戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年07月27日 
(昭和26年)
会議名
第1回立法院本会議 1951年7月27日
議事録
第一回立法院本会議会議録
        第三十七日目

 一九五一年七月二十七日(金曜日)午後一時四十四分開議

議事日程
 一、主席メッセージ第十三号文教局の設置

○仮議長(松田賀哲君) ではこれから本会議を開きたいと思います。議題は行政主席のメッセージ第十三号が参っておりますのでそれについてであります。一応読んで見ます。
  (仮議長松田賀哲君「主席メッセージ第十三号ならびに添附書類七月二十五日附民政府通牒文教局」を朗読)
○仮議長(松田賀哲君) これが来ていますが添書の中の括弧が抜けているようです。それを入れていただきます。括弧というのはA項の全琉的教育施設の管理ならびに監督となっていますがその次が抜けています。その次は括弧して但し琉球大学を除く括弧で終っています。
○吉元榮光君 B項の二行目のこれは及びですか又ですか。
○仮議長(松田賀哲君) 及びです。これは本文と違っているね。原文はB項を読みますと教授及び管理の一般的標準を定める統一的な琉球教育法の制定に必要な調査に従事すること及び行政責任の根本的な区分をなすこととなっており次に民政副長官の命によりとなっています。
 えーこれはどう致しましょうか。このメッセージそのものには質問という程のこともなかろうと思いますが向うの添書の方の文書に質疑のような点もあると思うんですがどんなもんでしょうか。
○城間盛善君 この民政府発の文のB項の下ですが翻訳に間違いがあるんじゃないかと思います。原文では行政責任の最後に於ける再分配をなす事となっております。然しそれにしてもこの文自体が区分をなすこと、この行政責任の再区分を文教局が実施することになるのですがB項の上段では調査するとなっております。それが後の方は行政責任の区分という実施面まで来ているのですがそうなると現在群島政府の所管している権限までタッチするということになりそうです。そこの所をも一度確める必要があると思うのです。
 つまりB項上段では教育法制定に必要な調査をすればよい訳です。それと同じように将来あるべき行政責任の区分の調査研究に従事するなら問題はありませんが実際面で再区分を実施するなら群島政府の責任までタッチしなければならないという意味だろうか。この辺をはっきりさせないと具合が悪いんじゃないですかね。
○仮議長(松田賀哲君) そこでそれについては一応当局の御説明をお願いしたらどうかと思いますがそう致しませうか。
○吉元榮光君 賛成ですね。
○仮議長(松田賀哲君) では一つお願いします。
○仮文教局長(ママ)(奥田愛正君) ちょっと御説明いたします。今の分だけですか。
○仮議長(松田賀哲君) A項もB項もお願いします。A項も…。
○嘉陽安春君 同時に今までの軍との折衝経過もお願したいですが…。
○仮文教局長(ママ)(奥田愛正君) 先週全員協議会に於て文教局設置の根拠がないというお話しだったので当日民政府に参りまして係官と折衝したのであります。たまたまアーレン大佐が通りかかられ係官と話した結果そういう根拠なるものはいらないということだったのです。その日に大城さんは法律顧問の方と話してどうしても必要だという見解だったのです。翌日さらに折衝しますと軍では打合せた結果立法院としては法的根拠が必要であるという結論に達しまして従って早めに指令を出すということでありまして一昨日これが出たのであります。以上が指令が出るまでの経過であります。
 この指令の書簡の内容については充分はっきりしないので昨日大城さんにお願いして一緒に行って説明を伺ったのですが大体それでよかろうというので今日メッセージを出してもらったのであります。A項の方は琉大を除く全琉的教育施設となっていますが全琉的な教育施設とは何かという質問に対して現在琉大を除く全琉的教育施設はない。これは将来設置さるべき特殊教育施設の如きものを指すということであります。御承知の通り琉大は布令第三十号によって設置されていますが琉大はカレッジの他に放送局、印刷局、文化情報教育部などの運営維持に当るという機関になっているのであります。
 そういう意味から結局現在に於ける全琉的教育施設はありませんが将来設置を予想される特殊教育施設を指しているということであります。
 B項の教授及び管理、教授というのは大体大きく教育運営という意味とこの調査に従う、この意味は立法手続きも含む調査研究の意味であります。
 次の行政責任の根本的区分、これは先程お話しがありましたがこれは最後的再区分をもたらすという事で結局法規の制定によってそういう中央、群島、地方の行政責任の根本的区分をしなければならないという意味に解しています。無論これは法規が制定されて実施されることと思います。結局行政の管理権と責任の縦の線を明確にしようという意味であります。
 以上が大体の局の説明であります。ここで申上げます調査ということは立法手続を含む調査研究であると思います。再区分というのは沖縄を除く三群島は教育委員会がないのでそのためわざわざ再区分という言葉で示していると思います。
○嘉陽安春君 再分配がはっきりするですね。中央はどれだけか群島はいくらか、市町村にはどれだけ与えるか、行政事務の分配という観念と思いますがね。
○城間盛善君 英文から見て教育面に於ける行政的再区分は将来どんな風に配置されるべきか再分配を計劃という意味だろう。
○與儀達敏君 議長、協議会に移したら。
○仮議長(松田賀哲君) 研究会に移してよいですか。
○吉元榮光君 それがよいですよ。
○仮議長(松田賀哲君) では協議会に移します。
  (午後二時五分協議会)
  (午後三時三十五分再開)
○仮議長(松田賀哲君) 本会議を再開します。このメッセージに付随して民政官からの通牒が来ていますがこの文面についていろいろ疑問がありますのでその点をもう一度軍にただしてその上でこれは審議したいと思いますがどんなもんでしょうか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○仮議長(松田賀哲君) 所がそのただす文面ですがそこを一つ記録を読んで下さいませんか。
  (文教局長に向って)
○文教局長(奥田愛正君) B項の行政責任の再区分ということも教授及び管理の一般的標準を定める統一的琉球教育法の制定と同じような意味でその必要な調査に従事するという意味であるかを文書で示すのですね。
 それから実施面については恒久政府が樹立されてから実施されるものであるか…。
○仮議長(松田賀哲君) 調査研究だけにとどまって後の法規の制定などは別問題であるかどうかも…。
○文教局長(奥田愛正君) はいはい。
○仮議長(松田賀哲君) さらに別問題でないとすると群島政府の権限に立入るような事は聴かんでもいいですかね。その程度でどうでございますか。
○文教局長(奥田愛正君) 文教局というものは結局恒久政府に移るまでの法規の調査研究にあたるのであるかどうかを明示すればよいと思いますが…。
○仮議長(松田賀哲君) ではそういうことに致しますか。
  (「異議なし」の声あり)
○仮議長(松田賀哲君) 他に何か動議はありませんか。
○仮議長(松田賀哲君) ではこれで本会議を終ります。
  (午後三時四十分閉議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
   参 議  大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
   文教局長 奥田 愛正君
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