戦後初期会議録

組織名
沖縄群島議会
開催日
1951年03月26日 
(昭和26年)
会議名
第6回沖縄群島議会(定例会) 1951年3月26日
議事録
第三日目
 (一九五一年三月二十六日午前十時五分開会)
◎議長(知花高直君) 開会致します。出席十九名、欠席一名であります。諸般の報告を致します。
 第三回沖縄群島議会(臨時会)に於て決議になりました五番議員石原昌淳君発議に係る戦災復旧予算の増額並に資金援助延長方の陳情書は知事の副申書添付三月二十一日付沖縄民政官経由書類発送致しましたから書記長をして朗読致させます。
 (「戦災復旧予算の増額並に資金援助延長の件」陳情書、知事副申書朗読)

覚書第一四五号
  一九五一年三月二十一日
         知 事 名
沖縄民政官宛
  戦災復旧予算の増額並に資金援助延長の件陳情書提出について副申
戦災復旧予算の増額並に資金援助延長の件について沖縄群島議会議長知花高直から貴官経由米国琉球民政府副長官宛別紙の通り陳情書の提出があります。
 本件に関しましては一月五日開催の沖縄群島議会工務委員会に於いて沖縄自立経済政策上当面の最重要事項として取上げ同委員会で資料収集の上検討を加え一月十一日開催の第三回沖縄群島議会に提案本会議に於いて熱烈に論議せられ可決になった次第であります。何卒議会の意のある処を御汲み取り下さいまして之が実現方に特別の御配慮下さる様茲に副申致します。
宛:琉球民政本部副長官
経由:沖縄民政官
発:沖縄群島議会議長
題:戦災復旧予算の増額並に資金援助延長について
一、戦争に依り壊滅し又は破壊された沖縄の諸建物、道路、港湾その他諸公共施設の復旧の為に米国政府並に現地占領軍当局が過去六ケ年間に物心両面に於いて絶大なる援助を与えられたことに対し本沖縄群島議会は全住民の意志を代表し茲に深甚なる感謝の意を表するものである。
二、之等諸施設の完全なる復旧は自立経済の基礎をなすものであって、これが成否は実に沖縄の盛衰を左右すべく全住民の関心は常にここに存し且つ之が成就を念願するものである。
三、来る一九五二年米国会計年度を限度とする対琉球援助打切りの報道は折角復興途上にある琉球各群島就中、戦災の大なる沖縄群島に於いては多大なる衝撃を与えている。若し援助打切りが報道の如く事実として現はれんか、沖縄窮極の目標たる自立経済は到底実施不能に陥りこれに伴ふ諸計画は画餅に帰すであらう。
四、我等は沖縄に於ける戦災を受けた諸公共施設の復旧が今日までにどの程度完成しているかについて群島政府から別表の如き資料を入手し検討した結果復旧の度合が予算面上に於いて全体として概略未だに二〇%にも足りぬという事実を知った。単に戦災復旧に止まらず自立経済を目標として更に現実に即応するプラスの部分を加えるならば今後に於いて施行すべき諸工費は実に莫大なる額が推定され、現在の民経済力を以てしては到底実施不可能なることを痛感するものである。
五、結論として我等は一日も早く経済自立の道を歩みたくその基盤たる戦災復旧並にその他基本的諸施設の復旧を速かに達成するため戦災復旧予算の増額をお願し之等諸施設の復旧達成まで資金援助継続の御措置を執って戴く様全住民を代表し御願致す次第である。
右一九五一年一月十一日沖縄群島議会の決議に依り陳情致します。
  一九五一年 月 日
    沖縄群島議会議長
       知 花 高 直
 添付書類
  A、戦災公共建物復興事業進捗表
  B、戦災土木復興事業進捗表
  C、戦災耕地基本施設復旧事業進捗表
  D、戦災復興公共施設事業進捗表
  E、総括表
◎議長(知花高直君) 本日の議事日程を報告致します。
  議事日程第七号
 日程第一、今期議会の会期延長の件について
 日程第二、知事の政務報告に対する一般質問
 以上であります。

○本日の会議に付した事件
 日程第一、今期議会の会期延長の件について
 日程第二、知事の政務報告に対する一般質問
◎議長(知花高直君) 只今から本日の会議を開きます。
 日程第一の今期議会の会期延長の件についてお諮り致します。今期議会は予算案その他重要案件が提出致されまして議員としても慎重審議を重ねるために時日を要しますので後一日間、明二十七日迄会期を延長致したいですが御異議ありませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
◎議長(知花高直君) 御異議ないと認めまして会期を一日延長致します。

◎議長(知花高直君) 日程第二の知事の政務報告に対する一般質問を続行致します。
◎仲里誠吉君 先日の一般質問の時にも質問をしたのでありますが惜しむらくは時間が極めて制限されておったために、勢い早口で話したために当局に対して本員の意図する質問の要旨が徹底しなかったことが十分伺えますので改めて本日又質問をやり直させてもらいたい。先ず第一に労務の問題であるがこれは労務災害賠償は今更いうまでもなく、一九四八年二月十九日付特別布告によって出来た訳でありますが、その後のクレーグ長官からの指令によって一九四六年七月一日に遡って支払うことになっている。それで新聞紙上や先日の知事の答弁によれば現在労務災害賠償について調査中であるということであるけれども、その調査は恐らくは既に労務災害賠償の要求を出した労務者についての調査であろうと思う。又そうでないにしても一九四六年七月一日に遡って賠償金を支払うということは一般大衆はこれを知らない、それでこれの周知徹底をはかってもらはなければならないのであるが、それに対して知事はどのような見解をもっておられるか、本議員の意見としては全隣組を通してこうこういう訳で一九四六年七月一日に遡って支払われるから、該当者は適当な市町村長を通じて群島政府に申請してもらいたい、という風な形にしてもらったらどうかと思うが、これに関する知事の見解、
 労務災害賠償の要求に対して民政府はいろいろ払えない理由として申立てているが、その中の一つとして書類の不備が多いということをいうている、それで実際には書類がどういう風に不備になっているか、それを労務課は調べたことがあるか、あるとすればその結果を報告してもらいたい。もう一つの理由として予算の資金を全部使い果したということを申しているが、一九五二年度には新しく予算を組直すだろうと思うが、現在の円予算の状況では極めて窮屈であるので本年度の予算に若し計上することが出来ないとすれば、これは土地使用料と同様な方法を以て見返り資金から出して貰うように要求してもらいたい、その辺に対する当局の御見解を伺いたい。
 それから第二番目は労務委員会は一九四八年一月十九日の発布の特別布告によって創設されており、現平良内閣が新しく労務委員を任命しているが、現在の労務委員が就任して以来現在迄の活動状況を報告してもらいたい。
 今日は一般質問の時間で時間が制限されているので主なる行動のみでもよいから、主なる行動の月日及び如何なる場所を調査してどのような結果を得たか、或は知事若しくは軍政府当局にどの様な意見具申をしたか、それを報告してもらいたい。
 それから食糧値上に対する賃銀ベースの改訂案であるけれども、これは新聞紙上によって群島政府の労務課員のかなり適切な意見の発表があるが、あれは当局案として、当局が軍に出す意見として見てよいかどうか、それを伺いたい。これもこの間の時間に質問したのであるが改めて要望する。現在沖縄の場合、軍労務者は夜間作業をし或は危険なる仕事に従事している、弾丸の運搬にも従事しているが、今迄に一回運搬中に爆発したけれども、何ら災害賠償手当ももらっていない。尚この場合には当然危険手当が支給されなければならないのであるが、沖縄ではそれがない、日本の場合には本給の四十%の加増がある、夜間手当も本給の二十%、それ以外に勿論退職手当がつく尚又時間外作業の場合は本給の百分の二十の時間外手当があるが沖縄にはそれがない、それを群島政府から軍政府に対して要求をして貰いたいと思うが、それに対する見解如何。
 労働組合法、労働基準法はいつ頃議会に上程の予定であるか、このような時間外手当、夜間手当、危険手当、退職手当、その他種々の問題は労働組合法が出来てはじめて解決の基礎が出来るのであるが、そのために必要な労働基準法、労働組合法はいつ頃議会に上程の予定であるかを伺いたい。
 次に経済関係であるが、これは今迄議会に於て本議員は二回物価対策の用意ありや、ということを質問したが先立っての知事の答弁は、物価対策といっても物価が上って行った時にその時に対策を講ずればいいという趣旨の答弁があった、若しこの記憶が正しいとすれば、物価が上った時にはじめて対策をたてるというのはこれは政治にはならない。政治の要諦はすべて先々の見通しをつけてそれに対して可及的万全の対策を講ずべきであって、物価が上ってから対策を考えるというのでは経済界をいたずらに混乱させるだけである。しかも概念的ないい方をするのでなく、沖縄の経済を微視的に観察すれば現在インフレになる要因がある、ということは勿論、ドイツに於て出現した破局的なインフレではなしに、次から次へと物価が昂騰して行くという意味でのインフレであるが、その要因は本議員の見るところでは国内的な原因としては次のようなものがある。先ず第一に食糧を先頭とする物価の値上り、食糧が一ドル対六十円から七月一日からは百二十円ベースになる--そうすると約五十%程度が値上りになると思うのであるが、食糧があがれば当然他の物資もあがって行く。但しこの場合に知らなければならないのは、経済には乗数の原則というのがあって例えば主食が五十%上ったからといって他の物資も五十%上るというのでなくて五十五%、六十%とあがり一つの現象が万波を呼び起すのである。それから食糧と賃銀の相関関係であるが、賃金は物価の値上りよりも絶えず遅れるのである、それからもう一つ物件費についてであるが、現在群島政府は八億余万円の予算を計上しているが、食糧の値上りを先頭とする諸物価の値上り、それから次に述べるところの国内原因として日本を通じて世界インフレが沖縄にも輸入されつつある。そのために漸次物価は昂騰するであろうということが予想されるが、現在の予算に計上されている八億余万円の物件費、人件費もこれを執行する場合に執行が不可能になって行く、物価があがって行けば人件費もあがらざるを得ない。そうなると予算を執行するためには増税をしなければならないのであるし、又財政部長は増税も考えているという意味のことを予算の研究会に於て申しているが、そうすれば、増税ということになるとどうなるかというと当然人件費が嵩む、沖縄の場合人件費の増大は、例えば軍労務者について考えて見ると、人件費があがっても生産がそれに対応してあがって行けば騰った物価は生産の向上によって吸収されるけれども、沖縄の場合軍労務者は何ら拡大再生産には寄与していない。従って人件費の増大はそのまま物価水準の値上りを結果するであろうと思われる。それから国内的の原因として日本を通じて世界インフレが輸入されつつある訳で、これは第一回臨時議会にも指摘したように、世界は挙げて軍備拡充の街道を驀進しているので世界的に物資の値上りのために、日本自体が輸入原料の値上りを通じて生産材と消費材の値上りを示している、更にこれを輸入する沖縄の場合は日本を通じて世界インフレの輸入ということになる訳である。
 更に国内原因の副次的現象として地代家賃が著しく暴騰している、特に四月一日以降土地の所有権が認定されるが、そうなると当局が法律でも制定しない限りはその地代は野放図に伸びて行くであらうと思われる。又家賃も道側にある間口一間半から奥行二間程度の店が五千円、六千円とっている。これは何を意味するかというと、このように地代家賃が騰貴するということはこの借手が生産業者であればこの生産物資の値上りした分が転嫁される、勿論物価水準の値上りを結果するということになる。それからこれが小売業者の場合は転嫁は極めて困難であって、既に市場価格は決っているのであるから転嫁は困難である、困難であればどうなるかというと結果それだけ営業利潤が狭まれる、その理論は既に現実となって現れて来ている、那覇市場附近を調べて廻っても家賃が重過ぎて負担出来ないというので、折角借りた店を返上しつつある現象が起りつつある。それからその次に軍政府側の政策としては輸入食糧を値上げすれば農村の食糧物資も自然とそれに刺戟されて値上りするであろう、そうすれば農村の現金収入が改善されるであろうという見通しによる政策であるが、これは聊か疑問点なきにしもあらずという訳で、なるほど或る程度は農村の生産する食糧は騰るであろうけれども、この恩恵を蒙るのは原則的にいって都市周辺の農村に限られている。国頭の果の農村が果して此恩恵に浴するであろうかという事は疑問の余地がある訳で、そうなると農村の現金収入の改善の余地も極めて薄いといわなければならない。仮に全農村がこの恩恵に与るとしても、なるほど食糧生産物資は値上りするが、その代り先程指摘したように経済の乗数の現象によって食糧は、一般物価は対策をたてない限り次々として値上りするであろうと思う。そうなると折角農村が収入増加になっても自分達が買わなければならないところの生産資材、鋤とか鍬とかそれから消費物資の値上りによってどれだけの利得を得るか、むしろ依然として赤字であろうという予想が立つと思う、これは遺憾ながら数字によって裏付けることが出来ないのであるが、現在当局に於てはそれだけの統計数字がない。斯くの如く国内的な立場、それから国際的な情勢によって沖縄の物価も漸次しり上りするであろうという見通しがつくのであるが、これに対する当局の対策如何。知事並に経済部長の答弁を求める。それからこれは先日の質問に対する知事の答弁をはっきり本員が掴めなかったので改めて質問するのであるが、これは第二回議会に於て指摘したことであるが、農村の場合は穀物を売る場合、売桝はなるべく少く、買桝はなるべく多く取られるという訳で中間商人によって搾取されているが、これを防ぐためには単に度量衡器の検定の強化というだけでは不足な訳なんで、少くとも穀物に関する限りは重量制で行かなければならないということを要望したが、これは要望しただけでは駄目なんで飽く迄も法制化して強制しなければならない。そういう意味での法制化はいつごろやる予定であるか。
 それから経済部長への要望、経済統計に関しては先日も質問したが、これは経済統計の必要を痛感しているというだけでなしに、経済統計を来月作成して発表してもらいたい。そしてはじめて統計責任者も勉強するであろうし又その結果によって得た統計が当局の経済財政万般の政策の重要な基礎をなすであろうと思われる。その点強く要望して置く。それから各部長の接待費、これは十二月の追加更正予算に於て各部長に五千円宛議会がこれを認可しているが、但し本議員は賛成をしていないが、要するに議会に於て決議されたのであるが、その後約四ケ月経っているが、その後の接待費の使途内容、これを本議会に於て明かにして貰いたい。当局の説明では接待費はこの使途としては軍政府関係、その方面へ充てるという趣旨であったと思うが、本議会に発表してそれによって裏付けて貰いたい。
 それから司法当局に対して、これは議会より軍政府筋に対して沖縄に於ける法律体系の民主化のために、日本の民主化された法律を入れてもらいたい、という意見書を提出したところが軍政府当局からの回答には、沖縄議会が自主的にやるべきであるといった回答であったが、司法当局としては沖縄の法律の民主化のために如何なる対策を講じようとしているか、若しくは講じつつあるか、それを承りたい。又第一回議会に於て議会宛に街頭の騒音を防止して貰いたいという意見書があったが、これは実現して貰いたい。特に映画館或は劇場の周辺の住民、那覇の市場通りの住民は極めて迷惑を蒙っている、このような街頭騒音の防止策としては法制化しなければならないと思うが、その辺に対する当局の見解を承りたい。
 以上で質問を終ります。
○知事(平良辰雄君) 労務問題について、災害補償関係がまだ徹底していないというお話であるが、これが事務的な処理、すべてについては詳しく総務部副部長から説明致しますが、この予算がなくて払えないなら見返り資金から出せということ、これは私も賛成であります。予算がなければそういう風にでもやらなければいかんと思う。それから労務委員の仕事の問題については、後程御説明申上げます。それから日本の労働者とこちらの軍労務者との待遇の関係、そういう問題について非常に劣っているというお話があったが、そういうことは日本と同じように要求すべきであると考えております、何れやりたいと思っております。
 それから労働組合法はいつ頃出るかというお話であるが、労働組合の方は布令が出ておりますし、又指令も出ておりますので、実際問題としては労働組合を作る段階になっておるのでありまして、それに対する色々な手続とかいったようなものを群島政府が出せばいいようなことになっていると思いますので、その点は早く研究して群島政府だけで出来るものならばすぐ条例を出して行きたい、そうすれば基本法は布令が或る程度出来ているからそれに準じて出来るだろうと思っております。経済問題は、物価対策問題について、先程のお話が前回にも御質問がありましたが、物価があがってから、やるというような気持は私は持っていないのであります。その都度々々の問題について今考えているだけで、綜合的な対策というものは考えていないと申上げたのである。又綜合的な物価の情勢はあがり気味である、これも同じ意見であるが、そうした場合にどうして対策を考えるかということが大きな問題になって来るので結論としては今後の国際情勢から、或は戦時状態に立ち入って輸送関係、輸入物資の関係などから考えまして食糧対策も考えなければいけませんし、それから物価についても、軍労務もどんどん仕事が多くなるし、又群島政府の予算も八億円となれば相当のものである、そうなって行くとだんだんインフレ傾向があるということもその通りであります。そういった場合に徹底的な対策を講ずるということになれば統制をしなければならないという結果になって来るだろうと思います。或る程度は統制をし、或る程度は自由にするという考え方もありますので、こういうことについては何れ物価対策委員会でも作って研究して見なければ簡単には行くものではないと考えているので、我々としてはぼつぼつ考えてはおりますけれどもまだ具体的な案が出来ていないのを遺憾としております。無論予算の問題にもなって来るので現在の物価と予算執行の中途における物価が非常に懸隔がある場合がかなりあるのでありまして、これが物価指数が急速にあがって来るということになると予算の執行が不可能になって来るのは当り前であります。それをなるべく、物価をあげないようにするという具体的の例を一つ一つ申上げるならば、俸給賃銀をなるべく徐々にあげようという考え方、それから輸入物資の値段も急に百二十円レートにしなければならないといったのでは困るので、これも漸を追うてあげてもらう、そういう方策をとりたい。それから輸入食糧の値上りによって農村が潤おうという考え方もある。然しそればかりではいけない、その通りであります。絶対的に輸入食糧が多くなれば潤いが来るとばかりは考えられないのであります。
 食糧があがったので農村でも又高い資材を買わなければならないという現象が来るのでありまして、総体的にアメリカの政策は輸入食糧をあげるということによって農村の収入を改善するという考え方を持っているようでありまして、これも或る程度肯定しなければならない政策だと考えるのであります。こういう問題については全般的にこうであるという断定はしにくいのでありまして、輸入食糧の値上りによって、或る程度の農産物の価格が上るということはあると思うが、それには又消費者の立場も考えなければいかんと思うが、然し総体的な考え方としては正しいのではないかと考えております。それから売桝買桝の問題でありますが、これは要望でありますので、我々としては予算が出来たならば直ぐこれを実行したいと思いますが、無論これは度量衡の検査ばかりではいけないので、これの取締もしなければいけないのであります。それから斤量制度の採用については賛成でありますので、出来るならば重量制を採用したいと考えております。それは或は輸入食糧の配給面、農林省とも同じ歩調で進んで行きたいと考えているのであります。
 後は各部長からお答え致させます。
○総務部(ママ)副部長(稲嶺成珍君) 労務の問題については知事からも御説明がありましたが、主に事務的な処理についてでありますので私から御説明申上げます。
 労務賠償金が貰えるということが周知徹底しておらないということでありますので、それについて二十番議員(仲里誠吉君)は隣組や各市町村を通じて徹底させる用意があるかということであるが、我々もそういう風に感じております。現在は各市町村に照会中でありますが、なかなか集まって来ておりません、尚必要でありますればこちらの弘報がありますから、それに発表して徹底を図ろうと思っております。
 それから労務傷害賠償を軍が払えない理由の一つとして様式が不備であるということであるが、その様式は非常に複雑でありまして、これは雇傭者の責任になっております。その法律による様式は結局米本国政府の法律に基くものでありまして、こちらの副長官としてはそれを訂正する権能もないのであります。
 非常に複雑でありますが、現在整備しておらないものはそれぞれ雇傭者に返しつつあります。私もあちらの方に何回も行ってこれの簡単化を嘆願したのでありますが、最近これは本国政府の法律に基くものであるから訂正は出来ないということが分ったのであります。
 それから賠償金の予算がないなら見返り資金からでもやったらどうかということでありますが、この予算もワシントン政府の労働局関係の予算でありまして、こちらではどうとも仕様がないのであります。然しながら大体見通しがついておりまして、軍も近い中に決るだろうという回答を得ております。
 労務委員の活動状況についてお答え致します、軍の労務者はタッチ出来ませんので部隊内に入れないのでありますが、現在各委員が民間工場を廻って傷害の事実ありや否や、待遇の如何を調べておりまして、又個人の傷害を受けたもの或は労務に対する相談なんかを受けております。以上が労務委員の活動状況であります。なおこの前委員会を開きましてそれに対する積極的な調査の仕方につきましても打合せをしております。これからもっと活動して、そういう方面に働いてもらいたいと思っております。
 それから賃金の問題でありますが、現在労務課の主管が賃金問題について発表しておりますが、それを当局案として取上げるか如何ということでありますが、それについては上司にはかって取上げて行こうと思っております。
 時間外手当を要望する意思ありや否やということについては、我々は布令第七号、即ち給与に関する規定について研究しておりますし、これについても申請をすべく今労務課で調べております。労働組合法はいつ頃提案するやということでありますが、結局労働組合法といいますのは四十七年十一月二十八日の軍指令五十一号の第四条に規程作成権というのがあります。「琉球列島の各民政府労務部は本目的の意図を達成するため必要な規程を作成する権能を有する」という事になっております、これによって色々な労働組合に対する規定を軍の布令と軍の指令に基き自己の与えられた権限内の規定をする訳であります。それにつきましても今労務課で検討しております、又最近軍にも労働組合について照会したのでありますが、それについて疑点もありますし、最近迄急激に労働組合も作る機運もありませんので遅れておりましたが、然し今労務課でそれを取上げて検討しております。
 以上労務関係について御説明を申上げます。
○法務部長(知念朝功君) 二十番議員(仲里誠吉君)から日本の新法の採用は議会の裁量に委せるからという風に民政官府から回答が来ている、将来法務当局としては沖縄に於ける法律の民主化についてどういう考を持っているかという御質問ですが、私はこう考えます。
 沖縄はアメリカ合衆国の軍隊によって占領せられておるのであります。それで主権は日本にあるのですがこれは停止されています。沖縄にある日本の主権は停止されて、合衆国の軍隊が沖縄を統治している、そして占領下に於ける、この諸島におきます立法権は合衆国の軍隊が持っているのであります。それで布令第二十二号によりまして群島政府に条例を制定する権限を与えているのでありますが、これは明かにアメリカのこの統治権から基いている授権でありまして、これに基かない限り群島政府に於ては勝手な立法をすることは出来ないのであります。陸戦条規に拠りますとその第四十三条に「国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は占領者は絶対的に(のカ)支障ない(きカ)限り占領地の現行法律を尊重して成るべく公共の秩序及び生活を回復(回復確保カ)するため施す(施し得カ)べき一切の手段を尽すべし」という規定があるのであります。合衆国はヘーグに於て締結されたこの条約の締結国であります故、この条約によって制約を受けるのであります、この民政官府から参りました回答は私は大した価値のあるものとは考えないのであります。どんな法律でも勝手に沖縄人によって採用が出来るといっておきながら、その採用は群島政府の権限内でなければならない。これは分り切ったことなんです。別にこれが来たからといって日本の法律を切替えてこうしろということは意味していないのであります。結局現行法を守れ、群島政府に与えられた権限内でなら条例を作りなさい、これはありのままのことしかいっていないのであります。例えば日本では家という制度が廃止せられまして、民法から家というのがなくなり、刑法から姦通罪がなくなった、そうだからといって沖縄議会が条例を作って家をなくする、或は姦通罪をなくするということは出来ないと思います。
 それから商法の改正も群島政府で改正するということは出来ないと思うのであります。要するに住民の身分とか財産とかいった基本に関する法は群島政府としては権限はないのであります。ただ行政的な仕事をするために色々な条例を作りなさいという事であって、講和条約が締結せられるか戦争状態が終結する迄はこの程度の立法権しか与えられていない、若し日本の法を採用するならば合衆国によってなされるのであります。
 (注 戦時国際法論と照合の上、句読点等を是正した。)
 立博士の国際法には『其の行ふ所の権力は、一時的にして、主として軍事的のものなるを以て、従て上述の占領者の主要目的の為めに必要なるか、又は占領中の地方の公共秩序及安寧の維持の為めに必要なるに非ざれば、地方の現行法令の変更を行はざるべきである。就中占領時期後に於て主として行はるべき社会的、政治的の立法を企図すべきではない。ハーグの陸戦条規は、「国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は絶対的の支障なき限り、占領地の現行法律を尊重して、出来得る丈け、公共の秩序及生活を回復確保する為め施し得べき一切の手段を尽すべし」と為すのである。
 現時に於ては、特に占領軍が改廃せざる間は、旧法令が効力を有すると認めらるるのである。概して言へば占領者は行政事項に関しては専制的なるを得るも、立法事項に関しては必ずしも然らざるものと言ふべきである。
 但し軍事占領者の主要目的の為めに必要なるか又は占領中の地方の公共秩序及安寧の維持の為め必要なるときは、現行法令の停止又は変更を行ひ、新法令を発することを得るのである。占領者は、政治的性質を有する一切の法令及政治的特権を停止又は変更するを得べく、又占領軍の安全及兵力の維持並に軍事上の成功に関係する一切の法令を停止又は変更するを得べきである。
 此種の法令中には、占領地に於ける徴兵、集会の自由、出版の自由、投票権、兵器携帯の自由、旅行の自由等に関する法令等を含むべきである』とありまして、大体占領軍が戦争目的を達成するためにのみ現行の法律を改廃する権限を持つのでありまして、合衆国の権限によって授権されている群島政府の権限は尚小さいのであります。今日有効なる日本の旧法律を群島議会で改廃するということは出来ないと考えております。それで政府としても軽はずみに色んな法律の改廃のことに関しては考えておりません。若し必要とあらばそういうことに関して、占領軍に対して示唆をしたり進言をすることは致しますが政府自体として勝手に日本の法令を変えるということは行き過ぎだと考えております。
○経済部長(呉我春信君) 経済統計に関しては御趣旨に副うように努力致します。
○知事(平良辰雄君) もう一つ二十番議員(仲里誠吉君)からの要望である接待費の内容でありますが、この内容、誰それを招待したということをこちらでいうことはどうかと思うのですが、これは接待費としてあるので、無論機密費的な性格を持つものでありますが、機密費だからといって一万円か五万円か取って経理はやっていないというのではないのでありまして、これは誰々の宴会ということもちゃんと証憑にもある筈でありますから、その点は十分御覧になってその使い方が悪いという場合に於てはその点を指摘していただいても決して差支えないと思いますから、これは具体的なことを一々発表することは我慢をしていただきたいと思う、尚それが内容については又監察委員の方で調べて報告をさせても差支えないと思います。そういう風に御了承を願いたいとおもいます。
◎玉城泰一君 留学生の問題について、先月二十四日以降のうるま新報に連載されました「留学制度の危機」と題する一在日留学生の我々郷里の先輩に訴える手記は留学生の前途に対して暗影を投ずるものであり、看過出来ないとおもいますので、それについて伺いたいとおもいます。
 その記事によりますと、従来留学生に関する事務は文部省が一切これを引受けまして、親身に勝る面倒を見て参ったのでありますが、本年一月以降留学生に関する事務の一部が沖縄学徒援護会に移管されるようになりまして、援護会ではその移管された事務を本川一郎という同会の理事に委せましたが、その本川氏の態度が甚だ不遜で不親切であって援護会を我が物顔に振舞いまして、留学生の立場を省ることがなく不親切であるというので専ら学生間の不満の声が高まっているというのがその内容であります。若しこれが事実であるとするならば留学生を持つ父兄の心配は勿論のこと、折角米国が温い親心でもって留学生の制度を設けた趣旨にも反する訳であります。その真相を知りたいと思います。若しまだ御調査がなければ速に沖縄学徒援護会とも連絡の上善後策を講じられまして留学生が喜んで勉学が出来るように御取扱い願いたいと思います。
 次に教員養成機関の充実拡充について質問致したいとおもいます。校舎と教員、この二つは学校教育上是非なければならない二大要素であります。ところが沖縄の現状はその二つながら不備であり、不十分である、そのために学力の低下を来しているとこう思うのでありますが、幸にして校舎問題については官民ひとしくこれが実現に重大関心を持ちましたために漸くその実現の見通しがついているようで喜びにたえません。ところが残された教育上最も大きい問題は、この教員の資質の向上の問題であります。学校の先生に専門の知識が必要であり、技能が必要であることはあたかも病院の医者に専門の知識技能が必要であるのと同様で、素人を教壇に立てることは素人に聴診器を与えて患者を診察させると全く同様であります。戦後色々の悪条件の中で誠に止むを得ないとは存じますが、現在の教育界は余りに無資格の教員が多い、初等学校、中等学校、高等学校その他の学校を通じて合計三千七百二十一名の教員の中千二百七十二名迄が無資格者であります。約三分の一の無資格教員がおります。高等学校の如きは二百七十七名の中百五十一名が無資格で半数以上となっております。
 然も無資格教員の率はこれから毎年殖えるのではないかと心配するのであります。それは現在四ケ所の教員訓練所で現職の教員を六ケ月間訓練致しておりますが、これは講習会の程度でありまして、資質向上の程度には教育されておりません。又今年から琉大に師範科が設けられまして八十名を募集致しましたが、然し沖縄の毎年の教員需要数は八十名で決して十分とは思えないのであります。恐らく二百名を必要とするのではないかと考えられます。教員養成の機関の充実については最も急を要するものと考えますが、文教当局はそれに対する如何なる対策を持っておられるか、それを伺いたいと思います。
 その次に水産業の振興についてお伺い致したいと思います。終戦後沖縄の水産業は実に目覚しい進歩を示しております。戦前の水準を遙かに突破していることは統計の示す通りであります。平時ならば恐らく一世紀、半世紀を要したであろうと思われる進歩が、僅か数年にして為し遂げられていることは誠に驚異に値するものがあります。即ち戦前クリ舟による原始的な沿海漁業から戦後は大型船による近代的な遠洋漁業に切換えられつつあるのであります。その傾向に便乗し、これを助長して遠洋漁業に必要なる水産業の基本施設を整備するならば、沖縄の水産業は前途誠に洋々たるものがあると信ずるのであります。ところが遺憾なことには水産施設が依然として戦前の状態そのままでありまして、そのために遠洋漁業への発展を阻んでいるような状態であります。その一例をいえば漁港の問題であります。漁船はクリ舟から十トン、二十トン最近に於ては百トン、百五十トンの大型船になりましたが、漁港はクリ舟時代そのままであるために颱風の度毎に避難する港がなく毎年の颱風のために莫大な損害を受けておりまして、現に去るクララ台風の時には大小四十一隻の船舶が糸満海岸に於てさえ沈没し或は暗礁に乗上げ或は岩壁に叩かれて破損しているのであります。立ち直ると叩かれる、叩かれると又立ち上ると一進一退というのが今日の漁村の状態であります。漁港のみではなく水揚場、或は給水給油の設備など遠洋漁業に必要なる基本的な施設を米国の援助がある間に整備するならば、太平洋の黒潮に乗って日本沿海に向って北上する魚群を我が沖縄近海に於て一網打尽にすくいあげることも、決して夢ではないと考えるのであります。本会議の第一日目に政府から配付されました沖縄復興の綜合計画の第二編第一章と第二章に表れている統計を見ると向う三ケ年に亘って農業施設に約三十七億の資金を投じて三年後には現在より二十一億円の増産を予想しております。増産の割合は投下資本の約六十%になっております。水産業は向う三ケ年間に亘って約五億円の資金を投じ三年後には現在より九億円の増産を予想しております。その増産の割合は投下資本の百八十%であります。
 農業の六十%に対して水産業は百八十%の増産となっております。農業に投下した資本の効果は徐々に現れるし、水産業に投下した資本の効果は直ぐに現れるという点を考慮致しましても水産業が遙かに有利であるということが分るようであります。右の数字は何を物語るかといいますと、水産業が従来も未開拓のまま放置されておったということ、それから今後必要なる施設さえ整備するならば水産業の前途は誠に有望であるということ、更に最小の犠牲を以て最大の効果を収めるのは水産業より外にないということを教えるものであると考えます。この問題は綜合計画の根本に触れる問題であるとこう考えております。沖縄の自立経済を計画するのには沖縄の自然的環境、地理的条件に立脚しなければならないことは勿論でありますが、沖縄の地理的条件はあたかも大きな漁船に乗って太平洋を航行するようなものでありまして、陸には恵まれない代りに海には恵まれ過ぎる程恵まれているのであります、この天の恩恵を最高度に利用して水産業の発展をはかることが沖縄振興の根本策であると思いますが、これに対する当局のお考を承りたい。
○文教部長(屋良朝苗君) 先ずはじめに留学生の件について、その世話をしている人、本川一郎氏について私が今日迄調査し知っている範囲のことを御説明申上げたいと思うのであります。実は琉大の開校式、譲渡式の時に高嶺明達氏がお見えになりましたので我々は学徒援護会長として世話をして下さる高嶺氏に色々今日迄のこと、又今後の取扱なんかについて質問をし、又お願をしたのであります。その時に高嶺明達氏は、この度留学生の事務が、或る権限が学徒援護会に移されて援護会では本川一郎氏に委嘱することになった、その方は何処の方かといったら、この人は日本の人であるという事でありました。どういう方ですかといったら、非常に長くアメリカに行っていて向うの大学の教育を受けている非常に言葉が上手で押の強い熱の人である、十分やってくれると思う、こういうお話でありました。それから日本文部省のやるべき仕事がここに移管されたので文部省の今迄世話していた人が嫉妬していたらしい、但し非常に鼻息が荒いので俸給も高く要求されているということでありました。然し使いようによっては非常に役に立つ男であるといっていましたが、間もなく高嶺氏がお帰りになって、あの新聞にああいうものが出たのであります。あの新聞が出るというと文教部当局として、又留学生父兄の会長もしておりますのであれを切抜いて早速高嶺明達氏に送って真相を聴こうとしたのであります、然し思い直した、苟くもああいう記事で暴露する前に本当に留学生の将来を思う心ある学生ならば、その世話をしている人間、例えば文教当局に知らして相談するとか、或は軍の方の世話をしている人々にきくとか、或は高嶺会長にそういうところを打明けて然る後にそうやって然るべきではないかと思い、若しもそれを送った場合我々の好意を無視するものであるといって逆効果を来す恐れがあったので、その切抜を送ることを差控えたのであります。それで間もなく帰省学生が参りましたので、それを通じても真相を聴きました、それから帰省学生と今度出発する留学生と一しょの会合を持って、そこでも聴いたのであります、けれども一部学生の話では抽象的には、分らないがただ非常に傲慢である、どうも受が悪いといっておりましたけれども、然らば具体的にどういう事実があるかということは誰も分らない、ただ新聞にああいうことがあるが、新聞を見てそういうことがあるかなということ位のことであります。ところが一部学生が参りまして、これが私に説明したところによると、この学生は二時間位直接本川氏に会った、この人の説明によるとこういうことであります。自分は決して悪い感情を持っていない、非常にやり手であるという感じを受けたといっております。又吉田氏の話を聴いても責任観念の強い人である、仕事には非常に熱を持っている、語学の才能がある人で、その人がやめられたら留学生は困るであろうということでありました。但しこの人が今度留学生を沖縄に帰すのにつきまして少し考が足りなかったところがあったろう、そういうことをいっております。というのは学業成績とか出席率、そういうものを調査して良好な者を優先的に帰そうという気持でやったらしい、ところが大学には二回試験があるところと一回試験をやるところがあって、二回のところは学業成績を要求されても直ぐ得られたということでありますが、一回二月になって試験をするところがあるそうでありますが、そういうところは一回も試験を受けていないから成績が得られない、それが得られない者をオミットしたらしい、従ってそういう人から非常に不評を買っているということはあるらしい。こういうことは手落ではないかというのであります。この人はアメリカ人の気質も非常によく知っていて留学生がお願をすると、アメリカ人に対してはこういうところはこう直しなさい、と教えてくれるので、むしろ我々としては非常に勉強になる、そこでそういうような手紙を書いたということは、特別なある学生が或は本川一郎氏から叱られたりして悪感情を持っているものではないかということをいっております。それから間もなく当銘由金氏--文教図書株式会社々長が一ケ月間出張して二、三日前帰っております。その人から直接聴いたけれども、この人のお話によると、うるま新報に掲載せられておったことは事実無根である、こういうことをいわれている、援護会は高嶺氏を中心として吉田嗣延氏、親泊政博氏、本川一郎氏、この四名が組んで、文部当局も一生懸命にやって下さったけれども物足りないところがあったので、四名が協力してやろうということでやっているようで、親泊さんなんかは沖縄の事情を詳しく知って貰うため校舎なんかも二通り三通りの写真を沖縄学校教育一覧表と一しょに持って行ったのであります。そうして沖縄婦人会を集めてその方々に学校の状況を縷々として述べられて、婦人会の方でそういう資材を沖縄に送ってくれるようにマックアーサー司令部に陳情すべく手配をし、涙を以て沖縄教育界のことを心配しておられる、当銘氏の話によると帰ってからは自分の公団の仕事もそっちのけにして沖縄のために奔走しておられる、それを見ると自然に頭が下るということであります。こういう人達からうるま新報に書かれてあるのは事実無根である、それに対しては吉田氏が論駁文を書いてもよろしいといっているそうであります。ある程度傲慢なところがあって生徒に不快な感じを与えることはあるかも知れませんけれども、あの新聞そのままを信じて心配する必要はないと思うのであります。
 これが今日迄知り得たところであります。私は新聞切抜を先輩の方々に送るのは失礼だと思いまして手紙だけにして、こういうこともあるが真相はどうであるか、よろしくお願いしたいということを送ってあります。近く出発する留学生に対しても、心配する必要はないということをいっております。本川一郎氏については以上であります。
 次は教員養成機関についての御質問でありますけれども、今日沖縄の教育問題は色々沢山問題があるのでありますが、何といっても核心をなすものは教員であります。従って私達としましては私文教部に参りして以来、指導主事制度の確立、研究調査課その他色々の機構というものも一にかかってこの教員の資質を向上せしめたい。そして又教員の素質、或は教養というものを一段と立派に実を結ばしめる教育愛、教育的情熱を呼び覚すべく、そこに機構も考えているのであります。
 それから予算に提出してありますところの教育事業費、これも一にかかって教員の資質の向上、気風の刷新、そういうところに主力を注いでいる次第であります。そこで私赴任しましてすぐ琉大の先生方とも色々折衝致しまして何としても師範科、従来の師範学校に代る師範科を置いてもらいたいということを折衝致しましたところ琉大も賛成されまして協力されました。私は初め少くとも二百名を募集してもらいたいということを陳情したのでありますけれども、八十名しか出来ない、理由は琉大の学生募集が三百二十名しかないので師範科を二百名にすると他の学生がいなくなるので差当り八十名しか出来ないということになったのであります。そして今迄全然なかったのが設置されることになったのであります。これは二年制度であります。日本では四年になっておりまして二年では物足りないのでありますけれども、然しながら短期大学といって日本でも二年のところもありますから、それでもよろしいのではないかと考えております。それで二年で卒業した者を再教育に再教育をして行って日本がやっているような方法によって単位でも与えて資格を更正して行くということも考えております。又八十名を得たということについてもこれは焼石に水のような感じがするのでありますけれども、私は重点的に考えまして先ず師範科を設置したこと、これを主点に置いて必要によっては来年、再来年と段々増員して御希望のように多く補充するような方法はないだろうかという風に考えているのであります。
 この師範科の二ケ年程度では立派な教員の養成は出来ないとおもいますけれども、後二、三年たちますと琉球大学のすべての学科の卒業生が沢山出ますので、その方からも多くの教員希望者が出る見込をしているのであります。それによって高等学校教員は強化出来ると思っておりますが、尚琉大の師範科の八十名では足りませんので今日教員の養成、再教育の機関と致しましては先程玉城先生からの御質問にもありますように教育訓練所が四ケ所糸満、前原、胡差、名護にありますけれども、そこで今大体二ケ年以上ハイスクールで教員をしているものを中心として訓練致します、そして三ケ年間実地に訓練をして成績の優秀な者に資格を与えておりますが年に二回で四百名出るのであります。その方のウケは非常によろしくて、働きもいいというので喜ばれております。恐らくこの教員訓練所が今後の教育界に非常に大きい貢献をするであろうということを私も信じておりますが、今後この訓練所をますます強化して教員も益々多く配置してこれを充実して行こうと考えております。なお今日初等学校の教官補-無資格者-のパーセンテイジが三十二%であります。中等学校は三十四%、高等学校は五十五%、農林高等学校四十九%、工業高等学校四十%、開洋高等学校三十%が何れも無資格者であります。
 このすべての高等学校を平均して五十二%、先ず半数は無資格者になっております。この無資格者は先程申しましたように琉大の卒業生を出して補って行こうというのが方針であって、なほ初等学校、中等学校の離職者は私が調査したところでは去年の三月から今年の二月迄に五百五十名位あります。その内資格者が二百十二名、無資格者三百四十名位おるのであります。そうしますというとこれは仮に今教員訓練所で四百名宛資格を更新して出しましてもその四百名で全部を埋めて行くとは考えられない、その内の二百名は次々に現職者がやめて行くのでありますから教官補を全部有資格者で埋めて行くのには五ケ年間かかるだろうと考えているのであります。
 然し段々幾分俸給も是正せられましたので今日迄のように多くの離職者は出ないだろうと思いまして、五年以内には十分埋合せがつくだろうという見通しをもっているのであります、又最近の教育界の気分からもそういう風に考えております。それから資格はあっても資質、実力、教養、教育愛、教育的情熱そういったものについては必ずしも資格があるからといって十分ではないのであります。これについては現職教員の資質向上の研究会講習会というものをもってやって行きたい。
 尚教員再教育、すべての教員を再教育して新教育場面に於ても徹底して行きますために新しい予算にも予算化してありますが、四月から三年計画で各地区毎に教員再教育の方法を琉大にお願いしてやって行くことになっているのであります。その他色々研究会、講習会というのが相当沢山計画せられておりますのでそれによって幾分御心配の点はなくして行けるのぢゃないかという風に考えている次第であります。御質問の通りに我々も痛切に感じていますので、全力をあげて資質の向上を期して行きたいと思っております。
○経済部長(呉我春信君) 水産設備の整備のことについて、九番議員さん(玉城泰一君)と水産の重要性については同感であります。この遠洋漁業を阻んでいるのは基本施設、殊に港の設備が出来ていない、この設備を急げという御質問でありますが、我々もこれと同感でその趣旨で本年工務部にお願して糸満外数ケ所の突堤工事が予定されているのであります。尚その外船溜施設を今年四ケ所予定してこれも予算に計上してあるのであります。その外水揚場、これは今年一ケ所でありますが、大体那覇を予定している、今年施設したい、かように考えております。その他に給水給油その他色々な基本施設がございますが、産業復興三ケ年計画の中にそれぞれ織込まれておりますので、その線にそうて施設をやって行きたいと考えております。
◎与儀清秀君 人口問題対策についてお尋ね致します。現在の沖縄に於きまして人口過剰という問題は最早沖縄の土地そのものでは背負いきれない大きな負担になっておりますために経済的にも社会的にも深刻な影響を与えつつあるということは何人も否定出来ない事実でなかろうかと考えます。耕地面積は戦前の三分の二に減少しておりますが、人口は戦前の五分の一余りも増加しており然もその増率はますます度を加えて来る一方であります。最近に於けるところの出生死亡統計を見ると、四十八年に出生一万九千九百十五人、死亡五千二百二十一人、四十九年が出生二万五百三十二人、死亡五千三百十一人となっておりまして、四十八年には一万四千六百九十二人、四十九年には一万五千二百二十一人という人口の自然増加となっております。五十年はまだ正確な数字は出ておりませんが恐らく一万六、七千には上ることと考えられます。つまり毎年々々糸満の町や或は読谷、宜野湾といった大きな村の人口に匹敵する位の自然増加があるのであります。
 尚又耕地面積に対する人口の割合は一平方哩について四千二百二十二人でありまして、これが日本では、世界で最も人口稠密である日本におきましても三千五百三十四人、アメリカに於いてはたった百八十八人という割合になっておりまして、恐らく沖縄の人口の稠密度は世界第一であろうと考えております。既に超飽和的人口の上に更に益々大きな歩みで増加して参ります。最近に於けるところの色々の犯罪の増加、道義の頽廃など人口過剰ということが直接間接に大きく影響しているということは敢てマルクスの人口論を俟つ迄もなく誰しも認めざるを得ないところであろうと考えているのであります。人口過剰の解決策と致しましては産業を振興して人口の吸収力を増大するということが最上ではありましょうが、然し沖縄に於ては土地が狭い上に資源が少いのでこういった政策によって人口問題を解決するということには大きな期待は持てないと思うのであります。結局沖縄に於ける人口問題の解決は積極的に多数の移民を送るということを第一義と致しまして、多面妥当科学的な基準によって産児の調節を行うより外に途はなかろうと考えるものであります。講和条約もまだ締結されない現在に於て多数の海外移民を送るということは甚だ困難な問題であろうとは考えますが、然しこれに対しても弛みない不断の努力は是非必要ではなかろうかと考えます。この問題につきまして知事は如何なる見通しをもっておりましょうか、お伺い致したいと思います。それから妥当なる産児の調節ということは人口問題の対策という立場ばかりではなく優生上、即ち良き子孫を残すという見地からも亦母性を保護するという目的からも是非必要であろうと考えます。両親又はその近い血統内に遺伝性の精神病質や或は身体的の病気などがある場合に、然もその親も希望しないにも拘らず、こんな子孫を残さなければならないとしたらどうでありましょうか、それはその一家又はその子供の人生にとっても大きな悲惨事であるばかりでなく、これは民族発展の見地から見ても大きな禍であります。然も沖縄の制度ではこんな場合でもその子供を生まなければ法律上の罪になるのであります。
 貧乏人の子沢山とはよくいわれておりますが、これは実際に於て事実のようでありまして、妊娠や或はお産といったことが母親の健康状態に大きな害を及ぼす場合は勿論と致しまして、現に数名の子供がありながら、これ以上の産児はその一家を益々貧困、困惑のどん底に陥いれるということもはっきり分っていながら然も自分のその親の意思希望に反しまして子供を生まなければならないとしましたらどうでありましょうか、これも亦その一家にとっても母性にとっても大きな不幸ではなかろうかと考えます。更に又暴行とか脅迫といったような不可抗力によって妊娠致しました場合に、現在の制度ではその子を生まなければ法律上の罪になるのでありますが、こういったことは私考えますに人道上からいっても女性に対する大きな虐待ではなかろうかと考えます。妥当科学的基準によって行う産児制限を合法化するということは、沖縄の現状から致しましても、人口問題からいっても優生上、母性保護上の見地からいっても早急に実現されなければ問題だと考える次第であります。現に日本では昭和二十三年に優生保護法という法律になって実現されております。知事はこれに対してどんな考をお持ちでありましょうか、お伺い致します。
○知事(平良辰雄君) 人口問題については色々御意見があったようでありますが大体賛成であります。
 これは既に御報告申上げた通りでありますが、三ケ年の綜合計画によって人口の対策を作っております。それで産業の振興によって或る程度の吸収は出来るけれども、これは到底問題にならん率であります。
 結局は移民問題が大きく浮びあがらない限りは沖縄の人口対策は出来ないという結論になっておりますが、尚その外にも今お話のあった通りに産児を調節するということも今考えつつあるのでありまして、具体的な考えは決っておりませんけれども、大体御意見のようなことが考えられるのぢゃないか、こういう風に考えておりますので何れはこれの具体的の対策を講じて行きたいと考えております。
◎具志頭得助君 前の会議に於ても、二、三の議員から公有水面の埋立申請について質問がありましたが答弁がはっきりしなかったので、更に質問をする訳であります。群島組織法の第二条に於きましては群島政府がこれを施行するということが謳ってありますが、更に二条の最初に於いて軍布告布令及び指令に基いてその区域内の公公(ママ)事務を処理し行政事務を行うとなっておりますが、権限は何れにあるか、埋立事業を申請した場合には許可の権限は何れにありますか、こういった場合には先日の工務部長の答弁では事務の執行は工務部にあると聞いておりますが、若しその場合に於ては、群島政府は七十七号を以ちまして知事より市長宛の個人の公有水面埋立申請について適当と思う、この事業は公益上有意義と考えるから許可する方針であるとこういう風になっておりますが、公有水面埋立の許可の権限並に施行はどこがするかを第一におききします。
 次に現在那覇市と群島政府がそれぞれそこを申請しているようでありますが事業の施行は何れに移すべきものであるか、那覇市でやるべきことであるか、群島政府でやるべきことであるか、この点をお伺い致します。
 那覇市と致しましては旧垣花町民を救う意味から是非とも那覇市でやることを考えているようであります。
 那覇市では都市計画に基いて軍民政副長官の許可を既に得たことになっているそうであります、この点についても当局の御答弁をお願い致します。
 次に知事は当初に於て首都の建設についてはその政策と致しまして発表されておりますが、首都として--本予算には数字的には分りませんが--政策的にどういう方面を首都の建設に考えておられるか、その点を更にお伺い致します。
 次は地方平衡交付金の問題でありますが、先日市町村長側と本議会の総務財政委員会と会見をしたのであります、財政部長も一しょに会見したのでありますが、市町村長側と致しましてはどうしても一千万円なければ本予算の執行が出来ないということでありますがこれに対しましては当局としてはその見通しにつき他日を約しておりますが根拠ある他日を約しておられるのか、この点はっきりしたことをお伺い致します、本員の考えでありますが、祖根議員からの提案でありますが、財産目録が示されておりますが、この際財源捻出のためにはその財産も一応議員で調査致しまして民に譲渡すべきものは譲渡し、その方法で捻出も可能ではないかと考えておりますが、これにつきまして知事の見解を承りたい。この二点だけお願い致します。
○知事(平良辰雄君) 公有水面埋立の権限の問題については工務部長からお話があると思いますが、首都建設の問題についてはこれは今迄の状態は都市計画は那覇市がやっている訳でありまして、然しまだ計画しただけで、それの経費問題、財源問題をどうするかというところ迄行っていないようでありますが、然し那覇市が既に沖縄の首都として現れて来た以上単に那覇市だけの都市計画だけではいかんぢゃないか、これにはどうしても首都としての性格をもっている以上群島政府もタッチして責任の一部を担当すべきだと考えているのであります。
 それで都市計画というものを那覇市と一体となって考えて更に強く折衝して行きたい、こういう考えをもっているので、無論それの具体的な経費の問題ということはまだまだ成案になっていないのであります。これからやろうと考えております。
 それから平衡交付金の問題でありますが、これは今度はじめて出した案でありまして、これは現在の市町村の財政状態が今度の新法律によって地方税法の施行によって現実にどういう風にして執行して行くかということをもう少し検討する必要があると思う、それはただ単に増額という訳には行かないのでありまして、新税法によって実施された状態がどうであるかということを検討して尚足りないという結論が出れば、又その時に考慮しようと考えておるのでありまして前からの財政についての色々の資料ももう一ぺん再検討する必要があると考えられますので今年度は無論財源も別にありませんし、この程度をやっておいて又次を考えて見るこういう風に考えておるのでありまして、これをいつ頃からどうするとか、しないとかいうことはお話しし得ないのであります。
 財産を処分するとかいう問題でありますが、この財産は軍の復興費でやった財産でありますので、軍との関係がはっきりしないならば処分はむつかしかろうと思うのであります、然しながらこういう財産を直ちに処分して財源に充てるというような考えは持っておりません。なるべく財産は財産として維持して行きたいという考を持っているだけであります。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 私から泊港の南岸の埋立問題について只今十一番議員(具志頭得助君)からの御質問にお答え致します。去った議会に於て一応これにつきましては工務部の態度をはっきり申上げたつもりでありますが、茲に御質疑がありましたので更にお答え致します。
 今先も質疑者から御説がありました通り、軍布令第二十二号によりまして群島政府は公有水面埋立事業を施行することが出来るということをはっきり明記されているのであります。従いましてこれは私考えますのにあく迄も軍より群島政府に賦与された権限だと私は信ずるのであります。もう一度申上げます、公有水面埋立事業を執行すること、これは軍布令第二十二号によってはっきり謳われているのであります。これは即ち軍より群島政府に賦与された権限だと私は信じております。解釈をしております。この権限を市町村や或は民に委譲する時にのみ市町村も民も埋立事業を施行出来るのだと解釈をしているのであります。これは然しあく迄も常識的な考察から生れる立法の趣旨を私はこういう風に解するのであります。即ち立法の本質はここにあると思うのであります。私は群島政府の持つ認可権はここから発生するのぢゃないかと思うのであります。
 即ち市町村や民に群島政府同様にこの権限が与えられているということは聊か疑問に思うのであります。
 尚私はこれを裏づける軍よりの文書を申上げますならば、一九五〇年十二月十五日に沖縄軍政官府から知事宛の文書にこういう風なのがあるのであります。群島政府及び那覇市がバスライン運営事業をはじめたいとの申出について当司令部はこれを検討して見た、現在のところ群島政府は群島組織法第二条第三項に引用した通りの制限を付した--その制限と申しまするのは一旦民企業が発生した場合にはこれと競争してはならないという制限なのであります--公共施設に関する事業をはじめることが出来ると思うが然し市町村が斯様な運営に参与出来るように設定された方法は何もない。こういうようにバスライン運営に対する軍の意思表示があるのであります。私はこの公益事務に対する軍の意図はこのようにはっきりしているように思うのであります。従いまして公有水面埋立事業につきましても軍の意図を十分に参酌する必要があると私は思っているのであります。こういう点から私は公有水面埋立事業が群島政府に権限があるという風に思っているのであります。
 公共事務についての見解でありまするが、群島政府のもつ公共事業の事業施行の権限と市町村の持つ公共事業の権限がイコールであるかどうかということは私は異った見解を持つものであります。即ち那覇市は群島政府が持つ公共事業施行の権限とイコールするような考えのようでありますが、私は同一ではないと思います。
 私はここに見解の相違があるように思うのであります。即ち私はこの前も申上げましたが、国土計画に属するような事業はどこ迄も群島政府に与えられた権限であると思います。即ち市町村がいくら希望しても若し国土計画の立場から悪い個所であるならばこれに対して許可しない権限がありはしないか、即ちこういう場合には拒否する権限がありはしないかと思うのであります。従ってここらに那覇市と我々の見解の相違があると思うのであります。公共事務は群島政府の持つ執行権限も市町村の持つ権限もすべて同一であるという見解と、必ずしも同一でないという見解の相違がこの問題の焦点だと思うのであります。
 その証左は市町村が市町村領域内に道路を設定する権限があるからそれと同じように公有水面埋立も同じような見解を那覇市はされているような感じをしているのであります。何かしらそこに違ったものがありはしないか、埋立事業と道路の設定とは聊か趣を異にするものではないかと考えているものであります、御承知の如くどこ迄も公有水面は国有であるが故にどこ迄も国土計画の立場からのみ許さるべきものではないかと考えているのであります。ここらが見解の相違の焦点のように思うのであります。
 次は垣花の移動についての御意見でありますが、垣花をあすこに移すことに対しては何も群島政府は反対をするものでありません。結構だと思いますが、何もこれには反対の意思表示をしないのであります。ただ然し、工務部と致しましては三ケ年計画案にも盛ってあるのでありますが、小禄村からあの飛行場設定のために大嶺部落が立退いた、この大嶺部落をあの小禄区に移してもらいたいという猛烈な要望があるのであります。
 従ってあの小禄前からガーナームイ、あすこの一帯を埋立てればそこに垣花の住民と大嶺の住民はそこに移せるのぢゃないかと考え、この方はすでに設計を終りまして、ここも埋立の認可をしようと考えているのであります。私はこういったような点が一つの国土計画の一部ぢゃあるまいか、とこういう風に考えますので、その点も今すでに測量を終っているのであります。
 尚その他にもこういった埋立事業に対しては計画を持っているのでありますが、こういう風に垣花の問題については考えているのであります。然しながら群島政府によって埋立てた泊南岸の埋立地に垣花を移すということ、それ自体には反対しないのでありまして、私は埋立事業そのものは群島政府に於てやるべきではないかと、こういう風に主張するのであります。
◎具志頭得助君 よく分りました。然しながら前の旧法によると都市計画委員会は群島政府自体が持つという解釈でありましたが、私共が市会議員時代に政府でもっていただきたい、日本の旧法によってもそうなっているからと要望したのですが、軍では都市計画は市自体で持てということであったのでそういう点を附加えておきます。
 工務部長さんの解釈は、群島の権限は軍布告及び布令指令に基いて区域内の公共事務を処理し行政事務を行う、という風になっておりますが、私素人でありますが、現実の問題として泊の問題は群島政府がおやりになるのか、市でおやりになるのか、この点だけはっきりしていただきたいと思う。
○工務部(ママ)副部長(西銘順治君)現在泊の公有水面埋立について那覇市と群島政府の間に議論がありますが、相当見解も異なっておりますが、あの問題は問題の本質を大分はき違えているような気がします。
 公有水面埋立を施行する主体は群島政府でもあるし、市町村でもあるし、個人でもあるし、又その他の私企業でもあることは間違いないのであります。問題は公有水面埋立を誰が施行するのか、という問題ではなくて、問題の核心は、この公有水面埋立の許可の権限がどこにあるか、即ち市町村にあるのか、群島にあるのか、というのが問題の核心であるということをはっきり認識していただきたい、許可権限、これは現在の市町村制と群島組織法からしては、はっきりした断定をすることは不可能に近いということをはっきり申上げておきます。然しながら市町村制と群島組織法を比較して見た場合に、群島組織法に於ては第二条第二項fの中に「公有水面埋立事業を施行すること」となっております。然しながらこれが知事の権限となるためにはこれに関する条例が先ず作られなければならないのであります。あれは群島の事務であって群島政府乃至は知事の権限でないということははっきりしております。然しながら市町村制に於ては公有水面埋立事業は何ら謳ってない、又群島組織法に於ては公有水面埋立事業は群島の事務になっているから市町村は行えないという法的な理由にはならないが、然しながら許可する権限が市町村にあるということは絶対にないのであります。
 この二つの法律を比較した場合に、公有水面埋立の権限は現在は軍に保留してあるが、群島政府にあるのか、市町村にあるのかということからして、条理からして当然群島政府にあるべきだとおもいます。
 又大正八年に発布になりました公有水面埋立法というのがあるが、あれからしても埋立の許可の権限は地方長官にあったのであります。然しながらあれにいうところの地方長官と群島政府の知事とは違うのであるが、法の条理からして、市町村にあるのか知事にあるのかという場合には当然知事にあるとおもいます。
 公共事務の問題であるが、公共事務は公益事業では絶対ありません、普通地方団体というものは地方の公共事務を処理するのでありますが、町村長乃至知事というものは地方自治体の執行機関であると同時に又国その他の公共団体の執行機関であります。そういう意味で知事市町村長は国から委任された事務を施行して行かなければならない、それを施行する場合には日本の場合知事は市町村長を監督し指導し若しそれが違法であり、越権行為である場合にはこれを取消すことが出来るということが第十四条に掲載されておりますが、残念ながら沖縄の自治法と比較した場合にはこの国の事務に属しない権限はこれは地方自治体の権限にしてあります。ところが地方自治体と申しましても町村と府県というのがありますから、どこ迄が市町村の事務であるか、どこ迄が群島の事務であるか、これを法的に規制する法律が現在の市町村制にもありませんし、又群島組織法にもないのであります。ところが日本の地方自治法は十四条に於て違法であり越権行為である場合は取消すことが出来ると謳ってあります、残念ながらそういった点に於ては組織法に於ては市町村の公共事務と群島の公共事務を調節する条項が全然ないのであります。そういう意味に於ける国の固有事務以外を公共事務というのであって公益事業では絶対ない、その点をはっきり認識していただきたいとおもいます。
 それから若し市町村に公有水面埋立の事業を許可する権限があれば何も市町村としては上級の自治体から助長育成する必要もないと思います。
 ところが若しないとすれば個人或はその他私企業からするところの埋立申請に関して受理したり、或は却下したりする権限はないと考えます。又公有水面ということが問題になっていますが、普通公有水面というのは公有水面埋立法に於ては、国に属する水面になっています。従ってこれは泊の海岸だから、那覇市にあるから那覇市に所有の権限があるかというと恐らくこれは那覇市もはっきりしたことはいえないだろうと思う。市町村に隣接しているところの公有水面が市町村のものであるか、群島政府のものであるかということになると群島政府に軍配は上ると思う、然しながら群島政府の所有だということも現在の法規を以てしてはいえないのであります。然しながら群島政府か市町村かということになると群島政府の所有に帰せらるべきものだと思う。
 又この公有水面に漁業権その他の権利が既に認められておった場合、果して市町村がこの権利を無視して、企業の権限を公有水面に保持している場合に、関係市町村が知事の許可なくして果して公有水面を埋立することが出来るかということを逆の面から考えた場合に、そういうことが出来ると市町村からはいえないだろうと思います。
○議長(知花高直君) 午前はこれで散会して、午後一時再開致します。
  (十二時散会)

  一九五一年三月二十六日
  午後一時開会
○議長(知花高直君) 開会致します、出席十九名であります、欠席一名であります。
 (二十番仲里誠吉議員欠席)
○議長(知花高直君) 午前に引続き知事の政務報告に対する一般質問に入ります。
◎具志頭得助君 続いて更に質問を致しますが、私は法律の解釈も問題ではありますが、それよりも良心的な解釈を持ちたいという考えをもっております。そう申上げるのは、那覇市に於ては一九五〇年四月十二日前軍政長官シーツ少将によって、都市計画による泊地先の公有水面埋立計画は認可されているのであります。
 それに群島政府では金城田助氏が個人的な立場で出願した場合、本事業は公益上有意義だと考え許可する方針であると、こういう申請書を那覇市に諮問したのであります。その以前に於て那覇市で計画されたものが、更に個人によって申請された場合には公益上有益だといい、そして更に那覇市が積極的に出た場合には群島政府でやるという、こういう見解で本事業上両方対立することは甚だ面白くないものでありまして、どうにか一致点を見出しまして本事業を達成したいという希望をもつものであります。即ち法的よりも良心的な解釈をもって御答弁をお願いしたいのであります。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) それでは先に金城カンパニーに対しては公益上有意義だから許可する方針であるといい那覇市に諮問する文書の中にこういった意思表示をして後でそれが変った、その変った理由は奈辺にあるかという御質疑のようでありますので、これについてはっきりお答え致します。三月一日にルイス氏から知事宛に金城カンパニーの埋立事業申請に対する回答が来ておるのでありますが、お断りしておきますが、金城カンパニーから申請した申請書は知事の副申をつけて軍に出したのではありません。そのまま保留しておったのであります。文書として出していないのであります、ところが金城カンパニーに軍の意思を伝えてくれという文書の中にこういうのがあるのであります。「金城会社が商港に適している該地を勝手に獲得しようと目論んでいるからには民政官は同会社の申出を却下するということを承知願いたい。但し沖縄群島政府は商港として管理したいと望んでいる」。
 ここに私考えたのであります。即ち泊港を中心とするすべての地区の経理は群島政府によってなさるべきものではないか、戦前は那覇港を中心としてそこの埋立や那覇港の経理その他については県自体がもっていたのであります。従いまして戦後に於ても泊港を中心とする経理は群島政府にあるべきぢゃないか、あるべきだと私、工務部長自身もそういう確信をここに持ったのであります。従ってこの金城カンパニーがこれを申請するまでは許していいという見解をもっておったのでありますが、こうした書類の中に沖縄群島政府は商港として管理したいと望んでいるという軍の意思表示によってどこ迄も泊港を中心とするその附近の管理、埋立は群島政府によってやるべきが至当だという考えを持ったものですから、その後群島政府がやらなければならんという見解の下に測量を始め、そして申請書を提出致したのであります。決して個人には許す意図がありながら、那覇市に許さないという気持は毛頭持たないのであります。その点はっきりとお答え致しておきたいと思います。次は今かなり法理的な見解から多少ここに対立といいましょうか、見解の相違を見ているのでありますが、私は法理は法理として、行政処置は行政処置として行くのが我々のとるべき態度ではないかと思うのであります。従いまして今十一番議員(具志頭得助君)からおっしゃったように行政処置によって、歩み寄って協力して処置して行きたいと思うのであります。
 埋立は莫大な財源で、この前も申上げたように六十万住民のために、より多数の幸福のために--少くとも年一千五百万円位に上るのぢゃないかと思う--これを政府の財源に充てたいという熱意が私の決意を生んだんだとこういう風に思っております。
 なお今群島政府は、市がこういう計画があるということを知りながら、こうしたのぢゃないかというようなことをおっしゃっているようでありますが、不幸にして那覇市はこの埋立に対しては我々に何らの相談もないのであります。少しもないのであります。私はおよそ行政の在り方といいましょうか、行政の本然の姿は下級官庁が上級官庁に何か申請する場合は少くともその中間にある官庁を経由するのが行政の本当の在り方ではないかと考えているのであります。これは然し先にも申上げたように那覇市が群島政府と対立して、埋立の権限をお持ちであるという見解の然らしむるところではあるかも知れませんが、少しも群島政府を通っておりませんので、私達には、この金城カンパニーにこうした書類を出す迄は那覇市に都市計画があるということは紙上を通して分っているのでありますが、正式な書類によっては少しも分らないのであります。従ってこういうような結果を生んだのでありまするが、繰返して申上げる点は、法理は法理として、行政処置は行政処置としてこの両方歩み寄ってやって行くことが望ましいことであると私は思うのであります。
 なお本日は先の議会の雰囲気からするというとこの問題にたいしまして相当突込んだ御質疑があるようにも伺っておりまするが、その方は西銘副部長からお答え致すことに致しまして、今軍から、一時から重要な打合せがあるから来いという命を受けておりますので御質疑に答える機会を失うことを遺憾に思うのであります。
 今先の西銘副部長の見解と、私のこの常識的な法規的見解と専門的な法規的見解との間に抵触する部面があったように思うのでありますが、そうした抵触する面は西銘副部長の答弁主張に従ってもらいます。これから甚だ失礼でありますが席を外すことを許していただきたいと思います。
◎祖根宗春君 知事への質問を箇条書にして簡単に質問させていただきます。先ず本年度に入って一番我々が大きな関心を持たなければならない政治上に於ても、経済上に於ても沖縄の民族の帰属を決定する講和会議、それに附属する帰属問題の諸政策に対する知事の見解如何。先ず知事並に政府としましては、戦争で被害を蒙った沖縄住民の被害の補償、それから恩給、預貯金その他債券類並に在外資産の処理についてどういう考をお持ちであるか、講和会議前にどういう方法でこれの資料を集め、どういう方法で要望するのであるか、それに対する準備があるか、どういう心構でおられるか、又講和会議に対する住民の要望、そういった世論を如何なる方法で集められるお考えであるか、それからそれに附随する帰属問題に対する知事の見解を承りたい。現在日本帰属、独立、信託と三つの問題を各政党が取上げておられるが、政府の知事としての三つの問題に対する所見如何。更に三月十九日の本会議に於てこの問題が、日程外の問題が緊急議案として忽然として取上げられ、そして僅かの間に日本帰属を議決しておられる。この議会の議決をどう今後処理して行かれるお考えであるか、そしてこの日本帰属の多数決によって決定されたこの問題は果してこの二十人の議員が全住民の意思を十分に検討し、世論、公聴会或は訪問で世論を蒐集しての決議であると思われるのかどうか。昨年の九月の総選挙に、知事並に群島議員の選挙の時にはどの議員も、知事もこの帰属問題、講和問題については政策も持っておらなかったので従って住民に各政策として帰属問題を発表もしていない、僅かに二月、三月になって政党がこの問題を取上げ、そしてダレス氏が東京に来られたこの一、二ヵ月の間に急に取上げられた問題であって、又住民の意思がどのような世論をもっているか、これも分らない。政府としてはこういう問題はどういう風にして取上げるか、又政府の中の一幹部であられる古波蔵氏はアメリカに於て、アメリカのコネチカット大学の講演会に於て沖縄の住民は大部分が独立を希望しているという講演をしたそうであって、その講演したということはニューヨークヘラルド紙に報道されているという記事を見たのであるが、然らば政府の中にもこうした独立論の人もおれば、又そうでない人もいるが、一体政府の帰属問題に対するはっきりした見通しなり態度はどういう風になっているか、それを伺いたい。
 それから次に二月二日記者会見談に於て帰属問題に対する知事の説明、それを見るとこの問題は人民の意思によって決定される人民の投票によるのが望ましい、然しそれが不可能であれば世論によって陳情する方法もあると説明されて、最後に日本帰属を望むのは反米思想ではないという知事の見解の一端を現しています。然らばこの二月二日に意思表示をされた知事はその新聞の発表した意見によって、世論をよく調査して陳情する心構でおられるのかどうか、それから人民の意思によって決めるとすれば、人民の意思の在り方をどういう方法を以て調査される予定であるか、それから日本帰属は反米思想ではない、そういった思想--日本帰属を主張する--は誰が反米思想だということをいっているのか、又反米思想だという論拠は誰がどういう方法で表現しているのか、そこらにたいする見解。
 その次に社大党と人民党は日本帰属論をはっきりいっておりますが、又議会も多数決を以て日本帰属を議決している、然らばそれに対して知事としては果してそれは可能なりや、ポツダム宣言八の項で見ると、日本の主権は琉球には及ばないという八の条項で日本の主権は琉球には及ばないように我々は解釈するが、それに対する知事の見解、それから今後如何なる相手と如何なる方法で日本帰属の運動をされる構想を持っておられるか、それから現在米軍占頷下にあって、米国統治下にあるが、果して日本帰属をすることが今より良くなる我々の政治、経済、衣食住あらゆる面で日本に帰属した方が今より遙かによくなる、こういう御見解がおありであるかどうか、それから日本に復帰した場合に本年度の税額を見ても年鑑に載せられている日本の予算を見ると六千七百三十二億円、その中の租税収入が四千五百四十二億円、これを日本の人口に割りますと、一人当り五千六百七十八円強、これを沖縄の五十九万の人口に掛けると三十四億の尨大なる予算を日本政府は案を作って議会で只今審議中である、更にフィリッピンは八十億ドルの損害賠償を日本から取りたい、これを強硬に主張しているようであるが、フィリッピン一国だけでも日本に八十億ドルの戦災賠償金を要求している、これを日本人口の一人当りは一万一千円である、こういう点から考えても、日本帰属をした場合に租税、賠償金、そういったものを果して沖縄の住民が十分にこれを負担しきれる財政能力ありとお考えであるか、その点、それから現に日本は再軍備するであろうということを予想されるが、日本が再軍備した場合に沖縄住民が日本に復帰してその軍備力を負担する能力があるか、又更に兵隊になる覚悟を持っているのか、再軍備に賛成するのであるかどうか、現在沖縄で軍作業及び貿易及び国内のサービス業によって相当ドルを稼いでいる、そういったものも日本に復帰した場合に沖縄に於て保留して使える見通しがあるかどうか、更に不幸にして信託統治になって借地料及び租借料をアメリカが支払う場合にこれを日本政府に戻さないで沖縄自体の財政面に繰入れ留保して使える見通しがあるか、或は更に日本に繰入れても還元して、沖縄のために使うという見通しがおありであるかどうか、そういった点について知事並に政府としての御見解を承りたい。
 その次は中央政府の問題について知事の御見解を承りたい。
 我々が一番気にしている問題は中央政府と群島政府、市町村こういった三つの政府形態をとった政治形式を持って行った場合に屋上屋を重ねて非常に住民の税負担が三重の負担を課せられて非常に困るのではないかという、心配が世論になっております。それと同時に中央政府と群島政府との縄張争いが税、権限その他色々な方面から権限争いが生れて来る虞れはないか否や、それから知事は自らの政策及び社大党の政策の中に強力なる琉球統合政府の政策を掲げておられるが然しながら知事は四知事会談に於て中央政府の下に現在の群島政府をそのまま置いて、市町村をその下に置いて所謂連邦制で行きたい、こういう四知事の決定を軍に申請をされるそうでありますが、それは知事の政策、社大党の政策と矛盾している点があるが、そういう点はどのようにお考であるか、中央政府に対する見解を承りたい。
 公務員法制定について意思がありや、その時期如何、又この公務員法によって政治又は政党に活動する、或は加入する可否の点の見解如何。
 四、俸給生活者の生活安定に対する対策如何。給与ベースの限度は幾ら位のベースにして生活して行けるか、その生活の基準限度をお伺いしたい。
 それから現在ドル稼ぎの一番大きな財源になっている軍労務のドル賃銀が安いことは世評であるが、これに対するドル賃銀の実質的な値上りに対する政府としての、知事としての対策、それから俸給生活者の今後最も憂慮される問題は毎月東京に於ては四、五%宛の総平均の物価の値上りを来している、そういったのが自然沖縄の経済にも輸入物資を通じて非常な値上りを来しつつある、従って今後俸給生活者の生活はますます苦しくなると思うが、それに対して現在の税法を更に改正して基礎控除とか、扶養控除を改正し引上げて、生活の安定に資する御意向ありや否や、それから群島政府職員が現在の定員よりもっと減らしてそして仕事をやり得る、そういった見解をお持ちであるかどうか。それから減員により浮いたものにより待遇改善をするような考慮をされたことはないか。それから税についてであるが、国民所得をいくらに見てそして税金をそれから算出しておられるのか、果して沖縄の住民の担税能力が十分ありとして考えられるか、それから負担は均衡をとられておられるとおもうかどうか。それから水産とか、工業とか、商業とか各産業面毎の均衡に対する見解如何。それから脱税の見解、脱税が大体あるかないか、あるとすればどれ位ある予想であるか、その防止と処罰に対する見解。それから次は富裕税新設の見解ありや、否や、即ち現在約十三億円のB円の発行の中十億が民間に分布されている、これを沖縄九十万余の人口に割ると一人当り約千円の所持金になって一家五人としても一戸当り五千円の所持金という割合に考えられますが、しかし農村とか漁村とか非常に金詰りでどの家庭に行っても五十円、百円の金はあるとおもうが、五千円平均はとても持っていない、確かにこれは偏在しているが、その偏在を税制によって如何に改革して行くか、又その用意があるかどうか、それからどんどんインフレ態勢に進んでいるが、それに対する施策。その次は農水産物に対する価格政策についての構想、現在例えば砂糖の問題であるが、沖縄の農産物の価格を維持する点から行ったら砂糖は輸入しない方がいい、そして砂糖の奨励をして、砂糖会社を作らせつつあり、又製糖が一つの基礎産業として群島政府の施策の意味でも砂糖は輸入しない方が農民の保護にもなると思うが、聞くところによると工業協会を通じて台湾から酒の原料として三十万斤の砂糖を入れると聞いているし、又今後ひきつづき入る、更に又酒の原料として砕米を輸入する計画もしていると、更にハワイの商社から砂糖を入れる計画もあるように聞いていてどんどん砂糖が沖縄に入る傾向に進められている時にこの影響を受けて沖縄の砂糖が全然採算を割っても他から入って来たものと太刀打出来ないということが心配され、糖業の前途に非常に不安におもわれている、これに対する知事の施策如何。
 今後更に貿易が発達すればする程外国の貿易品に農水産物が圧倒されて生産費を割るような事態がなきにしもあらず、こういう場合農民を救済する補償施策を考えられたことがあるか、その準備があるかないか、その次は貿易品と配給品と農産物、水産物の価格調整及び輸入調整についての御意見があれば承りたい。
 その次に平衡交付金の増額については先の説明で当局の御意向はよく分りますが、まず財源を見つけてから考慮される、こういうお話でありますが、これは市町村長並に市町村全住民の要望でありまして、どうしても一千万円ではやって行けないことは分っております。それで政府としてはまず人件費の節減とか或は自由開業に伴って病院の建物、医療器具、そういったものの払下げによっても相当の金が浮くだろうし、それから只今政府が組んでいる人件費--これは定数条例より二千二百人以上の余分の人件費を組んで、その金額を仮に一人につき二千五百円平均としても二千人で五百万円、従って年額六千万円に上る、こういった定員外の人員を組んでおられる--そういった方面にも多少節約して財源の組替をして平衡交付金に廻す余裕はありはせんか、そこらに対する見解。
 更に消耗品、備品の一括購入によって節約出来る部面、更に印刷物に対しては印刷工場、自動車の修理に対しては機械工場の直営、そういった部面からしても経費が浮くのではないかと考えられますが色んな方面から考え出して平衡交付金はふやすことが出来ると考えられるが、これに対して今後議会並に政府当局が是非考慮することが望ましい、これに対する見解。
 次は離島航路の施策についてでありますが、トラックやバスは儲かるので誰でもどんどんやるが船舶の離島航路は殆ど赤字で経営難に陥いっている状態であって五万離島民が一番困っている問題は航路問題であります。これに対して政府は公営でもって離島を救済する意思があるか否か、それから現在船を購入しようとしても離島民には金がない、日本から来ているものは大体一トン三万六、七千円或は物価があがっているので一トン当り四万円位の船代になる、五十トンでは二百万円の金がかかる、そういった金を出し合って解決し得ないのである。
 こういった航路についての政府の救済と更に購入を民間でやる場合の対策、更に航路補助金に対する心構があるかないか、砂糖やその他が離島から出て人間も非常に多くて相当の仕事があった時ですら一村当り少いところで三千円から二万円位の航路補助をもらって漸く離島は航路を持っていたが、戦後はこれがなくて非常に困っている、航路補助を出さなければいけないと思うがそれに対する政府の御意向を承りたい。予算編成方法の改善について、現在民予算と軍補助金と一つに纏めているために予算の審議にも不便だし又軍と民の年度が違うために軍の方が許可になる迄は完全な予算が出来ない、そういった予算の編成方式に於て、例えば軍補助金は臨時部に入れるか、或は特別会計に切離して民だけを先にして軍が決ったら後で入れる、そういった改善方法についての見解。
 それから更に常に条例とか法律とか或は予算とか、そういった問題は事前に了解を得てから然る後に議会にかけて決定したら直ぐに効力を発するようにすることが望ましいとおもうが、当局のこれに対する御見解。
 現在農、水、工会など経済団体の改組の時期に遭遇しているがこれに対する知事の見解。
 それからこういった団体と群島政府並に議会との繋りが今まで全然ないと思いますが、これに対する関係づけがなければならんと思うがこれに対する見解。それから独占物資としてこの団体が扱っている物の手数料の軽減は沖縄住民の要望となっております。即ち例を農連にとって見ると琉農があり、沖農がありその下に更に単位組合があって一つの肥料を三つの機関を通して来なければ受取れない。安いのは五割、高いのは七割も手数料が加算されて高い物を農民は買わされている、こういったことが農民漁民からの非常な苦情の的になっております。
 この改組の機会にこういった手数料をなるべく安くする、そして簡単な組織にする、そういったものに対する知事の見解。
 最後に一つ、公益事業が常に問題になっているが、先ずどういうものを、どういう事業を、どういう種目のものを政府事業として、或は公益事業としてやるお考であるか、現在水道、バス、電気、埋立、こういった項目の問題が取上げられているが、それ以外に更に今後政府はどういう種目のものを取上げたいか、そういった案があれば御発表願いたいと思う。そして只今那覇市との間に色々な問題が起っているが、これは群島組織法なり市町村の制度、法律の解釈の出発点からして見解の相違から来ているが、これを機会としてそういった問題、群島組織法、市町村制の悪い点を修正してはっきりさせたらどうか、而して公益事業はどこまでも儲けないもの、つまり利益のないものであるが、公益性をもった事業或は民間の資本技術ではなし得ない事業、或はそれがどうしても公営でなければならない性質のものでなければいかんと思います。そういった三つの理念をもってやるのが好ましいと思うが、それに対する政府の見解、以上であります。
○知事(平良辰雄君) 一番はじめの講和会議、帰属問題、住民の戦争被害とか、補償金とか、或は恩給、預貯金その他の債券そういうものの処理はどうするかという問題でありますが、これは現在に於ても政府としては要求しておるのでありまして、これが日本に帰属した場合にはこれが促進されると思っております。
 今よりも簡単に解決出来ると思っております。それから講和会議に対する要望を相手方に如何なる方法で要求するや、又住民の世論結集方法如何、世論を結集する方法といっては現在のところでは要するに政治的活動をするのは政党でありますから政党の動きが一番大きな世論であると私は考えております。それで世論を結集する方法として別に人民投票でもさせるというようなことは考えておりません。それから日本帰属、独立、信託の三問題に対する見解如何、これは私は日本帰属を主張するものであります。議会でもってこの問題を簡単に処理したということでありますが、これは選挙の際この帰属問題を掲げて人民の投票を取っているのではないから不合理であるというお話のように聞いておりますが、決して議会は人民と主義政策を約束したものばかりを決議する以外にはしてならんということはないのでありまして、住民を代表しているからにはその人の責任で色々な問題を決議することは当然だろうと考えております。期間が短いとか短かくなかったということは私から説明申上げる必要はないと思います。
 こういう問題は非常に重要なる問題でありまして、人民は前々から研究している筈であります。そして又皆さんも研究しておったろうと思います。その時の気分によって左右されたとは考えておりません。十分今迄の研究した結論であろうと見ているのであります。それから知事の声明の実相というのですが記者会談に於て世論がどうであるということを見てそれによって陳情する必要があるということはいいました、その通りやろうと思っております。それで議会でも決議したり政党としても決議した以上は知事としても当然沖縄住民の動向はこうであるということをマックアーサー民政長官に通達する義務があると思います。これは近い中にやる考をしております。日本帰属が可能であるか、ないかということは分りません。これは講和条約の当事国、米国の首脳の方でなければその見通しは分らんのでありまして、我々は希望を申上げてそれに向って、それを達するように努力するだけであります。
 それから日本になった場合はよくなるか或は悪くなるか、これは日本に帰属した場合にはよくなると思っているから日本帰属を主張するのでありましょう。税金が高くなるとか、軍備問題とかいうものは日本自体として、我々が日本国民として一しょに処理すべき問題であって、今高いとか低いとかいった議論をしてもしようがないと思う。それから租借料を留保し得る自信があるか、ないか、これもその通りでありまして、我々はどこ迄も政治に参与する権利、発言する権利を持っている以上は自分で確保することが必要だと考えているのであります。
 中央政府の樹立については、これは何遍もお話をしましたが、統合政府を希望するのであります。ただ現在の段階として、その通り行っていないのを遺憾とするのであるが、これも時勢に応じて推進して行けば目的が達成されるのではないかと思っておるのであります。
 公務員法の制定については、これは制定したいということを何遍も申上げたが、今度はそのためにわざわざ職員を日本に派遣して研究させたいと思っているがこれは相当研究してからでなければ時期も分らないのでありますが、なるべく早くしたいと思います、その内容が、どういうものであるかということも、大体は日本の制度に順応して行きたい、あれは大体研究しているものと思われますし、又最近は日本でも改正されつつあるような状況でありますので、要するに日本の公務員法を日本に行ってよく視察し研究して大体日本の公務員法に則って行きたいという風に考えております。それから俸給者の生活問題でありますが、これは賃銀が--先程二十番議員(仲里誠吉君)からも質問があったが大体あれで答弁は尽きていると思うのでありますが色々の物価があがって来る、輸入物資の値段もあがるのでだんだん他の物価もあがって来る、俸給はこの間あがったのでありますが、それで満足に行くかどうかということは、これから間断なく研究して行かなければならないのでありまして一ぺんあげたからといっていつ迄もそのままではいけない、時に応じて又改正もしなければならないのであります。基礎控除もその通りでありまして、一応はやりますけれども永久にそのままという訳ではないのであります。これから研究したいと思っております。
 職員の減員についてでありますが、現在のところ減員は困難と思っております。これは待遇改善についてはむしろ積極的に待遇改善をしなければならんと思っておりまして減員によってこれをやるということは今のところ考えておりません。税については今のところ富裕税とかいうものは別に考えておりません。脱税があるかないか、これはあると思います、これに対してどういう罰則をするかということは後で財政部長から答弁がある筈です。負担の均衡を得ているか、今のところ得ているとは思いませんが、財政操作上の出来る範囲に於てはこの程度で負担の均衡が一応出来ていると思いますが、然しこれも絶対的なものではないのでありまして、これから研究して更に訂正したい。農産物の価格は先程二十番議員(仲里誠吉君)に答弁した通りでありまして附け加える必要はありませんが、砂糖の輸入とか砕米の輸入とかいうことについては、砕米の如く輸入してそして泡盛をつくって出すということは賛成でありますけれども砂糖を入れて却って生産を圧迫するということは非常に考慮を要すべき問題だと思っております。価格暴落についての補償制度、これは考慮しておりません。
 平衡交付金の問題も答弁した通りでありまして、今単に財源がないからというばかりでなくて、もう少し町村地方財政の行き方についても根本的な考え方がなければならん、ただ今迄通りに市町村の財政をやって行くかということも研究問題でありまして、こういう問題についてはもう少し研究を加えて増額が絶対に必要であるというならば財源も考えているのでありまして無論今は財源はありませんけれども、そういう積りであります。まだ研究の余地があるということだけを御承知願いたい。離島航路の問題についても何遍もお話したと思いますが、これは今工務部の方で色々対策を研究しておりますので結論はどうしても、ただやりっ放しではいけない、群島政府直営の航路問題は考えていないのでありますから、地元の航路に補助するという方法で行かなければならんのぢゃないか、と考えております。
 予算編成の問題でありますが、これは軍から認可を得てから後に提案するという考え方も無論はっきりしておりますけれども、然し人民の意思も早く知らすという点もありますので、向うから来ているものをそれだけ盲滅法に、というよりも少しは我々の意思もこれに入れて出来ない前に提出して、それで出来なければ出来ないで後で更正した方がいいんぢゃないか、私はそういう見解を持っているのであります。
 それから経済団体の改組、これは色々と新聞記事も出たのですが、これはいろいろ間違もあったようであります。要するに独占を排除しようというのがアメリカの考え方で農産資材、水産資材をそういう機関が取扱っている、それを独占的に向うにやらしているという考え方であったようで、組合自体の定款規定にもそういう独占的な規定があったのではないかと考えておったらしい、ただこれはこういうものを軍の代行に使っておっただけであって、話は簡単にすんでいるのでありまして、これは近く協同組合法が出来る運びになっておりますので、それと一しょに例の農水金庫の問題も出て来る筈でありまして、この点は我々も強く主張しその実現に努力しているのでありますが、大体管轄が群島政府でないために非常にその点は積極的に出にくい点があります。
 議会と経済団体との関係といいますがどういうところといっているか分りませんけれども、こういう経済団体に対する意見なんかは群島議会でどんどん述べて差支えないのぢゃないかと思っております。
 手数料の低減とかいう問題が今の改組の問題になって来るのでこれが改組になれば、本当に民主的な協同組合が出来れば、それによって自治的に、自然にそういう問題は解決されると思います。
 公益事業の限界でありますが、これは先程の祖根さんの意見の範囲以外に今のところ考えておりません。電気であるとか水道であるとか病院であるとか交通機関であるとかいったようなもので、それ以外に何か他のことは今考えていないのであります。
以上、尚補足の必要があれば各部長からでも答弁をお願い致します。
○財政部長(宮里勝君) 現在脱税があるか、あるとすればそれに対する対策如何、こういう御質問に対してお答え致します。端的に申上げますれば、あると思います。例を申上げますならば勤労所得税に於ても源泉に於てきちんきちんと徴収はされているが扶養控除に関連して同一人の扶養者を或は主人からも控除する、妻の方からも控除する、或は実際以上にこれを殖やして申告するとか、或は事業所得に於ても九〇%迄は実際の所得の申告をしていないのでありまして、従いまして税務署では多くの日数と手数とをかけて調査決定する、こういう風に致しているのであります。
 間接税に例をとっても今朝の新聞にも出ておったが劇場あたりに税務官吏が行って調査した場合には三千名もある入場者が検査に行かない場合は半分にも充たない、こういう実情から見てもあると思うのであります。従ってこれに対する対策でありまするが、これは三つの方法を考えております。一つは税法上の強化であります、一つは機構の改革、一つは税務官吏の訓練、こういう三通りの考え方があるのであります。
 税法の強化、これは課税の決定権能を与えて貰う、例えば間接税に於ては営業者が申告して来た場合はそのまま受入れるより外はないのであります。
 証拠をつかんで処罰するという方法もありますが、これに対しまして税務当局に対して認定して課税する権能を与えて貰う、一つは徴収法の規定であって現在戦前日本で使っておったものを準用しているが、これは規定が古いのでありまして実情にそぐわない点がありまして、これを改革したいという点を民政府に陳情しております。それから行政上の罰則でありますが、例えば加算税、或は延滞金を徴収するとかいう風にして強化して行きたい。徴税機構の改革でありますが、これは徴税署の設置を致したいと思っております。最近も指令が参っておりますが税は税務署で徴収してから琉銀に払込む、琉銀に営業者が直接持って行ってはならないという意味のことが参って来ておりますので、これを十ヶ所程度の徴税署を設けて速かに徴税をしたいと思っております。それからもう一つに税務官吏の訓練でありますが、現在講習会とか、そういったことをする機会がないのでありますが、今後新任者の税務官吏の講習会などを開いて訓練をし或は又民政府にもお願しているが、日本あたりに派遣して向うの講習所に入れて訓練してもらう、こういう風に税務官吏の訓練によって徴税面の強化を期したいと考えております。
◎長浜宗安君 こういうことを申上げることはいいことでもないと思いますが、度々の議会の一般質問でよく感ずることは或る議員が質問したことに対して又自分の計画にあったからという訳か知りませんが、同じ質問を繰返す、或は連絡すれば簡単に分ることを事新しく議会に持出して貴重な時間をそのために消費してしまうということは非常に残念なことと思います。今後そういうことがないように頭をうんと整理していただいて簡潔に質問をしていただきたいと、こういう希望を申上げる次第であります。
 只今から二つの質問と二つの要望を致します。
 去った一月の臨時議会に於て本議会が軍使用地の使用料支払に関する外三件を採り上げて陳情したことに対して先般の本会議に於てその回答が書記長から朗読されたのでありますが、それによると、軍でも考慮中でありそのためにわざわざ日本の勧銀から鑑定課長と主任調査官が来島して沖縄の財産の戦前と現在の価値を評価しつつあるということを聞いたのでありますが、この問題は沖縄の財産を評価する重要な問題であって、これをただ日本の勧銀の人々が来て軍と一しょになって評価してもらうということは非常に心細く感じますので、どうしてもこれは沖縄人の代表でも、この財産評価委員会あたりには参加したいというような気持をもっているが知事としてはこの二人が来られるということはよく御存じでありますし、その人々に会ってこの人々はどういう意向を持っているか、こういうことをよく確めていただきたいことを希望致します。
 野菜類が日本に輸出出来るというようなことで金詰りに喘いでいる関係者に非常に明るい感じが致しましたが、輸送賃の問題で各船舶会社が協定して三ドル五〇セントを六ドルに引上げるような新聞報道を見て非常に沖縄の輸出産業の奨励上由々しい問題であると感じておりますが、当局としてはこの問題のためにどういう解決策をとっているか、或は又今後もそういう問題は度々起る可能性があるが、これに対してどういう対策をとっているか見解を承りたい。これは十四番議員(祖根宗春君)もいわれ又知事も施政報告の中に脱税と滞納は随分あるということを指摘されたのでありますが、これは監査委員会の報告によっても明かでありまして、何故そういう脱税滞納行為が多いかということを考えて見た場合、一九四八年度の申告による課税ということを決めて不均衡なところがあったということ、その時の官公吏が殆ど住民の幸福というような気持を忘れて、道に外れて収賄行為あたりに終始してそれを住民が知っているのであります。月給をくれんでも十分やって行けるのだ、或は先程申上げたように賦課の均衡がとれないために、でたらめなやり方をするというので当初申告による事業所得税の賦課の際に滞納或は脱税しようという考えが相当あったように思うのであります。これらの脱税滞納を防止するためには捕捉し難い事業所得税、これの課税に際して適正をはかられるということが極めて重要であると考える。これに対しては当局も相当に考えていることと思うが、出来得れば民間側からでもそういうものを、査定委員でも挙げられて申告したものに対して検討を加えて均衡を保つという考え方をもっていただきたい。それから二つは中部振興会で各村を廻って公聴会をやった、その時に出たものでありますが、第一に今度の教育条例によると各初中等学校の備品消耗品が殆ど各市町村が負担するようになっているが、之は市町村財政の立場からどうしても群島政府予算に計上していただきたいというのが一つ、次に社会教育の施設を拡充して社会教育を強化していただきたいという二つの要望がありましたので要望致しておきます。
○経済部長(呉我春信君) 青物出荷の隘路に運賃問題が登場したことは御説の通りで非常に心配しておりますが、この問題については暫定的ではありますが、一応解決はしているのであります。恒久的な解決策としてはどうしても沖縄民自体の設立にかかる運送会社を強化して日本商船に対する競争まで行かなければ根本的な解決は出来ないと感じているものであります。ちょうど向うは五社やって来ておりますが、これは考え方によっては五社が協定して団体独占みたような形になっておりますので、この独占を排除しますにはどうしてもそれと対抗する機関を持つことによって解決出来ると思います、かような見解を持っております。
○財政部長(宮里勝君) 税の賦課の公平を期するために査定員(委員カ)を設けたらどうかという御質問でありますが、現在の税法全般が申告納税制度を採用しておりまして、戦前でありますれば所得調査委員というのがありまして査定しておったのでありますが、当時は申告納税制度ではなく申告をしても一応税額を決定する、従いまして所得が一万円あるという申告をして税務署長が一万円と認めても更に一万円と決定したと通知をするようになっておったのであります、現在は納税申告制度でありまして現在この委員を設置することは税に対する基本的観念に背馳することになりますので、この査定委員を設けるということに対しましてはまだまだ研究の余地があると思います。ただ考えますのに決定したものに対して不服がある場合は異議申立をする、更に税務署はこれを調査して若し是正すべきものがあれば是正するという方法を講じ、なおこれに対して不服があった場合には審査委員制度というようなものを設けても差支えなかろうかという風に考えまして、これは今研究を進めております。
◎平良幸市君 四点だけ質問致しまして関連した事項の希望を申上げます。
 (一)軍使用地使用料の件
 (一)商業資金に関する件
 (一)外資導入に関する件
 (一)国民指導員に関する件
 これは我々中部地区出身の七名の群島議員が十四ヶ町村での公聴会から得た住民の声の一部であります、他のことは他の議員によって発表することになっております。
 軍使用地の件は十二番議員(長浜宗安君)のものへの追加であります。琉球列島米国民政府に対する指令の中に第一項C項でありますがその中に、「一九五〇年七月一日以前に米国が使用していた、個人財産に対する使用料の支払」こういう文句がありますが、然らば戦時中米軍が幕舎を建てておってその後潰地の形になった土地もこれに含まれるものであるかどうか、その他で潰地になったものも該当するかどうか、若し該当するとすれば土地調査の結果によると不正確であるが、現在の土地調査委員に調査させられるのであるか、誰が調査するのであるか、尚軍が造ったところの道路、あれは軍使用地というものに含まれるのかどうか、更に軍の応急に造られた道路は土地調査の結果によって使用料を支払うといった場合にはっきりした境界が分らないのが中部地区あたりでは相当にあるのでありますが、そういった境界はどこで処理するのか、更に現在戦前の所有主が日本にいるために代理申請をしているが向うから委任状を得れば所有権の代理行使が出来るかどうか、なおこれに附随して土地所有権問題には幾多の問題が含まれているのでありますが、軍使用地の問題が適切に処理されるのであれば所有権確認と同時に予想される幾多の問題がスムースに解決出来るが軍使用地の解決がそうでない場合は問題が沢山出て来る、従って先程十二番議員(長浜宗安君)の意見と同様軍使用地使用料の評価に関する問題を出発点と致しまして非常に慎重にこの点は処理して貰いたい。以上は希望であります。
 二番目に中部地区の公聴会で住民の声はこういう声が出ております。我々の兄弟である軍作業員が稼いだドルによって沢山の物資が買われており我々は非常に有難く思っている、それが商業資金に廻っているそうであるが然らば我々の兄弟が稼いだドルは今日迄いくらになっているであろうか、我々はB軍票をいただいているのであるが然しながら我々の兄弟が稼いだドルである以上は我々に代って群島政府はこの資金の運営については十分意を払われているであろうか、という声であります。これは商業資金を金庫化してこの運営を民自体で握ってもらいたいという住民の切なる声であると思っております。それに対する政府の見解。
 三番目の外資の問題でありますが、これは大東島に日糖社が来て仕事を始めるのだという意味合の新聞記事から中部地区には戦前沖縄製糖の工場が嘉手納と西原にあったが、これは沖糖が来るのではなかろうか、戦前に所有権があったからといって、どんどんと入って来てよいものであるかどうか、これは外資ではなかろうが、外資であるとするならば受入れる場合には考えて貰わなければいかんのぢゃないか、こういう意味の声であります。これによってどうしても外資導入は受入態勢を整える上から何らかの形の委員会設置が必要であると考えられるが、これに対する当局の考え如何。
 国民指導員の派遣は従来二名が国民指導員として米国に行ってからこの方々が帰って来られて今後の活躍に期待を持つものであるが、何といってもこれは慰労出張でありまして沖縄住民の民主化のために推進力になっていただく点からもっと多数のしかも群島政府に於ける中堅職員から派遣していただきたいというのが一つの希望であります。これと関連致しまして高められた民主化の国アメリカの文物制度を視察研究するということは沖縄の民主化に非常に有益なこととは思うが、更に必要なことは現在民主化されつつあるところの日本へ派遣するということが、より必要ではなかろうかと思うのであります。既に群島政府に於ては研究訓導の派遣、或は講習会に職員を派遣しているが近くは市町村長からも行くといっておりますが、これについて強く要望致したいことは何といっても経済団体は資力を持っておりますが、この経済面から、行政に携わっておられる方々から、更に教員から或は新聞人から、この四方面から入りかわり、立ちかわり日本に行くのでなければ沖縄民主化の早期実現は期せられないと思うのであります。よって私は次の点を希望致します。議会からも勿論行かしていただきたい。何れこれはお願いする筈でありますが、現在の群島政府の中堅層の職員は群島政府の職員になる資格の一つの条件としてでも、全部どしどし日本に派遣さしてもらいたい。単なる講習会出席のためではなくして中堅層の方々に日本に行って、空気にふれて来るだけでも沖縄の民主化のために非常に役立つと思います。
○法務部長(知念朝功君) 第一の質問にお答え致します。マックアーサー司令部から副長官宛に送った指令書の中に一九五〇年七月一日以前、即ち六月三十日迄合衆国が使用した私有財産に対しては土地代を支払うということになっておりまして、結局この指令の内容は南西諸島は一九四五年四月一日を以て占領されたということになっております、それで四月一日以前にアメリカが使用しておった土地というものは使用ではありませんで戦闘行為なんです、それに対しての使用料のことは考えられません、これは当然の権利ですから。次は道路の問題でありますが道路も軍が造っているものは軍が使用していいと考えます。境界の争いの問題でありますがこれは調停委員か、それに類似のものをつくってまず調停で解決したい、それでもどうしても争いがあればこれを解決するのは裁判所でありますが、使用料支払の方法とか額についても合衆国と交渉すべきものを、政府側としても何か機関を持たなければならないだろうと考えております。
○知事(平良辰雄君) 軍使用地の問題については問題はこれからでありますので慎重に我々は対策を講じたいと思っております。それから商業資金の問題でありますが、これも御意見の通りで結構でありますが、大体商業資金は沢山あってなかなかそれが運営出来ない位に迄なっているようでありますが、要するに軍労務者に対する賃銀を払うためにはアメリカのドルを物に変えてその物を住民に売ってその金で払うということになる筈であります。
 それがどんどん捌けなければ軍が非常に金が差支える訳でありまして、之は皆が希望するものというよりも早く売れる物を入れるという風に向うが焦っているようでありまして、我々が之を入れて貰いたいといっても、これはガリオア資金とは違いますので、そういう面で困難があるようでありまして、出来るだけ民側の意見を入れて生産面に使うようには考えておるようでありますけれども、今のような状況で兎に角早く金に変えたいというのが向うの考えでありますので、努めてそういう風にして行きたい。外資の導入についても大事を取ってやっておりますが、具体的な問題については別にそういう問題は起っていないのでありますが、何れにしてもこれは、そういう問題があれば委員会とかの制度も必要であろうと考えております。指導員の方も御意見の通り十分努力したいと考えております。
◎石原昌淳君 私は民住宅の復興促進と工業の振興発展策、工務部復興工事の施行方針について所見を述べ当局の御答弁をお願いしたいと思います。
 現在、沖縄の民住宅の状態から致しまして特に今年も亦暴風期を控え、この時期に当りまして住宅建築促進が沖縄の経済復興の中で取り残された一番大きい且つ緊急な問題であると考えられますし、又この復興促進の問題が全住民の切実な要望であり或は悲願であると考えられますので、その建築復興促進方策について自分の考を申述べ、当局の御所見を承りたいと思うのであります。
 終戦後建てられました規格住宅ももう既に耐用年数に達しておりますし、その殆どが仮小屋同然になっております。これらの住宅は若しも一昨年のグロリア台風みたいな暴風があります場合、文字通り吹飛んでしまうような状態にありまして、全沖縄の多くの住民はこの暴風期を控えて戦々兢々として不安に駆られている状態だと思うものであります。ところでこの住宅復興に必要な資材が思うように入りませんし、その資金がどうにもなりませんので遅々として進まないのが、この住宅復興の現状だと思われるのであります。先ずこの資材、木材の面でありますが戦前の沖縄は殆ど住宅建築資材として日本杉材に依存しておったのでありますが、現在は正式のルートとしては殆ど一本も入らないような状態でありまして、その値段の面から見ます場合に日本の九州地方で杉材は一石千三百円から千五百円しておったのでありますが、それにこの四月一日から一千ボードフィートで百二十ドル、その計算で行くと一石から五百四十円あがるのであります、これを加えましても千八百四十円から二千四十円位で沖縄に届くような値段になっております。沖縄の木材の相場の現状はここでB円にして千八百円から二千円しております、ちょうど三倍の値打のある沖縄のB円で小売値でちょうど同じ位になっております。
 これを若しも正式のルートで入れることが出来ますれば割合からすれば三分の一、それに運賃諸掛がつくだけのことでありますので、いくら高く経費がついても半分にして現在の市価の半値には喰止め得るのであります。或はうまく行けば三割五分位の値で喰止め得るのぢゃないかと見られるのであります。ところで日本では輸出貿易管理令によって、この杉材は沖縄に出すことは止められていて、これが入れられないのが現状でありますが、杉材であれば、例えばインチ板として鉋をついた板であれば出せる、或はフローリングといって加工したものならば出せるという途があるのであります。又最近は仕込材であれば出せるかも知れないという風なこともあります。して見ますというと、どうも日本で加工して利益になることであれば出せる途があるようであります。
 高嶺さんも以前から、先般帰省の場合にも、またこの問題は政治的折衝の問題として解決の余地があると思うということをいわれたし、又先般琉大の開校式にお出でになった水谷次官も帰りましてからの御挨拶の中に、木材の問題は農林次官にも早速取上げてこれを話したからということをいわれております。そこで私はこの住宅復興、学校も含んでおりますが、この建築復興促進のために沖縄の自立経済確立の上に本当に全住民の切なる要望事項であるということ、更にそのためにはどうしても日本の杉材でなければいけないということ、この理由は後で申述べますが、こういうことを日本政府及びアメリカ民政府の方に強く愬えれば、政府も議会も各々の立場から或は又一体となって強力に、沖縄の政治問題としてこれを取上げるならば或は開かれる途があるのではないか、沖縄に関する関心も昂まっておりますのでこの時期を捉えて我々の切実なる要望を通す運動を展開したらどうかと思うのであります。
 この点について現在当局の建築復興対策としての木材輸入について何か対策を持っておれば伺いたいし、又この強力な陳情運動を各方面から展開することがこの際必要ぢゃないかと思うのでありますが、これに対しての御意向を承りたいのであります。
 次に工業の振興発展について申述べて見たいと思います。自立経済確立の基礎が生産業の振興発展にあることは今更申上げるまでもないことであります、然るにその生産業の実情は農、水、工何れの面を見ましても誠に心細い限りであり、今にしてその根本対策を講ずることがなければ、沖縄経済は遂に永久にその基礎を築くことが出来ないのではないかと憂うるものであります。そこで農水については他の議員の方々からも論じられましたので、私は工業の面について自分の所見を申述べてその対策について御説明を承りたいと思うのであります。
 沖縄の工業が何故興らないか、私は沖縄の現在の工業の基礎が終戦後資材も設備も一切自由に得られなかった時代に起ったものであり、又資金も当時全然なかったのであります。又何でも造れば売れるという時に起ったのでありまして、その発足当時はそこに計画もなければ又理想ももたず生れたものであって、そのために初めから合理的建設がなされていなかったところに今日の興らない一因があると思うのであります。
 物がない資金がない、尚今日ガリオア資金によって設備も入れることが出来る資材も入れることが出来るようになりましたが、或は復金を利用して設備を整えることも出来ますが、復金を利用するのに二割のB円の資金がない。そういった資金難ということが大きな隘路であると思うのであります。更にもう一つは割合に商業方面の利益が高くて、利潤の低い生産面からその方面への企業意欲が非常に鈍って来る、更に貿易によって日本から自由に物が入るようになったので、それと自由に競争させられるようなことについて非常なる不安をもっているというような点が現在既に資材も資金も或る程度入れられるような途は拓けたが、企業意欲が起らない、合理的な本当の振興発展を期するような企業がなかなか興らないということになるのであります。その対策として何れの国に於ても産業の復興期に於ては保護育成の施策が採られたのであります。現に日本の紡績業がイギリスのランカシアの紡績業を押えまして興りました、その原因として、明治九年から明治十二年にかけてあの紡績機械を入れますのに二千錘一組の機械を十六組も政府は政府資金を以て入れて、民間に払下げて十ヶ年の無利息年賦を以て償還せしめ、更に民間自体が計画するものに対してもこれを育成保護したといわれております。更に後日それが相当に興ってからは、明治二十九年ごろには原綿輸入税の撤廃、或は綿糸の輸入税の撤廃などをやり恐慌の場合には銀行から政府の救済資金を貸付けるということなどもしたのであります。或は台湾の糖業を起すのに消費税の保護制度を設定したり、或は浅野セメントを起す時も相当の基礎が出来た時に浅野セメントに払下げて日本の復興時に於てもそういう強力な保護育成手段が採られたのであります。そこでそういうことを目指しての保護育成の方法は色々考えられますが、先ず沖縄の立地条件の上から或はその必要度の上から検討致しまして、重要産業を指定して資金資材の両面から重点的な援助、育成の方策を講ずることが必要ぢゃないかと思うのであります、そのためには復金の現在の二十%のB円資金の調達ということを緩和する、或はその償還期限についてまだ相当窮屈なものがありますが、それを緩和する措置について軍の方に折衝し、そういう方面の方策を講じて貰いたいと思うのであります。
 更に輸入商品について私は他の面からも論じましたが、為替割当について重要度を勘案し、そういった島内産業の保護育成を考慮致しまして、為替割当をしますために為替管理委員会というものをつくってそして政府及び民意を反映せしめるような制度を考究して貰いたい。この点について現在どうなっているか、又将来の御方針を承りたいと思うのであります。
 更によく論じられています、セメント工業、織物工業、紡績工業を起すために外資導入についても我々は大いに胸を開いて外資は大いに歓迎するの態度を取り外資導入に対する態勢を整える必要があると思うのであります。場合によっては、民族資本を以てどうにもならんような紡績業、セメント工業の如きものについては思いきって開放した条件によって外資を導入することも必要でありましょう。又そこには色々と考慮を要する面もあろうと思います。要するに外資導入委員会などを設置し、外資を歓迎すべきは大いに歓迎し、その態勢を整えるようにして貰いたい、これに対する当局の御意見を承りたい。
 次に国土計画の樹立についてお伺いしたいのであります。復興事業が各方面の施設について注ぎ込まれて来るのでありますが、これが漫然として色々な方面に引張り凧式に使われていた場合には効率的な効果をあげることが出来ないのは申す迄もありません。政府は既に綜合復興計画を樹立してその施策について基本方針を採っておられるようでありますが、これと併合(行カ)して国土計画について尚基本的な計画を進めて貰いたい。又それについての御配慮はどんなものか、私国土計画について考えますことは現在極端な都市集中的な態勢にある、この在り方はあらゆる角度から産業、文化、教育、経済、公衆の施設等は能う限り地方分散的な方向を目指して国土計画の下に都市計画が進めらるべきぢゃなかろうかと思うのであります。世界の都市計画の趨勢から見ましても、ある時期には極端な都市集中が計られる、そういう風な都市計画が進められたようでありますが、最近の都市計画の趨勢は中心都市は出来るだけ最小限度に圧縮して衛生(星カ)的な都市をつくることによって最大の利便発展を計らうという方向に進んでいるということを読んだり聞かされたりしておりますが、これについて伺いたい。その外都市計画は勿論港湾、電気、水道或は国土の拡張、改良、埋立、開拓などを含むのでありますが、こういったものを全体として経済的な効用或は将来の都市の地方分散的な狙から、そういった計画をこの際進められたらと要望するものであります。
 次に復興工事の施工についてでありますが、色々な事情から致しまして復興工事というものが何らの基本方針もなく漫然として引張り凧式に蛸配式にやられるという疑念が一般の民衆にはあるのであります。これにこたえ事業の施行を公正にし又優秀な効果ある事業をしますためには総ての面にはっきりした、基本方針を持ち或は基本計画を持ちその上で進められることが必要だとおもうのであります、例えば道路工事にしますれば国土計画的な面から、或は産業、経済の復興計画の面から、或は将来の財政などを考慮し、あらゆる角度から基本計画、基本方針というものがたてられ、その方針を基準として行われることが望ましいと思われるのであります。更に町村工事の関係に於ては公平ということが考えられなければならないと思います。そういった面を綜合しまして基本計画を以てこういう基本方針の下に行われているのだということになれば一般も釈然としませうし、政府のそういった事業の推進も力強くなることとおもいますが、この点について現在とっておられる御方針を承りたいと思うのであります。更に工事の施工監督について兎角の話もありますので、その監督は厳重に施行して貰うよう希望するものであります。
○経済部長(呉我春信君) 工業の発展しない理由について縷々お述べになって結論に於て育成せよ、群島政府としての保護政策を採れというような意味合の御質問だと承っております。御説の通り現在工業の振興しない理由はほぼ同感でありますが、私は又一面こう考えるのであります。工業についても、水産業その他の産業活動に於て現在の沖縄の諸産業は温室から外部に引出されたといった恰好で、今戸惑いしているのぢゃないかと考えているのであります。具体的な例を申しますと現在迄工業面に於ては色々の軍使用のスポイルの機械器具を集めてもとではかからないでやって来たという面がありますし、又水産面に於ても軍の舟艇を利用してやった、その他の面に於ても類似の点が多かったのぢゃないか、そうしますと過去に於ては非常に民政府及び軍政府から保護を受けておった、それが急に寒風にさらされるようになった、という過程は当然だといえば当然でありませうが、そういう面に逢着して、そこに隘路が出来て来たのぢゃないかと斯様に思うのであります。従いまして政府としてもこれが維持育成については只今申述べましたように将来つづけて行こうと考えております。これを具体的に申しますと、重点産業を取上げてこれを育成する方法としてガリオア資金の貸付、こういうものに力を入れよという御意見でありましたが全く同感でありまして経済復興計画に上ったものは重点産業として取上げたのであります。これを実現させるためにはこの資金の獲得にうんと努力したいと考えておりますので、その点御了承を願えるかと思うのであります。尚為替管理の問題については、これは貿易庁とよく相談致しまして出来るだけ早く実現して行きたいと考えているのであります。外資導入についても今具体的な問題にはぶつかっておりませんが、今後はこれを委員会制度にして果してこれは沖縄人自体で出来るものであるかどうか、又これは有利な産業であるかどうか、各方面から検討して慎重に取扱いたい、斯様に考えておるのであります。
 以上で経済関係のお答えと致します。
○工務部(ママ)副部長(西銘順治君) 庶民住宅でありますが、これは五番議員(石原昌淳君)の主張の通り沖縄の復興にとって非常に重要であるが、この問題を資材の需給関係と二つには資金の需給関係の点からお話申上げたい。
 資材の需給関係は先も五番議員(石原昌淳君)がお話になったように日本としては木材を輸出する方針をとっていない段階にあるようでありまして、これは専ら政治上の解決が必要ぢゃないか、そういう風に考えております。但し貿易庁の話によると切込材ならば出せるという風な話も聞いておりますが、これもどの程度に果して具体化されるか、現在のところ全く疑問であります。
 次は木材が入ってもそれを買う資金の関係でありますが、群島としては琉銀に対する金融面の規制が群島の権限外であります、これは琉銀の権限内にあって資材の面と併行しまして低利な併も長期な庶民住宅金庫というようなものをつくって行くのでなければ、庶民住宅というような困難な問題は解決されないのぢゃないかと考えております。それから復興工事の施工についてでありますが、これにつきましては現在工務部としては工事の施工の基本方針というようなものを目下検討中であるのであります。これも工務部の常任委員又は関係者が集りまして町村工事の公平という点は又一面に於ては国土計画からするところの重点的な工事も勘案して出来るだけ御意見に副うよう工事を施工して行きたいと思っております。
 工事の施工監督についてでありますが、これは現在一番問題になっているのは学校建築でありますが、北部、中部、南部、遠いところは四名か五名だったとおもいますが監督員を派遣しまして工事の施工監督をしております。中、南部はトラック又は三輪車などで各々監督者が行って見ております。
◎山川宗道君 セメント工場設置について政府の御意見を承りたい。我が沖縄は御承知の通り、先も五番議員(石原昌淳君)からお話があった通り建築資材が非常に困っているような現状であります。そして今日は建築資材不足のためにブロックで家を建てているものが相当見受けられます、故にセメントは土木工事にしろ農業にしろ、水産業或は工業用として欠くべからざる重要なものであります。殊に本島にはセメントの原料であるところの石灰岩や良質の粘土が豊富に埋蔵されているのであります。この天然資源の開発によって輸入セメントの阻止が出来、又琉球経済に寄与することが大なるものがあると思うのであります。
 殊に今日建築資材のない折からセメントの入荷も、建築資材の入荷も容易に出来ない今日でありますので、一刻も早くセメント工場を設立致しまして我が沖縄の今日の窮状を救って貰いたいと思うのであります。この窮状を救うためには資金が相当入りますので、到底個人の手では出来ないのではないかと思うのであります。過去に於けるあの復興事業或は土木、或は護岸或は河川などの事業の経過を見た場合にセメントがなかったために相当の損害を受けているのであります。そして今迄やった工事の被害は去ったクララ台風に於て相当破壊されまして、その破壊の原因は奈辺にあるかと申しますると、これはセメントを使わずしてただ石ころによって積上げたことに起因するのぢゃないかと思うのであります。よって政府においては早急にそのセメント工場の設置をなして貰いたいと要望するものであります。それからもう一つは我が沖縄には相当の鉱物が埋蔵されておりますので、あの慶良間の鉱山、銅山の如きは今日是非開発して行かなければならないと思うのであります。御承知のように今日銅の値上りは甚しく斤二十円近くにもなっているような現状で昔の金一キログラムに相当しているのであります。殊に今帰仁村に於ては「マンガン」の採掘が出来るということでありますが、その方面の御調査もなされたことがあるかどうか、若しその調査をやっていないならばこれの調査を一刻も早くなさってその採掘に御援助を希望するものであります。
 次は紡績業の問題でありますが、我が沖縄は土地狭隘にして人口の密なることは世界でも一、二を争っている現状であります。今や我が沖縄は米国の援助がなければ一日も立って行けないという現状でありまして、又毎年襲来する暴風や旱魃、潮害によりまして受けるところの農家の被害は甚大であります。
 よって実情を眺めます場合是非共工業立国でなければならないということを力説するものであります。紡績業の問題を見ました場合には婦女子の労働の解決、又所謂生活の安定は勿論婦女子の職場の緩和、同時に製品を輸出した場合に外貨獲得が出来まして住民の生活も豊富になると思うのであります。
 よってこの問題を解決しますには九千五百万円という資金を要しますので、先ず我々が株式会社を組織致しまして三千万円の株式を募集しましてその内二分の一の払込をしまして担保金の一割五分を出した場合、その他はガリオア資金に俟たなければいけません、その額が六千五百万円になります、この六千五百万円を政府の力によって出来るかどうか、これを伺いたいと思うのであります。
 もう一つは農家経営の改善であります。現在沖縄の土地は非常に狭いので、離農者が多くなっている現状であります。本員はこう考えるものであります。今沖縄の土地をうまく利用するには先ず藷より米へ或は砂糖へという改善の方法がありはしないかと考えるのであります。何となれば藷一反当りの収穫、これは二ヶ年に三毛作として仮定した場合に、その価格より米一ヶ年二毛作と仮定してその約半分の収益しかないのであります。
 従ってあの平坦地をダムでも造って米作に転換させました場合には土地が倍増した計算になるのであります。藷から砂糖に転換した場合には今の藷は十斤二十円として砂糖は一斤二十円と仮定した場合に藷作の四倍の収益があがるのであります。蔗作に転換した場合には即ち土地が四倍にふえるということになるのであります。当局はこれを改善される御意思ありや否や。今沖縄の農業の在り方はもっと改善しなければならないという考え方を持つものであります。何となれば沖縄の百姓のやりぶりは肥料をやり、或は畠を耕す場合に人力によってしかやっていない現状であります。これでは到底文明国に太刀打出来ないということは火を睹るより明かでありまして、この問題を解決するには先ず畜力に依らなければいけないと思うのであります。畜力によって農業をやる場合には先ず土地の交換分合が必要ではないかと思うのであります。政府に於ては土地の交換分合をなされる御意思があるかどうか。
 もう一つは試験場の問題、試験場は専門的に設置して貰いたい、これを要望します。何故ならば藷は藷、蔗作は蔗作、米は米、お茶はお茶というようにして専門的に行った場合には我々の農民に対する指導も非常に容易に行くのではないかと思うのであります。殊に我が沖縄は戦前百万というお茶を輸入しておりましたので、即ち現在では一億七千万円のお茶の輸入をやっているのではないかと思うのであります。これを是非今申上げた通りの専門的試験場を設置していただいてそこで研究指導してやってもらいたい、そうすれば我々の一億何千万円の解決も出来るのではないかと思うのであります。
 もう一つは山林の保護育成であります。今日のあの山林の濫伐を見た場合には後四、五年で沖縄の山林は濫伐されて本当の禿山と化し又洪水のために非常な損害を蒙ることは火を睹るよりも明かであります。依って政府に於ては山林に対する保護育成の法制化を行っていただくことを希望し、その対策を伺いたい。
 もう一つは海外に使節団を派遣して貰いたい。日本では今仲村寿男さん達が南米諸国をお廻りになっているようでブラジルなんかに於ては日本移民を歓迎するというような現状であります。
 然しながら沖縄は依然として使節団を派遣しません関係上、今日ただアルゼンチンの好意によって、呼寄移民を出すだけでありますから積極的に使節団でも派遣し、各国の政府とも交渉なされた場合には私は沖縄の海外移民の将来も決して案ずる程でもないということを信じているのであります。殊に外国人は接触すればする程非常に信用を厚くするものでありますからして、是非海外使節を派遣していただくよう要望するものであります。もう一つは海外興業株式会社を設置して貰いたい、何故かといえばこれは近く講和会議も出来るようで講和会議が出来た暁には海外移民も、普通移民も送り得るのぢゃないかと思うのであります。
 今呼寄移民でこっちから行った場合には向うの御家族の方々が世話して面倒を見て何も不自由はないと思いますが然し普通移民となると余りにも沢山行きますのでその面倒を見るのはどうかと思うのであります。故に我々としては政府にその半分を持っていただき、その半額は民が負担するところの一つの株式会社を組織して海外に行くもののために融資をして一ヶ年或は二ヶ年の生活の安定をはかるようにやって貰いたい、これは本議員が海外にはじめて渡航した場合のことを考えますると又とあの因果をこっちから行くところの移民に対して見せたくないのであります。我々が行った当時は医療設備の不備とかのために、行った者の約一割しか今日残っていない現状であります。
 よってこういう風な株式会社でも組織してやらなければ将来の沖縄の移植民政策は必ずや不成功に終ることと思うのであります。よって海外渡航の会社設立について政府の御意見を承りたいと思うのであります。
◎普天間俊夫君 移民問題と地下資源の問題でありますが、沖縄が移民を送出さなければならないことは今更論ずる迄もありませんが、今十三番議員(山川宗道君)がおっしゃったようにアルゼンチン渡航がありまして、その曙光も見えておりますけれども、どうしても大量の自由移民を送らなければいかんし、それに対する我々も亦政府としてもその準備をして、移植民教育或は移民計画、或は大学なんかに於ける拓殖科を設けられて良質の移民を大量に、平和会議でもすめば、すぐ送れるように準備が必要ではないかと思うのであります。それに対する御意見。地下資源の問題、国頭や慶良間、粟国で鉱石を大分戦前採掘しておったようでありますが、これら許可を得た人々は日本内地に行ったり或は日本にいる方もありますけれども、既に廃止の状態になっているようでありますが、先に権利を持っておったものから何とかしたいといっておりますが、先程の地下資源の問題と関連してこれも早目に許可申請、或は旧権利の者に復活するか、新たに企業免許を与えるかして地下資源の開発に努力していただきたい、この二点について。
○経済部長(呉我春信君) セメント工業の問題でお答え致します。十三番議員(山川宗道君)の御説の通りセメントの需要は非常に多くなっているし又なっていくものと考えているのであります、昭和十五年で入れた高が約一万五千トンで現在ならばうんと多くなっているということが想像されます、又今後もうんと需要があることが見通されるのであります。群島政府としましてはこれの材料は豊富にありますので、殊に大部分を占めている石灰岩は十三番議員(山川宗道君)の御郷里のあの硬質石灰岩が一番適当であるし、非常に又良質であるようでありましてこれを使用し又その硅酸質粘土と申しますか、この原料も宮城島のものが良質のものだそうでこれを用れば非常に事業として有利である、尚又石膏なるものが入るそうでありますが、これは塩が僅かに二%乃至三%位で僅かの原料であって沖縄には産しませんが、これだけは輸入しても十分企業として成立つというような調査が出来上っているのであります。従いましてこれは御説の通り大きな資本を要しますし、後で御説明申上げる、あの紡績業とともにこれは外資を入れても実現したいという希望を持っているのであります。既に三ヵ年計画の中にも入っておるのでありまして、御希望の企業家かおりますればこちらでも積極的に応援し推進して行きたいと斯様に考えているのであります。
 又農業面でありますが、蔗作藷作よりも水稲作に転換しろという御説でございますが、私も賛成であります。然しながら沖縄の農業の形態から致しましてどうしても多角経営でなければいかんというのが、常識になっているようでありまして、ダムを構築するということは稲を作ろうが作るまいが、これは必要であります、兎に角この水稲作を中心としてやれということに対しては同感を持つものでありますので、全面的に構築致しまして積極的にこれを推し進めて行きたい、斯様に考えているのであります。
 マンガン鉱については現在迄、他の色々の地下資源の問題もありますが、これについては放って置かれた形でありまして又予算もなかったのでありますが、今度の予算には地下資源開発費として少々これに計上しておりますので今後これを以て活躍したい、斯様に考えているのであります。
 尚紡績工業については大体本県で成立つという調査は出来ておりますが、それは最初は大仕掛のものでなく一万錘程度のものでどうかという見解を持っているのであります。民間の説では三万錘でもいいということでありますが我々としては一万錘程度のものを計画して自立経済計画の中に織込んでいる次第であります。これも御説の通りうんと金が入りますので外資の導入もいいんぢゃないかと考えております。
 尚試験場問題につきまして綜合試験場より専門試験場を置けとのことでありますが、これは経費との関係もありますので、現在の試験場を有効に能率をあげさせるより外に仕方がないと思っておるのであります。それから農業面に於て畜力を使用せよ、その前提として耕地の交換分合をやる意思があるかどうかという御質問でありますが、御質問御尤もでありまして、群島政府と致しましてもこの耕地の交換分合なくしては鋤その他の改良された農器具がうまく能率を発揮し得ないということは過去の経験に徴しても明かでありまして、これは十分進めて行きたい、尚外に移民との関係もありますので予算に於ては単に母村保護施設とかいう名目の予算が計上されておりますが、これもこういう事件に対しても推進して行く費用にもなっているのであります。
 それから山林の濫伐及び積極的な事業計画に対しての御質問でありますが、目下農林省が主管になりますので、林野局に於て法的保護の法律が立案されているのであります。事業計画については今度群島政府の予算にも計上しておるのでありますが、更にこれは林野局とも打合せの上、この予算が通過致しますればこれで推進して行きたいと斯様に考えております。尚移民問題については皆さんと同様な考えを持っているのでありまして、最近民政府からワシントン政府に移民の要求をするから資料を出せといって、それも期限付で二日間位ですぐ出せということでありましたので色々集まった資料で以て回答をしたのでありますが、移民係が一ヶ月前から出来てその事務を執っておりますが、開店早々で御期待に副う事はこれからの問題でありますので目下資料の蒐集に努めているのであります。これにつきましては絶えず知事からも要求致しておりますので、近く実現するのぢゃないかと楽観的な考えを持っているのであります。
 海外興業株式会社につきましては、目下のところ考えてはおりませんが、今後御説により研究して見たいと斯様に考えております。
◎稲嶺盛昌君 一つ要望申上げておきます、甚だだし抜けの感が致しますが私は知事の日本視察を要望するものであります、理由としてはスキャップ指令によりマックアーサーが米国琉球民政長官になった以上知事は御挨拶に行くべき筋合ぢゃないか、こういう意味から致しましてマックアーサーヘの挨拶のため、それと同時にその序でに沖縄の復興状況なども又現在の復興計画に対して出来るだけ長官のところにも直接申上げておくのも今後の復興促進のために何かと効果があるのではないかと考える次第であります。
 その次は総合計画、復興計画案は政府の御努力の結果計画案が出来ておりますが、あれが実現するためには今後多大の物動計画と更に資本融資の計画面が残されている、こういう風な資本の面と又あの復興に使う資材の物動面が実現されなければ実行はむつかしいと思います。そういう面は今後政治的交渉によって処理さるべき分野が多分にあると思う、現在の復興におきましてもなるほど復興資金から金は出ますが、物は日本から大部分入っていると思います、その意味から致しまして知事としては直接日本要路の人々に折衝されましてこの復興資材の輸入、又沖縄からの輸出品の問題そういったような面に直接日本政府の要路の人々と折衝される必要があるのぢゃないかと思います、それから尚対日沖縄人資産決済の問題であります、貯金、保険又は戦没軍人の遺族扶助料とかが相当沖縄財団に保管されている、そして今後この問題は或は講和条約がすまん間は完全な解決処理はむつかしいかも知れませんが、そういったような問題に対しても、恩給とかの問題に対しても住民としては首を長くして待ち構えている状態であって、こういった問題について沖縄財団に於て保管されている財産が、どういうような状態にあるか又どういう風にこれを今利用しているか、保管しているか、こういった面、又はそれの解決処理に対する折衝などに対しても、直接当られた方がより早くその処理解決の促進を図ることが出来るのではないかと思うのであります。それから先に琉大の開校式を機会に沖縄の大先輩たる神山さんや、比嘉さん高嶺さんが来られた、その当時町村長協議会又は我々議会に於て向うに色々御協力をお願いした事項数項を差上げてありますが、そういう問題に対してもその後のあの先輩方がどういう風にして今折衝処理に尽力しておられるか、それに対して知事も亦御一しょになって色々折衝された方がこういう住民の要望事項が早く解決されるのではないか、そういった序でに尚又留学生の激励、彼等も知事さんが直接行かれることによってどれ程彼等を励ます結果になるか知れないとその意味に於ても必要を感じます。それから百八十度に転換した日本の政治経済社会の状勢に対しても色々文献に於て御覧になることも出来るが直接現地に行かれて、これを視察されることが何かと今後の知事の政務執行のために御参考になると思います。こういう風な観点からして私は可及的に早く知事の日本視察を要望するものであります。尤も知事に於ても既にその御考慮はあるかも知れませんが、就任以来今まで一日でも席を外すことが出来ない、幾多重要な問題が今迄処理されて来た、そういう風なせわしさのために今後も現在もまだ残っているかも知れませんが、その辺をよく勘案されて可及的速かに日本視察をせられて、多年の懸案である諸問題の処理に直接体当りしてその解決の促進をされることが必要だと思います。それが要望の一つであります。
 それから次に五番議員(石原昌淳君)からもいわれたことに附加えて要望しますが、復興事業の工事も既に学校の工事も着工しておりますが、あれに対して工事監督をしっかりやっていただきたい、現在は既にその方面に十分なる御配慮があるだろうとは思っておりますが、過去に於ける色々の復興事業の在り方に、執行されたその経過を結果から見まして本員はこの請負工事の監督に対しては十二分に意を注いで貰いたいということを要望するのであります。そういう風なものも具体的に一、二の例を持っておりますが、それは省略致します。それから次にもう一つは、今度群島政府の財産表を提示していただきましたことは最も本員の意を得たものと喜んでいる次第であります、これは群島の所有する財産に対する整理、保管の御熱意を裏づけるものと思いまして誠に御労苦を多とするものであります。
 これにつきまして群島の財産が現在何処に如何様に使用されているか、これを承りたいのでありますが、それは余り時間がかかりますのでもう少し狭めた範囲でお伺いしたいと思いますが、これは全部今工務部とか経済部とか各部に於て所謂公用に使われているのであるが、その一部分が民間に貸してあるのもあるかどうか、これが一つの質問であります。今一つはこれは今後もっと調査をお進めになった時にそれ以外にもっと財産がありそうに思われるかどうか、これが一つであります。これに附加えて要望したいのは出来るだけ政府として公的に使用されるよりも民間に貸しても差支えない又は民間の企業面生産面の促進を図る、協力するために民間に貸したがいいというものに対しては出来るだけその方面も御配慮になって、そして税外収入の面にも利用が出来るだけは御配慮をいただきたい、これを要望します。
○財政部長(宮里勝君) 財産表は早急に議会に提案したいと思いまして、これを実地に調査する機会がなくて各部の今管理しているところの財産について報告を受けて纏めたのであります。これは実地に調査してもっと固めて行きたいとこういう風に考えております。現在は殆ど全部公用でありまして、中には一部民の使用になっているものもあろうかと思います。
 それから大体大きいものは提出してあると思います、小さいものは出て来るかも分りません。税外収入の増加に関連しておりますが、これは速かに調査して若し払下ぐべきものがあれば処理するし、又民に転用出来るものは賃貸料を取るとか、そういう風な方面も考慮して速かに収入の増加に寄与したいと思っております。
○総務部長(幸地新蔵君) 只今知事の日本派遣に対しての要望がありましたが、誠に同感で是非知事にも色々と政治的問題で折衝すべきことも多いのでありますし、又現地に於て実際民主化しつつある日本の実情を知ることも結構であるし、又在日の先輩方と気脈を通じて沖縄の復興のためにお智慧を借ることも、提携していただく点も相当にあろうかと思うのであります。その点は是非知事において暇が出ましたら行っていただくように致したいと思っております。その際はどうか又経費の点も出ると思いますがよろしくお願い致します。
○知事(平良辰雄君) 日本視察の問題でありますが前々から早く行きたいと焦っているのでありますが、まだ早く片づけなければならない仕事がありますので今まで延々になっておりますが、無論仕事は沢山ありますけれども一応一ヶ月位行ってもいい時期ぢゃないかと思っておりますので、なるべく行きたいと考えております。
◎山城興起君 要望を申上げます。これは軍作業に従事するところの者に対する思想善導に対するところの問題でありますが、現在軍の各部隊に於て作業に従事している労務者の数は四、五万の多数に上っているようであります、それも主に二十歳から三十四、五歳の青年壮年層が多数のようであります。殊に修養、教養の至らないところの二十歳前後の青少年の教育、訓育の如何は私は民族の盛衰に非常なる関係を持つものとして憂うるものであります。然るに現状はその組織とか教養の点に於ては甚だ遺憾な点が多く、殊に家庭を離れまして軍のカンパンに於て生活をしているところの者の指導、監督、教養、風紀の点に於きましては実に遺憾の点が多く、今にしてこれの対策を講じなければ民族の将来に禍根を残すのぢゃないかというような心配を持つものであります。これに対しまして、当局のお考えをお伺いしたい、又その御施策があるならば、それもおききしたい、又本員は考えますのに雇傭者であるところの軍にもその責任はあるのぢゃないかと私は思う。この点について当局は軍の方と御折衝になったことがあるかどうか、又軍の意図はどういう風な考えを持っているか、おききしたいのであります。
○総務部長(幸地新蔵君) 御説誠に参考になります。この面に対しましては以前に軍のカンパンに入って社会事業の方から手を出したようであります、それは多分普天間のカンパンであったと思いますが、その際色々と解決すべき待遇の問題、労務者の慰安の問題等いろいろとありまして手を入れて互に教養を高めそして又仕事のスムースに行くような意味合からやったそうでありますが、何かしら軍で警戒をして、その後は長くつづかなかったように聞いております。でもこれは放置すべき問題ではないと考えまするのでこれは厚生部の方とも連絡致しまして、尚又軍にも何とかしてタッチ致しまして、その方にも立ち入って協調(強カ)を致したいと考えております。ところが目下のところは直接民の方にタッチさせていないのであります。自力で自発的にやるならば大いによろしいということになっておりますが、それだけではどうしてもうまく行きませんので軍の方にも話合を致しまして軍の労務者に対しては、今軍の方で資質の向上を図るために講習会を開きつつあります。雇傭者自ら開きつつありますので、それをもっともっと積極的にしていただくように、同時に民の方でもタッチ出来ますように協力しまして、この問題を強く推進して行く、そして若い青少年の労務者に対する思想の善導並に資質の向上ということにつきまして協力して行きたいと考えております。
◎松本恭典君 簡単に二点だけお伺い致します。終戦後の特殊事情から致しまして、地区が十地区に区分されております。同時にまた今後考えなければならない問題は農村の経済自立と関連致しまして、町村の分離統合ということも問題になると思います。これはまだ財政上の見通しが、十分つかないので時期が早いかも知れませんけれども将来これは当然取上げらるべき重大な問題だと思うのであります。殊に明日の議題に上るところの学校教育条例が設定され施行されます時に群島立以外の学校はすべて町村が賄わなければいけない、建築にしろ、備品にしろ、消耗品にしろ、賄わなければいけないということになります。こういったものとも関連致しまして現在自立出来ない町村が沢山あると思うのであります。こういったものの整理統合ということは今後十分考えなければならないと思うのであります。これに対する当局の御所見を承りたい。
 更に十地区に分けられておりますが、これを戦前の中部、南部、北部の三地区に限定出来ないものであるかどうか、それは現在町村長会でも或は産業団体の統一でも北部、中部、南部に分れているのであります。又北農、中農、南農と学校の問題、税務署の関係、そういう風な色々の農業産業団体もこういう風に統一されております。従ってこの三つに限定することによって政府の行政費が相当軽減されるのではないかと考えられるのであります。これに対して又当局の御所見を伺いたいと思うのであります。更にもう一つは法律の時効の解釈について部長さんにお伺い致します。先に徴税の問題がありましたのでこれは省きますが、これと関連致しますけれども、この徴税規定の行政権の根拠が改正法にありとすればこの時効に対しては町村長の間でも疑問を持っておられるような方がありますので、はっきり御教示をお願いしたいと思います。
 民法の第百五十三条に「催告ハ六ヶ月内ニ裁判上ノ請求、和解ノ為メニスル呼出若クハ任意出頭、破産手続参加、差押、仮差押又ハ仮処分ヲ為スニ非サレハ時効中断ノ効力ヲ生セス」とあります。更に会計法の第三十二条に「法令の規定により、国がなす納入の告知は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する」とありますが、六ヶ月以内に催告した場合には更にこの時効が中断するものであるか、中断しないのであるか、この解釈をお願い致します。中断しないならば、その五ヶ年の間には結局時効消滅ということになると町村の歳入上に大きな欠陥が生じて来るのであります。そういう意味で中断するかしないかという解釈を明示していただきたいと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 只今の御質問に対しまして見解を申上げておきます。
 市町村の分離統合の問題は市町村は只今御承知の通り自治が許されておりますので少くともその自治制の下に於きましては自らの力によって自らの行政を行うことが本体であります。従いましてその負担力の如何というような問題は自ら自治を構成するところの民衆が負担しているのであります。そういう場合に於きまして負担力の余裕があれば更に福祉施設をしまして村民の福祉をどんどんと増進して行くというようなことが考えられると思います。ところが最低限の行政経費さえもその構成員が持つ事が苦しいということになれば相当将来に於て考えなければならない現実の問題と思うのであります。従ってそういう面から致しまして将来若し自治体の経費を自ら賄うことが出来ないような場合に立ち至った時は分離も或は統合も起って来る問題ではないかと、想像致しております。私個人の考としてはそういう風にありたい、又現在日本に於きましてもそういう町村の自立経済の持つ本旨に於て相当広くこの問題が取上げられている現在、そういう面で自発的に統合を図っているようであります。新聞紙上で見ると相当数の町村が自立経済へ、自主財政へという風な考え方で統合の問題が強く推し進められているように承っております。これは政府の方で強要したりするということは、助言、指導はしますが、それは合体町村から自発的に起って来る問題だと思っております。
 尚今の十地区の問題でありますが、それは戦後に出来たものでありまして、法規的にそうなりますか、はっきり分りませんけれども、利害関係も相当あるとは思いますが少し多いという風な感じを持っております、そういう点は調べまして都合がよかったらなるべく便利な方に改正をして行きたいという希望を持っております。
○法務部長(知念朝功君) 催告が時効を中断する結果を持つかということは、これは持ちます。それから今急に見当りませんが群島政府の請求権の時効に関しては民法に因るという風になっておりますが結局民法の第百六十七条「債権ハ十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス」ということによっているが時効期間は群島組織法によって延長されております。
◎野原昌彦君 中部地区の議員として各町村に於ける公聴会の意見を要望として申上げる責任をもっておりますから、簡単に個条書で申上げたいと思います。
 一、未青年者の禁酒、禁煙に関して条例を制定されたし、これは理由は申上げる迄もありませんが、酒、煙草はどうしても未青年者にはよくない、それから身体のためによくないだけでなしに精神面にも及ぼす影響も実に大きいものであって、是非これを法制化して制限されたいというのが第一であります。
 それから悪質犯人の厳罰を実施されたし、もう一つは密渡航者の防止対策、もう一つはビンゴを停止するか、或は制限を厳重にされたし、こういう問題でありますが、これは三つとも前の議会に於ても出たことでありますが、政府はこれに対してどういう手を打たれたか、ということをお伺いしたいのであります。
 それからもう一つは被救済者に生産資金を与えられたし、被救済者或は貧困者は従来自分で自立しておったのが戦争のために自立出来なくなって救済を受けているのがあるようであります。例えば戦前筵なんかを造って副業で生活をしておったが戦争でなくなったりして、これさえあれば自立出来るけれども資本がない、こういうものに対していつ迄も全部か一部救済をつづけるよりは幾分なりとも救済資金を与えて自立させて行きたいという希望であります。もう一つ軍使用道路は可及的速に舗装道路にして貰いたい、これは私の希望でありますが、理由はアスファルトにするというと車道と人道と区別されるようになります。
 それで今沖縄の人間は公衆道徳がないといわれていますが、あの人道車道の区切りをはっきりつけることはいわれんでも交通道徳を守るようになるだろうと思います。今一つは盛んに交通事故があって新聞を賑わしておりますがこれは一つは交通道徳の欠陥にも原因すると思いますので、交通規則をよく守らすためにも是非舗装道路にして人道車道の区別をつくって貰いたい。衛生的見地からも、天気のよい風のある日に軍車輛が七、八台も列を作って疾走したりした場合には到底左行令が守れない時があります。煙に巻かれて前が見えないからつい風上を通るようになってしまう、今の舗装道路でないものは衛生的にも悪いし、軍道路の周囲に作った家も砂埃の中に生活しているようなもので衛生上よくないから軍にお願いすればその位は何でもないと思いますから、軍道路は必ず舗装道路にして貰いたいという希望を申上げます。
◎崎山起松君 日本の関税改正問題について御質問申上げたかったけれども御質問申上げる前に群島政府に於いてはその障壁排除のために万全の御処置をとっておられるとの朗報を聞き輸出産業界に代り群島政府に感謝をする次第である、ただ本員としてききたいことはそのお採りになった御処置の内容を具体的に伺いたい。
 次に日本で関税撤廃或は軽減運動が行われているに反し近く樹立される中央政府はその財源として十%から百%の税率を以て輸入品に課税されるようであるし、又群島政府としても特別商品税を設定して、保護関税同様の内国税をお取りになるようだが、この関税問題はあく迄も互恵的関係にあるもので、片一方があげれば片一方もあげるという関係を持つものであるが、この関係に対しての政府の御見解を承りたい。
 尚関税問題に対して日本琉球の税制の調和のとれる何かいい方法を考え出して税源を求める方法はないか、これらの御考がありましたらその点について承りたいと思うのであります。
 それから日本政府が戦争犠牲者への国家補償として大幅の改善案が上程されておりますが、これに関して特におききしたいのは今度の沖縄戦に於て犠牲になった、所謂軍人軍属一般住民に対してこの国家保障(ママ)が受けられる権利があるかどうか、おききしたい、若し受給権がありとすればこれに対して折衝されたことがあるかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
 それから貿易庁に於て行われた日本商品の展示会でありますが、これは交易の自由と技術の交流に於て大いに時宜に適したところの催しと思いますが、沖縄商品の輸出奨励の意味に於て沖縄商品の展示会を催される意思があるかどうか、これについて伺いたい。
○経済部長(呉我春信君) 日本に於て沖縄商品の展示会をする用意があるかという御質問でありますが、これは前にも御説明申上げた通り、販路宣伝費という名目で費用をとってあるのであります。更に即売会費として費用も取ってあるのであります。之は専らその方面に使用さるべきものであります。
◎宮城久栄君 殆ど質問答弁が尽きたようでありますが多分最後だろうと思いますので申上げます。
 本日早朝から知事の施政方針に対する質問がありますが、それをよく拝聴しますと、物の復興経済の復興というのが殆ど九割位を占めていると思うのであります。私は沖縄の復興は経済の復興と相伴って民心の作興が最も大事と思うのであります。今日の世相は青少年の犯罪、盗難、暴力或は花柳病の蔓延、人の物を盗んでも自分の倉を充たす、甚だ過言ではありますけれども六ヶ年間のこの世相は犯罪が減るどころでなく増加して行く一方であります。経済自立もとより結構であります、極く詳細に計画をたててこれを実施し、実現したら必ず沖縄は復興するだろうと思いますが、これに民心の作興が伴わなければ如何に机上の計画は出来ても予期通りの成績をあげきらんと思うのであります。それで私が要望するのはなるほど教化団体があり、宗教団体があり、青連、教連、婦連等各種団体がありますけれども、私が要望するのは政府は経済振興と同時に民心作興の主導性を握り他の教化団体、宗教団体と一しょになって住みよい、質実勤勉な社会を作り、人心を作興しなければ沖縄の復興は予期通りの成績をあげきらんと思うのであります、それで私は知事の施政方針にも学校教育、民心の作興という点が余り窺われませんし、私が痛感するのは是非経済の復興と相俟って民心の作興をしなければ折角苦心の自立経済も効果が薄いと思うのであります。よって政府の民心の作興に対する御方針と今後如何にこれを強力に推し進めるかということについてお尋ねしたいのであります。もう一つは去年十一月平良内閣が成立しまして人員は減員になり、政府の事務能率は如何かとひとり不安に思っておりましたが、これに反してあの行政整理以後の、
○議長(知花高直君) 時間を延長致します。
◎宮城久栄君 整理以後は緊張して大変いいんでありますが、ただ遺憾に思うのは未だに公金費消をするものがある。それで知事は平時に於て無難の場合に於て対策を講じなければいかんと思うが綱紀の粛正、吏道の刷新について抱負を伺いたい。
○知事(平良辰雄君) 先に御質問の関税の問題でありますが、酒の税の問題については向うから通信がありましたが、これ迄関税は沖縄を特別にするということはなかなか困難なようであって、関税に例外を設けることは出来ない、という意向でこれまで非常にむつかしかったようであります。
 今度は非常にそれが順調に行っているようであります、それは色々国際情勢もあるだろう。日本が沖縄に好意を持っているという一つの現れであろうといっております。それで殆どこれは決定的に了解済だそうでマックアーサー司令部の方もOKしているそうです。今日の通信にはそういう風になっておりますので大体安心してよかろうかと思います。
 ただ問題は今後中央政府が出来る場合に関税を取るということでありますので、これを心配しておりますが、これは差当り研究問題になると思いますが、これには簡単に日本製品の関税を取るからといってこれが日本商品の沖縄に対する輸出の販路を狭められたということには当分ならんのではないか、むしろ沖縄の住民が負担するという、形になるのではないかと思いますが。関税の障壁を設けたために日本の輸出が止るという問題があれば日本も亦我々の方では関税を設けぬのに沖縄は何故これを設けるのかということもあろうと思いますが、こういう点については今後の問題として十分日本在住の先輩方とも協力して、通信を緊密にして善処したいと考えているのであります。それから民心作興の問題でありますが、これは御説の通りでありまして大体終戦後五ヶ年間の今日に至っては非常に頽廃しているという事実はその通りでありますが、然しながらこれは決してだんだん悪くなって行くのではなくて、だんだんよくはなりつつあります、けれども現在の色々の犯罪面から世相を眺める場合には非常に憂慮さるべき問題でありまして、その点は無論民心作興を声を大にして指導するということも必要でありますけれども、矢張りこれは社会全般の、社会組織の問題にもなりますし、結局は経済問題も大いに関連しておるのでありまして、各個人が自立経済をするというようなところに重点を置いて経済方面をやると共に尚一般指導面に於ても放置するということは決してよくないのでありまして、これより以上に声を大にして指導して行きたいと考えておるのでありまして、この点については社会教育の強化ということも文教部の方で考えているようでありまして我々は決してこれを軽んじている訳ではないのであります。御希望の通り我々も同感でありまして、何とか努力したいと考えているのであります。
 それから公金費消が相当出ているということでありまして、これは群島政府の職員の服務規律も最近出来上りまして、それによってもう少し部下の監督を十分にするというようなことをやると共に一面監査員の活動によってどんどん片っぱしから綿密な検査をして行くという両方相俟ってこれが検査をして行きたいということを考えておりますので追々この方面は非常によくなるのではないかと思います。
○総務部長(幸地新蔵君) 遺族扶助料の件ですがこの方は目下日本のその筋に照会中であります。
 今迄第一回第二回第三回第四回という風に調査をして海軍は佐世保、陸軍は熊本に調査は行っているようであります。それが十二万五千三百名となって居りそれだけが総務部で扱ったもので第四回であります。第一回、第二回、第三回は社会事業の方で扱っております。それで只今熊本にありますのが、十二万五千三百人分が留置されている、その方の帳尻或は死亡給与金は我々の方ではまだはっきり一人当りがどれだけ又これは財団法人が委託一括して受取ってあるという風にも承っておりますが、総額がいくらであるか、一人当りがいくらであるかということがまだはっきり致しておりませんので照会中であります。勿論十二万の中には沖縄戦線に於て戦没した、軍人軍属も調査して入っているようであります、これについては目下照会中で何とかして受取るべきものは受取って差上げようと努力しております。
◎山川宗道君 沖縄の道路網の公平なる完璧を図られたい、と申しますのは本員が、工務委員として視察したところから見れば、公平に行っていないような感がするのであります。殊に北部に行くに従って道路網は不完備で、殊に国頭村の辺土、奥間は非常に距離は短いけれどもまだ道路の不完備のために住民は非常な不便を感じている現状で、又奥部落は戦前からも沖縄の模範部落とされまして、非常に産業面に於ても発達した部落でありますが、各村から向うへ視察は多いけれどもが、辺土まで行くと向うの交通が不便でありまする関係上向うから引返して来るものが多々あるように見受けられます、これは二千五百米という短距離でありますが、この工事を五十二年度の予算に於てやっていただくことが出来るかどうか、もう一つは与那、安波線であります。国頭村は横断線は一つもないのであります。
 安波、楚洲という部落が、東海岸にありますが、非常に不便を感じまして、急病の場合でもお医者の診察を受けないでこの世を終るという気の毒な住民が多々あるようであります、これも今期の予算に於て執行出来るかどうか、又今一つは東と奥の沖縄一周道路であります、これは年次計画によってなされる御意思があるかどうか、もう一つは伊江島は人口六千有余でありますが、向うには井戸はたった一ヶ所しかないのであります。旱魃の場合は南岸の真謝部落辺りからは一里半位やって来なければ水を汲めないという現状にありますので用水池の設置をやっていただきたいと要望するものであります。
○工務部長(渡嘉敷真睦君) 只今大変結構な御意見をいただきまして、その御意見に副うべく努力して行きたいと考えております。安波、与那線、奥、辺土線、こういう具体的な工事の内容についてはもう少し検討してから決定して行きたいという風に考えておりますので、その時期は少しお待ちを願いたいと思うのであります。それから国頭の一周線についてはどういう風な見解を持っているかという御質疑のようでありまするが、皆大事な路線であるという風に考えていることはよく分るのであります。従いまして、私と致しましては何らかの計画をたてて行きたいという風な考えを持っているのであります。何しろ予算との関係もありますので予算がはっきり決った際に尚お調査の上にこの件につきましては、はっきりしたことを致すつもりであります。
 次は伊江島の溜池についての御要望でありますがよく実態を調査致しまして何分の処理をして行きたいと考えているものであります。
○総務部長(幸地新蔵君) 十八番議員(野原昌彦君)からの青少年の禁煙禁酒の条例を作ったらどうかということはこれは軍の布告、布令がまだ出ていないようでありますから、従前の禁酒法はまだ存置していると思っております。従って今日青少年が飲酒喫煙しているということは強力にお互で指導し、あの法は生きていると思いますので禁酒禁煙を実行さして行くことがいいと思っております。新しく軍布令も何も出ていないと思いますので、これは生きていると思いますので新しく条例を作る意思はありません。
◎議長(知花高直君) 本日はこれで散会致しまして、明日午前十時開会致します。
  (午後四時十三分閉会)
 出席者は左の通り
  議員出席者氏名
    議 長 知花 高直君
    副議長 稲嶺 盛昌君
    議 員 与儀 清秀君
    〃   仲村 栄春君
    〃   石原 昌淳君
    〃   普天間俊夫君
    〃   宮城 久栄君
    〃   平良 幸市君
    〃   玉城 泰一君
    〃   松本 恭典君
    〃   具志頭得助君
    〃   長浜 宗安君
    〃   山川 宗道君
    〃   祖根 宗春君
    〃   山城 興起君
    〃   新里 銀三君
    〃   新城 徳助君
    〃   野原 昌彦君
    〃   崎山 起松君
    〃   仲里 誠吉君
  政府側出席者官職氏名
   知  事 平良 辰雄君
   副知事  山城 篤男君
   総務部長 幸地 新蔵君
   経済部長 呉我 春信君
   財政部長 宮里  勝君
   文教部長 屋良 朝苗君
   工務部長 渡嘉敷真睦君
   法務部長 知念 朝功君
   弘報室長 崎間 敏勝君
  警察本部長 仲村 兼信君
   公安委員 桃原 亀郎君
   〃    新垣 義常君
  総務副部長 稲嶺 成珍君
  財政副部長 久場 政彦君
  工務副部長 西銘 順治君
  厚生副部長 大森 泰夫君
           以 上
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