戦後初期会議録

組織名
宮古議会
開催日
1948年02月14日 
(昭和23年)
会議名
第7回宮古議会[4]
議事録
  二月十四日
◎議長(與儀達敏) 開会宣告(午前十時十三分)
◎議長(與儀達敏) 出欠報告を致します、出席十九名、欠席二名です本日の日程に就てお諮り致します、本日は議案第三十二号を除き全議案の第一読会に入りたいと思ひます
◎十八番(嵩原重夫) 開会劈頭に於ける知事挨拶の中に楽土建設、平和宮古建設に就て種々計画していることに感謝している、殊に食糧問題のことに就ては私心から重ねて感謝致している次第であります、挨拶の中にあります様に四、五、六月の食糧状況は本当に憂慮すべきものでありまして、これに就て起る問題は人心の悪化その他事件が起るわけで食糧問題に就ては私達市町村に居る者も食糧問題解決に八重山より食糧を入れる様なことを考へて居るが市の財政としてはなかなか我々の考へ通りゆかず農業会としても資金が少いため充分計画を実現出来ない様な苦状(ママ)であります、それに反して民政府では八重山、久米島より民政府所有船で充分運搬出来且つ効果も充分上るものと考へられますがこの食糧事情を救済する様な予算が歳出面に出てない様ですが……知事の御考を御願ひします
 次に西表の材木の運搬を急速に図ることは重要でありまして、この入荷如何によって宮古の復興は左右されると思ひます、それ故に大規模に西表材の切出費を大きく計上する意志はありませんか、第三に織物業に就て当局も色々心配していることは存じて居り農林部長が養蚕に力を入れていることに対しても感謝致して居ります、市に於きましてもこれを解決する様に致しているのでありまして織物組合を設立するため三日前二十五、六名の設立準備委員が集りまして定款を作り近日総会を開くことになっています、織物組合を作ると云ふことは大きな問題でありまして民政府としても本組合に対し助成金を交付する御考はないものでせうか、次は財務部長に御聴き致しますが、市町村財政は財務部長がよく存じの通りでありまして六・三・三学制に依り初、中学校の校舎建築備品等現市町村財政ではその賄は出来るかどうか非常に心配している所でありますが、民政府の諸税中何れかを市町村に移管する意志はありませんか、次いで文教部長に御聴きしたい、六・三・三実施に伴って備品、教室、教員等の不足を心配しているが学制改革に依る各市町村別の教育費の増加並来年度も校舎の建築等諸費用が増加する筈であるが、その見込額を御知せ願ひたい、以上知事、財務部長、文教部長の御意見を承りたい
○知事(具志堅宗精) 食糧問題に対して非常に御心配して居られることに対し不肖私八万郡民の生命を預る者として感謝致しています、昨年末二回に亙る暴風に依り三、四、五月の食糧危機は明らかであります、それ故早速マクラム軍政官殿に善処を要望致し又沖縄出張中も要路な方々に陳情した訳であります、宮古は貿易帳尻は輸出超であるが食糧だけは戦争前より不足でありまして沖縄より芋粕を台湾より月四千袋の米を輸入していたのでありましてその上終戦後二万の人口が増加して食糧自給は到底不能であり軍政府としても御考慮して下さると種々陳情したら宮古の人が充分頑張って尚不足があるならば見捨てないとのお話でありましたそれでも猶心配なので再三繰返し折衝して三月よりはカロリーの増加方を御願ひしている訳であります、八重山とのバーターも実行に移しつつありまして勝連部長を八重山に派遣し又沖縄にも電報で照会中であります、又代用食として「ツノマタ」の採集も必要と考へてこれが採集に要する燃料を軍政府に配給方を折衝したら軍政官殿も大変に喜ばれて配給すると云ふことになっています、これは水産業の権威者仲宗根勝米氏も冬期漁業としてもよいと讚められ、水産会と協力してやりたいと考へています、又現在民政府には二隻の発動機船がありますのでこれによって食糧の緩和を図りたいと考へています、何れにしても挙郡一致でせねばならず議員諸公の御協力を御願ひするものであります
 薪炭問題も西表を開発して最善を尽したいと思っています、西表の開発には色々の資材を要するので軍政府とも折衝中で先日ローズ中尉殿が上沖したのである程度の資材は持って来られることと思ひます、そのために民政府からも五名の要員を連れて行っています、バージも軍政府の許可を受けて多良間にあるのを引上げ西表に回航することになっています、それから現在西表に居る人々は役人だけですが役員(人カ)だけでは各種の仕事に能率が上らんので今後は民間側の業者も入れて積極的にやることを考慮しています
 又復興事業に要する物資は各種の単価を切下げる様に軍政府から云はれて居りますがそれも時期を見てやる積りで居ります
 猶織物組合に対する御意見には同感です、先般マ司令部のスミス氏が来島された時織物の視察をしたので、その時にも種々申上げましたので資金の融通も出来るものと思ひます、市町村が織物工業に対して熱意を持っていることに対しては全幅の感謝をしています、又市の織物組合に対しても資金関係に就ては出来得る限り援助するつもりですそれから財務部長に対する質問に私から御答します、昨日経理部長の報告にもありました通り財源の余裕は持っているがそれは非常食糧獲得のための手持金であります、予算面には現れていませんが、いざと云ふ場合は金を惜しまず使い度い、又郡民の福利増進事業にも使ふと云ふ考をしています、市町村の財源が苦しいと云ふことは知っている、この事に就ては後でゆっくり相談したいと思っています
 民政府自主財源に就ては酒の専売も必要かと思ふが、これには莫大の費用を要するので簡単にいかないと考へて、この件に就ては他日各界層の代表の御集りを御願ひして慎重協議したいと思っています、取敢えず煙草の専売はさしさわりの無い様に出来ると云ふ専門家の話に依りまして準備局みたいなのを皆様の協賛を得て設置致したいと考へています、目下アメリカ種の煙草を集農で約一反歩ばかり試作してありますから来年六月頃には試験的に市下に出せる事と思ひます、この煙草専売が成功すれば年々四、五百万円の収入の見込みがありまして郡民も廉く入手出来るのであります
 この外に海人草の問題であるが或る郡に於ては既に実施して成功している所もありますので本郡としても早く実現したい、この採集計画ですが、それには色々デマもある様で知事が奥平某氏に懐柔されていると云ふこともあり、私と奥平氏との交渉は最近の事であり、私心邪心はなく清浄潔白邪しい事は毛頭もありません、契約問題にしても彼は日本に於けるその道の権威者でありますので私は天地神明に恥じず軍政府にも奥平氏の協力を得たいと申出ているわけで軍政官も異存はないと云っています、これは郡民の中で希望者が居れば参加を御願ひしたい、これも成功すれば財政には心配なく市町村財政も又心配無いのであります
○議長(與儀達敏) 十八番議員の質問に対する文教部長の御答を御願ひします
○番外(文教部長砂川惠敷) 新年度の初等学校、新制中学の学級増加は平一、平二、久松、下地が各々一学級、新里、城辺、砂川が各二学級、福嶺が一学級、多良間が二学級となり需要は机、腰掛、黒板、椅子、消耗品等で大体の見積りで、平良市六万円、城辺町三万七千円、下地村二万円、伊良部村一万九千円、多良間村一万三千円となり次年度に於きましてはこの備品費が省けるわけです
◎十八番(嵩原重夫) 食糧問題、西表の開発、織物工業組合、財政問題に対する知事の詳細なる回答に対し感謝致しています、食糧問題は平良市の問題でありまして二万の非農家が食糧を買っている現状であり、三、四、五月の食糧欠乏救済資金として五十万、六十万を直ちに支出し食糧の購入に手を付けて貰へないでせうか、尚織物工業組合問題に就ての御答弁に対して創立委員として感謝致します、近く郡一円の組合が出来るのでありますがこれには民政府の補助金の計上方を御願ひします
○知事(具志堅宗精) 今先申上げました通り非常食糧資金として五十万、百万或は二百万かかっても構はない、八重山の勝連部長にも十万円持たせ食糧ドシドシ買ひ集める様に云ふてあるがそれでも足りない分は又後で送ることになっています、兎に角非常食糧購入に就ては金を惜しまず幾等でも買ひたいと思ひますがこの事に就ては何れ皆様の御智慧を借りたいと思っています、猶織物工業組合に対する補助金に就ても後で御諮りしたいと思って居ます
◎十八番(嵩原重夫) 人間生活に於て衣食住位大切なものはなく大きな問題であります、西表の開発、食糧問題、織物問題共にこれに関連して重大でありますから民政府当局に於かれてもこれが急速なる実現に御協力下さらんことを希望致します
○番外(総務部長與儀達敏) 織物工業組合の補助に就ては計上するつもりであったが未だ組合も出来ず実体がありませんから今回は出来ませんでした
◎九番(亀川惠信) 海人草問題に就て沖縄の友人に話した所、その友人は非常に驚嘆されこれは沖縄の最も目を付けなければならぬ問題である、宮古に先鞭をつけられたと云ふ知事の鮮なる手腕に感服していたことに非常に愉快でならなかった、それから教育問題に就てですが六・三・三制度は飛躍的向上であり、教員は勿論一般も注視し感謝致しているが昨日も私は真剣なる態度で学制改革案を一読して法案のイデオロギーが根本的に変っていることを痛快に感じている
 従来の日本教育は実際教育を無視し綜合教育、人格教育、智育万能つめこめ主義の全く融通のきかない試験の点取主義の教育でありまして哀れな状態であった、こんな教育方針では人物は生れない中学の成績は上級学校への入学率でもって決定しているのでありまして、これでは真の教育は出来ません、又専門学校に於ける教育は教師の読上げることを速記する状態で智識の切売にすぎない、これでは本当の醇厚な教育は出来ないと思ふ、猶小学に於きましても余りにも先生が親切すぎたために生徒の独創的な点が少い、今度の教育制の改善に依り、児童の盛り上る力の養育に努力して貰ひたい、平一校ではこの点成功している例があります、又米国に於ては国定教科書は無いそうで、校長がその地方に応じて校長の裁量で教へている、この点は羨ましい、この法案でもこの点が現れていて嬉しい、この際正しい教育理念に則って校長の自由裁量によってやらせて貰ひたい、生徒の独創性を発揮するため又教員の頭の切り替へも必要だ、教育の実際問題は人の問題である、この点文教部は充分精選して欲しい、教員の再教育を図るため沖縄綜合大学に師範部を設置すると云ふ話だがこれは必要と思ひます
 猶現在の物価高ではサラリーマン殊に教員の俸給では物の数にはならない、池間では学区民が自発的に池間校職員に対し物心両面の援助をしていると聞き私は教育界のため美談として嬉しく思っています、当局教員に対してはもっと優遇して貰ひまして民間にいる人材もどしどし採用し教育の実際に当って貰ひたい、これは文教部長に切に御願ひする、実は衛生問題についても申上げたいと思ふが部長が居らぬので後にする
○議長(與儀達敏) 九番の希望意見に対する文教部長の答弁を御願ひします
○知事(具志堅宗精) 只今九番よりの教育問題に就て格別なるお話を承り感謝致しています、サラリーマンの優遇問題に就ても感謝致します、私は積極的に教育の向上発展のために進みたい、俸給者の待遇問題に就ては何れ皆様の御協賛を得たいと思っています
◎十一番(砂川徹雄) 私も二、三質問致します、税法改正の賃貸価格は従来の五倍にするとあり、予算面には十倍とあるが誤ではないか、二番目に四七年度に於て酒の醸造は二千石ですが四八年度は七百石となり三分の一になっているが如何なるわけか、その次に本郡の農業はある程度糖業を戦前以上に引上げる必要はないか、主食である甘藷との輪作組合せ、是非これを取り上げなければ本郡の農業はなり行かぬと思ふ、政策上からも糖業の重要性は論ずるまでもなく米の輸入のためにもバーター物資としては砂糖以外には無い、現在の甘蔗作付面積は一千町歩で酒の原料としては五百町歩であと五百町歩の甘蔗を如何にするかといふのが農家の大きな問題でありまして郡内外の物価情況とを考へて移出する様に考慮して貰ひたい
 第四番目に成豚の移出禁止は何時解禁になりますか、現在一〇、八九二頭の豚が居りますがこれが移出禁止を早く解除して貰ひたい
 学制改革は時代の趨勢により早晩やらねばならんが本郡に於ては時期未だ早いではないでせうか、理由としては郡内生産品以外のものは不足している、学校教育に於て必要なる機具類は入手難で白墨さへもないと云ふ状況で十八番の話の通り各市町村に於ても校舎の設備も不十分で二部教育をやっている所もあり何時普通になるか見通しもつかず然るに各市町村共校舎備品の整備を強要されているが果して現在の市町村財政によってこれが出来るかどうか悩みの種である、来年度も出来るかどうか判らない、又先生方も現在の物価高では到底生活は出来ない、法案の第六条にも教員の職責及待遇が示されているが生活難のため動もすると職責を忘れる教員も無いでもないのであります、現在の社会情勢から考へて学制改革を実施しても形式も内容も伴はないと思ひますからもっと時期を待ったらどうでせうか、尚予算で教育費の増加は昨年に比し一、一八〇、〇〇〇円の増であるが六・三・三を廃してその何割かを教員の優遇にしたら如何
 次は農林校長に教育方針を伺ひたい
○番外(総務部長與儀達敏) 予算面に賃貸価格を十倍としてあるのは五倍の誤ですから御訂正下さい
 酒の醸造が四七年度は二千石で四八年度はその三分の一の七百石になった理由は現在酒の醸造が禁止され、甘蔗汁だけでも作ることは出来ぬと云ふ軍政府の命令でしたが其後軍政府とも種々交渉し了解を受けて少数量の酒造は認められることになりましたので、それに依る製造が昨年の三分の一を見ている、それでこの酒造石数が減ったのであります
○議長(與儀達敏) 糖業政策に就て主管部長より説明して貰ひます
○番外(農林部長與儀喜文) 糖業は甘藷との輪作関係で食糧品とのバーターを考へると耕地の一割は必要である、砂糖移出に就て一番困るのは包装資材で戦前四十万丁分のクレ板を県外から仰いでいた状況で移出する場合はこの容器を考へねばならない、将来西表からこれを入手したいと考へている、兎に角耕地の一割は糖業をやる考へであります、豚は戦前以上に増殖したが八重山へバーター制として食糧移入のため成豚の移出を許可しています
○番外(文教部長砂川惠敷) 学制改革に就ては慎重なる態度を以て各市町村会及教育審議会等に諮(ママ)ねたが、皆賛成したので各市町村に於ても大体の見通しはついていると思ひます、物の不足を云っているが何時になれば物が出るか見通しは付かないし又大島や沖縄でも実施し大学の設立まで計画している様で宮古だけが物の不足を理由にして他所に遅れる訳には行かず一般教育の水準を高めるため学制改革は万難を排してでも実施したいと思ひます
 又白墨は宮古で作ることも出来ます、工業化すれば沖縄にも移出できるんぢゃないかと思ひましてこの点絶対に心配はありません、校舎不足はどうにもならんが現在も教室不足で二部制にやっている所もあり当分はそれでもやりたい、八重山から資材が入れば急速に解決したいと考へています
○番外(総務部長與儀達敏) 教育費の増額一一八万円の中何割かを優遇費にまわせと云ふことですが六・三・三をやらなくとも現在青年学校もあるので教員数は大した差はなく、それにまわしても極少いのでありまして旧制度と六・三・三制度との比較は僅かで至難ではありません、備品やその他物資の入手難で時期早々(ママ)の理由であるがやがてはオール沖縄大学も出来たら旧制度では入学不可能で将来宮古の青年子女のために大局を考へ有ゆる苦難を排除して行きたい、市町村の六・三・三の経費に就ては以上で了解して貰ひたいと思ひます
◎十一番(砂川徹雄) 宮古には現在四〇軒の酒屋がある様だが、軍命令に依り酒造高が減るならこれを三分の一に減らしてはどうか、学制改革に就てはその隘路が打開出来れば賛成である
○知事(具志堅宗精) 酒の七〇〇石は未だ見通しはつかない、軍政府より甘蔗は食糧であるから酒を作ってはいかんと云ふ命令を受けたが実際問題として現在作っている甘蔗を全部砂糖にすることは出来ない、薪にする外ないこの余分の甘蔗で酒を作らせてくれる様交渉したら、よろしいと云ふ事になった、然し二千石は多すぎる、沖縄も八重山もはるかに少い、私の方でも食糧問題等と関連してその三分の一程度に製造して貰ひたいと云ふことにした、それに対しては明確なる答はないが大体の見当であります猶四十名の酒造家の整理は考へてないが適当に勘案してやって行きたい、それから砂糖移出問題であるが移出は禁じていません、希望者は貿易庁を通してやって貰ひたい、包装も問題であるし価格も沖縄より高い、砂糖のみならず他の物資も沖縄の公定値が安いため停頓しているわけで沖縄の値段を引上げて貰ひたいと思っている成豚の移出禁止を解く必要があれば認めるが現在の価格が安いので移出希望者が居ない、沖縄に於ける公定値の引上げがどうしても問題であります
◎八番(伊志嶺玄良) 二読会、三読会に入っている様ですが一般質問は後にしたらどうですか、予算面に水産学校の実習費が計上されていないがそれでよいか、又警察部の旅費は一万円しか計上されていないがそれでよいですか
○二十一番(玉城玄教) 議会のならわしとして議長が立って答弁する必要は無い、番外なら番外と呼称し指名するときは何番としなければならない
○番外(総務部長與儀達敏) 水産学校の実習費であるが、これは学校に実習船があったが経営難で実習に難点がありましたので今年から水産会に御願ひして学校の実習に差支へない様にして漁労、製造の実習をさせたいと思ひますので別段実習費は計上してありません
 又警察部の旅費は各部同様に計上してあるがそれで足りない場合は増やす様にします
○知事(具志堅宗精) 警察部の旅費に就ての八番の意見に対しては警官優遇の表れとして感謝致します、少いけれどこれで支障なしと考へるが警官の出張は性質が異るからこの点考慮したい、然し管内旅費はなければ取らぬでもよいと考へる、私も三、四ヶ月分貰ったことがない
◎十三番(池村好雄) 税法改正案に就て宮古の現状は日に月に物価が変動しているのであるが課税の対象は何を以てするか、如何なる根拠に依りこの案が出来たか、学制改革に就ては他の方からも色々話があり設備やその他困難な条件を指摘しているが私が痛感することは教科書の問題である、この点は如何に打開するか、又教育は何処までも有能な教員を獲得するにある、教員の質の問題は如何にするか、猶モータープールの予算に就てでありますが剰余がないが事業するには悉く剰余が必要であるが、その日その日の稼ぎでやっている様でおかしな感がするが如何に
○番外(財務会計部長平良義雄) 現在の分類所得は戦争中戦費調逹のため出来たものであります、その前は綜合税である、綜合して適正に課税すると云ふのは有ゆる国費の常態であるので綜合所得に改正した所得の計算は前年中の収入から経費を差し引いて標準率を定めて課税している
○番外(文教部長砂川惠敷) 教科書問題ですが宮古の教科書配布状況は寧ろ何処よりも行きわたっていると思ふ、教員の問題は中学三年程度の教育は現在の初等中学からひろい上げても出来ます、来年度からは教員養成所を作って教員の質の向上を図りたいと考へています
○番外(工務部長下地明高) モータープールの予算を剰余のないおかしい予算と云ふているがモータープールは生れたばかり充分にその機能を発揮することが出来ず設備も不充分であるので、それで剰余としての数を表してないが最後に減価償却とあるがこれが剰余と云へば云へるのであります
◎十三番(池村好雄) 財務部長の答は私の質問とは違っている、簡単に例えれば甘藷の値が一〇円になったり五円になったり又三〇円になったりするがこの算定を何れにするか、改正の基礎は何れに置くか、又扶養家族の基礎控除を一、二〇〇円から二、四〇〇円に引上げてあるが斯かる点を説明して貰ひたい
○番外(財務会計部長平良義雄) 基礎控除と云ふものは最低生活費として考へている、昨年一、二〇〇円であったのを二、四〇〇円に引上げているのは日本では一、二〇〇円を四、八〇〇円に引上げてあるから宮古はその四分の一(ママ)に当ると考へられる
◎十三番(池村好雄) 従来の現行法は物価を対照にして国民生活に無理のない様に作られたものと思ふ、当時の物価と現在の物価と対照して税制改正案は慎重に考へて改正せねばならぬと思ひます、私の気持は、基礎控除が当時(現在カ)物価が三倍なら扶養控除も三倍に、現在の物価が当時の物価の四倍なら控除額も四倍に引上げるのが当然と思ふのであります
○議長(與儀達敏) 第一読会ですから対論はこの次にして貰ひたい
◎十四番(粟國浩和) 海人草問題に就て私の聞いた範囲をお話したい、プラタス島に海人草と云ふ宝があって民政府がそれを採取すると一ヶ月三百万円の金が宮古に落ちると云ふ、まるで夢の様な話を去る議会倶楽部で聞いたが、これは何等研究せず一時間や二時間で決めることは出来ないと云ふことになりましたが、其後池間、佐良浜、平良の漁師の輿論を調査するに池間の一漁師の話に依ると昭和六年頃池間の重宝丸がプラタス島に於て海人草採集中支那官憲に発見され機銃射撃を受け逃げたが、かくれ場所がなく途中天候が時化て重宝丸は沈没したと云ふ様な例がある、若し民政府に斯様な計画があるなら中間搾取はやらず先づ自分等にさせたらどうか、又行くとしても機銃を備へて武装せんと出来ない、次に船体の整備、船団で行くと云ふ計画でないと故障がある時に他船に移乗することが出来ない、又民政府がやらないと水産会でやらうとしていると云ふ知事さんの話であったが水産会ではその様な事は無いといっている、前原船長の話では若しやるなら予備船を必要とし軍政府及支那との了解が必要だと云ふている、平良の人で松下と云ふ商人がこの仕事で失命したとの話もある、台湾帰りの人の話では或る会社が一ヶ月二万円でプラタス行の船員を募集したが九万円でないと出来んと応じなかったと云ふ話であった今まで私が申上げた事に就て知事の話を伺ひたい、これが成功したら銅像をいくら立ててもよいが不成功の場合は腹切って詫びても足らない、これを行ふには充分な輿論調査が必要だ、又軍政府が支那官憲と交渉する準備はありや否や
 次に予算の全面に対し目を通しますと物足りないものがある、ある市町村には(は大きくカ)、ある町村には小さくと均衝を欠く様に考へられるが、それに就て総務部長は如何に考へられるか
 三番目に六・三・三学制に就て議会倶楽部でも又本議会でも相当議論されているが要は方法問題である、十一番議員は設備のための難点を指摘しているが私はこれを省いて、この中の三は義務制に低能児も優良児も併合されて教育されるが、そのために教育の質が低下する懼れはないか、それで当分の間は希望者だけでも教育したらどうか、文教部長の御答を御願ひします
 次に慈善病院の分院が下地、城辺に出来ると聞いて喜んでいるが池間、佐良浜の両部落の現状では医療費に非常に苦しんでいるが今度は出来んでも将来分院の設置計画はありや否や、更に教育の問題であるが郡下の教員の生活状態は実に気の毒であるが、財政上已むを得ぬとして放任せば優秀なる教員は自活の道を求めて辞職するのが多くなると思ふが教員優遇の道は無いか、民政府は今度の予算で二割位の減員をしてあるが今年はよいが来年のことを考へてもっと思ひ切った行政整理の必要があると思ふが如何
○知事(具志堅宗精) 十四番の質問にお答します、海人草のことで水産会との話は私がうそを言ふた様に聞へるが昨日も水産会長と話しましたが議会が承認しなかったら自分にさせてくれと云ふことでした、奥平蒲三氏と話した時も水産界を代表して西原氏が見え知事室で会見している、決してうそを云っているのではない十四番の話は極めて熱心であるが悲観的である、然し危険の伴はない事業は無い、農業であっても気象天候に支配されるので危険が伴ふ、又現に私の処に民政府がやらなければ自分でやろうと云う人もあるが私は敢えて無理でもやろうと云ふ意味では無い、議会や輿論が不可ならばやらないが郡の楽土の基盤を作るにはどうしても海人草事業をやらねばいかんと考へ、軍政府にも折衝している、支那官憲との交渉は難しい、マクラム軍政官も公海の方ならよいと云っている、何時でも取れると云ふ品物ではないから時期の選定が必要である、三月より九月にかけては良く十月から二月までは非常に危険だそうで、この時期を利用して成功した船はいくらでもある、この点は無理に断行する方針では無く、やるならば綿密なる調査が必要で希望する人が居れば一緒にやると云ふ考へである、奥平氏はマ司令部の許可を得て向ふに出発する途中失敗しただけである
 慈善病院分院を池間、佐良浜に設置するには地元民の熱意が必要でありまして、下地、城辺も家賃その他設備等地元で負担すると云ふ条件で設置した、この点地元が同感ならば今年からでもやるつもりですが難点は医者の問題であります、教員優遇問題に就ては感謝しています、教員のみならず官公吏の生活は苦しいのでありましてこの点先憂後楽の気持でやって行きたいと思ひます、行政整理は急速には出来ませんが無理の無い様に徐々にやりたい
 予算編成についてある町には厚く、ある村には薄くと云ふ意見ですが私は斯様な気持は少しも持っていない、各市町村の所得、人口、税負担等勘案してやっていて決して手落ではない、只、市には公益質屋、慈善病院があるので動もすると農村がこの恩典に浴していないと云ふところがあります
○番外(文教部長砂川惠敷) 六・三・三の大きな特徴は中学三年の義務制で現在の七、八年にも優劣児童はいるのでそれを義務制にしても同様である、中学の教科課程により従来一人の教員で学科担任でやれば有利であると思ひます、猶今度入学すべき一、二年は今年に限り自由となっています
○番外(総務部長與儀達敏) 予算担当者としてお答します、復旧事業、荒蕪地開墾等で平良市方面に重くなる様な気がするが緩急に応じてやってあります、又知事の御話でも御了承願ひたい
◎八番(伊志嶺玄良) 昼過ぎですから今日はこれで散会して午後は個人研究に移りたいと思ひますが如何ですか
  (二番、十七番賛成を呼ぶ)
◎十八番(嵩原重夫) 時節柄土曜、日曜なく続行したい
  (二十一番賛成を呼ぶ、二時まで続行の声多し)
◎議長(與儀達敏) 軍政府から予算を早急提出する様督促がありますから午後も続行審議しては如何
  (「賛成」の声多し)
 御異議ない様ですが昼食後二時まで続行することにします
 休会宣告(午後零時五分)
◎議長(與儀達敏) 開会宣告(午後一時五分)
 午前中の十一番の質問に対し農林高校長学校経営方針を御願ひします
○農林学校長(下地幸一) 宮古は隆起珊瑚礁なるため毎年毎年吹いて来る季節風と夏期の大風(ママ)により農業は思ふ様に行かず、その上人口は増加する一方でこのままの状態では喰ふことが出来ない、それで学校経営方針としても、そう云ふことを考へて拓殖移民と云ふ大きな眼目の上に経営し社会の人の育成、積極進取の気性に富み学義一如の精神に基きて教育し極力性(ママ)のある農村人を作ると云ふ方針でやって行きたいと思ひます
◎十一番(砂川徹雄) 農林学校の教育方針について希望を申します、教養ある農民の養成をして貰ひたい、これまでの農林学校はサラリーマンを作ると云ふことのみに窮々して来て居り机上より農村を指導して来たのであったが、然し今後はそう云ふわけには行かん、自分自身で鍬、鋤をもって積極的に働き農民の教養を高めると云ふ人物の養成をして貰ひたい
◎二十一番(玉城玄教) 予算歳入の財産収入で、貸地料と云ふのがあるが飛行場は軍政府で管理すると云ふことだが、どう云ふわけで予算に計上したか、第三款配給物資取扱益金二、五二〇、〇〇〇円の計上を見ているが、これは特別会計にする必要はないか
 所得調査委員の選定方針を説明して貰ひたい、移民奨励費があるが島内か、島外か、農林部の市町村駐在技術員費は今まで居る技術員の外に新たに駐在を置くか、それともあれを切替えるのか、何故直接民政府で任命の技術員を置かねばならぬか、工務部費に道路補修費とあるが、これは何処の道路をやるのか、如何なる方針でやるか
 議案第三十三号モータープールの追加予算七八、〇〇〇円出ているがこれは各地のトラックを回収して作ったもので、その回収費の大体の額を知らせて貰ひたい、人件費は増額見込みで計上したか、又増額する意思はあるか、あるならば何割位やるか、それをはっきりして欲しい
○番外(総務部長與儀達敏) 飛行場は軍政府の財産であるのでこれから生ずる貸地料を計上するや、否やで迷っていたが飛行場の管理は民政府でせねばならず、これに要する管理費も必要でありまして軍政府にも御願ひして計上してあります、人件費は全部現員現給で計上してありまして去年の予算より三割の開きがあるが増俸は見込んでありません
◎議長(與儀達敏) 厚生部長より移民に就て説明して貰ひたい
○番外(厚生部長下地徹) 移民奨励費は刷物にもある通り八重山自由移民に対する補助であります
◎議長(與儀達敏) 所得調査委員選定について知事より説明を御願ひしたい
○知事(具志堅宗精) 所得調査委員は各市町村共納税人員の割合により決め各種業態別に選定して公正なる立場からここで任命したいと思ひます、猶市町村駐在技術員は、現在の状態では思ふ様にその能力を発揮することが出来ないので、食糧問題の窮迫している今日、これを民政府で直接にぎって民政府の計画を実現完結を期したいと思ひまして今年から新たに、こちらから任命したいと考へています、その他に就ては主管部長より答弁させます
○番外(農林部長與儀喜文) 従来市町村で任命していた技術員に対し民政府としては補助していたのであるが今後は全部民政府で任命し負担したいと思ひます、農業の改革はやらねばならんと思ふので、これには民政府で優良な技術員を選定してやりたいと思ふ
○番外(工務部長下地明高) 道路補修費の内容は新里線、下地線、西辺線、城辺線、佐良浜・佐和田線の路面補修費であります
 モータープールの自動車回収費は九七、〇〇〇円であります
○番外(総務部長與儀達敏) 配給物資取扱益金を特別会計にすると云ふことに就て昨年六月総棚卸を行って収支明かにしたが年度半ばなので予算化することが出来なかった、特別会計にするとき切替が困難なる故六月棚卸以前に基いて連続するつもりです、在庫品を取出して精算するつもりですが物資が次から次へと入るのでどうも出来ませんでした
◎二十一番(玉城玄教) 経理部を特別会計にすることは以前から要望でありまして再考されたし、人件費は現員現給で計上してあるとのことですが増俸する意があるや否や、若しあるとせば当初予算に掲げて貰ひたい
○知事(具志堅宗精) 官公吏の優遇に就ては各議員から極めて有難い御言葉を戴き感謝している次第です、その都度申上げている通り現在の物価高に於て実に無理な生活ではあるが低物価政策を目的とする手前がまんして貰ひたいと各自覚していますが皆様の御芳志であるならば今回の予算に増俸して戴きたいと思ひます
◎十九番(砂川惠一) 今回の議会はかつて見た事のない議会で当局と議会が緊密なる提携と熱烈なる討議をなし実に緊張の裡に和気藹藹たる議会でありまして心から慶祝する次第であります
 殊に知事が就任以来寝食を忘れて郡復興楽土建設のために、軍政府との交渉事項を官房長から話がされたときは涙ぐましく感銘するものであります、中でも郡の食糧問題を解決する集団農場、郡復興を促進する西表分譲林の伐採、八重山出張所の開設等高邁なる政策に対し感激しています、予算の研究に移る前に知事の政策を伺ひたい、現下の経済状態に対し如何なる方針で低物価政策をやるか、本郡の戦災復旧費として一一〇、〇〇〇、〇〇〇円の補助を軍政府に御願ひしたが、それはどうなったか、豚の移出は何人にも許可して食料とバーターさせたら如何に、農林部長の意見を伺ひたい
○知事(具志堅宗精) 低物価政策は非常に難事中の難事と思ひますが軍政府の命令なので無理のない様に実施したいと思ひます、それで医療費も二割安くしてあるがそれでも猶なまぬるいと思ふ、実際としては人口問題を解決した上でなければ如何と思ふ、過剰人口の対策として八重山方面に自由移民を奨励したいと考へて予算も計上してある、其他荒蕪地の開墾や技術を向上させて反当増収を計ると云ふことも急務であり、米国物資殊に日用雑貨類も得られる様努力しています
 通貨の切替もする必要があり新たに琉球円を作って新円の流入を防止すると云ふことも考へます、それは近い中に開設される琉球銀行によって実現出来る事と思ひます、其他増産を図り水産業の発展、海洋の開拓等軍政府とも連絡をとってやるつもりです、猶旅館賃を安くするために直営の旅館を考へて居り、食堂の経営に就ても研究中であります、兎に角低物価政策は事重大なるので慎重を期しています、復旧費は軍政府も近い中に来るだろうと云ふているが、いくらくるか判りません、これも早急に実現を図りたいと思っています
○番外(農林部長與儀喜文) 十九番の成豚移出に対し御答します、豚の移出は許可する方針ですが沖縄との値段の相違があるのでやはり八重山と取引した方がよいとバーター制にして許可している、沖縄にも各種団体から申出た場合は許可をすることになっています
◎五番(砂川惠知) 工務部長に御聞きします、郡道と線名と固定線名を御知らせ下さい
○番外(工務部長下地明高) 郡道は平良より下地村役場に至る下地線、平良より城辺役場に至る城辺線、狩俣線、砂川線です
◎五番(砂川惠知) 昭和十五年下地より城辺に至る線は県道に編入されているのでこの線も郡道として取扱って貰ひたい
 次に予算歳入の十一款繰入金は貿易支部船浮開発事業から七十五万余円を繰入れする様ですが、「経済は物にあらず人にあり」と云ふ言葉もあり、積極性があり堅実性を尊ぶ知事のことであるから間違ひはなしと思ふが新しく出来た特別会計から繰入れすることが出来るかどうか、これまで貿易庁として取扱って来た移出入物資の状況及品物等特別会計の経理状況を参考のため報告して貰ひたい、税法改正に就ては賛成するが内容を見ると予算による所得税は昨年の約二倍になる様だが当局の計画はどんなものか、登録税は十万円計上されているが、これは入る見込みはあるか、郵便局収入で印紙税が三倍も減っているのは如何なるわけか、郵便収入として昨年は五、〇〇〇円、本年は五八、四〇〇円計上して昨年の一〇倍になるが如何なるわけか、以上説明して貰ひたい
◎十七番(砂川玄仁) 五番議員の答弁は明日の研究会にして今日はこれで閉会されたい
◎議長(與儀達敏) 只今十七番より閉会する様にとの動議がありますがどうですか
  (全員「異議なし」と云ふ)
 御異議ない様ですから今日はこれで閉会し、明日午前十時より祥雲寺に於て合同研究会を致します (午後二時六分)
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