戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年09月28日 
(昭和26年)
会議名
第11回沖縄群島議会(定例会)第二部委員会 1951年9月28日
議事録
  第二部委員会議事録
 一九五一年九月二十八日
 午前十時開会
○委員長(玉城泰一君) 只今から第二部委員会を開きます。出席八名、欠席一名であります。

○委員長(玉城泰一君) 本日は九月二十七日の本会議において本委員会に付託せられました沖縄群島保健所条例制定について知事提出議案第七十八号の審議を致しますが、本案は曩の定例委員会において当局の説明を聴取し一応の前審議を致したもので余り論議せられる様なところもないと思われますけれども、先日の定例委員会に出席されなかった方もありますので今一度当局の説明を聴取してから逐条審議に移りたいと思います。当局の説明を求めます。
○厚生副部長(大森泰夫君) 先日御説明申上げた様に現在保健所は出来たものの実際上の運営その他について条例ができないため色々と困っています。一日も早く制定を急いでいる実情に置かれています。要は法的責任ある運営を期するためであり、その内容構成は大体目的、場所、事業、職員、運営協議会、利用その他等の点から構成されていまして逐条的に後で質問に応ずる事に致します。大体以上で説明を終りたいと思います。
○委員長(玉城泰一君) 只今の説明で趣旨はお分りと思い、まず一応朗読して、それから逐条審議することに致します。
 (事務官「山田親法君」朗読)
○委員長(玉城泰一君) 本議題の質疑に入ります。
○宮城久栄君 運営協議会の費用は取ってありますか。
○事務官(山田親法君) 取ってありません。委員会というものでなく協議会としてあります。それで案内する人々も適当に、違った人々をお願いできるし、斯様な人々は殆んど公職におられる有識層の人々ですから心配ないと思います。
○宮城久栄君 費用を取ってないと不成績になる事を憂慮されますが。
○松本恭典君 第十三条の第二項、三項は一緒にしてはどうですか。
○新里銀三君 原案通りでよいと思います。
○宮城久栄君 第四条は必要ですか。
○事務官(山田親法君) 市町村の指導監督という点から知事としたのですが。
○宮城久栄君 知事が委任することを特記する必要はないと思いますが。
○玉城泰一君 第四条は不必要だと思う。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 一応休会の上各条文を順を追うて審議を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って左様に決します。休会致します。
  午前十一時三十分休会

  午後三時開会
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。本議題の質疑を終了致しまして討論に入ります。御意見を伺います。
○稲嶺盛昌君 本員は本案の一部を修正し、皆様の御賛同を得て可決したいと思います。即ち先ず第四条を削除すること、そして第五条を第四条として以下順次繰上げる。それから修正された第五条の「保健所は前条の規定により知事の委任を受け」を削る。それから第十一条の但し書を全部削除する。以上の様に削除修正しその他は原案通り可決せられんことを望みます。
○委員長(玉城泰一君) 只今稲嶺委員の意見通り本案一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案は一部修正可決致します。本日はこれで散会致しまして明二十九日午前十時本委員会を開きます。
  午後三時二十分散会

  第二部委員会議事録
 一九五一年九月二十九日
 午前十時開会
○委員長(玉城泰一君) 只今から本日の委員会を開きます。出席七名、欠席二名であります。

○委員長(玉城泰一君) 沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例制定について、知事提出議案第七十九号を議題と致します。本案は提案前に曩の定例委員会において当局の説明があり、お互に審議を致したものでありまして別に質疑はないと思われますので質疑を省略して討論に入りたいが御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って左様に決し本議題の討論に入ります。曩の定例委員会の際第五条と第十四条の二ケ条が論議の焦点でありましたが、例えば埋葬して呉れと遺言があった場合困るという話でしたが、そういった問題等について一応第五条、第十四条から意見を纏めて行くことに致しませう。
○宮城久栄君 第五条の指定するの次に「禁止」を入れたら意味が明瞭になると思うが。
○委員長(玉城泰一君) 如何ですか「知事は死体埋葬の禁止地域を指定することができる」としては。
○宮城久栄君 それでは予め指定することになり全島的に色々と問題がおき困難となるので原案通りがよいと思います。
○委員長(玉城泰一君) 原案通り如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○稲嶺盛昌君 第十四条の坪数は一坪では問題になりませんが。
○新里銀三君 現在火葬が実施されず今後それを奨励する段階にある今日一坪では困る。今少し考える必要がある。
○委員長(玉城泰一君) そうすると条例文句中の「焼骨」としてあるのは妥当を欠く事になるが「焼骨」を「遺骨」として洗骨されたのも火葬されたのも含めた意味にしては如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) それでは第二条中の「焼骨」は「遺骨」にし、以下同様に修正することですね。
○事務官(島袋慶輔君) 第十条全部と最後の「洗骨許可証」も不要になります。
○稲嶺盛昌君 農村の実情或はその他各種事情を考えて面積を今少し増しては。勿論火葬が全部実施の暁は考えられるが共有とか或は遺骨の点から考えて困難である。
○普天間俊夫君 これは余程研究の必要があります。那覇と真和志或は田舎との差異、従来の慣行等から考えても一応全般的に幅を持たして行った方が良いと思います。それでどうですか、六坪以内としては。
○委員長(玉城泰一君) 普天間委員の御意見に対しては如何ですか。
○稲嶺盛昌君 六坪を定限とするという様にしては、そして但し書で沖縄の慣行による共有墳墓はこの限りでないとしては。
○委員長(玉城泰一君) 墓庭合せて六坪を定限とする、にしてはどうですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 第五条と第十四条の難点は解決できましたので、後は休会の上各条文について順を追うて審議を進めたいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御賛成の様ですから休会致します。
  午前十一時休会

  午前十一時三十分開会
○委員長(玉城泰一君) 開会致します。引続き討論を続行致します。
○新里銀三君 今迄審議されたので十分と思いますが全体的に次の様に修正削除し皆様の御賛同を得て本案可決したいと思います。
 第二条三行目「死体又は」の次の「焼骨」を「遺骨」に改め、以下同様に修正致します。同じく二条の四項を削除し、それぞれ番号を繰上げる。第六条の第三項を削除する。第十条は全部削除致します。十条を削ったので以下各条は繰上げます。第十条の一行目の終り「改葬」を「火葬」に改め、「又は」の次の「火葬」を「改葬」とし、「若しくは洗骨」を削除、三行目の埋葬の次に「火葬又は」を入れる。第十二条第一項第三号の群島道路の次に「主要道路」を挿入し、第三項の初めの「その他」を削り「墓地」と修正する。第五項は削る。第十三条一行目の群島道路の次に「その他主要道路及び」を挿入し、第三項を次の通り修正する。即ち「墳墓の面積は墓庭合せて六坪を定限とす。但し沖縄の慣行による共有墳墓はこの限りでない。」。
 第二十二条二行目の「署名し印を捺し」を「署名捺印し」とする。第二十四条第二項の「五箇年」を「一箇年」とする。第二十八条第一号を次の様に改める。「第四条乃至第七条及び第十七条乃至第二十四条の規定に違反した者」とする。最後に別紙様式の一番終りにある洗骨許可証を削除する。以上の通り修正し、その他は原案通りに本案一部修正可決せられんことを望みます。
○委員長(玉城泰一君) 只今の修正意見に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案は只今の新里委員の修正意見通り一部修正可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 次は沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について知事提出議案第八十号を議題と致します。本案は去る二十七日の本会議において総務部長から詳細に亘り説明がありましたので、本委員会において重ねて説明を願う必要もないと思われます。就きましては直ちに本議題の質疑に入ります。御質問がありましたらどうぞ。
  (「質問なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御質問はない様でありますので質疑を終了致しまして討論に入りますが、討論を省略して本案原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(玉城泰一君) 御異議ないと認めます。依って本案原案通り可決致します。

○委員長(玉城泰一君) 付託事件全部の審議を終了致しました。御苦労様でした。これで本委員会を閉づることに致します。
  午後〇時五分閉会
           (終)

 一九五一年十月四日(木)
 (午前十時開会)
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十四名、欠席五名であります。

◎議長(知花高直君) 諸般の報告致します。
 今期議会初日に於て、審議未了となっております十二番議員発議に係る「琉球の信託協定に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会を設置することについて」の議題名中「琉球の信託協定に関し」とあるを「講和会議後における琉球の統治に関し」に訂正する旨、発議者から口頭申出がありましたので議長はこれを受理しその旨訂正致しましたから報告致します。
 沖縄群島監査委員長から監査の結果報告について二件の議長宛公文が参っておりますから書記長をして公文を朗読致させます。
  (書記長「新垣良正君」公文朗読)
  (具志頭得助、祖根宗春両君出席)

監委第五一号
  一九五一年九月二十九日
    群島監査委員会委員長
        金 城 研 一
群島議会議長 知花高直殿
  監査の結果報告について
六月二十六日より七月四日迄群島組織法第一一七条の規定による特別監査を執行しました其の結果は別紙の通りであります
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します
  (別紙省略)

監委第五三号
 一九五一年九月二十九日
  沖縄群島監査委員会委員長
        金 城 研 一
群島議会議長 知花高直殿
  監査の結果報告について
去る八月三十一日群島組織法第一一七条の規定による定例監査を執行しましたので其の結果は別紙の通りであります。
右群島組織法第一一八条第二項の規定に依り報告致します。
  (別紙省略)

○議長(知花高直君) 書記をして修正案を配付致させます。
  (書記配付)

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
 議事日程第二十四号
 第一、講和会議後における琉球の統治に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会を設置することについて
      (十二番議員発議)
 第二、沖縄群島請負条例制定について
  (知事提出議案第七十五号)
 第三、沖縄群島建築基準条例制定について
  (知事提出議案第七十六号)
 第四、沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例制定について
  (知事提出議案第七十七号)
 第五、沖縄群島保健所条例制定について
  (知事提出議案第七十八号)
 第六、沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例制定について
  (知事提出議案第七十九号)
 第七、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
   (知事提出議案第八十号)
 第八、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十四号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、講和会議後における琉球の統治に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会を設置することについて  (十二番議員発議)
 日程第二、沖縄群島請負条例制定について
  (知事提出議案第七十五号)
 日程第三、沖縄群島建築基準条例制定について
  (知事提出議案第七十六号)
 日程第四、沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例制定について
  (知事提出議案第七十七号)
 日程第五、沖縄群島保健所条例制定について
  (知事提出議案第七十八号)
 日程第六、沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例制定について
  (知事提出議案第七十九号)
 日程第七、沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例について
   (知事提出議案第八十号)
 日程第八、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十四号)
 日程追加、今期議会の会期延長について   (議長発議)
 日程追加、一一二棟の学校々舎建築工事の進捗状況についての緊急質問並要望
     (第二部委員長発議)

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。

◎議長(知花高直君) 日程第一の十二番議員発議に係る講和会議後における琉球の統治に関し議会として要望すべき事件を審査する特別委員会を設置することについてを議題と致します。
 群島組織法で議会は議長の選定により特別委員会を置くことが出来ると規定されていますので、十二番議員長浜君の発議に係る本件について議長は時宜に適したものと認め、ここに特別委員会を設置することに決定致します。それで本件の特別委員会の員数は議会において決めねばなりませんが、これはきのうの合同研究会に於いて員数は八名がよからうという御意見が多かった様です。本特別委員会の員数は八名と決めることに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って員数は八名に可決致します。それから只今可決になりました八名の委員は議会に於て選任しなければなりませんが、如何致しますか。
◎宮城久栄君 選挙の煩を省略して正副議長に一部、二部委員会各々から三名、その中には委員長を含む、計八名にして議長から指名せられんことを望みます。
◎新里銀三君 七番議員の動議に賛成であるが、これは現在沖縄の議会に於ても各政党があるから、党には政策があるので出来るだけ一致点を見出すためにも協調しなければならないと思う。それで委員会の中には各党の代表を入れて欲しい。
◎議長(知花高直君) 只今七番議員の動議に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。それでは正副議長、一部、二部委員長は決っていますので後の四名について議長は発議者である長浜宗安君、平良幸市君、普天間俊夫君、新里銀三君、以上四名を指名致します。
 依って正副議長、一部、二部各委員長に只今指名の四人、以上八名にお願いすることに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 次は日程第二の沖縄群島請負条例制定について知事提出議案第七十五号を議題と致します。本案は予ねて第一部委員会にその審査を付託してありましたので、第一部委員長の審査の結果の報告を求めます。
沖縄群島請負条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三六一頁に掲載)
◎第一部委員長(石原昌淳君) 委員会に於ける審議の経過及び論議の要点を報告致します。
 本案は提案前にその骨子について本委員会に諮られたのであります。その時に必要性と案の内容について検討し、その検討の結果の意見が入れられ成案となり、ここに提案の運びになっています。公共工事その他を公正に施行して行くためにその制定の必要を認め逐条審議した訳であります。論議の要点は第一に議案の標題ですが、沖縄群島工事請負条例となっていましたが、これを工事だけでなく労務事業を含むのでこれを除きました。次に第二条の指名入札についてはその人員を三名以上となっていましたが、これを五名以上として広く競争入札させた方がいいんじゃないかという意見もあったが、三名以上だから適当に運営して宜からうという意味で原案を承認したのであります。
 次に第四条の入札の資格については企業免許を有するものは誰でも出来るようになっていますが、この企業免許については物心両面からの信用度というものを考慮して免許を与えることが、こういう事業の遂行を完璧ならしめる意味から、これについては工務部と合議して信用ある企業者に免許を与える方針を取って欲しいという様な論議が交わされ要望がなされたのであります。次は第五条の資格の制限規定でありますが、これについて入札資格は企業免許を有する者だけとなっていますのでその制限とはどんなものかを訊した所、金額の多(大カ)きいものについては特に資本額に於ける信用、設備に於ける相当な資格を条件にする必要があるという趣旨が諒承され、その条件を附した必要を認めましたが、資格を制限するという文句については条件を附することが出来るということにしたらという意見もありましたが、結局原案の儘で差支えないという訳で原案を承認したのであります。第七条の二項(号カ)の方で禁錮以上の刑期を満了していない者、又は執行猶予中の者に修正しました。その趣旨は先に企業免許を受けた者でもこれらに該当する者は入札或は請負人になる資格を制限するものですが、刑事犯の者で刑期満了後三年間もその資格を停止することは行き過ぎであろうし、又個人請負の場合は懲罰的意味を含むものではなく完遂を期しての保全の意味だから「後三年を経過して」だけを削除したのであります。次の四項(号カ)の解釈について不正の行為が摘発されてから二年を経過していない者と言うことについて質問したが、これは勿論刑事事犯を含むが工事請負について不正行為が摘発された者があるというのでここに摘発という字句の趣旨が分かり原案通り承認されましたが、一部の意見として五年を経過したとするのがよくないかというのもありましたが、過渡期であり二年でいいと云う訳で原案を承認しました。
 第八条の入札保証金及び二十四条の契約保証金を免除する規定でありますが、この趣旨を聞いた所保証金を取ることは指名入札の場合よくあることだが、これは信用度のある人に指名して保証金を徴すると反って、工事費が多くなることが予想される場合には免除するんだというので原案通り賛成しました。
 次は十六条の落札決定についてですが、予定価格の三分の二を下ることは出来ないということになっています。これは余り苛酷じゃないか、もっと八十%程度にしたらという意見もあったが、適正な落札を期するため又当局の査定の方針などを承って原案を適当と認めました。二十六条については下請けその他によって責任者が責任を次々譲っていくことは(のカ)禁止規定だが、このことは従来責任を希薄にしていく恐れがあったので、この点厳重に実施して貰らうよう要望しました。次にどの条項にもありませんが、今度の百十二棟の校舎請負の進行振りからして一人の請負人に過分の工事を引請けさせることは工事の進捗を鈍くすることになり、又工事を粗悪にする結果にもなり兼ねないのでこれを条文に載せたらという意見も出ましたが、これは入札条件として附することが出来るという当局の回答を承って是非そういう条件を附して過分に沢山の工事を引請けることのないようにして欲しいという要望が附されたのであります。以上委員会に於て主として論議された点とそれに対する当局の答弁でありますが、本委員会としては本案一部修正可決致したのであります。以上御報告申上げます。
○議長(知花高直君) 質問や御意見があれば伺いたい。
◎祖根宗春君 これはいいことだから賛成する。それで六条の中に企業免許証を提出しなければならないということがあるが、これについて当局はどういう考えを持っているか、ちょっと伺いたい。即ち企業免許証の写しを付けないと入札が出来ないと云うことになっていますが、これは免許と入札者となる資格とは何の関係もない。これは只群島政府が納税の一種の便法として考えている筈だが、これは実行するのか。一般住民は納税証明と企業免許を切り離して欲しいという要望が多いが、吾々としてもこれは一緒になさないで切り離して欲しいという希望を持っていますがこれに対する御意向を承りたい。
○工務副部長(西銘順治君) この写しの問題だがこれはもっと制限を附して納税証明書を附したらどうかという意見も出ましたが、これは反って企業促進を邪魔するという見解があってこれは省きましたが、果して入札に参加する人間が正当な権利を有する企業家かどうかという基準を見るためにもこの制度は将来共に執っていきたいと思う。
○議長(知花高直君) 別に質問はありませんか。
  (質問者なし)
◎議長(知花高直君) それでは討論を省略して本案只今の委員長報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。
◎新里銀三君 委員長からも要望がありましたが、請負の場合は是非請負条件、種目、過去の実績を調べて貰い、更に同様な工事が沢山あったら請負条件を附して欲しいと云うことを当局に要望いたします。
○工務副部長(西銘順治君) 御趣旨に副う様極力実行して行きたいと思います。

◎議長(知花高直君) 次は日程第三の議案第七十六号を議題と致します。本案も第一部委員会付託になっていますので委員長の審査結果の報告を求めます。
沖縄群島建築基準条例
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三六七頁に掲載)
◎石原昌淳君 委員会に於ける審議の経過を報告します。審議の方針としてその制定の要否及びその実施の時期とを考究するため趣旨を説明して貰いましたが、全十一章九十五条に亘るものであり、そのまま直にその制定の要否、時期等について判定致し兼ねたので一応全般に亘る逐条審議を遂げてからこれを判定しようということに進んだ結果、一般的にこれを適用することはまだ時期が早い、那覇市等の様に市街地では火災、衛生の関係等から整備を図って行く必要があり、尚劇場、料理屋等の如く特殊建築物については特別の制限をして整備を図る必要も認められてその制定の必要を認めましたが、反面人口的に窮屈を極めている実状からして漸進的に適用範囲を拡張して行くという方針から更に慎重逐条審議を進めましたが、そこで論議された要点を予め申上げます。第二条には新に第十七号を加え都市計画の説明を附したのであります。次は第三条の大規模な修繕又は模様替えという条文がありますが、これの具体的な解釈について説明を求めた結果、それの必要性を認め原案を承認したのであります。第四条の二項に市町村が建築主事を置く場合に知事と協議することになっていますが、これについて市町村の自主権を尊重する意味でそういう協議は要らないじゃないかという意見もありましたが、知事としては基準条項の適確な実施を期する意味から、又監督する必要もあるのでこれを認め原案を承認しました。
 四項までの規定によって、群島政府は市町村に建築主事を置くことになっていますが、これは財政の節減を図り行政整理の方向に進まんとしている時だから常任にならない様に現在の職員の中から適任者を任命し、常任にならない方針で進むという訳で原案通り承認しました。五項は建築主事を置くならこれは資格規定を作って一定の有資格者でなければいかんじゃないかというので資格規定を設定する必要が論議されましたが、全般的に日本に於ける建築主事の資格条件にあるような適格者を求めることは困難なので、適当だと認めた職員の中から知事又は市町村で任命するという方針で原案を承認しました。五条の但し書の面積十平方米以内の場合は適用しないという所は、これは余り小さ過ぎる、少くとも倍にしたらという意見があり、特に改築については十平方米ということは凡そ三坪なので、これは該当範囲が広くなって住民が不自由すると云う意味で論議されたが、改築の解釈が結局建物を動かさずに全部取り壊したら新築となるので、実際の運営には不自由はないという結論に達して原案を承認することにしました。
 第五条の四号は都市計画区域内(又はカ)に知事が指定する区域について特殊建築物以外にも適用があるという条文ですが、この「都市計画区域とは」ということについて論議が交わされ、沖縄では日本に於ける都市計画法に基く該当事実がないので、この区域という解釈が疑義を挟むからという意味で、先に説明した二条の十七号を加えその説明をはっきりさせたのであります。同じく五条の五項は手数料の規定だが、これは原案に対して延面積が百平方米以内の場合とあるのを五十平方米に改めました。又条文も「五十平方米以上の場合は一千円を越えない金額の範囲内において」というふうに修正しました。それは五十平方米、約十七坪だが、それ以下のものについては手数料を徴収しない方がよかろうという趣旨でこのように修正したのであります。
 次は十条の第一項に「時価により補償しなければならない」ということについて、これでは市町村が負担に堪え切れないことが起るんじゃないかという論議もありましたが、日本の場合でも矢張りこういうものは全体のための必要から個人に無理を強いることがあるというので見解が一致して承認しました。次は第十四条の第一項を次の通り修正したのであります。「建築主は確認を受けた建築物の」と直しました。その理由は原文の儘だと確認をうけた建築物以外について、この建築主は建築した場合は一つ一つ届出を要することになって、これを統計資料にしようという当局の意志だったのですが、そういう意味の着手では統計資料にならないので、このように修正したのであります。
 次は第三十八条の第一項に第五条第一項第四項の「項」は誤りですからこれを「第四号」と修正致します。次は四十五条の用途地域についてですが、知事は都市計画区域内において、法令の定める手続きによって、住居地域、商業地域、準工業地域又は工業地域を指定出来ることになっておって、法令の定める手続きによって指定することが出来る訳ですが、沖縄では戦前日本の都市計画法の適用を受けた都市がないので現実にはこれの該当はないのです。従ってこの適用については当分実施不可能であります。当分は不能だから削除したらという論議もされましたが、那覇市における都市計画が軍との折衝によって布令又は指令によってこれが法律に代る効果を得ることも期待されるし、尚今後の都市計画を推進するためにも差当りは不用だが、そういう時に備えて原案の儘立法して置いてよかろうという意味で原案を承認しました。後に戻りますが、第十九条では構造耐力について規定されています。これは十八条でも規定されていますが、これは日本においては実状に即して規定されていますが、ここで日本の場合と変っている点は暴風地帯としての考慮を入れての規定があるべきじゃないかという論議がされ、是非必要であるということに意見が一致しましたが、さてこれを条文に織込むかどうかについて討議しましたが、こういうことは府令で規定出来るようになっているので、府令に規定することを要望して当局も然るべく善処するというので原案を承認しました。
 以上の通りでありますが、当局は本条例実施に当って飽くまで住民の利便を目標にし、手続きを簡素にして敏速に処理すること、及びその適用地域並びに適用対象を最小限から出発してだんだん拡大強化すると云うように進められるよう、又法律による都市計画が速に進められるよう善処方を要望するものであります。更に財政削減を目標にする今日人員の増加にならないように充分配慮を要望し、委員会としては本案一部修正可決致したのであります。
 以上報告申上げます。
◎具志頭得助君 委員長の報告もありましたが、これは那覇市と密接な関係があるので四項目の質問を致します。第一に都市計画そのものより都市計画法を早く進めるべきだが近い将来都市計画法を立案する意志があるか。第二に四条四項の規定が効力を発生した場合、軍の指令との関係はどうなるか。第三那覇市の都市計画はシーツ少将の指令に従って計画されているが、これについて都市計画との関連如何。建築面積は敷地の十分の六しかないが、那覇の新市街の場合これを緩和する規定はないものか。
○石原昌淳君 市町村と群島との関係はどうなるかという質問に対しては、建築主事はその市町村の建築課を制限するものではない。兎に角矢張り依然として、許可権は市町村にある。只この条例に基き色々な建築の制限規定について建築主事の確認があってその後市町村長が許可するということになるように解釈されています。新市内の場合だが、敷地の十分の六が建築面積となっているが、住居地域の指定のないものでは、十分の七に増加されることになっている。
○工務副部長(西銘順治君) 私の方から質問にお答え致します。第一の質問だが、当局に都市計画法を設定する意志があるかどうかということだが、確かにお説の通り都市計画法はなければなりませんが、現在ここで実施している都市計画法によると那覇市は都市計画区域とはならないので、これはどうしても都市計画法或は都市計画条例を作って、これと密接な関連を持たさないとこの条例に謳われたものが生きてこないのであります。それで先程委員長からも説明がありましたが、これは平良幸市議員から都市計画区域は沖縄の場合適用しないじゃないか。そうした用語の説明がなされなければならないということで、用語の定義を第二条十七号に入れました。この場合の都市計画は漠然としていますが、沖縄の現状ではそれ丈しか出来ない訳です。それでは都市計画を設定する区域とは那覇市、糸満、与那原、名護等の密集地域、市町村の条例で設定された区域を用いる他はないか、又条例で群島の都市計画条例を作った場合はそれで云う都市計画区域を意味するという解釈しかないだろう、というので用語説明で設定した区域と謳わざるを得なかったのであります。設定する意志があるかどうかの問題ですが、果して旧法や都市計画法又はそれによりこれを群島条例として作った方が適当かどうか疑問があるので、沖縄の現状では軍布令、指令などに待つ他はないじゃないかという意見を持っているのであります。何れにしても意志があるなしの前に都市計画条例が無くてはならないという見解を持っています。
 第二ですが、建築主事と市町村建築課の持つ権限関係だが、この条例の主事の確認行為は現在指令で与えられ、市町村長の有する建築権限と抵触するものではないのです。確認行為であって別に市町村の有する権限を否定するものではなく、寧ろこれを強化してそれに実質あらしめるものになっています。
 三番目の質問ですが、那覇市の都市計画についてシーツ長官のサインした計画とこの条例との関係だが、あれは都市計画条例の具体案に対するサインではないと思うが、もしそうならこの条例と法規的に関連性はないと思う。しかしこの計画が色々な細目に亘ってシーツ長官の認可を受けたものなら大いに関係を持つもので、又それが将来進行するものである以上法律的には有効なものと思う。次に新市街に於ける五十一条の規定だが、これは一面に於ては御説の通り制限は緩和出来ないものかと云えますが、この条例は既存建物には適用しないということと指定された以外には適用されないという観点から見ると現存(在カ)は問題はないが、ただこの条文からいくと技術的面から見てもせいぜいこの範囲を越える建物は考えられないという訳でこの案が認められたのだが、これは別にどうしても那覇の場合は五十一条の適用は止めて欲しいというなら当局に於てそういう特殊な事情のある地域に対しては指定さえしなければいい訳だから緩和出来ると思う。以上お答え致します。
◎石原昌淳君 先程言洩らしたが、罰則についてであります。
 最初の原案は日本の基準法をその儘にして金額を掲げてありましたが、これについて従来制定された法との均衡もありますし、従来は三分の一だったのでそれが適当じゃないかと色々論議されたが、全部が罰金刑になっているので、最高二分の一程度にして置いた方が適当じゃないかと云う訳で、二分の一の額に修正したのであります。それから五十一条については委員会でも論議されましたが、指定地域の特殊建築物以外は指定地域に入れなければ適用されないから運営に任すという考え方と、従って指定地域外ではそう云う解釈の場合が多いので、その場合は敷地の問題は適用されないと云う訳で可決したのであります。
◎新里銀三君 那覇の都市計画は那覇市でやるということで計画中だが群島政府で都市計画をやる意志は持っているか。
○工務副部長(西銘順治君) 現在那覇市としては首都としての形態を有する都市なので、どうしても都市計画も国家乃至は沖縄で云えば中央政府でやるべきだが、それが出来なければ群島政府で都市計画条例を作ってやるにしても財政的裏打ちがないと都市計画そのものも画餅に帰するので果して少い群島の復興費から出すにしても、那覇市に都市計画に相当する復興費を注ぎ込むと地方の市町村との均衡問題もあって、これは将来考慮されるとは思うが、今の所積極的な都市計画案は持っていない訳です。
◎祖根宗春君 この条例は先程委員長その他から云われた通り本来なら都市計画法、土地収用法、河川法その他関係法を先に群島政府で設定して然る後にこれに基き建築条例を設定すればこの条例も百%効果があったと思うが、そういうものがなくこれ丈をいきなり適用すると矛盾する所も出て来ると思う。
 この百条にわたる条文の中にも直に適用できないが、将来関係法律が出来たら適用されるという先を見越しての条文もある訳だ。これは委員会も通過し全体会議で諒解も得てあるので通過すると思うが、こういうのは都市計画法に基いた市街地を対象にした法律だと思っている。
 従って市街地と形態を異にしている農村地帯、その中でも離島地区はこういう法律が出たことによって、特殊建築の如きは是非群島政府の主事と連絡に来なければならないので手続きが煩瑣になる。又那覇に来る旅費も掛るのでこの条例が通過して効力を生じた場合は今までより便利になる点もあるが、又反面不便な離島では除外例として適用しないことをのぞむが、特殊なそういう規定もないので、恐らく本島並に適用されると思う。そういう場合今後の離島地区に対する条例の運営の仕方について希望を述べたい。
 第一に各離島の町村に建築主事を置くように関係当局を指導して欲しい。そして専任を置く程仕事もないので兼務制度を認めて欲しい。それから将来この条例が施行され建築主事の資格認定の事が生じた場合は離島地区には特例を設けて欲しい。
 それから市町村の特殊な事情によって離島で専任又は兼任の建築主事を置くことの出来ない離島町村については、群島政府の建築主事が月に日を決めて巡回して指導監督をして貰うことを希望する。離島としては面倒臭くて態々連絡に来ないで無願でやるということにならないとも限らないので、運営については政府も離島の不便を考慮して欲しい。
○工務副部長(西銘順治君) この条例と上位にある関係法令が無くてはこの条例は生きて来ないじゃないかということだが、沖縄の現状では上位にある関係法令を全部修正しなければならないという事態が出て来るのです。従ってこの条例で上位の法令を修正するということになり違法になりますのでどうしても出来ないという悩みがあった訳です。
 それから離島の利便についてですが、これは一章から二章までは一般的規定なので特殊建築物については当然適用される。離島に於て群島の建築主事の確認を得ることが面倒なら町村に建築主事を置くことが出来る訳です。そのためには建築主事に適当な人がおればおいて、建築主事の確認行為を本島に行かなくても達せられる方法がある訳です。それからもし適当な建築主事がいなければ勿論離島の利便を図ってここから建築主事を派遣するなりして成る可く市町村の冗費を省きたい。
◎議長(知花高直君) 討論を省略して第一部委員長の報告通り本案一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案は第一部委員長の報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第四の議案第七十七号を議題と致し、第一部委員長の審査結果の報告を求めます。
沖縄群島砂糖及び砂糖容器検査条例
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三九〇頁に掲載)
◎第一部委員長(石原昌淳君) 本案も成案前に骨子について本委員会で検討の結果委員会の意見も纏り成案を得てここに提案の運びに到ったのであります。
 現在及び将来更に重要な輸出品たる砂糖の輸出貿易取引上の信用度を高めることは必要緊急なりと認めこの制定の必要を認め、逐条審議した論議の要点は、二条の検査の対象から分蜜糖が抜けている点だが、これは分蜜糖は世界的商品として品質も一定され各銘柄毎の規格も統一され、商取引の基準も既に出来ておるので、本条例の目的とする検査を統一するという趣旨の上から除外されています。但し課税その他のための検査はこれとは別です。
 次は三条について検査員を置くとなっていますがこの点についても職員の増加となり、又財政的負担の増加を来たすことにならないかを質したが、今の所現在の職員でやっていける、又やっていく方針であると云うことで将来についても出来る丈そういう方針で進むよう要望しました。
 第五条で検査を行うことになっているが、この検査について規定の上で別に検査を受ける義務を負わさずに元々貿易については群島は直接の権限を持っていないのでこれは貿易庁の告示に基きまして、義務じゃないがこの告示に基き検査を受けねば輸出出来ないような告示が一九五一年九月一日に軍布令二十六号五条十二項に基き出ています。
 この根拠についても充分考究をやっているので原案を承認しました。六条及び七条の検査の標準についてでありますが、沖縄の特殊商品としての信用度を高めるための検査だが、大島、宮古、八重山から出たものでも結局対外的には沖縄の砂糖と見られるので、これについて各群島ともこれを統一した基準の下に検査を実施する必要があるが、それについての方法及び準備はどうなっているかを質したが、これは群島知事会議或は部長会議に於て統一した検査を実施する準備が進められたということで原案を承認しました。
 十三条の検査手数料の件ですが、文字通り解釈すると検査を受けるときは手数料を徴収することになっていますので砂糖検査の場合は砂糖の手数料を徴収し容器で手数料を徴収出来ると解釈出来る。戦前でも容器の検査は手数料を取っていなかったし、又この趣旨からしても、輸出貿易の奨励だから容器の検査の場合は取らない様にすべきだという訳で当局と協議しましたら当局としても従来の例からしても砂糖のみについて手数料を徴収する方針だという訳で原案を承認しました。
 次は十七条の罰則だが、その中につまり、検査を受けない容器や砂糖を売ったり買ったりしたら悪いと云う規定がないのはおかしいが、これは最初に申上げた通り検査を受けさす根拠が義務的ものではなく、輸出が出来ないから利益の上から自発的に検査を受ける訳だから要らないというのでこのまま原案を承認した訳であります。
 以上報告申上げます。
◎新里銀三君 最後の附則のこの条例は公布の日から施行するとありますが、宮古では黒糖が先月から出ている。沖縄本島でも来月からは出ることが予想されるので、それ迄に輸出しようという業者は箱や樽が無ければ出来ない訳だが、どうしても箱一個について九十五円から百円は掛る。これは五十斤として一斤について二円ぐらいはつくので、大島から榑板を取寄せ鹿児島の輪竹を取寄せて樽を造ったんじゃ間に合わない。砂糖は愈々出廻り日本の輸入業者は砂糖の契約を申込んでいる。それで早急に日本に輸出するには容器の製造が間に合わない。それで紙箱があるが、これを流し込みにして五十斤入れにすると一斤二十銭しかつかない。これは軍に幾らでもある。それで箱又は樽が出来るまで紙箱を利用させた方が手っ取り早いし又生産者の手取も多いと思うが、当局に何か案があったら伺いたい。
○経済部長(呉我春信君) 容器の心配についての御質問でありますが、内々準備を進めている、農連でも五十斤箱について相当準備している。なお資材の心配もあるが大島の中農と取引きすることに決めてあります。明日農林省から係官がいって輸送の件等細い打合せに行くことになっており、来月から始まっても困らないと考えております。
◎祖根宗春君 十三条に手数料を徴収する規定があるがこれは何時提案されるか。又現在当局でどれ位いの検査手数料が年間上ると思うか、その資料があったら伺いたい。更に現在沖縄の農民は砂糖を生産した方がいいか、止めた方がいいか、迷っているが、これは砂糖の日本輸出が思うようにいかなかった点もあるし、白砂糖やザラメがハワイなどから輸入され値段も安くなった関係から現在日本としても沖縄から黒砂糖を買うより世界で一番安いキューバ、ハワイ、台湾から入れた方が得だというので、日本自体も深い関心を持っていない気配もあって、砂糖は余り有望でないと云う気持ちのように伺うが、そういう点について当局の御所見を承りたい。
○経済部長(呉我春信君) 手数料のことだが、これは次の議会迄に出す予定であります。大体の額は戦前の手数料を睨み合わせて五円程度じゃないかと思う。その総額は大体今年は昨年の倍になって二十五万円位です。
 最後の御質問は砂糖の将来性というように思うが、これについては消費地の方で黒糖は充分いける。問題はコストだという意見が多い。従ってここで五万丁程度になっているが、これの輸出は心配ないと思う。
 尚この黒糖をどの程度の目安で奨励するかということは研究中だが、戦前からしてもまだまだ少量であるので今の所心配はないと思う。但しコスト問題があるのでこれは皆さんの審議を経て予算案にもあるように協同製糖場の奨励とか補助政策を以って、そういう面からコストを下げていく政策を執りたい。
◎新里銀三君 今の部長からの話では容器についても用意出来るということだが、戦前の完備した工場を持っていながらさえ前年度から製造しても間に合わなかったというが、今から注文して造る迄には相当な日時を要すると思う。又箱や樽の値段は斤当り二円は間違いなくつく。それで軍から廃物となる紙箱を良く使ったら決して品質に文句は無いと思う。特に鹿児島、大島との船の関係を考えたらこれが思う様にいくとは思われないので、今年に限り例外を設けて検査する場合に手心を加え、検査を受けた紙箱を使うことによって一斤から一円八十銭位の利益が返って来るから、そこを考慮して、今度は例外としてそうしたらどうか。
○経済部長(呉我春信君) 樽材については八万樽分位貰っている。吾々の見通しでは大丈夫と考えているが、尚大島では条例の出ない前から用意したものもあるそうです。
◎新里銀三君 樽と箱の値段は幾ら位つくか。
○経済部長(呉我春信君) 今樽材は大島では四十五円です。そうすると、よう作って一日四樽位ですが、そうすると一個五十円位の人夫賃と見て、それを四に割れば四十円ですが、その四十五円と四十円で八十五円大体百円以内止まりだ。輪竹は一樽分八円です。運搬はここの船でやるか向うの船で運ぶかということで明日農林省から相談にいくことになっています。
◎宮城久栄君 この条例で見るとこの砂糖の検査は農産物検査所でやる訳だがこの所長は別に置くかどうか。もう一つは検査には専門家の知識が要ると思うが、検査員の資格問題はどうか。
○経済部長(呉我春信君) 所長は農産物検査所長としている。尚砂糖の検査の件だが別に専門的にと云う訳ではなく戦前の資格もただ経験を積んでいる技手とか、技師と云うものがあった訳だが、特に資格は何もかいてないですから、これは経験によっていけると思う。従って戦前のように熟練した者か、どうかだがこれは二、三名採用している。その下にあって養成していけば戦前通りいけるんじゃないかと思っている。
◎議長(知花高直君) 討論を省略して只今の委員長の報告通り本案原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って議案第七十七号は委員長報告通り原案可決致します。午前はこれで散会して午後一時から開会致します。
  午前十一時四十四分散会

  午後一時九分開会
○議長(知花高直君) 開会いたします。午後の出席十五名、欠席四名であります。

◎議長(知花高直君) 日程第五の沖縄群島保健所条例制定について議案第七十八号を議題と致します。第二部委員長の審査結果報告を求めます。
沖縄群島保健所条例案
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三九三頁に掲載)
◎玉城泰一君 審議の経過並に結果を報告致します。保健所設置条例は保健所使用料の条例より先に制定すべき筈でありましたけれども、後先になって、矛盾しているような結果になっておりますが、そのことについては当局の方から説明がありました通り保健所条例が軍の方から布告で出すというような話であったそうでありますが、最近になりまして、保健所条例も群島の条例で出せ、こういう命令があったさうであります。そういう関係があって遅れたような訳であります。この内(ママ)条例の内容は保健所の機構或はその任務、運営の方法を制定したのでありまして、二部委員会で検討した結果第四条は全部これを削除することに致しました。その理由は第三条には保健所の事業が、明記されてあるし、尚又第九条には「保健所長は知事の指揮監督を受けて保健所の事務を処理する」とあるのでその上に更にこの四条を規定する必要はなかろう、尚又廨庁を設置する場合にもこの四条に相当するものはなくてすんでいるのだからという理由で削ったのであります。従って、第五条も、その関係で「前条の規定に依り知事の委任を受け」というところまでを削除することにいたしました。それから第十二条但書これを削除することになりましたが、その理由はこういうことを書かなくても保健所という名前を乱用するものは出て来ないだろう、たとえ出て来ることがあっても、これは行政処置で何とか出来るからこれは必要はなかろうということで削除したのであります。第四条を削除しました関係で五条以下は何れも一条ずつ繰上ることになっておりますが、区域は寛大に見てもらって、他の区域から来ても、その患者を追返すことのないようにという希望がありましたが、委員会としても同感であり、尚当局の方もそういうような心配は絶対にありません、というようなお答えでありました。結局本委員会としては本案一部修正可決致したのであります。以上簡単に経過並に結果を御報告申上げます。
◎新城徳助君 昨日の合同研究会に於ても質問致しましたが、九条第三項の委員の数でありますが、運営協議会なるものが一人でもいいとなればそれでもいいのですか、若し運営協議会なるものが機能を発揮する上にどうしても必要だということになれば三十名以内とすると矛盾ぢゃないかと思いますが、最低の数を決めたら如何かと思うのですが、その点一つ委員長さんにお伺いします。
○玉城泰一君 昨日も十七番議員(新城徳助君)からそういうような御意見がありましたが、協議会と名前がつく以上恐らく一人では出来ませんのでそういうような御心配はないと思います。尚、三十名以内と最高を限定してあれば協議会では恐らく数名以上になるのぢゃないかと思いますので強いて最低限を数で現す必要はなかろうかと、こういう風に考えておりますが、尚前に私申し遅れましたが、この運営協議会を委員会にしてはどうかという御意見がありましたが、委員会になるというと、委員を任命して、毎回の委員会が、人が決ってしまうということになるので、それでは当局の考えていることとは違う。というのは協議会とすればその時の議題によって来て貰いたい人が違うからその都度招集状を出して議題によって人選を考えて行きたいといったような考があるので、委員会よりは協議会でなければならないというのが、当局の説明であります。尚又、これには予算は計上してありませんが、協議会に来て貰う人は多くは病院の医者、或は校長或は町村長といったような公職にある人達を以て組織する予定であるので現在の所予算は計上しなくても運営出来るだろうという意味であります。以上附加えておきます。
◎稲嶺盛昌君 今の十七番議員(新城徳助君)の御意見に対しては、私はこう考えるのであります。この協議会は何れも保健所の仕事に対して監督し、規制を加えるような性格のものでなくして、ここの運営を援助して行くようなもので、これは保健所長から寧ろ一般に運営面の援助をお願して行くような性格のものだ、とこう考えられますので三十名以下というようなことにしてあるからといって、余り少い一人、二人とかそういう風なことはまさかしないだろう。
 これは保健所長として参考になる御意見を徴するためには必要な適当な人に意義を持つだけの協議会の成立を必ず向うから頼んで来るべきぢゃないかとこう考えるのでありますので、私としてはこれでよいのぢゃないかと考えます。
 それから今一つ保健所の運営に対して何かこっちから進んで意見を言いたい、所謂要望面に対しては、これはどんどん言えるのぢゃないか、尚又言うてもきかない強硬に出るべき筋合のことがあった場合には、知事の監督下の職員ですから何とか処置出来るので、これはこのままでもよくはないかと思います。
◎新城徳助君 条文として作る以上数を示してあるならば最低を入れるのが常識であって、若し今おっしゃるようなことであれば、若干名としたらどうですか。それなら常識的に考えられると思うのですが。
◎祖根宗春君 昨日当局側の説明では保健所の支所を本島地区は、町村毎に設けて保健婦を置く。但し離島側は当分置かないと、こういう御説明がありましたが、これは矢張り離島にも保健所の仕事が相当ありますので是非置いて戴きたい、こういうことを希望するのであります。
 それから日本の保健所法を見ると、保健所の利用はすべて無料の建前になっておりますが、沖縄としては、有料制度で行っております。これは群島政府の財源の関係でそうしたと思いますが、若し財源を他に見つけることが出来れば日本同様に無料制度にして一般住民に広く利用さした方が衛生保健上いいと思いますが、その点について将来の方針を聴かして戴きたいと思います。それからもう一つは移民の問題でありますが、この移民が-呼寄移民が-行く前に現在相当色々の注射を受けております。これも出来得るならば-これは沖縄の政策的な立場から最も奨励すべき仕事でありますので、その移民が海外へ行く前に注射とか治療方面も保健所を利用して相成るべくはそういった特殊な奨励的な部面に対しては料金を免除して利用させる方法も好ましいと思いますが、その辺に対する見解なんかも伺いたいと思います。
◎平良幸市君 私は第九条の経験者三十名以内という原案に賛成するものであります。理由は運営協議会であるので保健所長は、管轄区域内の関係市町村の代表者若くは学識経験ある者の多数の意見を聴いて活かそうというのがこの条例の目的だと思うのであります。従って関係市町村の出来得る限り沢山の代表者を集めて結局は大体三十名以内でよかろう、三十名ならそう多くもないというので最高を決めたのだと思います。普通の委員会であれば、先程の御説明によれば任命である故に、又委員会の採決表決の場合があるので何名以上ということも規定されておりますが、あくまでもこれは協議会である。こういった民主的な協議会を持たなければならんという意味がこの条例の趣旨である以上は最高を決めておけばそれで差支えないと思います。よって原案に賛成するものであります。
○議長(知花高直君) 十四番(祖根宗春君)の質問に対して当局の答弁を求めます。
○厚生部長(宮城普吉君) 離島地区にも保健婦を置くことは我々の建前であります。現在公衆看護婦の数が足りないこと、それから殊に離島になりますと、その出身者であったら快く行きますが、そうでない場合、看護婦の場合、女のことでありますのでなかなか希望者が少いのであります。その点私達としては離島出身者の看護婦を更に公衆衛生の教育を施してその各自の郷里で働いて貰いたいのでありますが、そういう条件に合う方は現在少いのであります。
 沖縄本島内でも困っているような現状であります。今のところは各保健所、三つの保健所から自転車で各村を廻っております。そういうのもおります。方針としましては離島にも漏れなく公衆衛生看護婦を配置するのが希望であります。予算でも現在は困ってはおりますが、方針は勿論御質問の趣旨に副いたいと思って居ります。それから保健所の取る料金でありますが、これは予防接種をする、ジフテリアの注射をする、破傷風或は腸チフスといったような予防接種をする場合は無料となります。日本でもそうでありますが、治療の場合、性病の治療ああいったものは少し趣が違っております。保健所では先に申上げた通り予防が第一で治療というのは特定の病気に対しての、それも深入りした治療ではなくて極く大雑把な早期治療に従事しております。そういう場合の若干の料金は取っているようであります。私達がこの料金を決める場合にも公営病院の料金との関係、それから開業医との関係、それも多少は考慮にいれませんと私達の病院自体が現在これでは困るといっております。胡差の如きは保健所と病院が近いので病院でレントゲン写真は二百円、保健所は百五十円といった風で病院自体でこの点はどうにかしなければならんといった状態にあります。開業医の場合はもっと困ると思いますが、前の議会で通って料金を定めておりますが、軍の意向も薬品とか、消耗品を回収するだけの収入は見込まなければいかんだろう、(ママ)意見もありまして現在の方針を取っている訳であります。
○議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 議案第七十八号は只今の委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って左様に決しました。

◎議長(知花高直君) 次は日程第六の議案第七十九号を議題と致し、第二部委員長の審査結果の報告を求めます。
沖縄群島墓地、埋葬等に関する条例(案カ)
 (一九五一年十月九日付沖縄群島公報第四五号に登載済に付省略)
 (注 三九五頁に掲載)
◎玉城泰一君 この条例の審議に当りまして、特に我々が注意を払った点は、沖縄に於ては特に墓を大事にする習慣がありますのでその習慣を無視せず尊重する。今一つは沖縄は人口の割に土地が非常に狭隘である。従って墓地のために広大なる土地を取られては困るから面積を能う限り制限を加えたい。尚第三番目に衛生上の立場その三点に立って検討を致したのであります。まず第一に重要な論議の点は今申上げた通り第十四(十三カ)条でありますが、第十四条の規定は墓地を新築する場合のその墳墓、墓庭即ち墓地の面積の制限規定であります。原案によるというと、墳墓、墓庭合せて二坪、墳墓が一坪、墓庭が一坪合せて二坪こうなっておりますが、これは火葬の場合は兎も角普通の場合-即ち沖縄の慣行によるところの埋葬の場合-の墓地としては余りにも狭過ぎる。こういうような考え方からしてこれを六坪まで認めるという風に訂正を加えたのであります。但し沖縄には又門中墓-所謂共有の墳墓-がありますので共有墳墓には親戚のものは親戚の者の死体を入れなければならないような事情からしてこの共有の墳墓に対してはその制限を加えないという方針でこれを修正致しまして、第二項もこういう風に改めました。
 第十四(十三カ)条の二項を「墳墓の面積は、墓庭を合せて六坪以内(ママ)を定限とする。但し、沖縄の慣行による共有墳墓は、その限りでない」とこういう訂正を加えたのであります。重要な点はこの点でありますが、次にこの条例に出て来る洗骨に関係する条項を全部削除致しました。現在洗骨をする場合許可を-旧規定でも-受けないことになっておりますけれども事実に於ては殆んど洗骨の場合、許可を受けている例がないようでありますし、なお又洗骨は衛生上の立場から将来なくしよう、なくなるのが望ましいのであるから、それを特に条例の上で認めることはどんなものだろうかという考え方からして、洗骨に関する条項、即ち第二条第四項、第六条第三項、それから第十条これだけを削除することに致しました。第十条を削除しました関係で十条以下は一つずつ繰上る訳になります。
 それから罰則に入りまして二十八条の一号、第三条乃至第七条とあるのを第三条を第四条に改めまして、第三条の二十四時間を経過しなければ埋葬することは出来ないという条項に対する罰則はこれを除くことに致しました。その理由は事実沖縄の現状から考えて見ても、夏であった場合二十四時間死体をそのまま置くということが出来ないような状態でありますので、そういう事情があるにも拘らず是非二十四時間置かなければ、この罰則に照らして一々罰を加えるということになればつまり実情に即しないというような見地からして、第四条乃至第七条ということに改めた訳であります。
 それから問題になったところで終戦後許可なくして出来た墓地が沢山あるが、それはどういう風に整理をした方がよいかというようなことが昨日の協議会でも問題になりましたが、それに対してはこの条例が適用されるのは勿論公布の日からであります。それ以前の墓地に対しては当然現行法が適用されるということが法令の解釈上の常識であります。その常識に従って終戦直後から今日まで許可なくして出来たような墓も旧規定に照らして許可すべきものは許可願を出さして許可するという建前で行きたいということに決定致しました。勿論戦時中から終戦直後の混乱時代に出来た墳墓は町村長の許可も得なかった点もありませうから、そういうようなものは当時の事情を参酌して寛大に見て許可を与えて欲しいという希望であります。他人の土地に墓を造ったり或は衛生上どうしてもいけない場所に墓があったりする場合は、当局から意見するなり或は許可を与えないなり、といったような行政措置をとってよろしいというのが建前であります。そういうことになったのであります。尚最後に申上げたいのは委員会として将来火葬を奨励して欲しい、衛生上の立場から洗骨や何かのことを考えて見るというと現存のやり方は非衛生的であるからどうしても火葬を奨励して欲しい、殊に土地が狭いという点から考えて見ても火葬は奨励すべきだとこう考えるのでありますが、現在の火葬の費用を調べて見るというと莫大な金がかかるようであって、そういった点も十分考慮したうえで将来沖縄の人が火葬を喜んでやるような習慣をつくって貰うように希望を申上げたのであります。なお申し遅れましたが語句の修正或は内容は違いませんが、文章の形式に多少修正を加えてあります。例えば「焼骨」とあるのを「遺骨」と改めてあります。それから文字の誤りもありますが、その点は新たに印刷し替えてお手元に配ってあります。結局本委員会としては本案を先程申上げました通り一部修正の上可決致したのであります。以上簡単ではありますが報告致します。
◎仲村栄春君 昨日の協議会に於ても意見を申上げたのでありますが第十二条の第一項の但書の「予め知事の許可を受けた墓地に」これだけを削除して戴きたいと思います。理由は昨日も申上げたのでありますが軍命によって僅か二、三日或は四、五日の余裕をもって立退を命ぜられた墓は予め知事の許可を受けた墓地ととった場合には、沖縄のこれまでの慣習として大体一部落が一つの杜、或は地域に大部分が墓地を設けておった関係上予め知事の許可を受けた墓地ということは、それ以外には行けないのであります。更に所有権が既に確認せられた今日他人の所有の墓地にそれだけ多くの墓地が作られるとは予想されないのであります。そういった関係で特殊な而も緊急を要する場合には市町村長の許可を受けて墓地の新設を許すという規定にして戴きたいと思います。これは直ちに罰則とつながる条項でありまして是非そういう風にして戴きたいと思います。
○玉城泰一君 当局はどういう風にお考えですか、十二条の但書……。
◎仲村栄春君 実際の問題として昨日立退を命ぜられたのが北中城の安谷屋区で三日間で立退けといったのが七十七ケ所あります。こういったものが知事の許可を受けなければならない、又知事の許可を受けた墓地でなければいけないということになれば到底始末に困るのであります。
○玉城泰一君 只今の具体的な例を挙げての御説明がありましたが、そういったような場合は行政措置で何とか便法が講じられはしませんか。特にこういったような特別の事情なんだから、その場合には緊急の場合に於ける特例については、行政措置として適当に処理出来ないものだらうかと思いますので、原案はこのままにしてはどうですか。
○議長(知花高直君) 暫時休憩します。
  (午後一時四十分休憩)

  (午後二時再開)
○議長(知花高直君) 開会します。
◎石原昌淳君 終戦後に出来た墳墓の措置については委員長からその時の状勢を考慮して適当に加減するようにお話がありましたが、戦争中或は終戦直後の状態は町村長が墓地を指定して埋葬していたような状態であり、これは旧法規が沖縄に於て施行になっていたとはいえ、事実上はその法規は死んでいた状態であったのであります。そこで意見としてはそういうものは認めて貰いたいということであったが、集団的に正式に村長の許可を得て指定された地域に埋葬したのでありますから、個人々々に許可申請の煩瑣な義務を負わせることは酷だと思うのであります。それでこれらのものの取扱につきましては市町村長から一括して報告を取り、それによって一括して処理して行くような処理の仕方をとって貰いたいことを要望致します。
○議長(知花高直君) 別に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 本案は第二部委員長の報告通り一部修正可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案第二部委員長の報告通り一部修正可決致します。

◎議長(知花高直君) 次は日程第七の議案第八十号を議題と致します。第二部委員長の審査経過並に結果報告を求めます。
(注 欠落のため挿入)
沖縄群島政府職員定数条例の一部を改正する条例案
 (注 三九九頁に掲載)
◎玉城泰一君 これは廨庁の減員であります。その主なる理由は病院、診療所が七十ケ所廃止になりますので、それに伴う減員、それからもう一つはかねて議会で当局から話がありました通り与儀農業研究指導所が今度中央政府に移管になりますので、それに伴う減員これが主なるものであります。
 病院、診療所がなくなりますので、今度は保健所の方に、特殊病院の方に増員になっております。
 尚又与儀農業研究指導所が移管になりますのでそれに代る沖縄の中央農業試験場としての機能を発揮させるために名護に五名増員致しました。そこを与儀試験場の代りに中央試験場とする。こういうのが大体の趣旨であります。これは委員一同異議なく原案を可決致しました。以上であります。
○議長(知花高直君) 質問御意見はありませんか。
  (「質問なし、異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) それでは委員長の報告通り、本案原案可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。よって左様に決しました。
◎祖根宗春君 この際一般沖縄住民が希望することはなるべく税金を安くして貰いたい、そのためには機構改革をして人員をなるべく少くして最大限に働いて貰いたいということが沖縄全住民の希望でありますが、この機構改革について、何か規模を縮小するという案があったら伺いたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) まだ成案は得ておりませんが、何れ研究しまして縮小すべきところは縮小し、或は余剰のあるところは来年度にそういう点は十分に考慮して行くつもりで現在研究中であります。

◎議長(知花高直君) 日程第八の一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について、知事提出議案第七十四号は尚審議検討を加える必要がありますので審議未了のままと致します。

◎議長(知花高直君) 皆さんにお諮り致します。今期議会の会期延長についてを本日の議事日程に追加致したいと思いまするが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って日程は追加せられました。只今追加せられました日程第九の今期議会の会期延長についてを議題と致します。
 先刻申上げた通り、一九五二年度沖縄群島歳入歳出の追加更正予算知事提出議案第七十四号はなお審議検討を要すると考えますので、後一日間会期を延長したいと思っておりますが、御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って今期議会の会期を一日間延長致します。
◎玉城泰一君 百十二棟の校舎建築に関して当局に緊急質問をしたいと思いますが発言を許して戴きたいと思います。
 第二部委員会ではこの議会から付託になりました議案を先週の金曜、土曜日の二日間に亘って審議を終りまして、今週の月曜日は只今建築中の百十二棟の校舎建築の進捗実状の調査に参りましたが、その結果を当局に申上げて当局に質問を致したいと思います。二部委員会の方が廻って調査したところによるというと問題の百十二棟の建築が今日のように延々になった原因として三つの点があると思います。その一つは請負人の責任であり、今一つは資材の供給が不円滑である。今一つは、これは一部分ではありますが、労務提供に対する地元の熱意が足りないということ、この三つが今度の百十二棟の校舎建築の延々になった主なる原因だとこう考えるのであります。その理由を説明致しますというと、時間の関係で全部に亘って廻ることは出来ませんでしたが、北部、中部、南部を比較して最も工事の遅れている南部だけを見ることに致しましたが、南部でも特に工事の遅れているところは糸満地区と知念地区であるというようなことを聴きましたので、まず糸満の高等学校の校庭に立っているところの糸満教員訓練所並に糸満地区教育長事務所二棟四教室を最初に見ましたが、その二棟四教室の大きい工事に対して出ている労務者の数は僅か六名であります。普通住宅では六十名内外の労務者が出ているのに二棟四教室の工事に対してたった六名でありますから、こういう状態で行くならば恐らくこれは本年中かかるのではないかということを心配したのであります。監督に聴いて見ると、八名出る予定だったということであります。工務部が十月一杯に出来るということを漏らしていますが、十月一杯には到底出来ない、こういう話であります。校長の話によると四月以来殆ど工事は進捗しておらないというような状態だそうであります。
 聴いて見るというと、そもそも工事が頓挫したのはセメントが入らなかったためだとこういうことをいっております。初めのうちは非常に活気があって職人が出て来てぐんぐん工事も捗っておったのであるが、その途中セメント工事に移る時になったらセメントがなくなって職人が解散してしまって、その後セメントが着いた時には請負人は資金難に陥ったために職人を集めることが出来なくなって四月以来殆んど中止の状態にある。数日前から漸く今日のように五、六人の職人が出て作業をやっているという話でありました。この請負人はその外に糸満中等学校一棟四教室も請けているのでありますが、その現場に行って見るとこちらも又石工が僅か三名、それから高等学校の分と合せて三棟八教室の木材を切込んでおりますが、その大工の数が四名であります。同じ請負(人カ)の仕事でありますが、その請負は更に糸満地区内の小禄豊見城にも一棟ずつ合計五棟請けているそうでありますけれども、その全体の工事の進行の程度は僅かに三分の一、三十五パーセント程度しか進んでいないようであります。だから今まで掛った日数の更に二倍掛らなければ完成しないというような状態であります。今までの進行振りからいうならば二倍掛らなければ完成しない、こういう状態であります。知念に行って知念の高等学校の工事を見たがそこは工事は一月前から中止で現場にもいなければ事務所に行っても木材は山の様に積んでいるけれども大工一人もいない。実際沢山の木材を積んであるけれども全然大工もおりません。留守番がたった一人いるだけであります。その留守番に聴いたところが、二、三日前に木工の下請をさせたそうでありますから近いうちに始まるはずです、という話であります。段々と聴いて見るとこの請負人はいくら当局から呼出をしても一向顔を出さない。その代理しかやらないといったような無責任なことだそうで、而もその請負人は百十二棟の中その一割に相当する十一棟を引受けているそうであります。知念地区に五棟、久米島に六棟を請負っているそうでありますが、その工事の進行振りも矢張り糸満地区と同様に三分の一程度しか進んでおりません。糸満は細々ながら工事を続けておりますけれども、ここは一月前から全然工事中止というような状態であります。これはいつごろ完成するか殆ど見通しがつきません。こういったことから考えて見るというと請負人が誰であるかによって工事の進捗振りに甚しい差がある。或ところは熱心に請負人がやるために進行振りも非常に捗る。今いったようなところは請負人が無責任であるために遅れている。そういう状態から考えて見ると、今後請負人の人選については厳重な態度で選ばなければならないということを痛感した訳であります。我々が廻ったところの校舎の工事が進まない大きい理由はこの請負人の責任に帰してよかろうとこういう風に考えておるのであります。それから二番目の資材の不円滑な供給、これは配給当局の責任であります。その点は今後十分に細心の注意を払って円滑に行くように是非御配慮願いたいとこう考えます。それから三番目の地元の労務提供が一部分ではあるが熱意がない。これは知念の高等学校の場合の例でありますが、ここは学校区域が非常に広範に亘っている関係で近いところからは早く来るけれども遠いところの町村からは殆ど十時、十一時頃にしか来ない。それでも近いところの町村から来た労務者が定刻からすぐ働いて貰えばいいのであるけれども遠いところから来る労務者を待って、その間は休んでいて仕事をしないというようなことがあったので、工事が遅れましたというような留守番の話がありましたが、然しあとでこれを聴いて見るとそういう問題があったので現金に切替えて労務費用を出すようになって解決した。それから遅れて来たために高等学校の生徒が労務を提供するということで解決したということでありますが、それでも尚今先申上げたような請負人の無責任、資金難のために高等学校は待機して待っているけれども一向仕事をしていない、こういった通知に接したのであります。
 以上三点、これが今度の百十二棟の工事が捗らない大きい原因だとこう考えられますので、その点を工務部の方でも関係の部局の方でも十分御研究になりまして、地元の積極的な協力、更に資材の円滑なる供給、請負人の厳選その点について十分な御配慮を願いたいと思います。尚この際特に希望致したいと思いますのは工務部の責任に於て進めつつあるところの百十二棟の校舎が今日の状態である点から省みまして、今後の校舎建築については市町村長協議会からの要求もありますし、尚二部委員としても是非今後は市町村の責任に於て、校舎建築の工事をやらして戴きたいと、こういうのが要望の第一であります。それに対して当局はどうお考えであるかそれを承りたいと思います。それからもう一つは今申上げたような成績不良な工事請負人、それに対する処置でありますが、それをそのまま放ったらかして置くというといつこの校舎が出来上るか心細い、殊にこの百十二棟が完成しない限りは次年度の予算の校舎も出来ないような状態になっているそうであります。次年度の校舎建築について、予算について軍と折衝すると、まずこの百十二棟の校舎建築から早く片付けなさい。それまでは次年度の予算はやれないという話も聴いておりますので、その点から見ても今日のような状態ではいつ完成するか、十月一杯には到底完成しない、或は本年度掛るのではないかとこう考えられますが、現在沖縄に三千教室なければならないものが百十二棟の教室が出来ても千教室しかない。後二千教室が必要であるがそれは後二十年も掛らなければ完成しないというような計算になるが、この際不良なものに対しては断乎たる処置を執って戴きたい。その断乎たる処置ということは請負を解除して工務部責任なり、或は市町村責任なりに移して工事を進捗させて戴くようにして貰いたい。以上五点につきまして当局の御答弁を願いたいと思います。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) はじめから御質問をお聴きしませんでしたので、御質問の全部に亘ってお答えすることはむつかしいと思いますので足らない分につきましては建築課長から補足して貰いたいと思っております。百十二棟の校舎建築が思う通りに参りませず、かくの如く遅れたということにつきましては誠に申訳ないと思っているのであります。従いましてこの席に於きまして、遅れた理由として申訳的なことを申上げたくない様な気も致しますけれども折角の御質疑と御要望がありましたのでお答え致したいとこう思っているのであります。
 遅れた原因につきましては新聞紙上などで何回も発表してありまするし、尚又只今も九番議員(玉城泰一君)からその理由をあげておられましたので敢て繰返したくもないのでありまするが、資材の遅れた原因につきましては、いつぞやの議会でも申上げましたように島内資材の遅れた理由などにつきましても御承知のことと思います。尚又輸入資材が遅れた理由としても軍を対象としている関係上思うように行かなかったのが実情であります。現在もまだ十二万一千ボールド(ママ)フィート受取っていないような状態でありまして、これも昨日から契約した。ストーバーは全部受取って貰いたいということをいい出しているのであります。一時は破約しようという考えまで起したのでありますが、君が破約しようと思えばそれは簡単に出来るが然し一応破約すればそのドルを軍の財政部に還して、更に又そのドルを獲得して資材を買うとなると相当の日数を要すると思うのでストーバーに責任をもたしてやった方がいいんぢゃないかという軍の御内談もありましたので契約をした。自分としては実にこうした契約が契約通り実施されないことに対して実にいい知れない苦心を払ったのであります。そういった様な実情で破約するよりかはいくらか遅れても構わないということでこうしてやって来た訳であります。それも昨日から残りの十二万一千ボードフィートも輸送を開始しておりますので今日までには六万ボードフィート輸送出来るのではないかと考えております。
 又島内資材などにつきましても監査委員からの御報告によるというと、まだ請負者の手に届いていないところもあるやに聞いておりますのでこういう点につきましても十分なる調査を進めつつあるのであります。それで大体資材は見当もついたように思いますので、この百十二棟も資材の面からは心配ないと思います。次は請負人の責任感といいませうか、どうも誠意を尽して貰っていないようなところもありますので、この点につきましては建築課が涙ぐましい監督振りを示しているに拘らず、これが酬いられないということは誠に私として遺憾に思うのであります。ただここで私皆さんに申上げたい点は建築課が早急に完成しなければならんという気持で一生懸命に監督しているということはお汲み取り願いたいとこういう風な感じがするのであります。それから次は市町村側の協力については皆さん方からも色々と側面から御協力を戴いておりますがために最近町村長側の協力も大分緩和されております。又協力の態勢が整っているように思いますのでこれも十分御協力が願えることと思っております。従いまして、こういったような条件下に然らばどの位の校舎建築の進捗状況になっているかということを申上げますと、これは三十日現在で既に完成された校舎が二十二棟あるのであります。それから南部地区に於て今建築課が十分現場監督の意見を徴しまして、大体の竣工の予定をここに立ててあるのでありまするが、南部地区に於て十月下旬までに竣工を予定しているのが三棟であります。十一月上旬までが五棟であります。十一月中旬までに予定しているのが五棟、十一月下旬までに予定しているのが三棟であります。中部地区に於ては、十月下旬に竣工を予定としているのが六棟、十月中旬が五棟、十月下旬が九棟、十一月上旬が七棟、十一月中旬が七棟、十一月下旬が三棟、北部地区に於ては、十月上旬が二棟、十月中旬が二十一棟、十月下旬が七棟、離島地区に於ては少し請負者側の誠意の足りないような点もありまして、今までのところでは十一月中旬頃の予定になっております。今建築課と致しましてはこういう風に現場監督の職員を十分に督励致しまして、大体今申上げたような竣工の予定を立てて着々激励をしてやっているのであります。その次に誠意を持たない請負者に対する処置についての御意見でありますが、誠にこうした請負者があることを遺憾に思います。いくらかそこに諒とすべき点もあったのでありますが、こういった十分誠意をもっていない者と契約を結んだ点については色々と考えさせられる点なきにしもないのであります。それで今後に於きましては既に百十二棟の契約者に対しては適用出来ないのでありますが、今後の請負人に対しては請負条例も出来ましたのでその条例を適用して請負契約を結んで行きたいと思うのであります。そこでその処理につきましては、一応請負者を工務部までお出いでを願って、色々皆さん方の御気持をお伝えし、尚又住民の校舎竣工に関する気持並に文教当局の気持を十分にお伝え致し懇談致しまして、そして何日までに出来るというような一札を入れて貰おうかとこういう風に考えているのであります。そして入れた一札によって校舎の完成を進めて行きたいとこういう風に考えているのであります。次に今後の工事の請負については、市町村会の要望の中に責任を市町村側に持たして貰ったらというような御意見もありますが、誠に結構な御意見でありまして、あの残存校舎の修理からはこういう方針で進んでいるのであります。ただ三十一棟の中に確か五棟だったと記憶しておりますが、それは一般競争入札に致したのでありますが、それは大東の如きは市町村側から私らでは請負者を推薦することが困難であるから工務部の方で考えて貰いたいというのと、首里だとか中城とか或は具志川とかこういったようなところは請負人の一般競争入札にしてもいいんぢゃないかというような見解からこれは一般競争入札にしてあります。後の二十六棟は今御要望の通りに市町村の責任に於て工事をさしているのであります。今後に於きましては請負条例とよく睨み合せて市町村側の責任の下に工事を進めて行き得るように取計って行きたいと、こういう風に考えているのであります。尚足りない点につきましては建築課長からお答え致します。
○建築課長(仲座久雄君) 百十二棟の校舎建築が遅れた理由については資材関係、労務関係、請負人の責任感の問題があるのでありますが、何といっても一番遅れた理由は資材の不円滑であったのであります。資材の配給がちょうど七月十四日から始まっておりまして、その時に受取った請負者側は今ぼつぼつ完成しつつあるのであります。それから七月二十八日に取ったものがありますが、その後会社の都合によって八月十四日から又絶えまして、それが又昨日から始まっている訳でありますが、ここ二、三日の間に全部渡ると思います。そういう風にしてそれまでに資材の配給があり或は業者が誠意を持った方は資材が来るまで自分で立替えて苦心してやっている業者もあります。何といっても建築工事といいますと資材が一ぺんに入って来ますればその業者も非常に円滑に仕事も進んで行く訳でありますが、例えば石を積んでその次に木工工事に掛るべきものが資材が来ないために木工々事が出来ない、それで結局大工は他の仕事に行かなければならんということになりまして、そういう工合にだんだん延々になって、又職人を集めることも困難という状態になりまして遅れた訳でありますが、結局七月に貰ったものが七、八、九で完成して、八月に貰ったものがこれから中旬頃までに相当数出来ることだろうと思います。そういう工合であります。それから請負人の方でありますが、これは資材の問題についてもう少し附加えますが、二月十七日に入札したのであります。それが資材がセメント、釘とか煉瓦とかはあった訳であります。材木も幾分はあった訳でありますが、それから軍としても、学校工事用として資材を注文してあるが、その見通しがつかなくて四月になって結局今の会社と契約するより仕方がないというので四月に入って契約した訳であります。その契約は六月一杯に全部配給するという契約でありますが、それが結局材木が来ないために七月になってから、七月十四日から資材を配給した訳であります。
 次に業者のことでありますが、二月十七日に契約した業者は十九名であります。その十九名の中に現在非常に困っている業者が一、二ケ所位はありますので、このことについては私としても非常に苦心を払っておりますが、それも結局その時の情勢と現在の情勢は違いますので、それをどうするかということもよく調査してその結果に基いて建築課で考えたいと思っております。
◎玉城泰一君 資材の配給が七月十四日から始まったというのは木材でありますが、然しながらこの間木材をのせるまでにはまだ一ケ月は掛りはしないかということですが、つまり石造りが完成していない。木材をのせる程度にまでも進行していないというのですよ。これは資材の不円滑なる供給だけに責任を負わす訳にはいかんと思う。
 それからもう一つ町村長責任に移したいという部長さんのお話でありましたが、是非そうして戴きたいと思います。更に請負者を呼んで一札を入れさせた上に十一月末までには必ず完成させるということでありますが、我々一行の視察した色々の実状から考えると、これは一札を入れさしても果してそういう報告通りに十一月末までに完成するか疑問を持つものですが、又呼び出しても来ないというたようなことですが、一札を入れてそれで完成出来るという自信がおありでありますか。
○建築課長(仲座久雄君) 知念地区の事と思いますが、十一月末までに完成する様一札を入れさすということは現在考えています。誠意のない業者には一札を入れた後に出来なければ解約も考えたいと思います。
◎玉城泰一君 今度はじめて一札を取る訳ですね。
○建築課長(仲座久雄君) はいそうです。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 今部長としては解約なんていうことは考えておりません。一応工務部としては請負者側に来てもらって、来ない場合には特例になりますので、特例の処理は来ない場合に考究したいと考えております。
 これは是非来て貰いたいということを、最善の手を尽して来て貰うようにしたいと思います。若しそれが来ない場合は特例としてその時に考えたいと思います。今解約ということは絶対に考えておりません。
◎稲嶺盛昌君 現在の百十二棟の校舎建築の進捗状態がそれが或る程度完了しない間は残った九千万円余りの校舎建築の指令を軍は出さないとかいっているとききますが、この方面は今の百十二棟の進捗が遅れてとうとう残った校舎建築予算が未執行になってお流れになるようなことも心配になるのでありますが、先程建築課長のおっしゃるように資材が遅れた、この方面に対しては軍も相当責任を持つべき経緯があるように承っておりますが、何とか残った予算の執行面に対して差支えがないように十分その辺御折衝も既におやりになっておられると思いますが、しっかりおやりになって後の執行に差支えのないようにお願い致します。
◎新里銀三君 百十二棟の校舎建築の遅れた理由につきましては、只今委員長から具体的に実際を視た報告によりまして御存じであると思いますが、それによると、どこまでも請負者の指導監督、資材の獲得という点につきましては、当局が責任を持たなければいかんとこう思うのであります。ところが去った第九回議会に於きまして、島内産資材の保管物件がないために建築が遅れているという理由で社大党では島内産資材保管問題を取上げて当時新聞に書記長の名前も入れて、個人名も入れて数日に亘って連載したのであります。これが今沖縄全住民は業者自体のためであるという認識が深まっております。そして先日、本員はその業者を廻ってみたが、中には漆喰業の如きは作っておいてある形跡はあります。ところが、雨風のためにそれが融けてしまっている。瓦とか煉瓦の如きは敷地が狭いので置場所に困ったということを業者はいっております。それでこの問題は現在でも皆が前工務部の責任であり、その当時請負した二千七百万円のものを買った業者自体にある。そのために、彼らがそういうことをしたために遅延したということに大体考えられておりますので、是非そういうような観念を取って除けて第九回議会に於きまして工務部の副部長さん答弁の善意ある解釈に対して敬意を表したのであります。あの当時に於てもセメント、煉瓦、木材の不足のために、百十二棟の建築が遅延したということを九番議員(玉城泰一君)の質問に対して答弁したのであります。基礎の出来ていない学校はいくらあるかということをきいたが、全部出来ているという御答弁であったのであります。然し島内生産は不足はなかったのであります。
 今後は当局としては、是非住民の関心事であり、小さい子供も毎日新聞に書く位に熱中しておりますので、毎日現場をかけ廻ってもらって督励すると同時に、そして資材の獲得に奔走して一日も早くこの校舎建築の解決をお願いするのであります。
 次は文教部当局に対する投書が参っております。三、四日前国際劇場で那覇の教育会が集まって、その時に日本復帰運動のために沢山の費用を使ったので一人十円宛出しなさい、こう無理に出させられた、こういう投書でありますが、これは文教部の命令であるか或は教育連合会の命令であるか、その点について……
○文教部長(屋良朝苗君) 文教部の命令ではあります。教育連合会と致しましても命令によってやっているのではないかと思いますが、これはあくまでも自発的な寄附といったものであると思います。
◎祖根宗春君 事情はよく御説明によって分りました。先程九番議員(玉城泰一君)から糸満地区の状況について御報告がありました中に、恐らく今までの約二倍の日数をかけなければ出来ないような現場もあるという御意見がありましたが、今までに七ケ月かかった。そうすると十四ケ月かかるという風に九番議員(玉城泰一君)は懸念しておられるのでありますが、その心配の中にも一番我々離島久米島の五棟の問題が一番心配になる訳であります。それで我々は業者の内容も調査し、その欠点が奈辺にあるかも調査してよく分りましたが、問題は一個人の業者が十一棟も請負った。そこに無理があった。それは力のない業者に十一棟も入札させ落札させたその出発から誤っている。その業者は途中から失敗した訳でなくて、出発の時から資金、技術、信用なんかに欠けておったことが今になってはっきり分るのであります。こういう弱体な誠意のない業者を呼んで一札をとって何日までに完成すると一札を取っても果して完成するかどうか疑問であります。それでこの問題については現地側からも両村当局が心配して島民の世論を代表して是非善処して貰いたいと当局にお願して、当局も善処される御誠意を答弁しておられます。それでこういった不良業者を一札や口約位で出来るとこういうことは、余程我々は不安に思うのでありますからどうか今まで学校建設が遷延をしまして、沖縄全住民が非常にこの問題について色々と論議をして一日でも早くと希望している訳であります。それでこの際私は何月の--例えば十一月の--何日までとはっきり日を切って工務部当局もこれについて責任を持って貰いたいと思う。若しその業者なりが完成し得なければ工務部当局も責任を持つ。そこまで責任を痛切に感じてそういう決心を持たれて是非この問題を解決して行きませんと折角復興予算を貰ったが、我々群島住民、議会は学校の建築すら完全に果し得なかったといわれると、軍に対しても或はアメリカ本国に対しても我々の誠意なり努力が疑われますのでこれはどうしても工務部も決心をしておられると思いますが、責任を首にかけてこの問題を是非完遂して戴きたい。そしてこの際色々資材とか労務とか業者とかこの三つの欠点のためにこういう風に遷延したことはよく分りますが、又こういう風に三つの原因を十分に当局が指導監督してこういう三つの原因を発生させないように今までも全力を注いでやってはおられますが、その注ぎ方がまだまだ有効適切に工事建築に十分に発揮されていない。いくら努力してもこれ以上打つ手はなかったということであれば我々も諒解しますが、例えば資材の輸入にしてもその契約をした外人との折衝なり或はこれが期限通りに資材を納入出来なかった責任をどこまでも追及してその遅延による損害もこの資材関係の契約者に負担をして貰わなければいけませんし、若し又軍の方にも遅れた原因があるとすれば軍にもこの責任については、軍の責任もあったのだから、今後こういう風なことのないようにしてやって戴きたいということを是非ともこの際は軍にも陳情する必要があると思います。それから労務の問題でありますが、これはどうしても軍の方針として労務は沖縄住民が供出しなければいかんということであれば止むを得ませんが、軍の方で復興するまでは資材なり労務なり、すべての面を軍が復興予算で認めて戴かなければ止むを得ない措置でありますが、何とかこれは、軍にお願いして戦前並に学校が復旧するまでは労務であろうが、資材であろうが、全部軍の復興予算でやって戴くようにして貰わないと非常に誠意のある町村は労務を供出しておりますが、誠意のないのは供出を渋る、或は労務者がただ働きをさせられるために、余り能率が上らないということになりますので何とかこの労務の負担も、もう一ぺん軍と折衝して軍で負担出来る分はなるべく軍に負担して戴く、こういう風な方面にも御考慮をお願いしたい、こういうことを要望するのであります。
◎新城徳助君 九番議員(玉城泰一君)の言われたことはただ見た一部分に対することだと思います。この工事が、全体的にどうなっているかということは、監査委員の調査に委されているのでありますから、全体的批判はその調査を俟ってでなくてはならんのであります。又今まで見たところによりますというと、あながち現在の工務部ばかりの責任ではないように思われます。いくらも複雑している関係もありますのでこの問題につきましては、監査委員の報告によって批判して戴きたいのであります。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) ちょっと十四番議員(祖根宗春君)の御要望に対しまして申上げておきたい点がありますから、それは確か八月の議会にも申上げたかと思うのでありまするが、輸入資材につきまして、再三軍に交渉致しましたが、輸入資材が遅れている理由が軍の怠慢のみではないということを工務部長は知って貰いたいということを軍ははっきりおっしゃったのであります。そうして軍の怠慢以外に理由がはっきり示されたので工務部長としては、これ以上資材の要求をするということは何かしらそこに、どうかという風な感じも致しましたので確か八月頃は軍に猛烈な要求はしなかった訳であります。そういったような点も軍が怠慢のためにこの資材が遅れているのではない、その他の理由があるということを沖縄住民は知って貰いたいという軍の意図も御含み願いたいと思います。
◎石原昌淳君 百十二棟の校舎の建築の遅れている理由については各員から色々要望があったのでありますが、要はこの経験に鑑みまして将来について考えられることでありますが。資材をこちらから支給するような工事のやり方をやっているところに色々な論議される問題も起ったり、又不円滑の問題も起って来たのでありますが、今後の工事のやり方としては、軍とよく折衝して金を補助して貰って資材は業者がこれを調弁するという風な行き方にすることが、能率よく工事を運ぶことであり、又その間に問題も起らずに済むという風に考えられますが、その点について是非そういう風に折衝して金額で請負わして、資材一切はすべて請負人がこれを調弁するという風に改めたらどうかと思いますが、これに対する当局の御見解は……、若しこれについて軍と折衝されたことがあればその経過について伺いたいと思います。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 大変結構な御意見でありまして、どうしても今回の校舎の竣工が遅れた理由の一つは資材をこっちから出すというところにあったように私もそう思っているのであります。従いまして、今後に於きましては軍の方としても、すべて請負は資材持ちを原則とするという風になっているのであります。尚この点につきましても、今後是非そうして貰いたいということをお願いもしましたので、最近の工事は全部資材が請負者持ちということになっているのであります。ただここで御諒解を願っておきたいのは建築課長が島内資材を使ったということは、なるべく軍から出す金は少くして余計校舎を作りたいという建築課長の熱意が島内資材を使ったという結果を生んだのであります。島内資材は当時資材課の保管であり、而も軍直轄でありまするが故に、当時の島内資材は軍の管理下に置かれておったのであります。それで若し建築課長が今申上げたような気持がないならば、この島内資材に触れずにたやすい方法をとったと思いますが、建築課長の熱意はこの資材を活かして余計造ろうということであったのであります。この点御諒解をお願い致します。
○議長(知花高直君) 暫時休会致します。
  午後三時五分休会

  午後三時六分再開
◎議長(知花高直君) 開会致します。特別委員会の委員長互選の結果について報告を求めます。
◎石原昌淳君 特別委員会の委員長を互選しましたところ、委員長は副議長の稲嶺盛昌君に決定致しましたから御報告申上げます。
◎議長(知花高直君) 予算案を残して全部提出議案は可決致しましたので本日はこれで散会致しまして、明日午前十時本会議を開くことに致します。
  午後三時七分散会
 出席者は左記の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
    議 員 仲村 栄春君
        石原 昌淳君
        普天間俊夫君
        宮城 久栄君
        平良 幸市君
        玉城 泰一君
        具志頭得助君
        長浜 宗安君
        山川 宗道君
        祖根 宗春君
        山城 興起君
        新里 銀三君
        崎山 起松君
        新城 徳助君
   総務部長 幸地 新蔵君
   財政部長 仲宗根秀俊君
   経済部長 呉我 春信君
   文教部長 屋良 朝苗君
   厚生部長 宮城 普吉君
   工務部長 渡嘉敷真睦君
   法務部長 知念 朝功君
  経済副部長 知念忠太郎君
  工務副部長 西銘 順治君
   主計課長 板良敷朝基君
   人事課長 比嘉 幸安君
   建築課長 仲座 久雄君

 一九五一年十月五日(金)午前十時三十七分
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十五人、欠席四人であります。

◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
 議事日程第二十五号
 第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十四号)
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について
  (知事提出議案第七十四号)

◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。

○議長(知花高直君) 予算原案の訂正方について財政副部長から発言を求められておりますのでこれを許します。
○財政副部長(久場政彦君) 七ページ二行目の第一款本庁費三、六三八、〇八六円九七銭を三、六三八、〇八六円に、次に同行既決予算額四、一七六、七〇五円九七銭を四、一七六、七〇五円に、更に十七ページ下から三行目第四項特殊備品費の追加更正予算額五十一万円を五十四万円に、同行既決予算額五十万円を五十三万円に訂正をお願いします。

◎議長(知花高直君) 日程第一、一九五二年度沖縄群島歳入歳出追加更正予算について知事提出議案第七十四号を議題と致します。本案は予て第一部委員会に付託してあったので第一部委員長の審査経過並に結果の報告を求めます。
一九五二年度(注 欠落のため挿入)沖縄群島歳入歳出追加更正予算
 (注 三五五頁に掲載)
◎第一部委員長(石原昌淳君) 委員会に於ける審査の経過及び結果を報告致します。予算説明を聞いてから慎重に質疑を尽した結果、歳出面に於ける経常、臨時共計に於ける増減はないが、その内容に於ては極めて重要な点があり、慎重な審議を致したのであります。即ち経常部に於ては戦争のため働き手を失い、或は不具廃疾のため生活に困る人に対する救済事業に対する軍の補助金一千八百余万円が打切られ、更に警官の増俸予算に対する軍の補助金が支出出来ないと云うために此等歳入補填のために行政費の方からその方に充当されている点であります。又警察の増俸予算としても一般職員の増俸を計画した以上是非平等な増俸は必要であり、その他経常部に於ける歳出の増は何れも止むを得ない支出として別に異存はないのであります。更にこれを臨時部に於て見た場合、臨時部に於ける追加予算は保健所費、更生費(厚生園カ)、盲唖学校費、職業学校費、愛楽園費、病院に於ける薬品、特殊消耗品、厚生部関係の特殊消耗品、結核病院、精神病院費、その他病院、診療所費だが、これは軍から指示された予算であり、又一面現在運営途中の厚生部関係の特殊施設の費用であり、これ又必要止むを得ないのであります。そこで歳出についての本予算は緊急止むを得ないものとして、その必要は委員会に於てもこれを認めたのでありますが、ただ救済事業費が年度半ばで打切られたため、これと警察予算の増俸の財源が一般職員の増俸予算として七月分から見込んでいた行政費の方から振向けられた点であります。
 その理由として承る所は七月、八月分について未だ軍から増俸に関し布令第七号の改正についての回答が得られないために実際問題として不可能になっているためと財源の遣繰上止むを得ないためこの方から向けているという説明ですが、この増俸の問題は現在の政府職員の給与が経済状態の変化からどうしても現状に即さないのでどうしても増俸を認め吾々も先の議会でこれを承認したのであります。これに七、八月分は財源の関係から万止むを得ない処置としても九月以降は是非その増俸が実現しなければならないという見解を持ったのでありますが、その増俸するのに布令第七号について軍の承認が未だ出来ないと云うことで、この承認が先に済まないとここに予算を可決しても再び九月以降の増俸も出来ないという結果になることが予想されるので、委員会としては、この事は第一に増俸予算について最小限七、八月分は止むを得ないとして九月からは是非増俸を認めて貰うようにと云うこと及び救済費等の重要な事業費について年度半ばで補助金を打切ると云うことでは行政を円滑に進めることは出来ないし、又それでは財政の安全を期することは出来ないので、その点軍の真意を質し、是非復活をする点から議会としても軍に直接要望折衝する必要があると云うことを認め、この旨議会の全員協議会に報告申上げた所全員協議会でその必要を認め軍に折衝し、その結果については一昨日議長から報告があった通りの経過になっています。委員会に於ては予算の歳入歳出共に遺憾な点はありますが、この予算案を原案通り可決致したのでありますが、この遺憾な点について是非軍の真意を質すことが残されていましたが、幸い今日知事から折衝した結果を承わると、政府と議会の意志を尊重して臨時処置として増俸の承認を得たようでありますので、吾々は政府と軍の間に行われた折衝及び軍の意向を諒としてここに本案を原案通り承認するよう希望するものであります。
◎新里銀三君 大きな問題は増俸と救済費の打切りでありますが、増俸問題については現下の経済状勢、物価の変動によって議会も等しく認めていた訳です。それで九回の議会でも是非増俸しなければならないと云うことで議決しましたが、その場合、本員は警官の三百万円、厚生贄の百一万、計四百一万の軍補助金について知事は軍と折衝したかと質問しましたらこれからだということを聞きました。それで先ず増俸については布令第七号で職種別に給料が定まっており、増俸するにはこの布令があるので、知事は議会に予算を提出する前に軍に対しどうしても政府職員も増俸しなければいかんということを納得がいくように説明して、内諾或は諒承を得て始めて議会に提出すべきだが、知事はこういう処置を執らず、まず議会に提出してから軍にいっており、知事の執った誤った処置がこういう結果になったと思います。これについて知事の説明を求めます。
 布令の枠内で給料が決っているのだからどうしても布令の改廃が先決だと云うことは分っていた筈です。次に救済費だが、これも年度半ばで打切られて遺憾に堪えません。然も救済を受ける者は立ち所に路頭に迷う不遇な者ばかりなので、行政費ででもやっていかねばなりませんが、それが打切られたということは何か深い理由があると思いますのでその内容を具体的に発表して欲しいと思います。尚歳入に亘る款項目の質疑は次に致します。
○群島知事(平良辰雄君) 今の御質疑の布令七号の問題についてお答え致します。現在の政府の俸給は七号によっていることは吾々も承知しています。それで七号の改正が出来ない前に増俸予算を取ったのはおかしいというお話しですが、これは一面から云うとその通りであります。然し布令七号の改正については、議会も知事もやっているのでありまして、特に又増俸問題については何れ七号を改正するという意向を充分伺ったのでありまして、改正は何時かはっきりしませんが吾々としては先ず予算をつくらないと改正も困難だという点もあって、七号の改正は議会も政府もやって来たのでありますが、これが未だずるずるになっているのでこの点については民政府も重要視していると云う話も各方面から伝えられておりまして、決して何らの努力もせずやったという問題ではないのであります。
 七月一日から出来なかったのは専ら救済費の関係でありましたが、然し乍ら未だに出来ないなら七月一日からも出来なかったじゃないかというお話も出てくると思いますが、これも止むを得ないことで何ら手を打たなかったということではなく、全ては軍の内諾を得てから、その後議会に提出するというやり方はどうかと思います。或程度意志を積極的に表明するのも必要だと思います。この点見解の相違で如何ともし難いのであります。
 次に救済費の問題ですが、これが急に年度半ばから打切られたので参ったのであります。そういうことでは吾々は予算の計画は出来ない。然かも大きい金であり、税負担も出来ないので何とかして欲しいと云うことは充分お願いして軍の方でも各部連合協議会をやりましたが、結局救済費にガリオア資金から出すということは、方針として出来ないという結論に達したということであります。この点はガリオアは当然来年から打切られる問題であり、今年から打切りが早かったにすぎないと云う結論なので、それでは救済費にはどうしても金を廻して貰わんと遣繰が出来ないと云う折衝をして、それでは群島政府の予算の中でガリオアからの補助金で賄い得る費用に振り向けて欲しい。そうすると政府の予算は、その分、組替えて救済費に廻すようにして欲しいとお願いしましたが、向うとして厚生部にやるから増俸等も減して欲しい、それによって救済費を生み出して欲しいと云う話で止むを得ずこれも軍の趣旨によって吾々も二カ月の増俸予算もそっくり停止して、又厚生部の予算も減額するという遣繰で今度の予算を編成したのであります。この点について知事が力が足りなかったというお叱りは受けても止むを得ないと思っています。
◎新里銀三君 よく分りました。今の考え方は遺憾だと云うことですが、私の希望することは第一に知事の外交方針を変えることを要望します。理由はこの予算は議会と政府がつくって、軍に折衝するのが建前と云うなら知事の外交権は要らないと思う。こう云う予算を作りたい、こういう事業をやりたいということを談笑の中に語りあって政策に持っていくのが建前と思う。議会の力を借りていくことは反って反感をこうと思う。今後の外交方針としては先ず政策を立てたら先ず軍について正式な交渉でなくてもついでにこういうことをやりたいと云うことを私的、公的に強く突込んで大体の内諾を得るか諒解を得てから政府の案として議会に提出するなら、これが議会でも可決され、そしてその力をもって軍にいけばすぐ出来ると思う。
 次に予算の内部では節減すべき所がまだあると思う。第一に診療所の方が大きいが、七十個所の診療所の廃止によって人件費が軽減され需要費として六十万という金額になっています。所がこれは油脂費それに七十個所で使っている消耗品費、印刷費、薪炭が相当あるから後半年分浮くことになります。一個所で一万円平均浮くと七十万円浮くんじゃないかと思う。薬品配給所が二箇所廃止になったので全ての事務費、需要費が浮くと思う、これでも十四、五万は浮くと思う。
 厚生部の予算の中に土地購入費が計上されていましたが、これが削られ建築費の方に増額になっています。議会では是非厚生園を移転したいと云うことだったのですが、どういう理由で建築費に入れ七十五万が三十万に削られたか。これでは第九回の議会に出した理由がはっきりしない。そこを説明して欲しい。
 それから同部に行路死亡人埋葬費七千円余り計上してありますが、これは法規で市町村がやることになっています。又昨日の墓地埋葬等に関する条例でも行路死亡人があった時はちゃんと市町村がやることを規定してありますが、これは群島政府に責任はないのだからこれは全額削って欲しい。それから次の農事試験場の廃止によって東恩納と名護の試験場二箇所になっています。人員から見たら、与儀六十六名、名護と東恩納が四十一名であります。そしてこの人件費だけ削られて旅費、油脂燃料等も全部削ると相当額三十万円位浮くと思う。それについて関係部の削らなかった理由、又は御方針があったら伺いたい。
○財政部長(仲宗根秀俊君) 診療所費に対する問題ですが、病院、診療所の経費として人件費、消耗品費、旅費などが計上されていますが、八月以降七十箇所が廃止になったためにそれに要する薪炭費は五千五百万円(ママ)を削除して八月の更正予算で削減をして戴きました。それから消耗品が九十六箇所の病院、診療所の当初予算は十一万円を計上しましたが、これは紙の値段が高くなって当初予算の編成当時は軍の払下げを貰っていましたが、それが打切られ市場で買うようになったため約五倍も高くなっているので十一万でもどうかと思われ、節約は不可能じゃないかと思っています。それから薬品費、厚生部の当初予算二千四百万円から八百六十二万九千円になった結果、これだけの予算ではどうかと懸念されている現状です。
 人件費が当初予算では三千二百十九万九千円だが、自由開業になったため関係者三百五十九名減員になって、八百九万九千円に既に更正しており、七月の議会で減にしてあります。備品費等全然計上してありません。それから与儀の試験場の需要費関係は与儀試験場の経費として年度当初から中央政府でやっているので群島政府の予算にはありません。それから農事普及委員会として二十八名を配置していますがこれは人件費のみであります。後は関係部から御説明申上げさせます。
○厚生副部長(大森泰夫君) 薬品配給所の件ですが、五箇所を三箇所に削減したのでその分の人件費は予算面で説明してあります。それから油脂燃料、通信、旅費などありますが、旅費、通信費などは機構変更に伴う色々な薬品受領等の関係から減しておらず、寧ろ増してあります。
 厚生園と社会事業課関係の建築費土地購入費については社会事業課長から説明をして戴きます。
○社会事業課長(嵩原久男君) 厚生園の土地購入費七十五万円についてお答え致します。私達が年度初め予算編成をしている時軍から今度の建築費は社会事業が最優先で順番もこうなっているという連絡があって非常に喜んでいたのであります。金額も大きなもので小さい数字まで示され喜んで早速敷地も探したのであります。所が敷地代を議会で決定すると云うことになると、後で建築費が貰えんと議会の体面に関係するので慎重に考えましたが、軍では大丈夫だと云ってキング大佐、ライト課長から速かに土地を決定しろと急がされ、実際キング大佐もライト課長も探し廻っていました。
尚知事にも見て貰って真和志村に五千坪を買う予定にしていました。私は若し議会に掛け予算を取った後で出来ないと面目ないが、大丈夫かときくと大丈夫だ早く準備せよということだったので敷地を決めて政府としても議会としても予ねて準備していると云うことになると、建築費の獲得にも大きな力になるという訳で計上したのでありますが、どうしたものか救済費も取上げられ建築費も見通しがつかないと云うことで面目ないことですが、実際の経緯としては計上して置かねばならない事情だったのです。
 次に建築費の問題ですが、厚生園も盲唖学校もすぐ作って呉れるということだったのですが皆目分らなくなり、職業学校も盲唖学校も何時開校出来るか見通しはつかない現状です。それでは折角事業計画しても無駄になるので何とかしなければいけないという事で思案の挙句、厚生園に大きなコンセットがあるので差当り盲唖学校に廻して貰うと云うので増(造カ)作をし、それから軍に折衝して何とか開校したいから建物を考えて欲しいと云うことで運動しましたら向うからそれでは職業学校にバトラー二棟を呉れました。
 それから二十二万円とセメント五万円分、約二十七万円の寄附がありまして、それで本建築の一棟を建てることになりました。盲唖学校のコンセットと増築、職業学校のバトラー二棟の建築費、職員室、炊事場を造らねばなりませんがそれを一棟造って両方漸く開校したのであります。それでバトラー二棟とコンセット二棟の増築とバラック一棟の経費をお願いした訳であります。バトラーもすぐ建てねばいけないということを言われたのでそのようにしました。
 尚この更正予算を計上して後から更に盲唖学校にバトラー一棟を持って来ています。これは予ねて軍が公約してあったものが出来ないため責任を感じて持って来たものと思います。
 それから行路病人の件ですが、これは戦前のように世の中が安定しているなら無論市町村負担になるべきですが、これまで市町村では予算もずっと編んでいません。五十六町村で四町村しか計上しない有様です。こういう状態であるから人間の生きる権利、誕生から死亡まで社会事業として見るべきだと思いましたのでここに計上して置いたのであります。法的な根拠と云われますが、現在の社会事業は新しい仕事で殆んど根拠はなく軍の指令に基いてやっていますが、その多くは日本の社会事業の法律に準じて実際の行政をやっている訳です。それで社会事業の根拠を作るため研究を進めましたが、社会事業というものは、各部面と関連が強く社会事業の法律を作る為には各方面の法律を知った人でないと出来ないという立場にあって困難なので研究中であります。
 強いて法的根拠というなら日本の生活保護法の中に生活扶助として貧困者で身寄りのないものは政府で葬祭をやるという法律があります。それで行路病人は、大体身寄りのないものであって又貧困者であるので或意味においては法的根拠を持つことにもなります。然しこの面はこれから縦横色々考えて市町村一つ一つがするか、政府がするか、研究中であります。今まで一挙に多くの犠牲者が出る時もあり、その時は市町村丈では負担出来ない。その時にも補助するという時にも使うため行路病人埋葬費を僅かだが計上してあります。
◎石原昌淳君 先程の委員長報告の中に洩したのがありましたので補足致します。委員会としてはこの予算には色々遺憾な点もありますが、結局原案通り承認する事にしましたが、今度の予算の上からしても基本方針からしても民負担が、年々増加していくと考えられます。即ち今後公共用建物の敷地、所有権認定のための支出増加等各方面に歳出の増加が予想されるので、これに備えて当初予算の場合にも強く要望したのでありますが、自動車管理の一元化、消耗品の一括購入等により経費の節減を重ねて要望した結果、当局はこれに対して既に需要費の節約を各部に強く指示して具体的に節減の方針を取り、備品等も何とか買わずにやるという風に実行面において節減を図りつつあるということだったのですが、委員会として更に強く要望するということになっています。更に今後に備え行政整理についても充分今から計画するようにということも委員会の強い要望だったので、この点補足致します。
◎新里銀三君 只今の社会事業課長のお話で大体分かりましたが、日本の法律でも昨日の群島条例でも行路病人は市町村がやるようになっているので、これは削って欲しい。もう一つ十ページの職業学校の食費だが、これが五万円も減となっている。物価は上っているのに何故食糧は安くなったか。もう一つ知事に伺うが、群島知事は群島組織法によって財産及び営造物を管理することになっていますが、沖縄群島政府に所属する自動車は百八十二台あるが、この中百十二台は三輪車で更にこの中に使用不能が十五台、修理中が十台となっています。或る人がこれより先三万五千円で買った三輪車が営業用として一週間前に五万円で売っています。
 群島政府のものより先に買った三輪車が充分使用能力があるに拘わらず、群島政府のものは十五台が使用不能で、十台が修理中ということは取扱いが粗末だからと思う。それでこの点如何なる方法で管理されているか承りたい。尚委員長が今言ったように車輛を一括して重点的に配置して予算を節減するよう希望したい。次に去ったマージ台風に軍は五百万円の補助を出すということだったが、新聞は三百五十万円しか出さないと報じている。若し出さないとなると予算を計上すべきだが、この予算には見えていないが、その理由を伺いたい。尚今後の予算計上についても、天災地変に対する応急処置に要する予算も幾分計上して貰えば結構だと思うが、この点はどうか。
○群島知事(平良辰雄君) 車輛の問題だがそれは私の方でも感じている。車輛が多く燃料が相当掛り又修繕費が掛るので、これの大整備をすると同時に管理を適確にするというので、先月から調査をさしているが整備するものは整備する。管理はどっちか一方にさせるとか、燃料の取扱いについては無駄を省き経費の掛らないようにすると云う具体案を研究したい。そして次の年度の予算でもこれによって節約が出来るし、又次の予算を待たずに今度の予算でも実現したいと思っています。それからマージ台風の五百万円の話だが、これは色々折衝致しましたら五百万円位は出すと云う話があったので、それが新聞に載った訳で別に指令があった訳ではありません。所がその後それは出来ないとは云わないが七千万円も出しているから、それから出して置けと言う話で、それではどうも既定予算をそれ丈け減ずることになり困るから何とか方法を考えて欲しいというので、最後案として吾々の方で三百六十万使って半分丈けはやって欲しいというので交渉中でありまして、若し出来ないなら別に財源を見つけて議会に諮らねばならないと思う。それから大きな災害が度々来るので予備費的ものを持つことは非常に必要だと考え、今年の予算から実現したいと考えまして今年の予算でも農務関係に二百万円取って置きましたが、それでは到底間に合わないので相当金額を災害復旧費として毎年予算に計上して、それを使わずに済めば次の年度に繰込んで災害積立金にすることは至極必要と思いますので何とかして、そういう方法を具現したいと思っています。
○社会事業課長(嵩原久男君) 職業学校の食糧を減じたことについてお答え致します。職業学校の定員は百名です。所が募集したら直ぐ来る所ではなく警察、裁判所、刑務所、その他学校、地方市町村から手に負えないものがぼつぼつ入って来るので現在は五十名入っています。
 色々考えて見て食糧費を減らしてもいいと言う見通しがついたので減らしました。年度末で百名位になるんじゃないかと思っています。
 尚行路病人だが、これは社会事業の対象と言うことについて誤解があると思うので私の方から説明致します。社会事業の対象は出生以前精子と卵子が結合した時から死んで墓場に送る迄は対象になるのであります。身寄のある者からは徴収していますが、全然身寄のない者、或は徴収不能なものに対して出しているのであります。以上お答えします。
◎祖根宗春君 予算に関連する重要な問題の中、申告所得税が今沖縄住民の非難の的になっています。これについて財政当局の御意見を伺いたい。即ち七月の予算の時にはこの予算の議決に反対を主張したのでありますが、この七月に可決した予算の申告所得税総額一億二千五百五十七万八千九十一円、前年度の四千三百九十四万六千円と比較すると三倍の増となっています。所がこの三倍の増税に対し新聞の報ずる所によると四倍の申告所得税の決定を見ているように報じているが、その内容について何倍の申告所得税を決定したのか、その総額と更にこれを北部、中部、南部の明細、それから各市町村毎に前年度と本年度の申告所得税を比較した最低が一、一倍、最高が約八倍、地方地方によって、色々開きがあるが総平均から見ても四倍の申告所得税が課税されていると新聞は報じている。各村別に前年度との開きがまちまちであって、特に税務署別にも違いがあるし、これは町村長会議でも取上げ調整方を要求しているが、これに対する具体的処置、それから各村毎にでこぼこの出来た理由、更に本年度の申告所得税を妥当とすると前年度は非常に不公正な課税と言わねばならないし、前年度を正しい決定とすると本年度は著しく尨大で且不公平であると言わねばならないが、それに対する当局の見解を承りたい。
◎議長(知花高直君) 歳入関係は議題外ですからそう心得て下さい。
○祖根宗春君 関連性がありますよ。
○議長(知花高直君) 関連はありますが議題外です。
◎平良幸市君 この更正予算は三つの問題を含むと思う。一つは布令七号との関係。一つは救済費が打切られたのを如何にするか。もう一つは本年度内で真近にもう一回追加更正をしなければならないと予想されること。その理由は例のマージ台風の被害補助或は住民に対して土地の使用料を払えという以上群島政府自らも払うべき使用料が多々あると思う。それでどうしても更正しなければならない。従って今期議会は更正予算が次の更正に対する如何なる含みを持つかという事が主要な点と思う。
 増俸の件は平良知事の折衝の結果先ず暫定処置として手当を出してよいと言うことだが、これを本当の増俸にするよう更に交渉を続けて欲しい。もう一つ救済事業費だがこれは考え過ぎかも知れないが、戦争によって打ちのめされた人々に対する救済を打切ると言うことは、私はアメリカの政策から考えた場合出先機関の感情如何に係るものじゃないかと思う。従ってこれは議会からも陳情する必要があると思う。増俸についても駄目だとなっていましたが知事から交渉されたため、よい結果を来たしましたが、救済事業費は目下検討中という答弁をしていますからこれから見てもこれは戻すことは可能だと思う。従って之に関しては次の更正予算に於ける更正が可能のように折衝して欲しいと思う。尚これに関連して先程十六番議員が知事の外交方針を変えろと言われましたが私は反対です。
 今までの当局の折衝の経過報告を見ると予算提案の前に充分交渉したものと思う。何の交渉もせず、議会に持っていき議会の力を借りて軍に当らうということはないということは充分に分ります。又全ての問題を民政府と交渉して納得してから議会に出すなら折角の議会も意味をなさなくなり、議会の意志は飽くまで民衆の意志だから吾々の議決するものをもって強く当って欲しい。勿論その前に折衝することは必要なことですが……。
 以上十六番議員とは意見を異にするものであります。
 先程の一部委員長の報告で次の予算更正に向って需要費の節減に充分努力していると聞いて安心しているのでありますが、種々検討した場合次の予算更正は相当困難を来すと予想しましたが、良く出来さうな感じがします。それには委員長の希望通り今後需要費の運営に努力を払って欲しいと思う。私は要望事項を附して原案に賛成するものであります。
◎新里銀三君 八番議員が本員に対し反対したものは現在の沖縄住民が占領下にあって一対零の力しかないということを知らないからであります。現在沖縄は占領下であり吾々はそれを念頭に置き全ての政策を進めないと失敗に終ると思う。この予算案には不賛成だが多数で負けるので賛成せざるを得ないが、増俸を手当として出すなら予算項目に手当として出さねばならないので手当と書かねばいけないと思う。さうでないなら原案を通す訳にはいかないと思う。
○群島知事(平良辰雄君) これは手当でも賞与でも何でもいいという話たった。それで百時間となっているので今までより百時間余計に働いたとすれば支障はないと思う。手当とか何とかせずに時間を上げて出来ると思う。
◎祖根宗春君 経済部当局に伺いたい。この予算書の三ページの農業指導所費八百六十一万円と計上されていますがこういう試験機関は寧ろ中央政府にお返しして、与儀の試験場と共に中央一本でいった方が群島も助かるし、技術的研究も出来ていいと思うがどうか。
○群島知事(平良辰雄君) これは何れ中央政府に移管されると思いますが時期の問題だ。試験場が先になるか、警察関係が先になるか分らないが、だんだん移管されて群島政府は自然解消するということになると思う。中央政府でもそういう面について考えているようで、例えば愛楽園とか厚生園或は結核病院などの施設は最初に移管して欲しいということを陳情してある。成可くここの経費が掛らないように中央政府に早く移管させたいと思う。
◎長浜宗安君 十六番議員は一対零の力を認めねばいかんという主張だが、占領下においては占領政策というのは認めねばいかないが、どうしても民族を護るためには譲るべき点もあるが、これ丈は譲っていけないと云う所はどこまでも護り通すと云うのが私の意見だ。
◎議長(知花高直君) 御質問も御意見もないものと認め本案は第一部委員長の結果報告通り原案通り可決することに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めます。依って本案第一部委員長の報告通り原案可決致します。全議案をこれで終了しました。本議会はこれで閉会致します。

◎群島知事(平良辰雄君) 閉会に当り御挨拶申上げます。今度の会期は二日も延長しましたが、これは全く私共に関係する問題で会期を延長しまして申訳ないと思っています。従って皆さんの御協力によって目的を達成したものと厚く感謝しておる次第であります。有難うございました。
  午前十一時五十六分閉会
 出席者は左の通り
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
    議 員 仲村 栄春君
        石原 昌淳君
        普天間俊夫君
        宮城 久栄君
        平良 幸市君
        玉城 泰一君
        長浜 宗安君
        山川 宗道君
        祖根 宗春君
        山城 興起君
        新里 銀三君
        新城 徳助君
        崎山 起松君
   群島知事 平良 辰雄君
   財政部長 仲宗根秀俊君
   文教部長 屋良 朝苗君
  財政副部長 久場 政彦君
  厚生副部長 大森 泰夫君
  工務副部長 西銘 順治君
  経済副部長 知念忠太郎君
   法務課長 牧野 博嗣君
 社会事業課長 嵩原 久男君
   主計課長 板良敷朝基君

 一九五二年三月十二日
  沖縄群島議会議長
    知 花 高 直 捺印
 一九五二年三月十三日
  会議録署名人
    山 川 宗 道 捺印
  会議録署名人
    玉 城 泰 一 サイン
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