戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年12月13日 
(昭和26年)
会議名
第12回沖縄群島議会(定例会) 1951年12月13日
議事録
第十二回沖縄群島議会(定例会)会議録(注 会議録の表記は欠落箇所等を是正した。)
       自一九五一年十二月十三日
       至一九五一年十二月二十一日

 一九五一年十二月十三日(木曜日)午前十時開会
◎知事(平良辰雄君) 開会の挨拶を申上げます。
 第十二回沖縄群島議会定例会は本日成立する運びになります。提出議案は群島歳入歳出追加更正予算と、その他条例報告など十三件になっております。よろしく御審議をお願い致します。
 非常に沢山の案件になっておりますので色々説明しなければならぬ時間が相当かかると考えております。もう後群島議会もそう度々は会議を開く機会もなかろうし、無論これでおしまいとは考えませんけれども、色々な案件問題についても十分御審議を願いたいと思います。簡単に招集の御挨拶を申上げます。
○知事(平良辰雄君) 会議に入る前に御紹介申上げます。工務部副部長の神谷米信氏であります。よろしく
○工務部(ママ)副部長(神谷米信君) 只今御紹介にあずかりました神谷でございます。どうぞ今後よろしくお願い致します。
◎議長(知花高直君) 第七区の補欠選挙に当選致されました新任議員仲井真元楷君を御紹介申上げます。
◎仲井真元楷君 只今御紹介にあずかりました仲井真元楷であります。よろしくお願い致します。
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十七名、欠席三名であります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告を致します。十一月四日執行の群島議員特別選挙に於て当選した仲井真元楷君から十一月十三日議長宛当選証書の提出がありました。仲里誠吉君の後任として本議会議員に就任致しましたから御報告致します。尚仲井真君の議席でありますが議会会議規則第二条によりまして前任者の議席即ち二十番になります。左様御諒承願います。
 第十回議会に於て議決され、民政府に進達致しました軍用土地使用料の支払等について、マージ台風被害対策について以上二件の陳情に対して民政府から知事経由回答が参っておりますので書記長をして回答文を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」回答文朗読)

沖総第七三九号
  一九五一年十月十八日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  陳情について回答
第十回沖縄群島議会において議決になつた左記陳情二件については米国民政府から別紙写の通り知事宛に回答がありましたから御了知の上議員にもこの旨お知らせ願います。
    記
 一、軍用土地使用料の支払等について
 二、マージ颱風被害対策について

琉球列島米国民政府民政副長官室
 一九五一年十月五日
写 民政官
  米国陸軍准将ゼイムス・エム・ルウイス
沖縄群島知事殿
  群島議会からの陳情について
一 (1)土地使用料の支払 (2)颱風マージの被害を蒙つた公道及護岸の修復に関する貴覚書第五三八号に対して次の通り回答する。
二 現在の軍用地に対する正当なる使用料についての問題及此の正当なる使用料の支払方法に関しては当事務所をはじめ凡ゆる軍関係の使用料の支払について責任のある地区工兵団事務所が相当考慮を払つている。現地測量による確実な境界の設定が終り沖縄群島政府中央土地事務所の土地所有権登記が完了次第使用料の実際的な支払を開始することができる。此等計画は両者共一九五二年の初め頃には完了し使用料の支払いも、その後直ちに開始される見込みである。
三 颱風マージによる被害に関する陳情については公道及び護岸の維持は民政府の管理する見返り資金から支出する補助金で援助されている沖縄群島政府の職務であると考える。
 公道維持のために現行補助金割当計画に対する追加を考慮する前に貴政府はその職務遂行に関し資料を蒐集し計画を立てることが必要である。工事計画の明細なる説明に加うるに左記事項につき計画し研究しなければならない。
A現在補助金で支弁されているか、或は群島内でねん出される歳入から支出されている道路及護岸工事計画の訓令
B追加要求の分を貴政府自体の税収入から支出するよりもむしろ補助金から支出しなければならない理由についての説明
C道路維持計画に予算を割当てるのに群島政府の他の事業費を削減することが出来ない、若しくは削減すべきでないという理由についての説明

◎議長(知花高直君) 第九回議会に於て議決の上本議会から監査の要求を致しました学校校舎建築資材の処理顛末については、群島監査委員長から議長宛監査結果の報告が参っておりますので書記長をして朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

監委第七一号
 一九五一年十二月十日
  沖縄群島監査委員会委員長 金城研一
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  学校々舎建築工事用島内産資材監査結果報告について
一九五一年八月の議会に於いて議決監査御要求に依る「学校々舎建築工事用島内産資材(瓦、煉瓦、漆喰、その他)の処理顛末について」は去る九月五日より十一月十五日迄調査致しましたが其の結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します。
  (別紙省略)

◎議長(知花高直君) 特別委員会委員長及び第一部委員長から議長宛陳情案送付について文書が参っておりますので書記長をして朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

 一九五一年十二月十二日
   特別委員会
      委員長 稲嶺 盛昌
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  陳情案送付について
講和会議後における米国の琉球統治に対する要望につき別紙の通り議会の議決を得たいので今期議会に提案方御取計下さる様陳情案を送付致します。

 一九五一年十二月十三日
   第一部委員会
      委員長 石原 昌淳
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  陳情案送付について
災害復旧援助のため特別資金設定方に関する件につき別紙の通り議会の議決を得たいので今期議会に提案方御取計下さる様陳情案を送付致します。

◎議長(知花高直君) 知事から今期議会に提案する議案報告などの送付について議長宛に公文が参っておりますから書記長をして朗読致させます。
 (書記長「新垣良正君」朗読)

沖総第八四五号
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島議会議長 知花高直殿
  沖縄群島議会会議事件について
第十二回沖縄群島議会(定例会)における会議事件別紙の通りでありますので議案等を送付致します。

○議長(知花高直君) 書記をして議案陳情案その他を配付いたさせます。
  (書記議案配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第二十六号
 第一、今期議会の会期を定めること
 第二、今期議会の会議録署名人選挙
 第三、第一部常任委員会委員の欠員補充について
 第四、十一番議員請暇の件について
 第五、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第八十二号)
 第六、沖縄群島税徴収条例制定について
  (知事提出議案第八十三号)
 第七、沖縄群島税犯則取締条例制定について
  (知事提出議案第八十四号)
 第八、沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第八十五号)
 第九、沖縄群島鮮魚卸売市場条例制定について
  (知事提出議案第八十六号)
 第十、沖縄群島医療扶助条例制定について
  (知事提出議案第八十七号)
 第十一、沖縄群島消防条例制定について
  (知事提出議案第八十八号)
 第十二、群島並びに地区選挙管理委員会の委員及び職員諸給与条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第八十九号)
 第十三、講和会議後における米国の琉球統治に対する要望につき陳情書を提出することについて
  (特別委員会委員長提出陳情第十二号)
 第十四、災害復旧援助のため特別資金設定方に関する件につき陳情書を提出することについて
  (第一部委員会委員長提出陳情第十三号)
 第十五、知事専決処分報告について
  (知事提出報告第三号)
 第十六、沖縄群島所得税条例制定報告について
  (知事提出報告第四号)
 第十七、沖縄群島法人税条例制定報告について
  (知事提出報告第五号)
 第十八、沖縄群島酒税条例制定報告について
  (知事提出報告第六号)
 第十九、沖縄群島サービス税条例制定報告について
  (知事提出報告第七号)
 第二十、沖縄群島娯楽税条例制定報告について
  (知事提出報告第八号)
 第二十一、沖縄群島性病防あつ対策委員会委員の推薦について
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一 今期議会の会期を定めること
 日程第二 今期議会の会議録署名人選挙
 日程第三 第一部常任委員会委員の欠員補充について
 日程第四 十一番議員請暇の件について
 日程第五 一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第八十二号)
 日程第六 沖縄群島税徴収条例制定について
  (知事提出議案第八十三号)
 日程第七 沖縄群島税犯則取締条例制定について
  (知事提出議案第八十四号)
 日程第八 沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査手数料徴収条例制定について
  (知事提出議案第八十五号)
 日程第九 沖縄群島鮮魚卸売市場条例制定について
  (知事提出議案第八十六号)
 日程第十 沖縄群島医療扶助条例制定について
  (知事提出議案第八十七号)
 日程第十一 沖縄群島消防条例制定について
  (知事提出議案第八十八号)
 日程第十二 群島並びに地区選挙管理委員会の委員及び職員諸給与条例の一部を改正する条例について
  (知事提出議案第八十九号)
 日程第十三 講和会議後における米国の琉球統治に対する要望につき陳情書を提出することについて
  (特別委員会委員長提出陳情第十二号)
 日程第十四 災害復旧援助のため特別資金設定方に関する件につき陳情書を提出することについて
  (第一部委員会委員長提出陳情第十三号)
 日程第十五 知事専決処分報告について
  (知事提出報告第三号)
 日程第十六 沖縄群島所得税条例制定報告について
  (知事提出報告第四号)
 日程第十七 沖縄群島法人税条例制定報告について
  (知事提出報告第五号)
 日程第十八 沖縄群島酒税条例制定報告について
  (知事提出報告第六号)
 日程第十九 沖縄群島サービス税条例制定報告について
  (知事提出報告第七号)
 日程第二十 沖縄群島娯楽税条例制定報告について
  (知事提出報告第八号)
 日程第二十一 沖縄群島性病防あつ対策委員会委員の推薦について

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
◎議長(知花高直君) 日程第一の今期議会の会期を定めることについてを議題と致します。先刻運営委員会にお諮り致し委員会として決定した点をお知らせ致します。
 本日は本議会の初日でありまして議案、陳情案その他諮問案を全部上程し説明聴取の上簡単なものはできるだけ本日で処理致したいと思っております。そして委員会に審査を付託致しまして明日は議案研究のため休会致します。十五日の土曜日も同じく議案研究のため休会致しまして十六日の日曜日は休み、十七日の月曜日第一部と第二部の各委員会を開きまして付託案件の審査を願うことに致します。十八日の火曜日も一部、二部の委員会を開いて貰い、午後二時からは校舎建築工事促進期成会の打合せの準備会を開きますので午後一時までに一部、二部委員会を終了して貰いたいと思っております。
 十九日の水曜日には一部、二部委員会に付託した案件を全員で研究会を開いてそして諸案件の審議を致します。二十日の木曜日には当局を交えて全員協議会を開き、二十一日に本会議を開きたいと思っております。要するに今期第十二回の沖縄群島議会の会期は九日間と定めたいと運営委員会で決定致しておりますがこれに対して御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎祖根宗春君 暫く議会がありませんのでその間における中央政府の問題とか或は群島政府解消の問題、色々政務関係についての質問を日程の中に織込んで戴くように希望致しておきます。
◎議長(知花高直君) 二十日に当局を交えて協議会が開かれますのでその時に行なうことに致してあります。今期議会の会期を九日間と可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今議会の会期は九日間に可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程の第二でありまするが、今期議会の議事録署名人選挙を議題と致します。本件は選挙の煩を省きまして議長指名に致したいですが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議長は十番松本君、十二番長浜君二人を指名致します。御両人にお願いすることに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様決しました。

◎議長(知花高直君) 日程第三、第一部常任委員会委員の欠員補充についてを議題といたします。第一部委員であった仲里議員の辞任に伴い第一部委員会は一人欠員となっております。就きましては同君の後任として就任致しました仲井真元楷君を第一部委員に補充したいですが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) それぢゃその通り御異議ないと認めます。依って仲井真君は第一部委員会委員として選任補充することに可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第四、十一番議員請暇の件を議題と致します。具志頭君が日本に旅行致しましたので今期議会が先刻決定致しましたように会期九日間になりましたので一週間以上は議会の許可を受けなければなりませんが同君の請暇願に対して許可することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って十一番議員請暇の件許可すること可決致します。

◎議長(知花高直君) 日程第五の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について議案第八十二号を議題と致します。当局の説明を求めます。

議案第八十二号
  一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
群島組織法第百五十九条の規定に基き一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算を別紙の通り定めたいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年十二月十三日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 (一九五一年十二月三十一日付群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四六九頁に掲載)

◎財政部長(仲宗根秀俊君) 今回提出致しました一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について提案理由を説明致したいと思います。既に新聞紙上でも皆さん御承知の通りと思いますがマージ並にルース台風の災害復旧補助方につきましてはルイス准将と知事との間に数次に亙り折衝が行われましたが、結論と致しまして民政府としては資金の都合上新たに追加することは出来ないから現在群島政府に割当てられている補助予算を再検討して、災害復旧費用にするようにということになりましたので早速補正予算案を作って去った十月三十日に知事からルイス准将に提出したのであります。我々がねん出致しました結果は補助費から千二百七十七万四千七百七十円、行政費から八百八十七万二千百八十円、合計二千百六十四万六千九百五十円をねん出致しましてこれをマージ台風応急処理費に三百八十六万五千九百七十四円、ルース台風応急費に二百一万二十六円、与根護岸工事費に三百万円、奥武橋の復旧工事費に百十二万四千円、学校復旧工事費に一千九十四万六千九百五十円、愛楽園、結核、精神病院復旧工事費に七十万円以上復旧の急を要するものにそれぞれ振り向けて不足の分は更に軍から援助を要請したのであります。ルイス准将は我々の提出した予算に対し更に検討の必要があるからバロン財政部長と更に検討しようというお話によって十一月一日以降補助費のみに限って民政府財政部に於て数次に亙って検討がなされたのであります。検討の方法と致しましては民政府財政部としましては復旧費ねん出という意味を離れて真に余剰とみなされる、経費を一応削減するのだ削減して復旧費は別の方法でこれをとるというような検討であったのであります。その検討の結果節約所謂削減を要します費目が、公報室から八万七千六百五十八円、総務部から一千六十二万五千円、工務部から三百四十万円、厚生部から六百八十二万二千四百九十九円二銭、合計二千九十三万五千百五十七円二銭の削減を受けたのであります。それから今回新たに追加示達を受けたのが与根の護岸工事費として六百十万一千七百六十円、奥武橋復興費として三百十七万七千四百四十円、合計九百二十七万九千二百円となっております。その中に資材費として五百十五万五千二百円残りの四百十二万四千円が労務費その他となっております。なお校舎復旧費につきましては一〇〇教室分の資材を支給する旨内示を受けておりますが、これは目下工事中の百十二棟のうちの八十八棟が完成した時に割当てられることになっておりまして、既に八十八棟は先月完成致しまして近くこれが追加示達が行われるものと考えております。次に経常部に於ける補正の内容を申上げますと各部の消耗品費から五十二万九百七十円、備品費から三十五万九千七百七十円、油脂燃料費から三十八万一千九百九十五円、薪炭費から十三万八千八百七十円、賃貸料から三十五万九千二十九円、予備費から二百九十八万九千九百七十四円、合計四百七十五万六百八円をねん出致し、これを財源としてマージ台風の災害復旧費に三百八十六万五千九百七十四円、糸満護岸工事費十八万四千六百三十四円、愛楽園、結核、精神病院に七十万円をそれぞれ振り向けたのであります。
 以上は災害復旧の関係でありますが、その他総務部、財政部、工務部、警察部、厚生部中数個の費目について不足を生じておりますので現予算の範囲内でそれぞれ補正を行っております。
 次に今回農林省から農業改良普及員設置補助として百四十六万七千七百八十五円、農業改良委員会設置補助として三十三万六千円、農業研究指導所試験研究補助として四十一万五千六百円、農業研究指導所試験研究事業委託金として三十三万九千九百二円、合計二百五十五万九千二百八十七円の補助示達がありましたので、これを臨時部に受入れ臨時部歳出としてそれぞれ使途目的に従って計上致したのであります。尚この補助金を受けることによって経常(済カ)部の農業研究指導所費中俸給に於て百十四万二千六百八十一円の余剰を生じておりますが、更に経済部の備品消耗品などから三十九万二百円をねん出してこれを合算して農事費に六十四万六千三十八円、水産費に三十八万六千八百四十三円、移植民奨励費に五十万円、合計百五十三万二千八百八十一円を振り向けて経済部の事業を強化したのであります。
 以上大体予算提案説明の概略を申上げたのでありますが、尚詳しいことは御質問によってお答え致したいと思います。よろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案の第八十二号追加更正予算については第一部委員会にその審査を付託致します。

◎議長(知花高直君) 日程第六の沖縄群島税徴収条例制定についてを議題と致します。当局の説明を求めます。

議案第八十三号
  沖縄群島税徴収条例制定について
沖縄群島税の徴収の強化並に円滑を期するため群島組織法第二条第二項C号の規定により沖縄群島税徴収条例を別紙案の通り制定いたしたいので議会の議決を得たく提案する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島税徴収条例案
 (一九五一年十二月二十四日付沖縄群島公報第五七号に登載済に付省略)
 (注 四七六頁に掲載)
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 第八十三号議案について説明申上げます。今回沖縄群島税徴収条例案を提出致しましたのは群島税の滞納についてこれまでは税法処分のみの所謂集成刑法による告発の手続のみによってやっておりましたが、色々と事務的に於て隘路がありますので行政処分による群島税の一般的徴収手続を規定致しまして徴収の円滑を期したく徴収条例を提出した訳であります。よろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第八十三号は第一部委員会にその審査を付託致します。
◎議長(知花高直君)(注 欠落のため挿入) 日程第七の沖縄群島税犯則取締条例制定について議案の第八十四号を議題と致し当局の説明を求めます。

議案第八十四号
  沖縄群島税犯則取締条例制定について
沖縄群島税の犯則事件について徴税官の調査に関する事項を規定し課税の公平と徴税の円滑を期するため群島組織法第二条第二項C号の規定により沖縄群島税犯則取締条例を別紙案の通り制定いたしたいので議会の議決を得たく提案する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  沖縄群島税犯則取締条例案
第一条 徴税官は税条例に関する犯則事件を調査するため必要あるときは、犯則嫌疑者若しくは参考人に対し質問し犯則嫌疑者の所持する物件、帳簿書類等を検査し又はこれらの者が任意に提出した物を領置することができる。
(2) 徴税官は犯則事件を調査するため参考人の所持する物件、帳簿書類等を検査することができる。
第二条 徴税官は犯則事件を調査するため施設物の捜索及び税法の定めるところによりその所持が不法である物件(以下不法物件と称する)の差押をすることができる。但し捜索すべき場所の所在地を管轄する巡回裁判所又は治安裁判所の裁判官からかかる目的のための許可証の交付を受けたときに限る。
(2) 前項の許可証を請求しようとするときはその理由を明示しなければならない。
(3) 前項の許可証の請求あるときは巡回裁判所又は治安裁判所の裁判官は臨検すべき場所、捜索すべき身体若しくは物件、差押すべき物件請求者の官職氏名、許可証の有効期間及び裁判所名を記載し自己の記名捺印せる許可証を徴税官に交付しなければならない。この場合において犯則嫌疑者の氏名及犯則事実が明かであるときは裁判官は此等の事項を記載しなければならない。
(4) 徴税官は前項の許可証を他の徴税官に交付して臨検及捜索又は差押を為さしめることができる。
第三条 間接税に関し現に犯則を行い又は犯行を行い終つた直後に発覚した事件につきその証憑を集取する為、緊急を要し前条第一項の許可証を得ることができないときは徴税官は直ちに第三条(ママ)第一項の処分をすることができる。
(2) 犯則に関する証憑を保管する為已むを得ない場合又は間接税に関し犯則ありと信ずるに足る根拠を有する場合は徴税官は許可証なくして第二条第一項の処分を為すことができる。但しこの項及び前項により許可証なくして家宅に立入る権限を付与するものではない。
第四条 徴税官は巡回裁判所若しくは治安裁判所が正当に発行した許可証を所持する場合又は間接税に関し現に犯則の事実があると認めた場合は税金額の決定の証憑資料となる財産又は法的に差押のできる財産を捜索又は差押する目的で錠封又は扉を開けたり若くは取り外したりすることができる。
第五条 徴税官は不法物件の捜索臨検又は差押をするときはその身分を証明すべき証票を携帯しなければならない。
第六条 徴税官は不法物件の臨検又は差押をするに当つて必要あるときは警察官の援助を求めることができる。
第七条 徴税官は捜索をするときは、捜索すべき家宅、倉庫、船舶、車輛又はその他の施設物の所有主、管理者、借主、雇人、親族、隣佑で成年に達した者を立会わしめなければならない。
(2) 前項に掲げる者その地に居ないとき又は立会を辞退したときは警察官又は市町村吏員を立会わしめなければならない。
(3) 女子の身体を捜索する場合は成年の女子を立会わしめなければならない。
第八条 徴税官は物件、帳簿書類又は其他を差押えたとき又は領置したときはその目録を作製しなければならない。
 但し所有者又は所持者はその目録の謄本を請求することができる。
 この項の規定にかかわらず徴税官は差押又は領置の際にこの受領証を所有者又は所持者に交付しなければならない。
(2) 差押物件又は領置物件は便宜により官公署で保管しなければならない。但しこの場合保管証明書を財政部に提出しなければならないか、若しくは所有者又は所持者に引続き保管させる。
(3) 差押物件又は領置物件が腐敗その他損害の虞あるときは財政部長は、これを公売に付し、その代金を差押物件の保管を規定する条件(例カ)に基いて保管することができる。
(4) 徴税官は差押物件、領置物件又は前項の売上代金に付留置の必要ないと認めるときは、これを還付しなければならない。
第九条 徴税官は日没から日出までの間不法物件の捜索又は差押をすることはできない。但し徴税官が現に犯則が為されたと認めるか若しくは犯則ありと信ずるに足る根拠を有するとき現に犯則を行ひ又は現に犯則を行い終つた際に捜索又は差押をなすことができる。この場合においても許可証なしで家宅に立入ることを認可するものではない。
(2) 日没前から開始した捜索に関して徴税官が猶予することにより差押すべき財産が隠匿されたり又は遂行すべき臨検が無效になる虞ありと思料するときは日没後といえどもこれを続行することができる。
(3) 徴税官は料理店、飲食店又はその他夜間といえども公衆の出入することのできる場所においてその公開した時間内は第一項の規定に拘らず捜査(索カ)又は差押をすることができる。
第十条 徴税官は不法所持物件に関し質問、臨検、捜索又は差押をする間は何人といえども許可なくしてその場所に出入することを禁ずることができる。
第十一条 徴税官は臨検、財産差押、質問、捜査(索カ)を完了したときは、その顛末を明記し質問を受けた者又は立会人に示し共に署名捺印しなければならない。質問を受けた者又は立会人が署名せず又は署名することができないときはその旨を付記しなければならない。
第十二条 徴税官は左の場合において犯則嫌疑者を告発する手続をなすことができる。
 一 犯則嫌疑者の居所分明でないとき
 二 犯則嫌疑者逃走の虞あるとき
 三 証憑湮滅の虞あるとき
 その他の場合においては財政部長が凡てこれを告発する。何れの場合においても徴税官は完全な報告書を作製しこれを財政部長に提出しなければならない。
第十三条 財政部長は前条の規定により事件を治安裁判所の検事に付託するときは差押物件又は領置物件及びこれに関する書類を検事に移管しなければならない。
(2) 差押物件又は領置物件が所有者、所持者又は官公署によつて保管されている場合は保管証明書を検事に移管してこれを引継ぐものとする。但し差押物件又は領置物件の所有者又は所持者であつた者に対しその旨通知しなければならない。
(3) 裁判所は被告に対し有罪の判決があつた場合は差押物件又は領置物件の没収を命じこれを公売に付することができる。但し公売前に執行の中止を規定した法律に定められた期間内に被告が上訴の通知をした場合はこの限りでない。
第十四条 財政部長は税法に関する犯則事件を調査し犯則の心証を得ないときはその旨を犯則嫌疑者に通知し物件の差押又は領置あるときはこれを解除しなければならない。
第十五条 この条例の規定による徴税官の行為に対し税金帳簿書類又は証憑を隠匿又は湮滅することによつてこれを妨害し若しくは間接税の犯則に関する調査を忌避した者は一万円以下の罰金に処する。
第十六条 この条例で間接税とは酒税、サービス税、娯楽税若しくは通常間接税と思料される税をいう。
第十七条 税法の定める申告をしないこと、虚偽の申告をすること又は税の納付若しくは徴収をしないことを煽動した者は手段の如何を問はず一年以下の禁錮又は五万円以下の罰金に処する。
第十八条 この条例の如何なる条項といえども徴税官に対し何人も自由又は財産の侵害に対しては其の安全を保障されるという基本的人権を剥奪するような行為をする権限を付与するものではない。
   附 則
 この条例は公布の日から施行する。

◎財政部長(仲宗根秀俊君) 議案第八十四号群島税犯則取締条例案について説明申上げたいと思います。群島税の納税賦課徴収に関する犯則事件がある場合の徴税官の犯則事実の調査に関する規定が現在ありませんので、今回犯則取締条例といたしまして基本的人権を侵害しない範囲に於ける質問検査、領置などの方法による任意調査現行犯の特殊の場合を除き裁判所の許可状による臨検、捜査(索カ)、差押の方法による強制徴収に関する事項を規定致し課税の公平を期したいと存じまして本案を提出したような次第であります。よろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第八十四号はその審査を第一部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 日程第八の沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査手数料徴収条例制定について議案第八十五号を議題と致し当局の説明を求めます。

議案第八十五号
  沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査手数料徴収条例制定について
群島組織法第百四十六条第二項の規定により、沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査手数料徴収条例を別紙案の通り制定いたしたいので議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年十二月十三日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査手数料徴収条例案
 (一九五一年十二月三十一日付沖縄群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四七九頁に掲載)
◎経済部長(呉我春信君) 前の議会に於きまして砂糖の検査条例が通過致しましたのでこれに伴いまして手数料を徴収したいというので提案したのであります。
 当時この手数料も同時に提出する予定であったが戦前の状況とかいろいろの調査があって間に合わなかったので遅延した訳であります。よろしく御審議願います。
◎議長(知花高直君) 議案第八十五号はその審査を第一部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 日程第九の沖縄群島鮮魚卸売市場条例制定について議案第八十六号を議題と致し当局の説明を求めます。

議案第八十六号
  沖縄群島鮮魚卸売市場条例制定について
鮮魚卸売市場の健全な運営を促進し、鮮魚介類の取引を公正妥当ならしめるため、群島組織法第二条第二項の規定により沖縄群島鮮魚卸売市場条例を別紙案の通り制定いたしたいので、議会の議決を得たく提案する。
 一九五一年十二月十三日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島鮮魚卸売市場条例案
 (一九五一年十二月三十一日付沖縄群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四八〇頁に掲載)
◎経済部長(呉我春信君) 皆さん既に御承知のことと思いますが鮮魚の相場が一定していない。これは生産者も消費者も非常に迷惑を蒙っているという現在の状態から見まして、この生産者と消費者の需要供給が円滑化するためには、どうしても公共性を持つ施設が必要である。研究の結果こう考えましてこの施設を致したいと思っているのであります。現在生産者である漁民は魚を獲るというだけに熱心になって販売の面は実におろそかな状態にあるのであります。ただ仲買人が船から引取って販売するその相場もすべて商人委せでありまして、その事業経営に非常な不利を来しているような状態であります。而も商品が非常に粗雑である。不潔である。然も鮮度を非常に悪くしている。こういうような状態でありますので、その商品価値を高め又市場価格の安定性を与えたいそれには販売取引の方法がまず先決であるというのでそういう施設が重要であるということに結論を得たのであります。現在の水産業に於きましては生産を増強するというのが第一であります。然しこれに伴う市場施設が戦前には農林省の補助で二ケ所位あったのでありますが、これが戦争のためになくなってその市場施設は現在まで放置されておったというような状態であります。従って魚価の不安定は皆さん御承知の通りでありまして非常に円滑を欠いている。そのためにこういう施設が是非なければならんという意味から提案した訳であります。どうかよろしく御審議をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第八十六号はその審査を第一部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十の沖縄群島医療扶助条例制定について議案第八十七号を議題と致し当局の説明を求めます。

議案第八十七号
  沖縄群島医療扶助条例制定について
住民の健康で文化的最低生活を保障するため群島組織法第二条第二項P号の規定に依り沖縄群島医療扶助条例を別紙案の通り制定いたしたいので議会の議決を得たく提案致します。
 一九五一年十二月十三日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 沖縄群島医療扶助条例案
 (一九五一年十二月三十一日付沖縄群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四八二頁に掲載)
◎厚生部社会事業課長(嵩原久男君) 開業医制度の開始に伴いまして自力で医療を受け得ない者が出て来た訳であります。それで住民の文化的最低生活を保障するためにどうしても自力で医療を受け得ない者に対して補助を行う必要が生じて来た訳であります。そういった意味でこの条例を提案した訳であります。よろしく御審議をお願いします。
◎議長(知花高直君) 議案第八十七号はその審査を第二部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十一の沖縄群島消防条例制定について議案第八十八号を議題と致し当局の説明を求めます。

議案第八十八号
  沖縄群島消防条例制定に就いて
群島組織法第二条第二項O号及び第三十七条第一項A号の規定に基き別紙消防条例案について議会の議決を求める。
 一九五一年十二月十三日提出
   沖縄群島知事 平良 辰雄
提出理由
 一九五一年八月二日第九回沖縄群島議会で諮問案として決議確定になつた軍布令として公布予定の消防法案に対し別紙写の通り沖縄民政府主席民政官ゼンキンス中佐から消防法は沖縄群島条例として制定公布するよう指示がありますので群島組織法第二条第二項O号及び第三十七条第一項A号の規定に基き提案する。
一九五一年十月十九日
 琉球列島米国民政府
  沖縄民政官府
    主席民政官
  歩兵中佐 シドニー・シー・ゼンキンス
沖縄群島知事殿
  消防法の公布について
一、首題の件に関する一九五一年八月十四日附貴覚書第四六六号に対し回答する。
二、消防法は群島条例に依り公布すべき旨指示する。
三、沖縄群島議会がかかる条例を制定する権限を有するということは軍政府布令第二十二号(一九五〇年八月四日)第四節第三十七条第一項Aに書いてある。
四、群島議会が消防法案の第九節第四十条、第四十一条、第四十二条及第四十三条の違犯に対する罰則を制定する権限を有するということは同布令第二十二号第一節、第二条第二項R項(ママ)に書いてある。
五、然し群島議会は消防法案の第九節第三十七条、第三十八条及第三十九条の罰則を制定する権限は有していない。何故なれば之等の違犯は重罪の部類に属するからである(軍政府布令第二十二号第一節(章カ)第三条第九項)それでこの消防法案の第三十七条、第三十八条及第三十九条の罰則の条項を“軍政府布令第一号(一九四九年六月二十八日、集成刑法及手続)に依り処罰される”と変更され度い。右罰則の条項を包含するように当政府布令第一号(一九四九年六月二十八日)に改正を加える準備をしている。
沖縄群島消防条例案
 (一九五一年十二月三十一日付沖縄群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四八八頁に掲載)
◎警察本部消防課長(下地寛忠君) この消防条例は先の第九回の議会で消防法案として諮問致し御審議をお願いしたのでありますが、あの当時は軍から布告として出すから一応議会に諮問し、議決して貰ってから出せということでありましたので、こちらの消防法として御審議を願ったものをそのまま軍に提出しましたら、又最近になりましてこれは条例として出せという指示が軍当局からございましたので、これを改めてこちらに消防法を消防条例と改正致しまして提案した次第でございます。この内容につきましては消防法で謳ってありました罰則の第三十七条、第三十八条、第三十九条には重罪の規定があったのでございますが、群島議会に於きましてはこの権限がないようでありますのでこの三ケ条を全部削除しまして、消防法で四十五条でありましたのを四十二ケ条に整理したのであります。よろしく御審議の程をお願い致します。
◎議長(知花高直君) 議案第八十八号はその審査を第二部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 日程第十二の群島並びに地区選挙管理委員会の委員及び職員諸給与条例の一部を改正する条例について議案第八十九号を議題と致し、当局の説明を求めます。

議案第八十九号
  群島並びに地区選挙管理委員会の委員及び職員諸給与条例の一部を改正する条例について
 (一九五一年十二月三十一日付沖縄群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四九六頁に掲載)
◎総務部長(幸地新蔵君) 政府一般職員が多少昇給しておりますので、委員会の方も多少変えて行かなければならんので給与条例の一部を改正してそれぞれ適当に昇給を認めたいと思いまして提案したのであります。よろしく御審議願います。
◎議長(知花高直君) 議案の第八十九号はその審査を第二部委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十三、講和会議後に於ける米国の琉球統治に対する要望につき陳情書を提出することについて特別委員長提出陳情第十二号を議題と致し、提案者の提案理由の説明を求めます。

陳情第十二号
  講和会議後に於ける米国の琉球統治に対する要望につき陳情書を提出することについて
講和会議後における米国の琉球統治に対する要望について別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
  一九五一年十二月十三日
    特別委員会
      委員長 稲嶺 盛昌
宛  米国政府、日本政府
経由 琉球列島米国民政副長官
発  沖縄群島議会議長
題  講和会議後に於ける米国の琉球統治に対する要望について
今次大戦に於て未曾有の大戦禍を蒙りました沖縄が次々と復興されつつありますことは偏に米国政府並現地占領軍当局の御指導御援助の賜でありまして本議会は茲に全住民を代表し衷心感謝申上げる次第であります。今や講和会議も終了し日本は晴れて平和愛好独立国家として茲に輝しくスタートする運びとなりましたことは誠に御同慶にたえません。然し乍ら共産主義陣営は世界の平和を攪乱すべく陰に陽に総ゆる手段を以て吾々の身辺にその魔手を伸ばそうとしているのであります。
吾々沖縄全住民は過去における戦争のあの悲惨な体験から致しまして再び戦争が起らない様に念願すると共に飽迄も平和を維持するために茲に防共の決意を固め亜米利加合衆国並日本国と密接なる連繋のもとに微力乍ら共同防衛に協力致す覚悟であります。
本議会は講和会議終了を機会に群島内一般の世論を参酌して琉球を成るべく早く日本に完全に復帰させることを前提と致しまして、その実現迄の期間の統治に関し左記の通り要望致します。何卒宜しく御取計下さる様う御願します。
    記
(1) 国籍は日本人として、日本国旗の掲揚を許して貰いたい。
(2) 全琉統一政府を置き首長及び議員は公選とし最大の自治を与えて貰いたい。
(3) 日本の法規を最大限に採用して貰いたい。
(4) 琉球人に対する米国民政府裁判所の刑事裁判権を琉球の裁判所に移管して貰いたい。
(5) 教育及び文化に関しては制度内容共に日本同様とし、一府県としての取扱いをして貰いたい。
(6) 日琉間の移住、旅行、進学、就学及び就職の自由を認めて貰いたい。
(7) 戦災(護岸、道路、港湾、潰廃地、建物等)の復旧並びに補償を日米両国の責任に於て早急に実施して貰いたい。
(8) 戦争罹災者の救済は日米両国が責任を以て援助して貰いたい。
(9) 琉球の自立経済確立のため米国の経済援助を今後も継続し、日本も積極的に援助して貰いたい。
(10) 琉球人の軍労務賃金を適当に引上げて貰いたい。
(11) 外貨及見返り資金を琉球政府に管理させて貰いたい。
(12) 日本との交易はすべて内国扱いとして貰いたい。
(13) 日本の対外条約又は協定には琉球を日本の一部として取扱つて貰いたい。
(14) 海外移民を速かに実施し実施に当つては日米両国において特別の援助をして貰いたい。
(15) 恩給、年金、預貯金、保険金、国債等の債権並に戦傷者、遺家族に対する援護金を早急に支払って貰いたい。
(16) 軍使用地の借地料を早急に支払つて貰いたい。
右第十二回沖縄群島議会の議決に依り陳情致します。
  一九五一年十二月  日
     沖縄群島議会議長
       知 花 高 直
◎特別委員長(稲嶺盛昌君) 只今議題となりました講和会議後に於ける米国の琉球統治に対する要望について陳情書を提出することについて提案理由を説明申上げます。講和会議後に於ける米国の琉球統治に対する要望につきましては、第十一回議会に於て十二番議員(長浜宗安君)の発議により議会として本要望事件を審査する特別委員会が設置せられ、議会の選任によって正副議長、第一部、第二部各委員長それに長浜議員、平良議員、普天間議員、新里議員以上八名がそれぞれ委員となり、委員の互選により本員が委員長の職務を行うことになったのであります。それで十月九日第一回特別委員会を全員出席の下に開催致し、本要望事項を如何様に取纏めるべきかを審議致しましたところ、問題の重要性に鑑みまして公聴会を開いて民間側の意見を聴いて処理したいという意見もありましたが、然し公聴会を開くなら本委員会としても何らかの腹案を持たねばならんのぢゃないかということで、結局は各階層の代表の御高見を一応文書により照会し、回答を得た上で更に案を練ろう、練った方がいいということに意見の一致を見て各階層代表、即ち琉銀総裁、貿易庁総裁、商工会議所会頭、教育連合会、市町村長協議会、婦人連合会、青年連合会、農連、琉球、沖縄両方、水連これも琉球、沖縄両方、工業商事株式会社、各政党、各新聞社、中央政府立法院、上訴裁判所長、海運協会、海外協会、郵政局、琉大総長などにそれぞれ文書で照会することになったのであります。十月十五日までに右の回答文書が揃いましたので十八日更に第二回の特別委員会を開き審議を進めたのであります。右各界代表者からの回答や群島政府の纏めた要望事項などに一々検討を加え大体十六項目に亙って一応の成案を得たのでありますが、尚これに追加すべきものがありはせんか、又要望事項の再検討を要するものもあって、更に各自研究を重ねることになったのであります。ついで十月三十一日に第三回の特別委員会を開催致しまして更に慎重審議を重ねました結果、お手元の陳情書十六項目の要望事項を取纏めたものであります。要望事項を一応読上げてみます。
 (要望事項朗読)
 以上のように十六項目を議会として要望したいので陳情書に致しまして米国日本両政府に提出致すことに本委員会は決定致したのであります。
 皆さんの御賛同を得まして処理進達したいと思っております。以上特別委員会に於ける審査の経過並に結果の報告を以て本提案理由の説明と致す次第であります。
○議長(知花高直君) 質疑に入ります。
◎祖根宗春君 陳情の第一項の国籍を日本人にして日本国旗の掲揚を許して貰いたい。こういう条項に関連する問題でありますが、日本が再武装して再軍備のために徴兵令を布くことも今から予想される問題の一つでありまして、我々琉球が戦災を蒙って更にこの本文にもあります通り再びこの戦火に巻き込まれたくない、平和を希望することは前文に謳われております。それにつきまして若し国籍を日本人とした場合には我々は日本人としての徴兵令、或は最悪の場合には戦争に巻込まれなければならない。こういったような問題なんかもありますが、これについての委員会の見解をちょっと承りたいと思います。
○稲嶺盛昌君 これは只今の問題などにつきましても十分委員会は始からそういう風な点も色々研究して先程御説明申上げた通り三回に亙っての委員会でこういう風に致したのであります。平和を謳っております。今の問題は日米間のこれからの協定によってどういう風になって行くか国際情勢によって如何とも出来ないと思いますが、この一番は我々の平和を愛好するため戦争に巻込まれる恐れがあるというような懸念はこれを別として日本人として日本の国籍に入りたいとこういう要望をした方がいいというのでこういう風に入れたのであります。
◎仲村栄春君 前の全体協議会に於ても要望した事柄でありますが、戦前に於ても沖縄は日本の統治下にありながら日本に於て行われておりましたところの農業災害補償法の適用を受けていなかったのであります。然るに年々歳々沖縄は台風の銀座と云われるまでに台風の被害を年々繰返しております。従って戦前から継続して行われておりますところの日本に於ける農業災害補償の法律を沖縄にも適用して貰いたいということをこの要望の中に織込んで戴きたいのであります。もう一つ十六番の軍使用地の借地料の問題についてでありますが、二十日に要望事項として述べたのでありますが、本項に掲げられているので併せて要望致したいことは、借地料の決定に当っては沖縄住民の代表者もこれに参加せしめて戴くような文句を挿入して戴きたいと思います。
○稲嶺盛昌君 只今四番議員(仲村栄春君)の御要求についてでありますが、なるほど台風の銀座とも云われている沖縄には年々決った台風被害が殆ど欠かさずにあることは事実でありますが、これに対して農民補償法の如く日本のように--一面委員会に於ては大体十六項目というのは大綱を検討してここに取上げた訳でありまして、こういったような問題まで取上げるとしたらきりがない。そういう点まで取り上げるとしたらなお外にも沢山出て来てきりがない。尚又補償法の問題につきましては、これは、日本の新法規を全面的に採入れて貰うような要望がありますので、その中に含まるものぢゃないかというような見解が出た訳であります。それで四番議員(仲村栄春君)のこの方面に関する御要望はこの条項の中には、文面には現われていない訳であります。借地料の問題、これは沖縄人を参加させるということは、これは先にも議会から要望したことであります。だからしてこの方面には、当然四番議員(仲村栄春君)の要求は我々議会の意思としては当然沖縄の地元、我々琉球住民を参加せしめて両方の協定の下に決定すべき性質のものであるということは議会の意思としてはっきりしている。前に陳情もしたのでこれにはこの程度に止めてよかろうということになった次第であります。
◎宮城久栄君 前文の終りから二行目でありますが、別紙要望事項を取纏めました。終りから四行目に参酌してとあって後に取纏めましたとなっているが、兎に角事実はあらゆる方面から要望事項の資料を集めてそして委員会で三回に亙って慎重に審議をし更に本会議にかけて陳情するのでありますが、取纏めましたでは議会の自主性がないような気が致しますが、ただ取次をしたような風に見えるのでありますが、私はこういう風にしたいと思います。決議と第十二議会はいわんでも、別紙の通り要望致します。これでよくはないかと思います。取纏めましたならば何だか取次いだだけで議会の自主性がないように感ぜられます。
◎平良幸市君 只今の御意見に反対ではありませんが、委員会で我々がこう致した気持を申述べます。取纏めたということはあくまでもお互が民論を取纏めた、民論を両政府に申請するということから出たのであります。
 最後に、右第十二回沖縄群島議会の議決によりといった形式をとりましたのは、これは委員会に於ても問題になったのであります。先の七番議員(宮城久栄君)の御意見の通り本員も主張したのでありますが、陳情文はすべてそういった形式になっているからというので形式論からこうなったものであります。
◎宮城久栄君 八番議員(平良幸市君)に帰するところは一致しておりますが、私のいうことは小さいことは小さいが、文章の上からの問題であります。無論我々議員は民選による民意を代表する議員でありますけれども職務は単に民衆の声をそのまま取次ぐものではない。公聴会なり或は書類で意見を徴するということはこれは大事でありますが、その参考資料によって我々の意思を表明するというのが我々の職務でありまして、別に取纏めましたということをいわんでも矢張り我々は民主的民意を尊重して決議をしているのでありますから、そういう意味からこれは取纏めましたということは民意を尊重したという意味からは結構でありませうが、議会の自主性というのが非常に弱いような気が致しますので先の通り修正を希望するものであります。
◎平良幸市君 議会の自主性が如何にも弱いかのような御解釈でありますが、議会の自主性を意味したところは、一般の世論を参酌した正しき世論に基いて当然なものであるということを議決するということで、この参酌という言葉をここに入れたのであります。
◎宮城久栄君 これは参酌ということをいうて後で取纏めましたということは何だかそこにぴったり合わんような気がするのであります。参酌は世論を収集してやるということが参酌であります。それを集めて来て議会でこれを取捨選択判断するということを取纏めましたでは弱いと思います。要望致しますというのが議会としての自主性を強くする意味からよかろうと思います。
○議長(知花高直君) 暫時休会致します。
  (午前十一時三十一分休会)

  (午前十一時三十三分再開)
◎議長(知花高直君) 開会致します。陳情第十二号の質疑を終了致し討論に入りますが、討論を省略して原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案原案通り可決致します。
 次は日程第十四災害復旧援助のため特別資金設定方に関する件につき陳情書を提出することについて陳情第十三号を議題と致します。第一部委員会提出でありますから委員長の提案理由説明を求めます。

陳情第十三号
  災害復旧援助のため特別資金設定方に関する件につき陳情書を提出することについて
災害復旧援助のため特別資金設定方に関する件につき別紙の通り陳情書を提出致したく議会の議決を得たいので提案する。
  一九五一年十二月十三日
    第一部委員会
      委員長 石原 昌淳
宛  米国政府、米国両院議長、琉球民政長官
経由 琉球列島米国民政副長官
発  沖縄群島議会議長
題  災害復旧援助のため特別資金設定方に関する陳情について
(1) 今次戦争に於て戦史上未曾有の破壊を受けてから六年を経ましたが其の間米国政府の絶大なる御援助の下に引続き戦災復旧事業が施行せられ漸く本格的復興の途についたことに対し住民斉しく感謝を捧げて居るのであります。
 然るに打ち続く風水害は之等復旧事業の殆んどを烏有に帰せしめたのみでなく、未復旧の部分を通じて、戦災を免かれた部分に迄も類禍して破壊し去り其の被害は実に莫大で今後復旧を要すべきものは別表(第一)の通りであります。
(2) 本議会は其の復旧対策につき政府を鞭撻し、更に之と協力して応急対策として既決予算に対しても再検討を加え能う限りの措置が執られつつありますが、恒久については打続く災害のため物心両面に深刻なる打撃を受けつつも尚撓まざる復旧に専念する住民の経済力は別表(第五)の通りで一般行政費を支弁するにも精一杯であり、別表(第一)の通り莫大なる経費を予想せられる災害復旧費の如き特殊財政需要に応ずることは到底不可能だと考えられます。
(3) 戦前沖縄は戦災の様な特殊災害もなく且地方庁としての単純なる行政形態で財政需要も少なかつたのでありますが、別表(第二)の通り十五年計画に依る振興費や災害復旧補助規程に依る復旧費を政府より支弁して頂き、産業の振興を図ると共に年々起る風水害の復旧を完遂し産業交通上の基本施設が整備せられつつあつたのであります。
 又戦後に於ても日本は戦災並に風水害復旧の如き公共事業費は別表(第三、第四)の通り其の殆んど全額が国庫より支弁せられて居る状況であります。
(4) 前述の様にガリオア、エロア両資金に限つて年々引続き復旧事業を施行して頂いたのでありますが、打ち続く災害のため、復旧事業は一進一退賽の河原の石積みの様な復旧の歩みに住民は復旧の前途に希望を失い、自然の暴威の前に生命の危険を感じつつ国土保全に就いても百年河清を待つの不安を抱いて居ります。
(5) 未曾有の大戦災地であり、而も暴風地帯として災害の多い沖縄に於て戦災の未復旧が其の後の風水害を愈々大ならしめている実状と住民の経済力の現状に鑑み、災害予防施設の復旧整備、戦災の復旧は是非共、博愛の国、米国当局の御援助に待つ以外に道はなく、而も其の一日も早いことが自立経済確立促進の根本策であると確信せられますので、道路、港湾、護岸、用排水等の基本施設及学校々舎の復旧整備並に民心安定、民生活の本拠たる民住宅復旧(資材面融資面)のため、毎年度のガリオア資金の外に災害復旧特別援助資金を御設定下され災害復旧の促進を図つて下され度く全住民を代表致しまして懇願致します。右第十二回沖縄群島議会の議決に依り陳情致します。
  一九五一年十二月  日
   沖縄群島議会議長 知花 高直
◎第一部委員長(石原昌淳君) 提案理由を説明申上げます。今次の大戦に於て未曾有の大戦災を受けたわが沖縄の戦災復興事業は米国の絶大な援助によって引続き実施された訳でありますが、それにも拘らず、その後続く台風災害のために一進一退を繰返して特にグロリア台風以来頻繁な台風の襲来がその災害を愈々累積拡大して、曩にはマージ台風により、近くはルース台風により尊い人命多数の犠牲の外、惨たんたる風潮害を蒙って物心両面に深刻な打撃を与えておりますことは私が申上げるまでもないことであります。ところでこの道路、護岸、用排水施設の如き基本施設の整備復興は住民経済生活の面、或は精神生活の面でその生活の本拠であります。住宅の復興と民族興隆の原動力をなしますところの教育の場所、校舎の復興、これらのことは沖縄復興上の最も緊急で重要な事柄でありますし、これが解決なくしては沖縄の本格的な復興はあり得ないというても過言ではないと思うのであります。ところでこの復興につきましてはこれらの災害と闘いながらよちよち復興の途を歩んでおります住民の経済力を以てしてはどうにもなすことも出来ませんし、漸く一般行政費を賄うだけでも精一杯でありますし、どうしてもその恒久的な復興はアメリカの力にお縋りするより外に仕様がないと考えるのであります。これは戦前の実例から致しましても沖縄は八十%の災害復旧費を貰って総ての災害復旧がなされていたし、その他、振興費を以て基本施設の整備が漸次整いつつあったような状態でありましたし、住民の経済力の面から申しましても戦前の比較に於て考えて見てもどうしても米国にお縋りする外ない。然るに現状は遅々としてその復興が進まない状態にありますので近く解消することになっております本議会と致しましても、この際是非米国に新たにガリオア資金に代る特別復興援助資金といった特別資金の設定をして戴いて復興の促進を図るように特別の援助を要請する陳情書を出したいと考えている訳であります。
 これはルース台風の後緊急に集りました議会に於ける一般住民の世論を体しての話合であり、その結果一部委員会に於て各方面から資料を蒐集して案を練って今まとめつつあるところであります。幸に適当に御審議下さいまして力強く全住民の意思として米国軍政府に訴え、そしてアメリカ政府の特別の御配慮を要望する陳情を致したいと思っております。以上で説明を終ります。宛は民政副長官宛に致したいと思います。
◎新里銀三君 只今の提案は非常にいい提案であります。これにつきましては是非全住民の総合協力によりまして早期に実現致したいと念願するものでありますが、宛名が副長官ではどうも力にならんと本員は信ずるのであります。何故かと申上げますと、今日まで幾多の問題を持出してお願い致しましてもその場限りの御気嫌取りのいい話は聴かされますけれどもいざ実際という場合にはその効果が挙らない。寧ろ副長官を経由して米国の上院下院の議院或は米国の共和党と民主党の有力な議決機関にこれを陳情し、同時に総司令部と日本政府の方にもこう出したから是非総司令部を動して貰いたいという総理大臣を経由して日本の総司令部に出すのと又副長官を経由して米国の議決機関に出した方が早途であり、又これが実現可能ぢゃないかと思います。米国の議会の内容はよく分りませんが、大体話を聞いてみると当局の重要な地位にある人にお願いしても議決機関でないが故に参考までに聴くという程度で、向うでは議員の立場を非常に尊重するということでこれを実現させるには議会に提案して議決機関と執行機関は違いますのでどうしても議決機関に提出しなければならないという情勢にありますので、この案は或は副長官としては賛成しないかも知れませんが何処までも副長官を経由して現実をその儘訴えて行きたいと思います。
○石原昌淳君 只今の意見に関しましては我々はこの案を起草致しましたるものとしては最大の効果を求めるためにそこまで或は行かなければならんのぢゃないかという下心を持っております。色々の情勢と彼これからしてそれが直ちに適切かどうかという点については皆さんの御高見を伺ってからと致しまして更に委員会付託になりますので、その方面で十分審議の上、そういう宛先のことについても運んで行ったらという風なことは考えております。
◎新城徳助 今の問題は非常にいい考えだと思いますが、もっと大きいところに陳情するということであれば、取纏めて尚外にも重大問題もありまするし、その方も又考え直したらいいんぢゃないかと思います。
◎議長(知花高直君) 陳情第十三号は第一部の委員会に付託致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十五、知事専決処分報告についての報告第三号を議題と致し当局の説明を求めます。

報告第三号
  知事専決処分報告について
一九五二年度補助金追加予算(一九五一年六月十四日議案第六十号をもって知事専決処分として指定された米民政府補助金に関する予算)について別紙の通り専決処分しましたから群島組織法第三十三条第二項の規定に基き報告します。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
 (一九五一年十二月三十一日付沖縄群島公報第五八号に登載済に付省略)
 (注 四九七頁に掲載)
◎財政部長(仲宗根秀俊君) 報告申上げます。
 本予算は一九五一年十月一日付示達第九十八号を以って米国民政府から厚生部管内の三保健所(那覇、名護、胡差)の建築追加更正費九十三万五千円の不足額に対する三十三万七千円を建築予備費九百三十五万九千円から繰込れ示達がありましたので、十月一日群島組織法第三十三条の規定に基きまして補正の上知事の専決処分を致した次第であります。尚、現在建築予備費と致しましては九百四(二カ)万二千円残っていることになっているのであります。右報告致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第十六、十七、十八、十九、二十の報告第四号、五号、六号、七号、八号を一括して議題に致し当局の説明を求めます。

報告第四号
  沖縄群島所得税条例制定報告について
一九五一年六月二十一日付覚書四、一二一号第三項に基き一九五一年十一月二十三日付民政府布令第五十四号を以て布令又は指令による税法を沖縄群島条例とするとの布令に接したので別紙の通り条例の形式をとり報告する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
  琉球列島米国民政府
日 附 一九五一年六月二十一日
覚書番号 四、一二一
題    税法の改正及び設定
宛    沖縄群島知事
三項 現行米国民政府税布令の各条項を前記の如く修正することに関し、議会が之を採択したことを沖縄群島政府が米国民政府に証明すれば税法を専ら沖縄群島税法に準拠せしめる為米国民政府税布令を廃止する。
  琉球列島米国民政府
  民政府副長官室
一九五一年十一月二十三日
民政府布令第五十四号
  沖縄群島税に関する布令の廃止
一、一九五一年七月一日を以て左記の軍政府及民政府の布令及指令は茲に之を廃止する。
 A 一九四七年三月三十一日付軍政府指令第七号「沖縄群島に於ける課税手続法の制定と施行」一九五〇年五月十二日付同指令改正第一号及一九五〇年七月十九日付同指令改正第二号
 B 一九四七年四月二十三日付軍政府指令第十七号「沖縄群島に於ける所得税賦課手続法の制定と施行」
 C 一九四七年三月三十一日付軍政府指令第七号を改正せる一九四七年五月七日付軍政府指令第十九号
 D 一九四七年の軍政府指令第七号を改正し且つ沖縄群島に於ける漁船税及可耕地税を制定せる一九四七年九月八日付軍政府指令第四十号
 E 一九四七年の軍政府指令第七号同第十七号及同第四十号を改正せる一九四八年三月十六日付軍政府指令第十七号
 F 一九四七年四月二十三日付の軍政府指令第十七号を改正せる一九四九年四月十九日付軍政府指令第十五号
 G 一九五〇年四月十八日付軍政府布令第八号「建築税の制定」
 H 一九五〇年四月二十五日付軍政府布令第九号「沖縄群島に於ける特別サービス税の制定」
 I 一九五〇年五月四日付軍政府布令第十一号「沖縄群島に於ける法人税」及一九五〇年六月三十日付の同布令改正第一号
 J 一九五〇年七月三日付軍政府指令第六号「税に関する軍政府指令の廃止」
 K 一九五〇年五月一日付軍政府布令第十号「沖縄群島に於ける個人所得税同手続」並に一九五〇年十月二十四日付の同布令改正第一号
二、左記の軍政府及民政府の布令及指令の内沖縄群島に適用されるものに限り一九五一年七月一日を以てこれを廃止する。
 A 一九四八年二月三日付軍政府指令第八号「輸出品に対する課税」
 B 一九五〇年七月十日付軍政府布令第十八号「娯楽税」
 C 一九五〇年七月十三日付軍政府布令第二十号「酒造規定及酒造税」
 D 一九五〇年十月十七日付軍政府布令第二十七号「織物消費税の制定」
 E 一九五〇年八月三日付軍政府布令第二十四号「法人税」及一九五一年四月五日付の同布令改正第一号
三、本布令は右第一節及第二節に列挙せる布令又は指令に依つて撤回、廃止、改正又は取消された布令又は指令を再び制定したりさもなくば更新するものであると解してはならない。
 本布令には専ら沖縄群島のみに属する内国税収入に関する軍政府及民政府の布令及指令の全部及内国税収入に関する
 右以外の軍政府及民政府の布令及指令にして部分的に沖縄群島に適用する限りその一部分又は全部を含める積りである。
 尚又右目的の外に斯かる布令及指令にして其の全部又は一部が沖縄群島に於ける内国税収入に適用される限りその既に廃止されたると否とを問はず又右第一節及第二節に列記してあると否とを問はず茲に一九五一年七月一日を以て廃止する。
四、右の廃止はその廃止前に於て既に行はれた行為又は生じつつある若しくは既に生じたる権利又は既に執られた若しくは既に開始した訴訟又は処置にまで及ぶべきものではない。然し右行為に基く権利及義務は継続しなければならず且右行為が取消されなかつたものとして取消前同様の方法に依り施行することが出来る。
五、本布令の効力発生の日に於ても効力を有する布令又は指令及本布令で廃止された布令又は指令に基き犯された罪及び生じた刑罰全科料はすべて本布令が発布されなかつたものとして発布前同様の方法と効力を以て求刑し且つ処罰することが出来る。
六、本布令は前記第一節及第二節に列記した布令又は指令若しくは内国税収入に関する其の他の布令又は指令の全部又は一部が奄美群島、宮古及八重山群島の内国税収入に対して適用されている限りに於ては之を(のカ)全部又は一部を廃止するものと解してはならない。
 右民政府副長官の命に依り発布する。
   民 政 官
   米国陸軍准将
    ゼイムス・エム・ルイス
沖縄群島所得税条例
 (一九五一年十二月十七日付沖縄群島公報第五六号に登載済に付省略)
 (注 四九八頁に掲載)

報告第五号
  沖縄群島法人税条例制定報告について
一九五一年六月二十一日付覚書四、一二一号第三項に基き一九五一年十一月二十三日付民政府布令第五十四号を以て布令又は指令による税法を沖縄群島条例とするとの布令に接したので別紙の通り条例の形式をとり報告する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島法人税条例
 (一九五一年十二月十七日付沖縄群島公報第五六号に登載済に付省略)
 (注 五〇〇頁に掲載)

報告第六号
  沖縄群島酒税条例制定報告について
一九五一年六月二十一日付覚書四、一二一号第三項に基き一九五一年十一月二十三日付民政府布令第五十四号を以て布令又は指令による税法を沖縄群島条例とするとの布令に接したので別紙の通り条例の形式をとり報告する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島酒税条例
 (一九五一年十二月十七日付沖縄群島公報第五六号に登載済に付省略)
 (注 五〇一頁に掲載)

報告第七号
  沖縄群島サービス税条例制定報告について
一九五一年六月二十一日付覚書四、一二一号第三項に基き一九五一年十一月二十三日付民政府布令第五十四号を以て布令又は指令による税法を沖縄群島条例とするとの布令に接したので別紙の通り条例の形式をとり報告する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島サービス税条例
 (一九五一年十二月十七日付沖縄群島公報第五六号に登載済に付省略)
 (注 五〇三頁に掲載)

報告第八号
  沖縄群島娯楽税条例制定報告について
一九五一年六月二十一日付覚書四、一二一号第三項に基き一九五一年十一月二十三日付民政府布令第五十四号を以て布令又は指令による税法を沖縄群島条例とするとの布令に接したので別紙の通り条例の形式をとり報告する。
  一九五一年十二月十三日
   沖縄群島知事 平良 辰雄
沖縄群島娯楽税条例
 (一九五一年十二月十七日付沖縄群島公報第五六号に登載済に付省略)
 (注 五〇四頁に掲載)

◎財政部長(仲宗根秀俊君) 沖縄群島所得税法外四条例の設(制カ)定について御報告致します。
 予て議会の承認を得ました税法改正案を、一九五一年三月に知事から首席民政官に早急に布令を発布して戴くように上申致したのでありまするが、これに対し一九五一年六月二十一日付の覚書四千百二十一号税法の改正及び設定(別紙添付)を以て承認、不承認の条項並に同覚書第三項で現行米民政府布令の各条項を修正することに関して議会がこれを採択したことを沖縄群島政府が米国民政府に証明すれば、税法を専ら沖縄群島税法として準拠せしめるため米国民政府税布令を廃止する旨の明示を受けたのであります。よって第九回沖縄群島議会の承認を得まして一九五一年八月に首席民政官府宛に七月一日から施行出来るよう上申致したのに対しまして、一九五一年十一月二十三日附の民政府布令第五十四号沖縄群島税に関する布令廃止(別紙添付)を以て七月一日から現行布令を廃止すると同時にその布令による税法を沖縄群島条例とするとの布令に接しましたので、沖縄群島所得税条例外四条例制定の形式をとったのであります。右報告致します。

◎議長(知花高直君) それでは日程第二十一の沖縄群島性病防あつ対策委員会委員の推薦についてを議題と致します。本件は沖縄群島性病防あつ対策委員会要綱第五条によりまして沖縄群島議会議員の代表者として委員一名を推薦方同委員長から議長宛書面が参っておりますので議員から一名を推薦致さねばなりません。よって推薦の方法をどう致しますか、お諮り致します。暫時休会致します。
  (午前十一時四十九分休会)

  (午前十一時五十七分再開)
◎議長(知花高直君) 開会致します。休会中に各位の御意見を聴取致しましたが、本件所管の委員会委員中から一名を出したがよいとの意見が多数の様であります。就きましては第二部委員長玉城泰一君を沖縄群島性病防あつ対策委員会委員として本議会から推薦することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 本日の日程はこれで終了致しましたので本会議は来る二十一日午前十時開くことに致します。本日はこれで散会致します。
  午後〇時十分散会

  出席者は左の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
議員与儀 清秀君 仲村 栄春君
  石原 昌淳君 普天間俊夫君
  宮城 久栄君 平良 幸市君
  玉城 泰一君 松本 恭典君
  長浜 宗安君 山川 宗道君
  祖根 宗春君 山城 興起君
  新里 銀三君 新城 徳助君
  野原 昌彦君 崎山 起松君
  仲井真元楷君
  群島知事   平良 辰雄君
  副知事    山城 篤男君
  総務部長   幸地 新蔵君
  財政部長   仲宗根秀俊君
  工務部長   渡嘉敷真睦君
  経済部長   呉我 春信君
  警察本部長  仲村 兼信君
  工務副部長  神谷 米信君
  財政副部長  久場 政彦君
  厚生副部長  大森 泰夫君
  警察本部次長 西平 宗清君
  監査委員長  金城 研一君
  主計課長   板良敷朝基君
  消防課長   下地 寛忠君
  社会事業課長 嵩原 久男君
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