沖縄も全員になって居りますから全員とする。制定月日は前の提出したものに代ってこれを用いることにする。一九五〇年十二月二十二日に施行することにしませう。
◎下地敏之君 法律の用語ですが、第九条第二行目の「又は関係-」を「若しくは」と訂正する。
  行政法を作るとしたら      司法省では
  若しくは-つながる       わかれる
  又は-わかれる         つながる
  及び-             同一性質のもの
  又は-ちがったものではあるが  つながる
  並びに-若しくはと同じ
 工務委員会の内容をはっきりして貰い度い、例えば入札、検査等には立会うべきかどうか。
○副知事(東風平惠令君) 行政機関に携はらねばならないがよく吟味して貰い度いと思いますが。
○知事(西原雅一君) 民政官府、監査委員、立会ってやって居ります。
○副知事(東風平惠令君) 復興計画其の他の事項を推進して貰うことです。
○下地敏之君 平良市に山林委員、製材委員と各議員が代わる代わる出ますので不正なことが出来ない。
◎議長(玉城玄教君) 二人宛番号順でやりませう。此の次は一番、二番、此の次の入札の時は番号順でする。
 測候所から陳情文が来て居りますから朗読して下さい。暴風雨報知器柱が一五、〇〇〇円、この刷りものからしてどっちも必要であります。天気相談所が四一、〇〇〇円要るので、経費の幾位か補助して貰い度い。之も織物組合と同様にして取扱って行きますかどうですか財政部長さん。
○財政部長(島田文雄君) 復興費から考えて見ませうか。
◎議長(玉城玄教君) 復興費でやって下さい皆さんどうですか。
  (「賛成」の声あり)
 追加議案第四十四号理髪営業取締条例について。
○警察本部長(砂川武俊君)準備が出来んで誠に申し訳がありません。大体之は理髪取締規則と変りはありません。業者が任意で作ることになって居ります。厚生部の方で取扱うように立案してあります。総て知事の方で決裁して貰うようにしてあります。時代に即応するように罰則を作ってあります。科料では罰則に効力がありませんので、罰金を上に拘留を下にしたわけです。
  (朗読す。)
◎福嶺紀仁君 レプラ患者及伝染病疾患者等の伝染しないように衛生施設を充分しなければならないと思う。
◎下地敏之君 第三十条の規定を質問するが、法人は拘留することは出来ない。これは法人の代表者に適用すると記入して下さい。
◎議長(玉城玄教君) 休会致します。(午後零時十分)
 午後は本会議をします。二時からお集り下さい。
◎議長(玉城玄教君) これより開会致します。(午後二時二十五分)
 全員出席して居ります。
 議案第十四号から議案第四十四号迄(二十八号、二十九号、三十号を除く)を一括上程致します。
◎砂川玄仁君 御承知の如く本議案は二日間の一般質問、三日間の合同研究会に於て慎重に審議したものであり、議案第三十一号にも政府の赤心が見られ、一般民衆を助ける親心に対し心強く感じて居ります。且つ当局の誠意も十分認められるに付読会省略修正案を原案として全議案(二十八号、二十九号、三十号を除く)を確定議に致し度い。
 動議を提出します。言い落としました、議案四十二号の第十七条は、一九五一年四月一日から施行すると記入して下さい。もう一つは議案第三十五号、三十六号、三十七号、三十八号、三十九号、之は委員附託にし度いと思います。一九四九年度の参事会委員に附託して貰います。
 尚議案第十四号から第二十七号までの議案は総て議会議了の日を取り度いと思います。議案第四十四号も一緒にです。
◎下地敏之君 二、三の希望を申し上げて砂川玄仁君の動議に賛成したい。
 一 保良沖に坐礁した山東丸に積んであった米の処分につき世上種々の疑惑を招いているが、速かにこの真相を調査して次の議会までに報告して貰いたい。
 二 定例議会の招集を二度と遅らすようなことがないようにして貰いたい。
 三 一昨年の初め、養老院の建設資金として募集した寄附金を作らないならば返すかどうか、けりを付けて貰いたい。
 四 沖縄で南部製糖会社の株募集が行き悩み状態にあるが、宮古でも若し島内資本が集まらぬ為、製糖会社が出来ぬようなことがあれば、由々しき問題であるので、この点十分注意して貰いたい。
 原案賛成の動議に賛成する。
◎議長(玉城玄教君) 読会省略原案(修正案)通り確定議に致します。それから決算認定の件を委員附託に附し、委員に砂川玄仁君、嵩原恵典君、玉城玄教君の三議員を挙げたいと諮る。
  (「賛成」の声あり)
◎知事(西原雅一君) 御挨拶を申し上げます。長時間に亙って慎重に心から群島を思う精神を以て和やかな空気を以て審議して頂いたことに対し厚く感謝の意を表したい。今後も議員各位の御指導、御鞭撻をお願いし度い。次に下地敏之議員の希望に対しお答えし度い。
 一 山東丸の件は速かに調査して報告致します。
 二 養老院の寄附問題は関係方面とも打合せて趣旨に副うよう善処したい。
 三 製糖会社問題については誠に同感であるが、若し外資によって事業を再開するとしても以前のように農民が搾取されるような事がないよう導入した資本より島民が余計資本を持つような方法を考えたい。何卒御指導と御鞭撻をお願い致します。
◎議長(玉城玄教君) 長い間御苦労さんでした。
 これで閉会致します。(午後三時三十五分)

 一九五一年三月二十六日
宮古群島議会議長 玉城 玄教サイン
    二番議員 福里 芳夫(印)
    七番議員 池城 朝清サイン
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