戦後初期会議録

組織名
宮古議会
開催日
1948年02月17日 
(昭和23年)
会議名
第7回宮古議会[7] 研究会
議事録
   二月十七日研究会記録
◎座長 只今より歳入の審議に移ります
◎砂川玄令 所得税調査員は選挙したら如何か
  (「従来通り」の声あり)
◎塩川寛誠 職能別に設置するのは賛成であるが各市町村の納税義務者に比例して割当設置し当局に一任したい
◎池村好雄 税関係は税法改正と関係があり税法改正案を検討したら如何
◎座長 塩川さんの意見は大体に於て当局でやってよいと云ふことになっているがどうですか
  (「知事一任」の声あり)
 税法改正案から先にしたいと云ふ意見がありますがどうか、池村さんは法案に如何なる考があるか
◎池村好雄 私は法案の訂正を願ひたい、本会議からずい分論議され当局の意見も伺っているが、財務部長は率に於ては高いことはないと云ふが、私は率の問題ではないと思ふ、その理由は現行法規は当時の物価とにらみ合せて率が出来たと思ふ、現在物価は当時の一〇倍になっている、それに対し改正案は当時の一、二〇〇円を一、四〇〇円にすると物価の比例がなっていない、物価が一〇倍になったと云ふ見地からするなら扶養家族に対する控除を一〇倍に引上げて貰ひたい
○財務会計部長 池村さんの意見は有産階級のみ所得税は納めていたと云ふ考からのことと思ひます、基礎控除を二、四〇〇円にしたのは日本が四、〇〇〇円にしたのでそれに基礎を於てやりました、とにかく無理のない課税をしたいと云ふ考でやってあります
◎池村好雄 現行法規のあの当時の所得税の算定と現在に於ける所得の算定と一〇倍になっていると云ふ考はないか
○財務会計部長 そう云ふ事はないと思ひます
◎池村好雄 それでは甘藷ならその値段をいくらに考へているか
○財務会計部長 去年は一〇斤一三円、今年は一〇斤一五円位に見ています
◎池村好雄 物価が上ると云ふことは物のないときで、下るとき豊年である、凶年は所得税を納め、豊年のときは所得税を納めないといふ矛盾があるので実際に郡民に即応する様な税制を制定するのが当然だと思ひます、是非控除額は物価に即応する様に改正して貰ひたい
◎伊志嶺玄良 皆様の意見は負担を均衡したいと云ふ意味と思ふ、それでその均衡は当局に任せて進行したらどうですか
○知事 官吏には無理な点があると思ふがこの金は郡民の福利増進に使はれるから結局郡民に還えれるので決して郡民の負担ではないと思ひます
◎砂川惠知 賦課税率は議会によって決定するのが妥当であると思ひます、然るに知事が年度半で税率を変更しているがどうも遺憾に思ふ
○知事 機構上知事は軍政府に責任を負はされているが、それでは民主政治に副はないので郡民にも責任を負ふている、良心的に郡民のためを思ふことは総て議会に諮り緊急の場合は止むを得ず統裁の権限に於て改正もしている、然し統裁権は認められているが三権分立の見地から裁判所、検事局等の仕事に対しては干渉したことは無い、議会も諮問機関である、しかし議会を尊重して予算も議案として審議を御願ひしている、税法にしても軍政府に責任を持ってやってよいと思ふがそれではいかんので議会に諮ってやって行きたい
◎砂川惠知 私の伺ひするのは議会で税率を強ち制定しようと云ふ考へではない、税率を年度中半で変へるんだったら何も議会で審議する必要はない
○知事 議会で改正してもよいが軍政府で訂正するかも知れん、その場合は議会で責任を負ふてくれ、議会を無視した様だが決してそうではありません、議会も知事も法律上の自由はありません
○財務会計部長 年度中半で知事が独断で税率を上げたことはありません、只芸妓税と遊興飲食店税をラヴレスの命令で昨年上げたと思ひます
◎池村好雄 この改正法案は議会で訂正することは出来んと云ふことですか
○知事 そう云ふわけではありません、郡民のためなら訂正してもよい、只軍政府が赦すかどうかと云ふ事です
◎池村好雄 この案は郡民に対する親心から出たことと思ひますので郡民を対象にしてやって行きたいと思ひます
○財務会計部長 基礎控除は現行法では四〇〇円で今はその四倍に引上げてあります
◎池村好雄 現行法によって課税したのは物価が上ったので三倍も五倍も納める様になった、その矛盾はどこにあるかと聞いている
◎座長 とにかく池村さんの意見は税率を物価に応じて決めたいと云ふ考でせう
◎池村好雄 そうです
◎砂川玄仁 人口のどの位が所得税を納めているか
○財務会計部長 人口の一割二分で一、八〇〇名です
◎砂川徹雄 いろいろと意見があるが説明をきくと納税義務者が少い様だから無理な点があったら来年度訂正したらどうか
◎座長 これは税法を見ると下り、予算を見れば上っている、今の問題が出ていると思ひます
○財務会計部長 今年の実績は徴税額七二一、七九〇円となっていますが、これは一月の調定額です
○座長 皆が真剣になって熱しすぎている様だから一寸休憩します
◎座長 開会します、所得税は原案通りにしたいと思ひます
  (「賛成」の声あり)
○知事 場合によってはもう一度税制の審議をやらねばならんと思ひますので了解して貰ひたい
◎座長 法人税は原案通りにします、個人営業税はどうですか
◎砂川徹雄 四七年度の納税者と四八年度の予定数を知らせて貰ひたい
○財務会計部長 今は判りません
◎砂川徹雄 砂糖移出に就て砂糖値の協定を作って移出して貰ひたい
○座長 お昼ですから閉会します(正午)
◎座長 開会します(午後一時)
 第五款保管物使用料に就て審議します
◎伊志嶺玄良 従来トラックは燃料の配給を貰ってやっていたが、長い間欠配になって運行が出来ないので使用料は二〇〇円を一〇〇円にして貰ひたい
◎砂川惠一 伊志嶺さんの意見に賛成します、これは去年は五〇円から一躍四倍の二〇〇円になったので半分一〇〇円にして貰ひたい
○総務部長 これは軍政府で上げたんですから燃料を軍政府に申請して増配して貰ふやうにしますから使用料はこの通りに御願ひします、それから衛生部収入に第二項を新しく設けて薬品収入として一八〇、〇〇〇円入れて下さい
◎砂川徹雄 馬の去勢計画はありませんか
○農林部長 今までは去勢器がないため出来なかったが今度沖縄軍政府から去勢器が来ますからその時は希望者に限り実施したいと考へています
◎砂川徹雄 これは本郡の馬の改良上必要だから種馬がある以上は昔の去勢法を適用して全部にやって貰ひたい
○知事 宮古馬は飼ひ易く且つ丈夫だと云ふので沖縄本島では宮古馬が欲しい云ふ声があるので絶やすわけにはいかんと思ひます
◎砂川徹雄 それは昔の馬であって現在は本当の宮古馬は絶対にいない
○高里景親 これは重要なことですから、座長さん休会して御互に話合ってはどうですか
○座長 休会します
◎座長 開会します、去勢は希望者に依ってやって行くことにしたらどうですか
  (全員「異議なし」)
 これで歳入全部の審議を終ります
○総務部長 煙草専売の実施を新年度からしたいと思っているので経理商工部の方に煙草専売準備費として四項を作り、九八、三九〇円計上したいと思ひます、それから織物工業組合補助として五〇〇、〇〇〇円議会に申請してあるがこれは工業組合の設立まで保留したいと思ひます
  (「賛成」の声あり)
 猶学校連合後援会から五〇、〇〇〇円の補助方を申請してあるが如何
○知事 学校後援会費はこれまで児童一人につき一〇銭となっていたがこれは微々たるものでありこの際要求通り五〇、〇〇〇円にしたが初めてでもあるから二〇、〇〇〇円位して貰ひたい
◎砂川玄仁 民政府の補助は無定見にすべきものではない、後援会は如何なる仕事をなし又如何なる仕事をやらうとするかと云ふことを調査の事と思ふ、各市町村にも各々後援会はあるが、そこにもやらねばならんと思ふ、私は連合後援会の価値を認めないものでもない、私は補助をするんだったら各学区の後援会を重点的に補助すべきものと思ひます
  (「賛成」の声あり)
◎座長 連合会に補助せよと云ふ声と各学区後援会に補助せよと云ふ意見があるから当局もどっちがよいか研究したらどうか
  (「賛成」と云ふ)
○総務部長 教員の援護と云ふのは二〇、〇〇〇円では出来ないからもう一度研究しようと思ひます
◎砂川玄仁 後援会補助に就て当局の意見を聞きたい
○知事 教員の向上を図ると云ふことですが不必要でしたらやらんでもよいと思ひます
◎座長 誰も不必要とは申しませんが甲論乙駁があるので私はこの問題をもうすこし研究し、この次の議会にやって貰ひたいと思ひますが如何
  (「賛成」を全員唱ふ)
 これで歳入歳出の審議を終ります、議案二十七号の審議をします
  (「一款異議なし」を唱ふ)
◎砂川徹雄 八重山出張所に所長月一、〇〇〇円とあるが書記は要らないか
○総務部長 当分所長一人であります
◎座長 これで歳出は終ります
◎砂川徹雄 多良間は治安裁判所も兼ねて警部補派出所の坪数は一六坪だが伊良部は派出所だけで二〇坪とはどんなものか
○総務部長 これは人口に比例してあります
◎座長 これに対する補助額を決めたい、坪数は見ないで同額にしたらどうか
  (「異議なし」)
◎座長 臨時部の十三款警部補派出所建築補助費として多良間に二八、〇〇〇円、伊良部に三六、〇〇〇円計六四、〇〇〇円入れて下さい、これで追加予算歳出は終ります
 次は歳入に移ります
  (「全部異議なし」)
 次は議案二十八号に移ります、歳出をします
○厚生部長 積立金から俸給が二割上った分を引きたいんですが
◎座長 それでよい、これで歳出は終ります、次は歳入に移ります
  (歳出歳入とも全部異議なし)
 議案二十九号はどうですか
  (全員「異議なし」と云ふ)
 議案三十号は如何
  (全員「異議なし」)
 議案三十三号はどうです
  (「異議なし」)
 議案三十四号はどうですか
  (「異議なし」)
  (三十五号、三十六号とも「全部異議なし」を全員言ふ)
○亀川惠信 法案であったらもっと文章を練って貰ひたい、文章も下手で誤字が多い
◎座長 これで議案全部に亙る審議を済みました、明日は十時から本会議を開くことにして今日はこれで散会します
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