戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年04月28日 
(昭和26年)
会議名
第7回沖縄群島議会(臨時会) 1951年4月28日
議事録
 一九五一年四月二十八日午前十時十分開会
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十五名、欠席五名であります。

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第十一号
 第一、沖縄群島学校教育条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十一号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、沖縄群島学校教育条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第四十一号)

◎文教部長(屋良朝苗君) 御審議に入ります前に誤植並に字句を訂正する箇所がありますので訂正いたします。
◎研究調査課長(安里彦紀君) 第三十一条の一番初めに公共団体という四つの字句を町村という風に訂正ねがいます。三十条の下のところの一行目のところに公共団体とありますのを市町村と訂正、市町村学校組合という風になります。第三十六条の一項教育の目標を充分に達成しの下に社会という文句と達成しての間に全琉球及びという文句がありますが、これは抹消していただきます。第四十二条の第一項の第一行目の下に同じく全琉球及びとあります、五つの文句を消していただきたい。第四十八条の二行目に群島知事とあるのを監督庁に訂正願います。第六十条の一行目に幼稚園に入園することが出来る者満三歳となっているのを満四歳に訂正ねがいます。第六十七条の括弧の中に第六十四条とありますのを第六十三条に訂正願います。第七十条の一行目同様に第六十四条とありますのを第六十三条と訂正願います。
○議長(知花高直君) 本議題の質疑に入ります。
◎玉城泰一君 第四十四条の規定に依りますと、高等学校には勤労青年のために夜間において授業を行う課程、又は特別の時期及び時間において授業を行う課程を設置することができるという規定になっておりますが、勤労青年に対する高等教育の機会均等という立場からもっとも重要な規定だと思います。特に沖縄では軍作業にでている青年が多いので、是非これが実現を希望するのであります。勿論文教当局では、その必要を認めて、この条文を制定したいと思いますが、近き将来において、これを実現する御方針であるか、知事の答弁をお願いします。
○文教部長(屋良朝苗君) このことにつきましては只今九番議員からも御説明がありました通り、教育基本法の条例を煎じつめて考えると、どうしてもそこまで機会均等を何れ考えなければならない。ところが本年は予算もすでに決っておりますから本年中には実現できないと思いますが、将来この事柄はどうしてもお願いして実現しなければならんのじゃないかと考えております。
  (与儀清秀君出席)
◎宮城久栄君 従来、小学校、国民学校時代には義務教育の施行について重要な部分である学齢簿を市町村役所に備えつけて、その責任を明らかにして卒業してから卒業生に身分証明の基礎となる学籍簿を学校の責任において備えつけておったが、これがここでは表われてないが、学籍簿は如何なる形式で表わすか。二番は従来の学校令には教員の進退処罰を規定して、そしてその条項にてらして休職、退職或は譴責、減俸、免職、免許状を褫奪というものが、明らかにされていたが如何なる形式で表わしているか。三番は従来国民学校令に教員免許規定が検定委員会を組織して教員免許の規定か設けられていたが、これもこの条例には表われておりません。この三つの事項を伺いたい。
○文教部長(屋良朝苗君) 学齢簿、学籍簿の件につきましては、次の文教部として規定しますところの施行規程の中に制定いたします。次の職員の人事に関することについては公務員法に出て来なければならんと思っております。日本では公務員法の中に出て公務員特例法というのを文教部で作らなければならんと思っておりますが、その中に謳われると思っております。免許証に関しては免許証条例を制定するつもりであります。そのときにお諮り致します。
◎仲村栄春君 第二十五条、第四十条において就学困難と認められる学齢児童の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならないと規定されているが、これは戦前の義務教育奨励費に当るものだと思われますが、この義務教育奨励費は戦前国庫において支出されていたと思われますが、現在の市町村財政状態を以ってしては条文に明記されていても、おそらく困難と思われますが、この義務教育費に相当する援助は群島知事が当然責任を負うべきものと解せられるが、その点に対する見解を一つ。
○文教部長(屋良朝苗君) これは従来は学齢児童就学奨励規程なるものが昭和三年に文部省訓令として出ているのであります。それに該当するのでありますが、これはどうしても今の教育思潮、殊に教育基本条例の建前から押し進めていきますというと教育民主化の面から押し進めると、これはやはり市町村が援助を与えなければならないものと解釈していますが、今の沖縄の現状にてらすと、それが多額の金に上るという見透しはあり得ないという見透しを以てやっております。殊に援助というものは学用品、被服、食糧、或は給料というのがあるが、主として援助を与えられるべき性質のものは教科書、学用品だと思っております。どうしても市町村が不可能のときは社会事業課あたりでお願いし、これをやって行こう、しかし、市町村側からやる制度とした方が基本条例の趣旨を徹底することにもなると考えております。
◎祖根宗春君 ここに校長、教頭、教諭或は助教諭とか、そういった字句が各種目に出ているが、しかし現在の沖縄では教官とか教官補とかいうことを使っているが、これが議決になったら、すぐ教諭とか助教諭とかに直すのか、その辺を伺いたい。それから組合立の学校のことでありますが、この組合立学校の経費の分担は中央の方で比率を分担される必要があると思うが、その点。それからここに出ている監督庁とは群島知事と解釈してよいか、その点。それから学校教育法、施行規則、私立学校法、社会教育法、教育公務員特例法とか、これに関連する規程、規則をまだ今後つくられる御意志があるか、その意志があれば何時頃になるか、その点。それから学校関係の条例は吾々の希望としては一回の会期の中に総べてをひっくるめて全部やってほしかったが、前回の議会にやって今回もやって更に残ったのは次の議会にやる、同じ学校の教育法規関係を何回か議会にわけて議決して施行することは施行の時期が遅くなる、なるべくそういうことは一括して貰いたかったが、これが分割提案される点を伺いたい。
○文教部長(屋良朝苗君) 第一の御質問に教官、教官補を教諭、助教諭にふりかえられるということは、この条例が制定されると直ちに切り替えたいと思っている。これは既に日本でもそうなっているが、大島、宮古、八重山でもそうなっていまして、教官というのは一般の先生方が曾ての軍国主義的な点から非常に替えたいという風な要望もありますので、又私たちもそれを適当と思いますので、それを替えたいと思います。それから組合立の学校の経費の分担については、今の御質問で気がつきましたがまだ考えておりません。今のところ組合立の学校はできておりませんので支障はありませんが、これも考慮したいと思います。次ぎは監督庁はこれは、窮極の監督庁は群島知事という風に御解釈願いたい。しかし時には文教部長が監督庁になることもありますし、また教育長が監督庁になるときもあり得ることもあります。これは弾力性を持たせることにしたいと思います。施行規則その他に関連いたしまして間もなく制定したいと思います。これはしかし先程の御質問と関連して、ほんとうならばこれは一括して出すべき性質のものと思います。これは御説の通りでありますが、しかしどうしても間に合わなかったのであります。間に合わないからといって、全部これを吾々が案を練ってから出すと時期が遅れ支障を来たすことになります。非常な必要に迫られておりますので例えば学校教育条例は一日も早く出しておかなければならんといったところでした訳であります。御説の通りこれは一括して出すべき性質のものであると思います。今後のものにつきましては吾々の案ができ次第、この次の教育条例という風にお願いしなければならんと、こういう風に思っております。
◎祖根宗春君 組合立の学校は久米島に戦前からあって、現在も存置しておりまして経費の問題で関係村当局がいろいろな意見の対立を来たすので早急に制定していただきたいと思う。幼稚園は群島政府の経費で賄う御意志があるかどうか。吾々としてはそういう風にしていただきたいという希望を持っているが当局の御見解を承りたい。
○文教部長(屋良朝苗君) 只今の組合立学校があるとすればこれは学校教育条例の第五条学校の設立者はその設置する学校を管理し、その学校の経費の負担は左の通り定める。即ち設置者が負担するという規定になっております。それに依ってはいかんのでありましょうか。例えば組合が法人として学校を設置することが認められているから、それが負担をする。その組合がどうして分けて負担するかということになるのですが。
◎祖根宗春君 これは出来れば中央の方で比率を児童数に按分するとか、村の人口或は財政の状態に一定の基準を持たせた方が設置申請の場合に都合がよいと思いますが、もし中央で、それを決めなければ設置者の決め方でよいと思いますが、しかし全島的に今後こういう組合立ができると思うが、一応群島政府としても当局案は持っている方がよいんじゃないかと思いますが。
○文教部長(屋良朝苗君) 必要とあれば持ってもよいと思いますが、しかし私どもとしては飽くまで、こういうものは地方分権の建前から少くとも自主的にそこで制定すべきものではないかと解釈します。幼稚園については今のところ群島政府もちにはいかんのじゃないかと私、考えております。
◎平良幸市君 第二十六条についてお伺い致します。第二十六条に謳われている公共団体は市町村及び組合、両方含まれているものと解釈するが、そういった場合に管理機関をその長たるものだと解釈しているが、そうなった場合に伝染病若しくは性行不良といった場合に出席停止はその人々に依って命じることができるようになっていますが、病気の場合も性行不良の場合も両方ともその患者に出席を停止することができるので学校長としてはどうすることもできないが、この伝染病は従来の日本法規の法定伝染病をそのまま用いられるのか、或は他にこれに関するものを設定される考えであるか、これについて。
○文教部長(屋良朝苗君) 只今の公共団体、初等学校の管理如何というのは今の御説の通りであります。戦前は、これは学校長の権限に属しておったそうでありますが、こういうものは将来、教育委員会というものが軌道に乗るというと教育委員会が管理するということになるのであります。それで形式の上からは市町村長或は組合長がやることになっておっても実際は校長と一体となって処理さるべき性質のものであるし、寧ろこうしてやった方が校長一存でやったよりは合理的にいける。また町村の学校管理に対しては地区教育委員会が指導助言することになっているので市町村長が政治的にどうするという心配は除かれるという風に考えております。将来、これは教育委員会に移るべき権限のものである。伝染病については従来の伝染病というものを考えておりますが、いま御質問で気がついたので厚生部の規定に依ってやっていきたいと思っております。
◎新城徳助君 十八条の一から八まで箇条書として目標を示してありますが、これは学校教育ということで、社会教育とは別な趣を持つものと思います。それを見てみますと社会教育と学校教育とが区別が判然しないような気がするが、私は学校教育というものの在り方、つまり特定の教師と学徒の間に行われる教育或は学園の雰囲気等ということに対しても、ここに窺われんような気がいたしますが、社会教育なるものと学校教育なるものの区別をもう少し判然させていただくわけにはいかんだろうかと思いますが、その点に対してはこれは大体論ですが、それに対する部長の御意見をお願いします。
○文教部長(屋良朝苗君) 第十八条の一項から八項の間に初等学校における教科の基準が示されているのであります。即ち国語、社会、算数、音楽、数学、図画、工作、家庭、体育、自由研究、英語というものが示されているが、これは飽くまで初等学校の条例であって、尚社会教育とのけじめをつけろという御説は御尤もでありますが、社会教育条例というものは、やがて制定されると思います。その時に社会教育条例の性格がはっきりすると思っております。以上。
◎新城徳助君 よく分りました。
 ところが音楽、美術、文芸などについての基礎的な、例外ということがありますが、今の学校を見ると校舎がまずいせいもあるが、学園一帯が非常によい感じはしないのであります。花園を造ったり、そういうものも情操だと思いますが、それは希望でありますが、もう少し学校を綺麗にしていけないか、或はそういう精神を養うためにもう少し学童にそういうような本当の生きた美術教育を施したらどうかと思います。これを要望いたします。
○文教部長(屋良朝苗君) 今の御要望でありますが、このことにつきましては、私たち文教当局も痛切に考えておりまして、ただ学課のみではない、学課だけでは情操教育はできない、どうしても環境の持つ教育の力はよく分っていまして、学校の緑化とか或は美化、植樹などに依る環境整備は本年の文教部の大方針として去る全島校長会でもこれは審議致しています。また私もあっちこっちを廻って提案して各地区それぞれの構想の下に実施いたすことになっております。
◎宮城久栄君 従来の国民学校令には、市町村立とか公立という文句を使っていたが第三十一条にもあります。公共団体立、第三十六条の始めにも公共団体立とあるが、これは簡単明瞭に私立と対照し、公立という風に文句を書いたらよいと思いますが如何ですか。
○文教部長(屋良朝苗君) 公共団体立というのは直したと思いますが。
○宮城久栄君 第二十三条の三行目は。
○文教部長(屋良朝苗君) これは公共団体立初等学校の管理機関といたしましたのは公共団体立の中には例えば市町村立の学校もあるし、また組合立の学校もあったのでそれを一括したわけであります。
○宮城久栄君 それを公立で表わしたら具合悪いのですか。
○文教部長(屋良朝苗君) 公立初等学校となると今度は政府のということになりますが、あれも公立、これも公立にすると混同するという風に考えております。
◎石原昌淳君 本条例の中には市町村の学校設置の義務やら或は就学困難な児童に対する経費の援助義務など市町村に経費負担の義務規定方法にあるが、戦前の例によりますと、市町村制で市町村に経費負担を伴う義務を負わせることについて、法律、勅令に依るのでなければできないような規定を設けて市町村の自主権を確立することになっていましたが、寡聞にして私、現在の市町村制、群島組織法の中にもそういう明確な規定がないようでありますが、勿論この条例の中には市町村に初等学校、中等学校の設置義務を負わせることは是非必要だと思いますが、今先申上げたようなわけで市町村制にそういうような規定が明確にさるべきものであると思いますが今回市町村制の改正についても問題があるようでありますが、それについて是非その方面の用意を考えていただきたいと要望するのであります。それから第三十四条の私立の初等学校は監督官庁の所管に属するということになっておりますが、所管に属するということは経費一切を監督庁が、それは群島政府文教部だと解されるが、それの負担になるという意味になるわけですか。
○文教部長(屋良朝苗君) 学校の負担のことは教育条例の始めに設置者が負担するということがはっきり謳われておりますから問題はないと思いますが、これの監督というのは事務上の管理であります。
○総務副部長(稲嶺成珍君) 市町村制の方に学校の委任事務といいますか、これは現在の市町村制でも第二条で市町村は法人とする。市町村はその公共事務及び法令により市町村に属する事務を処理するということになっておりますので、群島条例に依って市町村に事務が委任された場合は第二条でできることになっておりますが、しかし第二条はいつも申上げる通り市町村の事務について例示的であって明示されていないので、よく論議の対象になります。例えばこの前の埋立問題でも明示されていないので議論になりましたが、吾々が準備しております改正法案につきましては、これに明記をしていきたいと思います。以上御説明申上げます。
◎仲村栄春君 第二十九条、第四十条におきまして、市町村はその区域内にある学生、児童を就学させるに必要な初等学校を設置しなければならん、また第五十四条には群島政府は心身に故障あるもののためにその区域内にある云々という言葉がありますので必要に応じて学校を建設しなければならん義務づけをされておりますが、第四章の高等学校においても逐次志願者が増加の傾向にありますが、この高等学校の規定の中にはこれが謳われてないのであります。当局は高等学校に関しては現状を維持せられるつもりであるか、或は学校の統合に対しての考えをもっておられるかどうか、伺いたい。
○文教部長(屋良朝苗君) 第二十九条は初等学校の設置義務をはっきりしているのであります。第五十四条は設置義務というのは特殊教育、心身故障者、盲聾唖者に対しては群島政府が義務を負うということになっている。その中の義務教育、初等学校の義務教育、特殊教育の中の義務教育は群島が負うことになっています。それから設置義務というものは今のところ義務教育の面についてのみ謳っているのでありまして、例えば高等学校、幼稚園は義務でないので群島でたててもよろしいし、学校組合でたててもよろしいし、市町村でたててもよろしいというのでありますから、別にこれは謳ってないのであります。
◎仲村栄春君 私が聞きたいことは第二十九条、第四十条、第五十四条においてはその必要に応ずる如く義務付けをされていますが、高等学校においては群島政府の義務付けがないのであります。必要に応ずる義務付けがないが、この義務付けがないのは、現状を維持されるつもりか、或は群島政府の経費の都合に依っては将来現状を更に減らすことに依って統合を考えていられるかどうかということであります。
○文教部長(屋良朝苗君) 必要といいますのは義務教育にのみ謳っているのであります。高等学校については義務教育でないから謳ってないが、高等学校を現状のままするかということは度々御質疑が出まして私は、これについて明らかにしているが高等学校の配置統合は考えておりません。今非常に機会均等で各地区は喜んでいまして、私どもとしてもそれ位の高等学校数は必要かと考えておりますが。
○議長(知花高直君) 御質問ありませんか。
◎宮城久栄君 第十八条四号に日常生活に必要な国語とありますが、小さいことですが講和会議後、万一米国の信託統治になった場合の国語は何をさすのですか。英語か、日本語か。
○文教部長(屋良朝苗君) 現在の言葉を指しているつもりであります。吾々の標準語をさしております。吾々の今標準語と言っているもの。日本語をさしているのであります。
◎宮城久栄君 帰属がどう決っても何時までも日本語を国語としますか。
○文教部長(屋良朝苗君) 帰属如何にかかわらず、私はそう思っております。この言葉を通して沖縄の文化建設をしていくのが妥当と思います。
◎新里銀三君 第十八条三号に日常生活に必要な衣、食、住、産業について云々とありますが、これは終戦後、今日まで各初等学校、中等学校及び高等学校に個人の田畑をたくさんとって生産科というものをつくって、相当の広範にわたる田畑を耕作しているが、この項目に当てはまるかも知れないが、将来これは地主の問題が出た場合に相当の小作料を負担しなければならないことになるが、この問題について如何なる方法でやるか、当局の御意向をききたい。更に第二十九条にあるところの市町村が初等学校を設置するとなっているが、将来これは恒久建物としてガリオア資金でやるのでなく、各初等学校の学校建設はみんなその町村が負担すべきであるか。
○文教部長(屋良朝苗君) この後の御質問からお答えしますが、それについては学校教育条例の設置について謳われておりますが、第五条一項に学校建築及び学校敷地に関する費用は群島立の学校においては群島政府が、その他においては設置者が負担するとある。但し当分の間は学校建築に関しては群島立並に公共団体の学校については総べて民政官府の補助金に依ってやるのでありますが、将来それが打ち切られた場合は、一段落ついたときは市町村で負担しなければならんと、この条例によって処理されるのであります。次ぎに土地のことでありますが、生産科が今使用している土地代ということでありましたが社会科、生産科といったものは是非必要でありますので、初等学校、中等学校、高等学校にしても或る程度の実習地は持たなければならんと思っております。私の考えているのは、その初等学校、中等学校においては、その市町村がこれを寧ろ提供していただけたらと、こういう風に考えております。高等学校についても欲をいいますならば、その設置されているところから提供されたらなお結構であるという虫のいいお願いをしているのであります。
◎新里銀三君 只今の学校設置について当分の間という言葉があるが、しかし来年七月でガリオア資金が一旦打ち切られるようになっております。学校建築が進捗しないと、その数は或る点においては完全に設置したところもあれば、或る学校においては、まだ一棟の新校舎もないところもあるが、その場合において、一旦打ち切られた場合はその市町村で全部負担しなければならんことになりますので、こういうことは最初の建設当時からやっておったが、色々事情があったので非常に片手落の感があります。政府で何とか埋めていく方法はないか。ない所は何とか政府の力で設置しなければ一般住民として虫が納まらないと思いますが。
○知事(平良辰雄君) 只今の質問にお答えします。大体、学校建築が片寄って公平にいってないためでそういう問題が起っています。吾々としてはこれをならすために努力しているが、これをならすことが出来ないと結局最後までいって不公平なことが生ずるが、由々しき問題になると考えて、そういう場合には全体の経費を以て群島の予算で以てつくるという方法も考えなければならんと思います。然しそれは将来の問題で現実の問題はそれをならそうと考えております。その点御了承願います。
◎祖根宗春君 教育者の政党加入並びに役員になれるかどうか、それから選挙活動にタッチ出来るかどうか、それに関する見解を承りたい。それから公務員法は何時頃出来る御予定であるか、知事の見解を伺いたい。教育者が選挙活動に乗り出したために学校教育をそっちのけにした例もあります。その具体的なものも知っております。それが延いては児童の学力低下の一つの因子をなしていることも、立派な例を知っているがために、この問題について当局の見解を承りたいと思っております。
○知事(平良辰雄君) これは前にもお話したと思いますが、近い中に公務員法の制定を吾々は予想している。最近軍の了解を得て行政課長が東京に行くように大体なっております。その際、色々その面も研究させたいと思うております。この面に対しては中央政府の仕事になるかも知れないが、一応吾々としては中央政府の性格がはっきりして、仕事、権限問題が分らない中は吾々として考えるべきだと思いますので、何れ日本の制度も取り入れて公務員法が出来なければそれに準じたものでも差当りつくるべく職員を派遣したいと考えております。左様御了承願います。
◎新里銀三君 学校教育条例が出来まして、立派な機構ができているが、これを運営する人である教員が最も実権を握ってよく運営し、立派な子供も育てていくのであるが、教育の任に当るところの学校教員の待遇問題は、これは他の官公吏と遜色のない待遇を今やっているのでしょうか。若しそうでなければ、早急に待遇を改善していただきたい。吾々の子弟をあずかっている教職者であり、更に沖縄の将来を担う子供の教育者でありますので、待遇をより以上にやってほしいことを希望して、その対策及び現在の状況をお伺いしたいと思います。更にもう一つは教員が生活に苦しいということでありますので後援会をつくっていたが現在これを続けているかどうか、若しやっておるとすればそれは継続するか打切るか。別に住民に重き負担をさせなくてもよいと思いますが、その点伺いたいと思います。
○文教部長(屋良朝苗君) 先程の御質問に政党との関係なんかもございましたが、私は教育者が政党あたりに個人の立場ならいざしらず、公人の立場で役員になることは適当でないと解釈いたしております。教壇の上から或は父兄をとうして呼び掛ける、学校という公の立場でやる、これに参加することもいけないと考えているが、然しながらそういう教育者が全然、政治に関係しないということも今後はあり得ないと思う。
 そういう立場を離れてよいのではないかと思うのであります。尤もそういうものの判断はどういう法規を調べてもはっきりしたことは謳われてないので、結局良心によって判断すると考えている。次に新里さんの御質問の学校教員の待遇問題については感謝申上げておりますが、吾々も知事にお願いして、そこで横との不均衡をならす、こういったものを何とかしていきたい。現在の所、従来よりは引上げられているが、横との関係において、やや差があるのでありまして待遇が不充分であると考えております。このことについては知事も心配していられるので、改善して行くべく善処したいと思います。それから後援会のことにつきましては生活援護という面においても学校も今日はそれ程でもないと思います。
 色々の施設、設備については過渡期の現象においては後援会もしくはP・T・Aのかたちにおいて、物心両面からの援助が必要ではないかと思います。
◎議長(知花高直君) 質疑を終了して討論に入ります。御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって議案第四十一号は原案通り可決致します。

○議長(知花高直君) 一寸御報告致しますが、仲村議員から政府当局に要望することがあるから暫らく時間をかしてほしいという申入れがありますが如何致しますか。
  (「休憩にしてから」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) それでは本会議を閉じて休憩にしてからに致します。
 三日間に亘り総べての案件を慎重審議していただいたことを感謝致します。これで今期臨時議会は閉会致します。
  午前十一時二分閉会

出席者は左の通り
 議 長     知花 高直君
 副議長     稲嶺 盛昌君
 議 員     与儀 清秀君
 同       仲村 栄春君
 同       石原 昌淳君
 同       普天間俊夫君
 同       宮城 久栄君
 同       平良 幸市君
 同       玉城 泰一君
 同       松本 恭典君
 同       具志頭得助君
 同       長浜 宗安君
 同       山川 宗道君
 同       祖根 宗春君
 同       山城 興起君
 同       新里 銀三君
 同       新城 徳助君
 群島知事    平良 辰雄君
 副知事     山城 篤男君
 総務部長    幸地 新蔵君
 文教部長    屋良 朝苗君
 法務部長    知念 朝功君
 知事室事務局長 宮城 寛雄君
 文教副部長   仲宗根政善君
 総務副部長   稲嶺 成珍君
 経済副部長   知念忠太郎君
 文教部調査研究課長(研究調査カ)
         安里 彦紀君
 一九五一年九月二十六日
  沖縄群島議会議長
    知 花 高 直 捺印
  沖縄群島議会議員
    野 原 昌 彦 サイン
  同
    仲 村 栄 春 サイン
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