戦後初期会議録

組織名
宮古議会
開催日
1948年07月31日 
(昭和23年)
会議名
第8回宮古議会[5]
議事録
  一九四八年七月三十一日
  午後三時四十五分宮古民政府に於て本会議再開さる
◎議長(與儀達敏) 開会致します
  (次で書記全員出席の旨報告)
◎二十一番(玉城玄教) 今度の上程議案全部に対し研究会に於て検討の結果、聊かの希望を述べて三読会に移りたいと思ひます
 議案第三十七号は実に厖大な予算であるが総て本郡建設に対してもっとも有効適切な事業であると思ひます
 猶提案中に増俸問題があるが現在の官公吏の生活に対しては大いに同情致します、然るにこれに酬ひることの出来ない財政では如何とも為し難く遺憾に思ふ次第であります、然し俸給生活者の悩みは本郡ばかりでなく日本本土に於ても然りでどこでもこれが解決に腐心しているのでありまして如何ともなし難いものであります、待遇改善についてはいろいろの方法がありますが増俸ばかりでは到底解決は不可能であります、本議会に於ける五割増俸は差当り全面的に優遇改善に対する郡民の熱意、親心の現れであると思って戴きたい
 予算を動かすものは人であり、人を動かすものは和でありまして知事は部下職員の指導をよくされまして軍政府の命令は郡のすみずみまで周知せしめる様万全を期して戴きたい
 議案第三十八号モータープールの予算についてはいろいろ研討(ママ)の結果老朽車の活用が業務遂行上もっとも重大なことと思ひます
 更に運転手の訓練に気をつけて運用に遺憾無きを期せられ度い議案第三十九号に対しては庶民に対する金融機関であるからこの事務に携はる者は懇切丁寧をモットーとして質物を持って来るのを余り好まないと云ふことを斟酌して八万郡民によりよく利用出来ることを考慮して初期の目的を達成せられ度い
 議案第四十二号は本郡復興の鍵でこれの成功如何によって生活面に重大な関係をもたらすのであります、これに対しては民政府は勿論郡民全体がこれの成功に全智全能を発揮して万全期する様希望します
 議案第四十四号については明るい電灯と朝一時間の点灯を与ふる限り実施し久松方面への送電も早急に実現されたい、以上申上げて提出議案第三十七号より四十五号まで原案通り読会省略で確定致したい
◎議長(與儀達敏) 只今二十一番より議案第三十七号より四十五号まで原案通り読会省略で確定したいと云ふ動議がありますが御異議はありませんか
  (全員「異議なし」を云ふ)
 御異議ないやうですからその儘確定議に附します、何か外に希望はありませんか
◎二十一番(玉城玄教) 具志堅知事に対し感謝状贈呈の動議を致します、具志堅知事は就任以来本郡復興のため物心両面に亙り本郡の各種施設に対し日夜健闘され吾々議員はこの働きに対し全員満腔の感謝と敬意を表するものであります、その現れとして各地から知事の功績を賞讃する言葉が送られているのであります
 愈々立法部設置の布告も出て吾々もこの議会を去る日も遠くないのでありまして共に本郡建設に全面的協力をして来た吾々として断腸の思を致すのであります、吾々は吾々の意志を現すと云ふ熱意を持ちまして全郡民にかわり議会の名に於て感謝状を知事に贈呈致したい、何卒全員の御賛同をお願ひします
  (全員賛成す)
◎議長(與儀達敏) 只今二十一番より知事に対して感謝状を贈呈したいと云ふ動議がありますが御異議はありませんか
  (全員「異議なし」を云ふ)
◎議長(與儀達敏) 御異議ない様ですから文案の審議を致します
  (議長文案を朗読す)
  感 謝 状
 宮古知事 具志堅宗精殿
戦後ノ建設途上ノ重大期ニ於テ貴下ハ宮古知事トシテ其ノ豊富ナル経綸ト旺盛ナル実践力ヲ以テ克ク部内ヲ統率シ米国軍政ニ協力日夜至難ナル復興ヲ鋭意推進シ障害ヲ克服シテ各般ノ施設ヲ創意拡充シ以テ楽土宮古ノ基礎ヲ培ヒ其ノ溌刺タル進展寔ニ期待大ナルモノアルハ島民斉シク感謝ニ堪エザル所茲ニ議会ノ決議ヲ以テ深甚ナル感謝ノ意ヲ表ス
 一九四八年七月三十一日
    宮 古 議 会
 この文案に御異議はありませんですか
  (全員「異議なし」を云ふ)
 御異議ないやうですから全員起立を以て決定します
  (文案を再び朗読す、全員起立し拍手を以て決定す、議長感謝状を知事に贈呈す)
◎知事(具志堅宗精) 御挨拶申上げます、去る二十六日第八回議会招集以来みなさんには炎天下にも拘はらず非常なる熱意を持ってこの厖大予算審議に当られ、且つ有益なる御指導を戴き又只今は無事に原案通りの御決議を下さいまして誠に感謝に堪えません
 二十一番議員の御意見御希望はもっともでありまして増俸については八万郡民の御芳志に対し感謝致して居ります
 役人は先憂後楽の心構へを建前として公僕として任務を全うするは勿論だが職務の余暇を利用して増産休業等を活用して生活改善にも留意して皆さんの御期待にも副ひたい
 猶人の和が建設上もっとも重大であることは私としても身に沁みて感じております、庁員一致団結して軍政府、民政府の施策遂行に努力致します
 モータープールについては職員の採用毎に車は公の財産であるから自分の子供を可愛がる様に愛せよと訓辞もしておりましてこの心構へで御期待に副ひたいと思ひます
 公益質屋についても同感であります、川満君にもこれは庶民のための機関であり親切丁寧に相手の心を害せん様にと注意し郡的に利用せしめる様万遺憾なきを期しています
 復興事業は郡の運命に関係する大事業でこれも関係部課職員とも慎重に協議しています、幸にして予算も通りこの上は軍政府の支援を得て本事業遂行に邁進したい、電業部の明るい電灯の供給は勿論でありますが全郡電化の期待に副ひたい、要するに西表の事業、水道の問題、慈善病院の拡充等の予算は貰ったが物がなくてはなにもならんので物を獲得する為一層の努力はこれからでこれを非常に心配しています、非常食糧対策費の一、〇〇〇、〇〇〇円もさうであるが予算の消化には庁員一団となって死力を尽して御期待に副ひたいが又一面からは皆様の御支援を仰ぎ度いと思っています
 只今は又議会の名に於て感謝状を戴き恐縮し誠に感謝に堪えない次第で御座います、これは自分一人力でなく皆さんの御支援と軍政府の援助並に総務部長以下全庁員の力でありましてこれは私が全職員を代表すると云ふ意味で戴き度い、これは子孫に家宝として残したい所存であります、今後共皆さんの御援助を戴きまして更に大馬力を掛け楽土建設に邁進し御芳志に酬ひたいと考へています、本当に有難う御座いました
◎議長(與儀達敏) 提出議案これで全部終えました、開会以来提出議案に対し慎重なる御審議と民政府の政策を検討された皆様の熱意に対し敬意を表すると共に本郡の政治が立派に進展することをお祈りします
 これを以て第八回議会を閉じます(午後四時十五分)

 一九四八年七月三十一日
 宮古議会議長 與儀 達敏(印)
   議会議員 嵩原 重夫(印)
   議会議員 福嶺 紀仁(印)
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