戦後初期会議録

組織名
宮古群島議会
開催日
1951年03月21日 
(昭和26年)
会議名
第3回宮古群島議会(定例会)[3]
議事録
 一九五一年三月二十一日
 午前十一時開議
○議長(玉城玄教君) 委員会を開きます。
○玉城玄教君 只今から陳情書の審議を致し度いと思いますので朗読をして貰います。
 先づ最初に沖縄農林学校同窓生からの陳情文の朗読をして貰います。
  (書記長(伊川長壯君)陳情書の朗読をなす。)
○玉城玄教君 次に闘鶏倶楽部から一部改正して貰い度いとの陳情書が出て居りますので朗読して貰います。
  (書記長(伊川長壯君)陳情書の朗読をなす。)
○玉城玄教君 次に理髪聯合組合から解散について陳情書が出て居りますので朗読して貰います。
  (書記長(伊川長壯君)陳情書の朗読をなす。)
○玉城玄教君 陳情書はこれだけであります。
 次は宮古革新党から意見書で知事の俸給の件について出て居りますので朗読して貰います。
  (書記長(伊川長壯君)意見書の朗読をなす。)
○玉城玄教君 陳情書については、これを議長が適当な委員会に附託することになって居るので、この陳情書は常任委員会に附託しようと思います。闘鶏場の一部改正、理髪聯合組合解散の件は法務委員会で、農林関係は経済委員会で夫々審議を纏めて議長に報告するようにして下さい。
○下地敏之君 それでいいでせう。

○委員長(福里芳夫君) 只今議長からお話しがありました通り、沖縄農林同窓会から農林課、畜産課、蚕糸課を設置して貰い度いと陳情書が出て居りますので、群島議会会議規則に依って、陳情書は願書と見做し議会の会議に附すべきかどうかを皆様の意見を伺い度いと思います。
○嵩原惠典君 農林、畜産、蚕糸各課を設置することは前の議会でも持ち出されて居る。本当に各関係方面の技術者をして為さしめるのは必要である。其れで皆様の御意見に依り採択すべきものと思います。
○渡久山知照君 この点については第一回議会で平良金一議員から必要性を述べ議場で全員賛同したわけであります。吾々は農林、畜産、蚕糸各課なくしては自立経済は到底出来ないと思います。第一回議会に於ても、政府も設置すると云う意見がありました事と思いますので採択して貰い度いと思います。
○下地敏之君 農業指導研究所と生産課との関係であるが、農業指導研究所の仕事の分担はどうなるか、嵩原、渡久山は一指導者を置くと云って居るが、どちらが生産指導はやるべきかが問題である。第二はこの間の議会では生産課で充分であると云って居る。私としてはかへって綜合的にやったがよいと思う。間違って居るかどうか解らんが、其の点当局の御意見を伺い度い。
○砂川玄仁君 今、嵩原さん、渡久山さんから意見が出て居るが、第二臨時議会で意見の陳述があって全員採択することになったと思うがどうか。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 研究指導所の農務の企画を申し上げますと、生産の中には農畜商工水に関した研究指導をして居り、農務の企画に基づいて具体的なことをして居るわけです。
○下地敏之君 政府への意向ですが、経済の事務分担表によると生産課は五つに分かれているが、課を独立させることによって二人位或は三名の課を設置せねばならないように考へる官庁機構はどうなりますか。
○砂川玄仁君 現在の機構はこれでよいが尚又自立経済か有畜農業でなくてはならぬ、今日どうしても農林課をその機構の中に織り込むかどうかしてやる必要があると思う。第二回目の議会でも、その必要性が説かれてある筈です。そのへんの見解も欲しい。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 現在の経済部の機構は休会中でも申し上げて生産面の綜合性を持たせて、最少限度の人間で最大能率を上げようと思いまして編成をしたわけですが、私の考え方が偏重の所があったかも知りません。行政面の指導教育、自立経済を推進することによって、経済計画面と指導面とに不調和の点があります。農産加工をして増産することにより、自立経済の基盤であるところの輸出産業の進行(振興カ)は出来て外貨も多く入ると思います。沖縄に持って行った自立経済計画書は数字とか字句の訂正等もすみまして提出してあります。課にどれだけの人間を置いて行くと云うことは、私からどうしようこうしようとは申し上げられません。
○砂川玄仁君 自立経済を樹立して行くのに実際之でよいのか。
○副知事(東風平惠令君) 敏之さんから二人、三人の課を設置につきまして御話がありましたが、現在政府内にも二人、三人の課は多いようであります。
○下地敏之君 人員の問題です。
 具体的に云えばですね農林省から出る職員もある。根本方針を決めてかからねば議員としてはどうもならない。
○渡久山知照君 戦前より農業指導者が少ないと思う。
○経済部長(眞喜屋惠義君) 少ないことは痛感して居ります。
○玉城玄教君 吾々委員会がこれを採択をするかどうかを知事に報告すれば、知事として考えられるでせう。知事は適当に処置をするでせう。
○委員長(福里芳央君) 会議規則に会議に附すべきか、会議に附するのかを採択をすればよいのですか。
 採択することにして議会に報告します。
  (「賛成」の声あり)(全員一致)(別紙報告書の通り)
○知事(西原雅一君) この問題につきましては、経済部の組織に関しては現在皆様方の御意見の通りであります。大変妥当だと思います。現在の予算では困難であります。農業研究指導所の補助並に農林省の予算も変って来ますので、幸いに之が決定しましたら見通しがついてくるのではないかと考えて居ります。
 本委員会に於ては、皆様御賛成のようですから議会に報告して下さい。
○嵩原惠典君 三課分立でなく併合した方がよいと思う。

○委員長(下地敏之君) 闘鶏場問題から御意見をお願いします。
 第四条の一項を撤廃して貰い度いようです。
○嵩原惠典君 去った議会に闘鶏の取締については五番議員の貴君が動議を持出し、それが可決して、公布されているも二、三ヶ月してこれを云々する。其の後の御心情を伺い度い。
○委員長(下地敏之君) 委員長として意見を述べる必要はありません。
○砂川玄仁君 第二回臨時議会で五番議員の意見で追加されたものである。議会側から提案したもので議会としての威信と云ふか、其の辺の関係はどうなるか闘鶏場取締が出来まして取締はどうか、警察から報告して下さい。
○玉城玄教君 闘鶏場取締規則が出来てどう取締りをしているか業者が之に対する態度、その他の事について伺い度い。
○警察本部長(砂川武俊君) 闘鶏取締規則が去る十二月二十二日より施行せられ、前の警察部長が直ちに実施しては業者が困るからと云うので取締を一ヶ月間の余裕を与へ施設その他の改善をうながして来ました。所が依然として何等の処置もしなかったのであります。
 私は一月十五日附本部長代理を命ぜられ、一月二十七日附で一月末までに善後策を講ずるよう警告を発しましたが、二月に入っても矢張り同じ事をして居るとの風評を聞きまして二月七日業者を集めまして、其の儘の形態では出来ないからと反省をうながして帰しましたが、矢張り続行して居るので、改善の余地なしと認め二月の中旬頃一斉に闘鶏場を臨検しまして、其れを検挙しまして、企業免許事務所長に連絡しまして十五日間の営業停止を致しました。司法処置に関しては検事と相談中です。
 附加えますと鳥券を売らず入場券だけでは維持出来ないようです。
○福里芳夫君 闘鶏取締規則の所以は皆様も御承知の通り、生産拡充の面から弊害があると云う警察部長の報告によって作られたものと思う。善い仕事は指導育成の必要があるでせうが、業者が困る困らんは考える暇はない。依ってこのまま許した場合世論はどうか。前には弊害があると云うことで取締規則を制定した筈ですが。
○警察本部長(砂川武俊君) 勿論元の通りにすれば弊害が生じて来ます。民衆の声を聞いて皆さん方で慎重審議して貰い度いと思います。
○池城朝清君 闘鶏場はどんなものであると云う事を知って企業免許所は免許した筈と思いますが、民衆のそれによる弊害があると云う事は結局免許した方が悪いか、それともそれに引っかかる民衆が悪いのか、自覚を待つより他はない。闘鶏場は入場券だけでは維持出来ぬ。闘鶏場、其の他遊戯場はどう云う関係であるか、之は議会に附すべきものであると思います。
○玉城玄教君 規定の一部を改正してくれと陳情書にありますが如何に為すべきか、吾々が規則を制定し之を改正してどんな結果になるか、どんな弊害が起るかを十二分に研究しなければならない。鳥券の販売禁止は一般及業者にどんな結果をもたらしているか、ざっくばらんに云うてよいと思います。
○砂川玄仁君 企業は個人の自由ではあるが、これを復活した場合の弊害はどうか、私は採択を要しない、要しないと考える。
○委員長(下地敏之君) 議会に報告すべきもの、議会に報告を要せないとありますが。
○福里芳夫君 鳥券を売らすと、弊害があると予想されたら採択の必要がないと思う。
○福嶺紀仁君 議会の権威もあり、取締規則を制定してから一ヶ月後の話でありまして採択の必要はないと思います。
○嵩原惠典君 議会の権威と云々は考えるべきものでない。一般民衆の為なら善悪を考える必要なく、善は善、悪は悪とはっきりせねばならない。不採択にすべきものと考えます。
○委員長(下地敏之君) 表決を致します。
 議会の会議に附せない者 六名採択を要する者 二名(渡久山君、池城君)
 委員会の意向としては会議に附するを要しないと云う事に決定します。
○委員長(下地敏之君) 次に理髪組合の陳情書についてお諮り致します。第一に県令を改正して貰い度い。条例を改廃して貰い度い。サービス税を廃して貰い度いと云う内容になって居ります。
○嵩原惠典君 文教部長にお聞きし度い。理髪学校の実態を聞かせて貰い度い。
○警察本部長(砂川武俊君) 大学院は理髪屋の名称でありまして学校ではありません。依って取締も一般業者と同様であります。
○文教部長(垣花惠昌君) 理髪学校は一九四六年四月十九日当時島袋支庁長が認可して居られます。終戦日浅くて理髪業者が少なくありまして、其の為大衆が無駄の時間を空費して居りました。理髪学校は其の徳性を涵養し立派な理髪師を養成せしむると云う意味で認可申請して居ります。私が文教部長に就任しましてから学校経営の目的に反し営業化をして居ると云う一般業者の声を聞き実際営業化しているかどうかを見るべく一月の二十日に学校に参り視察をしまして、学校は学校らしく学則の通り授業をして貰い度いと希望し左の点を指摘しました。
 (一) 学校に必要な諸帳簿の完備をすること。
 (二) 学籍簿と除籍簿の整備をすること。
 (三) 予算の編成について、営業化していると云う風評があるから文教部にも報告すること。
 (四) 研究生が居りまして、四分六分の配当を受けて居る、これはよくない。予算化すること。
 (五) 教師には教師らしい俸給を上げて貰い度い。
 (六) 教師の任免も監督官庁に届出て貰い度い。
 (七) 学則の変更についても監督官庁の許可を受けて貰い度い。
 (八) 入学資格は中卒にして貰い度い。
 (九) 会計関係証憑書類はきちんと整理して貰い度い。
 学校として之以上増えると困ると思いまして認可をしない事にして居ります。学校生徒の試験合格者も多数出して居り折角五ヶ年間学校として民衆の為料金も少なくしてやっているし、学則通りすれば現在のまま続行してもよいと思います。業者が多くなければその時又考える。
 右の注意事項を遵守して学校経営に遺憾のないよう学校長に申し伝えて置きました。
○池城朝清君 賃銀の統制をやれと云う条文がありますか。
○警察本部長(砂川武俊君) どうしても強制組合である関係上、料金に変更をしても総て認可を受けるようになって居ります。私の方からも色々意見書を出して居りますが、其れが実行出来ない。中には大人十五円で散髪して違反になってもよいと云う考えを以て営業する所もあるやうです。組合規則に罰則がないからしかたがない。規定の改廃するまでは、料金を安くして洗頭(髪カ)して下さると云う所もある。之で私の方として世論調査も致しましたのであります。
 (一) 皮膚病を感染したもの 一一件
 (二) 希望事項として料金を安くしてくれ 七七件
 (三) 理髪師の衛生思想を向上して貰い度い。
 (四) 組合を解散し度い。
 (五) 組合の規程から逃れて競争で行き度い。
○砂川玄仁君 理髪学校は一月二十日に視察をして学則其の他に注意をして来た。色々と揃えてなかったので整理させてあるとのことですね。
○文教部長(垣花惠昌君) 全然ないわけではなく不揃いと云うだけです。
○砂川玄仁君 企業は自由である以上組合のわくを取りはずした方がよいと思う。
○池城朝清君 組合解散すれば衛生的その他民衆は勿論当局としても困ると思い県令を改正した方がよいと思う、組合の在知(存置カ)の必要は賃銀の統制だと思はれます。
○砂川玄仁君 組合の在知(存置カ)の必要は賃銀の統制と思はれます。採択すべきものだと思います。
  (全員「賛成」の声あり)
○平良金一君 組合解散して衛生其の他取締りはどうか。
○嵩原惠典君 文教部長が認めて居るからよいでせう。
○警察本部長(砂川武俊君) 不便な点はあるが取締りには変りはないでせう。
○委員長(下地敏之君) 理髪組合から出た陳情書は採択致します。之で委員長の務めは終りました。
○議長(玉城玄教君) 休会します。(午後一時三十分)

○議長(玉城玄教君) 開会します。(午後一時四十分)
 一九五〇年度一般会計追加更正予算について説明して下さい。
 歳出の方から説明して下さい。
○財政部長(島田文雄君) 追加予算に対し説明致します。(別紙の通り)
○事業局長(小禄良雄君) 追加予算に対し説明致します。(別紙の通り)
○直営農場長(大城喜助君) 歳出更正予算に対し説明致します。(別紙の通り)
○副知事(東風平惠令君) 復興調査費の内知事就任式の費用に支出しました。
◎議長(玉城玄教君) これより開会します。(本会議)(午後二時二十分)
 全員出席して居ります。
◎砂川玄仁君 私は今回宮古民政官府長ポーター大佐殿に対し群島議会の名に於て感謝状を差上げ度いと思います。
 理由 大佐にはあらゆる方面から懇切丁寧に御指導なされ殊に輸送食料配給等はスムーズになって来て居ります。第三、四期の復興工事費も取れないものと憂慮して居りましたが、之も貰えるようになりました事は大佐殿の御尽力の賜と思って居りますので、新年度の劈頭感謝状を差上げ度いと思います。
◎議長(玉城玄教君) 只今砂川玄仁君から議会の名によって感謝状を贈呈致し度いと動議がありますが如何ですか。
  (全員「賛成」の声あり)
◎砂川玄仁君 感謝状の文面については、議長に一任し度いと思います。
◎議長(玉城玄教君) 感謝状の作成は議長に一任と云う事ですが、文案の成案を得まして皆さんのお集りをお願いし度いと思います。
 議案第二十八号、第二十九号、第三十号、追加更正予算を一括上程します。
◎砂川玄仁君 議案第二十八号、第二十九号、第三十号、一九五〇年度追加更正予算は実行予算でありまして、午前中研究会席上に於て審議しました通り読会省略確定議に致し度いと思います。
  (「賛成」の声あり)
◎議長(玉城玄教君) 其れでは議案第二十八号、第二十九号、第三十号は読会省略、確定議に致します。之で散会を致しまして、明日は残りの議案に付いて第一読会を致します。
○知事(西原雅一君) 議案を審議下さいまして誠に有難う御座います。尚ポーター民政官殿に対する感謝状を贈呈することについても有難う御座います。(午後二時二十五分)
上へ戻る