戦後初期会議録

組織名
八重山群島議会
開催日
1951年09月01日 
(昭和26年)
会議名
第5回八重山群島議会(定例会)[7]
議事録
一九五一年九月一日(土曜日)
 午前十時四十五分開議

議事日程第七号
  午前十時四十五分開議
第一 議案第五十二号 八重山群島財政条例制定について
第二 議案第五十三号 八重山群島財産条例制定について
第三 議案第六十八号 酒の醸造及び酒造税法の一部改正方陳情について
第四 議案第七十一号 八重山群島監査委員会事務室設置条例制定について
第五 議案第七十二号 八重山群島監査委員会事務室職員給料支給条例制定について
第六 議案第七十三号 八重山群島監査委員費用弁償並びに給料支給条例の一部改正について
第七 議案第七十四号 八重山群島判事及び検事の候補者推薦に関する条例制定について

◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十時四十五分)
 一番議員、五番議員はまだ不参ですが追って見える筈です。
 七番議員(久部良正三君)が本日から出席されました。
 先日上程しました議案第五十二号八重山群島財政条例制定について残った分の審議をしたいと思いますが如何ですか。
  (「賛成」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 休憩して逐条審議することにいたします。
  (八重山群島財政条例について話合をなし修正意見をまとめた。)
  (五番(古見石人君)議員午前十一時十分遅参)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午前十一時四十五分)
○書記長(眞玉橋長要君) 八重山群島財政条例案について話合による修正すべき箇所を朗読す。
 第二条の二項を四項とし、二項、三項を次のように挿入する。「(2)前項の現金の収納には他の財産の処分又は新たな債務の負担により生ずるものをも含み、同項の現金支払には他の財産の取得又は債務の減少を生ずるものをも含む。」「(3)なお第一項の収入及び支出には会計間の繰入を含む。」
 第三条の二項を削除して次のように但し書を入れる。「但し公共事業費、公共上必要ある出資金、非常災害による応急に必要なる経費の財源については議会の議決を経た範囲内で公債または借入金を以て財源とすることができる。」
 第四条の全文を削除し、次のように改める。「起債の方法、金額、利率、期限及び償還の方法は議会の議決によりこれを定める。」
 第五条の全文を削除し次のように改める。「群島の債権の全部、若しくは一部を免除し、又は効力を変更するには条例に基くことを要する。」
 第七条二項中の「第三十四条」とあるを「第三十一条」に訂正。
 第十条中「その部、廨等内」とあるを「その管内」に訂正。
 第十一条、第十二条、第十三条を削除して第十四条を第十一条とし、以下第七十三条までを三条ずつ繰上げる。
 第十六条の三項中「知事が必要と認めたときは、」の次に「予め議会の議決により、」を挿入する。
 第十八条中「第十八条」とあるは「第十五条」に訂正。
 第二十三条中「第二十三条」とあるは「第二十条」に訂正。
 第二十四条の本文を次のように改める。「知事は左にかかげる経費については出納長をして資金前渡官に必要な資金を前渡してこれを支払させることができる。」
 第二十五条のDの項を削除する。
 第三十五条中の「群島の現金、現品、財産または物品を」とあるのを「群島の現金又は物品を」とする。即ち現品、財産の四文字削除される。「左のとおり処理されるべきものとする。」とあるを「左のとおり処理する。」に訂正。第三十五条のAを次のように改める。「避けることのできない理由、または事故による事実をその職員が証明したときは、知事はその責任を免除することができる。」
 同条のC中「民事訴訟が提起されたときは」とあるを「民事訴訟の提起があつたときは」と訂正。
 第四十条中「保証金の処分」とあるを「保証金の処置」に訂正。
 同じく「危険の負担」の次を「その他第五十八条から第六十八条までの規定の趣旨を記載した契約書を作成しなければならない。」と改める。
 第四十六条一項中「該当すると認める者」は「該当する者」に訂正。
 第四十六条のDを次のように改める。「税金滞納者及び政府に対し債務を履行しない者。」
 第四十七条に三項として次のように加える。「(3)一かど三百万円以上の契約及び契約期間十年をこえる契約は、議会の議決を経なければならない。」
 第四十八条中「五日前に」とあるを「少くとも五日前までに」に訂正。
 第六十五条に二項を次のように加える。「(2)工事製造についてその保証をなさしめるために、知事は担保期間を設定することができる。」
 第六十六条のHを次のように改める。「公共団体その他の団体に労力の供給を請負わしめるとき」
 第七十四条、第七十五条を削除して、第七十六条を第七十一条とし以下五条ずつ繰上げる。
 附則に「第三十四条に指定する銀行は琉球銀行とする。」を加える。施行期日を一九五一年九月一日とする。
 この条例案の条項で一項の符号「(1)」とあるものは「(1)」を削除。
 右のようになっております。
◎議長(潮平寛保君) 八重山群島財政条例はただ今書記長が読上げたように修正可決したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「異議なし」の声多し)
◎議長(潮平寛保君) 御異議ないようですから議案第五十二号八重山群島財政条例は修正可決いたします。
 休憩いたします。(午後零時二十分)
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後二時五分)
 議案第五十三号八重山群島財産条例制定についてを上程いたします。会議規則によって朗読を省略いたします。休憩して逐条審議をしたいのですが如何ですか。
  (異議なし)
○議長(潮平寛保君) 休憩いたします。(午後二時七分)
  (議案第五十三号の八重山群島財産条例案について話合いをなし修正意見をまとめた。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後六時十分)
○書記長(眞玉橋長要君) 議案第五十三号八重山群島財産条例について話合った修正箇所を朗読する。
 目次の第二章は削除して「第一節」を「第二章」に、「第二節」を「第三章」に、「第三節」を「第四章」に、「第三章」は削除、「第四章」は「第五章」にそれぞれ訂正し、条例中の章節もこれにしたがって訂正する。
 第五条に三項を次のように加える。「普通財産は、その目的により行政財産、又は基本財産に編入する。」
 第七条を次のように改める。「普通財産及び予算に計上された行政財産の取得については、議会の議決を要しない。」
 第八条中の「物件」とあるは「物権」に訂正。
 第十条中の「保管預け」とあるを「保護預け」に訂正。
 第十一条から第十七条までにある「普通財産」を普通の二字削除して「財産」とする。
 第十八条中の一般財産の「一般」の二字を削除して「財産」とする。
 第十九条を次のように改める。
 「予算に計上された財産の処分については議会の議決を要しない。」
 第二十六条中普通財産の次にある「取得および」の五字を削除、同条の後項「前項の規定により以下」を削除。
 第三十条、第三十一条を削除して、「第三十二条」を「第三十条」に、「第三十三条」を「第三十一条」に訂正、第三十一条二項中「庭木については」を「庭木」に訂正。
 附則この条例は公布の日から施行する。
 以上のようになっております。
◎議長(潮平寛保君) 議案第五十三号八重山群島財産条例制定については、ただ今書記長が読上げたように修正して可決したいと思いますが御異議ありませんか。
  (「賛成」の声多し)
◎議長(潮平寛保君) 御異議ないようですから議案第五十三号は修正可決いたします。
 議案第六十八号酒の醸造及び酒造税法の一部改正方陳情についてを上程いたします。
◎星克君 本案については調査をしてみました処、いろいろ研究すべき問題であり、しばらく議会としても研究の必要があると思いますから議決を後日に回したいと思います。
◎古見石人君 本案は数日前に上程されてあるので、研究されていると思いますから議決にうつりたいと思います。
○議長(潮平寛保君) 休憩いたします。
  (酒の醸造及び酒造税法について話合をなす。)
◎議長(潮平寛保君) 開会します。(午後六時二十五分)
 議案第六十八号は審議研究の必要があります。審議未了で後回にいたします。
 議案第七十一号を上程いたします。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第七十一号八重山群島監査委員会事務室設置条例制定についてを朗読する。)
◎大山眞整君 本案は原案に賛成をします。
◎佐久眞長助君 監査委員として、これまで経験したことから申し上げますと、監査は今まで三人で監査もし、事務も行って来たが、事務繁雑で手不足を来たし事務室設置の必要を痛感しております。それで本案を提案した次第であります。沖縄群島では監査委員会の事務室は七名の書記をおいて事務に当らせている現状で、沖縄は範囲が大きいから、それだけの人数を要するだろうと言われるかも知れないが、こちらでも監査事務に於ては同じことで、事務は繁雑であり、監査委員三人では間に合いかねますので群島の監査委員として本案の提案方をおねがいしたわけでありますから御賛成をしていただいて事務室が設置できますようお願いします。
 第二条中に「左の職員をおくことができる」となっていますが「左の職員をおく。」としたいのであります。
○久部良正三君 監査委員に聞いてみたいこともありますから休会して下さい。
○議長(潮平寛保君) 休会します。
  (八重山群島監査委員会事務室設置条例案について話合があった。)
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後六時三十五分)
 議案第七十一号について御異議ありませんか。
  (「異議なし」「賛成」の声あり)
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十一号八重山群島監査委員会事務室設置条例制定については施行の期日を九月十日として全会一致原案可決いたします。
 休憩いたします。
◎議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後六時四十分)
 議案第七十二号八重山群島監査委員会事務室職員給料支給条例制定についてを上程します。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第七十二号八重山群島監査委員会事務室職員給料支給条例制定についてを朗読する。)
◎佐久眞長助君 本案は今回はこれを撤回いたします。
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十二号は提案者から撤回の希望がありますので撤回することにします。
 議案第七十三号を上程いたします。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第七十三号八重山群島監査委員費用弁償並びに給料支給条例の一部改正についてを朗読する。)
◎佐久眞長助君 ただ今第七十三号議案の監査委員費用弁償並びに給料支給条例の一部改正についてですが、八重山は他の群島の監査委員に比較して少いようであるし、又群島政府の職員や学校職員、その他の委員に比較しても少いようですから改正条例案の額が適当ではないかと思って提案した次第でありますから御賛同をお願いします。
◎知事(安里積千代君) 御参考までに大島の例を申し上げます。議会議員中から選任された委員は月五百円以内、学識経験者から選任された委員は三千円以内となっています。
○佐久眞長助君 ただ今の大島の例は最近のものでしょうか。
○知事(安里積千代君) そうです。条例となって出ています。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。
  (監査委員の費用弁償並びに給料について話合をなし、議員中から選任された委員一日百円を月手当千円と修正することに意見がまとまった。尚副知事から、政府として今の処、予算の見通しもつかず、考慮されることだが議員多数の要望であるようだから、要望に副うよう予算の執行面を考慮し、財源を見出して次の議会に予算の追加更正も認めていただきたいと考えている旨話があった。)
◎議長(潮平寛保君) 開会します。(午後七時)
 議案第七十三号の八重山群島監査委員費用弁償並びに給料支給条例の一部を改正する条例案は、第一条中一号の議員中から選任された委員一日百円を月手当壱千円と修正し施行期日を九月一日として可決しては如何ですか。
  (「異議なし」の声多し)
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十三号は御異議ないようですから、ただ今申し上げたように修正可決いたします。
 議案第七十四号を上程いたします。
  (書記長(眞玉橋長要君)議案第七十四号八重山群島判事及び検事の候補者推薦に関する条例制定についてを朗読する。)
◎星克君 提案の理由を申し上げます。
 判事及び検事任命の候補者推薦は群島組織法により、群島の推薦するところによると規定されているので、群島の権限については政府と議会にあるのだから、判事、検事任命の候補者を推薦する毎に、議会を招集してこれを推薦するという煩もあるし、又かかる問題は公開せず秘密にせなければならない時もあるので、この条例を制定し、その基準を定めておいた方がよいと思って提案した次第であります。
○議長(潮平寛保君) 休憩します。
  (安里知事より判事及び検事が任命されるに至る経過手続について説明があって、話合が行われた。)
○議長(潮平寛保君) 開会いたします。(午後七時四十五分)
 議案第七十四号八重山群島判事及検事の候補者推薦に関する条例制定については、審議未了で保留することにしたいと思いますが如何ですか。
  (異議なし)
◎議長(潮平寛保君) 議案第七十四号は保留することにいたします。
◎知事(安里積千代君) 一週間に亘り群島政府の重要な問題に関係する議案について、審議していただき、又議員各位からも積極的に議案を出して審議していただき、二、三の議案の外、原案可決又は修正可決を見たことを感謝する次第であります。
 議員各位の御熱心な御意見を拝聴しまして執行者として啓発されたことが多々ありましたし、又、我々の精一杯の努力に対しても、議員各位がよくこれをくみとって認めていただきました。執行者である我々は議決機関と常に一体となって群島住民の幸福繁栄のために研究と努力を続けていきたいと思いますからこの上とも各位の御熱意と御協力を切望するのであります。
 議会中にも申し上げました通り、本議会の大部分が条例の制定又は改正となっているので、それに伴い執行上相当の経費を要する議件もありますが、この方面は歳入面において大いに検討もし、財源の捻出、増収を図らなければならないと考えています。歳入が伴わなければ執行を不能ならしめ、執行が不能になったときは、議員各位が議決を誤ったということにもなるのです。我々としてはこういうことがないように健全財政の確立につとめるつもりでありますが議会議員の各位もこの面については御考慮と、よりよい御協力をお願いしたいのであります。
 酒造税法は沖縄群島では既に改正実施されているので八重山としても歳入面の財源を考えて提案したのでありますが、保留となったことは痛手であります。
 次の十一月の定例議会までには御検討になりまして酒造税法の改正されるよう希望いたします。
 地方財政調整交付金も目の前に横たわる問題ですから、政府の歳入面を検討して各位の御希望に副うよう善処するつもりであります。住民の負担を軽減することは必要なことであるが負担において過渡期の一時的苦痛は忍ばなければならないので、足もとにある苦痛は共に苦しんで将来の八重山の基礎を築くよう念願して止まないのであります。
 この度の議会は和気靄々裡に互に啓発されつつ協力のもとに終了していただきまして有難うございます。
◎議長(潮平寛保君) 酷暑の折各位には真剣に御審議して議会を終えさせていただきまして感謝します。今期の議会はこれで閉会します。(午後八時閉議)

 本日の会議に付したる事件
一 日程第一 議案第五十二号
 八重山群島財政条例制定について
一 日程第二 議案第五十三号
 八重山群島財産条例制定について
一 日程第三 議案第六十八号
 酒の醸造及び酒造税法の一部改正方陳情について
一 日程第四 議案第七十一号
 八重山群島監査委員会事務室設置条例制定について
一 日程第五 議案第七十二号
 八重山群島監査委員会事務室職員給料支給条例制定について
一 日程第六 議案第七十三号
 八重山群島監査委員費用弁償並びに給料支給条例の一部改正について
一 日程第七 議案第七十四号
 八重山群島判事及び検事の候補者推薦に関する条例制定について

右会議の顛末を記載し相違ないことを証するためここに署名する。
 一九五一年九月一日
八重山群島議会議長 潮平 寛保
 〃   〃 議員 石垣 用中
 〃   〃 議員 古見 石人
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