戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1952年06月26日 
(昭和27年)
会議名
第14回沖縄群島議会(臨時会) 1952年6月26日
議事録
    (注 会議録原本から収録した。)
第十四回沖縄群島議会(臨時会)会議録
        一九五二年六月二十六日

 第十四回沖縄群島議会(臨時会)会議録

  一九五二年六月二十六日
  午後二時十五分開会

◎副知事(山城篤男君) 議会招集の御挨拶を申上げます。炎暑の候に拘わらず皆様には極めて元気よく御来集下され誠に慶福に存じます。
 今議会は群島政府解消後の残務整理期間中における唯一の臨時招集でありまして議案としては極めて少ないけれども最後を飾る点においてそれこそ意義深いものがあります。御承知の如く群島政府は法務、文教、工務の三部は既に三月三十一日以前に機能を失いそれぞれ琉球政府の該当局に吸収され、其の他の部は三月末日を以って悉く政治運営の終りを告げたのであります。
 然し四月以後の残務整理にあたっては各部における未終了事項をなるべく早く完結するよう良心的に各方面へ折衝し督励をいたして参りました。一、二の例を言えば糸満の埋立問題に属する家屋移転の事柄や、工務部より発行したる学校其の他への島内資材供給の件などでありました。凡そ六月三十日ですべてを打切り同日現在で総てを文書にして知事代理より琉球政府主席へ行(引カ)継ぐことになってお□□□□
 以上申上げて御挨拶と致します。

◎議長(知花高直君) 開会致します。本日の出席十七名、欠席三名であります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。
 第十三回議会初日の本会議において議決されました十四番議員提案に係る陳情第一号肥料販売値段据置の件について民政府から資源局長経由回答が参っておりますので、書記長をして右回答文の朗読を致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

資政第四三号
 一九五二年五月二十二日
   資源局長 富名腰 尚友
沖縄群島議会議長
 知 花 高 直 殿
  金肥の現在価格維持の件
さきに貴会から陳情した金肥の現在価格維持の件について別紙写の通り民政府から回答がありましたから通知します。

別紙
 琉球諸島米国民政府副長官室
一九五二年四月十一日
 主題 金肥の現在価格維持の件
 宛  沖縄群島政府知事代理
一、沖縄群島政府発、肥料価格に関する五二年三月二十六日附覚書第二〇一号及び三月二十九日附覚書第二一五号参照
二、農業生産を増強するためには、金肥を施用せねばならない事、琉球の零細農及び農民が肥料購入に必要な資金を得るのに体験している幾多の困難は民政府職員の周知し、且つ十分認めている事実である。従つて一九五二年度ガリオア資金で輸入せられたる八千三百噸の金肥を一ドル対九十円率で販売させ得るよう、更に一ドル対百二十円の単一交換率に例外措置がとられて(たカ)、加うるに琉球農協連は今や琉球銀行から貸付けを受けて、加入協同組合に信用を供与し得るようになつている。
三、右第二項の処置は農業協同組合をして年中金肥の補給を維持するようにせしめ、且つ、当の値下りによってすべての農民が肥料を使用する事ができ、且つ富裕な農民はより適当(量カ)の施肥をなす事ができるでせう。
四、何卒肥料の値下げ及び琉球農協連に対する信用の供与に就いての情報を、市町村長協議会及び群島議会に対しその代表者たる比嘉及び知花の諸氏を通じて御伝達せられるよう御願いします。
 副長官指令により
  行政課長
   アール・ピ・ホール中佐

◎議長(知花高直君) 本年四月十八日付で沖縄医師配置委員長から議長宛に委員の推薦方依頼がありました本件に関しては、曩に本議会から玉城、野原両議員を同委員に推薦致したのでありますが玉城委員は二ケ年の任期であり、野原委員は本年三月三十一日迄の任期となっていた関係で野原委員の後任委員の推薦をして貰いたいとのことでした。それでこの後任委員の推薦については原則として議会の決議によって推薦すべきでありまするが議会議員の任期も六月三十日迄となっており、後僅かの期間で而も同委員会招集の都合上急を要しましたので行懸(掛カ)り上、引続き野原君にやって貰った方がよいと思い議長において同君に相談致しました処本人も承諾致しましたので本議会から更に野原君を推薦致し引続き御苦労を願っております。左様御了承願います。

◎議長(知花高直君) 群島監査委員会委員長から三月三十一日付監委第一〇四号を以て議長宛監査結果報告書の送付がありましたから、書記長をして公文丈朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

監委第一〇四号
 一九五二年三月三十一日
   沖縄群島監査委員会
     委員長 金城 研一
沖縄群島議会議長
 知 花 高 直 殿
  監査の結果報告について
一九五二年二月六日より三月十三日迄群島組織法第一一七条の規定に依り那覇外九登記所の特別監査を執行しましたのでその結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します。
  (別紙は省略)

◎議長(知花高直君) 第十三回議会において議決されました決議第二号の琉球政府へ要望すべき重要事項についての別紙要望書は、曩に特別委員会においてこれを調製の上主席並に立法院議長宛進達致しました処六月六日付で立法院議長から回答が参っておりますので、書記長をして回答文の朗読を致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)
 (注 別紙要望書は六一六頁参照)

琉立第一一七号
 一九五二年六月六日
   立法院議長 護得久 朝章
沖縄群島議会議長
 知 花 高 直 殿
  陳情に対する回答
一九五二年五月十九日付貴殿陳情の農漁村振興対策の確立については五月二十一日の議会に於て商工資源委員会へ付託し鋭意研究の結果(2)の農水金庫早急設置と(3)の獣疫血清製造所早急設置に付いては緊急経費予算化の必要を認め適切なる措置を取らるるよう院の議決を以て行政主席に要請した。
其の他の五件は技術的に一応資源局に於て研究さるることが適当と認め六月二日の議会に於て陳情書の写を資源局に回送することにした。

◎議長(知花高直君) 四番議員仲村君から決議案送付について議長宛に文書が参っておりますから、書記長をして朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

 一九五二年六月二十六日
    四番議員 仲村 栄春
沖縄群島議会議長
 知 花 高 直 殿
  決議案送付について
軍使用土地等の賃貸借契約について別紙の通り議会の議決を得たいので今期議会に提案方御取計下さる様決議案を送付致します。
 (注 別紙決議案は六一四頁参照)

◎議長(知花高直君) 副知事から今期議会に提出する議案送付について議長宛に公文が参っておりますから、書記長をして朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

沖第九号
 一九五二年六月二十五日
    沖縄群島知事代理
     副知事 山城 篤男
沖縄群島議会議長
 知 花 高 直 殿
  沖縄群島議会々議事件について
第十四回沖縄群島議会(臨時会)における会議事件別紙の通りでありますので議案を送付致します。

○議長(知花高直君) 書記長をして議案の配付を致させます。
  (書記長「新垣良正君」議案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第三十号
 第一 今期議会の会期を定めること
 第二 今期議会の会議録署名人選挙
 第三 知事専決処分報告について (副知事提出報告第二号)
 第四 軍使用土地等の賃貸借契約について (四番議員提出決議第三号)
 第五 琉球政府へ要望すべき重要事項について特別委員会の審査経過並に結果報告
 第六 軍用土地使用料及び関係事項について特別委員会の審査経過並に結果報告
 以上であります。

○本日の議会に付した事件
 日程第一 今期議会の会期を定めること
 日程第二 今期議会の会議録署名人選挙
 日程第三 知事専決処分報告について (副知事提出報告第二号)
 日程第四 軍使用土地等の賃貸借契約について (四番議員提出決議第三号)
 日程第五 琉球政府へ要望すべき重要事項について特別委員会の審査経過並に結果報告
 日程第六 軍用土地使用料及び関係事項について特別委員会の審査経過並に結果報告

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。

◎議長(知花高直君) 日程第一の今期議会の会期を定めることを議題と致します。今期議会の提出案件も少ないし事務処理等の都合もありますので会期は本日一日間に決定致したいが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今期議会の会期は本日一日間に可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第二の会議録署名人選挙を議題と致します。選挙手続の煩を省略して議長指名と致すことに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し、議長は三番議員稲嶺君、四番議員仲村君を指名致します。御二人にお願いすることに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 日程第三の知事専決処分報告について副知事提出報告第二号を議題と致し、当局の説明を求めます。

報告第二号
  知事専決処分報告について
一九五二年度補助金追加更正予算(一九五一年六月十四日議案第六十号を以つて知事専決処分事項として指定された米民政府補助金に関する予算)について別紙の通り専決処分しましたから群島組織法第三十三条第二項の規定に基き報告します。
 一九五二年 月 日
   沖縄群島知事代理
     副知事 山城 篤男

◎元財政部長(仲宗根秀俊君) 知事専決処分について報告致します。一九五二年度臨時部予算中警察部の船舶修繕費において二十四万五千二百三十円の不足を生じましたのでその追加方に関し二月二十七日文書を以て民政府に申請しました処、三月二十一日附示達第一五〇号を以て承認追加示達を受けましたが群島政府の解消を目前に控え緊急を要しますので三月二十七日これが補正措置を知事において専決致したのであります。以上報告申上げます。

◎議長(知花高直君) 日程第四の軍使用土地等の賃貸借契約についてを議題と致し、提案者の説明を求めます。

決議第三号
  軍使用土地等の賃貸借契約について
軍使用土地等の賃貸借契約について別紙の通り議会の議決を得たいので提案する。
 一九五二年六月二十六日提出
    四番議員 仲村 栄春

宛:琉球政府行政主席
   〃  立法院議長
発:沖縄群島議会議長
題:軍使用土地等の賃貸借契約について

目下琉球政府行政主席と軍使用地の各地主との間に締約の運びとなつております軍使用土地等の賃貸借契約書の内容には左記の通り幾多の疑義がありますので貴職院に於て御審議の上善処方御取計下さる様第十四回議会の議決に依り要望致します。
    記
一、賃貸借契約書の第二条に於て「この契約はアメリカ合衆国に転貸せられるものである」ということが明示せられているが、第一条に於て「琉球政府が借賃を支払つて賃貸借を契約する」となつている。そこで
 1 琉球政府がアメリカに換つて契約する法的根拠はどこにあるか?
  A 日本と同じ様な基地供与の法的な根拠があるか。
  B 琉球政府は民政府の代行機関としての代行であるか。
 2 契約書に契約せられる賃貸料(軍の評定価格)は適正なる価格と認承せられたものであらうか。
 3 右の如く適正だと認められたとしたら民の間に行われている賃貸料に対しては小作料統制法を公布の準備が必要だと思われる。
 4 各方面からの要望の如く地主代表との協議に依つて決定せられる適正なる賃貸料との差額は政府に於て補償の用意があるだらうか。
二、第三条に於て契約期間は二十年となりその始期は、一九五〇・□□□(七・一カ)(其の後の軍使用はその日)との事である。然るに一九□□□□□□□□□□□□(五〇・一二・五スキヤツプカ)指令は一九五〇・七・一以前と一九五〇・七・□□□□□□□□(一以後に区分してカ)支払わるべく公表せられている。従つて契約始期は一九四五・八・一五(其の後の軍使用はその日)となるべきである。
  又期間に於ても
   一九五〇・七・一以前
   一九五〇・七・一--
    一九五二・四・二八
   一九五二・四・二九以後
 と区分契約せらるべきである。
  又、契約期間の二十年は余りに長い。その間には社会的、経済的な変動が予想せられるので短期の更新手続の契約が望ましい。
三、第五条に於て賃貸契約せられたる土地等に対しては賃借者に改変の権利を与えているが契約解除に対して之が修復補償の契約がないのは不合理である。
四、第一条の政府対地主の契約に於ても政府対地主代表との協議に依つて賃貸料その他の関係事項が決定せらるべきだと思う。
            以上
  一九五二年六月二十六日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

◎仲村栄春君 只今議題となりました決議第三号の軍使用土地等の賃貸借契約について、提案理由を説明申上げます。
 現在琉球政府法務局民事課において事務手続を開始しております行政主席と軍使用土地の各地主との賃貸借の契約締結につきましては、同契約書の内容において幾多疑義があります。即ち同契約書第二条においては、「この契約はアメリカ合衆国に転貸せられるものである」という事が明示せられているが、第一条では「琉球政府が借賃を支払つて賃貸借を契約する」と契約の原則が謳われている。従って軍使用地賃貸料の問題は新しい段階に来たと思います。即ち契約当事者である琉球政府と地主との間に適正な賃貸料が決定せらるべきだと思うのであります。然し琉球政府は現在契約に臨んで軍の曩に発表した賃貸料を以てしているのは民論を無視している。内容に於ては軍の強請に依るものであっても形式的には何と言うて□□政府が契約当事者である。従って政府が飽く迄も軍の決定した賃貸料が適正だと言う事であったら政府は同時に民間同志の小作料統制立法が公布せられ軍民間の土地賃貸料が均衡でなければならぬと思うのであります。或は政府が適正な賃貸料を地主代表と評定して契約をなし軍の決定額との差額は政府が補償すべく予算化すべきであります。
 それから第三条において契約期間は二十年となっているが法務局長は一九五〇・七・一からだと説明せられている。それ以後のはその使用の日からですが、然し一九五〇・一二・五のスキャップ指令は使用料は一九五〇・七・一以前、一九五〇・七・一以後に区分して支払わるべく公表せられたのであって契約の始期は一九四五・八・一五であるべきだ。従いまして契約の期間は一九五〇・七・一以前、一九五〇・七・一から一九五二・四・二八間、それから一九五二・四・二九以後と区分せらるべきだと思うのであります。更に、二十年の間には社会的、経済的な変動が予想せられるので之等の変動に応じ得る様な契約があるべきだと思います。
 それから第五条に於て賃貸借契約せられた土地等に対しては改変の権利を与えて□□約解除に対しては之が補償は契約せられていない。同契約の中に之が補償がなさるべきである。
 以上申上げました様に色々疑義がありますので、主席並に立法院議長において審議して戴き善処方を本議会から要望致したいので提案した訳であります。皆様の御賛同を得まして書類を進達致したいと思います。
◎石原昌淳君 只今提案者から色々御説明がありましたが、本問題につきましては現在立法院においても研究を進めておるのであります。軍から法務局宛に来ている公文で契約を強請されている様な恰好になっているが問題は行政主席が如何なる法的根拠を以て地主と契約するかであります。本件は是非共強力に訴える必要がありますので原案に賛成するものであります。尚此の要望決議以外に曩に本議会から立法院に陳情致しました二点、即ち根本問題であります処の使用料決定に際しての地主側代表の参加、それから原状回復に対する賠償、補償の件についても併せて折衝せられんことを望みます。
◎新里銀三君 本員は政府と地主と契約することは異議はないが問題は賃貸料であります。それ相当の金額であればよいが現在の軍評定額は不当に安い。これはどうしても民の意向を聞いて処理して貰わねばならないと思う。それから二十年の契約期間は余り長い。斯かる長期契約は今迄に余り例がない。私は三年乃至五年程度がよいと思います。こういうことも力説要望致したい。原案に賛成致します。
◎議長(知花高直君) 決議第三号は原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 日程第五の琉球政府へ要望すべき重要事項について特別委員会の審査経過並に結果報告を議題と致し、特別委員長の報告を求めます。

宛:琉球政府行政主席
   〃  立法院議長
発:沖縄群島議会議長
題:琉球政府へ要望すべき重要事項について

群島議会発足以来既に一年余になりました。此間本議会は住民の福利増進を図るため群島各般の諸問題処理について、最善の努力を致したのであります。尚議会の権限外に関する事項例えば金融、貿易問題等については関係行政庁を通じ民政府に対して具さに実状を訴え、これが解決に尽力致しましたけれども未解決の儘になつている事項も多々ありまして誠に遺憾に思うのであります。
依つて本議会は今回群島政府解消に当り沖縄群島における当面の緊急措置を講ずべき左記重要事項について、琉球政府の善処方をお願いする次第であります。
    記
一、学校々舎建築の早期実現の促進
二、金融の管理運営について
  見返資金、商業資金の管理権並に金融機関の監督権を琉球政府に委譲し、以て不要不急の融資を抑え生産融資及び急施事業への融資の円滑を図ること
三、農漁村振興対策の確立について
 1 農漁業災害補償制度(共済制度)の確立
 2 農水金庫の早急設置
 3 獣疫血清製造所の早急設置
 4 農漁業基本施設の早急復旧
 5 弗獲得事業への補助育成
 6 農産物価格の維持対策及販路の拡張
 7 南方漁場の開放
四、□(社カ)会政策について
 1 労働三法の早急なる立法
 2 救済事業の継続と救護法規の早急立法
 3 社会事業の強化と授産施設の拡充
 4 戦争犠牲者に対する日本政府からの各種援護資金の早急なる受領手続折衝
 5 食糧政策の確立と備荒保有食糧の確保
 6 電気事業の公営
 7 軍命に依る立退き移転料の増額
五、災害復旧対策について
 1 戦災復旧促進のため特別援助資金設定方に対する要請
 2 暴風対策の樹立(災害復旧計画の確立)
 3 住宅公社に依る民住宅建設の促進
 4 海岸に放置された桟橋バーヂの早急なる撤却(去カ)
六、移民政策の確立とその促進
 1 移民の実現促進
 2 職業補導と移民の技術教育機関の設置(南方未開発地域への技術移民送出計画)
 3 移民金庫の設定
七、税法の改正について
 1 所得税法
  a 予定申告課税である限り申告前に所得標準率を公表すること
  b 災害被害者に対する税の減免徴収猶予規定を設くること
  c 第二条の非琉球人に対する除外規定を改正し、非琉球人に対しても課税を実施すること
  d 第三条の課税標準と税率を改正すること、免税点を設定すること
  e 第四条の免税額の引上及び不具者、老人、寡婦等の本人控除並に医療、雑損控除を設定すること、勤労者の勤労控除の設定
  f 第八条の「要求の拒否」の改正
 2 法人税法
   第一条第二項の非琉球人に対する除外規定を改正して非琉球人に対しても課税をすること
 3 サービス税法
   サービス税法(ママ)は廃止して営業税、事業税、通行税とすること
 4 登録税法税率千分の六を千分の一に改正すること
八、社会教育、職業教育の振興について
右第十三回沖縄群島議会の議決に依り茲に要望致します。
  一九五二年五月十九日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

◎特別委員長(知花高直君) 第十三回議会において議決されました琉球政府へ要望すべき重要事項についての決議第二号別紙要望書調製並に書類進達につきましては特別委員会に一任されたのであります。
 依って五月十七日本特別委員会を開催致しまして、これが審査を行なったのであります。本件は去る議会の全員協議会においても多少審議せられ、結論を見出すに到らなかったが大体において八項目について各位の意見が一致しておったのであります。その後山川、祖根、仲村、普天間四議員から書面によって右要望事項の提出がありましたので、これを印刷の上各委員に配付しこれを基礎とし尚曩の全員協議会における各位の御意見を斟酌して活溌に論議検討されたのであります。細部に亘っては群島政府からの引継事項にありますので事務的面の問題は抜きにして、議会としては群島内の当面の緊急措置を講ずべき大きな問題を取上げることに決定致し結局本□□□□(特別委員カ)会としては御手元に配付致しました様な要望書を調製致したのであります。宛先は行政主席並に立法院議長の両方となっており夫々書類進達済でありまして、六月六日付立法院議長から右陳情に対し、商工資源委員会関係事項について先程書記長が朗読報告致しました様な回答が参ったのであります。以上甚だ簡単ではありますが報告と致します。

◎議長(知花高直君) 日程第六の軍用土地使用料及び関係事項について特別委員会の審査経過並に結果報告を議題と致し、特別委員長の報告を求めます。

宛:琉球政府立法院議長
発:沖縄群島議会議長
題:軍使用地の使用料及び関係事項について

軍施設の多い沖縄群島における軍使用地の使用料問題は住民の最大関心事であり曩に沖縄群島割当土地に関する臨時処理条例が公布実施されましてから特に軍用地使用料問題が住民間に色々論議され関係地主が尠からず不安を抱いておつたのであります。それで沖縄群島議会は本問題の重要性に鑑み第十回議会の議決に依り右使用料の早期支払実現方促進の陳情をなし、更に第十二回議会においては特別委員会を設置の上本問題の早期実現促進について民政府へ継続的に折衝を重ね最善の努力を致したのであります。然し乍ら今日迄の折衝に対する民政府の回答中には未だ了承し難い点があり、特別委員会としては尚今後の折衝を継続すべく目下計画準備中でありますが、幸にして現在立法院においても軍用地の使用料問題につき関係筋へ陳情される様でありますので差当り特に左記二項について善処方御取計下さる様お願い致します。
    記
一、軍使用地使用料の評定については沖縄人からもその代表者を参加させて貰いたいこと。
   群島議会からの陳情に対する民政府の回答は「借地代は日本勧業銀行が実施した評価研究に基いて沖縄地区工兵団が之を決定する」となつているが、斯かる一方的な決定は妥当でない。民意を尊重し飽くまでも民主的に解決すべきであり、右借地代の決定に関しては是非沖縄の民間代表を参加せしめるべきである。
二、軍使用地を所有者に返還するときは土地を原形に復せしめる□□(ためカ)の費用を補償すること。尚終戦後米軍によつて原形を変じ使用不能となつた土地の損害を賠償して貰うこと。
   □□陳情に対する民政府の回答は「土地を原状に修復し又は土地の修復に対する賠償支払に関しては計画されていない。これは米国と日本の平和条約の条文に依るべきものである」となつておるが、既に講和条約も締結された今日、本件賠償支払に関する計画を樹立し早急にこれが実現される様、その筋へ要請せられたい。
            以上
  一九五二年五月十九日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

宛:琉球列島米国民政副長官
  琉球政府行政主席
発:沖縄群島議会議長
題:軍使用地の使用料及び関係事項について

割当土地に関する臨時処理条例が公布せられ、これが実施されましてから軍使用地の使用料に就いて住民間に重大な関心が払われていたのであります。而して五月十四日付民政府より琉球政府行政主席宛御送達になりました「土地使用及び地代書」が新聞紙に報道せられて以来住民は尠からず不安を抱いているのであります。
沖縄群島議会特別委員会において調査致しました処別紙調書の如く沖縄住民相互間に支払わるべき各市町村の賃貸料評定委員会の決定せられた評価と対照致しますとき大分の差異があります。此の結果は軍に対して土地を提供して協力をなしつつある関係地区住民は、より高価な民間賃貸料を負担することとなり、より過大な経済的犠牲を強要せられることになるのでありまして、これが思想的に及ぼす影響も憂慮せられるのであります。
米琉親善の和やかな気持で十分軍に協力せしめつつ住民の生活向上に努力せしめられる意味から使用料その他関係事項については更に御検討を御願い致したく左記の通り要望致します。
    記
 軍使用地使用料、その他関係事項の決定に就きましては、第二回及び第十回沖縄群島議会の議決により前後二回に亘つて本議会から要望致しました様に、民主的相互契約の理念に基き、住民代表を以て組織する軍使用地賃貸料評定委員会と軍の評価機関である地区工兵団との協議によつて適当に決定して貰いたい。
右第十二回沖縄群島議会の議決に依り茲に陳情致します。
  一九五二年五月二十七日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直

◎特別委員長(稲嶺盛昌君) 軍用土地使用料及び関係事項審査のため第十二回議会におきまして特別委員会が設置せられ、軍に対する陳情書調製、進達並にその後の措置に関し一切この特別委員会に一任せられたのであります。それで本特別委員会としてはその後引続き関係筋へ折衝を重ね、これが早期実現に最善の努力を致しました結果、最近右使用料の支払事務手続が開始せられたのであります。即ち去月十四日付行政主席宛に「土地使用及び地代書」と題して、差当り、浦添村、宜野湾村、中城村、北中城村、美里村、越来村、石川市、金武村、真和志村、以上九ケ市町村の軍使用地使用料に関する一筆毎の賃貸借契約書が琉球政府に回送され、現在法務局民事課においてこの事務手続が行なわれているのであります。
 本件が新聞紙に報道されますや、その使用料が余りに少な過ぎ関係地主は尠からず不安を抱いておりますので去月十七日に本特別委員会を開催し、琉球□□(政府カ)法務局長の出席を求め軍からの右書翰について内容説明を聴取の上これが善後策について審議を進めたのであります。問題は軍からの契約申込使用料額が余りに少ないという点でありまして、如何様な相違があるかは、各市町村の賃貸料評定委員会の決定した評価額と対照して見なければ分らない。それで右軍からの地代書を各市町村別に調査した上、これを各市町村評定額と比較検討してその差異を調べ確たる資料を添付して軍に陳情書を提出することに意見の一致を見たのであります。所でこの軍用土地使用料の問題については立法院においても取上げ軍に請願することになっており、立法院本会議に上程前の委員会審査に間に合わす必要がありましたので、曩に本議会宛の軍から回答中了承し難い二件について差当り善処方を立法院議長宛に陳情致したのであります。その陳情書は印刷の上御手元に配付致してありますので、それによって御了承願うことに致しまして茲に内容の説明は省略□□(致しカ)それから地代書の調査につきましては本員、長浜、仲村各委員、以上三人でこれに当り各関係市町村とも連絡を取り漸く完了致しましたので、五月二十四日更に本特別委員会を開催し右調査書に基いて軍に対する陳情書調製に取掛ったのであります。これが起草に関しては立法院議会から軍に対する請願の趣旨等を参考にして大体同じ歩調で行くべく慎重審議を重ねた結果、行政主席と民政副長官宛にして御手元に配付してあります通りの陳情書を調製し夫々進達致したのであります。
 右陳情内容は陳情書左記にあります通り、
 「軍使用地使用料その他関係事項の決定に就きましては第二回及び第十回沖縄群島議会の議決により前後二回に亘って本議会から要望致しました様に民主的相互契約の理念に基き住民代表者を以て組織する軍使用地賃貸料評定委員会と軍の評価機関である地区工兵団との協議によつて適当に決定して貰いたい□□これは要するに民間代表を参加せしめることによって双方円満に使用料額を決定する意味からして、この一本建で行くことに決定致した様な訳であります。
 以上甚だ簡単ではありますが軍用土地使用料及び関係事項について本特別委員会が執った措置についての報告と致します。

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程は全部終了致しました。議会発足以来住民の意志を反映せしめ、二十名の議員が民主政治の前進にお互い協力し過去一年有半の間沖縄の復興と住民の福利増進のため誠意を以て努力して参ったのであり、誠に喜びに堪えません。六名の立法院議員の方々は今日迄の沖縄群島議会の誠意を御汲み取りの上、立法院議会において一致協力せられ益々御奮闘をお願い致す次第であります。今日迄至らぬこの私を色々御援助下さったことに対して厚く厚く御礼申上げます。御苦労様でした。
 これで閉会致します。閉会に当り副知事の御挨拶があります。
  (拍手)

◎副知事(山城篤男君) 本議会は過去における群島を中心とした誠に意義深い議会でありました。過去一年有半に亘って群島における政治運営に皆様が御熱心に良く衆知を集め極めて真剣に和衷協同の実を□□住民福祉のために努力されたことに対して□□敬意を表する次第であります。
 皆様は今後夫々の職場において益々御自重、御自愛の上沖縄復興のため御奮闘あらんことを御願い致します。
 皆様大変御苦労様でした。
  (拍手)
    午後三時 閉会

出席者左記の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
議 員
 仲村 栄春君  石原 昌淳君
 普天間俊夫君  宮城 久栄君
 平良 幸市君  玉城 泰一君
 松本 恭典君  長浜 宗安君
 山川 宗道君  祖根 宗春君
 山城 興起君  新里 銀三君
 新城 徳助君  崎山 起松君
 仲井真元楷君
     副知事 山城 篤男君
   元財政部長 仲宗根秀俊君
 知事室事務局長 宮城 寛雄君
   監査委員長 金城 研一君

一九五二年六月二十七日
 沖縄群島議会議長
        知花 高直(印)
一九五二年六月二十八日
 会議録署名人 稲嶺 盛昌(印)
一九五二年六月三十日
 会議録署名人 仲村 栄春(印)
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