戦後初期会議録

組織名
琉球臨時中央政府立法院
開催日
1951年07月18日 
(昭和26年)
会議名
立法院全員協議会 1951年7月18日
議事録
立法院全員協議会会議録

 一九五一年七月十八日(水曜日)
 午前十時二十八分開議

議 題
 一、文教局設置法案について
 二、酒類消費税法の税率等に関する立法院の所見について

○仮議長(松田賀哲君) これから昨日にひきつづき文教局設置法案について、昨日で質疑を終っておりますからこれから十分御審議をお願いします。
 逐条やりますか。
○嘉陽安春君 逐条に入る前に根本的な点について疑問があるのですが、今迄中央政府が局を作る場合に二種類ある訳ですが、一つは新しく作って行く場合と一つは今迄にある全琉機構を接収する場合があるが、この新しく作った場合には--主席事務局というものは簡単なものですから、立法院が出来れば立法院の事務局が出来るし、行政主席事務室が出来れば秘書的な事務局を作るのは当然だろうと思うが、その次に財政局が出来て又統計局を作ろうとした時にその権限が問題になって長い間議論している間に軍から布令で出てしまったということがあって実質上行政主席の下に一応行政機構として出来、中央政府に新しく出来たという意味のものは結局財政局だけだろうと思う。もう一つは吸収するという意味で郵政局がある訳ですね。それから新しく出来ようとしているものに海事局があって、それも軍から布令が出て海事に関する権限を明示したものが出ている訳ですが、前に統計局を作る時にもそういうことがあり、今の郵政局については既にある郵政庁というものが今軍の代行機関になって軍に直属しているのを民の自治の形に持って行くという、中央政府に吸収するという意味のものであって結局それが通ると同時に軍では結局郵政庁設置の布告(布令カ)を廃止するという意味の、郵政庁に代って郵政局が出来るのだという意味のことをどうしても文書で告示しなければならんだろうという経緯になっている訳ですが、それで新しく設置する場合にも海事局の権限はこれこれで群島はこういうことをやってはいかんと明示してあるから根拠がある訳ですが、財政局の場合には、財政局の設置を審議した時の態度は中央政府が出来てその布告の中に税制を我々はたてることが出来ると書いてあるから、一旦政府が出来れば政府の財務をやる局がなければならないということは理論上当然でありそれで一応財政局を作るべきだという結論が出てその上に更に将来中央政府に財政上の権限が付与されればそれもやるということで出来ている。だから財政局の設置法には中央政府に財政局を置く財政局は中央政府の財務を処理し及び軍から中央政府に対して付与される財政金融上の政策を行うということになっている。又海事局については群島はやってはいかん、是々のことは中央政府に属せしめるという海事に関する布令が来ているが、そういう意味で文教局の設置についての根拠というものを一体何処に置くべきだろうかということをおききしたいのです。中央政府独自の立場で出したのか、軍からそういう文書が来ているのかどうか、大体どういう骨子に根拠を置くかどうかをおききして見たいと思う。
○文教仮局長(奥田愛正君) 全琉としての拠るべき法的の根拠は全然ないのでありまして、教育関係については、それだから法的な根拠を与へるということは文教局の大きな任務でなければならんと考へているのですが、出しました案では法令の整備、研究調査をすることになっている。学校教育、社会教育の方面の法規の調査研究ということになっている。
○仮議長(松田賀哲君) つまり今こうなっている訳ぢゃありませんか。その内容をなすところの文教局の設置法についてやっている訳ですが、つまり今胴体について論議されているが、頭がないという訳ぢゃないのですかな。何を根拠として文教局を作るかというそれがない訳でせう。
○嘉陽安春君 私が寧ろ重要視するのは海事局がああいう文書が出ているが、何故文教局の場合はそれが出ないか。文教局もああいう形でなければならんと思うが、郵政庁や農林省は問題ではないが、軍が握っていたものを中央政府に移すということは布告に書いてある。又海事局については海事についての布令が出て海事局の権限が明示されてそれで我々は設置法を作るということになるのですが、恐らく軍では考へているだろうと思うが、そこのところを交渉されたことがあるか、或は何かそういう筋道で軍とのつながりがつくものがあるのですか。
○文教仮局長(奥田愛正君) 初めの構想としては自分は文教局に庶務課と法制課、学校課、指導課、特殊教育課を置きたいという軍の意向だったのですが、これではまずいというので、これを庶務課と学校教育課、社会教育課、それから外に社会教育課(ママ)を置こうとして折衝した訳です。その内容は例へば学校教育課の如き学校教育に関する法令を作成すると、こういう風にしてありますが、軍の意図としては五課を置こうという考だったのです。
○仮議長(松田賀哲君) 何れにしても海事局みたような準備行動とでもいいますか、設置する基礎になるものそれは出ていない訳でせう。
○文教仮局長(奥田愛正君) 出ていません。
○吉元榮光君 今群島政府にもあるものを新しくこっちで作るということに対しては何か指示がなければこっちだけの意向で作るということになると工合が悪いのぢゃないかと思われるので、これは明かにした方がよい。
○嘉陽安春君 行政事務をやるならば群島との行政事務の関係も出て来ませうし、どうしても中央政府に第二条に基いて文教関係の権限を附与するという軍からの文書が必要ぢゃないかと思う。
○大濱國浩君 郵政局はどうなるのですか。
○嘉陽安春君 今の郵政庁は布告(布令カ)で出来ている。軍に対して責任を負うことになっている。今度の郵政局設置法の場合はその布告(布令カ)を廃止する。そしてこの設置法は布告(布令カ)に代るものだということをやればよい。今あるものを吸収する場合に軍の手を外すということと、ないものを新しく作るということは性質が違って来ると思う。
○大濱國浩君 結局郵政庁も廃止して、更に海事同様に権限を附与すべきだと思う。そういった明文があるべきだと思うが…。
○嘉陽安春君 一応現存の機構についてもその建前を取って交渉したが、軍との話合の結果、どうせ廃止する時期は、立法院が議決して主席が署名して出発する時に軍は布告(布令カ)を廃止するということでいい訳です。ということは布告(布令カ)を廃止して郵政局設置法に代るということは必ず出して貰わなければならない。これはセーハンさんとも話はついている。それを軍の代行機関として今農林省、郵政庁があって、これを軍が握るか中央政府の機構の中に入れるかという問題と群島政府にもある問題について中央政府が更に権限を持つということとは実質的には違うと思うのです。
○城間盛善君 移譲するということをはっきりすればいい訳でせう。何か文書によって。
○與儀達敏君 その移譲も全面的移譲であるか権限を限って附与するのかそこも問題ですよ。
○仮議長(松田賀哲君) 今の文教局の問題はそういうことに致しませうね。順序を経てやることにしませう。
○吉元榮光君 この前お話合を願った主席代理回答ですが、纏まりましたから皆さんにお諮りしたいと思います。
  (「酒類消費税法税率等に関する立法院の所見」を朗読)
○與儀達敏君 島内産の酒は明示せんでもいいぢゃないか。
  (「浜千島」を削除することに決定)
  (午前十一時五十五分閉会)

  出席者
   仮議長  松田 賀哲君
   参 議  與儀 達敏君
    〃   城間 盛善君
    〃   吉元 榮光君
    〃   嘉陽 安春君
    〃   田畑 守雄君
    〃   大濱 國浩君
 文教局仮局長(ママ) 奥田 愛正君
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