戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1952年03月30日 
(昭和27年)
会議名
第9回八重山群島議会(臨時会)
議事録
第九回八重山群島議会(臨時会)会議録

第九回八重山群島議会(臨時会)会議録

一 会期
 一九五二年三月三十日 一日

二 出席議員
 議 長(三番議員)
        潮平 寛保君
 副議長(六番議員)
        大山 眞整君
 議 員(四  番)
        佐久眞長助君
 議 員(五  番)
        古見 石人君

三 議事参与
 副知事       當銘 正友君
 財政部長      崎山 信邦君
 財政部主計課事務官 浦崎 賢市君
 厚生部次長     三島 保夫君
 工務部主席次長   宮城 光雄君
 経済部農政課技官  西村 正榮君

四 書記長及び書記
 書 記       漢那 用知君
  〃        宮良 安宗君

五 会議に付したる事件の題目
 副知事の施政概況演述
 議案第十四号 一九五二会計年度八重山群島政府一般会計歳入歳出補正予算の審議について
 議案第十五号 機械器具追加評価の件
 議案第十六号 布令第六十四号第一項に基く知事の職務を引き取る議会議員の選出について

 一九五二年三月三十日
 午前十時十五分開会
議事日程
  第一 副知事の施政概況演述
  第二 議案第十四号 一九五二会計年度八重山群島政府一般会計歳入歳出補正予算の審議について
 追加
  第三 議案第十五号 機械器具追加評価の件
  第四 議案第十六号 布令第六十四号第一項に基く知事の職務を引き取る議会議員の選出について

 議決の顛末
◎議長(潮平寛保君) 一番議員が旅行中、七番議員は未だ出席されませんが過半数御出席なっていますから開会いたします。
 (午前十時十五分)
 最初に会期をお諮りします。
○佐久眞長助君 議件は少いし、年度末でもあるので会期を明日までとしたら如何でしょうか。久部良議員も今日あたり見えて間に合せることと思いますから。
○副知事(當銘正友君) 会期について希望申し上げます。群島政府の本会計年度予算の締め括りについては、中央政府の指示によりまして明三十一日二十四時を以て現金出納を締め切り、資金と共に中央政府へ引渡さなければならぬ関係上、群島政府の支出は明日銀行の現金取扱い時間までにしたいのでありますから、是非、提出した補正予算は本日中に審議を了し、議決していただきたいと希望するのであります。
◎議長(潮平寛保君) ただ今当局より要望がありますので、時Σ間を延長し夜業してでも是非本日中に終えるようにしたいと思いますから会期を本日一日としては如何ですか。
  (「異議なし」「賛成」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 御異議ないようですから会期を本日一日と決定します。
 次に会議録署名議員を選定していただきたいと思います。
○大山眞整君 前回は、六番議員、七番議員でしたから、今回は四番議員、五番議員にお願いしては如何ですか。
◎議長(潮平寛保君) 四番議員、五番議員にお願いしたいのですが如何ですか。
  (「異議なし」の声あり)(四番議員、五番議員異議なし)
◎議長(潮平寛保君) 御承諾のようですから会議録署名議員は、四番議員、五番議員に決定します。
 議案第十四号を上程する前に副知事の施政概況演述をお聴きすることにします。
  (副知事の施政概況演述あり、その大要は次の通りである。)
◎副知事(當銘正友君) 臨時議会を招集いたしました処、御多忙の折よく御出席下さいまして有難うございます。
 前議会以後今日までにおける政府の執行して来た行政面の概略を申し上げます。
 前議会にも報告があった琉球政府統合の引継ぎ事務の整備は政府の当面する重要なる任務として全職員を督励し、遺憾のないよう努力を払って参りました。特に統合への過程において空白を生ぜしめないために行政の機能を渋滞せしめざるよう留意して参りました。
 愈々明日二十四時を期して群島政府の一切の機能が琉球政府に移ることとなり、現金その他有体財産は中央政府の示す方法に従って措置されるわけであります。
 本議会は群島政府として最後の議会でありまして一入感深いものがあると思うのであります。
 群島政府一ヶ年の歩みは遅々たるものであり、成果小なりとは云え、民政官府の指導援助並びに議員各位の協力と全群島民の支持を得て、群島自治の伸張に、或は、産業経済の振興のために微力を尽し得たことを心から感謝する次第であります。
 四月一日を期し、琉球政府は新しく発足することとなり、ここに政治の局面は一転いたしまして、今後は琉球政治の規模において行政の運営がなされるのでありますが、自治政治の確立、産業の振興、経済の自立という目標に何ら変りはないと信じます。即ち統合によって住民の自治権は大いに伸張し、琉球経済自立化の立場から八重山の開発が促進され、産業の振興、経済の復興へ益々拍車をかけるものと期待する次第であります。
 群島民によって築き上げた自治政治と産業経済の基盤を土台として事業半にある重要諸政策を中央政治に反映せしめ、これが実現を期待することに各位と共に最善を尽したいと思う次第であります。
 今度の政府統合によりまして、群島議会の職責、副知事の権能及びその期間については布令を以て指示されているので、その概要を申し上げます。新聞紙上で御存じのことと思いますが、群島知事が欠けた時は副知事が知事の職務を引き取り、もし副知事が知事の職務を引き取り、或は引続きこれを執って、この法的資格において行為をなすことが出来ない場合は、議会議長が知事の職務を引き取る。更にもし議会議長が知事の職務を引き取り、或は引続きこれを執ってこの法的資格において行為をなすことが出来ない場合は、議会は知事の職務を引き取ってこの法的資格において行為をなす者を一人議員の内から表決によって選挙する。知事の職務を引き取った議会議員は議決において表決権を有しないと示されており、知事、副知事及び議会議員の在職期間は来る六月三十日までとなっていて、議会の権限の内容については、立法以外の議決権は存続することになっています。
 次に各部関係の行政事務の執行状況は政府統合の過渡期における事務に渋滞がないように遂行されていまして、以下各部関係の主なるものについて申し上げます。
 ・ 経済部関係
 経済部では農事懇談会を各部落において開催して農民の指導をなし、農民の真摯なる声を結集して農政に反映させると共に中央政府に統合の時は、中央における認識を得させて政策実現に資するということに、この会合を持つ意味があるのであります。この農事懇談会は竹富、黒島、波照間、与那国の各離島、全群島に渡り開催し、予定の成果を収めたのであります。
 又、竹富、黒島、波照間の各離島ではバイラス病の被害で住民が困っているので、政府としては甘藷の芋(芽カ)出苗圃を設置助成してその増殖に努めつつあります。
 次に生活改善普及員が先般新しく設置されて係の婦人が任命され、各地の婦人や農村婦人を対象として農産加工の講習を実施しつつあるのですが、石垣市においては川平、登野城、石垣の各婦人会に、大濱町においては平得、大濱、白保、宮良の各婦人会に対して、それぞれ漬物やかまどの改善指導の講習会を開催して来たのであります。
 ・ 工務部関係
 一九五二年度における復興工事の進捗状況を申し上げます。
 土木工事認可予算は四百七十八万円で工事件数は九件であります。が、既に五件は完成いたしました。現在、野底、伊野田横断道路以外の平久保線、鳩間給水池、黒島水タンク工事はセメント資材の入手関係でストップしていたが、先日入荷配布したので着手することになり、波照間桟橋は近く完了の域に達しています。
 更に、ルイス台風災害復旧工事費として、本群島に百万円の認可なり、竹富桟橋、島仲橋、波多護岸、祖納荷揚場の災害復旧を設計し、入札にかけ契約済で工事着手いたしました。全工事とも五月末迄に完了見込であります。
 更に建築工事認可予算は一三、〇八五、〇〇〇円で年度内に消化の見込であります。工事件数は三八件、既に完成した件数二二件、後の一六件も六月末迄には完了見込であり、何れも三〇%以上の出来高を認めております。
 尚救護院と川良山線の工事費も陳情しておりますが認可になれば、六月までに完成のできるよう工事を促進する計画であります。
 ・ 次に人事関係の問題について申し上げます。
 現在中央政府の組織に当り、その各支局への配置の人事が銓衡委員を通して進められています。目下内定しているのが、総務、運輸、財政、資源の各支局で、その他は定員は大体判明しているが、配置人員は未決定であります。本明日中に配置人員が決定されることと思います。
 大体の各支局の人員を申しますと、総務支局九(企免三を含む)、運輸支局六、財政支局四、資源支局七七、(これは従来政府の外局が今度資源局に加わり、即ち開拓庁一〇、食糧局七、林務局二、営林所一六、計三五名を含めた数であります。)工務支局は一四、商工支局一一、(この一一は貿易庁の組織と合体した数であります。)厚生支局は保健所、民生事務所、診療所、救護院の形から成り、その定員四一となっています。法務支局は三名で、裁判所、検事局、刑務所は去る一月三日既に移管され、登記所のみが法務支局につながることになります。
 巡回裁判所定員四(判事を含まず)、検事局四、治安裁判所二(判事を含まず)、刑務所一二となっており、復興工事関係職員は未定で、図書館が一、社会教育主事、主事補で二、情報教育八重山駐在一、税務署二六、警察関係四五となっています。以上についての人員表はまだ報告が来ていないのであります。大体判明している分は以上の通りであって、琉球政府へ吸収採用される人員について中央政府の確定通知がないため、今の処解職者数は確定しないのでありますが、大体五一、二名位ではないかと推算されます。
 次に新聞紙上によりますと、本群島の教員定数が四五名減になるとのことで大きなショックを与えており、ために教育関係から陳情しているようであります。しかしこの四五名は確定的の数字ではないので折衝の必要があると思うのであります。政府としては那覇出張中の宮城文教部長を介して、目下文教当局に折衝しているから或る程度緩和されることと思うのであります。尚滞覇中の町長に対しても本群島の特殊事情を訴えて文教当局に善処方を要望してあります。
 ・ もう一つ申し上げたいことは政府保有米の処分についてでありますが、籾買上資金は五十二年度の予算に計上されてあるので、明三十一日を以てその代金を全部回収をしなければ、今後の予算執行に困ることになりますので、現在の残存保有米を八重山農業協同組合連合会に条件を付して放出させたいと思っています。これについては、倉敷料一ヶ月分と銀行利子を政府負担によって政府の示す条件により、放出させることにしています。その保有米の代金回収は明日までに農業協同組合連合会が政府へ納付することになっております。以上簡単に報告申し上げます。
◎議長(潮平寛保君) 議案第十四号を上程いたします。
  (書記(漢那用知君)議案第十四号一九五二会計年度八重山群島政府一般会計歳入歳出補正予算の審議についてを朗読する。別紙は朗読を省略す。)
◎副知事(當銘正友君) 補正予算について説明申し上げます。
 今度の補正予算編成の大綱を申し上げますと、文教部が二月二十八日を以て中央政府文教局に移管なっているので、従来群島予算に計上された経費が二月二十九日以降の分文教部予算から削減され、その額約一一七万、予備費においてはその必要性が少くなったので、その額を削減しその他運営費も余地があったので削減したのであります。
 増額の部では、歳出に減額なった分をもって財政調整交付金に六十万円増額し、余地を持たせたのであります。又前議会で安里前知事への退職慰労金を差上げることに議決なったので、普通の解職職員と同様に月俸三ヶ月分としてその額二二、五〇〇円を端下を切上げて二五、〇〇〇円差上げることにし、尚前議会できめていただいた高等学校のピアノ購入補助も六万円支出することに予算計上したのであります。
 次に警察署では目下庁舎新築中でありますが新築雑費がなく経理上困っているので、新築雑費として二万円を支出することにしてあります。
 退職給与金は前議会で四十五万円認めていただいたのを七万円増額して五十二万円に計上してあります。退職給与金の財源については、前議会で行政上必要でない財産処分による代金を以て充当するよう財産処分の件を議決なったので、早速認可申請をしたのであるが副長官の認可が未だ来ていないのであります。先日も八重山民政官府の係ルーニ氏も見えて十分調査をされ、又沖縄にも折衝中でありますが、今日に至るまで見通しがつかないので、今一つの方法も考えておいた方がよいと考えて、節減による剰余の予算を以て退職給与金の財源とし予算計上したわけであります。精算諸費に八十五万円の増額をして九十万円計上したわけは、政府統合後、政府の債務に対する処理をしなければならぬ負担行為が次々に出て来ると予想されるからであります。例えば、前議会で問題になった前政府時代に払下げたトラックの代金返還の如き、政府として何ら予想せなかったのに民政官府より政府の債務として支払方を要求されて来るし、又先日は前政府が西表国有林を払下げて伐採した材木の代金を、今日になって外国人財産であるからとて代金の返還を命ぜられることなどから考えてみると、今後もこのような予期しない債務が出て来るように予想されます。これらの支払いや、その他の支出すべきもので軍関係の貿易庁関係の品代として相当額の請求もあるのですから、再検討をして政府自体の義務は政府統合後も果さなければならぬと考えるのであります。
 そのほか、俸給の過不足の面は部において多少ありますが、予算の歳入歳出面には何ら変りはないのであります。
 今一つ申し上げたいことは、文教部が二月二十八日琉球政府の文教局に統合なったので文教部関係予算が群島政府予算から消え、隨って三月分の教員俸給の支払いがなくなり、ために多数教員が生活に困ることになるので政府としてはこれに対し便宜を図り、資金の回収をして現金面の余裕をつくり、文教部関係の職員費を立替え支払いをしたいと考えておりまして、明日になって現金のやりくりをして立替え支払いをするつもりであります。この件については目下来島中の文教局の小波蔵課長とも打合せは済んでおり、又、財政局長よりも立替え支弁して欲しい旨電報がありますので、何らかの方法を講じて多数の教員の生活に対する不安を一掃したいと考えておる次第であります。
 以上補正予算について報告いたします。
○議長(潮平寛保君) 本案は休会して研究することにしたら如何ですか。
  (「異議なし」の声あり)
○議長(潮平寛保君) 御異議ないようですから休会します。(午前十時四十八分)
  (休会中、左の事項について質疑、懇談が行われた。)
 一 議案第十四号の補正予算について
 二 政府保有米の買上、売出、残高等について質疑が行われ、経済部西村技官より、その成績状況の詳細報告があった。
 三 政府統合により本群島教員定数が四五名減員されるとの報について、議会より陳情すること、その草案を政府で作っていただきたい。
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後一時三十分)議案第十四号の補正予算は歳出において第六款財政部費、第七項交付金の第一目地方財政調整交付金一〇〇万円とあるを九〇万に訂正し、第二目に離島航路補助金十四万、附記欄に西表浦内川及び新城上地下地の渡舟建造補助金四万円を含むを書き入れて修正可決してどうでしょうか。
◎佐久眞長助君 本補正予算は認めることに賛成するのでありますが、歳出において第一款総務部費、第六項政府統合準備費の第四目精算諸費の使途について、一般会計に関係のある支出は一般会計から支出し、特別会計関係の支出は特別会計から支出されるよう希望申し上げて賛成するのであります。
 特別会計関係の支出を一般会計から支出することは監査において事務が複雑で不便を来すことになり、又会計法の原則からしてもそれが至当でありますから希望申し上げるわけであります。
○副知事(當銘正友君) ただ今の御意見は原則的には御尤でありますが、それは会計年度が今後も群島政府に継続するという前提の下における考え方であって、群島政府は明日を以て出納を締め切ることになっているのであります。又条例でも特別会計で支出に不足をした時は一般会計からこれを支出し補うようになっているのでありまして、今後群島政府の債務負担にかかるものの支払いに充てるために、この費目は設けたのであります。それで出来るだけ、一般会計、特別会計と各予算別に支出するつもりでありますが、特別会計関係の支出で事情止むを得ないものは一般会計予算のこの費目から支出せねばならぬこともあることを御承知願いたいのであります。
○議長(潮平寛保君) 四番議員のただ今述べられた御意見の要旨を願います。
◎佐久眞長助君 精算諸費の使途について、一般会計関係の支出は一般会計予算から、特別会計関係の支出は特別会計予算から支出することにし、会計の原則により善処してもろうよう希望条件を述べて本案に賛成します。
◎古見石人君 参与の説明があったように特別会計で支出しかねるものは一般会計から支出するようにしなければならぬと思います。
 いよいよ明日を以て群島政府の出納も締め切りとなるし、今後特別会計関係のもので政府の債務負担をしなければならぬものもあると考えられるので、特別会計に予算がなければ是非一般予算からそれを支出して債務を果たさなければならぬと思います。
◎佐久眞長助君 特別会計関係を一般会計から支出するということは万止むを得ないときの支出であって、予算があれば別々に支出することが原則であります。特別会計の予算があるのに便宜上一般会計のこの予算費目から支出することは妥当でないのであります。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午後一時四十分)
  (休会中に補正予算歳出の第一款第六項第四目の精算諸費の使途について話合をなす。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後一時四十五分)(書記に対して)ただ今話し合った修正案で四番議員(佐久眞長助君)の意見の要旨の記録を朗読して下さい。
  (書記(漢那用知君)佐久眞長助君の意見の要旨を朗読する。)
○書記(漢那用知君) 「精算諸費の使途について一般会計関係の支出は一般会計予算から、特別会計関係の支出は特別会計予算から支出することにし、会計の原則により善処してもろうよう希望条件を述べて本案に賛成します。」となっています。
◎議長(潮平寛保君) 第十四号議案は歳出の第六款第七項第一目地方財政調整交付金一〇〇万円とあるを九〇万円に訂正し、第二目離島航路補助金を一四万円、附記欄に西表浦内川、新城上地下地の渡舟建造補助金四万円を含むと書入れて修正し、ただ今読み上げた四番議員の意見を附帯決議として附帯の上、修正可決することに決定してよいでしょうか。
  (「賛成」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 御異議ないようですから議案第十四号はただ今申し上げた通りに修正可決いたします。
 群島組織法第五十三条に「臨時会の開会中に急施を要する事件があるときは、前条の規定にかかわらず直ちにこれを会議に付することができる。」という条文があって、これによって第十五号議案、第十六号議案が提出されたようであります。
 議案第十五号を上程いたします。
  (書記(漢那用知君)議案第十五号機械器具追加評価の件を朗読する。)
◎副知事(當銘正友君) 本案で追加評価の承認をお願いする機械器具は前議会で可決になった群島財産処分の件に洩れ、取り残されたものでありますから、今議会で追加承認していただいて前議会で可決なった財産に加えたいという意味で提案したのであります。
◎大山眞整君 評価額を見ると、評価委員は常深泰造氏と崎山英正氏となっていて、その評価において常深氏の評価は何れも崎山氏の評価より高く評価されてあります。二人は鉄工所関係の仕事をしているから、自らこれを取ってよいと考えているのであるか、又二人の間に何か事情でもあるだろうかをお尋ねいたします。
○副知事(當銘正友君) 財産処分については前の議会で議決の通り公入札に付するのでなくして、評価委員によってなされた評価額を以て譲渡するということでありまして、この財産を自分が買い取るために評価したということは何ら考えられないのであります。専門家の方々が別々に評価した額の平均額を以て、それぞれ譲渡することになっているのであって、この二人の間に気脈を通じたとも考えられないのであります。
◎佐久眞長助君 第十五号議案は評価において適当であると認め、原案に賛成いたします。
◎議長(潮平寛保君) 第十五号議案について御異議ありませんか。
  (「異議なし」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 議案第十五号については御異議ないようですから原案通り承認いたします。
 布令第六十四号第一項によって群島知事が欠けたときは副知事が知事の職務を引き取る。もし副知事が知事の職務を引き取り或は引続きこれを執ってこの法的資格において行為をなすことができない場合は、議会議長が知事の職務を引き取る。更にもし議会議長が知事の職務を引き取り、或は引続きこれを執ってこの法的資格において行為をなすことができない場合は、議会は知事の職務を引き取ってこの法的資格において行為をなす者を一人議員の中から表決によって選挙する。と示されているので、これに基いて議案第十六号が提案されたようであります。議案第十六号を上程します。
◎副知事(當銘正友君) 本案は来る六月まで僅か三ヶ月のことではあるが、政府として用心に用心をとっての提案ということになります。その間にもし事故が起きてからこれを措置することになると支障を来すので、万一のことを考えて予めの処置をして置きたいと思うのであります。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午後一時五十三分)
  (休会中に議案第十六号は副議長である大山眞整氏を選出することに話し合った。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後一時五十五分)
◎佐久眞長助君 第十六号議案について議長の代理である副議長にお願いしたいと思います。
  (「異議なし」の声多し)
◎議長(潮平寛保君) 議案第十六号に対しては副議長である六番議員大山眞整氏を選出することに御異議ないから、その通り選出決定いたします。
  (議案の審議を了る。)
○副知事(當銘正友君) 先程議案第十五号機械器具追加評価の件を可決していただいたのですが、その評価額は前議会で可決になりました群島財産処分の件の各所属の財産に追加してこれを払下げ、処分の処置をしたいと思いますから御承知置をお願いします。
○議長(潮平寛保君) 先程休会中に政府保有米の買上げと之が払下げ放出等の成績状況を承りまして、この政策が好成績を以て結末をつけられることを喜んでいる次第であります。
 本問題は議会において決議なった当初から一般が心配し、又注視して来たのでありますが、当局の適切なる計画と処置により、よい成績を得たことでありまして、将来における保有米買上げ政策の上に好結果をもたらすことと思います。
 政府におかれては、中央政府に対してこの政府保有米買上政策の実績を示され、今後中央政府において保有米買上げ政策を引継いで実現されるよう折衝され、御努力あらんことを希望申し上げます。
◎副知事(當銘正友君) 群島政府最終の議会を終るに当り、各位と共に感深いものがあります。過去一年五ヶ月、私達政府の歩みのあとは牛の歩みの如く遅々たるものではありましたが、幸い議員各位の御熱心なる御協力と民政官府の御援助、御指導によりまして、群島民の幸福繁栄への政治に微力ながら尽し得たことを感謝いたす次第であります。
 本議会の提案に対して、各位には慎重に且つ、御熱心に御審議され、可決を与えて下さいました労に対し感謝申し上げます。
○議長(潮平寛保君) 本日の議案はこれで終結することになります。
 休憩いたします。(午後二時)
  (休会中の話合 四月から六月までの間の議会について、副知事より、六月まで議会は存続することになっており、その間政府として議会に諮るべき事件もあると予想されるので、度々議会招集することになる筈ですから、その時は出席され度い旨話しがあり話合が行われた。)
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後二時五分)本日は長時間に亙り御審議下さいまして有難うございます。今議会はこれを以て閉会いたします。(午後二時五分閉会)

 右会議の顛末を記載し、相違ないことを証するためここに署名する。
 一九五二年三月三十日
  議会議長   潮平 寛保
   〃議員   佐久眞長助
   〃議員   古見 石人
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