戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年09月17日 
(昭和26年)
会議名
立法院全員協議会 1951年9月17日
議事録
立法院全員協議会議事録

 一九五一年九月十七日(月曜日)
 午後二時七分開議

議 題
 一、立法院規則について

○仮議長(松田賀哲君) これから全員協議会を開催致します。議題は立法院規則についてであります。これは行政法務委員会で研究された結果大体成案を得られたようでありますから委員長から御説明をお願いしたいと思います。
○城間盛善君 私から立法院規則についての今までの経緯それから新しい案を出す理由、こういうものから先に御説明申上げます。
 これは既に立法院規則として立法院で議決されたものですが、それを英文に訳して連絡官に提出したところ向うで色々疑義があるという訳で作り直して来た方がよかろう。直すとすればセイファンが直してもいいが、立法院自体で直した方がよかろうという勧めがあって戻って来た訳であります。ところでこれをどういう風に処置したらいいかということを考えまして、これはSOPの方法が決定する前のことでありまして、立法院には既に議決されておりますが、SOPの前のことですから、一向差支えないのでありますが、然し議決されたものを又やり直すのもいけませんし、結局前に議決されたものの修正案という形で出すのが穏当ではなかろうかと考えまして修正案を立案した訳であります。修正するに当りましては前に議決された立法院規則を基礎にしましてそれに工合の悪いといわれたものを削って更に追加すべきものを追加するという方法をとって出来る限り既に議決された案に基礎を置いて修正して行きました。なるべく原形に余り強い変更を来さないようにという方針でやって参りました。更に追加しなければならないような規則が沢山出て来ましたので、例えば公聴会の規則がありますが、前の案にはたった一ヶ条しか出ていませんので実際公聴会を実施するとなると不十分である相当の追加をしなければならない。そういったものは別に公聴会規則とかいったものを出した方が立法院規則の改正としては穏当ではないかというような訳で最小限度の改正に留めた訳であります。
 では、どういうところを変えたかと申しますと、前の立法院規則の第二章会期及び休会でありますが、これは指令第五号に出ております通り法律を以て定めることになっております。この立法院規則はこれを立案された場合には一つの法律として立案されたかも知れませんが、規則として、立法院の議事のやり方についての規定であるという意味で、セイファン博士は、法律とは看做されないだろうということでありました。だから立法院の会期を定めるとすれば指令第五号の通り規則からは除外したほうがいいということであったので第二章は全部除外してあります。改めて会期に関する立法をしなければいけないということになっております。
 それから第三章は役員及経費となっておりますが、その中の経費だけは削る。つまり経費は行政部を拘束するという意味からこれも除いた方がよかろうということで規則から除外してあります。更に第三章ではもう一つ院の職員とありますがこれは別に任用法に出ておりますので、これも予算との関係があるので規則から除外してあります。
 第四章委員及び委員会は大体そのままでありますが第二十七条の公聴会、この規定は先程申上げた通り指令第五号と殆ど内容が変らない程度にしか出ておりませんので、これだけでは公聴会も開けない。運営するとすれば日本の国会で決めた方法をとらなければならないだろうということで別個の規則として出した方がよかろうということで今回は省略致しておきました。
○仮議長(松田賀哲君) それはどういう意味で出来ん訳ですか。
○城間盛善君 公聴会を開き意見を聴くことが出来るというだけでは日本の公聴会規則に比べて余り簡単過ぎて、日本の場合は非常にむつかしく簡単にはやらない仕組にしてあります。アメリカでは簡単に来て公聴会で意見を述べていいことになっておりますが、日本では国会に賛成、不賛成の理由を附して申込んで、国会で改めて誰々に発言を許すという手続を経てから発言を許すということになっている。
○仮議長(松田賀哲君) 公聴会はなくてもいいという御意見になる訳ですか。
○吉元榮光君 公聴会規則を別に作ろうという意味はなんでせう。
○城間盛善君 改めて作ろうというのです。まだ馴れていない沖縄ではああいう風にやった方がよかろうというのです。
○仮議長(松田賀哲君) 正式な公聴会というものでなくても地方に行って意見を聴くということはこれはなくても出来る訳ですね。
○城間盛善君 本当の意味の公聴会でなくて懇談という形でせうね。
 それから第六章の質問、これは出来ないといっていました。立法院が行政主席に対して正式な質問をするということは出来ない。若し行政主席の話でも聴きたいという場合には決議によって招待したらいいだろう。但しその招待に応ずるか応じないかは主席の任意である。その程度しか出来ないということであります。
 第七章の請願、これは余り細か過ぎて却って立法院自体が自縄自縛に陥りはせんかという虞もあり、請願を必ずこういう風に処理しなければならないということになった場合には立法院の活動の邪魔になるだろうという心配があるのでこれは簡単にした方がいいといっておりました。それから次の第八章の中では証人喚問のところがありますが、証人喚問権は指令に示してあるので、こういった規則ではなく証人喚問の場合の旅費日当の支給額を決める立法をした方がよかろうといっておりました。金額は明示してないので、殊に規則だから、金銭の支出に関する問題だから、何かの立法によらなければいかんだろう。その場合には旅費日当の金額を明示する。殆ど布告に規定されているのだから立法に委ねてここでは抜いた方がいいんじゃないか。その代り新しい細則的なものを規定した訳であります。大体以上の通りでありますが、その中でちょっと問題を残しておりますのは第五条の議長の選挙、第六条仮議長の選挙と二つに分れておりますが議長の選挙ということがあるかどうかという問題が起った訳ですが、これは委員会では委員長で考えてくれということになったのですがまだ決めていないのです。私の考えとしては議長の選挙というものはないのじゃないかという感じがするのです。これは協議会で決めて削除するなり何なりしていただきたいと思っております。これはこの前の行政法務委員会でも研究問題になって、これは議長にしようといっておりましたが、自分の考としては議長の選挙というものはないのじゃないか、実際に副主席が欠けた場合には議長がいなくなる訳だから軍が副主席を任命するのじゃないかと思う。その任命までの間の期間は仮議長となると思う。
○田畑守雄君 院に於て選挙をして軍に於て形式上の任命をする場合がないとはいえない訳ですから…。
○仮議長(松田賀哲君) 第二項でいう議長を互選するという項は要らんのじゃないか。
○吉元榮光君 そうすると第六条も直さなければいかんでせうね。
○仮議長(松田賀哲君) 第六項の初めの方もなくしてしまう訳です。
 第六条の第一項を議長という文字を直し、「行政副主席又は前条第二項の仮議長の事故ある時には更に仮議長を選挙しその間議長の職務を行わせる」としたらどうですか。
○城間盛善君 布告第三号の第四条に「主席に事故のある時、主席が欠けた時には副主席がその職務を行う。但し代行中は立法院は議員中から議長を選挙する」とあります。
○田畑守雄君 参議の中からと特に限定をしているから発言権のある参議でもあり、又議長でもある。
○城間盛善君 そうです。結局どう解釈するかという問題になるのです。
○田畑守雄君 そう解釈すれば仮議長といわずに議長といってもいい。
○仮議長(松田賀哲君) 行政副主席が本当に欠けた場合には議長の選挙をするという意味でせう。行政副主席が欠けた場合は任命するのじゃないですか。だから選挙して議長になっても副主席じゃない訳です。
○城間盛善君 その期間中という以上は互選された議長は副主席じゃない訳です。
 副主席が欠けた時には参議の中から議長を互選する。その互選した人若くは副主席が事故のある時には仮議長を選挙すると二段構えになっているのです。
○仮議長(松田賀哲君) 明日セイファンに会って選挙された議長というものは発言権も表決権もあっていいんじゃないか。出来んのかということをはっきりしさえすれば問題は片づくのではないか。議長という名前にして、それはそんなものはないと回答する場合には--表決権がないといった場合--これは議長とはいえなくなるのじゃないかな。
○城間盛善君 だから参議でない議長という場合はあり得ないのじゃないか。それを区別するためには仮議長と使った方が、日本語としてもいいような気がする。その期間中立法院の参議中から互選する。主席が欠けた場合にも矢張りいない期間中なんです。恐らく任命になるのじゃないかと思いますが、結局どう解釈するかということになるのですが…。
○吉元榮光君 第六条の第二項の仮議長は誰ですか。議長がいないから仮議長を選任するのであって…。
○田畑守雄君 年長者であるとか、選挙までの空間の間の議長を指しているのではないのですか。
○吉元榮光君 それは第五条の第三項ですよ。
○城間盛善君 委任することが出来るというのはむしろ取ってしまった方がはっきりしますね。結局議長の種類には三つある訳です。副主席が議長となる場合、副主席が欠けて互選議長が出来る場合、それと極く臨時的な場合の仮議長。
○吉元榮光君 議長が参議である場合には発言権、投票権があるかどうかはっきりすればそれは決りますよ。
○仮議長(松田賀哲君) 議長になってもそういう権利があるというならば仮議長とせず議長にしてしまったらいいと思う。
○吉元榮光君 それは本当の仮議長と区別する必要がある。これは互選も何もされていない。
○仮議長(松田賀哲君) つまり今私がやっているものをそのまま条文に現わそうという訳ですよ。現在は議長はいないから。
○城間盛善君 現在の場合欠けたのではないが、そういう場合でなくても本当に副主席が辞職したとかして欠けた場合にも仮議長でいいんじゃないかと思う。欠けた場合でも、何れその任命の補充があると思うから、その期間中ということで、仮議長でいいんじゃないか。
○仮議長(松田賀哲君) 選挙された議長というものはなるべくは今私の持っている権限みたいな、発言も出来るということになれば、一致するようになるのですよ。それで明日セイファンに一応きいて見ませう。
○田畑守雄君 セイファンの意見は、例えば宮古、八重山は一人しか来ていない。こういう人が議長になった場合に発言権がないとしたら、地域の代表にならないから、というのであなたの場合も参議であるということになったのでせう。
○與儀達敏君 それはむし返さん方がいいですよ。
○仮議長(松田賀哲君) そうなれば仮議長を削ることになる訳ですね。それで若しこれが通るとすると私は何になるのですか、議長になるべきでせう。
○大濱國浩君 第五条の第二項で議長を互選するとありますが、行政副主席が欠けた時には参議に於て仮議長を互選する。その間に行政副主席を任命する。議長は行政副主席でないと出来ませんよ。
○城間盛善君 副主席の議長、互選の議長それから仮議長の三段構えにしないで、こっちでいうのは全部仮議長にした方がいいと思う。欠けた場合にはその期間だけで何れ任命がある筈ですから。
○大濱國浩君 副主席でないものは全部仮議長が適当ではないかと思う。
○仮議長(松田賀哲君) 欠けた場合と事故の場合を二つに分けて別々に議長を選挙するということは面倒くさいことでもあるし、指令にも布告にも書いてもないし、だから第五条の第二項に行政副主席が欠けた時又は事故ある時は参議に於て仮議長を選挙するとしたらどうですか。
○城間盛善君 第五条の第一項「行政副主席は議長となる」これを第三条にもって行って第一項に入れ、「議長は院の秩序を保持し…」を第二項とし、第六条の第一項「行政副主席が欠けた時又は事故ある時は仮議長を選挙しその間議長の職務を行わせる」の次に第五条の第三項をもって来る。結局第五条「議長の選挙」はなくなってしまう訳です。
○與儀達敏君 院は仮議長の選任を議長に委任することが出来る。ということは一つの選挙方法だから入れんでもいいんじゃないですか。
○城間盛善君 そうですね。削りませうね。
○吉元榮光君 第十五条の連合審査会というのは全員協議会もこれに属する訳ですか。
○仮議長(松田賀哲君) 審査会とせずに、連合委員会としたらどうかな。審査会というと又別に仕事が増えるような感じがしますね。
○城間盛善君 今の全員協議会にもなる様に直しておかなければいかんですね。
○與儀達敏君 然し連合審査会では委員会の委員長が主体ですからね。
○城間盛善君 別に一章を設けたらどうですか。
 「必要に応じ参議全員の協議会を開くことが出来る」
○仮議長(松田賀哲君) 定足数を謳う必要はないかな。
○城間盛善君 定足数を入れませうか。「定足数は会議に準ずる」
○仮議長(松田賀哲君) 第十八条は「常任」も「特別」も取って単に委員会では工合が悪いのですか。
○城間盛善君 前のをそのまま採った訳ですが、これは直していいでせう。
○仮議長(松田賀哲君) 発議の時に理由がいりますか。今まで一つも理由を附してなかったが。
○城間盛善君 その案を具してだけでいいですな。
 第二十四条これは第二十三条にして、「前条の発議があった時は会議を開いて発議理由を聴取し一般的な質疑を行ったのち適当な委員会に附託する。これを第一読会とする。
 第二読会は、「委員会の審査が終った時は第一読会と日を異にしてその報告を聴いたのち、逐条審議を行う。これを第二読会とする」。
○仮議長(松田賀哲君) 第三十三条の処理せしめるということはどういうことですか。
○城間盛善君 その委員会で握りつぶすか、採りあげるかを決定させる訳です。
 第三十五条(文書による証言)院に於て止むを得ない事由ありと認めた場合は文書で証言させることが出来る。
  (午後五時十分閉会)

  出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   田畑 守雄君
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