戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年07月19日 
(昭和26年)
会議名
立法院全員協議会 1951年7月19日
議事録
立法院全員協議会会議録

 一九五一年七月十九日(木曜日)
 午後二時三十分開議

議 題
 一、金融委員会設置法案について

○仮議長(松田賀哲君) これから全員協議会を開きます。前にメッセージ第六号で出ております金融委員会設置法についてでありますが、これは五月二十一日に第一読会をすんでおりまして委員会付託になったのでありますが、これは冨名腰参議が主になってやったものでありまして、委員たる祷さんと私の三名に付託された訳でありますが、その冨名腰さんが渡米されまして、祷さんがお休みになって後当時の委員として私一人になっておりますが、これをどういう風に処理したらよいか、御協議願いたいと思います。
 今お手許に差上げてありますのは修正案として新しく出たものでありまして我々の原案とは別であります。
○嘉陽安春君 金融委員会設置法については先に金融委員会から草案に対する要望事項があったから、この案を検討する前に要望事項を更に再検討して、要望事項を先決問題として片付けたい。その問題がすんだ上で明日から第一読会前であるという方針をとってこの案につき慎重に検討したいと思う。
○仮議長(松田賀哲君) それでよいでせうね。それでは財政局長がよく御存じですから御説明を願いたいと思います。
○財政局長(宮里勝君) これは先に冨名腰委員長から意見を添へて主席に出したら主席から立法院の意見と主席の意見を添へて軍に提出した訳です。軍の方では財政部長が検討することになっていたが、一月に東京に出張して五月二十一日に帰る予定が、七月四、五日頃になってそのままになっておったが、その後これを審議しまして、二、三日前にアーレン大佐から主席代理と私に来いということで軍政府に行ってアーレン大佐、財政部長、副部長と会見し、その結果立法院側からの要望の第一点は第二条第三項の「委員会は行政主席に対し諮問事項に関し随時意見を述べることが出来る」の中の「諮問事項に関し」を削ったらよかろうという要望であったのであります。軍の意向はこれはあったがよかろう大体第一条に於て限定された諮問に答申すればよい訳だから諮問事項の範囲に限定したらよかろうという意見でありました。次は第四条の二項の七学識又は経験あるもの四人以内、これが六人以内となっておりましたが、軍の方では余り余計おらんでもよかろう四人以内でよいという軍の意見であります。
 それから第六条の第二項でありますが、これは最初の我々の提案は、行政主席が委員長になり副委員長は行政主席が任命するとなっておりましたが、これは立法院の意見通り、委員長は行政主席が任命し副委員長は互選にする方がよかろうということで、こういう風になおされたのであります。
 次は追加要望でありますが、それは「会議は行政主席がこれを招集する。但し委員過半数の要求があった場合に於ては行政主席はこれを招集しなければならない。会議の定足数は委員の過半数とする。会議の議決は出席委員過半数を以てする。但し委員長は可否同数の時裁決する場合の外採決権(表決カ)を有しない。」これを追加せよということでありましたが、軍の意向はこれは必要はないだろうと申しております。
 この外に軍の方から申されたのが二点あります。
 それは第一条の末尾に「…金融委員会を設置しこれらに関連する諸事項を審議策定せしめることを目的とする」ということが原案であったのでありますがこれは別に修正の御意見はありませんでしたが軍の財政部長は「策定」ということは、こういう政策に対しての決定権は民にはなく、あく迄も当分は軍が握るということで、この策定を助言とか進言とかいう程度に改めて欲しいということであった。助言にするか進言にするかという問題もあったのですが一応助言ということに修正して提案したのであります。
 それからもう一つ、第三条であります。それの一番末尾に資料の提供蒐集及び作成を命じという文句があったのですが、命じは強過ぎる、委員会としてはそこ迄の権能はないだろう。それは削除した方がよかろうという意見であったので、「作成をなさしめることが出来る」と修正した訳であります。この二点は軍から特に申された事項でありますが、もう一つは大して問題ではないのですが、第四条の第五項でありますが、初めは「委員会の委員は当分の間無報酬とする、但し日当を支給することが出来る」とありましたが、日当だけでは遠方から来る委員が困るからそれに対して旅費を支給する途はないかということを申したら、軍の方でも旅費だけは考慮するということになっておりますので、ここに「及び旅費」を追加したのであります。
○仮議長(松田賀哲君) 今の要望事項でこの案に載っていない部分をどうするか、それを先に片付けて行きませう。
○城間盛善君 要望事項から考へて行ったらどうですか、これにあろうとなからうと。
○仮議長(松田賀哲君) 要望事項の一番目の第二条第三項の「諮問事項に関し」ということは軍としては入れた方がよいということですが…。
○與儀達敏君 軍としては強硬ですか。
○財政局(波平仁吉君) 強硬という訳ではないのですが、この諮問事項の範囲に留めた方がよかろうということです。
○嘉陽安春君 この諮問事項ということは第一条の諮問事項を指しているのか、又は第一条の問題の中でその都度、例へば現在の琉銀の利率を如何にすべきを適当と思うかという、その具体的な会議にかけられた問題を指しての諮問事項であるのか。
○財政局(波平仁吉君) それはあなたのいわれた後の方に該当する。個々の問題について、問題から逸脱した場合には困るから集中的にやっていただこうという意味です。
○嘉陽安春君 そうなると三項はおかしい、それははっきり書いた方がよい。委員会に於ける意見の陳述は当該諮問事項の範囲を逸脱してはならない。
○財政局長(宮里勝君) 大体この文句は日本の預金部資金委員会の文句をそのまま持って来ているのです。
○與儀達敏君 第一条に掲げてある金融政策の範囲内ならいつでも行政主席に助言出来るという意味でせう。
○嘉陽安春君 諮問事項ということに重点がある訳ですか、随時ということに重点があるのですか。
○財政局(波平仁吉君) 日本の総理府の中にある資金運用部資金運用審議会というのがありますが、それの第九条第二項に「審議会は資金運用部資金の運用に関し大蔵大臣に随時意見を述べることが出来る。」ということがあります。
○嘉陽安春君 それとは性質が違いますね。運用部資金の運用方法という限定されたものですから、だから三項のいい方は意味をなしませんよ。
○吉元榮光君 第五条では委員会からも審議事項を提案することが出来る、となっておりこの第三項の意味がただ諮問事項のみを進言するということはあたらんと思う。
○城間盛善君 第三項と第二項はどんな関係があるのですか。特に第三項を入れたのは二項以外のことを意図していると思うが、若し諮問事項が議題にされたものという解釈であるならば第二項と第三項は同じ意味になりはせんかと思うが、特に第三項を入れたということは随時に意味があるのぢゃないか。第一項から第三項の相関連した何物かがある筈ですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 第三項はこの随時に生命があると思う。そのために諮問事項というのを消した筈です。
○嘉陽安春君 諮問事項といわないで第一条に関し随時ということにすればよく分りますよ。
○仮議長(松田賀哲君) 第三項は諮問事項を抜いて「委員会は行政主席に対し随時意見を述べることが出来る」としませうか。そうした場合にどういう不都合があるのですか。二項によって主席の諮問の範囲に関し審議答申をするけれどもその参考のためにでも委員会が随時意見を述べていいんぢゃないかな。助言ですからね…。
○財政局(波平仁吉君) それは大いに結構だと思いますけれども、議場内で諮問事項をそっちのけにしてそれ以外のことを論じられたら、解決がつきません。
○仮議長(松田賀哲君) そういう意味だったら第三項を削った方がいいのですよ。
○城間盛善君 我々の主張は諮問事項を取ることであるが、若しどうしても入れるというならば第三項は全部削除すべきである。
○嘉陽安春君 随時に重点を置けば第五条とこの第三項は矛盾して来る。
○城間盛善君 若し民政府側が特に諮問事項を入れなければならないということであれば、第二項によってはっきりしているから、更に諮問事項を繰返す必要はない。
○嘉陽安春君 第一項もいらんですね。二項は諮問に応じてだけしか動けないということが重点で、第一項は第一条の範囲内で、行政主席の諮問に関し第一条に掲げる事項に関し審議を行うということにもなりますからな。
○仮議長(松田賀哲君) 三項を削ることにして協議を纏めませうか。
○吉元榮光君 諮問事項を削除することが出来れば入れておってもよいと思う。
○嘉陽安春君 随時意見を述べるということが第五条と矛盾して来る訳ですよ。随時述べられるようにすることによって第五条を変へて行くことも出来るのですがね。随時に重点を置いて…。
○仮議長(松田賀哲君) 三項を削りませう。
○財政局(波平仁吉君) 第四条の第二項の七学識又は経験のある者四人以内、これは要望としては六人以内となっておりました。然しこれは後で委員長も納得しておられるのです。
○仮議長(松田賀哲君) この四人を六人と要望したのは、大体こういう事情があるのです。沢山人がいてもただわあわあいうばかりでも困るからなるべく人間を少くしようということが主席の考ですが、その点に於ては我々も賛成ですが、それからいへば四人以内の方がいいだろうが、然し四人以内とすると、各群島知事の推薦によるもの四人以内とあるが既に推薦して来ているのが行政官側、大体各群島の経済部長になる傾向があるのですよ。そうなると五人に経済部長四人で、九人が役人になってしまうのですよ。そして後の四人が民間人という形になりそうだったのです。そうするとこれは官製のものであって委員会らしい活気あるものにはならないだろう。それでこれを六人にして民間人を多くしようとしたのです。
○財政局長(宮里勝君) 例へば大島の如きは祷さんを推していますね。必ずしも経済部長とは限らんでせう。
○仮議長(松田賀哲君) 旅費を支給することが出来るかどうかも怪しかったのですから、結局は各群島から出て来るものは役人になるということを予想しておった訳です。
○與儀達敏君 四名でいいのぢゃないですか。
○財政局(波平仁吉君) 第六条の二項は立法院の要望通り通っております。その次に新しい条文を設けるという要望がありました。
 1、会議は行政主席がこれを招集する。但し委員過半数の要求があった場合に於ては行政主席はこれを招集しなければならない。
 2、会議の定足数は委員の過半数とする。
 3、会議の議決は、出席委員の過半数を以てする。但し委員長は、可否同数の場合に裁決する外表決権を有しない。
○財政局長(宮里勝君) これは冨名腰さんもいうておりましたが、純然たる諮問機関であるという風に確定すればこの条文は要らない。然しなるべくは議決機関に持って行きたいということでありましたが、軍の意向が諮問機関のようでありますから当然規定は出来ないと思うのです。
○嘉陽安春君 然し定足数は過半数に決めるということは議決権を抜きにしても、会議の原則は入れなければおかしいのぢゃないかな。
○財政局(波平仁吉君) 然しこれは諮問機関でせう。だから仮に三名の意見と七名の意見があっても主席としては三名の意見がよいと思へば、それを採れる訳ですから定足数は要らないと思う。
○嘉陽安春君 議事規定は委員会自体が定めるとすれば別ですが、然し何かいわなければいけないのぢゃないか。
○財政局(波平仁吉君) 若しやるとすれば内規の方でやって本法では入れない様にしたらどうですか。
○嘉陽安春君 会議規則は主席の承認を得て委員長がこれを定めるという位のことは要るのぢゃないか。役付の人が三、四名か集まってそれが委員会の意見であるということになったら…。
○財政局長(宮里勝君) 主席としてもこれは自分の職務遂行上皆の助言を採ろうという機関だから、その中から相当詳しい人が三、四名も集まればやっていい場合もあるし…。
○田畑守雄君 利害関係は問題になりませんか。
○嘉陽安春君 便利なようで主席自体が結局困らんかな。何のけじめもないから。これが委員会の意思だといわれた場合に…。
○財政局(波平仁吉君) 定足数に縛られた場合動きが取れないことがあるのですよ。委員会の委員が嫌がらせをして集まらんということになると成立しないということになる。
○城間盛善君 定足数を決めないにしても委員会自体でそういった議事運営の内規を作れる条項を入れたらどんなものですか。
○財政局長(宮里勝君) 委員会の運営に関しては主席がこれを定めるでいいのぢゃないか。
○城間盛善君 こういう委員会を作って或る諮問事項が提出されて審議する。そして委員会の意思として答申が出て来ると思う。専門家の意見の纏ったものを委員会自体の意思として聴きたいということを主席は期待しているのぢゃないのですか。そうすれば、それを纏めるためには議事をどういう形で運営して委員会の意思を決定するか、進言を決定するかという順序がある訳ですね。そういう議事規則というものはあった方が便利ぢゃないのですか。我々が今作ろうというのでなしに…。
○仮議長(松田賀哲君) 立案者としては先いわれたように、委員一人一人に手紙を送って意見を聴いてもいいという考へ方からすると纏った答申案が欲しいとはいへない訳ですね。
○財政局(波平仁吉君) それは例外であって基本は当然、委員会を開いて纏った意見を聴くことにある訳です。
○仮議長(松田賀哲君) そうなればこの答申を纏める方法が必要ではないか。
○財政局長(宮里勝君) それは委員会自体に委してはどうですか、従来の慣例もあるし…。
○嘉陽安春君 定足数も書かなくてもいい訳ですか。金融委員会の委員が集まったのか、局長が三人集まった会議であるのか。そういうことは便利な様に見へて却って困るのぢゃないかな…。
○財政局長(宮里勝君) 主席の良心に訴へてですね。外部も尊重しますよ。一応はそういうことはあり得ないと思う。
○仮議長(松田賀哲君) 定足数の問題は先も申上げた様に誠意があればいつでも出来るし、なければいくら催促しても定足数に満たないと思う。細かい点については主席を信頼して委しておいた方がいいと思う。
○田畑守雄君 現在の段階に於ては縛らん様にしておいて、実際縛るということになれば先ず人数から検討しなければいかんでせう。各局長が委員になって殆ど政策面に於てこれのリードする力が大きいということになりますから、この場合縛ったところで余り効果が少な過ぎると思うのですよ。だから一応はそのままでやってどうしても運営上面白くないという時には何とか又手が打てやしませんか。現在の琉球に於ては一日も早くという要望をしているから先ず成立させて見て…。
○仮議長(松田賀哲君) それではこれに載っていない分は全部オミットしてこれを改めて草案として明日から始めることに致します。
  (午後四時二十六分閉会)

  出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   大濱 國浩君
    〃   吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
  財政局長  宮里  勝君
  財政局理財課長
        波平 仁吉君
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