戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年08月08日 
(昭和26年)
会議名
立法院全員協議会 1951年8月8日
議事録
立法院全員協議会会議録

 一九五一年八月八日(水曜日)
 午後一時五十五分開議

議事日程
 一、文教局の設置に関する民政府からの文書について

○仮議長(松田賀哲君) ではこれから研究会を開きたいと思います。その議題はこの文教局の設置に関する布告第三号による権限移譲の文書についてですがこれは前に一回文書で来たのでありますが、我々が読んでも意味が不明の所がありましたものですから当局の方で民政府に交渉して我々に意味がわかるよう書直してもらった文書が来ているので手元に差上げてあります。それについてお互研究しようと思うのであります。そしていずれ本会議にかけてこの設置について御審議願いたいと思っています。それでは当局の方で一つ読みながら説明していただけませんか。
○文教局長(仮文教局長カ以下同)(奥田愛正君) 先日二十五日付の書簡について研究をお願いしたのでありますが、B項の後半に疑義があるということで当局で疑義を解明するようにというお話だったので民政府に参ってその旨お願いしたわけであります。それについて八月三日B項を解明した書類が参っています。それを一応読上げます。
  (文教局長奥田愛正君「民政本部からの文書」を朗読)
○文教局長(奥田愛正君) この文書によって先日の書簡のB項はほぼ内容がわかったと思います。結局調査、研究した結果の処理についてはっきりしたことがわかったのであります。以上であります。
○仮議長(松田賀哲君) このB項のですね、地区というのは何ですか。学校区ですか。
○文教局長(奥田愛正君) 教育区ですね。沖縄群島では十地区ですか。しかし学校地区でも差支えないでしょう。
○城間盛善君 教育委員会の地区ですから通学地区と混同するおそれがありますね。
○仮議長(松田賀哲君) これは書類通りでよい訳ですかね。只地区でいいですか。
○文教局長(奥田愛正君) 教育地区といれるべきですね。
○仮議長(松田賀哲君) 中央政府文教局、群島政府文教部及び学校地区となっていますからね。原文をそのまま訳すると…。
○與儀達敏君 くわしい方がいいですね。
○仮議長(松田賀哲君) 入れますか。
○吉元榮光君 入れましょう。
○仮議長(松田賀哲君) こんなものの翻訳は文字通り訳してもらった方がいいですね。
○與儀達敏君 教育地区にしますか。
○城間盛善君 そういう言葉をつかっているですね。日本ではどうですか。
○吉元榮光君 日本は市町村で委員会をもつんですから…。
○田畑守雄君 学校地区というのは入れんでもいいですか。
○吉元榮光君 学校地区というのはないでしょう。教育地区でしょう。
○田畑守雄君 しかし全琉的にはそういう所もあるんじゃないですか。
○吉元榮光君 他の所はどうか知りませんが沖縄の場合はやはり教育地区ですね。
○仮議長(松田賀哲君) 二のですね、終りの方ですが日本文には群島法規の廃止についての民政官への進言の基礎となるとありますね、これは原文では民政官の取るべき処置の基礎となるという意味ではないですかね。
○嘉陽安春君 だから問題はその点が軍がはたすというわけではなく文教局の立案はやはり臨時中央政府の段階で改正法規が群島法規の改廃を促すという点にあるんじゃないですか。どっちにしても前からの問題ではやはり立法院にかかるといえますね。
○仮議長(松田賀哲君) アクションという言葉があるから必ず具体的に使わねばならないわけでしょう。
○嘉陽安春君 文教局で立案して立法院に送って法規化しても前に出した群島政府の法規を改廃する力はないのですから実質上で法規を改廃するようにするんでしょう。要するに二でいっていることは調査研究は中央政府でやらねばならないということがはっきりしていると思いますね。
○城間盛善君 文書はこれでいいと思うがね。
○仮議長(松田賀哲君) 又を取って…。
○城間盛善君 そうです。それは一貫したものなんですよ。つまり文教局の研究調査にもとづいて立法院に立法を求めるでしょう。その場合に群島組織法や群島条例と一致しない場合はまず民政官がそういう群島組織法などを修正しなければ立法も出来ないわけですから同じ事ですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 局長さんから何かお話はありませんか。
○文教局長(奥田愛正君) 別にありませんが…。大体早目にこれにそって案をつくりたいと思います。
○仮議長(松田賀哲君) この前に刷ったのは駄目ですか。
○吉元榮光君 一応この線にそって全部改める形でやりましょう。
○文教局長(奥田愛正君) 問題は予算が中央政府にあるでしょう。定員も百八十九名から三百名を超えたのです。所が琉大がアメリカの大学の行き方と同じように大学理事会が最高の権限をもって総長以下理事会に従属してしかも事務系統も総長が管理一切の責任を理事会に対して負い又会計官をおいて財政面に於いても独立した行政を取るという行き方ですがこれも同様の行き方をしているようです。
 ですから財政的に補助するだけで管理一切は理事会がやるという行き方です。
○吉元榮光君 検討する余地があると思うね。
○文教局長(奥田愛正君) 実権は軍がもっているわけです。大学の条例をつくるにしても民政副長官の認可を得てつくることになっています。
○仮議長(松田賀哲君) そうなればやる仕事は研究ばかりですね。只研究さえしておればいいわけか。
○文教局長(奥田愛正君) 法案を準備しなければならんわけです。
○城間盛善君 差当っては全琉的教育機関の設置準備ですね。もう一つは将来の全琉的教育制度に関すること。大仕事がひかえているわけだ。
 大学の経営については今のやり方が理想的だと思いますね。
○文教局長(奥田愛正君) アメリカは殆んどの大学が理事会中心ですね。総長、教授、各部長、課長全て理事会の任命です。
○城間盛善君 全ての教育が大体そんな形になっていくんじゃないかな。政府は只金を出すだけで運営は委員会でやるという形に…。
○與儀達敏君 市町村はどうですか。いずれ教育委員会など発足しなければいかん、全琉的な機関の必要もあろうしそのためには日本に行ってみるということは貴方方の希望する所であるし出来れば早く片つけた方がよいという方針なら休会前に成立させて九月からそういう活動をはじめるという行き方にしてもいいと思いますがね。出来れば…。
○文教局長(奥田愛正君) 後二日でどうですかね。綜合調整も相当かかるんじゃないですか。
○田畑守雄君 どうせ出来んですよ。
○與儀達敏君 休会明けですね。
○大濱國浩君 これは委員会附託にして研究するわけでしょう。
○吉元榮光君 委員会で研究するようにして次に提案してもらったら…。
○仮議長(松田賀哲君) そんならこれはこれで終ります。
  (午後二時三十六分閉議)

  本日の出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
  文教局長  奥田 愛正君
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