戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年04月20日 
(昭和21年)
会議名
軍民協議会 1946年4月20日 目録詳細 画像を見る
議事録
軍民協議会 〔台湾引揚・賃金制〕

  四月二十日(土)午前九時。
  出席  志喜屋、仲宗根、比嘉、安谷屋、護得久、糸数、當銘、玉城の諸委員。
      公用他出 松岡委員。
  軍政府 ローレンス少佐、ワイズ氏、外三名。
諮詢事項
 軍政府
  台湾で沖縄県人会に会ったが、沖縄の情況も話し、又台湾の事情も聴いた。
  本月の末迄でに日本人は帰還するが技術者のみは残ると。
  日本人は全部帰へるが沖縄人は別に残される。一万一千人程居って支那人政府下に在って二千人程は残って其外は皆帰へすと。
  帰へる時機は何時になるか分らない。
  南方から二千三百人程台湾に来て居るが金がなくて沖縄県人や支那の援助を受けて居るが支那では之等の人々を炭坑に使用するとの事である。
  沖縄人の賃銀は差別的待遇で支那人よりは低廉である。
  事業家、医師は良い地位に居て残る方である。
  以上台湾の近情である。
  台湾に行った目的は南部の貿易を復活するため交渉に行った。
  支那政府は中央政府に聴してから回答するとの事である。
  時間がかゝるが米占領地及支那占領地からも人を出す。
  食糧も米国から輸入するよりも台湾方面の近い所から輸入したいと思って。
 護得久委員
  沖縄の食糧米は殆んど台湾から来ましたが戦後の米作は如何なるものですか。
 軍政府
  支那政府でも米は不足で、減産の理由は肥料不足のためであると。
  沖縄に輸入しても来年頃からなるだらう。
  算盤は一〇〇しかなかった。
 護得久委員
  慥に受け取りました。もっとお願ひします。
 軍政府
  日本にも需めて見ます。
 糸数委員
  店が二二〇程出来るので算盤をお願ひします。
 比嘉委員
  農業会が四十八、連合会一、計四十九の算盤をお願ひします。
 軍政府
  出来るだけ探して見ます。
 軍政府
  売買は六月一日からやるが、五月中の物品の処理、其外の処理を如何にするか。
  生産者の五月中の賃銀を六月に支払ふが五月は如何なるか。
 糸数委員
  私の方は之から準備して六月一日から準備するが五月中は今迄での通りやったら如何ですか。
 軍政府
  今の問題は五月から賃銀制になって六月に使用人の賃銀を払はなければならないが此金は如何なるか。
 安谷屋委員
  銀行から借らなければならないと思ふが六月一日に支払ふ事の出来るように。
 軍政府
  事業始めた許りの者に金を貸す事になると之は負担になるのではないか。
 護得久委員
  沖縄に資金はない。銀行の資金も軍政府の資金を借らなければならない。
  其資金の責任は直接銀行にある。
  各種事業に対しては銀行の資金を以て充当しなければならない。
  五年や十年の長期で返済しなければならない。
  若し経営困難な場合は軍政府が不足分を補助するか、又沖縄の経済で補助するかである。
 軍政府
  借金すると利息が付くが支払へるか。
 護得久委員
  一、二年経つと利益が出て来るから支払ふ事が出来る。
 軍政府
  最初は資金は軍政府から借りる事になったが、五月分は借りたら如何。
  製品に払ふ金は如何にして支払ふか。
  軍政府直接に会社に貸すか。
  又は銀行に貸して銀行から借りるか。
  五月分の労銀は六月一日になって如何に支払ふか。
 護得久委員
  五月中の労銀は六月に支払ふ事が出来ないから各部に貸して貰って軍政府から直接に支払って貰いたい。
 軍政府
  五月に出来た製品を軍政府に持って行って其分を支払ふ。
 安谷屋委員
  五月分の労銀のみは軍政府で支払って貰いたい。
 軍政府
  例、五月に十円の品を作ったが六月には二十円の賃銀を払はなければならないが其不足分の十円は如何するか。
 比嘉委員
  農業組合、水産連合会は纒めて売る事が出来ないで其日々々に売るから六月迄で待って売る事は出来ない。
  故に生産品は無償配給して賃銀は軍政府から支払って貰いたい。
 軍政府
  軍政府は魚や其外の品には支払ふが賃銀は支払はない。
 糸数委員
  五月のみである。
 軍政府
  五月の製品は無償で配給し之は軍政府が支払ふが賃銀は支払はないが不足分は如何なるか。
 糸数委員
  不足分は借入れる事になる。
 軍政府
  生産品は全部軍政府に出して貰いたい。
  若し軍政府が製品を買上げるとしたら金額は幾何なるか。
  来る月、火までに返事して貰いたい。
 比嘉委員
  火曜日まで出来ます。
 軍政府
  五月の生産品を軍政府が買上げるが其買値しか支払へない。
  水曜日に予想金額を出す時に支払ふ金は生産品分しか支払はない。
  故に各会社々々の生産高を記録して置く。此記録は軍政府に於て検閲を行ふ。此の支払は五月末にやるが其方法は如何に支払ふか、銀行を通ずるか。
  水曜日の定例会議の時に提出してよい。
  記録の方法は如何にするか。
 軍政府
  市町村から配給するでせう。
  生産者は卸で村の店では小売ですな。
 比嘉委員
  六月以降は農民の賃銀は農業会が銀行から借りて農民に貸す。
  農民一人につき四円貸すが無利息で貸してやるや否や。
 軍政府
  農民が四円以上の生産が出来る時支払へばよい。
  銀行から貸す時農業会と利息の関係は相談すればよい。
  労働時間を一日八時間とする事。
 當銘委員
  承知しました。
 軍政府
  残業は割増になって居るが、軍作業は部増なし。
  何故部増はいけないかと云ふと収入と支出との関係を考へなければならない。
  民間の賃銀も軍作業同様に部増しない様にしたら如何。
 全委員
  賛成。
 當銘委員
  当分部増なしにやって又後に訂正します。
 軍政府
  生活が困難の時、部増を考慮したら如何。
  琉球列島全部同一経済にやって行きたい。
  大島、先島の物価、賃銀の調査会の委員を設けたい。
  委員会を設けて実地調査の方法を考へられたい。
  大島、先島等へ派遣の委員を研究する事。
  此の視察調査は経済のみであって政治的の調査ではない。
  当局者は忙しいから民間の人から出す。
 軍政府
  商務の一ケ月の必需品を提出したが、其量は足りるや否やを検討して、足りなければ足して提出されたい。
  糸数委員の物価は委員会に諮ったか。
 糸数委員
  全委員会に諮りました。
上へ戻る