戦後初期会議録

組織名
沖縄諮詢会
開催日
1946年03月13日 
(昭和21年)
会議名
諮詢会協議会 1946年3月13日 目録詳細 画像を見る
議事録
諮詢会協議会 〔中央執行機関・酒造〕

  三月十三日(水)午前九時。
  出席  志喜屋、松岡、仲村、比嘉、護得久、前門、大宜見、平田、糸数、安谷屋、仲宗根、山城、當山、又吉の諸委員。
  病欠  知花委員。
協議事項
 又吉委員
  中央執行機関の構成を三月一日に出せと云はれた。
  (軍政府から)
  各部が一つづつ執行機関に移るから、之を纒める機関を元の県庁の様な形に作れと。
  各部共最初は出発させてよい。
  横の連絡を如何に纒めるかを考慮して作った。
  各部門の御意見もあるから、知事の位置から見て検討して貰いたい。
  中央執行機関構成図を掲示す。
 仲宗根総務書記
  中央執行機関案を説明す。
  基本は諮詢会を執行部面に移した。
  名称は各部共統一されて居ないし又重複もあるので之を統一して成文化したい。
  長官直属の官房を設け長官に関する人事文書等を掌るために置いた。
  新に官房を設けた。
  各部の関連は主管房を設け之を重要なる部に属せしめた。
  之を総務部で各部の連絡を司る事になった。
  従来の県に於ける試験を行ふ部面は各部と連絡して置いた方がよいと思って之を各課に属せしめた。
  各部に各課を設け各課に於ける事務分掌を説明す。
  総務部、財政部、法務部、警察部、公衆衛生部、社会事業部、労務部、文教部、文化部、農務部、水産部、商務部、工務部、工業部、運輸部、通信部。
  庶務規定には各課に於て作って行きたいと思ふ。
 前門委員
  知事が置かれるが之は諮詢会中のものを諮詢会委員を以て充てゝあるが。
 又吉委員
  軍政府下に於ける暫定的なものである。
 前門委員
  知事は任命であるや否や。
 又吉委員
  任命であると思ふ。
 護得久委員
  保安部及法務部は知事下に在るや否や。
 又吉委員
  憲兵司令官下に在ると思ふ。
 仲村委員
  現在は憲兵司令官の管轄に在るが而し将来は知事下に在ると思ふ。
 仲宗根委員
  此案(総務部提出の中央機関構成案)を全面的にやり直したいと思ふ。
  各部の隊長との話によると各部で作って出せとある。
  総務部への話は現在の機構と、将来の機構とを考へて出せと云ふ意味ではなかっただらうか。
  諮詢会委員は諮詢として考へて行きたい。
  此案を軍政府に提出するのは絶対反対である。
  知事を官選にせず民選にしたい。
  田井等地区では三千七百八十二人の役職員があり、金武では八百人余りと云ふ。
  田井等地区九万の人口に対し一人百五十円の物品買上高として、卸値と小売値との差異は五分の利純を見よとの事であるが、結局全体として此の案は当を得て居ない。
  各部を五、六に統一したい。
  今暫くは横の連絡は委員長で統一されたい。
 又吉委員
  軍政府は今暫くは民選でなく、任命と断言して居る。
  一方執行機関と共に一方は諮詢機関として行くと。
 仲宗根委員
  軍政府が民選でなく官選と云ふ事を私は聞かない。
  然う云ったら記録を見せて貰いたい。
 大宜見委員
  衛生部門につき質問す。
 仲宗根総務部書記
  名称のみ変更し内容は同じである。
 志喜屋委員長
  軍政府は又吉委員に訊かれたから金曜日に提出する時は諮詢会で未決定として出したら如何です。
 糸数委員
  構想(中央機関構成案)は賞すべきである。
  内閣と見て行きたい。処務細則は各部で作るべきである。
  実際に即して行きたい。
  混乱して居る時であるから勝手に名称を付けては行かない。
  以上参考に迄で述べておく。
 當山委員
  此案が暫定的であれば乱さない機構を作って行きたい。
  社会教育は文化部でやって居る。
 前門委員
  官治行政は今執行すべきでない。現在の諮詢でやって行きたい。
 仲宗根総務部書記
  糸数委員の質問に答ふ。
  課別の名称は創意中である。
 平田委員
  通信部でも先に(一九四五・一〇・一〇日)提出した機構の様にして貰いたい。
 護得久委員
  軍政府から官治行政の機構を提出せよと云はれたら、前門委員の云はれる意見とは違ふ。
 仲村委員
  前門委員の意見は表(中央機関構成)を見て官治と思ふが、而し私は民治とも思はれる。
 糸数委員
  代議員制は中央執行機関と同時には行はれない、選挙法は誰が作るか。
 又吉委員
  中央機関と共に代議員も出来ると思ふ。
 當山委員
  諮詢会が置かれた時、民意を暢達せしめよと、モードック中佐は云はれた。
  現在の機構を乱さずに民意も重じて行くと云ふ事を考へたい。
 比嘉委員
  モードック中佐の時は委員皆に聴いたが今日は一人一人に聴いてゐる。
社会事業部提出の救済規定の件。
 仲宗根委員
  規定条文を朗読す(別紙印刷物)。
  主旨は公平に救済すると云ふ事で委員制を設けた。
 大宜見委員
  仲宗根委員に訊くが全部の救済は軍政府から救済してくれるか。
 仲宗根委員
  大体軍政府から救済してくれる事になって居ると軍政府は云った。
 大宜見委員
  昨日の経済小委員会で村の支出は村で負担せよとの事であったが若し然うなると此規定はひっくりかへるが。
  養老院、孤児院は如何なるか。
 仲宗根委員
  将来は養老院、孤児院に移す考である。
  救済の程度は分量ばかりでなく期限も考慮して居る。
 大宜見委員
  救済期間の条文も入れたい。
 前門委員
  改廃の条文も入れたら如何。
 山城委員
  生活の上、中、下を考慮して居るや否や。
 仲宗根委員
  其点も考慮して居る。
 山城委員
  救済委員は兼職者になるか。
 仲宗根委員
  将来は兼職も出来ると思ふ。
 糸数委員
  第四条の二は重複して居ないか。
  俸給令は別途にして此条文では削除したい。
 仲村委員
  救済の都度委員会を開くか。
 仲宗根委員
  委員の交替等の場合、又急速に救済を要する時等に開く。
 仲村委員
  地方事務所で救済をやって見たが規則も細かく出来て居たが実際とは欠陥が多かったからよく運用しないと困る時がある。
 志喜屋委員長
  此案で大体よいではないでせうか。
 全委員
  異議なし。
 當山委員
  モードック中佐の時答申した代議機関及中央機関は如何なって居るかを軍政府に質しませう。
 志喜屋委員長
  来る金曜日に聴きませうか。
 全委員
  異議なし。
 志喜屋委員長
  昨日の経済小委員会で村は村で俸給を支出すると云ふ事であったので衝動を与へたから皆様に御伝へして置きたい。

  (午后一時再会)
  出席  志喜屋、又吉、糸数、山城、仲宗根、安谷屋、平田、大宜見、前門、護得久、比嘉、仲村、當山、松岡の諸委員。
  病欠  知花委員
協議事項
 志喜屋委員長
  酒造、木炭、薪を如何するか。
 護得久委員
  妥協して私の方に属せしめたら如何です(酒造は)。
 大宜見委員
  賛成。
 比嘉委員
  酒造は将来政治問題にもなるから私は判然と財政部に属せしめる事は出来ない。農民としては農産物の加工は農業でやると云って居る(農業組合の規定にある)。
 糸数委員
  昨日の小委員会(経済小委員会)で、酒は専売………廃物利用、酒造の部所、参考にならぬかも知れないが、高嶺工場にある糖蜜は大蔵省割当のものであったが輸送及用器の関係で残った。
  若し外国貿易になると輸送や用器の関係も考慮されたい。
 安谷屋委員
  酒造は日本でも工業でやって居る。
 志喜屋委員長
  軍政府は酒造は全部一部門に持たすと云ったのか。
 松岡委員
  昨日の経済小委員会で酒造は何所の部所でやるかとの事であった。
 護得久委員
  業者を認めず月給制にやるとの事である。
 安谷屋委員
  軍政府の官営の目的は廃物利用をするためである。
  若しさうでなければ民営にして発展させたい。
 志喜屋委員長
  酒造は始めから一部でやれと云ふ意味か又は数部でやってよいかと云はれたか。
 比嘉委員
  監督は財政部で、酒造は外の部でやってよいと。
  酒造を諮詢会で決める様にとの事である。
 大宜見委員
  各部の部長と云ふ事を忘れて諮詢会の考で決めたら如何?
 護得久委員
  決めるに最終目標が困らない様に決めて貰いたい。
  目標を把握するには目標を知った人がよい。
  一個所でやると責任のなすり合が来る。
 前門委員
  今直ちに税金を取らなければならないか。
 護得久委員
  通貨のない時は無税で通貨のある場合は課税してよいと思ふ。
 前門委員
  軍政府下に於て当分課税の秘要があるか。
 仲村委員
  酒を専売にするならどうして利純があるか、俸給を支払ふのに。
 又吉委員
  吾々には経済小委員会の内容が分らないからうっかり云はれない。
 安谷屋委員
  当分暫定処置としてならよいが官営も専売制も反対であるから判然と決めたい。
 糸数委員
  一、臨時処置として。
  一、廃物を利用するとして。
   当分二つの条件を挙げて一本立にやるか二本立に酒造やるかを決めたい。
 前門委員
  国際上から専売制になると法律を作らなければならない。
  専売制にするとニミッツ布告に触れる。
 糸数委員
  一、臨時処置として。
  一、廃物利用として(酒造は廃物を以て造る)。
  以上二条件を以て酒造は財政部に所属させたら如何。
 志喜屋委員長
  以上二条件を以て財政部に所属させますね。
 比嘉委員を除く外
  異議なし。
 比嘉委員
  廃物に問題がある。酒造を財政部に属せしめる事は未決定である。不賛成である。
  甘蔗で酒造させる事は不賛成である。
 護得久委員
  農務で作る甘蔗で作るのではない(現に残存せる甘蔗を用ふ)。
 津嘉山書記
  比嘉委員は御賛成ですか。(念を押す)
 比嘉委員
  はー、と答へ判然とせず。
  数刻置いて賛成の意を表すに、次の条件を以てす。
 ○酒造を財政部に所属せしめる条件として
  一、臨時措置として。
  一、廃物利用。(即ち廃物を以て酒造する事)
   尚比嘉委員は別紙に以上二条件を書せしめ(津嘉山書記に記せしめ)委員長及幹事長のサインを求めんとした。
   其時、糸数委員の曰く、記録に残るから、そんなにサイン等やらなくてもよいではないか。後程に例も残す事になるからとの事で全委員も之に同意したため、委員長及幹事長のサインする事を取止めた。
 松岡委員
  従来の家庭工業を認めたら如何。従来の実績を認めて。
 全委員
  異議なし。
 志喜屋委員長
  薪炭は如何するか、農務でやって貰いたい。
 比嘉委員
  従来通り薪炭は農務でやります。
 大宜見委員
  衛生主任会報告。
  衛生主任会で衛生課は市に属するや否やに対し、テンプルトン氏から衛生班長まで辞令が出て居るから軍直轄になる。
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