戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1952年02月20日 
(昭和27年)
会議名
第8回八重山群島議会(定例会)[3]
議事録
  一九五二年二月二十日開議
議事日程第三号
  午前十時五十五分開議
第一 議案第十三号 群島財産評価委員委嘱について承認を求める件
第二 議案第三号 群島財産処分について

 議決の顛末
◎議長(潮平寛保君) 一番議員は遅れて来るとのことであります。残りは皆お揃いですから開会いたします。(午前十時五十五分)
  (参与の報告をなす。)
○書記(漢那用知君) 先日と同じく各部長、主計課長、財産管理課長、事業課長、会計長、出納長、企免所長、各事業所長であります。
◎議長(潮平寛保君) 議案第三号はこれに附帯する各事業所財産評価表の印刷が未だ出来ていませんから後まわしにします。
 議案第十三号を上程いたします。
  (書記(漢那用知君)議案第十三号群島財産評価委員委嘱について承認を求める件を朗読する。)
  (「異議なし」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 議案第十三号は別に御異議ないようですから原案承認いたします。財産評価表の印刷の出来るまで政府当局に対し、何か質問はありませんか。
○久部良正三君 休会して質疑したらどうですか。
○議長(潮平寛保君) 休憩いたします。(午前十一時)
  (古見議員より動議があるので開会を求める。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十一時一分)
◎古見石人君 今朝の新聞を見ると外国人財産として売却になったトラックが今日になってその代金を財産管理課へ返還せよということになっているようですが、それについて今までの経緯と政府の予算の上にどうなっているかを知事におうかがいしたいのであります。
○知事(安里積千代君) 五番議員の御質問に対しお答えします。前政府において旧日本軍に属したトラックを公売に附し、随意契約によって民に払下げられてありますが、今日になって旧日本軍のトラックは日本には処分権がない。外国人財産に属するものであって外国人財産を政府で払下げ売却したのは違法の行為であるから、その代金を財産管理局へ返還するようにとのことであります。そこで払下げた所有者に対しては評価した代金でこれを納めさせ、応じないときは政府がとって欲しい人に評価額以上で売ってその代金を納めよ。若しそれも出来ないときは改めて公売するという通知が買受けたトラック業者五件に与えられてあります。
 そこで当時民が払下げを受けたのは前仮政府から買ったものであり、二重払をさせられることは困るから、その旨財産管理課(財産管理局カ)へ交渉したのであります。処が軍ではこのトラック払下げは不法に売却されたものであり、政府の権限外の行為でなされたのであるから、その金額五五、七〇〇円の金は財産管理課(財産管理局カ)へ納めよということになっています。
 政府としてはどんな事情で払下げをしたのか、当時の書類についてこれを検討して調べているけれども関係書類が不備で、その処置が明瞭でないのであります。果して当時の政府として適法によってなされたかどうか、これも書類不備のため判明しないのでありますし、又払下げを受けた人々のトラックも甲から乙、乙から丙へというように、転々と移動して来ているので、代金の納入させるにおいても二重払をさせられることもあるので政府として、果してこの義務を負うことが出来るか、その処置に困っているのであります。
 現在政府としては納入なってある分の代金は前々年度の予算に入れて支出されてあるが、政府として何とかせねばならぬことで、今、政府としても財政的に窮屈を感じているし、又、補正予算にもないからもし筋道の通るものなら、改めて予算に計上して納付せねばならぬのではないかと思われます。昨日までに代金の納入を調べたが一部しか受けてないのでありまして、政府がこれを払戻して売却して納めるということも出来ないし、何れにせよ私の手でなしたものでないのでありますから、当時の政府が軍の承認を得てなされたかどうかも、前政府の関係者について詳細に調べて見なければ、何ともお答えすることはできないのであります。それで私共として、今この問題をどう処置するかは研究中でありまして、場合によってどうしても返還せよということなら予算に計上して議会に諮らなければならぬと思っている次第であります。
◎議長(潮平寛保君) この問題は前政府で処理されたものであり、前政府は軍の代行機関であったので軍の代行としての立場でなされた行為であると思います。それで前政府を信じてトラックを払下げた善良な住民達に莫大な思いがけない損失を与えるのも気の毒でありますから、政府としては考慮せなければならぬと思います。当時の政府が軍の代行で払下げ、軍の許可によってなされたと考えられるから政府は当時の関係者を召喚し、軍の許可によってなされたか、又その経緯などを調査されてはっきりさせていただきたいのであります。もし調査されたものがあるならば、この席上で報告していただきたいと思います。
○財産管理課長(石垣直文君) この問題については前政府が処理されたもので群島政府の行為ではないのであります。前政府の書類綴を調べて見ました処書類が整備されておらず、しかも厖大のため調査に困難を来たしましたので、当時の係であった石垣孫莊氏を召喚して関係書類を調べたのでありますが、市内在住の砥板芳三氏に対するトラック払下げの件は落札金四二、六〇〇円で領収書発行額三七、二〇〇円となっていますが、会計帳簿面入金額は二七、二〇〇円とあって一万円の差額の行方がわからないのであります。現在これ以上のことはわからぬのでありまして当時の関係者について調査を進めはっきりしたいと思っています。
  (財産管理課長に質問して聴取)
◎古見石人君 落札額が四二、六〇〇円、領収書発行額が三七、二〇〇円、入金額二七、二〇〇円、領収書と入金額との差額が一万円となっているのが不明です。
○知事(安里積千代君) ただ今当時の軍関係書類を見ると払下げをしたのが適法によってなされなかったと思われます。トラック車体の払下げについて一九四九年十一月十四日付南部琉球軍政府の書類によると、「本件トラック車体の払下げについては八重山民政府は認可を受けた。但し、使用不能品として払下げるものとする。トラックを組立て使用したいと思う買手があって該車体を払下げる場合は売買する前に当府へ予め通知ありたし。この理由は該トラックが更に組立てられた場合は財産管理局が後日かかるトラックの所有権を問題とし、買手に困る立場となすかも知れないからである。本件に講ぜられた処置に関しては当府へ一報ありたい。」というようになって予め注意されているのであります。当時の関係者がこの書類によって処置されたとしたら軍の了解を得て売却され、この度のような事に至らなかっただろうと思われます。予めこの書類に対する処置がされていないことから見ると、適法でない処置であったともいえることでありまして、この問題については、今の処これ以上お答えすることは出来ませんで、五番議員の質問の処置に対しては不明であります。
◎佐久眞長助君 ただ今お話しなさった書類はいつのものですか。
○知事(安里積千代君) 一九四九年十一月十四日付の書類で、受付は十一月二十二日となっております。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午前十一時二十分)
  (休会中話合いにより、政府はトラックを払下げた当時の前政府関係者、総務部長、事業部長、財務部長等に召喚状を発し、調査されて議会に発表されたい旨要求があった。)
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十一時三十分)
 本問題に関しては政府において直ちに前政府の関係者、総務部長大濱國浩氏、事業部長大濱英芳氏、財務部長山里長寛氏らに召喚状を発し、調査されてその経緯等後で発表されたいのであります。
◎大山眞整君 第七号議案の一九五二会計年度の一般会計補正予算について、その歳出の復興工事費に水道工事費が計上されてあります。これは石垣市の水道工事費と見ているので敢えて反対ではないが議会として責任を持つ以上お聞きしたいのであります。この水道工事費は政府が単独に六千万円計上されたものであるか、今回六千万円が三千二百五十万円になり、二千七百五十万円の減となっているが、この水道工事は政府の復興工事に含めて施行されるものであるか、責任上お聴きして承知したいのであります。反対であるという意ではありません。
○知事(安里積千代君) 石垣市の水道工事の復興補助金は政府として心を痛めているのであります。この水道問題は自分が就任前、当時石垣市で計画し、軍と折衝されたようであって、当時三千万円の資材を軍が石垣市に無償で与えるから、八百万円の工事費は地元負担で施設しようと計画されたようであります。自分も就任当時三千万円の援助が軍から与えられるなら結構なことだと大いに感謝したのであります。処がその当時から又、杞憂があったのであります。それはこの三千万円の援助が群島へ割当てられる復興補助資金から割かれるようなことにでもなったら、これこそ群島としては復興工事がせばめられることになるからであります。
 ところで、一九五二年度八重山に来るべき九千万円申請した復興補助金が四千八百万円に削られて認可され、水道工事費が三千万円加わって来たのであります。そこで八重山として生産業育成面の復興施設は急務を要することであるのに、全群島に割当てられる復興予算から水道工事費が割かれては困るというので、石垣市議会ではこの三千万円は復興工事に影響があるか、否かを民政府にうかがった処、復興補助金と関係がないとのことで、石垣市でも水道工事施設に乗り出したようであります。
 その時政府としてこの水道工事には何もタッチしていなかったのであります。その計画が進められて去年四月初、臨時中央政府樹立に際し、よばれて沖縄出張の折、牧志市長から石垣市が水道工事資材代としてもらう三千万円は、各戸引込線は計画に入れられていないから、各戸引込線も計画に加えられるよう知事に協力してくれとのことで自分も共にビートラー副長官に陳情したのであります。それが知事としても水道工事にタッチした初めであります。軍からは各戸引込線はアメリカでも、どこでも各戸が負担すべきものだから計画に入れず、幹線に過ぎないとのことで、市は計画を変更し資金の借入れをしようとしたが借入れがうまくいかなかったようであります。
 その後ルイス大佐が御来島の際に復興予算に対する杞憂を質したところ、市の水道工事費は、その分多くして群島の復興予算の割当に含めてある旨知らせがあったのであります。政府としては一九五一年度の予算に問題もあったので群島の復興予算の割当から割かれて一般復興工事が狭められないよう陳情したのであります。そこで五二年度の認可予算に水道工事費が入れられて来たが、当時は前年の残りだと考えていたところへ今年になり六千万円計上され、更に三千万円を減ぜられて二百五十万円の補助が与えられてあるのであります。自分の杞憂の通りに本年度復興予算の審議にも出ず計画もせなかったのが含まれて認可されて来ているのでありまして、これは石垣市が直接軍へ交渉してなされたものかどうか、軍の好意でなされたものかどうか存ぜぬので政府としては不審に思っているところであります。
 自分の知る範囲は以上の通りでありまして、群島政府がこれをどうするか水道工事はどんなになっているかについてはお答え出来ないのであります。工事の計画はうまく行くかどうか、銀行からの借入が可能であるか、もし借入れるとしたら償還計画はどうするか等は政府として何らタッチしていないが、群島政府としてはこの計画を完成させたいと思って早く工事に着手し、予算も早く消化しなければ来年度は復興予算から削られ影響を来すかもわからないのであります。
 細部に亙っては参考人として石垣市長や市議会議長らの当路者が見える筈ですからお聴き取りを願います。
◎大山眞整君 水道工事は市の工事と思っているが政府の復興工事として今後進むのでしょうか。
  (石垣市長牧志宗得、市議会議長浦本寛二、水道会社専務森田孫輔出席)
○知事(安里積千代君) 水道工事費は政府の予算に含まれて来ているので政府から支出されるのであります。石垣市が計画に基いて工事を着手し、書類が提出され申請されたときは、工事の進捗を見て工事費や補助金を指示して与えるということしか、政府として今のところなすべき途はないのであります。
 三千万円の資材と二百五十万円の補助金が与えられてあるから、これ丈で出来るかどうかは別として、市としてはこれで完成せなければなりませんから工務部としても督励し、早く着工させて予算の指示も与えたいと思っています。
 工事の計画内容の詳細に亙っては政府として関知していないのであります。
◎大山眞整君 水道工事は市民のための計画でありますから政府としても事業が完成するよう督励され、実現されることを我々は願っているのであります。六千万円の予算が二、七五〇万円削減された分に対しては政府として、離島の復興のため、又全群島住民のための復興工事に行き渡るよう御考慮願いたいと思います。
○副知事(當銘正友君) 水道工事費が二、七五〇万円減ぜられて予算が浮いたわけでなくて、六千万円の認可予算が三千万円に減ぜられ、改めて又二百五十万円の工事補助が与えられたので差引二、七五〇万円の減となる結果であります。六千万円は資材代、運送費として与えられたものですが資材代が安くなったためか三千万円に減ぜられて来ているのであります。
○財政部長(崎山信邦君) この問題は面白い問題ではあるが、又責任の重大を伴う問題であります。牧志市長は市長選挙の時、政策の看板に水道施設をとり上げて計画をされて来たが、就任中、三千万円の資材が与えられるとき、その当時の政府を経由されてなされたか。
 一九五二会計年度の復興予算は各市町の復興工事の一切を含めて予算に計上し、申請して認可されて来るのですが、その認可予算を見ると政府が全く知らない、又、市から何の要求もなかった水道工事費がこれに加わって来ているのであるが、これについて牧志市長はどういう経緯で群島政府を経由せずして水道工事費の予算が政府から指示されるようにされたか、或は市長が直接交渉をされその手腕でなされたのであるかも知れないし、或は又何か政府を経由しなくても出来る事情があったか、以上に対して市長は答えてもらいたいと思う。
○石垣市長(牧志宗得君) 一昨年十月頃ビートラー副長官が来島の際、石垣市は上水道を施設してみたいとその旨計画を申し上げました処、副長官もこれに賛成され、それでは早く設計計画書を提出したがよかろう、それについては自分が帰ってから二週間後に工務部長を派遣するからということになって、二週間後工務部長が来島され、水道工事の計画をされて帰ったのであります。それから一ヶ月後ビートラー副長官から示達があり、設計計画書は八重山民政官府を通して提出したのであります。その時三千万円の資材は軍が無償で与えるから、工事費八百万円は市が負担してなすようにとのことでありました。そこで、八百万円の復興資金の借入をなすべく那覇へ出張し、借入方を琉銀に折衝しましたところ、復興資金の借入は群島政府並びに市町村は借入れできないとのことで水道会社を設立すべく市会にかけたのであります。市会では無償で与えられる三千万円の資材代は嘘だろう。事実であれば群島の復興費から割かれるものだろうとの話しがあったので、自分は浦本議長、眞榮田議員と一しょに民政官の係ルーニに尋ねた処、復興費とは何ら関係がないと確答を得たので市としても安心して市会にかけ、復金の借入れをなすべく決議すると共に、水道株式会社を設立発端(ママ)して生れたのであります。
 この水道工事については市としても会社としても群島政府とは何らの繋りもなく今になっているのであります。
○財政部長(崎山信邦君) 牧志市長に質問します。群島政府の一九五二会計年度の復興予算は各市町の一切の復興工事を含めて計上するよう示達されてあるので、市町の復興工事の一切は当然群島政府の予算を通して計上され、申請して認可されるのであるが、今度来た認可予算を見ると、政府が計画もしない、申請もしない、勿論市から群島政府に対し、依頼もなかった水道工事費が認可予算として六千万円含まれて来ているが、これに対して市長は那覇によく出られたが、いつ軍に交渉されて群島の復興予算から水道工事費を貰えるようにされたのであるか。又それは単独に市長の手腕によってなされたものであるかを市長は明確に答弁をしてもらいたい。
○知事(安里積千代君) 自分も五二年度の予算認可なった当時は前年度水道工事が行われなかったから、前年度の余りとして加わって来たものと思って気にせなかったのであるが、今年になって認可された予算を見ると政府が計画もしない、申請もしない水道工事費が六千万円という数字を以て群島の割当額の中に含まれて来たことに大きな不審を抱いておる所であります。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(正午)
  (休会中、牧志市長、浦本市議会議長、森田水道会社専務に対して政府側、議員側より質疑があり話合いが行われた。)
 ・浦本議長より牧志市長の報告についての補足報告がなされ、市会側としては復興工事費を以てこの水道工事の事業をしようとは最初より全然考えていなかった旨を明らかにされた。
 ・市長より、市長として水道工事費が群島の復興予算に含まれて来ることについてはどうしてそうなったか全然知らない。軍に対して援助方お願いしたことはあるが群島の復興費を以て援助をお願いしたこともない旨の答弁があった。
 ・森田水道会社専務より、水道工事施行に対する計画及び資金計画等について概略の説明を聴取した。
 ・政府職員並びに議員より、それぞれ水道工事計画の実現と完成を期し努力され度い旨、当路者に対し要望があった。
 特に安里知事より、折角、軍から援助を与えられ、計画されたこの工事に蹉跌を来たし、又は責任を群島政府に転嫁されなきよう、若しかかることがありとせば八重山群島の面目にも拘り、烙印されて汚点を残し、将来の八重山開発事業の計画と遂行上に大きな影響を来たし、為めに不利と不幸に陥らしめないとも限らないから、その実現と完成に努力されるよう、尚政府としても政府の立場において協力を惜しまない旨注意と希望が述べられた。
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後一時十五分)石垣市水道工事の予算は休会中の関係者との話合いによって、天降り式になされた予算であったと思われます。全群島の予算が半市半民の会社に対し、莫大な金額を軍が補助することに対しては疑問視して居るのであります。しかし軍が水道施設を重要視されていることは伺われます。
 ついては会社としては大丈夫来年二月までに完成の意向であるから、計画通り完成するよう努力され、政府としても十分督励されて早く工事が進捗して完成するよう希望するのであります。
 憂慮されるのは資金でありますが、これが調達にも努力されて全郡下に使用される復興費に水道工事費が食い込まぬ様、特に注意を致して置きます。休憩します。(午後一時二十分)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後二時四十三分)
 先刻五番議員から質問になりました自動車の払下げ問題について御調査になりました状況を承りたいと思います。
○副知事(當銘正友君) 先刻問題になりましたトラックの払下げについて前政府当時の総務部長大濱國浩氏、事業部長大濱英芳氏、財務部長山里長寛氏、事務取扱者黒島安助氏の四氏に出頭の通告状を発した処、山里長寛氏のみ見えて他の三名は未だ出頭なっていませんので十分経緯を聴取することはできないが、山里長寛氏より聴取の結果は自分は財務部長として捺印したまでで経緯は何も知らない、事業部長であった大濱英芳の主管事務であったので自分は何も申し上げることはできないとのことであります。残りの三人については出頭次第詳細なことを聴取したいと考えています。
◎議長(潮平寛保君) トラックの払下げについての調査については、当時軍の代行機関である民政府の関係者に依頼されたのであるが、トラックを払下げた善良な住民に二重の負担をさせないよう、又現政府としても損失を来さないよう、政府は善処されることを議会側は希望して、本問題を終ることにします。
 議案第三号を上程いたします。
  (書記(漢那用知君)議案第三号群島財産処分についてを朗読する。議案の左記以下朗読を省略す。)
○久部良正三君 休会して話合いたいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩いたします。(午後二時四十八分)
  (休会中群島財産処分について質疑と話合いをなす。)
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後三時)本案は竹富町、与那国町からの陳情があるので、それを認めることにして附帯決議として原案可決しては如何ですか。
  (「異議なし」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 議案第三号は、竹富町、与那国町からの陳情を認めることにして満場一致を以て原案可決いたします。
  (陳情書は末尾に記載)
 尚最後にお願いすることは、財産処分に対しては政府は出来るだけ評価以上に処分されるよう御努力なって、歳入を多くし他の面にも振り向けられますよう希望するのであります。
◎大山眞整君 第三号議案財産処分についての附帯陳情をしてお願いしたところ、各位には満場一致を以て可決して下さったことに感謝申し上げます。これについて一視同仁の立場から申し上げます。竹富町、与那国町は天恵ない上に交通に不便を来しおることは大きな悩みであります。
 大濱町は土地に恵まれ、伊原間までの群島管理道路もあり、交通上産業上恩典が着せられていることと思うのであります。竹富町、与那国町の住民は石垣市に来るのに桟橋通行料、手荷物料、船舶繋船料を収めなければならぬのであります。行政官庁は石垣市にあるし、経済その他の機関もすべて石垣市にある関係上、石垣市に来なければ経済生活は出来ない状態にあります。それで離島住民が石垣市へ来て通過する時の桟橋通行料、手荷物料、繋船料が免除されることは、大濱町と同様交通の便が与えられたものとして住民から感謝されるわけでありますから石垣市と折衝されまして、この陳情が相叶うよう陳情の趣旨を簡単に申し上げ、政府にお願いする次第であります。
◎議長(潮平寛保君) 群島政府が解消され、琉球政府の地方庁が設置されるに当りまして、議会側から中央政府琉球民政本部にそれぞれ陳情をいたしたいと思いますので陳情書の案を一応朗読させることにします。
  (書記(漢那用知君)陳情書の案を朗読する。末尾に記載)
◎議長(潮平寛保君) ただ今読み上げた陳情文は政府が統合された時、中央政府において群島政府に代る地方庁に是非実現していただきたい重要案件でありますので、議会から陳情することにしては如何ですか。
◎大山眞整君 今読み上げたこれだけの陳情の実現されるのを願うのでありますが、これだけ陳情してもその中一、二実現されるかもわかりませんから、この通り実現されるよう中央政府民政本部へ陳情し、お願いしたいのでありますから、陳情書の案に対して賛成するものであります。
  (「異議なし」「賛成」等の声あり)
◎議長(潮平寛保君) ただ今の陳情に対しては満場一致を以て可決いたします。陳情書は浄書して明日、各員の捺印をうけることにします。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午後三時二十五分)
  (休会中に
  一 明日の日程をはかる
  午前九時開会、閉会して後真栄里山の開拓工事視察をなすこと。
  二 副知事より報告
  先程問題になったトラック払下げについて当時の関係者黒島安助氏を喚問し、聴取した結果、一九四九年十一月十四日南部琉球軍政府の覚書によって八重山駐在軍政官の事前の承認を受けた覚えはない。それ以上のことは承知していないとのことであるから違法処分だと思われる旨報告があった。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後三時三十分)
◎知事(安里積千代君) 政府が統合になる最終の議会に、主としてこれに関連する議案及び中央政府に対する議会としての陳情の決議や、予算に関する石垣市水道工事の問題、トラック払下げに係る問題等各種の重要問題につき、議員各位には真剣に御熱心に御審議下され、すべての議案に満場一致を以て可決して下さいましたことを感謝申し上げ敬意を表します。
 本定例会は本日を以て議事を終え、明日は真栄里山方面の開拓事業の視察をされ、会期を終ることになりました。開会の時にも申し上げましたように議会として短い期間で心残りがされるのですが、各位にはその間それぞれ抱負の下に代表として、群島政府創立以来よく御協力下さいますし、又政府としても緊張して群島のための政治が執行できましたことは御同慶の至りで各位に感謝の意を表する次第でありまして、この期間は確かに本群島政治の一大進歩がなされたことと思うのであります。
 しかし、国際状勢、経済状況は群島政府から統合政府へと躍進いたしましたのですから我々としても相協力し、衆知を結集し、中央政府に対し群島住民の意を反映させるよう陳情もいたし、代表も送って群島民のための政治、延いては全琉住民のための政治が行われるよう念願するのであります。自分も三月二日を以て辞職するのでありまして、後は整理期間六月まで副知事が政府の衝に当ることであるし、各位も組織法が廃止ならん限り六月までは存続されるものと予想されるのでありますから、此の上とも群島のためによき政治が行われるよう御協力をお願いします。
 本議会においては多数にわたる案件を御審議して可決を与えていただきましたことを厚く感謝申し上げます。
◎議長(潮平寛保君) 今回の議会は定例会として最終の議会となりますが、議会発足以来政府当局におかせられては、群島行政に対し真剣に御熱心に当っていただいて其の業蹟見るべきもの多く、議会側として深く敬意を表し感謝申し上げる次第であります。
 殊に安里知事には今度行われる立法院議員選挙に立候補され、三月二日を以て辞職されるのでありまして、知事就任以来真剣になって群島開発発展のために御努力されたことは感謝に堪えません。その間私共議員として当局の御期待を十分なし得なかったことは恥しく存ずるのでありますが、ただ熱心に決議機関として、つとめて来たことは諒とされたいと思います。
 安里知事には、ますます健康に留意され、八重山は勿論、全琉の開発発展のために御努力下さるようお願いいたします。有難うございました。
◎古見石人君 今のお話しで知事は三月二日を以て退職なさるということでありますし、群島政府は三月一ぱいで四月からは中央政府の地方庁となることになりまして、政府に留められない方には退職給与金を支給することになるが、知事はこれに該当せないので次の議会で予算を補正し、退職慰労金を三ヶ月分差上げるようにしては如何でしょうか。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。(午後三時四十分)
  (休会中に知事の退職慰労金について話し合う。財源を捻出して三ヶ月分差上げるようにしたい。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後三時四十五分)
 ただ今五番議員の動議に対して如何いたしますか。
◎佐久眞長助君 政府の財源の許す限り退職慰労金を差上げるようにして、政府に任せることにしては如何ですか。
  (「異議なし」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) ただ今の御説に御異議ないようですから、財源の許す限り、知事に対する退職慰労金を差上げるよう政府に善処方をお願いします。
 明日午前九時開会いたします。
本日はこれで休会いたします。(午後三時五十五分閉議)

  本日の会議に付したる事件
日程第一 議案第十三号群島財産評価委員委嘱について承認を求める件
日程第二 議案第三号群島財産処分について
旧日本軍のトラック払下げ代金の返還について
石垣市の水道工事費について
群島政府が解消され琉球政府の地方庁設置されるに当り、議会より中央政府琉球民政本部へ陳情提出について
知事の退職慰労金について
 出席者次の通り
議 員
 議会議長(三番議員)
        潮平 寛保君
  〃副議長(六番議員)
        大山 眞整君
  〃議 員(四番)
        佐久眞長助君
  〃議 員(五番)
        古見 石人君
  〃議 員(七番)
        久部良正三君
議事参与
 知 事     安里積千代君
 副知事     當銘 正友君
 財政部長    崎山 信邦君
 経済部長    眞榮田 登君
 工務部長    宮良 英副君
 主計課長    浦崎永八郎君
 財産管理課長  石垣 直文君
 事業課長    前新 雄三君
 会計長     宮良 永益君
 厚生部次長   三島 保夫君
 経済部次長   石垣 英政君
 工務部主席次長 宮城 光雄君

 議案第三号群島財産処分について
 附帯決議なった陳情書は次の通り
  陳 情 書
今議会における議案第三号群島財産処分について石垣中学校々舎、宿直室、木造瓦葺平家建一二六坪五合並同校々長住宅木造瓦葺平家建二五坪二合五勺及同校敷地一九〇坪五合五勺は群島財産の処前議会において石垣市より無償払下願出られたるも決議に至らず、同財産は同校創立当時群島住民の割当寄附により設置されたもので、これを石垣市に無償払下げることは公正を欠くことと思います。八重山群島中大濱町には三二キロの群島管理道路を有し、大濱町民の交通の便を与えおるが、他の竹富町、与那国町は恵まれざる交通不便の多数の離島を有し、住民は政治、経済の中心地たる行政官庁所在地石垣市との交通を頻繁になさなければ生活を営むことができず、離島住民の生活苦を御憫察下され、左記条件を以て石垣市と折衝の上実現方御取計い下さるよう陳情いたします。
    記
一 竹富町、与那国町民に対する石垣桟橋通行料並に手荷物料(五、六〇斤程度のもの)の免除
二 竹富町、与那国町各離島の航海船の繋船料免除
 一九五二年二月十八日
  議会議員   大山 眞整(印)
    〃    古見 石人(印)
    〃    久部良正三(印)
  竹富町長   仲本 信幸(印)
  与那国町長  松田 長茂

 八重山群島知事 安里積千代殿
 八重山群島議会議長 潮平 寛保殿
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