戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1945年09月05日 
(昭和20年)
会議名
諮詢会協議会 1945年9月5日 目録詳細 画像を見る
議事録
諮詢会協議会 〔視察報告〕

 九月五日(水)午前九時
   軍政府側五人 全委員出席
 一、軍 委員会の会議以外、社会救済部、総務部の会議を後に開く。
協議事項
 一、軍 昨日軍政府では各地の部隊長会議を開く予定であったが各隊長が将来も居るや否や之が判然する迄延期した。(報告)
 一、九月二日、四日の両日に亘る本島各地区の視察感想申述の件。
 一、委員長挨拶
   去る九月二日及四日の両日に亘り米軍政府の御厚意に依り吾々諮詢委員会全員が沖縄本島の各地区を視察し得たことに対し誠に感謝の意を表する次第であります。
  次は委員長挨拶を兼ねて視察の感想を述べ之を箇条書に記して置く。
  尚、視察感想は軍政府に九月七日提出するを以て別紙に控へ置く。
  委員長感想
   a、米国の物資が豊富であり又米軍の仕事が如何にも広大で且つ迅速なるを視て百聞一見に不如の言に痛感し日本軍の其れと比較対照して此所に始めて米軍勝利の原因を把握した。
   b、各地区に於ける住民の米軍に対する感謝の念は大なるものである。
   c、三十万の住民が衣食を得て生活して居ることに対し感謝に堪えません。
   d、特に衛生上に留意され、養老院・孤児院・病院等を設置され救済事業に当られて居るのに対し感謝に堪へない。
   e、中頭・島尻を察て広大なる耕地が殆ど陣地と化し、残余の面積を以て三〇万住民が将来独立の生計を営むことが出来るや否やと一同感じたこと。
   f、住民の多数が陳情するには『一日も早く各自の家庭に帰へって生活したい』
    委員長曰く『軍政府の声明にもあるから早急には出来ぬだろう』と云ってゐた。
    住民曰く『各地区から離れた所に田畑荒廃す之を早く耕作して自給の途を講じたい』
    委員長曰く『軍政府に御話申上げて置く』と。
   g、教育上について
    現在のまゝでは従来の守礼の国と云はれた美点が失はれつゝあるから一層教育上にも御留意されたし。
                  以上
  クーパー少佐曰く
   一、古い着物が沢山ある。之等を早く処置しなければならない。
   二、之を石川に運べば幕を以て囲み社会部で保存し各地区に配給する責任を持ち得るや否や。
    仲宗根委員 責任を持つ。
   ○軍政府
   三、着物を此処に集めて委員会は公平分配を講ぜられたし。
   四、被服の配給問題及物資の配給は之を社会部のみにするか、又別に部を設くるや否やは委員会に一任す。
    決定して貰ひたい。
   五、倉庫問題として引続き起るから倉庫部を設けられては如何?
   六、委員の増員は不可。
     (十分休憩)
   七、倉庫係を社会部に於て有為な人物を置く。
   八、他地区より人物を石川に入るゝことは不可。
    二万五千人の中に人物なきや否や。
   九、本日午后三時よりクーパー大佐と仲宗根委員との懇談あり。
   ○大宜見委員
    一、医師の適当な配置。
    二、医薬品の適当な配給。
    三、小児・婦女子の喫煙。
    四、便所の増築と完全な設備。
    五、飲料水の設備。
    六、家屋の増築、特に汀間・嘉陽。
    七、マラリヤ患者多し(全人口の二〇%)
   ○仲宗根委員
    一、住宅の拡張。
    二、食料不足の点。
   ○志喜屋委員長
    一、耕地面積と考慮して分散させて欲しい。
    二、大浦崎の移転と人物偏在の分散配置は急務を要す。
     例せば惣慶は警官のみ、田井等地区は教育家、医師及農業専門多し。
   ○軍政府
    一、喫煙者(子供)多く、作法が廃れた。
     特にモードック中佐は名護方面に於て子供が物探しをしたり盗んだりすることあり、之は親なしか又は親から探した者もあらん。
    二、此の解決は教育に依る。
    三、警察の指導も注意を要す。
    四、分散家族については其方法、其責任は社会事業部であるから其の案を早急にせよ。
    五、漁業に付きてはチョカ大尉から説明あるが、中佐の考へでは軍事上に蝕れざる所でやってよいとの許可が昨日来た。
    六、漁業に従事するには各区の隊長に通知すれば危険なし。
    七、人物の配置は始めから軍政府で手をつけられない。委員で研究して然るべく配置して欲しい。考案されたし。
    八、通貨使用は軍政府で研究中。慶良間で目下試験のため使用中である。結果を見て引続き使用させる。
     紙幣は全然無効にならないから大切に保存する様に。
    九、各部落の統制機関については会後総務部と相談す。
   一〇、住民を広い島尻に帰へすことは将来は出来ると思ふが何時とは云はれない。
     今は危険性がある。
     例せば不発爆弾があり、
     又南部への人口異動について少い住民が多数の米軍に囲まれてゐるから弊害が伴ふ。
     それで撤兵の後に住民の異動は行はれる。
     明日迄で今日の提出事項を軍政府に文書を以て送ること。
   ○當山委員
    此の戦争に土地家屋其の他の財産を失ひ、又其外貯金及恩給等にも影響して困って居るから御考慮されたい。(即ち米軍政府より直接賠償せらるるか又は日本政府に交渉して個人の権利を尊重せしめられたい)尚金品其他の物品が米軍に引上られたものに対して御調査の上賠償の途を図るよう御尽力されたし。
   ○軍政府
    此の問題の賠償については軍政府の責任でなく、今後此部が設置された場合如何なる証拠が必要であるか法務部と相談せよ。而して其の証拠を集めておくこと。
   ○護得久委員
    日用品の支給について御考慮されたい。
   ○軍政府・モードック中佐曰く。
    此の必需品は仲宗根社会部長を通じてハシ大尉に申請せよ。
   ○仲村委員
    各部の係将校と早く会はして貰いたい。
   ○軍政府
    早く会わす。
   ○仲村委員
    情報を早く知らして貰いたい。
   ○軍政府
    今後会議ある時其時のニュースを発表しよう。軍は毎日ニュースを発行してゐる其れから通報す。
   ○山城委員
    一、学校に校舎なし。少なくとも早急に一、二教室でも建設して貰いたい。
    二、中等学生が遊んで居る之を教育したい。
      之につき腹案なきや否や。
   ○軍政府
    一、二共係りの隊長と相談するやうに。
総務、社会の両部午后二時より開会。
軍政府 次の会議は土曜日午前九時より。
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