戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年03月22日 
(昭和26年)
会議名
第3回宮古群島議会(定例会)[4]
議事録
 一九五一年三月二十二日
◎議長(玉城玄教君) これより開会致します。(午前十時五十分)
 全員出席して居ります。
 今日は群政につきまして一般質問並に残りの議案を上程します。一読会を開くことにします。午後は二時より増産協調運動に出席します。
◎池城朝清君 企業免許事務報告に基づいて見ると、二六一件とある。平良市の中心部に営み居るもの四〇〇件以上となって居るが、之はどう云う事を意味するか、免許を取らんでも堂々と商売をして居る。布告を遵守しなくとも、なにも差支へないと思はれる。一年にもなるが、其の不徹底をどう考へて居るか。
 次に工務部のことですが、復興事業の進捗状態が遅れて居る。之は事務の分担、資材の関係、予算の関係、設計関係の不統一を欠いて居るのではないか、復興事業は宮古経済界の活溌なる進捗と宮古の復活と密接なる関係を持つものであるが、工務部としては如何なる方針を樹てるか。
 西城校の不祥事件についてよく育てて立派な人にして下さいと学校に対して、父兄側が安心して預けることは勿論でありますが、今度の西城校の不祥事件はこれは一人西城校の問題ではなく、宮古全体の問題である。社会に対してどうするか、これに関聯しまして受験準備として夜間遅くきて勉学させるのはよくないことと思う。中学校二、三年にもなれば相当発育しまして、女子の子は弊害がないとは云はれない。学校の名誉の為に考慮する必要があると思う。
 定例議会延期の理由、群島議会は会議規則に依って運営されねばならない。当局がこの規則を無視して議会を延期したことについては、当局の責任を問う必要がある。知事が不在であるからとの理由でやるべきことでない。当局は明確なる御返事をして戴きたい。お願い申し上げます。
○副知事(東風平惠令君) 只今の御質問に対しまして、御質問の四件の内、企業免許、議会延期の件を申し述べたいと思います。企業免許が経済部から総務部に移管したのが十二月であります。其れ以来一方にては企業免許を取って居る。又一方では取らずにやって居る。不公平である。其れで軍の布告に背いたことになるわけです。食糧会社の方にもお願いして、其の手配をして居るのであります。総務部の管下になってから未だ三ヶ月しかなって居りませんが、然し大分慣れて来て居ります。只今申し上げて居ります通り、趣旨の徹底をさせ、今後一層斯様な事のないように努力するつもりであります。
 第二に、定例議会を延期した事は、知事が其の当時軍政官の命令を受けまして、軍の復興予算に対する要務を帯びて出張して居られます。会議規則により二月に開かねばならないと規則に規定された事はよく存じて居りますが、組織法第十条により、本年第一回の定例会で知事が政務を報告し、又予算の関係等もありますので、副知事として会議を招集することは法の精神を尊重しないように思はれたのであります。其の意味に於きまして、二月十九日附で知事が上沖中でもありましたので予め皆様の御諒承して下さいと申したわけでありまして、決して議会規則を無視したと云うわけではありません。若し責任があれば、副知事の責任でありまして、知事の責任ではありません。法の精神に基づいてやったものですからお願いを申し上げる次第であります。申し遅れましたが、八重山群島政府も三月十五日に第一回定例会を開いて居ります。其の辺御諒承下さい。
○工務部長(高良憲松君) 只今の復興事務には隘路はないかとの御質問のようですからお答え申します。
 三つの観点があります。其の一つは人事問題、二は資材、三は予算問題以上の問題があります。人事の問題について、本群島に於て優秀な技術者を得ることは困難で、頭だけ揃えても問題は殆ど技術面であります。其の為に設計が遅れたり、入札が遅れたりします。現在は半どんでも動員しまして昼夜兼行にやって居りますので遅れるようなことはありません。人事の問題は来年度の復興予算も沢山組んでありますので、郡外からでも優秀な技術者が居りましたら採用し度いと思います。
 次は資材、復興資材の木材は事業部扱いで、セメント、釘等は経済部扱いとなっている。工務部に対して資材は大きな問題で郡内の資材は少くありますので、知事さん副知事さん達の御努力により、どうやらやりくりして居ります。資材入手に隘路を感じて居ります。
 予算は、軍から支給されるのを運営するのであります。去年度の三、四期の令達が遅れて工事も遅れて居ります。財政部とも緊密なる連絡を取って予算の消化に努めて居ります。皆さまも復興事業に対しては、尚一層御鞭撻下さいますよう御願いする次第であります。
○副知事(東風平惠令君) 今の問題について申し述べ度いと思います。復興資材の購入、セメント類、木材類等も申し込んであります。比律賓(比島)のラワン材等も沖縄に来て居るそうですから、之も復興用として購入し度いと思って居ります。輸送が遅れる時もありますが、天気の都合で致し方がありませんが、之も何とか方法を考えて居ります。復興費の消化については、群島政府としても其の年度の復興費を消化せんと「アメリカ」に取上げられますので、沖縄や大島の木材等を入れて、本年度の復興費を消化し度いと思って居ります。
○文教部長(垣花惠昌君) 只今の御質問にお答えします。学校に対する社会の不信用は、学校の不権威でありまして、教員の過失に依る、この度の事件に対し深くお詫びを申し上げます。
 事件当夜の状況ですが、西城校は校舎の不足と教科書の不足等で三部授業をして居ります。約三時間か二時間位しかやって居りません。現在の三年生は正規の学習をして居りませんので、其の学力を持たさせる為本人達の希望を入れて放課後指導をすることにして、高校の試験を受けさせ、他の生徒にひけを取らしめないと云う真心からやった事であります。然し乍ら私としては、地方に於て夜間指導はよくないと考えて居りました。校長会を開いて処置として四名の教官と校長から進退の伺いを提出せしめました。其の後父兄代表、役員会から成る可く軽くして欲しいとの陳情書が参って居ります。調査の結果、校長からは始末書を取り其の儘にして居ります。夜間指導は中止するように注意して置きました。受験勉強は進んで家に於ても勉強する。自から進んで勉強して、足りない所を先生に聞くと云うことが最も必要ではないかと思います。西城校の不祥事件について以上申し上げます。
◎福里芳夫君 二、三お尋ねしたい。
 予算について、全琉一だとお賞めの言葉を聞いて居ります。ところが私には、賞讃の言葉の意味が解らないのであります。何処に賞讃すべき点があるか、復興予算も編成され其の復興費が少ないから、お賞めになったのか郡民に取っては二億円要求して、何遍でもおこられた方がよい。議会にも諮らんで復興予算を編成していることは解らないようにする意志か、来年度の予算を今から審議しても遅くはない。
 次に自立経済について、御承知の通り天然資源に乏しい宮古には、自立経済をすることはむつかしいと思う。其れよりも移民の実施、群島民を減ずることによって其の成果が挙がると思うが、移民の実施は可能か、これをお聞きしたいのであります。
 計画書の中に農水金庫、復金から何億と借りることが可能のように書いて居る。その二点は自信可能かどうか、宮古だけで一億を考えているが可能かどうか、私は之に対しむつかしいと思う。其の具体的に計画がなされれば、軍政府に対する「ゼスチュア」と思うがどうか、自立計画書が出来てそれにより已に自立経済が出来たような安易な気持ちが郡民にあるような気がする。其れは中々むつかしい。
 経済復興計画はもっともっと考える方がよいと思う。
 徴税はもう少し徹底して貰い度い。例を申しますと、砂糖消費税が一斤に付八十銭の課税の根拠はどこにあるか。もっと低率にしたらよいじゃないか、徴収の方法がまづいと指摘したいのであります。税の課税は公平を期すと云う事が必要である。砂糖を移出する場合、発動機(船脱カ)に積み込む場合等は徴税官吏を立会させた方がよい。完全に取れる。徴税する場合出荷人の顔によって手心が加えられているが、徴税官吏の身元引受制度はどうなって居るか。本船に積み込む場合は全部取れる。マラリア防遏は市町村長に移管した方がよいと思います。宮古マラリア防遏事務所の職員を何時見ても殆ど遊んで居る。勿体無い話であります。マラリア防遏の職員は役場の職員に切り替えて、普段は市町村の仕事をさせ、マラリア防遏作業のときは役場の方でも応援するようにした方が最も効果的でないかと思います。昨日も話がありましたが、宮古には闘鶏、ビンゴと不生産的設備が多くあります。復興途上にある現在、娯楽面の取締をもして貰い度いと思います。以上であります。具体的な知事の方針を聞かせて貰います。
○知事(西原雅一君) 福里芳夫君の質問にお答えします。どう云うわけで予算は二〇、六八六、〇一四円となり、約六、八一九万円の増となります。予算の増は色々の計画の遂行を致し度いと思って居ります。復興予算と行政予算とは関聯を持つもので、復興予算との関聯は申し上げるべきかどうか、内容を伺いたかった。大体一と三の関係になって居ると云うことは聞いて居ります。其れの三倍までは取れると考えて居ります。吾々の群島予算を増すと、群島民の負担が増しますので、やたらに増せない。其処に予算編成の技術が生れてくるわけです。それで行政費を二、〇〇〇万円としてその三倍の約六、二〇〇万円、之に一、〇〇〇万円を加え七、二〇〇万円を復興予算として請求した予算編成に対する真面目さを賞められたと思う。どうせ貰えるなら五倍でも十倍でも予算を出したがよいと思はれるかも知りませんが、其れは不真面目さを突込まれるのであります。各群島は大体の比率が決まって居ります関係上、一、〇〇〇万円を増額編成しました。
 宮古民政官府と連絡緊密化を取りよく仕事をやって居ると云う点に於ても賞められました。其の他の件に就いては各部長から答弁することにします。其の他良俗を乱し生産面を阻害するような娯楽面は警察と連絡して取締って行き度い。企業免許の面から申し上げたら許してもよいが、其の取締については、警察とも相談して、皆さんとも相談しまして生産面を害さないように適正を期して行き度いと考えて居ります。
◎福里芳夫君 前の質問で復興予算を軍に提出前に議会に提出して貰はなかったが、之は議会の意思に反すると思う。
○財政部長(島田文雄君) 五二年度の復興予算について事前に議会の承認がなかったとのことは吾々も同意見であります。一般を基準として復興予算も編成しますが、復興予算編成は何日迄に出せと云うて来ますので吾々としては不眠不休でやらねばなりません。其れで大事を取って間に合わすと云うわけです。議会の承認を受けても確定的のものでない。議会は尊重します。時間がなかったこと、其の機会を得なかったのであります。どこよりも沢山貰い度いのは山々でありますが限度があります。民政官府では細密に手を入れて居ります。微に入り細に入って居ります。其れを基準として健全なる予算を編成しましたので誰にも負けない予算を組んだのであります。主管部長として私から充分お詫び申し上げます。
 次に砂糖消費税について、戦前は砂糖蔵置場がありまして、蔵置場に於て査定して居りました。終戦後は其の設備がなくなって居ります。税務署員が見逃がして居るように聞いて居りますが、そう云う場合が若しあったとしたら、出来るだけ徴税面に遺憾のないように致し度い。砂糖蔵置場設置条例が制定されましたら益々強化されるものと思います。徴税の徹底については努力して居る。身元引受保証書は提出させてある。今の状態はないとしても将来を考慮しまして、群島政府服務規律以外服務上に関しては充分監督をして行くつもりであります。以上申し上げます。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 事業は事務であります。私達は、あくまで成し遂げなければなりません。勿論一〇〇%、八〇%、六〇%、五〇%出来るか解らないが、其の任の政策を預かって居る熱意と意気を以って何処までも実現をする方針であり、仕事の遂行を期して居ります。移民につきましては、大幅な移民は出来ないが、八重山移民しか出来ないので八重山移民計画以外には考えられない。本月下旬頃沖縄、八重山、宮古三群島の移民計画が農林省で開催されることになっているので近く具体化することと思う。農林省としても今月か来月頃移民計画を作って審議をするとのことでした。委員を上げてくれとのことも話して居られた。特に輸出計画に対しては申し上げました。
 資金計画については、ガリオアの金庫化等が計画されているので、御手許に差上げてある調査計画表を見て下さい。
  (別紙表により説明を為す。)
 最善を尽くして行く考えであります。
○副知事(東風平惠令君) 資金の問題について申し上げます。
 産業界の施設が外資導入により郡の自立経済の方向へと進むのが西原知事の政策であります。
 それで如何なる方法としても、例へば外資導入委員会を講じても、それに近いような方針でいる考えであります。それで復興自立経済は昨年十月付で自立経済計画と変って居ります。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 一番最後のが不備で加除訂正しまして此の表にしてあります。御訂正をお願いします。
○厚生部長(宮國泰誠君) マラリア防遏所職員を市町村長に移管せよとかのことを御説明致します。マラリア防遏所は監督不充分で出張所にはおらんで遊んで居るとのお話ですが、仕事の関係上室の中で執務することより、野山に出てボーフラを探すと云うことが最も急務でありまして、作業成績表を見ても一九四九年度、五〇年度と作業の成績を上げて居ります。夏の蚊の発生する排水路の清掃、DDTの撒布、全排水路を一ヶ月一回清掃しなければならない。一九四九年度は二一一町六反六畝となり増加して居りますので以前より努力しなければならない。
 前より少なくなって居りません。監督は充分期して居ります。所長の監督権を市町村長に委すと云うことはどうかと思います。時々は市町村の吏員をも応援したらと思いますが、所長の監督を受けなければ如何と思います。私達の考えとしましては移管すると云うことは考えて居りません。出張所の職員は決して遊んで居りません。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 自立経済は実現性をもって居りますので適当であると認めて居ります。
◎議長(玉城玄教君) 午後は休会を致します。(午後零時二十三分)明日は、午前十時開会します。
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